説明

非モード式プレート間マイクロ波加熱システムおよび加熱方法

マイクロ波加熱装置および加熱方法が開示される。マイクロ波加熱装置は、非モード式プレート間マイクロ波印加装置を含み、非共振のエンクロージャを含むことができる。非モード式プレート間マイクロ波印加装置は、この非モード式プレート間マイクロ波印加装置から放射されるマイクロ波によって加熱される負荷を内部に受け入れるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本出願と同時係属中であり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2009年12月16日に出願された「NON−MODAL INTERPLATE MICROWAVE HEATING SYSTEM AND METHOD OF HEATING」と題する米国仮特許出願第61/286,917号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、マイクロ波加熱システムに関し、より詳しくは、診断用の組織試料および試薬を加熱するためのマイクロ波印加装置ならびに試料の加熱方法に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロ波印加装置は、物体を加熱するためにマイクロ波の放射を使用する。マイクロ波印加装置は、食品を加熱するための家庭または個人の使用から商用または産業用まで、多くのさまざまな用途に使用され得る。
【0004】
家庭の台所用として設計されたマイクロ波オーブンを、研究室での試料および試薬の加熱における使用に適合させる取り組みが行なわれてきている。家庭用および民間研究所用に設計されたマイクロ波システムなどのマルチモードのマイクロ波システムが存在する。さらに、シングルモードのマイクロ波システムが、研究室用および産業用として設計されている。マルチモードおよびシングルモードのマイクロ波システムの両方とも、共振空洞およびモード性のマイクロ波に依存する。しかしながら、そのような装置は、モードパターン内のマイクロ波エネルギー密度のばらつきに起因して試料の加熱が均一でないこと、共振空洞が必要であるなどの理由でかさばること、加熱対象領域におけるエネルギー密度のばらつきを制御または補償するために複雑であること、正確さに欠けること、単一の試料または小さな試料群の処理に適さないこと、試料の向きおよび配置に面倒な制約があること、電力および電圧の要求条件、過度の熱が生じること、定まったマイクロ波周波数を使用する必要があること、およびコストが高いことなどを挙げることができる特有の欠点および限界を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、既存のマルチモードおよびシングルモードのマイクロ波システムの欠点および限界を克服する種類のマイクロ波印加装置についてのニーズが存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、非モード式プレート間マイクロ波印加装置であって、印加装置から放射されるマイクロ波によって加熱される負荷を受け入れるように構成されているマイクロ波加熱システムと、非モード式プレート間マイクロ波印加装置に接続されたマイクロ波源とを備えるマイクロ波加熱システムを備えることができる。
【0007】
本発明の一実施形態は、非モード式プレート間マイクロ波印加装置であって、印加装置から放射されるマイクロ波によって加熱される負荷を受け入れるように構成されているマイクロ波加熱システムと、非モード式プレート間マイクロ波印加装置に接続されたマイクロ波源と、非モード式プレート間マイクロ波印加装置を少なくとも部分的に囲む非共振のエンクロージャとを備えるマイクロ波加熱システムを備えることができる。
【0008】
本発明の一実施形態は、非モード式プレート間マイクロ波印加装置であって、印加装置から放射されるマイクロ波によって加熱される負荷を受け入れるように構成されているマイクロ波加熱システムと、非モード式プレート間マイクロ波印加装置に接続されたマイクロ波源と、非モード式プレート間マイクロ波印加装置を少なくとも部分的に囲む非共振のエンクロージャと、負荷を非モード式プレート間マイクロ波印加装置の内部に保持すべく非モード式プレート間マイクロ波印加装置に組み合わせられた支持構造とを備えるマイクロ波加熱システムを備えることができる。
【0009】
本発明の一実施形態は、負荷をマイクロ波で加熱するための方法であって、電磁界を内部に生成するための印加装置を画定するような形状の非モード式プレート間マイクロ波印加装置を形成するステップと、マイクロ波を使用して負荷を加熱すべく非共振の構造の内側に電磁界を生成するように非モード式プレート間マイクロ波印加装置を構成するステップとを含む方法を含むことができる。
【0010】
本発明の一実施形態は、組織化学、免疫組織化学、またはin−situハイブリッド形成の処理のために顕微鏡用スライド上の生体サンプルを前処理する方法であって、生体サンプルを非モード式プレート間マイクロ波印加装置のプレート間に配置するステップと、マイクロ波源を非モード式プレート間マイクロ波印加装置に接続するステップと、プレート間の電磁界を顕微鏡用スライド上の生体サンプルに印加するステップと、少なくとも1つの染色前処理プロトコル段階を実施するためにサンプルを加熱するステップとを含む方法を含むことができる。
【0011】
本発明の一実施形態は、組織化学、免疫組織化学、またはin−situハイブリッド形成の処理のために顕微鏡用スライド上の生体サンプルを培養する方法であって、生体サンプルを非モード式プレート間マイクロ波印加装置のプレート間に配置するステップと、マイクロ波源を非モード式プレート間マイクロ波印加装置に接続するステップと、プレート間の電磁界を顕微鏡用スライド上の生体サンプルに印加するステップと、少なくとも1つの染色前処理プロトコル段階を実施するためにサンプルを加熱するステップとを含む方法を含むことができる。
【0012】
本発明の一実施形態は、組織化学、免疫組織化学、またはin−situハイブリッド形成の処理のための流体をインラインで加熱する方法であって、流体を運ぶ流体キャリアを非モード式プレート間マイクロ波印加装置のプレート間に配置するステップと、マイクロ波源を非モード式プレート間マイクロ波印加装置に接続するステップと、プレート間の電磁界を流体に印加するステップと、流体を加熱するステップとを含む方法を含むことができる。
【0013】
本発明の実施形態は、負荷の特性を監視するステップと、監視に少なくとも部分的に応答してプレート間の電磁界を調節するステップとをさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】Aは、共振空洞に依存するマルチモードのマイクロ波印加装置システムの図である。Bは、矩形の共振空洞を有するシングルモードのマイクロ波印加装置の図である。Cは、円柱形の共振空洞を有するシングルモードのマイクロ波印加装置の図である。
【図2】AおよびBは、本発明の非モード式プレート間マイクロ波印加装置の実施形態の図である。CおよびDは、チューニング装置および非共振の遮蔽用エンクロージャを備える本発明の非モード式プレート間マイクロ波印加装置の実施形態の図である。
【図3】AおよびBは、マイクロ波を減衰させる内側の表面を有する非共振のエンクロージャを備えている非モード式プレート間マイクロ波印加装置の図である。
【図4】非モード式プレート間マイクロ波印加装置の種々の実施形態を含むように構成することができる設備を含んでいる自動スライド染色システムの図である。
【図5】AおよびBは、非モード式プレート間マイクロ波印加装置が浸漬された浸漬タンクおよび非共振のエンクロージャの図である。
【図6】非モード式プレート間マイクロ波印加装置が浸漬されていない浸漬タンクおよび非共振のエンクロージャの図である。
【図7】AおよびBは、非モード式プレート間マイクロ波印加装置を有するスライド焼成設備の図である。
【図8】A〜Cは、インラインでの流体の加熱のための非モード式プレート間マイクロ波印加装置と、スライドサンプルの直接加熱のための2部分からなるアクセス可能な非モード式プレート間マイクロ波印加装置とを有するスライド染色モジュールの図である。
【図9】AおよびBは、個別の非モード式プレート間マイクロ波印加装置を有する一体成形の浸漬タンクの図である。
【図10】AおよびBは、巻かれた管の長さを囲んでいる円筒形の非モード式プレート間マイクロ波印加装置の図である。
【図11】A〜Cは、別の円筒形の非モード式プレート間マイクロ波印加装置の図である。
【図12】A〜Iは、非モード式プレート間マイクロ波印加装置の種々の実施形態および非モード式プレート間マイクロ波印加装置用プレートのいくつかの実施形態の図である。
【図13】円筒形の非共振のエンクロージャを含む非モード式プレート間マイクロ波印加装置の実施形態の図である。非モード式プレート間マイクロ波印加装置の実施形態の図である。
【図14】AおよびBは、フローリアクタを含む非モード式プレート間マイクロ波印加装置の実施形態の図である。
【図15】A〜Dは、毛細管式のフローリアクタを含む非モード式プレート間マイクロ波印加装置の実施形態の図である。
【図16】負荷の周囲に直交するプレート対が配置されている非モード式プレート間マイクロ波印加装置の実施形態の図である。
【図17】開閉可能な非モード式プレート間マイクロ波印加装置の実施形態の図である。
【図18】入口および出口を有する反応容器を含む非モード式プレート間マイクロ波印加装置の円筒形の実施形態の図である。
【図19】入口および出口を有する反応容器を含む非モード式プレート間マイクロ波印加装置の別の円筒形の実施形態の図である。
【図20】多容器負荷を受け入れるように構成された非モード式プレート間マイクロ波印加装置の実施形態の図である。
【図21】負荷監視システムを含み、多穴の負荷を受け入れるように構成された非モード式プレート間マイクロ波印加装置の別の実施形態の図である。
【図22】調節可能な印加装置用プレートを含む非モード式プレート間マイクロ波印加装置の実施形態の図である。
【図23】AおよびBは、非モード式プレート間マイクロ波印加装置のプレートのアレイを含むマイクロ波加熱システムの実施形態の図である。
【図24】複数非モード式プレート間マイクロ波印加装置を含む複数サンプル処理システムの図である。
【図25】別々のマイクロ波源を有する複数の非モード式プレート間マイクロ波印加装置を含む複数サンプル処理システムの別の実施形態の図である。
【図26】多重化されたマイクロ波源を有する複数非モード式プレート間マイクロ波印加装置を含む複数サンプル処理システムの別の実施形態の図である。
【図27】非モード式プレート間マイクロ波印加装置を制御するためのチューニング装置を含む制御システムの図である。
【図28】A〜Cは、監視装置を含む非モード式プレート間マイクロ波印加装置の実施形態の図である。
【図29】A〜Fは、毛細管式のフローリアクタを含む非モード式プレート間マイクロ波印加装置の実施形態の図である。
【図30】A〜Cは、入力部、混合チャンバ、加熱部、分離部、分析部、および出力部を有するマイクロ構造を含む非モード式プレート間マイクロ波印加装置の実施形態の図である。
【図31】AおよびBは、円筒形の非モード式プレート間マイクロ波印加装置を含む複数サンプル処理システムの別の実施形態の図である。
【図32】調節可能なプレートを含む非モード式プレート間マイクロ波印加装置の実施形態の図である。
【図33】AおよびBバッチ式リアクタを含む非モード式プレート間マイクロ波印加装置の別の実施形態の図である。
【図34A】マイクロ波加熱システムの実施形態の正面図を示している。
【図34B】サンプルラック、サンプルキャリア、およびサンプルを示している。
【図34C】マイクロ波加熱システムの実施形態の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
定義
本明細書において使用されるとき、非モード式プレート間マイクロ波印加装置は、プレート間に負荷を受け入れるように構成された少なくとも2枚のプレートを有する任意のマイクロ波印加装置であって、負荷へとマイクロ波エネルギーを加える目的のためにプレート間に電磁界を生成するように構成され、負荷における電磁界の強度が共振用のエンクロージャの内側に形成される定在波モードに依存しないように設計されているマイクロ波印加装置である。
【0016】
用語「マイクロ波源」は、本明細書において使用されるとき、約300MHz〜30GHzの周波数範囲の電磁放射を生成する任意の装置を指す。
【0017】
用語「プレート」は、導体、半導体、金属などといった少なくとも或る程度は導電性である材料からなる表面を指すことを意図している。プレートは、平行、部分的に平行、または非平行な平坦な表面を備えることができる。プレートはまた、円柱、球、または任意の幾何学的な二次元または三次元の形状など、非平坦な表面を備えてもよく、各々の表面のエリアが固定または可変であってよく、表面の間の距離が固定または可変であってよい。
【実施例】
【0018】
本明細書に提示される本発明の種々の実施形態は、本発明をどのように実施するのかを示しており、本発明が既存の方法に対して有する種々の利点を示している。
【0019】
本明細書に記載の非モード式プレート間マイクロ波印加装置またはその均等な変形形態 を使用して負荷を直接加熱することによって、非モード式プレート間マイクロ波印加装置をきわめて小さくすることができ、きわめてわずかな電力しか必要とせずに、プレート間に負荷を均一に配置し、かつ加熱を良好に制御することができること、プレートを自動的に近付けることによって非モード式プレート間マイクロ波印加装置を自動的に形成することができ、したがって負荷を印加装置のプレート間に出し入れすることが可能になること、非モード式プレート間マイクロ波印加装置を、設備から設備へと移動する負荷ホルダに組み込むことができること、複数の負荷のための独立した印加装置を、トレイ、ラック、または容器をきわめて迅速に加熱するためにコンパクトな様相でグループ化することができること、遮蔽用のエンクロージャが、モードの共振空洞、すなわち空洞共振器として働くことなく非モード式プレート間マイクロ波印加装置を囲むことができることを含むいくつかの有益な効果を達成することができる。
【0020】
非モード式プレート間マイクロ波印加装置を、例えばRLC回路などの電磁チューニング装置を含むこと、ならびにプレート間の距離またはプレートのエリアの調節によってプレートのインピーダンスを調節することの両方によって、電気的にチューニングまたは調節することができる。また、印加装置の電気特性を、マイクロ波源の周波数を調節することによって変化させることもでき;非モード式プレート間マイクロ波印加装置のプレートは、負荷(管、組織カセット、フローリアクタ、または任意の物体など)の加熱を可能にする種々の形状、サイズ、および表面を有することができ;プレートおよび非共振のエンクロージャは、温度(負荷の温度など)または他の測定可能な特性(例えば、蛍光など)を接触式または非接触のセンサを使用して測定可能にするか、あるいはエンクロージャおよびプレートを通して試薬を施すことを可能にする開口を含むことができる。
【0021】
シングルモードおよびマルチモードのマイクロ波システムと比べた、非モード式プレート間マイクロ波印加装置が有することができる上述の有益な効果および他の利点が、図面に示され、以下にさらに詳しく説明される。本明細書に記載の実施形態は、あくまでも例示であり、多数の同等の実施形態および応用を、本発明の範囲において実現できることを、当業者であれば容易に理解可能であろう。
【0022】
図1Aは、マルチモードマイクロ波印加装置100を示しており、印加装置の内部に配置された顕微鏡用スライドなどの負荷ホルダ111上に負荷104が配置されている。印加装置は、供給源からの電磁エネルギーを負荷へと移すための装置である。マイクロ波印加装置100に関して示されているとおり、マイクロ波源206が、共振空洞109へとマイクロ波エネルギーを放射する。マイクロ波は、典型的には、1cm〜1メートルの間の波長を有し、300MHz〜30GHzの間の周波数範囲で動作する。2.45GHzの周波数を有するマイクロ波源206が、研究室での反応を含む多くの用途に適した侵入深さを有する。2.4GHzのマイクロ波の波長は、空気中で約12.2cmである。共振空洞を含むマイクロ波印加装置において、マイクロ波エネルギーは、極小および極大を有する定在波113のモードパターンを形成する。これに対応して、空洞内にマルチモードパターンの極小(または、節103)および極大(腹101)を呈する高エネルギー密度および低エネルギー密度(あるいは、高温スポットおよび低温スポット)のパターンが得られる。共振空洞109を有するマルチモードマイクロ波印加装置は、典型的には、3つの次元のすべてにおいて波長の数倍に相当するサイズを有するように寸法付けられる。規則的な極小および極大を有するモードパターンは、負荷の位置および負荷の誘電特性に応じてさまざまである。これが、とりわけ負荷104が空洞の寸法と比べて小さく、反応混合物および組織サンプルなどの時間的に変化する誘電特性および体積を有する場合に、そのような印加装置の制御をきわめて困難にする。一部のマルチモードマイクロ波印加装置においては、負荷の加熱の不均一性を低減するために、モード攪拌装置または電磁界攪拌装置107などの装置が、空洞内のマイクロ波放射のモードパターンに変化を生じさせるために含まれることができる。さらに、ターンテーブル105が、やはり負荷の加熱の不均一性を低減するために、モードパターンによって負荷104を移動させることができる。加熱が不均一になる可能性があるため、マイクロ波加熱装置を使用する研究室の技術は、やはり加熱の不均一性を低減するために、熱的および電磁気的な安定化効果を有するように加熱される液体負荷を含むことが多い。マイクロ波加熱のかなりの部分が間接的であるよう、液体からの熱をサンプルへと伝えることができる。
【0023】
図1Bは、節103と腹101とを有する定在波113を形成するマイクロ波エネルギーを生成するマイクロ波源206を有しているシングルモードのマイクロ波印加装置を示している。共振空洞109が、所望のモードパターンを可能にする所望の共振特性を有するように寸法付けられている。例えば、2.45GHzのマイクロ波のための導波路が、典型的には43mm×86mmの寸法を有することができる。負荷ホルダ111を、負荷104が定在波における腹または極大に位置するように配置することができる。負荷104の存在が、モードパターンの極小103(または、節)および極大101(または、腹)の位置に影響を及ぼす可能性があるため、導電材料または吸収材料からなるスタブなどの物理的なチューニング装置116を空洞109に配置し、極小103および極大101の位置を調節すべくスロット117を使用して前後に動かすことができる。
【0024】
図1Cは、マイクロ波源206を有する別のシングルモードのマイクロ波印加装置114を示している。導波路115が、内側シリンダ109を囲む円形に構成されている。内側シリンダ109が、アンテナスロットとして機能する一連のスロット110を含んでいる。マイクロ波エネルギー113が、スロット110を通って内側シリンダ109に進入する。どのスロット110を通ってマイクロ波エネルギー102が進入するかは、負荷ホルダ108の負荷104に応じて変化でき、したがってマイクロ波エネルギー113を、物理的なチューニング装置を手動で調節することなく、自動的に集束または調節することができる。
【0025】
しかしながら、図1Bおよび図1Cに示したシングルモードのマイクロ波印加装置は、典型的には、反応瓶内の液体などの単一の円筒形の負荷の加熱に最も適している。上述のように、マルチモードのマイクロ波印加装置は、適切に機能するために、正確な寸法を有する比較的大きな共振空洞を必要とする。
【0026】
シングルモードの印加装置では、共振空洞のサイズがより小さいが、これは、そのような小さな寸法では1つまたは複数のマイクロ波用スライドなどの負荷の挿入または取り出しが困難になる可能性があるため、問題となる可能性もある。さらに、シングルモードのマイクロ波印加装置において、加熱対象のサンプルを有するマイクロ波用スライドなどの負荷を適切に配置することは困難である。なぜならば、サンプルの一部分が定在波の最大エネルギー密度の地点に位置できる一方で、サンプルの他の部分がわずかにずれ、あるいは大きくずれる可能性があり、結果として、小さな反応瓶においてはあまり目立たない不均一な加熱が、マイクロ波用スライド上の組織サンプルにおいてはきわめて不均一になり、問題となることがあるからである。
【0027】
図2Aは、第1のプレート202および第2のプレート203を含む非モード式プレート間マイクロ波印加装置210を示している。プレート202および203は、金属または他の導体などの任意の適切な材料であってよく、あるいは半導体であってもよい。プレート203が、幅(a)および長さ(b)を有するものとして示されている。間隔(s)が、プレート202およびプレート203を隔てている。印加装置210のインピーダンスは、少なくとも部分的には、2枚のプレート202および203の寸法(aおよびb)ならびに2枚のプレート間の距離(s)によって決定される。印加装置210のインピーダンスを、加熱のために、所定の負荷204に適切に整合させなければならない。
【0028】
印加装置210が、負荷204を部分的または完全に囲み、プレート202および203の間の距離(s)が、典型的にはλ/6未満であり、ここでλは印加されるマイクロ波の波長である。他の実施形態においては、プレート202、203の間の距離(s)が、λ/6よりも大きくてよく、例えば場合によってはλ/2であってよい。距離(s)は、アーク放電を避けるために充分に大きくなくてはならず、負荷に均一なマイクロ波エネルギーの均一な場を与えるために充分に小さくなければならない。
【0029】
プレート202および203の間の物質、例えば、空気または他の流体、および負荷204の誘電特性、例えば、誘電率も、印加装置210のインピーダンスを左右する。プレート202および203のサイズおよび形態ならびに距離(s)は、印加装置の適切なインピーダンスを生み出す任意の値を有することができる。多くの実施形態においては、プレート202および203の両者が、同じまたは類似の寸法を有するが、例えば図12Cおよび12Dの説明においてさらに詳しく後述されるように、プレート202および203の寸法が異なってもよい用途が存在し得る。さらに、プレート202を、いくつかの実施形態においてはプレート203とは異なる材料で製作することができる。
【0030】
図2Bは、伝送線208によってマイクロ波源206に接続されたプレート202および203を含む非モード式プレート間マイクロ波印加装置220を示している。負荷204を有する負荷ホルダ211が、プレート202および203の間に配置されている。マイクロ波源206がマイクロ波エネルギーを生成するとき、電磁界、すなわち、マイクロ波エネルギー213のかなりの部分が、プレート202、203の間で負荷204を通過する。電磁放射、すなわち、マイクロ波エネルギー213は、プレートから離れるように伝送されることもあるが、シングルモードまたはマルチモードのマイクロ波印加装置のような定在波は、印加装置220を囲むいかなるエンクロージャも共振空洞として働くことがないことを確実にするように注意が払われる場合、強まることがない。
【0031】
非モード式プレート間マイクロ波印加装置220および本発明の他の実施形態において、プレート202、203の間のRF電圧は、プレートのエリアが波長に比べて小さいため、あらゆる場所で実質的に同じである。
【0032】
2枚のプレート202、203が平行であり、誘電体、例えば、空気、流体、または他の誘電体によるすき間で隔てられている場合、プレート間の境界を横切る変位電流の連続性が存在する。同様に、第2の誘電体、例えば、誘電性の負荷ホルダ211がすき間を部分的に満たしている場合、2つの誘電領域の境界を横切る変位電流の連続性が存在する。負荷の内部および外部の電界の相対値を割り出すことができる。負荷の内部の電界またはマイクロ波エネルギー213が、加熱の源である。
【0033】
すき間が2つの誘電体(一方が空気であり、一方が負荷である)で満たされている場合、変位電流の連続性は、ベクトルDが両方の領域において同じ振幅を有することを意味する。すなわち、
D=(ε0ε1’E1)=(ε0ε2’E2)
であり、したがって
E2=(ε1/ε2)E1
である。
【0034】
したがって、負荷における電界は、係数(1/ε2’)だけ空隙における電界よりも小さい。
【0035】
誘電体の境界を横切る変位電流の連続性は、境界の界面に垂直な変位電流の成分が最大であることであり、これが非モード式プレート間マイクロ波加熱印加装置に使用されることを意味する。
【0036】
図2Cは、非共振のエンクロージャ209と、負荷ホルダ211上の負荷204を囲む2枚の金属プレート202および203によって形成された印加装置210とを含むマイクロ波加熱システム200の実施形態を示している。非共振のエンクロージャ209は、さまざまな寸法を有することができ、さまざまな材料から形成することができる。
【0037】
印加装置210が、伝送線208、例えば同軸ケーブルを介してマイクロ波源206(例えば、マイクロ波発生装置)へと接続されている。非共振のエンクロージャ209を、選択された周波数についてのカットオフ条件を満たすように寸法を選択することによって、非共振となるように構成することができる。
【0038】
印加装置210のインピーダンスを、適切な寸法を選択し、あるいはマイクロ波源206からプレート202、203へと到来するマイクロ波エネルギーの電磁特性を変化させる1つまたは複数の電気チューニング装置207を使用することによって、適切に整合させることができる。例えば、チューニング装置207の抵抗/誘導/容量(RLC)特性を調節することによって、印加装置210の全体としてのインピーダンスの整合を調節し、これによって、加熱システムの効率を変化させることが可能である。本明細書において、チューニング装置207は、一般に、能動装置のインピーダンスを伝送線に整合させようとする受動部品または能動部品を含んでいるネットワークである。例えば反射される電力または負荷の温度を監視し、チューニング装置へのフィードバック信号として使用することによって、印加装置を、システムの加熱効率を最適化するように調節することが可能である。
【0039】
本明細書において、用語「インピーダンス」または「インピーダンス整合」が印加装置に関して使用される場合、この用語が、印加装置と負荷との間の或る程度のインピーダンス整合を有する印加装置を広く指すことに留意されたい。インピーダンス整合の程度は、加熱プロセスの最中に変化しても、異なる負荷と動作条件との間で変化してもよい。インピーダンス整合の程度は、ゼロ付近から100%まで変化することが可能である。印加装置が或る程度のインピーダンス整合を有する限りにおいて、特定量のエネルギーが負荷へと移される。インピーダンス整合が、プロセスのいかなる期間においてもインピーダンス条件を最大限に整合またはほぼ最適に整合させなければならないという意味ではないことに留意されたい。印加装置において或る程度のインピーダンス整合を有すれば充分である。負荷へと移される総エネルギーは、効率および印加装置へと加えられる電力の量の関数になる。多くのさまざまな応用(その一部が、本明細書において説明される)を、マイクロ波加熱の性能を損なうことなく、きわめて低い効率で実施することができる。また、電磁界の集中の効果および均一な加熱は、たとえシステムの効率がきわめて低くても不変である。
【0040】
2枚の導電プレートで構成される一般的な非モード式印加装置は、マイクロ波信号がプレート間に供給される場合に、プレート間に電磁界を生成する。電磁界は、プレート間に位置する任意の誘電性の負荷の加熱に大きく貢献する強力な電気成分をプレート間に有する。実際には、この形式の一般的な印加装置は、多少なりともあらゆる方向に電磁界を放射するため、遮蔽用のエンクロージャを有することが望ましいことがある。しかしながら、遮蔽用のエンクロージャが、所与の周波数における共振条件に関係する寸法を有する場合、エンクロージャがカットオフ周波数よりも上で共振する共振空洞として働き、印加装置の機能を妨げることが可能な定在波を有するモードパターンをエンクロージャの内側に生じさせ、印加装置の制御性を低下させる可能性がある。例えば、上述のように、2.45GHzのマイクロ波のための導波路は、典型的には43mm×86mmの寸法を有することができる。したがって、非共振のエンクロージャ209は、少なくとも1つの次元において43mm×86mmよりも小さい寸法を有することができる。例えば、非共振のエンクロージャ209を、40mm×40mmまたはそれよりも小さい寸法にすることで、非共振のエンクロージャ209の内側の定在波の生成を防止することができる。より大きな寸法またはより小さな寸法も、プレート202および203の間の電磁界に影響を及ぼす可能性がある定在波の生成を抑えるように注意が払われる限りにおいて、使用することができる。
【0041】
エンクロージャの寸法を共振条件に関する寸法よりも小さく、すなわち、カットオフ周波数未満に保つことによって、この妨害を効果的に回避することが可能である。非共振のエンクロージャを実現するための別のやり方は、吸収性または減衰性の材料をエンクロージャの中に含むことである。これは、遮蔽用のエンクロージャをカットオフ条件のための寸法よりも大きい寸法を有しつつ使用することができる1つのやり方である。
【0042】
本明細書において使用されるとき、非共振のエンクロージャは、有意なモードパターンまたは定在波を生じることがなく、また加熱のためにマイクロ波エネルギーを集束または他の方法で集めるためにエンクロージャに依存することなく、マイクロ波印加装置を囲み、あるいは少なくとも部分的に囲むエンクロージャを指す。
【0043】
非共振のエンクロージャ209は、導電性の表面を含むことができ、図示の実施形態においては矩形の外形である。例えば、非共振のエンクロージャ209は、アルミニウム、銅、真ちゅう、半導体材料、または材料の組み合わせなどから作られた導電性の空洞を形成することができる。しかしながら、他の材料も使用できることに留意されたい。
【0044】
本発明の種々の実施形態は、定在波によって極大または高温スポットを強め、あるいは他のやり方でマイクロ波エネルギーの集中場を生成すべくマイクロ波エネルギーを反射させ、集束させ、または集めるために、非共振のエンクロージャに依存しない。しかしながら、非共振のエンクロージャ209は、マイクロ波放射が漏れ出したり、あるいは他のかたちで非共振のエンクロージャの外側の品物に影響を及ぼす可能性がある電磁妨害を生成することを抑制または防止するための電磁遮蔽として機能することができる。したがって、非共振のエンクロージャの材料は、開口または穴を有することができ、あるいは電磁遮蔽として機能するメッシュで作られてもよい。
【0045】
また、非共振のエンクロージャ209が、例えば球形、楕円形、立方体、三角形、円柱形など、矩形以外の他の形状の外形を有してもよいことに留意されたい。非共振のエンクロージャ209の形状およびサイズは、相補的に形作られる負荷ホルダ211(例えば、顕微鏡用スライドまたは反応瓶であり、非共振のエンクロージャの内側に取り出し可能に配置されても、恒久的に固定されてもよい)にもとづくことができ、そのような負荷ホルダ211を受け入れるように構成することができる。マイクロ波印加装置200の種々の実施形態は、顕微鏡用スライドおよび組織カセットなどの平坦な負荷の加熱にきわめて適するが、種々の実施形態が、反応瓶またはガラススラブに限られず、流体または他の物体を内部または表面に受け入れることが可能である任意の種類の容器または構造を備えることができることに留意されたい。例えば、反応瓶の代わりに、球、管、毛細管構造、薄膜基板、ガラススラブ、顕微鏡用スライド、マイクロタイタープレート、マイクロ流体装置、マイクロアレイ、微細加工構造などを備えることができる。
【0046】
さらに、一実施形態における非共振のエンクロージャ209のカットオフ周波数は、非共振のエンクロージャ209の高さ(h)、幅(w)、および奥行き(d)の寸法によって決定される。したがって、多くの実施形態における寸法は、特定のマイクロ波、例えば、2.45GHzのマイクロ波のモードの伝播を防止するために充分に小さくなるように選択される。
【0047】
種々の実施形態において、印加装置210は、負荷204を実質的に囲むように構成される。したがって、動作において、多くの場所において負荷204と結合および相互作用する、きわめて広帯域の周波数および一様な電界が得られる。印加装置が、印加装置および負荷のインピーダンスが所望の加熱効果をもたらすために充分に整合している限りにおいて任意の寸法を有してよいことに留意されたい。
【0048】
種々の実施形態において、印加装置210は、必要とされる出力を維持するように寸法付けられた金属プレートから形成される。出力は、シングルモードまたはマルチモードの共振空洞マイクロ波印加装置が必要とする出力と比べ、きわめて低くてよい。例えば、出力は、プレートのサイズおよび構成、加熱対象の負荷、ならびにマイクロ波源の特性に応じて、1ミリワット〜100ミリワット、100ミリワット〜1ワット、1ワット〜10ワット、または10ワット〜100ワット、あるいはそれ以上であってよい。
【0049】
いくつかの実施形態においては、印加装置210を、銅、金、真ちゅう、アルミニウム、ならびにポリマー、半導体材料、または上述の材料の組み合わせなどの非導電性材料の芯を金属でコートした構造などの、厚さ1ミリメートル(1mm)のプレート202、203から形成することができる。いくつかの実施形態においては、プレート202、203が、例えば100ワット〜500ワットまたはそれ以上の電力によって生成される電界を維持するために充分な厚さであってよい。印加装置210を、負荷の周囲に配置されたプリント回路板から形成してもよい。プリント回路板は、負荷の周囲に形成することが可能である可撓な種類のプリント回路板であってよい。印加装置を、基板上にステレオリソグラフィによって印刷し、負荷の周囲に配置してもよい。
【0050】
動作時、負荷204は、印加装置210の内側または部分的に内側に配置または固定される。一様な電界が、印加装置の2枚のプレートの間に確立され、したがって負荷が電磁界にきわめて均一に曝され、負荷をきわめて一様に加熱する。多くの典型的な実施形態においては、印加装置210から伝播した電界が、導電性のエンクロージャ、すなわち、非共振のエンクロージャ209の内側にも収容される。しかしながら、種々の実施形態において、きわめて弱い電力を使用できるため、遮蔽の程度はきわめて低くてよく、実際に遮蔽がまったく不要となることがある。
【0051】
種々の実施形態が、複数のマイクロ波源206および印加装置210を使用して動作することが可能であり、それらが種々の実施形態においてシングルエンド印加装置または平衡印加装置であることに留意されたい。印加装置210を、対応する低Q値〜高Q値を有する広帯域〜狭帯域の特性を有するように製造することが可能である。したがって、印加装置210は、幅広い範囲の周波数にわたって負荷に充分に整合したインピーダンスを有することが可能である。周波数帯特性を、用途に応じて選択することが可能である。多くの場合、印加装置が特定の周波数に高くは整合しない広帯域の特性が望まれる。したがって、マイクロ波加熱システム200の構成は、加熱対象の負荷204にあまり依存しない。
【0052】
種々の実施形態において、印加装置の種類は、図2Cに示されるような平衡印加装置、または図2Dに示されるように一端を接地に接続することができるシングルエンド閉ループ印加装置であってよい。平衡印加装置は、平衡不平衡変成器(バラン)を使用して対称に供給を行なうことができる。本明細書において使用されるとき、バランは、シングルエンド伝送線を、正確に同じ特性および接地に対する対称性を有する対称な1対の伝送線へと変換する装置を指す。本明細書において使用されるとき、シングルエンド印加装置は、1本の伝送線によって通常は一端へと供給が行なわれる印加装置を指す。本明細書において使用されるとき、平衡印加装置は、接地に対して対称の2本の伝送線によって供給が行なわれる印加装置を指す。たとえ特定の実施形態において1種類の印加装置だけしか説明されていなくても、本明細書に記載のすべての実施形態において、本明細書に記載のすべての種類の印加装置を使用することが可能であることに留意されたい。
【0053】
印加装置の特性および印加装置によって生成される電界を、印加装置のプレートのエリア、プレートの寸法(a)および(b)、印加装置のプレート間の間隔(s)、ならびにプレートの物理的な形態などといった印加装置のパラメータの特定の値を組み合わせることによって、負荷を囲むように調節またはカスタマイズすることが可能である。これらのパラメータを変化させることによって、電界を、例えば負荷へと一様に分布させることが可能である。電界の強度および分布は、印加装置のプレート間に導入される任意の誘電体によっても影響される。負荷ホルダならびに他の保持用の構造および部品が、印加装置における電界の分布に影響を及ぼす。しかしながら、いずれの非共振のエンクロージャ209などのエンクロージャも、シングルモードおよびマルチモードのマイクロ波印加装置において生じるような定在波の強まりを生じることがないように寸法付け、または他のやり方で構成しなければならない。
【0054】
再び図2Aを参照すると、プレートの寸法(a)および(b)、印加装置のプレート間の間隔(s)、ならびに印加装置210の物理的な形態が、印加装置210のインピーダンスおよび中心周波数を決定する。したがって、マイクロ波加熱システム200の用途または使用に応じて、プレートの寸法(a)および(b)、印加装置のプレート間の間隔(s)、ならびにプレートの物理的な形態を、例えば所望の寸法、必要な寸法、または最適な寸法が得られるように、相応に調節することができる。プレートの形状は、楕円形、円形、正方形、矩形、三角形、八面体、多面体、あるいは任意の他の単曲面または複曲面など、任意の幾何学的な形状を有することが可能である。
【0055】
種々の実施形態において、印加装置210は、負荷204の一部または全体を覆うシングルエンド印加装置または平衡印加装置である。しかしながら、負荷204が、いくつかの実施形態においては印加装置210の端部を過ぎて延びてもよいことに留意されたい。
【0056】
図2Eは、図2Cに示した平衡実施形態と実質的に同様であってよいが、接地に接続された中央のプレート201が追加されている非モード式プレート間マイクロ波印加装置200の実施形態を示している。追加された中央のプレートが、平衡非モード式プレート間マイクロ波印加装置が形成され、負荷容量が2倍にされるように2つの負荷204および2つの負荷ホルダ211をプレート間に配置することを可能にしている。3枚プレートまたは「n」枚プレートの非モード式マイクロ波印加装置の他の実施形態を、マイクロ波源を1枚のプレートへと接続し、接地を隣のプレートへと接続し、この構造を「n」回繰り返すことによって、平坦なプレート、波形のプレート、円筒形のプレート、または任意の種類のプレートを使用して構成することが可能である。
【0057】
図3Aは、非共振のエンクロージャを有する非モード式プレート間マイクロ波印加装置300を示しており、非共振のエンクロージャが、マイクロ波の減衰用の内面310を有している。加えられる電力に応じて、マイクロ波の減衰用の内面310は、いつかの実施形態において、モードパターン、定在波、または印加装置300の所望の動作を妨げかねない他の妨害信号の高まりを防止するために有益となり得る。低電力の実施形態においては、とくにマイクロ波を減衰させる表面の必要性は、低くなることがある。マイクロ波印加装置300は、平衡構成でチューニング装置207ならびにプレート302および303に接続されたマイクロ波源206を有している。負荷304が、プレート302および303の間の負荷ホルダ311に配置されている。エンクロージャ309は、モード性のマイクロ波エネルギーの強まりを防止する寸法を有することができ、すなわち所望のカットオフ周波数の波長よりも小さい寸法を有することができる。しかしながら、エンクロージャ309について、他の寸法も実質的な非共振を保ちつつ使用することができる。所望のマイクロ波の波長に対して実質的に非反射性である表面310を含むことができる。表面310を、マイクロ波を減衰させる材料で形成することができ、またはマイクロ波を減衰させるコーティングでコートすることができる。マイクロ波を減衰させる材料の例として、導電性の発泡体、ステンレス鋼繊維などの細い導電繊維を含むマイクロ波吸収塗料、またはカーボンもしくはグラファイト混合塗料、あるいは他のコーティング材料など、多数の種類の吸収または散乱材料を挙げることができる。
【0058】
図3Bは、非共振のエンクロージャを生成するためにマイクロ波を減衰させる表面314をエンクロージャ309に含めることができることを示している。マイクロ波を減衰させる表面314は、マイクロ波を捕捉して減衰させるように設計された円錐、バッフル、ピラミッド、または他の突き出した物理的構造などの無響室に使用される要素を含むことができる。
【0059】
図2A〜2Dならびに図3A〜3Bに示したような非モード式プレート間マイクロ波印加装置の特定の利点を示すために、定在波またはモードパターンの生成に依存する共振空洞を含む従来からのマルチモードのマイクロ波印加装置が、一般に複数の設備を単一の器具に一体化させるにはかさばりすぎであることを考慮すべきである。そのような種類の印加装置は、図1A〜図1Cに関して上述されている。さらに、そのような種類の印加装置は、顕微鏡用スライド上の複数の平坦な試料を取り扱うようにはうまく構成されていない。しかしながら、本発明の種々の実施形態において説明されるような非モード式プレート間マイクロ波印加装置は、単一の器具における複数の設備(インスタンシエーション)にきわめてよく適する(とりわけ、負荷がマイクロ波スライドなどの小さくて平坦な負荷である場合)ことができ、さらには洗浄液もしくは他の流体または試薬を顕微鏡用スライドへと運ぶことができる配管のインライン加熱にきわめてよく適することができる。
【0060】
図4は、非モード式プレート間マイクロ波印加装置の種々の実施形態をどのように器具内部での複数の使用に合わせて構成できるのかについての一例として役立つ自動スライド染色システム400の図である。非モード式プレート間マイクロ波印加装置の種々の実施形態は、コンパクトにすることが可能であり、共振空洞を有するマイクロ波の印加に比べて比較的少ない電力しか使用しないため、そのような実施形態は、自動スライド染色システム400などの器具またはシステムにおいて使用するためにきわめて有益となり得る。さらに、自動スライド染色システム400は、複数のサンプルを並列に処理するように構成されているため、そのような処理が、染色プロセスの種々の地点での制御された加熱を必要とする。さらに、本明細書に記載のプレート間マイクロ波印加装置は、複数の個別に制御可能なヒータが必要とされる場所の加熱にきわめてよく適するという利点を有している。さらに、非モード式プレート間マイクロ波印加装置は、顕微鏡用スライド上の細胞または組織、組織カセット、あるいは管またはトレイなどのプレート間に収まる任意の負荷など、平坦な負荷を加熱するように構成することができる。
【0061】
自動スライド染色システム400は、組み込まれたPCおよび表示画面を含むことができるユーザインターフェイス410を含んでいる。自動スライド染色システムは、カバースリッパ402ならびに染色すべき顕微鏡用スライドを有するスライドラックをスライドラックポート405から種々の処理設備へと運ぶスライドラック搬送ロボット412などのスライドハンドリング装置を含むことができる。処理設備として、他の処理工程の前、最中、または後にスライドラックのスライドが保持される待機ステーション403、組織サンプルがスライドへの付着を確実にすべく焼成される焼成ステーション404、パラフィンがスライド上のサンプルから取り除かれる脱蝋ステーション406、熱によって引き起こされるエピトープの回復が実施されるターゲット回復ステーション407、免疫組織化学(IHC)染色モジュール408、およびin−situハイブリッド形成(ISH)染色モジュール409を挙げることができる。染色システム400は、試薬混合/プローブ洗浄ステーション416、試薬ステーション418、ならびに染色モジュール412(IHC)および414(ISH)の間を移動するロボットプローブ414を含むことができる。バルク流体ボトル424は、洗浄および緩衝のための流体を含むことができ、バルク流体ボトル424は、ターゲット回復ステーション407、脱蝋ステーション406、IHC染色モジュール408、およびISH染色モジュール409に流体を供給するために、バルブ422およびポンプ420に接続することができる。ステーションおよびモジュールからの使用済みの流体を、流体管理モジュール426を介して廃棄物容器428に接続することができる。制御モジュール430が、マイクロ波源を必要とするモジュールへとつながるマイクロ波源206を備えることができる。
【0062】
図5Aは、個々の浸漬タンク516を有する浸漬タンクモジュール500の直交図である。スライドラック515を、浸漬タンク516のうちの1つに挿入することができる。このような用途に本発明の実施形態(すなわち、非モード式プレート間マイクロ波印加装置)を使用するきわめて明白な利点は、各々が別個独立した非モード式プレート間マイクロ波印加装置を有している複数の浸漬タンク516を近接させて配置することが可能である点にある。共振空洞を必要とするシングルモードまたはマルチモードのマイクロ波印加装置を使用したのでは、密に接続されるが別個独立であるマイクロ波浸漬タンク印加装置を実現することが、きわめて困難であると考えられる。
【0063】
図5Bは、非モード式プレート間マイクロ波印加装置を有する浸漬タンク516の端面図を示している。プレート502および503が、伝送線508を介してマイクロ波源206へと接続されている。負荷504は、液体505において加熱によってパラフィンが除去される組織サンプルであってよい。この実施形態において、プレート502、503を、ライナまたは容器513に収容されたパラフィン除去液505に浸漬することができる。容器513は、共振空洞として働くことがない任意の材料で製作することができる。また、個々の用途が熱の保持または放散のどちらを必要とするかに応じて、熱を良好に案内または伝達する材料、あるいは良好に絶縁する材料で製作することができる。いくつかの用途においては、プレート502、503および伝送線508を、液体505に直接曝されることがないようにコートすることが好都合なことがある。そのようなコーティングを、当然ながら、マイクロ波に関して実質的に透過性であるように設計することができる。1つまたは複数のスライド/負荷ホルダ511を保持するスライドラック515を、浸漬タンク516へと導入することができ、流体が、浸漬タンク516の底部のポート518を通って浸漬タンクに出入りすることができる。非共振のエンクロージャ509が、液体の容器513を囲んでおり、隣のタンク516およびそれらの中身を、プレート502および503から発せられるマイクロ波放射から遮蔽するように機能することができる。非共振のエンクロージャ509を、定在波の発達を防止するために充分小さくなるように寸法付けることができる。あるいは、非共振のエンクロージャ509を、定在波を減衰させ、または定在波の高まりを防止する材料もしくはコーティングを使用して、非共振にすることができる。プレート502、503が、両方とも液体503および容器510とともに配置されるものとして図示されているが、プレート502、503が容器510の外にある他の実施形態を構成することもできる。
【0064】
いくつかの実施形態においては、顕微鏡用スライド511上の生体サンプル504の前処理を、非モード式プレート間マイクロ波印加装置を形成するプレート502および503の間にサンプル504を配置することによって実施することができる。マイクロ波源206が、マイクロ波印加装置のプレート502および503へと接続され、電磁界がプレート間に生成されることで、負荷、すなわちサンプル504が加熱される。種々の前処理工程が、加熱を必要とする。例えば、流体505を蝋の融点を上回る温度へと加熱することによる脱蝋を実施することができる。流体505は、ターゲット回復バッファなどの熱によるターゲットの回復に適した流体を備えることができる。プレート502および503を備える非モード式プレート間マイクロ波印加装置が、例えば摂氏97度など、熱によるターゲットの回復に適した温度まで流体505を加熱すべく電磁界を加えることができる。いくつかの実施形態においては、脱蝋およびターゲットの回復を同時に実施することができる。
【0065】
in−situハイブリッド形成プロセスについては、前処理工程が、摂氏80〜100度または任意の所望の温度で実施することができる変性工程を含むことができる。
【0066】
同じまたは類似の方法を、図6に示されて後述される実施形態を使用して実施することができる。
【0067】
図6は、図5Aに示して上述した実施形態に類似した非モード式プレート間マイクロ波印加装置を有する浸漬タンク616を示している。いくつかの用途においては、プレート602、603を、液体605に直接触れることがなく、いかなる特別なコーティングも不要であるように配置することが、有益となり得る。図6の実施形態においては、非モード式プレート間マイクロ波印加装置が、ライナまたは容器613の外側に配置されたプレート602、603を備えている。プレート602、603は、伝送線608を介してマイクロ波源206へと接続されている。組織サンプルまたは負荷604を含むスライド611を有しているスライドラック615を、非モード式マイクロ波印加装置のプレート602、603の内側に配置し、容器613の壁および液体605を通して直接、迅速、かつ正確に加熱することができる。非共振のエンクロージャ609が、電磁気の遮蔽として機能するが、モードパターンの形成を防止するような寸法付けや、マイクロ波の減衰によって、共振空洞としては機能しない。図7Aおよび図7Bは、乾燥または焼成モジュール700において使用される非モード式プレート間マイクロ波印加装置を示している。スライド711ならびに組織サンプルまたは負荷704を有するスライドラック715を、伝送線708を介してマイクロ波源206に接続されたプレート702、703の間に配置することができる。非共振のエンクロージャ709が、プレートおよび負荷の周囲の電磁遮蔽として機能する。焼成モジュール700がスライド711の焼成に従来からの印加装置からの強制の高温空気を使用するならば、より大きな気流および対流を可能にするために、エンクロージャ719などのかなり大型のエンクロージャが使用されることがある。しかしながら、非モード式プレート間マイクロ波印加装置は、気流およびそれに伴う大きなサイズのエンクロージャに依存することなく、焼成を実施することが可能である。これは、非モード式プレート間マイクロ波印加装置のいくつかの実施形態を、それらを比較的小さく製造することが可能であるがゆえに、後付けまたは従来からの印加装置の置き換えに利用することができるという考え方も示している。
【0068】
図8Aは、上述の図4および関連の説明に示したとおりの免疫組織化学染色モジュール408またはin−situハイブリッド形成染色モジュール409のいずれかであってよい毛細管染色モジュール800を示している。上述した他の例示的なモジュールと同様に、スライドラック815を、処理のために毛細管染色モジュール800へと導入することができる。
【0069】
いくつかの実施形態においては、試薬826をサンプル824へと施した後、プレート822およびプレート823によってマイクロ波源206に接続された非モード式プレート間マイクロ波印加装置が形成されるように、スライドラック815および蓋807の一方または両方の回転または任意の相対移動によってスライドラック815と蓋807とを一体に合わせることができる。次いで、非モード式プレート間マイクロ波印加装置を、サンプルの培養に使用することができる。いくつかの実施形態においては、サンプルの培養を、所望の温度で或る時間帯にわたって抗体試薬、分子プローブ、検出試薬、視覚化試薬、または任意の所望の試薬とともに実施することが望ましいことがある。例えば、抗体の培養を、免疫組織化学反応を高速化するために、摂氏37度などの室温を上回る温度で実施することができる。他の実施形態においては、in−situハイブリッド形成のための分子プローブによる培養を、20〜45℃の間の任意の温度で実施することができる。
【0070】
いくつかのきわめて高速のプロトコルにおいては、スライドラック815によって保持されたスライドまたは負荷ホルダ814へとディスペンスされた洗浄バッファ826を加熱することが好都合である。そのようにすることによって、負荷ホルダ814および負荷824の温度を、冷たい洗浄剤の適用によって冷却されるよりもむしろ、所望の培養温度により近い温度に維持することが可能である。洗浄バッファ826の加熱は、流体826で満たされたときに非モード式プレート間マイクロ波印加装置810の負荷として機能する管804に洗浄バッファ826を通すことによって達成できる。
【0071】
図8Bは、プレート802および803を備える非モード式プレート間マイクロ波印加装置810を、負荷804(例えば、プレート802および803の間を通って曲げられた、流体で満たされた管)とともに示している。
【0072】
図8Cは、顕微鏡用スライドなどの負荷ホルダ814を保持するスライドラック815を枢動させることで、カバーまたは蓋807の付近にカバーまたは蓋807に実質的に平行に位置させ、近付けられたときに蓋807とスライド814との間に毛細管のすき間を形成できるように構成されている染色モジュール800を示している。バッファなどの流体826を、ディスペンスノズル825から負荷ホルダ814および負荷824(例えば、染色または他の方法で処理されるべき組織サンプル)へとディスペンスすることができる。マイクロ波源206から伝送線808を介してマイクロ波エネルギーが加えられたとき、負荷804(例えば、流体で満たされた管)が、負荷804を加熱するプレート802および803を通過する非モード式プレート間マイクロ波印加装置810を使用して、ディスペンスされる流体を加熱することができる。液体804は、気泡トラップおよびディスペンスシステム817を通ってノズル825まで進む。
【0073】
試薬を、開口825を通してスライド814へとディスペンスすることができる。例えば、抗体または分子プローブを負荷824(すなわち、サンプル)に触れるようにディスペンスすることができる。
【0074】
さらに図8Cには、蓋807に隣接して位置するプレート822および負荷ホルダ814に隣接して位置する第2のプレート823が示されている。負荷ホルダ(例えば、スライド814)および蓋807が毛細管のすき間を形成するように近付けられるとき、プレート822および823は、伝送線808を介してマイクロ波源206へと接続される。
【0075】
インラインでの流体加熱と顕微鏡用スライドの培養のための加熱はともに、非モード式プレート間マイクロ波印加装置の多様な応用の可能性を例示する典型的な実施形態である。
【0076】
図9Aおよび図9Bは、ターゲット回復モジュール900を、モジュール900へと挿入することができるスライドラック915とともに示している。負荷または組織サンプル904を有する負荷ホルダまたはスライド911をプレート902、903の間に配置することができ、これらのプレートは、伝送線908を介してマイクロ波源206へとつながっており、非共振のエンクロージャ909によって囲まれている。この実施形態において、プレート902、903を有する個々の非モード式プレート間マイクロ波印加装置が、別々の浸漬タンク913を囲むことができ、各浸漬タンクの流体905は、同じ種類の流体であっても、異なる種類の流体であってもよく、流体の加熱温度を各サンプルについて別個独立に制御することができる。各スライドについて異なるターゲット回復溶液および異なる加熱条件が好都合となり得る免疫組織化学の用途においては、このような実施形態が適切となり得る。
【0077】
図10は、内側円筒プレート1003を含んでいるシリンダの周囲に巻き付けられた管1011の長さと連通するピペット端1017を有するロボットプローブ1000を示している。外側円筒プレート1002が、巻き付けられた管1011を少なくとも部分的に囲み、負荷1004、すなわち管1011の巻き付けられた部分を加熱するために使用することができる非モード式プレート間マイクロ波印加装置を形成している。非モード式プレート間マイクロ波印加装置のプレート1002および1003が、伝送線1008を介してマイクロ波源206へと接続されるとともに、非共振のエンクロージャ1009によって囲まれている。このような実施形態は、どのようにして非モード式プレート間マイクロ波印加装置が流体の負荷をインラインの様相で加熱でき、したがってコンパクトなロボットの流体工学的設計を維持しつつロボットプローブによってディスペンスされる流体の加熱を可能にできるのかを示している。
【0078】
図11Aは、図2に使用されている非モード式プレート間マイクロ波印加装置の原理と同じ原理を使用する円筒形の非モード式プレート間マイクロ波印加装置1100を示しており、円筒形の印加装置1100が、平坦なプレートの印加装置210に相当する。図2の印加装置のプレート202に相当する円筒形の印加装置のプレートが、図11の実施形態においては外側の円筒1106として形成され、図2の印加装置のプレート203に相当する印加装置のプレートが、図11の実施形態においては内側の円筒1102として形成される。処理対象の負荷1104が、外側の円筒1106と内側の円筒1102との間に配置される。外側の円筒1106および内側の円筒1102が協働し、マイクロ波加熱システム1100の非モード式プレート間印加装置を形成する。円筒1102および1106が、伝送線1105を介してマイクロ波源206へと接続され、チューニング装置207を含むことができる。非モード式プレート間マイクロ波印加装置は、図11Aに示されているような平衡構成であっても、または図11Bに示されているようなシングルエンド構成であってもよい。円筒形のプレート1102、1106を、導電材料または半導体材料で製作することが可能である。プレート1102および1106の円筒形の形態は、考えられる幾何学的形態の一実施例にすぎない。プレート1102および1106は、負荷を印加装置のプレート間に少なくとも部分的に配置できる限りにおいて、任意の形態を有することができる。さらに、システム1100は、加えられた周波数のマイクロ波のシステムの外部への伝播を防止するための遮蔽として機能することができ、エンクロージャ1107の内側に適切な境界条件を生成することができる非共振のエンクロージャ1109を含むことができる。加熱システムの特性は、図11Cに定められるとおりの寸法d、D、およびLによって支配される。
【0079】
不平衡の供給源から供給を受ける平衡印加装置を、平衡不平衡変成器(バラン)を介して接続することができる。平衡印加装置は、供給点に対して対称に構成され、接地に対して対称を保つことで、電流の不平衡および伝送供給線における望ましくない放射を回避する。これが、すべてのエネルギーが印加装置からより効率的に放射されることを確実にする。バラン1111は、物理的に、マイクロ波源206と印加装置1100の始まりとの間の任意の場所に配置することが可能である。平衡印加装置の各部およびプレート1102、1106は、本明細書に記載のシングルエンド印加装置の各部と同じ設計、寸法、および特徴を有することが可能である。
【0080】
図12Aは、支持構造1210を含む非モード式プレート間マイクロ波印加装置を示している。支持構造1210は、システム1200内に負荷ホルダ1201および負荷1212の位置を支持および維持する。支持構造1210を、例えばテフロンなどのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)材料など、マイクロ波に関して透過性または半透過性である任意の適切な材料で形成することができる。また、マイクロ波加熱システム1200を、本明細書に記載のとおりの周波数カットオフ条件が実現されるようにエンクロージャ1209の寸法を設定することによって非共振にすることが可能である。他の実施形態の説明と同様に、プレート1202、1203は、コネクタ1206、1207を介してマイクロ波源206への伝送線1204、1205へと接続される。非モード式プレート間マイクロ波印加装置の種々の実施形態において、プレートについてさまざまな形状または形態を使用することができる。プレートの形状のいくつかの実施例が、図12B〜12Fに示されている。図12Bは、平坦なタブを備えた管クランプ型のプレートを示している。図12Cは、くさびを形成することができる斜めプレートを示している。図12Dは、リングを形成するプレートを示している。図12Eは、プレートが複数の曲げまたは角度を有してもよいことを示しており、図12Fも同様である。非モード式プレート間マイクロ波印加装置の種々の実施形態を、プレート間に負荷を配置してマイクロ波エネルギーを負荷へと所望のとおりに加えることができる任意の形状へと形成することができる。図2に関して上述したように、プレート間の距離は、図12B、図12C、図12D、および図12Fに示されるように、必ずしも均一である必要はない。
【0081】
図12G〜図12Iは、プレートがまた不連続または開口を含んでもよいという原理を示している。例えば、図12Gは、プレート1203が矩形のワイヤメッシュを備えることができることを示している。図12Hは、穴または開口の規則的なパターンを含んでいるプレート1203を示している。図12Iは、不規則なパターンまたは開口1222(単一の開口または複数の開口であってよい)を含んでいるプレート1203を示している。本明細書に記載の他の任意の実施形態は、同様のさまざまなプレート形状および開口を含むことができる。
【0082】
図13は、非モード式プレート間マイクロ波印加装置1300の別の実施形態を示している。図13は、マイクロ波印加装置1300の垂直断面を示している。マイクロ波印加装置が、円筒形の非共振のエンクロージャ1321を有している。処理対象の負荷1301が、負荷ホルダ1302に配置されている。負荷ホルダ1302は、好ましくはPTFEなどのマイクロ波に関して透過性の材料で作られる支持構造1305および1306によって適所に保持されている。支持構造は、印加装置のプレート1303および1304も適所に保持する。マイクロ波源206が、伝送線1319、1320、1313、および1314によって印加装置へと接続されている。伝送線は、コネクタ1311および1312を介してエンクロージャを通して案内されている。チューニング装置1322が、伝送線1317、1318、1316、1323ならびにコネクタ1309および1310によって印加装置に取り付けられている。マイクロ波を通さない遮蔽1307および1308を、伝送線およびチューニング装置から周囲へとマイクロ波が放射されることがないように含むことができる。マイクロ波加熱装置1300に、非共振のエンクロージャの両端に取り付けられてエンクロージャの内側に圧力を漏らさない区画を形成する金属製の蓋を備えることが可能である。
【0083】
図14Aは、非モード式プレート間マイクロ波印加装置のプレート1406および1407の間に配置されているフローリアクタ1410を含む非モード式プレート間マイクロ波印加装置1400の断面図を示している。フローリアクタ1410は、任意の適切な材料で製作可能である。例えば、フローリアクタ1410がガラスまたはPTFEなどのマイクロ波に関して透過性である材料で作られる場合、負荷がマイクロ波エネルギーによって直接加熱される。フローリアクタ1410、すなわち負荷ホルダが、マイクロ波を吸収する材料で作られる場合、負荷ホルダ、例えばフローリアクタ1410を加熱することによって負荷を間接的に加熱することもできる。フローリアクタ1410は、印加装置のプレート1406および1407も固定された位置に保持する支持構造1408および1409によって保持される。支持構造1408、1409およびフローリアクタ1410が、非共振のエンクロージャ1405によって囲まれている。
【0084】
図14Bは、非共振性プレート間マイクロ波印加装置1400の上面図を示している。図14Aにて説明および図示した特定の構成要素は、上面図からの詳細を示すために、図14Bには示されていない。例えば、上側のプレート1406、マイクロ波源206、コネクタ1403、1403、および伝送線1402は、図14Aにて図示および記載されており、図14Bには再掲されていない。非共振のエンクロージャ1405が、導電性材料で製作され、図14Bに示されるように両端において金属製の蓋1420および1421によって閉じられている。フローリアクタが、各側の蓋を通して延び、各端部の端部ピース1413および1414で終端されている。端部ピースは、フローリアクタの各側に管を接続するための管接続部1422、1423を有している。管は、フローリアクタに連通する。フローリアクタの一端にポンプを取り付け、他端に収集容器を取り付けることによって、反応混合物(負荷)を、リアクタを通って送り、マイクロ波に曝すことが可能である。反応混合物の温度を、フローリアクタへと挿入された温度測定装置によって測定すること、またはフローリアクタの表面の温度を測定する赤外線パイロメータ1418を使用して測定することが可能である。フローリアクタ1410を、2MPa〜500MPaまたはそれ以上のきわめて高い圧力に耐えるように設計することが可能である。システムにおける流れは、連続的でも間欠的でもよい。
【0085】
別の実施形態においては、別の例として、図15A〜図15Dに示されるようなマイクロ波加熱システム1500を用意することができる。図15Aは、非共振のエンクロージャ1501の中に5つの毛細管を備えているマイクロ波加熱システムを示している。図15Bは、蓋1505を取り除いたマイクロ波加熱システム1500の図を示している。図15Cは、フローリアクタとして毛細管1504を備えているマイクロ波加熱システムを示している。毛細管が、マイクロ波に関して透過性な材料で作られた支持構造1507、1511によって適所に保持されている。印加装置のプレート1509、1510も、支持構造1507および1511によって適所に保持されている。マイクロ波が、マイクロ波源206に接続されたコネクタ1502、1503および伝送線1506、1508を介して印加装置へと供給される。構造全体が、非共振のエンクロージャ1501によって囲まれている。エンクロージャ1501は、マイクロ波がエンクロージャの外側に伝播することがないよう、各々の端部において金属製の蓋1505、1512によって閉じられている。
【0086】
別の実施形態においては、別の例として、図16に示されているとおりのマイクロ波加熱システム1600を用意することができる。図16は、印加装置の2対のプレート1601、1603および1602、1604を備えるマイクロ波加熱システムを示している。2つのシステムに、2つの別々のマイクロ波源206および1616から供給が行なわれる。処理対象の負荷1610を、非共振のエンクロージャ1615の中に恒久的または交換可能に取り付けられた反応容器1609に収容することが可能である。反応容器は、反応混合物などの流動性の負荷を処理するためのフローリアクタであってよい。印加装置の2対のプレートは、お互いに対して90度回転して取り付けられている。回転を任意の角度へと行なうことができ、プレートの幾何学的形態が図16に示した形態以外の形態であってよいことに留意されたい。プレートに、伝送線1612、1613および1611、1614ならびにコネクタ1606、1608および1605、1607を介して供給が行なわれる。非共振のエンクロージャは、各端部において金属製の蓋で閉じられる(図6を参照)。フローリアクタの場合、蓋は、フローリアクタの管を蓋の外側へと延ばすための開口を有する。
【0087】
別の実施形態においては、他の例として、図17に示されているとおりのマイクロ波加熱システム1700を用意することができる。図17は、開閉可能な非共振のエンクロージャ1705および1706を備えるマイクロ波加熱システムを示している。2つの半分が、ヒンジ1712によって一体に保持されている。開放構造は、システムへの負荷および負荷ホルダの出し入れを容易かつ便利にする。負荷1702を、処理される物体がアンプル1701または類似の構造へと挿入される1回限り使用の消耗品の負荷ホルダに収容することが可能である。システム1700を、加熱の対象が長いフローリアクタなどの長尺の構造であり、システム1700を開かなければリアクタの取り付けが不可能または不便である場合にも、使用することが可能である。反応容器1701が、保持構造1707によって適所に保持され、印加装置の下側プレート1711も、保持構造1707によって適所に保持される。印加装置の上側プレート1710が、構造1708、1709によって適所に保持される。伝送線1714は、非共振のエンクロージャ1705の上側部分を開くことができるようにするために、可撓な部品1715として製作される。マイクロ波が、マイクロ波源206から伝送線1714、1713ならびにコネクタ1703および1704を介して印加装置のプレートへと供給される。非共振のエンクロージャは、閉鎖位置においてエンクロージャの2つの半分1705および1706によって形成され、各端部において金属製の蓋で閉じられる(図6を参照)。フローセルの場合、蓋は、管を蓋の外側へと延ばすための開口を有する。
【0088】
別の実施形態においては、別の例として、図18に示されているとおりのマイクロ波加熱システム1800を用意することができる。図18は、内側円筒1801および外側円筒1809を有する円筒形の印加装置を備えるマイクロ波加熱システムを示している。処理対象の負荷が、外側円筒部材1808ならびにこの円筒部材1808の各端部に取り付けられた蓋1806および1807で構成される反応容器に収容される。円筒部材1808は、ガラスまたはPTFEなどのマイクロ波に関して透過性の材料で作られる。蓋1806および1807を、任意の適切な材料で製作することが可能である。外側の円筒形の印加装置部分1809は、円筒部材1808とは別の構成部品でも、円筒部材1808の一体の一部分でもよい。外側円筒1809を、典型的には、円筒部分1808の表面へと金属を付着させることによって円筒部分1808と一体にすることが可能である。内側円筒1801を、表面の保護層1803を有する金属材料で製作することが可能である。保護層は、マイクロ波に関して透過性であり、加えられる処理プロセスに使用される溶媒に化学的に耐える材料で作られる。反応容器に反応混合物(負荷)1802を供給するために、両方の蓋1806および1807は、一方においては入口として使用され、他方においては出口として使用される開口1804および1805を有している。反応混合物を、反応容器を通って送ることが可能である。両方の開口1804および1805が閉じられるとき、システム1800を、反応容器内の静止の負荷1812についてバッチ式のリアクタとして使用することが可能である。反応容器は、電磁界を内側に閉じ込めるための適切な境界条件を生成する非共振のエンクロージャ1813によって囲まれる。マイクロ波が、伝送線1810および1811ならびにコネクタ1802を介してマイクロ波源206から円筒形の印加装置へと供給される。チューニング装置207を、マイクロ波源206と外側円筒1809との間でシステム1800へと取り付けることが可能である。エンクロージャと反応容器との間の空間を、反応容器の内部の過圧と釣り合うように加圧することが可能である。反応混合物の内部の圧力を、化学反応そのものから生成でき、または内圧を生成すべく流通系にリストリクタを加えることのいずれかによって生成することが可能である。
【0089】
別の実施形態においては、別の例として、図19に示されているとおりのマイクロ波加熱システム1900を用意することができる。図19は、内側円筒1901および外側円筒1909を有する円筒形の印加装置を備えるマイクロ波加熱システムを示している。処理対象の負荷が、外側円筒部材1908ならびにこの円筒部材1908の各々の端部に取り付けられた蓋1906および1907で構成される区画に配置される反応容器1911に収容される。円筒部材1908は、ガラスまたはPTFEなどのマイクロ波に関して透過性の材料で作られる。蓋1906および1907を、任意の適切な材料で製作することが可能である。反応容器1911は、マイクロ波に関して透過性の材料で作られる。外側の円筒形の印加装置部分1909は、円筒部材1908とは別の構成部品でも、円筒部材1908の一体の一部分のいずれでもよい。外側円筒1909を、典型的には、円筒部分1908の表面へと金属を付着させることによって円筒部分1908と一体にすることが可能である。内側円筒1901を、表面の保護層1903を有する金属材料で製作することが可能である。保護層は、マイクロ波に関して透過性であり、加えられる処理プロセスに使用される溶媒に化学的に耐える材料で作られる。反応混合物(負荷)1912を有する反応容器1911が、上側の蓋1907または下側の蓋1906のいずれかを取り外すことによって外側円筒1908の内側に配置される。反応容器1911は、外側円筒1908への挿入に先立って反応混合物1912で満たされる。蓋1906および1907の両方が、冷却媒体または不活性ガスの入口および出口として使用され、または非共振のエンクロージャ1913の内部環境を加圧するために使用される開口1904および1905を有する。反応容器は、電磁界を内側に閉じ込めるための適切な境界条件を生成する非共振のエンクロージャ1913によって囲まれる。マイクロ波が、伝送線1910を介してマイクロ波源206から印加装置の外側円筒部材へと供給される。チューニング装置207を、マイクロ波源206と外側円筒1909との間または内側円筒と伝送線1914による接地への接続との間で、システム1900へと取り付けることが可能である。エンクロージャと反応容器との間の空間を、反応容器の内部の過圧と釣り合うように加圧することが可能である。反応混合物の内部の圧力を、化学反応から生成することができる。
【0090】
別の実施形態においては、別の例として、図20に示されているとおりのマイクロ波加熱システム2000を用意することができる。図20は、マイクロタイタープレート2006または同様のアレイ構造のためのホルダ2010および2011を備えるマイクロ波加熱システムを示している。マイクロタイタープレートが、処理対象の負荷2007を備えている。マイクロ波が、伝送線2002、2003ならびにコネクタ2008および2009を介してマイクロ波源206から印加装置のプレート2004および2005へと供給される。非共振のエンクロージャ2012が、各々の端部において金属製の蓋で閉じられている(図15を参照)。
【0091】
別の実施形態においては、別の例として、図21に示されているとおりのマイクロ波加熱システム2100を用意することができる。図21は、非共振のエンクロージャ2103に囲まれたマイクロタイタープレート2117または同様のアレイ構造のためのホルダ2106および2107を備えるマイクロ波加熱システムを示している。マイクロタイタープレートが、処理対象の負荷2110を含んでいる。マイクロ波が、伝送線2101、2102ならびにコネクタ2104および2105を介してマイクロ波源206から印加装置のプレート2111および2112へと供給される。非共振のエンクロージャ2103が、各端部において金属製の蓋で閉じられている(図6を参照)。システム2100は、送信器2109のアレイと受信器2108の同様のアレイとをマイクロタイタープレートの両側に取り付けて備える監視システムを有している。送信器が、紫外線、赤外線、X線、レーザ、などの任意の種類の電磁信号を送信可能であり、受信器が、送信された信号を検出する任意の種類の検出器であってよい。送信器および受信器は、信号線2113および2114によって制御ユニット2115へと接続される。制御ユニットが、信号を評価し、または単に信号をさらなる演算のために接続2116を介してコンピュータへと送信する。信号を、化学反応または診断プロセスを監視および/または制御するために使用することが可能である。
【0092】
別の実施形態においては、別の例として、図22に示されているとおりのマイクロ波加熱システム2200を用意することができる。図22は、機械的に調節することができる印加装置のプレート2207および2208を有するマイクロ波加熱システムを示している。プレートを調節することによって、印加装置についてインピーダンス整合を変化させ、最適な加熱条件が達成されるように調節することが可能である。負荷2219が、顕微鏡用スライドであってよい負荷ホルダ2220に取り付けられている。負荷ホルダは、保持構造2203および2204によって適所に保持される。印加装置のプレートを、ベルトプーリと駆動プーリとの組み合わせ2211および2212を回転させることによって、個別に調節可能である。プーリを回転させることによって、ナットを介してねじ山付きのシャフト2209および2210が印加装置のプレートを負荷および印加装置の他方のプレートに対して上下に移動させる。プーリは、モータ2215および2216によって駆動される駆動ナット2217および2218に接続されたタイミングベルト2213および2214によって回転される。マイクロ波が、伝送線2201、2202ならびにコネクタ2205および2206を介してマイクロ波源206から印加装置のプレート2207および2208へと供給される。非共振のエンクロージャ2221が、各々の端部において金属製の蓋で閉じられている(図6を参照)。
【0093】
別の実施形態においては、別の例として、図23Aおよび図23Bに示されているとおりのマイクロ波加熱システム2300を用意することができる。図23Aおよび図23Bは、印加装置のプレート2303、2304、2304、2305、2306、ならびに2310、2311、2312、および2313のアレイを備えるマイクロ波加熱システムを示している。処理対象の負荷2308、2309、2314、および2315が、印加装置の各組のプレートの間に配置される。非共振のエンクロージャ2307が、印加装置のすべてのプレートを囲んでいる。マイクロ波が、伝送線2301、2302を介してマイクロ波源206から印加装置のプレートへと供給される。
【0094】
別の実施形態においては、別の例として、図24に示されているとおりのマイクロ波加熱システム2400を用意することができる。図24は、組織サンプル2404のためのホルダ2412を備えるマイクロ波加熱システムを示している。ホルダ2412が、組織処理液2414で満たされた容器2413に浸漬されている。組織保持構造2412が、処理液が構造を自由に通過して組織サンプルの周囲を循環できるようにする開口2415を有している。保持構造および容器は、マイクロ波に関して透過性である任意の材料で製作される。容器に、ポンプシステムによって自動的に容器を満たし、ポンプシステムによって自動的に容器を空にすることを可能にする底部に位置する入口および出口開口を備えることが可能である。ポンプシステムを、容器内の液体の循環にも使用することが可能である。容器および印加装置のプレートは、保持構造2403および2411によって適所に保持される。マイクロ波が、伝送線2401、2402ならびにコネクタ2406および2407を介してマイクロ波源206から印加装置のプレート2408および2409へと供給される。非共振のエンクロージャが、各々の端部において金属製の蓋で閉じられている(図15を参照)。
【0095】
別の実施形態においては、別の例として、図25に示されているとおりのマイクロ波加熱システム2500を用意することができる。図25は、複数の印加装置を同じシステムに備えているマイクロ波加熱システムを示している。いくつかの印加装置を、何回も繰り返し、1つずつ、直列、または並列に動作させることが可能である。本明細書に記載の印加装置およびシステムのいずれも、図25に示されるように複数の印加装置によって構成することが可能であることに留意されたい。システム2500は、各々が印加装置のプレート2509、2510の対を有しているn個のチャネルを備え、ここでは印加装置のプレートが、ガラススラブ2511、2512の一体の一部分である。ガラススラブは、例えば顕微鏡用スライドであってよい。サンプル2513が、一方のガラススラブに配置される。2枚のガラススラブが、2つのスペーサ2506、2507によって隔てられることで、負荷を収容する小さな区画が生成される。別のスペーサを、スペーサ2506および2507に対して垂直に、区画の下部および上部に配置することで、液体または気体で満たすことができる閉じた区画を生成することが可能である。液体または気体は、負荷2513の処理を目的とする試薬であってよい。マイクロ波が、伝送線2501、2502ならびにコネクタ2504および2505を介してマイクロ波源206から印加装置のプレート2509および2510へと供給される。チューニング装置207を、各々の印加装置に追加することが可能である。非共振のエンクロージャ2508が、各々の端部において金属製の蓋で閉じられている(図15を参照)。
【0096】
また、本明細書に記載の種々の金属製の構造を、任意の種類の金属または金属の複合材料で形成できることに留意されたい。例えば、銅、アルミニウム、真ちゅう、鋼、などの金属、あるいはこれらの組み合わせまたは複合材料を使用することができる。
【0097】
別の実施形態においては、別の例として、図26に示されているとおりのマイクロ波加熱システム2600を用意することができる。図26は、同じシステムに複数の印加装置を備えているマイクロ波加熱システムを示している。図26のシステムは、1つのマイクロ波源206および分配システム2621を使用し、分配システム2621が、いくつかの印加装置へと電力を等しく分配し、あるいは切り換え装置が全体の時間サイクルのうちの所定の部分を各々の印加装置に与える時間分割のやり方で分配する。いくつかの印加装置を、何回も繰り返し、1つずつ、直列、または並列に動作させることが可能である。本明細書に記載の印加装置およびシステムのいずれも、図26に示されるように複数の印加装置によって構成可能であることに、留意すべきである。システム2600は、各々が印加装置のプレート2609、2610の組を有しているn個のチャネルを備え、ここでは印加装置のプレートが、ガラススラブ2611、2612の一体の一部分である。ガラススラブは、例えば顕微鏡用スライドであってよい。サンプル2613が、一方のガラススラブに配置上にされる。2枚のガラススラブが、2つのスペーサ2606、2607によって隔てられることで、負荷を収容する小さな区画が生成される。別のスペーサを、スペーサ2606および2607に対して垂直に、区画の下部および上部に配置することで、液体または気体で満たすことができる閉じた区画を生成することが可能である。液体または気体は、負荷2613の処理を目的とする試薬であってよい。マイクロ波が、伝送線2601、2602ならびにコネクタ2604および2605を介してマイクロ波源206から印加装置のプレート2609および2610へと供給される。チューニング装置207を、各々の印加装置に追加することが可能である。非共振のエンクロージャ2608が、各々の端部において金属製の蓋で閉じられている(図15を参照)。
【0098】
図27は、本明細書に記載の加熱システムの性能を最適にするために本明細書に記載のチューニング装置2702および2704を制御することができるコントローラ2705を備えるマイクロ波加熱システム2700のシステムブロック図を示している。制御システム2705は、例えば本明細書に記載のとおりのシステムのいくつかのセンサおよび測定装置からの制御信号によって制御される。この信号は、例えば温度、圧力、反射された出力、などであってよい。コントローラ2705は、例えば有限状態機械またはフィードバック機械であってよい。チューニング装置2702および2704を、マイクロ波源206と印加装置2703との間および/または印加装置2703の後ろに配置することが可能である。
【0099】
別の実施形態においては、別の例として、図28A、図28B、および図28Cに示されているとおりのマイクロ波加熱システム2800を用意することができる。マイクロ波加熱システム2800は、金属で構成された非共振のエンクロージャ2806を含んでおり、非共振のエンクロージャ2806が、支持構造2809を囲む2枚のプレート2802および2803で構成された印加装置を内部に有している。しかしながら、非共振のエンクロージャ2806は、非共振の構造の条件を満足する任意の形状またはサイズを有することができる。図28Bは、そのような加熱システム2800の断面を示している。図28Cは、蓋2811を取り除いた状態での左方からの図を示している。
【0100】
金属製の蓋2811が、非共振のエンクロージャ2806を閉じるために設けられている。金属製の蓋2811は、圧力を漏らさないシールとなることができる。この実施形態において、マイクロ波による処理対象の物体、すなわち、負荷2808は、ガラススラブであってよい保持構造2807上に配置される。スラブを任意の材料から製作できることに留意されたい。さらに、負荷は、例えば保持構造2807に適合する形状およびサイズなど、任意の形状またはサイズであってよい。支持構造2809を、保持構造2807を受け入れるように形成することができる。保持構造2807は、例えばあらかじめ作られたカセットであってよく、液体を流すための作り付けのチャネルならびに流体の流入および流出を可能にするために使用できる流通ポート2814および2815などの造作を有することができる。バルブ、ポンプなどといったさらなる装置を、保持構造の一体の一部分として含むことが可能である。カセットを、診断、分析、または準備の目的に合わせて製作することが可能である。装置2816および2810は、温度、圧力、光の散乱、などといったプロセスパラメータを測定または監視する任意の種類の監視装置であってよい。装置2816および2810を、一方が送信器であって、一方が受信器であるようなやり方で配置することが可能である。送信器が、負荷によって反射、伝達、散乱、または回折を生じ、あるいは任意の他の様相で負荷による影響を被る信号を送信でき、受信器が、影響を被った送信器からの信号を受信する。装置2816および2810からの信号を、例えば任意の演算装置およびアルゴリズムを使用して比較し、結果を計算することが可能である。結果を、マイクロ波加熱システムを制御するために使用することができ、あるいは診断または分析の目的に使用される出力信号を生成するために使用することが可能である。送信器および受信器は、物理的に同じエンクロージャに位置することが可能であり、負荷2808の片側からのアクセスだけを必要とする。送信される信号は、例えばレーザ、紫外線(UV)、赤外線(IR)、X線、超音波、など、任意の種類の放射であってよい。受信器は、例えば負荷のマイクロ波処理によって引き起こされる送信信号の変化などを検出する任意の種類の装置であってよい。支持構造2809が、装置2816および2810の負荷へのアクセスを可能にするための開口2813を有している。装置2816および2810を、アレイを形成するように拡張することが可能である。さらに、支持構造2809を液体2812で満たし、負荷2808を液体に浸漬し、あるいは部分的に浸漬ことが可能である。液体が、反応剤、触媒、などを含む反応系の一部であってよいことに、注意すべきである。液体を気体で置き換えてもよい。温度測定装置2820を、負荷2808の内部または表面の温度を測定するために導入することが可能である。負荷2808および保持構造2807は、例えばあらかじめ作られたカセットであってよく、液体を流すためのチャネルならびにバルブ、ポンプ、などの機能が、保持構造2807の一体の一部として作り付けられていてもよい。カセットを、診断、分析、または準備の目的に合わせて製作することが可能である。マイクロ波が、伝送線2821を介してマイクロ波源206から印加装置のプレート2802および2803へと供給される。
【0101】
別の実施形態においては、別の例として、図29A〜図29Fに示されているとおりのマイクロ波加熱システム2900を用意することができる。図29Aは、コイル状の毛細管フローリアクタを非共振のエンクロージャ2901の内部に備えているマイクロ波加熱システムを示している。図28Bは、蓋2905および支持構造2907を除いたマイクロ波加熱システム2900の図を示している。図29Cは、フローリアクタとして形成されたコイル状の毛細管2904を備えるマイクロ波加熱システムを示している。フローリアクタが、マイクロ波に関して透過性の材料で作られた支持構造2907、2911によって適所に保持されている。印加装置のプレート2909、2910も、支持構造2907および2911によって適所に保持されている。マイクロ波が、コネクタ2902、2903およびマイクロ波源206に接続された伝送線2906、2908を介して印加装置へと供給される。構造の全体が、非共振のエンクロージャ2901によって囲まれる。エンクロージャ2901は、マイクロ波がエンクロージャの外部へと伝播することがないよう、各々の端部において金属製の蓋2905および2912で閉じられている。温度測定装置2913(例えば、IRセンサ)が、フローリアクタ内の温度を監視および制御するために使用される。図29Eおよび図29Fが、システム2900において使用することができる他の種類のフローリアクタを示している。フローリアクタの内径が数マイクロメートル〜数センチメートルまたはそれ以上であってよいことに留意されたい。
【0102】
別の実施形態においては、別の例として、図30Aおよび30Bに示されているとおりのマイクロ波加熱システム3000を用意することができる。図30Aは、マイクロ構造を備える加熱システムを示している。図30Bおよび図30Cは、マイクロ構造の主たる機能を示している。図30Bは、3つの入口ポート3017、3018、3019(I3、I2、およびI1とも示されている)を備える入口部を有しているマイクロ構造3050の流路を示している。3つの入口ポートが、入口ポートへと供給された液体の混合のための混合チャンバ3020へと接続されている。混合チャンバ3020は、混合後の液体をマイクロ波に曝すマイクロ構造の加熱部3021へと接続されている。加熱部は、処理後の反応混合物がクロマトグラフィ、電気泳動、相分離、などの技法を使用して分離または精製される分離/精製部3022へと接続されている。次いで、分離後の混合物が、処理後の液体について任意の種類の分析を実施する分析セル3023へと供給される。分析セルは、マイクロ構造の出力部3024へと接続されている。図30Cは、基板3001に製造された流通チャネル3013を含むマイクロ構造3050の断面を示している。チャネルは、第2の基板3012を第1の基板3001へと貼り付けることによって閉じられている。印加装置のプレート3014および3016は、導電性材料で作られた別途の構成部品であっても、2つの基板3001および3012の一体の一部分であってもよい。マイクロ波が、伝送線3004および3005ならびにコネクタ3003および3007を介してマイクロ波源206から印加装置のプレート3014および3016へと供給される。マイクロ構造3050は、保持構造3006および3010によって適所に保持される。マイクロ構造3050は、非共振のエンクロージャ3009によって囲まれている。上述のマイクロ構造があくまでも一実施例にすぎず、任意の種類のマイクロまたはナノ構造をマイクロ波加熱システム3000において使用可能であることに留意されたい。また、マイクロ波加熱が、1つのプロセスに限られず、マイクロ構造上で使用されるすべてのプロセスの改善に使用可能であることにも留意されたい。これらの種類の応用は、「ラボ・オン・チップ(lab−on−a−chip)」構造と称されることも多い。
【0103】
別の実施形態においては、別の例として、図31Aおよび31Bに示されているとおりのマイクロ波加熱システム3100を用意することができる。図31Aは、図18および10において説明した印加装置と同様の円柱形の印加装置を備えるマイクロ波加熱システムを示している。図31Aを参照すると、内側円筒3101および外側円筒3109を有する円柱形の印加装置を備えるマイクロ波加熱システムが示されている。加熱対象の負荷3112が、バスケット3115に収容されている。バスケットは、外側の円筒部材3108と円筒部材3108の各々の端部に取り付けられた蓋3106および3107とで構成された反応容器に配置されている。円筒部材3108は、ガラスまたはPTFEなどのマイクロ波に関して透過性の材料で作られている。蓋3106および3107を、任意の適切な材料で製作することが可能である。外側の円筒形の印加装置部分3109は、円筒部材3108とは別の構成部品でも、円筒部材3108の一体の一部分のいずれでもよい。外側円筒3109を、典型的には、円筒部分3108の表面へと金属を付着させることによって円筒部分3108と一体にすることが可能である。内側円筒3101を、表面の保護層3103を有する金属材料で製作することが可能である。保護層は、マイクロ波に関して透過性であり、加えられる処理プロセスに使用される溶媒に化学的に耐える材料で作られる。反応容器に液体を供給するために、蓋3106が、液体の入口および出口として使用される2つの開口3104および3105を有している。液体を、反応容器を通って送ることが可能である。開口3104および3105の両方が閉じられるとき、システム3100を、反応容器内の静止の負荷3112についてバッチ式のリアクタとして使用することが可能である。反応容器は、電磁界を内側に閉じ込めるための適切な境界条件を生成する非共振のエンクロージャ3113によって囲まれる。マイクロ波が、伝送線3110および3111ならびにコネクタ3102を介してマイクロ波源206から円柱形の印加装置へと供給される。チューニング装置207を、マイクロ波源206と外側円筒3109との間でシステム3100へと取り付けることが可能である。エンクロージャと反応容器との間の空間を、反応容器の内部の過圧と釣り合うように加圧することが可能である。内部の過圧を、負荷の処理を向上させるべく使用される液体の沸点を高めるために生成することが可能である。上述のマイクロ波加熱システム3100におけるプロセスの典型的な実施例は、診断の目的のための組織の前処理である。
【0104】
組織ブロック容器内の組織サンプルを、図31または他の同様の図に関して説明したとおりの非モード式プレート間マイクロ波印加装置の実施形態を使用して処理してもよい。マイクロ波による組織の処理によって、組織が脱水され、組織を保存するためにパラフィンなどの埋め込み媒体が注入される。非モード式プレート間マイクロ波印加装置を用いた熱の印加は、組織の処理を高速化または他の方法で向上させることができる。
【0105】
図32は、複数の負荷が配置されたプレート交互配置型の非モード式プレート間マイクロ波印加装置3200を示している。2組のプレートを交互に配置することによって、多数のサンプルのためのコンパクトな平衡対称なマイクロ波加熱装置を提供するうえで有益な平衡非モード式プレート間マイクロ波印加装置を構成することが可能である。マイクロ波源206が、一方の側において伝送線3206を介して並列にプレート3203へと接続され、もう一方の側において伝送線3208を介して並列にプレート3202へと接続されている。負荷、例えば、組織試料3204を有する負荷ホルダ3212が、各組のプレート3202、3203の間に配置されている。このようにして、構成および動作が比較的複雑でないと同時に、複数の負荷を並列に処理することができるきわめてコンパクトなマイクロ波加熱装置を実現することができる。
【0106】
別の実施形態においては、別の例として、図33Aおよび33Bに示されているとおりのマイクロ波加熱システム3300を用意することができる。図33Aが、印加装置のプレート3306および3307の間に配置されたバッチ式リアクタ3310を備える加熱システムを示している。バッチ式リアクタが、マイクロ波によって処理される反応混合物を収容している。バッチ式リアクタを、ガラスまたはPTFEなどの任意のマイクロ波に関して透過性の材料で製作することが可能である。バッチ式リアクタは、支持構造3308および3309によって保持され、支持構造3308および3309は、印加装置のプレート3306および3307も固定の位置に保持する。支持構造およびバッチ式リアクタは、非共振のエンクロージャ3305によって囲まれている。非共振のエンクロージャは、導電性材料で製作され、両端において金属製の蓋3320および3321で閉じられている。バッチ式リアクタが、片側において蓋3320を通して延び、端部ピース3303に終端されている。反応混合物の温度を、リアクタへと挿入される温度測定装置によって、またはバッチ式リアクタの表面の温度を測定する赤外線パイロメータ3318を使用して測定することが可能である。バッチ式リアクタ3310を、2MPa〜500MPaまたはそれ以上の極端な高圧に耐えるように設計することが可能である。端部ピース3303が、ケーブル3319によって制御システムへと電気的に接続できる圧力測定装置を保持することが可能である。端部ピースは、反応容器への液体または気体の入口または出口としてのいくつかのポート3323も含むことが可能である。ポートは、反応瓶へのアクセスを開閉するための弁3324を有することが可能である。これを、反応の最中に試薬を追加するために使用することができ、あるいは反応混合物を採取し、採取した液体または気体について任意の種類の分析を実施するために使用することが可能である。
【0107】
図34Aは、負荷を囲む非モード式プレート間マイクロ波印加装置を有するマイクロ波加熱システム3400の実施形態の正面図を示している。マイクロ波加熱システム3400は、非共振のエンクロージャ3415を含んでいる。1つの試作の実施形態においては、非共振のエンクロージャ3415が金属製のエンクロージャであり、金属製の上端ピース3406と、金属製の下端ピース3408と、4つの面に位置する着脱可能な金属製の壁とを備えている。
【0108】
センサ開口3410が、温度センサ(この試作の実施形態においては、赤外線温度センサとした)のために設けられている。開口が、動作時にマイクロ波場に影響を及ぼさずに温度測定を実施できるようにしている。エンクロージャ3415は、サンプルの挿入および/または取り出しを可能にするサンプル開口3420を含んでいる。マイクロ波源(図示せず)を同軸コネクタ3412に接続することができる。
【0109】
図34Bは、サンプルキャリア3411、例えば、サンプル3404を有する顕微鏡用スライドを保持するように構成されたホルダ3409を備えるサンプルラック3417の実施形態を示している。サンプルラック3417を、加熱すべきサンプルを配置するために、図34Aに示したサンプル開口3420へと挿入することができる。サンプルラック3417が、単一のサンプルキャリア、例えば、顕微鏡用スライドを載せて図示されているが、別の実施形態は、各々が1つのサンプルキャリアを有する複数のラックまたは複数のサンプルキャリアを有する1つのラックを含むことができる。1つまたは複数のラックに複数のサンプルキャリアを収容するように構成された実施形態においては、プレートのサイズ、エンクロージャのサイズ、コネクタなどの適切な変更を、所望の構成に対応するように行なうことができる。スライドホルダ3417の垂直エンドピースが、スライドに対して垂直に配置され、スライドホルダ3417の挿入時に図34Aに示した開口3420を電磁気に関して封じることによって、マイクロ波の漏れを防止するように機能する。
【0110】
図34Cは、図34Aに正面図を示したマイクロ波加熱システム3400の実施形態の背面図を示している。図34Cにおいては、通常であればねじで留められているエンクロージャの壁のうちの1つが、種々の内部部品を示すために取り除かれている。上側のプレートホルダ3416および下側のプレートホルダ3418の間の距離を、ねじ3420を回転させてねじ山が設けられたプレートホルダ3416および3418の一方をねじ3420のねじ山上で上下に移動させる調節ノブ3414を回転させることによって調節することができる。
【0111】
マイクロ波印加装置の実施形態は、上側プレート3402および下側プレート3403を備える。上側プレート3402が、コネクタ3412の一方の端子へとつながり、下側プレート3403が、コネクタ3412の他方の端子へとつながる同軸コネクタ3424につながっている。マイクロ波源を、印加装置にマイクロ波エネルギーを供給すべくコネクタ3412に接続することができる。サンプル3404を載せたサンプルキャリア3411を保持するサンプルホルダ3409を、プレート3402および3403の間に挿入することができる。
【0112】
図34A、図34B、および図34Cの実施形態の特定の特徴は、試作の装置の使用を容易にするように構成されている。しかしながら、調節可能なプレートの間隔、温度センサの開口3410、および取り外すことができるエンクロージャ3415の壁などといった類似の特徴を、非モード式プレート間マイクロ波加熱装置の任意の所望の実施形態のために、任意の組み合わせまたは構成に含むこともできる。
【0113】
したがって、さまざまな実施形態が、負荷を囲む非モード式プレート間マイクロ波印加装置を有するマイクロ波加熱システムを提供する。印加装置を、モードパターン、定在波、または他の妨害を生じさせることなくシールドとして機能できる非共振のエンクロージャの内側に配置することができる。印加装置は、非モード式印加装置のシングルエンドまたは平衡の1対のプレートのいずれかから形成され、電界がプレート間を内側へと伝播する。種々の実施形態によるマイクロ波加熱は、印加装置の構造内に一様なエネルギー分布をもたらす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記印加装置から放射されるマイクロ波によって加熱される負荷を受け入れるように構成された非モード式プレート間マイクロ波印加装置と、
前記非モード式プレート間マイクロ波印加装置に接続されたマイクロ波源と
を備えたマイクロ波加熱システム。
【請求項2】
非共振のエンクロージャをさらに備えており、前記非共振のエンクロージャが、前記非モード式プレート間マイクロ波印加装置を少なくとも部分的に囲んでいる、請求項1に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項3】
前記非モード式プレート間マイクロ波印加装置が、閉ループのシングルエンド印加装置を備えている、請求項1および2に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項4】
前記非モード式プレート間マイクロ波印加装置が平衡印加装置を備えている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項5】
前記非モード式プレート間マイクロ波印加装置が、インピーダンス整合した印加装置を備えている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項6】
前記非共振のエンクロージャが円筒形の外形を有している、請求項1〜5のいずれか一項に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項7】
前記非共振のエンクロージャが非円筒形の外形を有している、請求項1〜5のいずれか一項に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項8】
前記非モード式プレート間マイクロ波印加装置が、λ/6未満の距離dだけ隔てられた少なくとも2枚のプレートを備えている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項9】
前記非モード式プレート間マイクロ波印加装置が少なくとも2枚のプレートを備えており、前記プレートのすべてが同一のエリアを有するものではない、請求項1〜8のいずれか一項に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項10】
前記非モード式プレート間マイクロ波印加装置が少なくとも2枚のプレートを備えており、前記プレートのすべてが同一の形状を有するものではない、請求項1〜9のいずれか一項に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項11】
前記非モード式プレート間マイクロ波印加装置が少なくとも2枚のプレートを備えており、前記プレート間の距離が可変である請求項1〜10のいずれか一項に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項12】
前記非モード式プレート間マイクロ波印加装置が少なくとも2枚のプレートを備えており、前記プレートのすべてが同じ材料で製作されているものではない、請求項1〜11のいずれか一項に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項13】
前記非モード式プレート間マイクロ波印加装置が少なくとも2枚のプレートを備えており、前記プレート間の空間が、処理対象の負荷以外の誘電体で少なくとも部分的に満たされている、請求項1〜12のいずれか一項に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項14】
前記非共振のエンクロージャが、少なくとも1つの導電性材料および少なくとも1つの半導体材料から選択される少なくとも1つの材料を含んでいる、請求項1〜13のいずれか一項に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項15】
前記非共振のエンクロージャが、寸法に関して定在波の生成を抑制するように構成されている、請求項1〜14のいずれか一項に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項16】
前記非モード式プレート間マイクロ波印加装置のプレート間で加熱される反応瓶をさらに備えている、請求項1〜15のいずれか一項に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項17】
前記負荷が反応混合物を備えている、請求項16に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項18】
フローリアクタをさらに備えている、請求項1〜17のいずれか一項に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項19】
前記負荷が、移動している負荷を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項20】
前記負荷を前記非モード式プレート間マイクロ波印加装置の内部に保持すべく前記非モード式プレート間マイクロ波印加装置に組み合わせられた支持構造をさらに備えている、請求項1〜19のいずれか一項に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項21】
前記支持構造が、マイクロ波に関して透過性である材料およびマイクロ波に関して或る程度透過性である材料から選択される少なくとも1つの材料を含んでいる、請求項20に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項22】
前記支持構造が液体または気体の一方を含んでいる、請求項20または21に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項23】
前記支持構造が、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口とを備えている、請求項20〜22のいずれか一項に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項24】
負荷ホルダをさらに備えている、請求項1〜23のいずれか一項に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項25】
前記負荷ホルダが、反応瓶、球、管、毛細管構造、薄膜基板、ガラススラブ、顕微鏡用スライド、組織カセット、マイクロタイタープレート、マイクロ流体装置、マイクロアレイ、微細加工構造、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを備えている、請求項24に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項26】
前記負荷ホルダが、ガラススラブおよびフィルムから選択される少なくとも1つの材料を含んでいる、請求項22〜25のいずれか一項に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項27】
前記非モード式プレート間マイクロ波印加装置に接続されたチューニング装置をさらに備えている、請求項1〜26のいずれか一項に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項28】
抵抗、インダクタンス、および容量から選択される、前記チューニング装置の少なくとも1つの特性を変化させることができる、請求項27に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項29】
前記チューニング装置へとフィードバック信号を供給する監視装置をさらに備えている、請求項27または28に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項30】
前記監視装置が、温度センサ、圧力センサ、紫外線(UV)センサ、赤外線(IR)、X線装置、超音波装置、レーザ、蛍光測定装置、化学発光測定装置、分光装置、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを備えている、請求項29に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項31】
マイクロ波の周波数を制御するためのコントローラをさらに備えている、請求項1〜30のいずれか一項に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項32】
前記コントローラが、有限状態機械、フィードバック機械、およびこれらの組み合わせのうちの1つを備えている、請求項31に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項33】
前記非モード式プレート間マイクロ波印加装置が、準備、生成、分析的分析、診断、およびこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを実施するために、マイクロ波によって加熱される負荷を内部に受け入れるように構成されている、請求項1〜32のいずれか一項に記載のマイクロ波加熱システム。
【請求項34】
マイクロ波を用いて負荷を加熱するための方法であって、
電磁界を内部に生成するための印加装置を画定するような形状の非モード式プレート間マイクロ波印加装置を形成するステップと、
前記非モード式プレート間マイクロ波印加装置を、マイクロ波を用い負荷を加熱すべく電磁界を生成するように構成するステップと
を含む方法。
【請求項35】
前記負荷が生体組織を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記負荷が陽電子放出断層撮影(PET)材料を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
マイクロ波の周波数および出力から選択される少なくとも1つの特性を、負荷における反応を制御するために変化させる、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
組織化学、免疫組織化学、またはin−situハイブリッド形成の処理のために、顕微鏡用スライド上の生体サンプルを前処理する方法であって、
生体サンプルを、非モード式プレート間マイクロ波印加装置のプレート間に配置するステップと、
マイクロ波源を前記非モード式プレート間マイクロ波印加装置に接続するステップと、
前記プレート間の電磁界を、前記顕微鏡用スライド上の前記生体サンプルに印加するステップと、
少なくとも1つの染色前処理プロトコル段階を実施するために前記サンプルを加熱するステップと
を含む方法。
【請求項39】
前記少なくとも1つの前処理プロトコル段階が、焼成、脱蝋、ターゲット回復、ブロッキング、変性、酵素消化、およびこれらの任意の組み合わせから選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記サンプルの特性を監視するステップと、
前記監視に少なくとも部分的に応答して前記プレート間の電磁界を調節するステップと
をさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
組織化学、免疫組織化学、またはin−situハイブリッド形成の処理のために顕微鏡用スライド上の生体サンプルを培養する方法であって、
生体サンプルを、非モード式プレート間マイクロ波印加装置のプレート間に配置するステップと、
マイクロ波源を、前記非モード式プレート間マイクロ波印加装置に接続するステップと、
前記プレート間の電磁界を、前記顕微鏡用スライド上の前記生体サンプルに印加するステップと、
少なくとも1つの培養段階を実施するために前記サンプルを加熱するステップと
を含む方法。
【請求項42】
前記少なくとも1つの培養段階が、組織化学的培養、免疫組織化学的培養、およびin−situハイブリッド形成から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記サンプルの特性を監視するステップと、
前記監視に少なくとも部分的に応答して前記プレート間の電磁界を調節するステップと
をさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
組織化学、免疫組織化学、またはin−situハイブリッド形成の処理のための流体をインラインで加熱する方法であって、
流体を運ぶ流体キャリアを、非モード式プレート間マイクロ波印加装置のプレート間に配置するステップと、
マイクロ波源を、前記非モード式プレート間マイクロ波印加装置に接続するステップと、
前記プレート間の電磁界を、前記流体に印加するステップと、
前記流体を加熱するステップと
を含む方法。
【請求項45】
前記流体が、洗浄用の流体、すすぎ用の流体、中性の流体、組織化学的試薬、免疫組織化学的試薬、ハイブリッド形成試薬、脱蝋用の流体、およびこれらの任意の組み合わせから選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記流体の特性を監視するステップと、
前記監視に少なくとも部分的に応答して前記プレート間の電磁界を調節するステップと
をさらに含む、請求項44に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34A】
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【図34B】
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【図34C】
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【公表番号】特表2013−514608(P2013−514608A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543474(P2012−543474)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/DK2010/000178
【国際公開番号】WO2012/003827
【国際公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(399126008)
【住所又は居所原語表記】Produktionsvej 42 DK−2600 Glostrup Denmark
【Fターム(参考)】