説明

非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療

本発明は、有効量のリポタンパク質リパーゼ(LPL)治療薬を被検体に投与することによって、被検体における非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を治療するための方法に関する。LPL治療薬は、有利には、S447Xタンパク質、又はその誘導体若しくは変異体、或いは当該タンパク質をコードする核酸である。LPL治療薬を遺伝子治療ベクターに使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非アルコール性脂肪性肝炎の治療のためのタンパク質及び核酸治療薬の分野である。
【背景技術】
【0002】
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、ある範囲の非アルコール性脂肪肝疾患(NAFL)の一部であり、過剰のアルコール摂取によって誘発される変化に匹敵する肝臓の組織変化の発生を指す。しかし、NASHは、アルコール中毒でない患者に生じる。NASHは、肝細胞の損傷を示す血清アミノトランスフェラーゼの増加によって特徴づけられる。大滴性脂肪肝(すなわち肝細胞核を偏心的に移動させる細胞質内液胞)、炎症、及び時には、肝硬変に進行しうる繊維症がその疾病を特徴づける。NASHは、代謝性インシュリン抵抗症候群の一部であることを示す証拠が多くなっている。これは、共通の特徴としてインシュリン抵抗性を有する肥満、異脂肪血症、アテローム性動脈硬化症及び糖尿病を含む疾患の集合である(de Sligteら、(2004)Eur J Int Med 15:10)。
NASHを改善し、さらなる悪化を防ぐために多くの薬物が試されてきたが、この潜在的に深刻な状態に対する確立された治療法は存在しない。NASHにおける効果が試験された薬物の1つは、ロシグリタゾンである(Muurlingら、(2003)Metabolism 52:1078)。体重を低下させることによってもNASHを改善することができる。しかし、これらの介入にかかわらず、多くの患者においてNASHが肝硬変に進行し、究極的には肝臓移植が必要となり、その後疾病が再発することがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
米国と欧州の人口の双方において肥満及び糖尿病が増加している傾向を考慮すると、新規のNASH治療法が緊急に必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、被検体における非アルコール性脂肪性肝炎を治療する方法に関する。該方法は、治療有効量のリポタンパク質リパーゼ(LPL)治療薬を被検体に投与することを含む。本明細書に用いられているように、LPL治療薬は、LPL活性を有するタンパク質(EC 3.1.1.34)、又はこのようなタンパク質をコードする核酸を意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
LPL治療薬のタンパク質形態
一実施形態において、LPL治療薬は、本明細書においてLPL S447Xタンパク質又はペプチドと称する、配列番号1に示されているアミノ酸配列を有するLPLタンパク質である。概して、これらのLPL S447Xタンパク質は、448のアミノ酸を有するよく知られた野生型LPLより短い(例えば、Wionら、Science(1987)235:1638又はWO 01/00220参照)。それらは、野生型LPLのカルボキシ末端から切断されたアミノ酸447〜448を有するLPLのペプチド断片、修飾ペプチド断片、類似体又は薬学的に許容可能な塩の如き化合物を含むことができる。当該化合物を本明細書では総称的にLPL S447Xペプチドと呼ぶ。LPL S447Xペプチドは、(獣医学用途を有することができる)ヒト以外の種からの相同体を含む、アミノ酸1から446からの野生型成熟LPL配列の相同体を含むことができる。LPL S447Xペプチドは、野生型LPLの誘導体及び天然イソ型又は遺伝子変異体を含むことができる。LPL S447Xタンパク質の誘導体及び変異体の使用も本発明に包含される。
【0006】
S447Xタンパク質の誘導体
誘導体は、特に、LPL S447Xタンパク質と同じアミノ酸配列を有するが、いくつかのN−又はO−グリコシル化部位が修飾又は除去されたLPL活性を有するタンパク質を含む。誘導体は、C末端ヒドロキシメチル誘導体、O修飾誘導体(例えばC末端ヒドロキシメチルベンジルエーテル)、並びにアルキルアミド及びヒドラジドの如き置換アミドを含むN末端修飾誘導体をも含む。
【0007】
本発明のLPL治療薬の内部において、ペプチド構造体を直接又は間接的に修飾基に結合させることができる。「修飾基」という用語は、(例えば共有結合によって)ペプチド構造体に直接結合される構造体、並びに(例えば安定した非共有結合、又はMCP−3コアペプチド構造体の側面に位置することができる、さらなるアミノ酸残基、又はその模倣体、類似体若しくは誘導体に対する共有結合によって)ペプチド構造体に間接的に結合される構造体を包含することを意図するものである。例えば、修飾基をLPL治療構造体のアミノ末端又はカルボキシ末端、或いはコア領域の側面に位置するペプチド又はペプチド模倣領域に結合させることができる。或いは、修飾基をLPL治療薬のアミノ酸残基の側鎖、又はコア領域の側面に位置するペプチド若しくはペプチド模倣領域に(例えばリシル残基のイプシロンアミノ基、アスパラギン酸残基若しくはグルタミン酸残基のカルボキシ基、チロシル残基、セリン残基若しくはトレオニン残基のヒドロキシ基、又はアミノ酸側鎖上の他の好適な反応基を通じて)結合させることができる。ペプチド構造体に共有結合した修飾基を、例えばアミド、アルキルアミノ、カルバメート又は尿素結合を含む結合化学構造体に対して当該技術分野でよく知られている手段及び方法を用いることによって結合させることができる。
【0008】
いくつかの実施形態において、修飾基は、環式、複素環式又は多環式基を含むことができる。「環式基」という用語は、本明細書に用いられているように、3から10、4から8又は5から7の炭素原子を有する環式の飽和又は不飽和(すなわち芳香族)基を包含する。例示的な環式基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロオクチルが挙げられる。環式基は、無置換であっても、1つ又は複数の環位置で置換されていてもよい。環式基は、例えば、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、複素環、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、チオール、アミン、イミン、アミド、ホスホン酸塩、ホスフィン、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、チオエーテル、スルホニル、スルホン酸塩、セレノエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、−CF、−CNで置換されていてもよい。
【0009】
「複素環式基」という用語は、環構造が約1つ又は複数のヘテロ原子を含む、3から10、4から8、又は5から7の炭素原子を有する環式の飽和、不飽和及び芳香族基を包含する。複素環式基としては、ピロリジン、オキソラン、チオラン、イミダゾール、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリンが挙げられる。複素環は、1つ又は複数の位置で、例えばハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、他の複素環、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、チオール、アミン、イミン、アミド、ホスホン酸塩、ホスフィン、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、チオエーテル、スルホニル、セレノエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、−CF、−CNのような置換基で置換されていてもよい。複素環は、以下に記載される他の環式基に対して架橋又は縮合されていてもよい。
【0010】
本明細書に用いられている「多環式基」という用語は、2つ以上の炭素が2つの隣接環に共通して、それらの環が「縮合環」になる、2つ以上の飽和、不飽和又は芳香族環を意味することを意図する。非隣接原子を通じて結合された環は、「架橋」環と呼ばれる。多環式基の環の各々は、上記の置換基、例えばハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、チオール、アミン、イミン、アミド、ホスホン酸塩、ホスフィン、カルボニル、カルボキシ、シリル、エーテル、チオエーテル、スルホニル、セレノエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、−CF、−CNで置換されていてもよい。
【0011】
「アルキル」という用語は、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、及びシクロアルキル置換アルキル基を含む飽和脂肪族基のラジカルを意味する。いくつかの実施形態において、直鎖又は分枝鎖アルキルは、その骨格に20以下の炭素原子(直鎖についてはC〜C20、分枝鎖についてはC〜C20)、又は10以下の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、シクロアルキルは、5、6又は7の炭素環の如きその環構造に4〜10の炭素原子を有することができる。炭素数が他に指定されていなければ、本明細書に用いられている「低級アルキル」とは、その骨格構造に1から10の炭素原子を有する上述のアルキル基を意味する。同様に、「低級アルケニル」及び「低級アルキニル」は、10以下の炭素の鎖長を有する。
【0012】
明細書及び請求項の範囲の全体を通じて用いられている「アルキル」(又は「低級アルキル」)という用語は、「無置換のアルキル」及び「置換アルキル」の双方を包含することを意図し、そのうちの後者は、炭化水素骨格の1つ又は複数の炭素上の水素を置換する置換基を有するアルキル成分を意味する。当該置換基としては、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(カルボキシル、ケトン(アルキルカルボニル及びアリールカルボニル基を含む)及びエステル(アルキルオキシカルボニル及びアリールオキシカルボニル基を含む))、チオカルボニル、アシルオキシ、アルコキシ、ホスホニル、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、アミノ、アシルアミノ、アミド、アミジン、イミノ、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、硫酸塩、スルホン酸塩、スルファモイル、スルホンアミド、複素環、アラルキル、又は芳香族若しくは複素環式芳香族成分を挙げることができる。炭化水素鎖上に置換されたそれらの成分自体を適宜置換することができる。例えば、置換アルキルの置換基としては、置換及び無置換の形態のアミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホン酸塩及びホスフィン酸塩を含む)、スルホニル(硫酸塩、スルホンアミド、スルファモイル及びスルホン酸塩を含む)及びシリル基、並びにエーテル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒド、カルボン酸塩及びエステルを含む)、−CF及び−CN等を挙げることができる。例示的な置換アルキルを以下に記載する。シクロアルキルは、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノアルキル、カルボニル置換アルキル、−CF及び−CN等でさらに置換されうる。
【0013】
「アルケニル」及び「アルキニル」という用語は、長さ、及び上述のアルキルに対する置換が可能であるという点において類似しているが、それぞれ少なくとも1つの二重又は三重結合を含む不飽和の脂肪族基を意味する。
【0014】
本明細書に用いられているように、「アラルキル」という用語は、少なくとも1つのアリール基で置換されたアルキル又はアルキレニル基を意味する。例示的なアラルキルとしては、ベンジル(例えばフェニルメチル)、2−ナフチルエチル、2−(2−ピリジル)プロピル及び5−ジベンゾスベリル等が挙げられる。
【0015】
本明細書に用いられているように、「アルキルカルボニル」という用語は、−C(O)−アルキルを意味する。同様に、「アリールカルボニル」という用語は、−C(O)−アリールを意味する。本明細書に用いられているように、「アルキルオキシカルボニル」という用語は、−C(O)−O−アルキルを意味し、「アリールオキシカルボニル」という用語は、−C(O)−O−アリールを意味する。「アシルオキシ」という用語は、−O−C(O)−Rを意味し、Rはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル又はヘテロシクリルである。
【0016】
本明細書に用いられているように、「アミノ」という用語は、−N(Rα)(Rβ)を意味し、Rα及びRβは、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリールであり、又はRα及びRβは、それらが結合する窒素原子とともに、4〜8の原子を有する環を形成する。したがって、本明細書に用いられているように、「アミノ」という用語は、無置換、一置換(例えばモノアルキルアミノ又はモノアリールアミノ)及び二置換(例えばジアルキルアミノ又はアルキルアリールアミノ)アミノ基を包含する。「アミド」という用語は、−C(O)−N(R)(R)を意味し、R及びRは、上記に定められた通りである。「アシルアミノ」という用語は、−N(R’)C(O)−Rを意味し、Rは、上記に定められた通りであり、R’はアルキルである。
【0017】
本明細書に用いられているように、「ニトロ」という用語は、−NOを意味し、「ハロゲン」という用語は、−F、−Cl、−Br又は−Iを指し、「スルフヒドリル」という用語は、−SHを意味し、「ヒドロキシル」という用語は、−OHを意味する。
【0018】
本明細書に用いられている「アリール」という用語は、環内に0から4のヘテロ原子を含むことができる5、6及び7員芳香族基、例えばフェニル、ピロリル、フリル、チオフェニル、イミダゾリル、オキサゾール、チアゾリル、トリアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル及びピリミジニル等を包含する。環構造内にヘテロ原子を有するそれらのアリール基は、「アリール複素環」又は「複素環式芳香族」と称することもできる。芳香族環は、1つ又は複数の環位置で、上記の置換基、例えばハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族若しくは複素環式芳香族成分、−CF又は−CN等で置換されうる。アリール基は、多環式基の一部でもありうる。例えば、アリール基は、ナフチル、アントラセニル、キノリルインドリル等の縮合芳香族成分を含む。
【0019】
修飾基としては、ビオチニル構造体を含む基、フルオレセイン含有基、ジエチレン−トリアミンペンタアセチル基、(−)メントキシアセチル基、N−アセチルノイラミニル基、コリル構造体又はイミニオビオチニル基が挙げられる。当該技術分野で知られている方法に従って、LPL治療薬のカルボキシ末端をコリル基によって修飾させることができる(例えば、Wess,G.ら、(1993)Tetrahedron letters,34:817−822参照)。LPL治療薬をさらに修飾させることができる遊離基を有するAic(3−(O−アミノエチル−イソ)−コリル)の如き修飾基として、コリル誘導体及び類似体を使用することもできる。修飾基は、ビオチニル基並びにその類似体及び誘導体(2−イミノビオチニル基の如き)を含む「ビオチニル構造体」であってもよい。他の実施形態において、修飾基は、LPL治療ペプチドを5−(及び6−)カルボキシフルオレセイン、スクシンイミジルエステル又はフルオレセインイソチオシアン酸塩と反応させることにより誘導される基の如き「フルオレセイン含有基」を含むことができる。様々な他の実施形態において、修飾基は、N−アセチルノイラミニル基、トランス−4−コチニンカルボキシル基、2−イミノ−1−イミダゾリジンアセチル基、(S)−(−)−インドリン−2−カルボキシル基、(−)−メントキシアセチル基、2−ノルボルナンアセチル基、ガンマ−オキソ−5−アセナフテンブチリル、(−)−2−オキソ−4−チアゾリジンカルボキシ基、テトラヒドロ−3−フロイル基、2−イミノビオチニル基、ジエチレントリアミンペンタアセチル基、4−モルホリンカルボニル基、2−チオフェンアセチル基又は2−チオフェンスルホニル基を含むことができる。
【0020】
LPL S447Xタンパク質の変異体
LPLポリペプチド変異体は、配列番号1の対応する部分に対して90%、95%又は99%の配列同一性を有するように、LPL S447Xタンパク質に対して実質的な配列類似性を有するポリペプチドを含み、対応する部分は、10、20、30、40、50又はそれより多くのアミノ酸の如き任意の長さの任意の連続的配列である。当該タンパク質は、典型的には、LPL活性、又は他のLPL類似特性を有し、LPL S447Xタンパク質と同等又はそれより大きい。いくつかの実施形態において、(保存的アミノ酸置換を与えるために)化学的に類似したアミノ酸をLPL S447Xタンパク質配列中のアミノ酸に対して置換することができる。LPL活性を低下させるアミノ酸置換は、291位におけるSer残基のAsnに対する置換(Asn291Ser)、9位におけるAsnのAspに対する置換(Asp9Asn)、188位におけるGluのGlyに対する置換(Gly188Glu、Monsalveら、J.Clin.Invest.1990,86(3):728−734参照)又はAsp250Asn(Maら、Genomics,1992,13:649−653)の如き、50を超える置換が報告されているが、このような置換は、好ましい実施形態では回避されるべきである。
【0021】
LPL治療薬の核酸形態
さらに他の実施形態において、LPL治療薬は、野生型LPLタンパク質をコードする核酸、又はLPL S447Xタンパク質をコードする核酸である。代替的な実施形態において、その核酸は、そのヌクレオチドのストレッチが成熟野生型LPLペプチドをコードする配列番号2のヌクレオチド256から1599に対して少なくとも90%の配列同一性を有するRNAをコードするDNAコード配列を含むことができる。
或いは、LPL治療薬は、ストリンジェントな条件下で配列番号2のヌクレオチド256から1599に対してハイブリダイズするDNAコード配列を含む核酸を含むことができる。
【0022】
配列同一性
2つの核酸又はタンパク質配列は、最適に整列したときに、少なくとも約70%の配列同一性を有する場合に実質的に同一であると見なされる。代替的な実施形態において配列同一性は、例えば、少なくとも75%、少なくとも90%、又は少なくとも95%であってもよい。Smith及びWaterman,1981,Adv.Appl.Math 2:482の局所的相同アルゴリズム、Needleman及びWunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443の相同アラインメントアルゴリズム、Pearson及びLipman,1988,Proc.Natl,Acad.Sci.USA 85:2444の類似法のための検索、並びにこれらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装(ジェネティックスコンピュータグループのウィスコンシンジェネティックスソフトウェアパッケージ(米国ウィスコンシン州Madison)におけるGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA等)の如き様々なアルゴリズムを用いて、同一性の比較のための配列の最適なアラインメントを行うことができる。Altschulら、1990,J.Mol.Biol.215:403−10に記載されたBLASTアルゴリズムを用いて、配列アラインメントを行うこともできる(公開されたデフォルト設定を用いる)。BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、国立バイオテクノロジー情報センターを通じて(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/にてインターネットより)入手できる。BLASTアルゴリズムは、第1に、データベース配列において同一の長さのワードで配列されると、ある正値の閾値スコアTに符合するか、又はそれを満たす問合せ配列における短いワード長Wを識別することによって、高スコアの配列対(HSP)を識別することを含む。Tは、近傍ワードスコア閾値(neighbourhood word score threshold)と呼ばれる。最初の近傍ワードヒットは、より長いHSPを見つけるための検索を開始するためのシードとして作用する。累積アラインメントスコアを増大できる限り、ワードヒットを核配列に沿って両方向に拡大させる。以下のパラメータ、すなわち累積アラインメントスコアが、その最大到達値から量Xだけそれること、累積スコアが、1つ又は複数の負のスコアリング残留アラインメントの蓄積によりゼロ以下になること、或いはいずれかの配列の末端に到達することが満たされたときに、各方向のワードヒットの拡大を停止する。BLASTアルゴリズムパラメータW、T及びXは、アラインメントの感度及び速度を決定づける。BLASTプログラムは、両鎖の核酸比較では、デフォルトとして、11のワード長(W)、50のBLOSUM62スコアリング行列(Henikoff及びHenikoff,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915−10919)アラインメント(B)、10の期待値(E)(代替的な実施形態では1又は0.1又は0.01又は0.001又は0.0001に変更することができる。0.1よりはるかに大きいE値は、機能的に類似した配列を識別することができないが、類似性の短い領域に対して、より有意性の小さいヒット、すなわち0.1と10の間のE値を調べることは有用である)、M=5、N=4を用いることができる。タンパク質比較では、G=11(ギャップを開くコスト)、E=1(ギャップを拡大するコスト)、E=10(期待値。この設定において、確定されたアラインメントスコアSと同等又はそれ以上のスコアを有する10のヒットが、検索されている1つのヒットと同じサイズのデータベースにおいて偶然に生じることが期待される。E値を増加又は減少させて、検索の厳密性を変えることができる)、及びW=3(ワードサイズ。デフォルトは、BLASTNについては11、他のブラストプログラムについては3である)をデフォルトとしてBLASTPを用いることができる。
【0023】
BLOSUM行列は、関連するタンパク質内の一致したブロック間で置換が行われる頻度に基づいたアラインメントにおける各位置に対して確率スコアを割り当てる。BLAST2.0では、デフォルトにより、BLOSUM62(ギャップ存在コスト=11、残基毎ギャップコスト=1、ラムダ比=0.85)が用いられる。PAM30(9、1、0.87)、PAM70(10、1、0.87)、BLOSUM80(10、1、0.87)、BLOSUM62(11、1、0.82)及びBLOSUM45(14、2、0.87)を含む様々な他の行列をBLOSUM62の代替として用いることができる。BLASTアルゴリズムを用いる2つの配列間の統計的類似性に対する1つの手段は、2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列が偶然に一致する確率の指標を与える最小合計確率(P(N))である。本発明の代替的な実施形態において、試験配列の比較における最小合計確率が約1未満、好ましくは約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、最も好ましくは約0.001未満である場合は、ヌクレオチド又はアミノ酸配列は実質的に同一であると見なされる。
【0024】
修飾
そのペプチドの生物的機能を実質的に変えることなく、ポリペプチドの構造に何らかの修飾及び変化を加えて、生物的に同等のポリペプチドを得ることができることが当該技術分野でよく知られている。本発明の一態様において、LPL治療薬は、保存的アミノ酸置換による野生型LPL配列の一部と異なるペプチドを含むことができる。本明細書に用いられているように、「保存的アミノ酸置換」とは、機能を低下させることなく置換を行うことができる場合に、ペプチドの所定の位置において1つのアミノ酸を他のアミノ酸で置換することを意味する。当該変化を加える際に、例えば側鎖置換基の相対的類似性、例えば大きさ、電荷、疎水性及び親水性等の類似性に基づいて、類似アミノ酸残基の置換を行うことができ、日常的な試験により、ペプチドの機能に対するその影響について当該置換を検定することができる。
【0025】
いくつかの実施形態において、アミノ酸残基が、同様の親水性値(例えば±2.0内の値)を有する他の残基と置換される保存的アミノ酸置換を行うことができ、(参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4,554,101号に詳述されているように)以下の親水性値がアミノ酸残基に割り当てられる
【化1】

【0026】
代替的な実施形態において、アミノ酸残基が、同様の疎水性親水性指標(例えば±2.0内の値)を有する他の残基と置換される保存的アミノ酸置換を行うことができる。当該実施形態において、各アミノ酸残基には、その疎水性及び以下の電荷特性に基づいて疎水性親水性指標を割り当てることができる。
【化2】

【0027】
代替的な実施形態において、アミノ酸残基が同じクラスの他のアミノ酸残基と置換される保存的アミノ酸置換を行うことができ、アミノ酸は、以下のように非極性、酸性、塩基性及び中性のクラスに分類される。非極性:Ala、Val、Leu、Ile、Phe、Trp、Pro、Met;酸性:Asp、Glu;塩基性:Lys、Arg、His;中性:Gly、Ser、Thr、Cys、Asn、Gln、Tyr。
【0028】
遺伝子治療
本発明の一実施形態において、LPL治療薬を遺伝子治療ベクターで被検体に投与する。ベクターは、アデノウィルス、アデノ関連ウィルス(AAV)、ヘルペスウィルス(HSV)、レンチウイルス及びレトロウイルスを含む異なる種類のウィルスから調製されうる。一実施形態において、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7及びAAV8からなる群から選択されるAAV血清型が使用される。
最も適切なウィルス又はウィルスサブタイプを選択することは当業者の技能の範囲内である。特定の種類の組織に対しては、あるサブタイプが他のサブタイプより、より適することがある。例えば、筋肉細胞のアデノ関連ウィルス(AAV)介在形質導入によって、LPLの筋肉特有の過剰発現を有利に誘発させることができる。筋肉は、AAV介在形質導入を受けやすく、異なる血清型(AAV1、AAV6、AAV7,AAV8)を使用できる。筋肉の形質導入は、多数の部位にAAV−LPLを筋肉注射することによって遂行される。局所的なウィルス用量を低く維持する多数の部位は、LPL誘発ミオパチー又はベクター誘発免疫応答を予防するのに役立つ。これは、血清型1を使用した筋肉の長期的な形質導入のための有効な方法であるが、他の血清型を使用した静脈投与も適用できる(AAV6、AAV8)。
【0029】
遺伝子治療のための一般的な方法が当該技術分野で知られている。例えば、(参照により本明細書に組み込まれている)Andersonらによる米国特許第5,399,346号を参照されたい。遺伝子物質を送達するための生体適合カプセルは、BaetgeらによるPCT公開WO 95/05452に記載されている。造血細胞への遺伝子移入の方法も既に報告されている(いずれも参照により本明細書に組み込まれているClapp,D.W.ら、Blood 78:1132−1139(1991)、Anderson,Science 288:627−9(2000)、及びCavazzana−Calvoら、Science 288:669−72(2000)参照)。
【0030】
有効量
本発明による治療において、LPL治療薬の有効量を被検体に投与することによって非アルコール性脂肪性肝炎を治療する。本明細書に用いられているように、非アルコール性脂肪性肝炎は、過剰なアルコール摂取によって誘発されるものと同等であるが、アルコール中毒でない場合に起こる肝臓の組織変化の発生を意味する。
【0031】
LPL治療薬は、医薬担体、希釈剤及び/又は補助剤と場合によっては組み合わせて典型的には、医薬組成物に含められることになる。当該組成物は、所望の治療又は予防効果を提供するのに十分な有効量のLPL治療薬及び薬学的に許容可能な担体又は賦形剤を含む。「有効量」は、治療有効量又は予防有効量を含む。
【0032】
「治療有効量」とは、脂質代謝のパラメータの変化、LPL活性の向上、HDLコレステロールの増加又はトリグリセリド量の低下の如き所望の治療成果を達成するのに必要な用量及び期間にわたる有効な量を意味する。LPL治療の治療有効量は、個体の疾病状態、年齢、性別及び体重、並びに個体において所望の応答を導くLPL治療薬の能力の如き要因に応じて異なりうる。最適な治療応答を提供するように用法・用量を調整することができる。治療有効量は、典型的には、治療的に有益な効果がLPL治療薬のあらゆる毒性及び有害効果を凌ぐ量でもある。
【0033】
「予防有効量」とは、冠状動脈性心疾患、心臓血管疾患、冠状動脈疾患、高トリグリセリド及び/又は低HDLの如きLPL応答状態を含む様々な状態を予防又は阻害するといった所望の予防成果を達成するのに必要な用量及び期間にわたる有効な量を意味する。疾病の発症前又はその初期段階で予防投与物を被検体に使用することができ、予防有効量は、治療有効量より多い、又は少ない場合もありうる。
【0034】
特定の実施形態において、LPL治療薬の治療又は予防有効量の範囲は、0.01nM〜0.1M、0.1nM〜0.1M、0.1nM〜0.05M、0.05nM〜15μM又は0.01nM〜10μMであってもよい。投与値は、緩和すべき状態の重症度に応じて異なりうることを留意すべきである。ある特定の被検体では、個々の必要性、及び組成物を投与する、又はその投与を監督する人物の専門的判断に応じて、具体的な投与療法を経時的に調整することができる。本明細書に記載されている投与量範囲は、例示にすぎず、医療実務者によって選択されうる投与量範囲を制限するものではない。
【0035】
遺伝子治療ベクターについては、投与される用量は、治療されている被検体の状態及び大きさ、並びに治療処方、治療の頻度及び投与経路に大いに左右されうる。用量、処方及び頻度を含む連続治療のための療法を初期応答及び臨床判断により導くことができる。組織の間隙への注射の非経口経路が好ましいが、特定の投与においてはエアロゾル製剤の吸入の如き他の非経口経路が必要とされうる。プロトコルによっては、遺伝子及び遺伝子送達系を水性担体に含む製剤が組織に適切量投与される。目標組織は、特定的な組織、例えば筋肉及び肝臓組織であるか、又はいくつかの組織、例えば筋肉組織と肝臓組織の組合せであってもよい。例示的な目標組織は、肝臓、骨格筋、心筋、脂肪沈着物、腎臓、肺、心臓内皮、上皮及び/又は造血細胞を含むことができる。
【0036】
一実施形態において、筋肉内注射の後の小動物(マウス)に対する有効投与量範囲は、1×1012から1×1013ゲノムコピー(gc)/kgであり、より大きい動物(ネコ)及び恐らくはヒト被検体については、1×1011から1×1012gc/kgである。再びマウスにおいて、ポストヘパリン血漿におけるLPLの測定による導入遺伝子のレベルは、300ng/ml(DaiNipponの市販のELISAを使用して測定された)に達し、1回の投与後の発現は長期間(1年を上回る期間)に及ぶ。
【0037】
本発明の組成物における活性化合物の量は、個体の疾病状態、年齢、性別及び体重の如き要因に応じて異なりうる。最適な治療応答を提供するように用法・用量を調整することができる。例えば、一回のボーラスを投与してもよいし、いくつかの分割投与物をある期間にわたって投与してもよいし、治療状況の緊急性によって示唆される通りに投与量を比例的に減少又は増加させてもよい。投与を容易にし、投与量を均一にするために、非経口投与粗製物を投与単位形態で調合することが有利でありうる。本明細書に用いられている「投与単位形態」とは、被検体を治療するための単位投与量として適した物理的個別単位を意味し、各単位は、必要な医薬担体とともに所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性化合物を含む。本発明の投与単位形態の仕様は、活性化合物の独自の特性及び達成される特定の治療効果によって、及びそれぞれの個体における状態の治療に対して当該活性化合物を配合する技術分野に固有の制限によって規定されうる。
【0038】
本明細書に用いられているように、「薬学的に許容可能な担体」又は「賦形剤」は、生理的適合性を有する任意かつすべての溶剤、分散媒体、コーティング剤、抗菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤等を包含する。一実施形態において、その担体は、静脈内、腹腔内又は筋肉内投与を含む非経口投与に好適である。或いは、その担体は、舌下又は経口投与に好適でありうる。薬学的に許容可能な担体は、無菌の注射可能溶液又は分散物の即時調製物のための無菌水溶液又は分散物並びに無菌散剤を含む。薬学的活性物質のための当該媒体及び薬剤の使用は、当該技術分野でよく知られている。何らかの従来の媒体又は薬剤が活性化合物に不適合である場合を除いて、本発明の医薬組成物におけるその使用も考えられる。
【0039】
補足的な活性化合物を本発明の医薬組成物に組み込むこともできる。さらなる治療薬の併用投与に関する指針を、例えば、カナダ製薬協会の医薬及び新案品概要(CPS)で見ることができる。
【0040】
医薬組成物は、典型的には、製造及び保管条件下で無菌であり、安定している。医薬組成物を溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、又は高薬物濃度を受け入れるのに好適な他の規則的構造体として処方することができる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール等)及びそれらの好適な混合物を含む溶媒又は分散媒体であってもよい。例えば、レクチンの如きコーティング剤の使用、分散物の場合における必要な粒径の維持、及び界面活性剤の使用によって適正な流動性を維持することができる。多くの場合、等張剤、例えば糖、マンニトール、ソルビトールの如きポリアルコール、又は塩化ナトリウムを組成物に含めるのが好ましい。吸収を送らせる薬剤、例えばモノステアリン酸塩及びゼラチンを組成物に含めることによって、注射可能組成物の長時間の吸収を果たすことができる。LPL治療薬を一度に、又は徐放性製剤、例えば、徐放性ポリマー、又は移植体及びマイクロカプセル送達系を含む、化合物の急速な放出を防ぐ他の担体を含む組成物で投与することができる。例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリアンヒドリド、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸、及びポリ乳酸−ポリグリコールコポリマー(PLG)の如き生物分解性、生体適合性ポリマーを使用することができる。当該製剤を調製するための多くの方法が特許化され、当業者に広く知られている。
【実施例】
【0041】
実施例1 LPL遺伝子治療はトリグリセリド再分布を引き起こす
本実施例では、雄のAPOE3−Leiden遺伝子導入マウスにおける食餌誘発性高脂血症に対するLPL S447Xを遺伝子導入したAAV1の効果を調べる。この目的のために、6匹のマウスに1×1013gc’/kgのAAV1−LPL S447Xを注射し、6匹のマウスにPBSを注射した(4つの部位に対する筋肉内注射)。1週間後に、マウスにウェスタン型飼料(Western type diet)を与え始めた。この飼料を与え始めてから28週目に、マウスを屠殺した。
【0042】
結果は、LPL遺伝子治療を受けたマウスは、注射後25週目に300ng/mlまでポストヘパリンLPL濃度が徐々に増加したが、全ポストヘパリンリパーゼ活性は有意に変化しなかったことを示している。加えて、4時間の絶食の後に血漿TG、HDL−c及びTCに対する効果は検出できなかった。循環リポタンパク質濃度に対する効果がなかったにもかかわらず、LPL遺伝子治療は、脂質内にボーラス投与(p<0.05)した後に治療されたマウスがTG及びFFAのより速いクリアランスを示したという点において有効であることが証明された。他の有意な知見としては、対照(p<0.05)と比較して、AAV1−LPL S447Xで処理した動物の体重増加の著しい減少、すなわち腹脂肪量の差に起因しない効果が含まれていた。対照と比較して、AAV1−S447X処理マウスの筋肉ホモジネートは、トリグリセリド含有量の有意な増加(p<0.05)を示し、一方、肝臓ホモジネートは、トリグリセリド含有量の有意な減少(p<0.05)を示した。
【0043】
本実施例は、絶食脂質に対する効果がなくても、マウス骨格筋におけるヒトLPLの発現は、トリグリセリドの再分布及び体重増加の減少を誘発することを証明するものである。
【表1】


【表2】


【表3】

【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明によるLPL治療薬の一実施形態のタンパク質配列、すなわちS447Xタンパク質を示す図である。
【図2】LPL mRNA配列を示す図であり、ヌクレオチド256から1599は、成熟野生型LPLペプチドをコードする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体における非アルコール性脂肪性肝炎を治療するための薬物を調製するためのLPL治療薬の使用。
【請求項2】
LPL治療薬は、
a)配列番号1に示されたアミノ酸配列を有するS447Xタンパク質、又はその誘導体、
b)a)のタンパク質と同等又はそれ以上のLPL活性を有する、最適に整列させると配列番号1に対して少なくとも90%の配列同一性を有する連続的断片を含むアミノ酸配列を有するLPLタンパク質、又はその誘導体、或いは、
c)a)又はb)のタンパク質をコードする核酸、又はその誘導体
からなる群から選択される構成要素である請求項1に記載の使用。
【請求項3】
LPL治療薬は、配列番号2のヌクレオチド256から1599に対して少なくとも90%の配列同一性を有するRNAをコードするDNAコード配列を含む核酸を含む請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
LPL治療薬は、ストリンジェントな条件下で配列番号2のヌクレオチド256から1599に対してハイブリダイズするDNAコード配列を含む核酸である請求項1から3までに記載の使用。
【請求項5】
LPL治療薬は、配列番号1に対して少なくとも95%の配列同一性の連続的断片を有するLPL S447Xタンパク質である請求項1又は2に記載の使用。
【請求項6】
LPL治療薬は、遺伝子治療ベクターで被検体に投与される請求項1から5までに記載の使用。
【請求項7】
遺伝子治療ベクターは、ウィルスベクターを含む請求項6に記載の使用。
【請求項8】
ウィルスベクターは、アデノ関連ウィルス(AAV)を含む請求項7に記載の使用。
【請求項9】
被検体は、ヒトである請求項1から8までに記載の使用。
【請求項10】
LPL治療薬は、非経口投与される請求項1から9までに記載の使用。
【請求項11】
被検体における非アルコール性脂肪性肝炎を治療するための方法であって、被検体に治療有効量のLPL治療薬を投与することを含む方法。
【請求項12】
LPL治療薬は、
a)配列番号1に示されたアミノ酸配列を有するS447Xタンパク質、又はその誘導体、
b)a)のタンパク質と同等又はそれ以上のLPL活性を有する、最適に整列させると配列番号1に対して少なくとも90%の配列同一性を有する連続的断片を含むアミノ酸配列を有するLPLタンパク質、又はその誘導体、或いは、
c)a)又はb)のタンパク質をコードする核酸、又はその誘導体
からなる群から選択される構成要素である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
LPL治療薬は、配列番号2のヌクレオチド256から1599に対して少なくとも90%の配列同一性を有するRNAをコードするDNAコード配列を含むLPL核酸を含む請求項11に記載の方法。
【請求項14】
LPL治療薬は、ストリンジェントな条件下で配列番号2のヌクレオチド256から1599に対してハイブリダイズするDNAコード配列を含む核酸である請求項11に記載の方法。



【図1】
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【図1】
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【図2】
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【図2】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−503569(P2008−503569A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517982(P2007−517982)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【国際出願番号】PCT/NL2005/000446
【国際公開番号】WO2005/123117
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(506421600)
【出願人】(506421611)アムステルダム モレキュラー セラピューティクス ビー.ブイ. (5)
【Fターム(参考)】