説明

静電霧化装置

【課題】低湿度環境下でも安定して帯電微粒子水を発生させることができる静電霧化装置を提供する。
【解決手段】霧化ブロック2、高電圧印加部3及び制御部4は、放電電極13を冷却することにより放電電極13の表面に結露水を生成し、放電電極13に保持された結露水を放電電極13の放電部13aで霧化させて帯電微粒子水Mを発生させる。また、霧化ブロック2、高電圧印加部3及び制御部4は、外部の空気を取り込む吸気口1d及び帯電微粒子水Mを吐き出すための吐出口1cを有するカバー1によって被覆されている。そして、静電霧化装置は、吸気口1dから取り込まれた空気に含まれる水蒸気を分離する水蒸気分離膜6を備えるとともに、水蒸気分離膜6にて分離した水蒸気を放電部13aの方へ供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電霧化現象により帯電微粒子水を発生させる静電霧化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されているように、放電電極を冷却することにより同放電電極の表面に結露水を生成し、放電電極に保持された結露水を放電電極の放電部で霧化させて弱酸性で電荷を持つ帯電微粒子水を発生させる静電霧化装置がある。この帯電微粒子水は、皮膚や毛髪の保湿、空間や物の脱臭等に貢献するため、静電霧化装置を様々な商品に搭載することで多様な効果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−117970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、低湿度環境下では、放電電極の冷却により同放電電極の表面に結露水を生成することが困難となるため、帯電微粒子水の発生までに時間がかかったり、帯電微粒子水を発生させることができなかったりするという問題があった。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、低湿度環境下でも安定して帯電微粒子水を発生させることができる静電霧化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の静電霧化装置は、放電電極を冷却することにより前記放電電極の表面に結露水を生成し、前記放電電極に保持された結露水を前記放電電極の放電部で霧化させて帯電微粒子水を発生させる静電霧化部と、外部の空気を取り込む吸気口及び前記帯電微粒子水を吐き出すための吐出口を有し前記静電霧化部を被覆するカバーと、を備えた静電霧化装置であって、前記吸気口から取り込まれた空気若しくは前記吸気口から取り込まれる空気に含まれる水蒸気を分離する水蒸気分離膜を備え、前記水蒸気分離膜にて分離した水蒸気を前記放電部の方へ供給することを特徴とするものである。
【0007】
この静電霧化装置において、前記静電霧化部の駆動時に通電される電気接続部を備え、前記水蒸気分離膜によって除湿された空気を前記電気接続部の方へ供給することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、低湿度環境下でも安定して帯電微粒子水を発生させることができる静電霧化装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】静電霧化装置の概略構成図。
【図2】霧化ブロックの概略構成図。
【図3】(a)は別の形態の静電霧化装置の概略構成図、(b)は別の形態の静電霧化装置を側方から見た概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、静電霧化装置は、カバー1と、該カバー1の内部に収容された霧化ブロック2、高電圧印加部3、制御部4、送風ファン5及び水蒸気分離膜6とを備えている。尚、霧化ブロック2、高電圧印加部3及び制御部4は帯電微粒子水Mを発生させる静電霧化部を構成する。
【0011】
カバー1は、略直方体の箱状をなしている。カバー1の内部には、該カバー1の内部空間を仕切る板状の第1の仕切り壁1a及び第2の仕切り壁1bが互いに離間して形成されている。これら第1の仕切り壁1a及び第2の仕切り壁1bは、カバー1の内部空間を区画して加圧室R1、放熱室R2及び収容室R3を形成している。そして、前記高電圧印加部3及び制御部4は、収容室R3内に配置されている。高電圧印加部3は、制御部4に電気的に接続されるとともに、同制御部4によってその駆動が制御される。また、制御部4は、カバー1の外部に設けられた電源7から電源の供給を受けるようになっている。
【0012】
霧化ブロック2は、加圧室R1及び放熱室R2に跨るようにカバー1に対して組み付けられることにより、同カバー1によって外周が被覆されている。図2に示すように、霧化ブロック2を構成する支持枠11は、PBT樹脂、ポリカーボネート樹脂、PPS樹脂等の絶縁性樹脂材料を用いて形成されるとともに、略円筒状の筒部11aにて主体が構成されている。そして、筒部11aの基端部(図2において下端部)には、外周側に突出する円環状の固定フランジ部11bが一体に形成されている。また、筒部11aの内周面には、支持枠11の内部空間を霧化空間S1と密閉空間S2とに分割する隔壁11cが一体に形成されるとともに、この隔壁11cの径方向の中央部には、霧化空間S1と密閉空間S2とを連通する連通孔11dが形成されている。更に、筒部11aにおいて、霧化空間S1の外周を囲う部位には、霧化空間S1と筒部11aの外部空間とを連通する空気流入孔11eが形成されている。この空気流入孔11eは、筒部11aにおいて後述の吐出流路31(図1参照)の上流側に面する部位に形成されるとともに、同吐出流路31の上流側に開口している。また、筒部11aの先端面(図2において上端面)には、リング状の対向電極12がインサート成形等により一体的に設けられている。この対向電極12の中央部の開口は、ミスト吐出口12aとなっている。また、対向電極12は、リード線L1を介して前記高電圧印加部3に電気的に接続されている。
【0013】
そして、図1に示すように、支持枠11は、筒部11aが加圧室R1内に配置されるとともに、前記第1の仕切り壁1aと共に固定フランジ部11bが加圧室R1と放熱室R2とを区画するようにカバー1の内部に配置されている。また、カバー1には、支持枠11の先端面と対向する部位(即ち対向電極12と対向する部位)に、霧化空間S1とカバー1の外部とを連通する吐出口1cが形成されている。
【0014】
図2に示すように、筒部11aの内部には、導電性を有する金属製の放電電極13が配置されている。放電電極13は、筒部11aの軸方向に沿って延びる略円柱状をなすとともに、同放電電極13の先端側の部位は、先端に向かうに連れて縮径された円錐形状をなしている。また、放電電極13は、その先端部に球状の放電部13aを有する一方、その基端部に径方向外側に延設された円環状のフランジ部13bを有する。
【0015】
そして、放電電極13は、先端部の放電部13aが霧化空間S1内に配置されるように、前記隔壁11cの連通孔11dを貫通した状態で筒部11aの内部に配置されている。また、放電電極13のフランジ部13bは、密閉空間S2内に配置されるとともに、隔壁11cにおける連通孔11dの外周部分に当接している。このように配置された放電電極13と、筒部11aの先端面に設けられた前記対向電極12との間には、間隔が設けられている。また、放電電極13には、高電圧を印加するための高電圧印加板14が接続されている。この高電圧印加板14は、筒部11aの外部にまで延出されるとともに、リード線L2を介して前記高電圧印加部3に接続されている。
【0016】
前記密閉空間S2内には、放電電極13の基端面と当接するように冷却用絶縁板15が収容されている。冷却用絶縁板15は、熱伝導性及び耐電性の高いアルミナや窒化アルミニウム等にて形成されている。
【0017】
また、密閉空間S2内には、放電電極13との間に冷却用絶縁板15が介在されるようにペルチェモジュール16が配置されている。ペルチェモジュール16は、厚さ方向に互いに対向して配置される一対の回路基板17,18間にBiTe系の複数の熱電素子19を配置して構成されている。回路基板17,18は、熱伝導性の高い絶縁板(例えばアルミナ、窒化アルミニウム等)に回路が形成されたプリント基板であり、前記回路は一対の回路基板17,18の互いに対向する面にそれぞれ形成されている。また、この回路によって複数の熱電素子19が電気的に接続されている。更に、熱電素子19は、ペルチェ入力リード線L3を介して前記制御部4(図1参照)に接続されている。制御部4は、ペルチェ入力リード線L3を介して熱電素子19への通電を制御する。そして、このようなペルチェモジュール16は、ペルチェ入力リード線L3を介して複数の熱電素子19に通電されると、冷却用絶縁板15に当接された一方の回路基板17から、他方の回路基板18に向けて熱が移動するようになっている。
【0018】
図1に示すように、前記支持枠11の固定フランジ部11bは、放熱室R2内に配置された放熱部材21に固定されている。そのため、筒部11aの基端開口部は、放熱部材21によって閉塞されている。放熱部材21は、高熱伝導性を有するアルミナや窒化アルミニウム等にて形成されるとともに、前記一対の回路基板17,18のうち冷却用絶縁板15に当接していない方の回路基板18(図1において下側の回路基板18)に当接している。この放熱部材21は、熱電素子19(図2参照)への通電により放電電極13側の回路基板17から放熱部材21側の回路基板18に向けて搬送された熱を効率良く外気に放出するためのものである。
【0019】
また、図2に示すように、前記隔壁11cの連通孔11dと放電電極13との間が封止部材22によって封止されており、この封止部材22と放熱部材21とによって密閉空間S2が密閉状態に維持されている。
【0020】
上記のように構成された霧化ブロック2では、熱電素子19への通電によって放電電極13側の回路基板17から放熱部材21側の回路基板18へ熱が移動されると、該熱移動に伴って冷却用絶縁板15を介して放電電極13が冷却される。すると、放電電極13の周囲の空気が冷却されて空気中の水分が結露して放電電極13の表面に結露水が生成される。そして、放電電極13の特に放電部13aの表面に結露水が保持された状態で、放電電極13がマイナス電極となって電荷が集中するように放電電極13と対向電極12との間に高電圧印加部3によって高電圧が印加される。すると、放電部13aに保持された結露水が静電気力により対向電極12側に引き上げられてテイラーコーンと称される形状を形成する。そして、放電部13aに保持された結露水は、大きなエネルギを受けてレイリー分裂を繰り返し、帯電微粒子水Mを大量に発生させるとともに、発生された帯電微粒子水Mは、対向電極12のミスト吐出口12aを通って霧化空間S1の外に放出される。
【0021】
図1に示すように、カバー1における放熱室R2に対応する壁面には、互いに対向する吸気口1d及び排気口1eが形成されている。更に、前記第1の仕切り壁1aにおける吸気口1dの近傍となる部位には、放熱室R2と加圧室R1とを連通する流入孔1fが形成されている。また、第1の仕切り壁1aにおける排気口1eの近傍となる部位には、放熱室R2と加圧室R1とを連通する送風口1gが形成されている。
【0022】
更に、カバー1の内部には、吸気口1dと隣り合うようにモータファンからなる送風ファン5が設けられている。送風ファン5は、前記制御部4に電気的に接続されるとともに、同制御部4によって制御される。また、カバー1の内部には、送風ファン5によって吸気口1dからカバー1の内部に取り込まれた空気を、加圧室R1に向かう吐出流路31と、放熱室R2を通り抜ける冷却流路32とに分流する分流部1hが形成されている。尚、吐出流路31は、吸気口1dから放熱室R2に入った後に、流入孔1fから加圧室R1に入り、更に空気流入孔11eから霧化空間S1内に入ってミスト吐出口12a及び吐出口1cを抜けてカバー1の外部に至る流路である。一方、冷却流路32は、吸気口1dから放熱室R2に入った後に、該放熱室R2を通り抜けて排気口1eからカバー1の外部に至る流路である。
【0023】
また、前記第2の仕切り壁1bには、送風ファン5の近傍であって同送風ファン5よりも下流側となる位置に、放熱室R2と収容室R3とを連通する導入孔1mが形成されている。更に、第2の仕切り壁1bには、排気口1eの近傍となる位置に、放熱室R2と収容室R3とを連通する排出孔1nが形成されている。
【0024】
また、前記吐出流路31には、水蒸気分離膜6が配置されている。この水蒸気分離膜6は、空気中の酸素・窒素も透過可能ではあるが、酸素・窒素に比べて水蒸気を透過させやすい性質を有する周知の膜である。従って、水蒸気分離膜6は、該水蒸気分離膜6を通り抜ける空気に含まれる水蒸気を該水蒸気分離膜6の下流側に分離する。そして、水蒸気分離膜6は、吐出流路31において放電部13aよりも上流側且つ分流部1hよりも下流側となる位置に、吐出流路31を流れる空気の進行方向と直交するように配置されている。また、吐出流路31において、対向電極12とリード線L1との接続部41の方へは、水蒸気分離膜6の上流側の空気のみが供給されるようになっている。更に、吐出流路31において、前記ペルチェ入力リード線L3は、水蒸気分離膜6よりも上流側の方へ引き出された後に制御部4に接続されている。
【0025】
上記のように構成された静電霧化装置では、制御部4によって送風ファン5が駆動されると、吸気口1dからカバー1の内部にカバー1の外部の空気が取り込まれる。そして、カバー1の内部に取り込まれた空気のうち吐出流路31を流れる空気は、流入孔1fから加圧室R1に流れ込んだ後に、水蒸気分離膜6を通り抜ける。そして、水蒸気分離膜6を取り抜けた空気は、支持枠11の空気流入孔11eから霧化空間S1に流れ込み、霧化ブロック2によって霧化空間S1内で発生された帯電微粒子水Mと共に吐出口1cからカバー1の外部に吐き出される。一方、送風ファン5の駆動によって吸気口1dからカバー1の内部に取り込まれた空気のうち冷却流路32を流れる空気は、放熱部材21を冷却しつつ放熱室R2を通過して排気口1eからカバー1の外部に排気される。
【0026】
ここで、水蒸気分離膜6は、空気中の水蒸気を該水蒸気分離膜6の下流側に分離するため、吐出流路31において水蒸気分離膜6よりも下流側には加湿された空気が流れることになる。従って、帯電微粒子水Mを発生させるための放電が行われる放電部13aが配置された空間であって吐出流路31を構成する霧化空間S1内には、水蒸気分離膜6にて分離した水蒸気を含む空気、即ち加湿された空気が供給される。そして、加湿された空気が流入した霧化空間S1内に放電部13aが配置された放電電極13を、ペルチェモジュール16の作用により冷却すると、放電電極13の表面に結露水が容易に生成される。
【0027】
また、吐出流路31において水蒸気分離膜6よりも上流側の空気は、相対的に除湿されて乾燥する。吐出流路31内では、対向電極12とリード線L1との接続部41、及びペルチェ入力リード線L3の方へ、水蒸気分離膜6の上流側の除湿された空気が供給される。更に、水蒸気分離膜6の上流側の除湿された空気の一部は、矢印αにて示すように、放熱室R2を通って送風口1gから加圧室R1内に流入し、高電圧印加板14とリード線L2との接続部42の方へ供給される。また更に、水蒸気分離膜6の上流側の除湿された空気の一部は、矢印βにて示すように、放熱室R2を通って導入孔1mから収容室R3に流入する。そして、収容室R3に流入した空気は、制御部4及び高電圧印加部3を冷却しつつ収容室R3を通り抜けた後に、排出孔1n及び排気口1eを通ってカバー1の外部に排出される。
【0028】
尚、対向電極12とリード線L1との接続部41、ペルチェ入力リード線L3、高電圧印加板14とリード線L2との接続部42、高電圧印加部3及び制御部4は、それぞれ、帯電微粒子水Mを発生させる際に通電される電気接続部に該当する。
【0029】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)水蒸気分離膜6にて分離した水蒸気を放電部13aの方へ供給するため、放電部13aの周囲が加湿されることになる。従って、静電霧化装置が低湿度環境下で使用された場合であっても、放電電極13を冷却したときに同放電電極13の表面に結露水を生成しやすくなる。その結果、低湿度環境下でも安定して帯電微粒子水Mを発生させることができる。
【0030】
(2)一般的に、対向電極12とリード線L1との接続部41、ペルチェ入力リード線L3、高電圧印加板14とリード線L2との接続部42、高電圧印加部3及び制御部4は、湿度に弱いため、高湿度環境下では劣化が懸念される。本実施形態の静電霧化装置では、水蒸気分離膜6によって除湿された空気が、対向電極12とリード線L1との接続部41、ペルチェ入力リード線L3、高電圧印加板14とリード線L2との接続部42、高電圧印加部3及び制御部4の方へ供給される。従って、対向電極12とリード線L1との接続部41、ペルチェ入力リード線L3、高電圧印加板14とリード線L2との接続部42、高電圧印加部3及び制御部4の周囲の湿度が高くなることが抑制される。その結果、対向電極12とリード線L1との接続部41、ペルチェ入力リード線L3、高電圧印加板14とリード線L2との接続部42、高電圧印加部3及び制御部4の劣化を抑制することができる。
【0031】
(3)従来、複数の熱電素子を備えたペルチェモジュールで放電電極を冷却する静電霧化装置においては、ある程度湿度のある環境であっても、放電電極の表面に結露水を生成するためには、ペルチェモジュールに高電力を供給する必要があった。そして、低電力での作動が求められる携帯機器等の装置には、高電力を要する静電霧化装置を搭載することが困難であった。これに対し、本実施形態の静電霧化装置は、放電部13aの周囲の空気が加湿されることにより、放電電極13を冷却したときに同放電電極13の表面に結露水を生成しやすくなっているため、複数の熱電素子19に供給する電力量を低減させることができる。従って、本実施形態の静電霧化装置は、低電力で作動可能であるため、携帯機器等への搭載が可能となる。
【0032】
(4)水蒸気分離膜6は、放電部13aよりも上流側に配置されている。従って、水蒸気分離膜6の下流側の加湿された空気を容易に放電部13aの方へ供給できる。
(5)水蒸気分離膜6の上流側の除湿された空気の一部が、導入孔1mから収容室R3に流入して同収容室R3を通り抜ける。従って、収容室R3内の湿度が高くなることを抑制しつつ、高電圧印加部3及び制御部4を冷却することができる。
【0033】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・図3(a)及び図3(b)に示すように、水蒸気分離膜6の上流側の除湿された空気を収容室R3内に案内する流路51を設けてもよい。尚、図3(b)は、図3(a)に示す静電霧化装置を右側方から見た図であって、送風ファン5付近のみを図示している。流路51は、加圧室R1において水蒸気分離膜6の上流側となる位置から放熱室R2を貫通して収容室R3まで延びている。また、流路51は、筒状をなしている。そして、水蒸気分離膜6の上流側の除湿された空気は、矢印γにて示すように、流路51を通って収容室R3内に供給される。このようにすると、水蒸気分離膜6によって除湿された空気を収容室R3内に導きやすくなるため、高電圧印加部3及び制御部4の冷却をより効率良く行うことができるとともに、高電圧印加部3及び制御部4の劣化をより抑制できる。
【0034】
・対向電極12とリード線L1との接続部41、ペルチェ入力リード線L3、高電圧印加板14とリード線L2との接続部42、高電圧印加部3及び制御部4の方へ、水蒸気分離膜6によって除湿された空気を必ずしも供給しなくてもよい。
【0035】
・水蒸気分離膜6の配置位置は、上記実施形態の配置位置に限らない。水蒸気分離膜6は、カバー1に対して、水蒸気分離膜6の下流側の加湿された空気を放電部13aに供給可能な位置に配置されていればよい。例えば、水蒸気分離膜6は、吸気口1d等、送風ファン5に対して上流側となる位置に配置されてもよい。水蒸気分離膜6が吸気口1dに設けられた場合には、水蒸気分離膜6は、吸気口1dから取り込む空気に含まれる水蒸気を同水蒸気分離膜6の下流側に分離する。このようにしても、上記実施形態の(1)と同様の作用効果を奏する。
【0036】
・カバー1の形状は上記実施形態の形状に限らない。カバー1は、霧化ブロック2の少なくとも一部を被覆する形状であればよい。
・上記実施形態では、霧化ブロック2は、放電電極13と該放電電極13と対向して配置された対向電極12との間に高電圧が印加されるように形成されている。しかしながら、霧化ブロック2は、対向電極12を備えず、放電電極13に高電圧が印加される構成であってもよい。また、帯電除去板、支持枠11等、放電電極13の周囲に配置された霧化ブロック2の構成部品や、カバー1によって、対向電極12の役割を果たすようにしてもよい。
【0037】
上記実施形態及び上記各変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)請求項1又は至請求項2に記載の静電霧化装置において、複数の熱電素子を有し前記熱電素子への通電により前記放電電極を冷却する熱交換部を備えたことを特徴とする静電霧化装置。
【0038】
(ロ)請求項1、請求項2及び前記(イ)の何れか1項に記載の静電霧化装置において、前記水蒸気分離膜は、前記放電部よりも上流側に配置されていることを特徴とする静電霧化装置。
【0039】
(ハ)請求項1、請求項2、前記(イ)及び前記(ロ)の何れか1項に記載の静電霧化装置において、前記カバーの内部には、前記放電電極に高電圧を印加する高電圧印加部及び前記高電圧印加部の駆動を制御する制御部の少なくとも一方が収容された収容室と、前記水蒸気分離膜の上流側の除湿された空気を前記収容室に案内する流路とが形成されていることを特徴とする静電霧化装置。
【符号の説明】
【0040】
1…カバー、1c…吐出口、1d…吸気口、2…静電霧化部を構成する霧化ブロック、3…静電霧化部を構成する電気接続部としての高電圧印加部、4…静電霧化部を構成する電気接続部としての制御部、6…水蒸気分離膜、13…放電電極、13a…放電部、41…電気接続部としての接続部、42…電気接続部としての接続部、L3…電気接続部としてのペルチェ入力リード線、M…帯電微粒子水。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電電極を冷却することにより前記放電電極の表面に結露水を生成し、前記放電電極に保持された結露水を前記放電電極の放電部で霧化させて帯電微粒子水を発生させる静電霧化部と、外部の空気を取り込む吸気口及び前記帯電微粒子水を吐き出すための吐出口を有し前記静電霧化部を被覆するカバーと、を備えた静電霧化装置であって、
前記吸気口から取り込まれた空気若しくは前記吸気口から取り込まれる空気に含まれる水蒸気を分離する水蒸気分離膜を備え、前記水蒸気分離膜にて分離した水蒸気を前記放電部の方へ供給することを特徴とする静電霧化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の静電霧化装置において、
前記静電霧化部の駆動時に通電される電気接続部を備え、
前記水蒸気分離膜によって除湿された空気を前記電気接続部の方へ供給することを特徴とする静電霧化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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