説明

静電霧化装置

【課題】複数の放電電極を比較的狭い設置スペースに設置することができ、比較的小型にすることができるとともに、コストを低減することができる静電霧化装置を提供する。
【解決手段】一面に複数の放熱フィン44aを有する放熱板44の他面に、放電により
帯電微粒子水が発生する異極性の複数の放電電極42,42を離隔して配し、放熱板44における放電電極42,42の間が、放電電極42,42間部分の結露を蒸発させ、絶縁を確保できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放電により帯電微粒子水が発生する放電電極及びペルチェ素子を有する静電霧化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静電霧化装置は、電圧が印加されることにより一面が吸熱し、他面が発熱するペルチェ素子の一面に放電電極が結合され、ペルチェ素子の他面に、放熱フィンを有する放熱板が結合され、電圧がペルチェ素子に印加されることにより放電電極を冷却し、空気中の水分を放電電極の先端部に結露させ、電圧が放電電極に印加されることにより該放電電極の先端部に静電霧化現象を発生させ、負極性の帯電微粒子水を発生させるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−33293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ペルチェ素子、放電電極及び放熱板を有する静電霧化装置において、複数の放電電極を離隔して配し、放電電極夫々が負極性の帯電微粒子水を発生することにより、空気中の負極性の帯電微粒子水の量を多くすることが考えられる。
【0005】
しかし、複数の放電電極を備える場合、放電電極の個数が増えるだけでなく、放電電極が結合されるペルチェ素子、及び放電電極に結合される放熱板の個数も増え、放電電極、ペルチェ素子及び放熱板を有するユニットの複数が離隔して配されることになるため、ユニットの設置スペースが広くなり、コストも高くなる。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、主たる目的は、一面に複数の放熱凸部を有する放熱板の他面に、ペルチェ素子が対接している複数の放電電極を配することにより、複数の放電電極を比較的狭い設置スペースに設置することができ、比較的小型にすることができるとともに、コストを低減することができる静電霧化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る静電霧化装置は、放電により帯電微粒子水が発生する放電電極と、その吸熱側の面が前記放電電極と対接するペルチェ素子と、該ペルチェ素子の放熱側の面が熱接触する放熱板とを有する静電霧化装置において、前記放熱板は、一面に複数の放熱凸部を有しており、前記放熱板の他面に、前記ペルチェ素子が対接している複数の放電電極を離隔して配してあることを特徴とする。
【0008】
この発明にあっては、一面に複数の放熱凸部を有する放熱板の他面に複数の放電電極を配してあり、放熱板と複数の放電電極及びペルチェ素子とがユニットになっているため、複数の放電電極を比較的狭い設置スペースに設置することができ、比較的小型にすることができるとともに、コストを低減することができる。また、離隔する放電電極の間に放熱板があるため、放電電極夫々の周りに結露する場合であっても、放電電極の間の結露を放熱板にて防ぐことができ、極性が異なる放電電極間の絶縁を確保することができる。
【0009】
また、本発明に係る静電霧化装置は、前記放熱板の他面は、前記放電電極夫々の間に突起を設けてある構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、離隔する放電電極の間に突起があるため、放電電極間の離隔寸法を短くし、小型化を図った場合においても、放電電極間の沿面距離を確保することができ、極性が異なる放電電極間の絶縁を確保することができる。また、放熱板の熱が突起に伝達され、突起が加熱されるため、放電電極周りの空気の温度を高めることができる。特に、低温時(例えば5℃以下)には、放電電極周りの空気を加熱しながら放電電極を冷却することにより、放電電極に付着した水の凍結を防止しながら、放電電極と空気との温度差を発生させて放電電極を結露させることができ、帯電微粒子水の発生量を多くすることができる。
【0010】
また、本発明に係る静電霧化装置は、前記放電電極は放電棒部を有し、該放電棒部の先端と対向する位置に誘導電極環を配してあり、前記突起は、前記放電棒部の先端よりも前記誘導電極環側の位置に亘って配してある構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、隣合う放電電極間を突起にて遮蔽することができるので、隣合う放電電極の極性が異なる場合においても、極性が異なる放電電極間で正極性の帯電微粒子水と負極性の帯電微粒子水とが再結合するのを防ぐことができる。
【0011】
また、本発明に係る静電霧化装置は、前記放熱板の他面は、前記放電電極夫々の間に、前記放電電極が離隔する方向と交差する方向に伸びる溝を設けてある構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、隣合う放電電極間における放熱板の表面積を多くすることができ、当該部分の放熱性を高めることができるため、放電電極の放熱板側が結露することがあっても、当該部分の結露を速やかに蒸発させることが可能であり、また、隣合う放電電極間で熱を移動させ難くすることができ、各放電電極側の熱を放熱板から放熱することができる。
【0012】
また、本発明に係る静電霧化装置は、前記突起は、前記放電電極の少なくとも一方の周りを取り囲む筒形をなしている構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、隣合う放電電極間を筒形の突起にて遮蔽することができるので、隣合う放電電極の極性が異なる場合においても、隣合う放電電極間で正極性の帯電微粒子水と負極性の帯電微粒子水とが再結合するのを防ぐことができる。
【0013】
また、本発明に係る静電霧化装置は、前記ペルチェ素子は、前記放電電極夫々に亘って一体に形成してある構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、複数の放電電極に対して放熱板及びペルチェ素子の夫々が一つであり、部品点数を低減できるので、コストをより一層低減できる。
【0014】
また、本発明に係る静電霧化装置は、前記ペルチェ素子は、前記放電電極夫々の間に絶縁突起を設けてある構成とするのが好ましい。
この発明にあっては、離隔する放電電極の間に絶縁突起があるため、放電電極間の離隔寸法を短くし、小型化を図った場合においても、放電電極間の沿面距離を確保することができ、極性が異なる放電電極間の絶縁を確保することができる。また、絶縁突起はペルチェ素子にて吸熱されにくいため、絶縁突起周りの結露を抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、一面に複数の放熱凸部を有する放熱板の他面に複数の放電電極を配してあり、放熱板と複数の放電電極及びペルチェ素子とがユニットになっているため、複数の放電電極を比較的狭い設置スペースに設置することができ、比較的小型にすることができるとともに、コストを低減することができる。また、離隔する放電電極の間に放熱板があるため、放電電極夫々の周りに結露する場合であっても、放電電極の間の結露を放熱板にて防ぐことができ、放電電極間の絶縁を確保することができる。
【0016】
また、本発明によれば、離隔する放電電極の間に突起があるため、放電電極間の離隔寸法を短くし、小型化を図った場合においても、放電電極間の沿面距離を確保することができ、放電電極間の絶縁を確保することができる。また、放熱板の熱が突起に伝達され、突起が加熱されるため、放電電極周りの空気の温度を高めることができ、放電電極が結露し易くなり、帯電微粒子水の発生量を多くすることができるとともに、放電電極に結露させるために必要な消費電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る静電霧化装置の構成を示す縦断側面図である。
【図2】本発明に係る静電霧化装置の構成を示す縦断正面図である。
【図3】本発明に係る帯電微粒子水発生部の構成を示す模式図であり、Aは正面図、Bは平面図である。
【図4】本発明に係る帯電微粒子水発生部の構成を示す拡大断面図である。
【図5】本発明に係る帯電微粒子水発生部の放電電極間に結露が生じている状態を示す説明図である。
【図6】本発明に係る帯電微粒子水発生部の他の構成を示す模式図であり、Aは正面図、Bは平面図である。
【図7】本発明に係る帯電微粒子水発生部の他の構成を示す模式図であり、Aは正面図、Bは平面図である。
【図8】本発明に係る帯電微粒子水発生部の他の構成を示す模式図であり、Aは正面図、Bは平面図である。
【図9】本発明に係る帯電微粒子水発生部の他の構成を示す模式図であり、Aは正面図、Bは平面図である。
【図10】本発明に係る静電霧化装置の他の構成を示す一部を省略した断面図である。
【図11】本発明に係る静電霧化装置の他の構成を示す縦断正面図である。
【図12】図11のXII −XII 線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態1
図1は本発明に係る静電霧化装置の構成を示す縦断側面図、図2は静電霧化装置の構成を示す縦断正面図、図3は帯電微粒子水発生部の構成を示す模式図であり、Aは正面図、Bは平面図、図4は帯電微粒子水発生部の構成を示す拡大断面図、図5は帯電微粒子水発生部の放電電極間に結露が生じている状態を示す説明図である。
【0019】
図1に示した静電霧化装置は、後面下部に吸込口11を有し、上部に吹出口12を有するハウジング1と、該ハウジング1内に内装されているケーシング2と、該ケーシング2内の下部に配されている送風機3と、ハウジング1内における送風機3及び吹出口12間に配されている帯電微粒子水発生部4とを備える。
【0020】
ハウジング1は平面視矩形をなす底壁1aと、該底壁1aの二辺に連なる前壁1b、後壁1c及び底壁1aの他の二辺に連なる側壁と、前壁1b及び後壁1c間に配された中間壁1dと、天壁1eとを有する略直方体をなし、後壁1cに吸込口11が開設され、天壁1eに吹出口12が開設されている。
【0021】
中間壁1dは吸込口11の縁に連なる皿形状をなし、下部の送風機3と対向する箇所に連通孔1fが開設されており、また、上部の帯電微粒子水発生部4と対向する箇所に孔1gが開設されている。中間壁1d内の吸込口11と対向する箇所には、送風機3が吸込口11から吸込む空気を通過させ、該空気中の異物を除去して清浄空気にするフィルタ5が取付けられている。また、ハウジング1の天壁1eで、吹出口12の一側には、運転スイッチなどの複数のスイッチ及びランプなどの表示手段を含む操作部が設けられている。
【0022】
ケーシング2は、ハウジング1の前壁1b及び中間壁1dの間に配されており、前後に離隔して対向する前壁2a、後壁2b、前壁2a及び後壁2b間の下部に配されている湾曲誘導壁2cと、該湾曲誘導壁2cの上端に連なる二つの側壁2d,2eとを有し、上部が吹出口12に開放されており、前壁2a、後壁2b及び側壁2d,2e間に通流路21が形成されている。通流路21における前壁2a及び後壁2bは吹出口12に向けて後方へ若干傾斜し、通流路21の吹出口側断面積が送風機側断面積よりも狭くなっている。
【0023】
一方の側壁2dは、湾曲誘導壁2cの一端から上方へほぼまっすぐに配され、他方の側壁2eは、湾曲誘導壁2cの他端から該湾曲誘導壁2cの内側に回転自在に配される羽根車の接線方向へ傾斜して配されている。
【0024】
通流路21における後壁2bの上下中央部には孔22が開設されている。また、後壁2bの下部には連通孔1fの縁に連なる吸気孔23が開設されている。
【0025】
送風機3は、ケーシング2の湾曲誘導壁2c内に前後方向への回転軸を中心として回転自在に収容されている羽根車31と、該羽根車31を駆動する電動モータ32とを有し、該電動モータ32がケーシング2の前壁2aに取付けられている。羽根車31はシロッコファンであり、羽根車31の回転により送出される空気が、通流路21を経て吹出口12から外部へ放出される。また、羽根車31の周方向1箇所での接線方向に側壁2eが配されている。
【0026】
帯電微粒子水発生部4は、電圧が印加されることにより一面が吸熱し、他面が発熱する二つのペルチェ素子41,41と、該ペルチェ素子41,41の一面に結合され、ケーシング2の孔22から通流路21に臨み、極性が異なる二つの放電電極42,42と、該放電電極42,42の先端部に対向する二つの誘導電極環43,43と、一面に複数の放熱フィン44aを有し他面がペルチェ素子41,41の他面に結合されている放熱板44と、ペルチェ素子41,41及び誘導電極環43,43を保持する保持ケース45とを備え、ペルチェ素子41,41に電圧を印加することにより放電電極42,42を冷却し、空気中の水分を放電電極42,42の先端部に結露させ、放電電極42,42に電圧を印加することにより該放電電極42,42の先端部に静電霧化現象を発生させ、正極性の帯電微粒子水と、負極性の帯電微粒子水とを発生させるように構成されている。
【0027】
保持ケース45は、四角形の開放口を有する大角筒部45aと、該大角筒部45aに連なる小角筒部45bと、該小角筒部45bの端を閉じる蓋部45cと、大角筒部45a及び小角筒部45b間を仕切る仕切部45dとを有する有底の角筒形をなしている。
【0028】
仕切部45dは、離隔した二つの位置に電極保持凹部45e,45e及び該電極保持凹部45e,45eの中央部を貫通する挿通孔45f,45fが開設されており、該挿通孔45f,45fに放電電極42,42の放電棒部が挿通されている。
【0029】
蓋部45cの挿通孔45f,45fと対向する位置には保持孔45g,45gが開設されており、該保持孔45g,45gに誘導電極環43,43が保持されている。
【0030】
大角筒部45a内には、直方形をなす二つのペルチェ素子41,41が並べて収容されており、大角筒部45aの開放口端に放熱板44が取付けられている。
【0031】
放熱板44はアルミニウム製であり、大角筒部45aに対応する直方形をなし、一面の長手方向へ離隔した位置にペルチェ素子41,41の発熱側面が結合され、他面に、放電電極42,42の離隔方向に離隔して複数の放熱フィン44aが突設されている。放熱フィン44aは放熱凸部を構成する。
【0032】
放電電極42,42は、四角形をなす電極板部42a,42a及び該電極板部42a,42aの一面中央部に配された放電棒部42b,42bを有し、電極板部42a,42aが電極保持凹部45e,45eに保持され、該電極板部42a,42aの他面がペルチェ素子41,41の吸熱側面に結合されており、放電棒部42b,42bが挿通孔45f,45fから小角筒部45b内に挿入され、該放電棒部42b,42bの先端が誘導電極環43,43の中央部と離隔対向している。
【0033】
帯電微粒子水発生部4は、放電電極42,42及び誘導電極環43,43がケーシング2の孔22から通流路21に臨むように保持ケース45がケーシング2に取付けられ、放熱板44の放熱フィン44aが中間壁1dの孔1gから中間壁1d内側の空気吸込路に露出し、空気吸込路を通流する吸込空気にて冷却されるようになしてある。
【0034】
以上のように構成された静電霧化装置の運転動作について説明する。静電霧化装置は吸込口11が壁側となるように居住室内の壁の近くに据えられる。操作部に配置されている運転スイッチを操作することにより、帯電微粒子水発生部4及び送風機3が運転を開始する。送風機3の羽根車31は、図2に示すように電動モータ32の出力軸を中心として時計回りに回転する。羽根車31によって吸込口11からフィルタ5を経て吸込まれた空気はケーシング2の湾曲誘導壁2cにより誘導されて上方の通流路21へ送出される。
【0035】
通流路21には静電霧化現象により正極性の帯電微粒子水と、負極性の帯電微粒子水とを発生する帯電微粒子水発生部4を配してあるため、該帯電微粒子水発生部4が通流路21に沿って上方へ通流する空気中に正極性の帯電微粒子水及び負極性の帯電微粒子水を発生させる。この正極性の帯電微粒子水及び負極性の帯電微粒子水を含む空気が通流路21を上方へ通流し、吹出口12から居住室内に放出される。
【0036】
極性が異なる二つの放電電極42,42の電極板部42a,42aにはペルチェ素子41,41が別個に結合されており、該ペルチェ素子41,41を介して二つの放電電極42,42の電極板部42a,42aが、一面に複数の放熱フィン44aを有する放熱板44の他面に離隔して結合されており、放電電極42,42の間に放熱板44があるため、放電電極42,42夫々の周りに結露することがあっても、放電電極42,42の間の結露を放熱板44にて防ぐことができ、放電電極42,42間の絶縁を確保することができる。
【0037】
実施の形態2
図6は帯電微粒子水発生部の他の構成を示す模式図であり、Aは正面図、Bは平面図である。この静電霧化装置は、放熱板44における他面の放電電極42,42間に、放電電極42,42の離隔方向と交差する方向に伸びる溝46を設け、放電電極42,42間における放熱板44の表面積を多くしたものである。
溝46は、断面凹形又は断面V字形であり、平行的に複数配してある。溝46は一つであってもよい。
【0038】
この実施の形態にあっては、放熱板44における放電電極42,42間の放熱性を高めることができるため、放電電極42,42の放熱板44側が結露することがあっても、当該部分の結露を速やかに蒸発させることができ、放電電極42,42間で熱を移動させ難くすることができ、各放電電極42,42側の熱を放熱板44から放熱することができる。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0039】
実施の形態3
図7は帯電微粒子水発生部の他の構成を示す模式図であり、Aは正面図、Bは平面図である。この静電霧化装置は、放熱板44における他面の放電電極42,42間に、放電棒部42b,42bの先端よりも誘導電極環43,43側の位置に亘って突起47を一体に設け、放電電極42,42間を突起47にて遮蔽したものである。
突起47は、放電電極42,42の離隔方向と交差する方向に長い矩形の板状をなし、放熱板44とほぼ同幅に形成されている。
【0040】
この実施の形態にあっては、正極性の放電電極42が発生した帯電微粒子水と、負極性の放電電極42が発生した帯電微粒子水とが保持ケース45内で再結合するのを防ぐことができ、通流路21を通流する空気中へ放出される正極性の帯電微粒子水の量と、負極性の帯電微粒子水の量とを多くすることができる。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0041】
実施の形態4
図8は帯電微粒子水発生部の他の構成を示す模式図であり、Aは正面図、Bは平面図である。この静電霧化装置は、放熱板44の他面に、ペルチェ素子41,41及び放電電極42,42を取り囲む筒形の突起48,48を、放電棒部42b,42bの先端よりも誘導電極環43,43側の位置に亘って一体に設け、放電電極42,42間を筒形の突起48,48にて遮蔽したものである。
【0042】
筒形の突起48,48は円筒形をなし、放熱板44と一体に形成されている。筒形の突起48,48は円筒形の他、角筒形、断面略C字形であってもよい。断面略C字形の場合、周方向の開口が放電電極42,42と非対向の位置に配される。
【0043】
この実施の形態にあっては、正極性の放電電極が発生した帯電微粒子水と、負極性の放電電極が発生した帯電微粒子水とが保持ケース45内で再結合するのを防ぐことができ、通流路21を通流する空気中へ放出される正極性の帯電微粒子水の量と、負極性の帯電微粒子水の量とを多くすることができる。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0044】
実施の形態5
図9は帯電微粒子水発生部の他の構成を示す模式図であり、Aは正面図、Bは平面図である。この静電霧化装置は、ペルチェ素子41が放電電極42,42夫々に亘って一体に形成してあり、ペルチェ素子41における一面の放電電極42,42間に、放電棒部42b,42bの先端よりも誘導電極環43,43側の位置に亘って絶縁突起49を設け、極性が異なる放電電極42,42間を絶縁突起49にて遮蔽したものである。
【0045】
絶縁突起49は、セラミックスなどの絶縁材からなり、放電電極42,42の離隔方向と交差する方向に長い矩形の板状をなし、放熱板44の幅よりも広幅に形成され、絶縁突起49の幅方向両端部が放熱板44よりも外方へ突出し、放電電極42,42間の沿面距離を確保してある。絶縁突起49は接着剤にてペルチェ素子41に結合されている。
【0046】
この実施の形態にあっては、放電電極42,42間の離隔寸法を短くし、小型化を図った場合においても、放電電極42,42間の沿面距離を確保することができ、放電電極42,42間の絶縁を確保することができる。また、絶縁突起49はペルチェ素子41にて吸熱されにくいため、絶縁突起49周りの結露を抑制することができる。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0047】
実施の形態6
図10は本発明に係る静電霧化装置の他の構成を示す一部を省略した断面図である。この静電霧化装置は、ケーシング2の側壁2eに帯電微粒子水発生部4を取付け、該帯電微粒子水発生部4の放熱板44を通流路21に臨ませ、通流路21に連通する連通路21aに放電電極42及び誘導電極環43を臨ませたものである。
【0048】
ケーシング2の側壁2eには通流路21に開口する孔22と、該孔22に連通し通流方向下流側(吹出口12側)へ離隔した位置で通流路21に開口する連通孔21aとが開設され、放熱板44が孔22から通流路21に臨み、放電電極42,42及び誘導電極環43,43が連通孔21aから通流路21に臨むように保持ケース45が側壁2eに取付けられている。
【0049】
この実施の形態にあっては、帯電微粒子水発生部4の放熱板44が通流路21に配されており、送風機3から通流路21に送出される空気にて放熱板44を冷却することができるため、放熱板44の放熱性を高めることができる。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0050】
実施の形態7
図11は本発明に係る静電霧化装置の他の構成を示す縦断正面図、図12は図11のXII −XII 線断面図である。この静電霧化装置は、ケーシング2の後壁2bに、通流路21に開口する孔22と、該孔22から通流方向下流側及び上流側へ離隔した位置で通流路21に開口するバイパス路21bとが設けられ、放電電極42,42及び誘導電極環43,43が孔22から通流路21に臨むように保持ケース45が後壁2bに取付けられ、放熱板44がバイパス路21bに配され、通流路21から分流してバイパス路21bを通流する空気にて冷却されるようになしてある。
【0051】
この実施の形態にあっては、帯電微粒子水発生部4の放熱板44が、通流路21から分流したバイパス路21bに配されており、送風機3から通流路21に送出される空気にて放熱板44を冷却することができるため、放熱板44の放熱性を高めることができる。
その他の構成及び作用は実施の形態1と同様であるため、同様の部品については同じ符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
【0052】
以上説明した実施の形態1−7は、いずれか二つ以上の実施の形態を組み合わせる構成としてもよい。
【0053】
尚、以上説明した実施の形態では、極性が異なる放電電極42,42を有する帯電微粒子水発生部4を備える構成としたが、その他、帯電微粒子水発生部4は、極性が同じ放電電極を有する構成であってもよい。
【0054】
また、以上説明した実施の形態では、放熱板44における他面の放電電極42,42間に、放電棒部42b,42bの先端よりも誘導電極環43,43側の位置に亘って突起47を設けてある構成としたが、その他、突起47は、電極板部42aと対向する高さ、又は放電棒部42bの基端側と対向する高さ、換言すると放電棒部42bの先端よりも低い高さであってもよく、突起47の高さは特に制限されない。突起47の高さが放電棒部42bの先端よりも低い場合、放電電極42,42間の沿面距離を確保することができるため、極性が異なる放電電極42,42間の絶縁を確保することができる。
【0055】
また、以上説明した実施の形態では、放熱板44の他面に、ペルチェ素子41,41及び放電電極42,42を取り囲む筒形の突起48,48を、放電棒部42b,42bの先端よりも誘導電極環43,43側の位置に亘って設けてある構成としたが、その他、筒形の突起48,48は、電極板部42aと対向する高さ、又は放電棒部42bの基端側と対向する高さ、換言すると放電棒部42bの先端よりも低い高さであってもよく、筒形の突起48の高さは特に制限されない。筒形の突起48の高さが放電棒部42bの先端よりも低い場合、放電電極42,42間の沿面距離を確保することができるため、極性が異なる放電電極42,42間の絶縁を確保することができる。
【0056】
また、以上説明した実施の形態では、帯電微粒子水発生部4が異極性の放電電極42,42を備える構成としたが、その他、帯電微粒子水発生部は、同極性の放電電極42,42を備える構成であってもよい。
【0057】
また、本発明に係る静電霧化装置は、冷房機能及び暖房機能の少なくとも一つを備える空気調和機に組み込まれてもよい。この場合、静電霧化装置を備える空気調和機となる。
【符号の説明】
【0058】
4 帯電微粒子水発生部
41 ペルチェ素子
42 放電電極
43 誘導電極環
44 放熱板
44a 放熱凸部(放熱フィン)
46 溝
47 突起
48 筒形の突起
49 絶縁突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電により帯電微粒子水が発生する放電電極と、その吸熱側の面が前記放電電極と対接するペルチェ素子と、該ペルチェ素子の放熱側の面が熱接触する放熱板とを有する静電霧化装置において、
前記放熱板は、一面に複数の放熱凸部を有しており、
前記放熱板の他面に、前記ペルチェ素子が対接している複数の放電電極を離隔して配してあることを特徴とする静電霧化装置。
【請求項2】
前記放熱板の他面は、前記放電電極夫々の間に突起を設けてある請求項1記載の静電霧化装置。
【請求項3】
前記放電電極は放電棒部を有し、該放電棒部の先端と対向する位置に誘導電極環を配してあり、前記突起は、前記放電棒部の先端よりも前記誘導電極環側の位置に亘って配してある請求項2記載の静電霧化装置。
【請求項4】
前記放熱板の他面は、前記放電電極夫々の間に、前記放電電極が離隔する方向と交差する方向に伸びる溝を設けてある請求項1記載の静電霧化装置。
【請求項5】
前記突起は、前記放電電極の少なくとも一方の周りを取り囲む筒形をなしている請求項2又は3記載の静電霧化装置。
【請求項6】
前記ペルチェ素子は、前記放電電極夫々に亘って一体に形成してある請求項1から5のいずれか一つに記載の静電霧化装置。
【請求項7】
前記ペルチェ素子は、前記放電電極夫々の間に絶縁突起を設けてある請求項6記載の静電霧化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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