説明

非官能性芳香族末端基含有ポリマーを含有する複合物質

【課題】非官能性芳香族末端基含有ポリマーを含有する複合物質を提供する。
【解決手段】熱可塑性物質および非官能性芳香族末端基含有ポリマーを含有する複合物質が開示される。複合物質の製造法および使用法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強化熱可塑性物質およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性物質は、ますます増大する多くの用途における使用が見いだされている。これらの用途の多くは改善された衝撃強さを有する熱可塑性物質を必要とする。それにもかかわらず、他の重要な性質、例えば流動性および耐熱性を保持しつつ、改善された衝撃強さを有する熱可塑性物質を配合することは非常に困難であることが判明している。
【0003】
熱可塑性樹脂の衝撃強さを改善するための一方法は、Nakagawaらにより、米国特許第6,946,084号において開示されている。Nakagawaらは、熱可塑性樹脂の衝撃強さを改善するためのブロックコポリマー改質剤の使用を開示している。Nakagawaらのブロックコポリマーは、55重量%以上であるが、90重量%未満の量の芳香族ビニル化合物から主としてなるポリマーブロックを含有するブロックコポリマーおよび20重量%以上であるが、55重量%未満の量の芳香族ビニル化合物から主としてなるポリマーブロックを含有するブロックコポリマーを含む2以上のブロックコポリマーの混合物として開示され;混合物中、芳香族ビニル化合物主としてからなるポリマーブロックの1つは、10000以上であるが、30000未満の数平均分子量を有し;混合物中、共役ジエン化合物から主としてなるポリマーブロックの1つは50000以上であるが、100000未満である数平均分子量を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6946084号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それでもなお、例えば、靭性を包含するその特性を改善する熱可塑性物質の新規改質剤が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様において、熱可塑性物質;および液状ゴム:を含む複合物質が提供され;ここで、前記液状ゴムは、25℃未満のガラス転移温度、≧1069g/モルの重量平均分子量を有し、かつ1以上の非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を含み;熱可塑性物質は熱可塑性ポリマーであり、液状ゴムは液体状態における熱可塑性物質に混和性であり、かつ固体状態における熱可塑性物質に非混和性である。
【0007】
本発明のもう一つ別の態様において、本発明の複合物質を含む製品が提供され、ここで、製品は、包装物質、自動車部品、食品用トレイ、携帯電話ハウジングおよび電子装置ハウジングから選択される。
【0008】
本発明のもう一つ別の実施態様において、(a)熱可塑性物質を提供し;(b)液状ゴムを提供し;および(c)液状ゴムを熱可塑性物質と組み合わせること:を含む複合物質の製造方法であって;前記液状ゴムが25℃未満のガラス転移温度、≧1069g/モルの重量平均分子量を有し、かつ1以上の非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を含み;前記液状ゴムが液体状態における熱可塑性物質に混和性であり、かつ固体状態における熱可塑性物質に非混和性である方法が提供される。
【0009】
本発明のもう一つ別の態様において、熱可塑性物質の靭性を改善する方法であって;熱可塑性物質と液状ゴムの組み合わせを提供することを含み;前記液状ゴムが25℃未満のガラス転移温度、≧1069g/モルの重量平均分子量を有し、かつ1以上の非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を含み;前記液状ゴムが液体状態における熱可塑性物質に混和性であり、かつ固体状態における熱可塑性物質に非混和性であり、かつ組み合わせられた熱可塑性物質と液状ゴムの靭性が液状ゴムの不在下での熱可塑性物質の靭性よりも大きい方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書および添付の請求の範囲において熱可塑性物質に関して用いられる「液体状態」なる用語は:(a)熱可塑性ポリマーを形成するための重合前の液状モノマー;(b)熱可塑性ポリマーを形成するための重合前の液状オリゴマー;(c)熱可塑性ポリマーを形成するための重合前の液状モノマーおよび液状オリゴマーの組み合わせ;(d)溶融熱可塑性ポリマー:を包含する。
【0011】
本明細書および添付の請求の範囲において熱可塑性物質に関して用いられる「固体状態」なる用語は、非溶融状態における熱可塑性ポリマーを意味する。
【0012】
本明細書および添付の請求の範囲において用いられる「熱可塑性ポリマー」なる用語は、その軟化点またはガラス転移温度を超えてに加熱された後に可逆的に変形でき(軟化することもできる)、次いで冷却されるポリマーを意味する。熱可塑性ポリマーは押出加工機などのプラスチック製造器中で繰り返し溶融加工できる。
【0013】
本明細書および添付の請求の範囲において用いられる「液状ゴム」なる用語は、25℃未満のガラス転移温度、少なくとも1069g/モルの重量平均分子量を示し、かつ少なくとも1つの非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を含む物質を意味する。
【0014】
本明細書および添付の請求の範囲において用いられる「混和性」なる用語は、液状ゴムと液体状態における熱可塑性物質が、熱力学則に従って長期間にわたり単一液相の状態であることを意味する。
【0015】
本明細書および添付の請求の範囲において用いられる「非混和性」なる用語は、混和性でないことを意味する。
【0016】
本明細書および添付の請求の範囲において用いられる「相分離」なる用語は、熱力学則に従って2以上の区別できる相を有する状態を意味する。
【0017】
本明細書および添付の請求の範囲において用いられる「部」なる用語は、特に記載しない限り「重量部」を意味する。当業者は「合計重量部」は合計して必らずしも100にならないことを理解するであろう。
【0018】
本明細書および添付の請求の範囲において用いられる「重量パーセンテージ」なる用語は、「100部あたりの重量部」を意味する。
【0019】
本明細書および添付の請求の範囲において用いられる「アルキル」なる用語は、直鎖、分岐および環状飽和炭化水素化学基を意味する。
【0020】
「Cアルキル」(ここで、Nは数値である)なる用語は、N個の炭素原子を含む飽和アルキル基を意味する。
【0021】
本明細書および添付の請求の範囲において用いられる「分子量」なる用語は、他に特に記載しない限り、重量平均分子量を意味する。
【0022】
本明細書および添付の請求の範囲において用いられる場合、「ダルトン」および「g/モル」なる用語は、「1モルあたりのグラム数」を意味する。
【0023】
その後に別の用語、例えば、アクリル、アクリレート、アクリルアミドなどが続く「(メタ)」なる用語の用法は、本明細書および添付の請求の範囲において用いられる場合、例えば、アクリルおよびメタクリル;アクリレートおよびメタクリレート;アクリルアミドおよびメタクリルアミドの両方などを意味する。
【0024】
ガラス転移温度(Tg)は、熱流対温度遷移の中点をTg値とする示差走査熱量測定法(DSC)により測定される。
【0025】
「低Tgモノマー」なる用語は、本明細書および添付の請求の範囲において用いられる場合、そのホモポリマーが25℃未満のTgを有するモノマーを意味する。
【0026】
本明細書において開示されるすべての範囲は両端を含み、組み合わせ可能である。
【0027】
本発明の幾つかの実施態様において、液状ゴムは、少なくとも1つの非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を≧25重量%含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは、少なくとも1つの非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を≧30重量%含む。
【0028】
本発明の幾つかの実施態様において、液状ゴムは、少なくとも1つの非官能性芳香族末端基を有し、かつ<25℃のガラス転移温度(Tg)を示す柔軟性ポリマー鎖を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは≦10℃のガラス転移温度(Tg)を示す。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは≦0℃のガラス転移温度を示す。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは≦−10℃のガラス転移温度を示す。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは≦−15℃のガラス転移温度を示す。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは≦−20℃のガラス転移温度を示す。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは≦−25℃のガラス転移温度を示す。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは≦−30℃のガラス転移温度を示す。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは≦−35℃のガラス転移温度を示す。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは≦−40℃のガラス転移温度を示す。
【0029】
これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは少なくとも1つの非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を≧35重量%含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは少なくとも1つの非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を≧40重量%含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは少なくとも1つの非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を≧50重量%含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは少なくとも1つの非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を≧60重量%含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは少なくとも1つの非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を≧70重量%含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは少なくとも1つの非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を≧75重量%含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは少なくとも1つの非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を≧80重量%含む。
【0030】
本発明の幾つかの実施態様において、非官能性芳香族末端基は、液状ゴムを製造するための重合プロセスの間に提供される。これらの実施態様の幾つかの態様において、様々な重合プロセス、例えば、フリーラジカル重合およびアニオン重合を用いることができる。これらの実施態様の幾つかの態様において、芳香族含有開始剤を用い、ポリマー鎖を製造するための1種以上のモノマーを用いて液状ゴムを形成するための重合が開始され、ここで開始剤分子の非官能性芳香族フラグメントが1以上のポリマー鎖末端にある。これらの実施態様の幾つかの態様において、非官能性芳香族末端基が連鎖移動および/または連鎖停止により液状ゴム中に組み込まれる。多くの芳香族連鎖移動剤および連鎖停止剤が公知であり、例えば、ポリマーハンドブック(The Polymer Handbook)、第3版、Brandrup and Immergut編、John Wiley Publishers、New York、1989において記載されている。
【0031】
本発明の幾つかの実施態様において、溶液重合技術を用いて液状ゴムが製造される。これらの実施態様の幾つかの態様において、非官能性芳香族末端基は、溶媒への連鎖移動を促進するための芳香族含有反応溶媒の使用により液状ゴム中に組み込まれる。これらの実施態様の幾つかの態様において、芳香族含有反応溶媒は、液状ゴムを製造するために用いられる重合温度および圧力で液体である任意の芳香族溶媒およびその組み合わせから選択される。これらの実施態様の幾つかの態様において、芳香族含有反応溶媒は、ベンゼン;ナフチレン;n−アルキルベンゼン(例えば、イソプロピルベンゼン、エチルベンゼン、トルエン);n−アルキルナフチレン(たとえば、イソプロピルナフチレン)、およびその組み合わせから選択される。
【0032】
本発明の幾つかの実施態様において、芳香族含有反応溶媒は、鉱油を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、芳香族含有反応溶媒は、芳香族含有反応溶媒とブレンドされた1種以上の非芳香族補助溶媒を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、芳香族含有反応混合物はブレンドされた2種以上の芳香族含有溶媒を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、芳香族含有反応溶媒は、2種以上の芳香族含有溶媒と1種以上の非芳香族含有溶媒の混合物のブレンドを含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、芳香族含有反応溶媒は、≧20重量%の芳香族溶媒を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、芳香族含有反応溶媒は、≧40重量%の芳香族溶媒を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、芳香族含有反応溶媒は≧60重量%の芳香族溶媒を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、芳香族含有反応溶媒は≧80重量%の芳香族溶媒を含む。芳香族溶媒の連鎖移動係数が非芳香族溶媒の連鎖移動係数よりもずっと大きいこれらの実施態様の幾つかの態様において、芳香族含有反応溶媒中の芳香族溶媒の重量パーセンテージは20重量%未満であり得る。
【0033】
本発明の幾つかの実施態様において、液状ゴムは、芳香族含有溶媒中、20000g/モルまでの重量平均分子量および少なくとも1つの非官能性芳香族末端基を有する柔軟性ポリマーの製造を行うための高圧および高温条件で、フリーラジカル連鎖重合を用いて製造される。
【0034】
本発明の幾つかの実施態様において、液状ゴムは、1より多い非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、2つの非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を含む液状ゴムは、芳香族溶媒の存在下で液状ゴムを形成するための重合反応の間に芳香族含有フリーラジカル開始剤を用いることにより提供される。これらの実施態様の幾つかの態様において、ポリマー鎖の一部またはすべては芳香族含有分子で始まり、かつ芳香族含有分子で終わる。
【0035】
本発明の幾つかの実施態様において、液状ゴムは少なくとも1つの非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、ポリマー鎖は2つの末端を有する直鎖を含み、ここで両末端は非官能性芳香族末端基を含む。
【0036】
本発明の幾つかの実施態様において、液状ゴムは進歩したポリマー構造を示すポリマー鎖を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、進化したポリマー構造は、グラフトコポリマー構造、ブロックコポリマー構造、コームポリマー(comb polymer)構造、スターポリマー構造、スターバーストポリマー構造、およびその組み合わせから選択される。これらの実施態様の幾つかの態様において、鎖末端のすべては非官能性芳香族末端基を含有する。
【0037】
本発明の幾つかの実施態様において、液状ゴムは、少なくとも1つの非官能性芳香族末端基を有さない他のポリマー鎖をさらに含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴム中のポリマー鎖あたりの非官能性芳香族末端基の全体的な平均数は≧0.2である。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴム中のポリマー鎖あたりの非官能性芳香族末端基の全体的な平均数は≧0.4である。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴム中のポリマー鎖あたりの非官能性芳香族末端基の全体的な平均数は≧0.5である。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴム中のポリマー鎖あたりの非官能性芳香族末端基の全体的な平均数は≧0.7である。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴム中のポリマー鎖あたりの非官能性芳香族末端基の全体的な平均数は≧0.75である。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴム中のポリマー鎖あたりの非官能性芳香族末端基の全体的な平均数は≧1である。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴム中のポリマー鎖あたりの非官能性芳香族末端基の全体的な平均数は≧1.25である。これらの実施態様の幾つかの態様において液状ゴム中のポリマー鎖あたりの非官能性芳香族末端基の全体的な平均数は≧1.5である。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴム中のポリマー鎖あたりの非官能性芳香族末端基の全体的な平均数は≧1.75である。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴム中のポリマー鎖あたりの非官能性芳香族末端基の全体的な平均数は≧2.0である。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴム中のポリマー鎖あたりの非官能性芳香族末端基の全体的な平均数は0.1〜2である。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴム中のポリマー鎖あたりの非官能性芳香族末端基の全体的な平均数は0.1〜1である。
【0038】
本発明の幾つかの実施態様において、液状ゴムは少なくとも1つの非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムの1〜20重量%は非官能性芳香族末端基に帰属する。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムの5〜15重量%は非官能性芳香族末端基に帰属する。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムの7〜12重量%は非官能性芳香族末端基に帰属する。
【0039】
本発明の幾つかの実施態様において、液状ゴムは、芳香族含有フリーラジカル開始剤を用いたフリーラジカル重合技術を用いて製造される。これらの実施態様の幾つかの態様において、芳香族含有フリーラジカル開始剤は、芳香族含有炭化水素開始剤の種類から選択される。これらの実施態様の幾つかの態様において、芳香族含有炭化水素開始剤は、主に炭素および水素原子および少なくとも1つの芳香族基を含有する。これらの実施態様の幾つかの態様において、芳香族含有炭化水素開始剤は、次の一般構造式:
Ph−(CR)−(CR)−Ph
(式中、Phはフェニル基または置換フェニル基であり;R、R、RおよびRのそれぞれは水素またはアルキル基を表す)
を有する様々なアルキル置換ジフェニル化合物から選択される。これらの実施態様の幾つかの態様において、R、R、RおよびRの少なくとも2つはアルキル基であり、フェニル基は非置換であるか、またはアルキル置換基を含有する。これらの実施態様の幾つかの態様において、芳香族含有炭化水素開始剤は、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン;2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン;およびその組み合わせから選択される。これらの実施態様の幾つかの態様において、芳香族含有炭化水素開始剤は、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサンである。これらの実施態様の幾つかの態様において、芳香族含有炭化水素開始剤は2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンである。
【0040】
本発明の幾つかの実施態様において、液状ゴムは、芳香族含有フリーラジカル開始剤を用いたフリーラジカル重合技術を用いて製造される。これらの実施態様の幾つかの態様において、芳香族含有フリーラジカル開始剤は、ジ−芳香族炭化水素開始剤の種類、例えば、油溶性ジ−芳香族ペルオキシド開始剤から選択される。これらの実施態様の幾つかの態様において、芳香族含有フリーラジカル開始剤は、ジクミルペルオキシド、ジベンジルペルオキシジカーボネートおよび2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシドから選択される。
【0041】
本発明の幾つかの実施態様において、液状ゴムは、芳香族含有フリーラジカル開始剤を用いたフリーラジカル重合技術を用いて製造される。これらの実施態様の幾つかの態様において、芳香族含有フリーラジカル開始剤は、次の一般構造式:
Ar−[C(CX]−[C(CX]−Ar
(式中、Arはアリール基または置換アリール基を表し;それぞれのXはハロゲン原子または水素原子を表す)を有する様々なハロアルキル置換およびアルキル置換ジアリール化合物から選択される。これらの実施態様の幾つかの態様において、ハロゲン原子は、フッ素、臭素およびヨウ素から選択される。これらの実施態様の幾つかの態様において、ハロゲン原子は塩素である。これらの実施態様の幾つかの態様において、芳香族含有フリーラジカル開始剤は、12個までのハロゲン原子または水素原子を含有する。これらの実施態様の幾つかの態様において、芳香族含有フリーラジカル開始剤は1分子あたり1〜5個のハロゲン原子を含有する。これらの実施態様の幾つかの態様において、少なくとも1つのArは置換アリール基である。これらの実施態様の幾つかの態様において、少なくとも1つのArは、フェニル、ビフェニル、ナフチル、ビヘニルおよびアントラセニルから選択される置換アリール基である。
【0042】
本発明の幾つかの実施態様において、液状ゴムは、アニオン重合技術を用いて製造される。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムを形成するためのアニオン重合は芳香族含有I族金属開始剤、例えばフェニルリチウムを用いて開始される。液状ゴムの分子量の調整および非官能性芳香族鎖末端の組み込み、アニオン重合技術において公知の方法により容易に制御される。
【0043】
本発明の幾つかの実施態様において、連鎖停止はアニオン重合の間に理論的に存在しない。これらの実施態様の幾つかの態様において、芳香族含有停止剤、例えば、フェノールは、リビングアニオンポリマー鎖末端を芳香族基で停止させるために用いられる。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムの分子量はアニオン技術を用いて、重合されるモノマーの重量と使用される開始剤のモル数の比により決定される分子量として容易に制御れる。
【0044】
本発明の幾つかの態様において、非官能性芳香族末端基は、柔軟性ポリマー鎖の芳香族含有分子との後反応により液状ゴム中に提供することができる。これらの実施態様の幾つかの態様において、エチレン性不飽和モノマーのフリーラジカル鎖重合が、停止鎖末端不飽和を残す。不飽和鎖末端と反応する芳香族含有分子のその後の反応の結果、非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖が得られる。
【0045】
本発明の幾つかの実施態様において、液状ゴム中のポリマー鎖の柔軟性を最大にするために、ポリマー鎖の低Tgモノマー単位の重量分率を最大にする。これらの実施態様の幾つかの態様において、低Tgモノマーは、液状ゴムポリマー鎖の重合単位の20重量%以上を構成する。これらの実施態様の幾つかの態様において、低Tgモノマーは、液状ゴムポリマー鎖の重合単位の40重量%以上を構成する。これらの実施態様の幾つかの態様において、低Tgモノマーは、液状ゴムポリマー鎖の重合単位の60重量%以上を構成する。これらの実施態様の幾つかの態様において、低Tgモノマーは、液状ゴムポリマー鎖の重合単位の80重量%以上を構成する。これらの実施態様の幾つかの態様において、柔軟性ポリマー鎖の残部は、様々なコモノマー、開始剤フラグメント、連鎖移動剤、溶媒フラグメント、官能性末端基、非官能性末端基、カップリング剤、クロスリンカーおよび他のポリマー鎖フラグメント(例えば、少なくとも25℃のガラス転移温度を有するポリマー鎖)から構成される。
【0046】
本発明の幾つかの態様において、低TgモノマーはC〜C20アルキルアクリレートモノマー(例えば、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、n−オクチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレート);ジエンモノマー(たとえば、ブタジエンおよびイソプレン);シロキサンモノマー類(例えば、ジメチルシロキサン);ビニルアセテートモノマー類;およびその組み合わせから選択される。これらの実施態様の幾つかの態様において、低TgモノマーはC〜Cアルキルアクリレートから選択される。
【0047】
本発明の幾つかの実施態様において、液状ゴムは≦80重量%のC〜C20アルキルアクリレートモノマー由来の単位を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは≦75重量%のC〜C20アルキルアクリレートモノマー由来の単位を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは≦60重量%のC〜C20アルキルアクリレートモノマー由来の単位を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは≦50重量%のC〜C20アルキルアクリレートモノマー由来の単位を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは≦40重量%のC〜C20アルキルアクリレートモノマー由来の単位を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは>0.01重量%のC〜C20アルキルアクリレートモノマー由来の単位を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは0.1〜80重量%のC〜C20アルキルアクリレートモノマー由来の単位を含む。
【0048】
本発明の幾つかの実施態様において、液状ゴムは様々なコモノマー由来の単位を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、コモノマー由来の単位は、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリロニトリル;(メタ)アクリルアミド;2−ペルフルオロアルキルエチル(メタ)アクリレート;2−(ペルハロアルキル)エチル(メタ)アクリレート;C〜C20アルキル(メタ)アクリレート;アルキル(エチレンオキシ)(メタ)アクリレート;アミノ(メタ)アクリレート;複数の環および置換環を含むアリール(メタ)アクリレート;共役ジエン;シラン類;シロキサン類;複数の環および置換環を含むビニル芳香族;ビニル安息香酸;ビニルエステル;ビニルエーテル;ビニルハライド;ビニルリン酸;ビニルスルホン酸;ビニル無水物;ビニリデンハライド;フルオロフェニル(メタ)アクリレート;ビニルトリメチルシラン類;およびその組み合わせから選択されるモノマー由来である。
【0049】
本発明の幾つかの実施態様において、液状ゴムは様々なコモノマー由来の単位を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、コモノマー由来の単位は、ビニル芳香族モノマー(例えば、スチレン);アルキルメタクリレートモノマー(例えば、メチルメタクリレート);アクリロニトリルモノマー:およびその組み合わせから選択されるモノマー由来である。
【0050】
本発明の幾つかの実施態様において、液状ゴムは、メチルメタクリレートコモノマー由来の単位を含む。
【0051】
本発明の幾つかの実施態様において、液状ゴムは少なくとも1つのビニル末端基を有する少なくとも1種のポリマー鎖を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、少なくとも1つのビニル末端基の少なくとも1つは飽和している。
【0052】
本発明の幾つかの実施態様において、液状ゴムは、架橋できる重合単位をさらに含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは任意に液状ゴム中のポリマーの合計重量基準で0.1〜20重量%の架橋できる重合単位を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは任意に液状ゴム中のポリマーの合計重量基準で0.1〜15重量%の架橋できる重合単位を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは任意に液状ゴム中のポリマーの合計重量基準で0.5〜10重量%の架橋できる重合単位を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは任意に液状ゴム中のポリマーの合計重量基準で2〜10重量%の架橋できる重合単位を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは任意に液状ゴム中のポリマーの合計重量基準で1〜7.5重量%の架橋できる重合単位を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは任意に液状ゴム中のポリマーの合計重量基準で2〜6重量%の架橋できる重合単位を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、架橋できる重合単位は、液状ゴムポリマー鎖中に両端間に組み入れられる。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴム中に組み入れられる架橋できる重合単位は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレートおよびその組み合わせから選択されるモノマー由来である。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴム中に組み入れられる架橋できる重合単位は、アルコキシシランモノマーから選択されるモノマー由来である。これらの実施態様の幾つかの態様において、アルコキシシランモノマーは、2−メタクリルオキシエチル−トリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピル−トリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピル−トリメトキシシラン、およびその組み合わせから選択される。
【0053】
本発明の幾つかの実施態様において、液状ゴムは1069〜20000g/モルの平均重量平均分子量を有するポリマー鎖を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは1069〜10000g/モルの平均重量平均分子量を有するポリマー鎖を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは1069〜5000g/モルの平均重量平均分子量を有するポリマー鎖を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムは1069〜3000g/モルの平均重量平均分子量を有するポリマー鎖を含む。
【0054】
本発明の幾つかの実施態様において、フリーラジカル重合およびアニオン重合のうちの一つを用いて液状ゴムを製造する。これらの実施態様の幾つかの態様において、少なくとも1種のC〜C20アルキルアクリレートモノマーおよび少なくとも1種の芳香族含有開始剤の反応混合物をリアクター中に入れ、ポリマー鎖を形成するために十分な反応滞留時間、≦400℃の反応温度で維持される。これらの実施態様の幾つかの態様において、反応滞留時間は≦1000分である。これらの実施態様の幾つかの態様において、反応混合物は1.0〜99.999重量%(反応混合物の合計重量基準)のC〜C20アルキルアクリレートモノマー(1種または複数種)を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、反応混合物は≧10重量%(反応混合物の合計重量基準)のC〜C20アルキルアクリレートモノマー(1種または複数種)を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、反応混合物は0.001〜99重量%(反応混合物の合計重量基準)の芳香族含有開始剤(1種または複数種)を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、反応混合物は≧0.01重量%(反応混合物の合計重量基準)のフリーラジカル芳香族含有開始剤(1種または複数種)を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、反応混合物は≧0.001重量%(反応混合物の合計重量基準)のアニオン性芳香族含有開始剤(1種または複数種)を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、反応混合物は溶媒をさらに含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、反応混合物は芳香族溶媒をさらに含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、反応混合物は≦90重量%の溶媒を含む。
【0055】
本発明の幾つかの実施態様において、強化熱可塑性ポリマーを製造する方法が提供される。これらの実施態様の幾つかの態様において、熱可塑性ポリマー中の液状ゴムの重量ペルセンテージは≧1.0重量%である。これらの実施態様の幾つかの態様において、熱可塑性ポリマー中の液状ゴムの重量ペルセンテージは≧2.0重量%である。これらの実施態様の幾つかの態様において、熱可塑性ポリマー中の液状ゴムの重量ペルセンテージは≧5.0重量%である。これらの実施態様の幾つかの態様において、熱可塑性ポリマー中の液状ゴムの重量ペルセンテージは≧10重量%である。これらの実施態様の幾つかの態様において、熱可塑性ポリマー中の液状ゴムの重量ペルセンテージは≧15重量%である。これらの実施態様の幾つかの態様において、熱可塑性ポリマー中の液状ゴムの重量ペルセンテージは≧20重量%である。これらの実施態様の幾つかの態様において、熱可塑性ポリマー中の液状ゴムの重量ペルセンテージは≧25重量%である。これらの実施態様の幾つかの態様において、熱可塑性ポリマー中の液状ゴムの重量ペルセンテージは≧30重量%である。これらの実施態様の幾つかの態様において、熱可塑性ポリマー中の液状ゴムの重量ペルセンテージは≧35重量%である。これらの実施態様の幾つかの態様において、熱可塑性ポリマー中の液状ゴムの重量ペルセンテージは≧40重量%である。これらの実施態様の幾つかの態様において、熱可塑性ポリマー中の液状ゴムの重量ペルセンテージは≧45重量%である。これらの実施態様の幾つかの態様において、熱可塑性ポリマー中の液状ゴムの重量ペルセンテージは≧50重量%である。これらの実施態様の幾つかの態様において、熱可塑性ポリマー中の液状ゴムの重量ペルセンテージは0.1〜25重量%である。これらの実施態様の幾つかの態様において、熱可塑性ポリマー中の液状ゴムの重量ペルセンテージは0.1〜20重量%である。これらの実施態様の幾つかの態様において、熱可塑性ポリマー中の液状ゴムの重量ペルセンテージは0.1〜15重量%である。これらの実施態様の幾つかの態様において、熱可塑性ポリマー中の液状ゴムの重量ペルセンテージは0.1〜10重量%である。これらの実施態様の幾つかの態様において、熱可塑性ポリマー中の液状ゴムの重量ペルセンテージは0.1〜5重量%である。
【0056】
本発明の幾つかの実施態様において、熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリウレア、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリアミド、熱可塑性ポリアミドイミド、熱可塑性ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレート)、熱可塑性ポリカーボネート、熱可塑性ポリスルホン、熱可塑性ポリケトン、熱可塑性ポリアルキレン(例えば、熱可塑性ポリエチレンおよび熱可塑性ポリプロピレン)、熱可塑性アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンおよびその組み合わせから選択される。
【0057】
本発明の幾つかの実施態様において、熱可塑性ポリマーはPVC;PVCのホモおよびコポリマー;塩素化PVC;ポリ(エチレンビニルアルコール);ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレート);ポリアミド(例えば、ナイロン);ポリ(エチレンオキシド);アクリロニトリル/ブタジエン/スチレンポリマー;ポリカーボネート;ポリアセタール(例えば、ポリ(ビニルブチラール));メタクリレート/ブタジエン/スチレンポリマー;スチレン/無水マレイン酸ポリマー;スチレン/マレイミドポリマー;ポリ(フェニレン化エーテル);ポリスルホン;2,6−ジメチルフェノールおよび2,6−ジフェニルフェノールのコポリマー;およびその組み合わせから選択される。
【0058】
本発明の幾つかの実施態様において、熱可塑性ポリマーは熱可塑性ポリウレタンである。これらの実施態様の幾つかの態様において、熱可塑性ポリウレタンは任意の公知の熱可塑性ポリウレタン物質から選択される。これらの実施態様の幾つかの態様において、熱可塑性ポリウレタンはハードセグメント、鎖エクステンダーおよびソフトセグメントを含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、ハードセグメントは芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートおよびその組み合わせを含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、鎖エクステンダーはジオール、ポリオール、ジアミンおよびその組み合わせを含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、鎖エクステンダーは≦500ダルトン;あるいは≦400ダルトン;あるいは60〜400ダルトンの重量平均分子量を示す。これらの実施態様の幾つかの態様において、ソフトセグメントはポリエーテルベースのジオール、ポリエステルベースのジオール、C−Cアルキルベースのジオールおよびその組み合わせを含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、ソフトセグメントは500〜5000ダルトンの重量平均分子量を示す。
【0059】
本発明の幾つかの実施態様において、ハードセグメントは、1,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;3−イソシアナトメチル−3,S,S−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート;シクロへキシレン−1,4−ジイソシアネート;2,4−トルエンジイソシアネート;2,6−トルエンジイソシアネート;2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物;4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート);2,2−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート;o−フェニレンジイソシアネート;m−フェニレンジイソシアネート;キシレンジイソシアネート;1,4−ナフタレンジイソシアネート;1,S−ナフタレンジイソシアネート;4,4’−ジフェニルジイソシアネート;アゾベンゼン−4,4’−ジイソシアネート;m−または12−テトラメチルキシレンジイソシアネートおよび1−クロロベンゼン−2,4−ジイソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート;4,6’−キシリレンジイソシアネート;2,2,4−(2,4,4−)トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;3,3’−ジメチルジフェニル4,4’−ジイソシアネート;3,3’−ジメチル−ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート;およびその組み合わせから選択されるジイソシアネート化合物を含む。
【0060】
本発明の幾つかの実施態様において、鎖エクステンダーは、直鎖脂肪族ポリオール、ジアミン、芳香族ジオール、芳香族ジアミン、トリオールおよびその組み合わせから選択される物質を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、直鎖脂肪族ポリオールは、1,2−エタンジオール;1,2−プロパンジオール;1,3−プロパンジオール;1,2−ブタンジオール;1,4−ブタンジオール;1,4−ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;1,4−シクロヘキサンジオール;グリセリン;ヒドロキノンジエチロールエーテル;レゾルシノールエチロールエーテル;その誘導体およびその組み合わせから選択される。
【0061】
低分子量芳香族ジアミンの例としては:3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニル−メタン;4,4’−ジアミノジフェニルメタン;1,4−ジアミノベンゼン;3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル;3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル;4,4’−ジアミノビフェニル;3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル;およびその組み合わせが挙げられる。
【0062】
本発明の幾つかの実施態様において、熱可塑性ポリマーは熱可塑性ポリエステルである。これらの実施態様の幾つかの態様において、熱可塑性物質は少なくとも1種の二価アルコールおよび少なくとも1種のジカルボン酸の組み合わせから製造される。これらの実施態様の幾つかの態様において、少なくとも1種の二価アルコールは、1,2−プロピレングリコール;1,3−プロピレングリコール;1,4−ブタンジオール;1,3−ブタンジオール;2−メチルペンタンジオール;1,5−ジエチレングリコール;1,5−ペンタンジオール;1,6−ペンタンジオール;1,12−ドデカンジオール;その誘導体およびその組み合わせから選択される。これらの実施態様の幾つかの態様において、少なくとも1種のジカルボン酸は、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、スベリン酸、メチルアジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、チオジプロピオン酸、シトラコン酸、芳香族ジカルボン酸、その誘導体およびその組み合わせから選択される。これらの実施態様の幾つかの態様において、少なくとも1種の二価アルコールは、C−Cアルキルジオールおよびその組み合わせから選択される。
【0063】
本発明の幾つかの実施態様において、熱可塑性ポリマーは熱可塑性ポリエステルである。これらの実施態様の幾つかの態様において、熱可塑性ポリエステルは少なくとも1種のヒドロカルボン酸、ラクトンおよびカーボネートを含む。
【0064】
本発明の幾つかの実施態様において、熱可塑性ポリマーは熱可塑性ポリエステルである。これらの実施態様の幾つかの態様において、熱可塑性ポリエステルは、C−Cアルキルベースのジオール、ポリエーテルベースのジオール、ポリエステルベースのジオール、その誘導体およびその組み合わせから選択されるジオールから誘導される。これらの実施態様の幾つかの態様において、熱可塑性ポリエステルはポリエーテルジオールベースのポリエステルおよびポリエステルジオールベースのポリエステルの混合物を含む。
【0065】
本発明の幾つかの実施態様において、複合物質は、20〜95重量%の熱可塑性物質および80〜5重量%の液状ゴムを含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、複合物質は、25〜93重量%の熱可塑性物質および75〜7重量%の熱可塑性物質を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、複合物質は、30〜90重量%の熱可塑性物質および70〜10重量%の液状ゴムを含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、複合物質は、30〜85重量%の熱可塑性物質および70〜15重量%の液状ゴムを含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、複合物質は、30〜80重量%の熱可塑性物質および70〜20重量%の液状ゴムを含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、熱可塑性物質は熱可塑性ポリエステルを含み、ここで熱可塑性ポリエステルはポリエーテルベースのジオールおよびポリエステルベースのジオールの混合物を含む。これらの実施態様の幾つかの態様において、複合物質は、25〜40重量%のポリエーテルベースのジオール;25〜40重量%のポリエステルベースのジオールおよび25〜40重量%の液状ゴムを含む。
【0066】
本発明の幾つかの実施態様において、複合物質は酸化防止剤、フィラー、顔料、潤滑剤、可塑剤、UV安定剤、熱安定剤、難燃剤、帯電防止剤およびその組み合わせから選択される添加剤をさらに含む。
【0067】
本発明の幾つかの実施態様において、複合物質を製造する方法は:(a)液体状態における熱可塑性物質を提供し;(b)液状ゴムを提供し;(c)液状ゴムを液体状態における熱可塑性物質と組み合わせ;および(d)熱可塑性物質を固体状態に変換することを含み;ここで、液状ゴムは25℃未満のガラス転移温度、≧1069g/モルの重量平均分子量を有し、かつ1以上の非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を含み;ここで、(a)は液状モノマーを提供することを含み;および(d)は液状モノマーを重合して熱可塑性ポリマーを形成することを含み;液状ゴムは液状モノマーに混和性であり、かつ固体状態における熱可塑性物質に非混和性である。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状モノマーは、(メタ)アクリル酸;C−C20(アルキル)アクリレート;ビニルアセテート;塩化ビニル;アミド;イミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリオレフィン;ビニル芳香族;ブタジエン;その誘導体およびその組み合わせから選択される。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状モノマーは、(メタ)アクリル酸;C−C20(アルキル)アクリレート;その誘導体およびその組み合わせから選択される。
【0068】
本発明の幾つかの実施態様において、複合物質を製造する方法は:(a)液体状態における熱可塑性物質を提供し;(b)液状ゴムを提供し;(c)液状ゴムを液体状態における熱可塑性物質と組み合わせ;および(d)熱可塑性物質を固体状態に変換することを含み;ここで、液状ゴムは25℃未満のガラス転移温度、≧1069g/モルの重量平均分子量を有し、かつ1以上の非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を含み;ここで、(a)は液状オリゴマーを提供することを含み;(d)は液状オリゴマーを重合して熱可塑性ポリマーを形成することを含み;および液状ゴムは液状オリゴマーに混和性であり、かつ固体状態における熱可塑性物質に非混和性である。これらの実施態様の幾つかの態様において、方法は、複合物質を押出加工、吹込成形、射出成形、カレンダー加工、熱成形または引き抜き成形により加工することをさらに含む。
【0069】
本発明の幾つかの実施態様において、複合物質を製造する方法は:(a)液体状態における熱可塑性物質を提供し;(b)液状ゴムを提供し;(c)液状ゴムを液体状態における熱可塑性物質と組み合わせ;および(d)熱可塑性物質を固体状態に変換することを含み;ここで、液状ゴムは25℃未満のガラス転移温度、≧1069g/モルの重量平均分子量を有し、かつ1以上の非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を含み;ここで、(a)は液状モノマーおよび液状オリゴマーを提供することを含み;(d)は液状モノマーおよび液状オリゴマーの組み合わせ物を重合して熱可塑性ポリマーを形成することを含み;および液状ゴムは液状モノマーおよび液状オリゴマーの組み合わせ物に混和性であり、かつ固体状態における熱可塑性物質に非混和性である。これらの実施態様の幾つかの態様において、方法は、複合物質を押出加工、吹込成形、射出成形、カレンダー加工、熱成形または引き抜き成形により加工することをさらに含む。
【0070】
本発明の幾つかの実施態様において、複合物質を製造する方法は:(a)液体状態における熱可塑性物質を提供し;(b)液状ゴムを提供し;(c)液状ゴムを液体状態における熱可塑性物質と組み合わせ;および(d)熱可塑性物質を固体状態に変換することを含み;ここで、液状ゴムは25℃未満のガラス転移温度、≧1069g/モルの重量平均分子量を有し、かつ1以上の非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を含み;ここで、(a)は溶融した熱可塑性ポリマーを提供することを含み;(d)は溶融した熱可塑性ポリマーを冷却することを含み;および液状ゴムは溶融した熱可塑性ポリマーに混和性であり、かつ固体状態における熱可塑性物質に非混和性である。これらの実施態様の幾つかの態様において、方法は、複合物質を押出加工、吹込成形、射出成形、カレンダー加工、熱成形または引き抜き成形により加工することをさらに含む。
【0071】
本発明の幾つかの実施態様において、複合物質を製造する方法は:(a)固体状態における熱可塑性物質を提供し;(b)液状ゴムを提供し;(c)液状ゴムを固体状態における熱可塑性物質と組み合わせ;(d)熱可塑性物質を溶融させることにより熱可塑性物質を液体状態に変換して溶融熱可塑性ポリマーを提供し;および(e)熱可塑性物質を冷却することにより固体状態に戻すことを含み;ここで、液状ゴムは25℃未満のガラス転移温度、≧1069g/モルの重量平均分子量を有し、かつ1以上の非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を含み;ここで、液状ゴムは溶融熱可塑性ポリマーに混和性であり、かつ固体状態における熱可塑性物質中非混和性である。これらの実施態様の幾つかの態様において、方法は、複合物質を押出加工、吹込成形、射出成形、カレンダー加工、熱成形または引き抜き成形により加工することをさらに含む。
【0072】
本発明の幾つかの実施態様において、熱可塑性ポリマーの靭性を改善する方法は:熱可塑性物質と液状ゴムの組み合わせを提供することを含み;ここで、液状ゴムは25℃未満のガラス転移温度、≧1069g/モルの重量平均分子量を有し、かつ1以上の非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を含み;ここで、液状ゴムは液体状態における熱可塑性物質に混和性であり、かつ固体状態における熱可塑性物質に非混和性であり、および組み合わせられた熱可塑性ポリマーおよび液状ゴムの靭性は液状ゴムの不在下での熱可塑性ポリマーの靭性よりも大きい。
【0073】
本発明の幾つかの実施態様において、熱可塑性ポリマーの靭性を改善する方法は:(a)液体状態における熱可塑性物質を提供し;(b)液状ゴムを提供し;(c)液状ゴムを液体状態における熱可塑性物質と組み合わせ;および(d)熱可塑性物質を固体状態に変換することを含み;ここで、液状ゴムは25℃未満のガラス転移温度、≧1069g/モルの重量平均分子量を有し、かつ1以上の非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を含み;ここで(a)は液状モノマーを提供することを含み;(d)は液状モノマーを重合させて、熱可塑性ポリマーを形成することを含み;および液状ゴムは液状モノマーに混和性であり、かつ固体状態における熱可塑性物質に非混和性である。これらの実施態様の幾つかの態様において、方法は、複合物質を押出加工、吹込成形、射出成形、カレンダー加工、熱成形または引き抜き成形により加工することをさらに含む。
【0074】
本発明の幾つかの実施態様において、熱可塑性ポリマーの靭性を改善する方法は:(a)液体状態における熱可塑性物質を提供し;(b)液状ゴムを提供し;(c)液状ゴムを液体状態における熱可塑性物質と組み合わせ;および(d)熱可塑性物質を固体状態に変換することを含み;ここで、液状ゴムは25℃未満のガラス転移温度、≧1069g/モルの重量平均分子量を有し、かつ1以上の非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を含み;ここで、(a)は液状オリゴマーを提供することを含み;(d)は液状オリゴマーを重合させて、熱可塑性ポリマーを形成することを含み;ここで、液状ゴムは液状オリゴマーに混和性であり、固体状態における熱可塑性物質に非混和性である。これらの実施態様の幾つかの態様において、方法は、複合物質を押出加工、吹込成形、射出成形、カレンダー加工、熱成形または引き抜き成形により加工することをさらに含む。
【0075】
本発明の幾つかの実施態様において、熱可塑性ポリマーの靭性を改善する方法は:(a)液体状態における熱可塑性物質を提供し;(b)液状ゴムを提供し;(c)液状ゴムを液体状態における熱可塑性物質と組み合わせ;および(d)熱可塑性物質を固体状態に変換することを含み;ここで、液状ゴムは25℃未満のガラス転移温度、≧1069g/モルの重量平均分子量を有し、かつ1以上の非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を含み;ここで、(a)は液状モノマーおよび液状オリゴマーを提供することを含み;(d)は液状モノマーおよび液状オリゴマーの組み合わせ物を重合させて、熱可塑性ポリマーを形成することを含み;ここで、液状ゴムは液状モノマーおよび液状オリゴマーの組み合わせ物に混和性であり、かつ固体状態における熱可塑性物質に非混和性である。これらの実施態様の幾つかの態様において、方法は、複合物質を押出加工、吹込成形、射出成形、カレンダー加工、熱成形または引き抜き成形により加工することをさらに含む。
【0076】
本発明の幾つかの実施態様において、熱可塑性ポリマーの靭性を改善する方法は:(a)液体状態における熱可塑性物質を提供し;(b)液状ゴムを提供し;(c)液状ゴムを液体状態における熱可塑性物質と組み合わせ;および(d)熱可塑性物質を固体状態に変換することを含み;ここで、液状ゴムは25℃未満のガラス転移温度、≧1069g/モルの重量平均分子量を有し、かつ1以上の非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を含み;ここで、(a)は溶融した熱可塑性ポリマーを提供することを含み;(d)は溶融した熱可塑性ポリマーを冷却することを含み;およびここで、液状ゴムは溶融した熱可塑性ポリマーに混和性であり、かつ固体状態における熱可塑性物質に非混和性である。これらの実施態様の幾つかの態様において、方法は、複合物質を押出加工、吹込成形、射出成形、カレンダー加工、熱成形または引き抜き成形により加工することをさらに含む。
【0077】
本発明の幾つかの実施態様において、熱可塑性ポリマーの靭性を改善する方法は:(a)固体状態における熱可塑性物質を提供し;(b)液状ゴムを提供し;(c)液状ゴムを固体状態における熱可塑性物質と組み合わせ;(d)熱可塑性物質を溶融させることにより、熱可塑性物質を液体状態に変換して、溶融熱可塑性ポリマーを提供し;および(e)熱可塑性物質を冷却することにより固体状態に戻すことを含み;ここで、液状ゴムは25℃未満のガラス転移温度、≧1069g/モルの重量平均分子量を有し、かつ1以上の非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を含み;ここで、液状ゴムは溶融した熱可塑性ポリマーに混和性であり、かつ固体状態における熱可塑性物質に非混和性である。これらの実施態様の幾つかの態様において、方法は、複合物質を押出加工、吹込成形、射出成形、カレンダー加工、熱成形または引き抜き成形により加工することをさらに含む。
【0078】
本発明の幾つかの実施態様において、熱可塑性物質の靭性を改善する方法は、熱可塑性物質の靭性の増加を提供する。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムを添加することにより、熱可塑性物質の靭性が≧5%改善される。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムを添加することにより、熱可塑性物質の靭性が≧25%改善される。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムを添加することにより、熱可塑性物質の靭性が≧50%改善される。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムを添加することにより、熱可塑性物質の靭性が≧75%改善される。これらの実施態様の幾つかの態様において、液状ゴムを添加することにより、熱可塑性物質の靭性が≧100%改善される。これらの実施態様の幾つかの態様において、靭性はASTM D256−06の標準的試験法に従った測定法により決定される。これらの実施態様の幾つかの態様において、靭性はASTM D5045−99の標準的試験法にしたがった測定法により決定される。
【0079】
本発明の幾つかの実施態様において、複合物質は、例えば、包装物質、自動車部品、食品用トレイ、携帯電話ハウジング、および電子装置用ハウジングにおいて用いられる。
【0080】
本発明の幾つかの実施態様を以下の実施例において詳細に説明する。実施例において記載されるすべての分率およびペルセンテージは特に記載しない限り重量基準である。
【実施例】
【0081】
実施例1
液状ゴムの製造
次のようにして、連続流撹拌槽リアクター(CFSTR)中でのフリーラジカル重合により液状ゴムを製造した。n−ブチルアクリレート(BA)、メチルメタクリレート(MMA)、およびグリシジルメタクリレート(GMA)(重量比90:5:5)からモノマー混合物を製造した。ジ−ターシャリーブチルペルオキシド(DTBP、モノマーの合計重量基準で4重量ペルセント)および溶媒/連鎖移動剤(キシレン、装填されたモノマーの合計重量基準で20重量ペルセント)をガラス容器中の混合物に添加した。混合物を不活性ガス(窒素)でペルジし、次いで脱気し、窒素ブランケット下にて貯蔵した。リアクターをグローブバルブにより125psiの外圧および200℃の一定温度に設定した。温度が安定化する数秒以内に、モノマー混合物を高容量ポンプ(流量=60グラム/分)によりリアクター中に連続して導入した。全混合物を300rpmで撹拌した。混合物を10分以内で重合させ、その結果、92〜95重量ペルセントのモノマー転化率が得られた。残存するモノマーおよび溶媒を真空液化により除去して、最終生成物である、重量比90/5/5を有するp(BA/MMA/GMA)を得た。
【0082】
NMR分光分析は、生成物が約0.72モルのBA由来の末端単位、30.75モルのBA由来の内部単位、1.30モルのGMA由来の内部単位、1.30モルのトルエン由来の末端単位、および1.65モルのメチルメタクリレート由来の単位を含むことを示した。NMR分光分析はさらに、ベンジル基(キシレン由来)がポリマー鎖中に導入されたことも示した。開始剤フラグメントはポリマー鎖において検出されなかった。
【0083】
実施例2
液状ゴムの製造
次のようにして、連続流撹拌槽リアクター(CFSTR)中でのフリーラジカル重合により液状ゴムを製造した。BA(200.2グラム)、MMA(200.2グラム)、GMA(22.23グラム)、およびDTPB(モノマーの重量基準で4%、16.90グラム)を含有するモノマー混合物を製造した。この混合物+溶媒/連鎖移動剤(キシレン、181.13グラム、全反応混合物の30重量ペルセント)をガラス容器中に供給し、この容器中で混合物を脱気し、不活性雰囲気(窒素)下で貯蔵した。リアクター圧をグローブバルブにより外部から125psiに設定した。混合物を不活性ガス(窒素)でペルジし、次いで脱気し、窒素ブランケット下て貯蔵した。200℃のリアクター設定温度が安定化する数秒以内に、モノマー混合物を高容量ポンプ(流量=60グラム/分)によりリアクター中に連続して導入した。全混合物を反応中300rpmで撹拌した。混合物を10分以内で重合させ、その結果、92〜95重量ペルセントのモノマー転化が得られた。残存するモノマーおよび溶媒を真空液化により除去して、最終生成物である、重量比47.5/47.5/5を有するp(BA/MMA/GMA)を得た。
【0084】
NMR分光分析は、生成物が約1.15モルのBA由来の末端単位、7.57モルのBA由来の内部単位、0.65モルのGMA由来の内部単位、0.53モルのキシレン由来、および5.68モルのメチルメタクリレート由来の内部単位を含むことを示した。メチルメタクリレート由来の末端単位も存在した。NMR分光分析はさらに、ベンジル基(キシレン由来)がポリマー鎖中に導入されたことも示した。メチルメタクリレート単位もポリマー中にメチルメタクリレートの二量体の形態で導入される。開始剤フラグメントはポリマー鎖において検出されなかった。
【0085】
実施例3
米国特許出願公開第2003/0022992A1号に記載される手順に従った連続流反応を用いて液状ゴムを製造した。モノマー(BA、MMA、およびGMA)、開始剤(3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルブタン、典型的にはモノマーの4重量ペルセント)、および溶媒(キシレン、合計反応混合物の20重量%)を混合し、窒素でペルジされたガラス容器中に供給した。ペルジ後、混合物を脱気し、窒素ブランケット下に保持した。混合物を次いで12g/分の速度で一連のフィルターを通して600mLのCFSTR中に注入し、ここでモノマーを共重合させて、液状ゴムポリマー生成物を得た。反応条件は次の通りであった:温度:260〜300;圧力:300〜800psi;反応物質流速:10〜15g/分;リアクター中の滞留時間:40〜60分。モノマーのポリマーへの変換率は典型的には92〜95重量ペルセントであった。残留モノマーおよび溶媒を真空液化により除去して、80.8/14.2/5の重量比を有するp(BA/MMA/GMA)を得た。
【0086】
実施例4
液状ゴムの製造
キシレンを溶媒として全反応混合物の20重量ペルセントの量で用いる以外は、液状ゴムDに関して記載された手順にしたがって液状ゴムを製造し、重量比47.5/47.5/5を有するp(BA/MMA/GMA)を得た。
【0087】
比較例5
熱可塑性物質w/o液状ゴム
200gのポリラクチドポリマー(Nature Works LLCからPLA2002Dとして市販)をCollin電気加熱二本ロールミルで、175℃で5分間加工した。結果として得られた物質を次いで180℃で5分間1/8インチ(0.3715cm)プラークにプレスした。プラークを室温で4.5分間冷却した後、固体パネルを取り出し、ASTM標準試験手順に従って評価するために試験片を切り取った。ニートな樹脂パネルの物理的および機械的特性を表1に示す。
【0088】
実施例6
180グラムのポリラクチドポリマー(PLA2002D)を実施例1に従って製造された20グラムの液状ゴムと組み合わせた。組み合わせ物をCollin電気加熱二本ロールミルで、175℃で5分間溶融ブレンドした。この期間の最後で、ブレンドを180℃で5分間1/8インチ(0.3715cm)にプレスした。プラークを室温で4.5分間冷却した後、固体パネルを取り出し、ASTM標準試験手順に従って評価するために試験片を切り取った。ニート樹脂パネル物理的および機械的特性を表1に示す。
【0089】
実施例7
複合物質の製造
170グラムのポリラクチドポリマー(PLA2002D)を実施例1に従って製造された30グラムの液状ゴムと組み合わせた。組み合わせ物をCollin電気加熱二本ロールミルで、175℃で5分間溶融ブレンドした。この期間の最後で、ブレンドを180℃で5分間1/8インチ(0.3715cm)プラークにプレスした。プラークを室温で4.5分間冷却した後、固体パネルを取り出し、ASTM標準試験手順に従って評価するために試験片を切り取った。ニート樹脂パネルの物理的および機械的特性を表1に示す。
【0090】
比較例8
複合物質の製造
180グラムのポリラクチドポリマー(PLA2002D)を20グラムの液状ゴム(47.5BA/47.5MMA/5GMA)と組み合わせた。組み合わせ物をCollin電気加熱二本ロールミルで、175℃で5分間溶融ブレンドした。この期間の最後で、ブレンドを180℃で5分間1/8インチ(0.3715cm)プラークにプレスした。プラークを室温で4.5分間冷却した後、固体パネルを取り出し、ASTM標準試験手順に従って評価するために試験片を切り取った。プラークは光学的に透明であることが観察され、このことは、液状ゴムが固体状態における熱可塑性物質と混和性であることを示す。ニート樹脂パネルの物理的および機械的特性を表1に示す。
【0091】
比較例9
複合物質の製造
170グラムのポリラクチドポリマー(PLA2002D)を30グラムの液状ゴム(47.5BA/47.5MMA/5GMA)と組み合わせた。組み合わせ物をCollin電気加熱二本ロールミルで、175℃で5分間溶融ブレンドした。この期間の最後で、ブレンドを180℃で5分間1/8インチ(0.3715cm)プラークにプレスした。プラークを室温で4.5分間冷却した後、固体パネルを取り出し、ASTM標準試験手順に従って評価するために試験片を切り取った。プラークは光学的に透明であることが観察され、このことは、液状ゴムが固体状態における熱可塑性物質と混和性であることを示す。ニート樹脂パネルの物理的および機械的特性を表1に示す。
【0092】
【表1】

【0093】
T 標準的試験法ASTM D256−06に従って室温で測定
K 標準的試験法ASTM D256−06に従って0℃で測定
【0094】
比較例10
非液状ゴム含有熱可塑性物質
各実験において、2000グラムのオーブン乾燥されたPMMA樹脂(Elf Ato Chemから、1.49の屈折率を有するV−826−100として入手可能)を200〜234℃の成形温度で射出成形した。ASTM標準に従った分析のために試験片を射出成形品から製造した。これらの分析の結果を表2に示す。
【0095】
比較例11
非液状ゴム含有熱可塑性物質
MMAモノマー、0.19重量%(モノマーの重量基準)の非発泡性ニトリル触媒(2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)Akzo Nobelから市販されているAIBN)および0.06重量%(モノマーの重量基準)のペルオキシド開始剤(Elf AtochemからLupersol70として市販されているt−ブチルペルオキシアセテート)および0.1重量%(モノマーの重量基準)連鎖移動剤(n−DDM)を含む樹脂混合物を次の手順に従って製造した。
【0096】
MMAモノマー(1000グラム)を樹脂釜に添加し、15分間乾燥窒素でスペルジした。15分間の最後で、樹脂釜の内容物を減圧(635mmHg)下に置き、15分間脱気した。連鎖移動剤を次いで樹脂釜に添加し、続いて激しく混合して、均一な混合物を得た。触媒および開始剤を次いで樹脂釜の内容物に添加した。この添加後、樹脂釜の内容物を15分間脱気して、混合プロセスの結果取り込まれた気泡を除去した。液体混合物の硬化前に、閉鎖アルミニウム金属型を排気して635mmHgに減圧した。樹脂釜の脱気内容物を50psiの背圧の助力を得て型中に注入した。充填後、型を硬化サイクルの間、垂直な位置に置いた。型をあらかじめ65℃に加熱された熱風乾燥器中に型を置くことにより樹脂を続いて硬化させた。樹脂をこの温度で最低17時間硬化させた。この第一サイクルの最後で、オーブン温度を120℃に上昇させ、硬化を熱風乾燥器中でさらに1時間続けた。加熱サイクルの後半はシートキャスティング操作の後硬化部分と見なされた。硬化後、型を周囲温度に冷却した後、固体パネルを取り出し、試験片をASTM標準D5045に従った破壊靱性分析のために製造した。結果を表2に示す。
【0097】
実施例12〜14
複合物質の製造
MMAモノマー、実施例1に従って製造された液状ゴム、0.19重量%(モノマーの重量基準)の非発泡性ニトリル触媒(2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)Akzo Nobelから市販されているAIBN)および0.06重量%(モノマーの重量基準)のペルオキシド開始剤(Lupersol 70としてElf Atochemからとして市販されているt−ブチルペルオキシアセテート)および0.1重量%(モノマーの重量基準)の連鎖移動剤(n−DDM)を含む樹脂混合物を次の手順に従って製造した。
【0098】
表3に示される量のMMAモノマーおよび液状ゴムを樹脂釜に添加し、15分間乾燥窒素でスペルジした。15分間の最後で、樹脂釜の内容物を減圧下(635mmHg)に置き、15分間脱気した。連鎖移動剤を次いで樹脂釜に添加し、続いて激しく混合して均一な混合物を得た。触媒および開始剤を次いで樹脂釜の内容物に添加した。この添加後、樹脂釜の内容物を15分間脱気して、混合プロセスの結果取り込まれた気泡を除去した。液体混合物の硬化前に、閉鎖アルミニウム金属型を排気して635mmHgに減圧した。樹脂釜の脱気内容物を50psiの背圧の助力を得て型中に注入した。充填後、型を硬化サイクルの間、垂直な位置に置いた。型をあらかじめ65℃に加熱された熱風乾燥器中に型を置くことにより樹脂を続いて硬化させた。樹脂をこの温度で最低17時間硬化させた。この第一サイクルの最後で、オーブン温度を120℃に上昇させ、硬化をさらに熱風乾燥器中でさらに1時間続けた。加熱サイクルの後半はシートキャスティング操作の後硬化部分と見なされた。硬化後、型を周囲温度に冷却した後、固体パネルを取り出し、試験片をASTM標準D5045に従った破壊靱性分析のために製造した。結果を表2に示す。
【0099】
【表2】

【0100】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)熱可塑性物質を提供し;
(b)液状ゴムを提供し;および
(c)液状ゴムを熱可塑性物質と組み合わせること:
を含む複合物質の製造方法であって;
液状ゴムが25未満のガラス転移温度、≧1069g/モルの重量平均分子量を有し、および1以上の非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を含み;前記液状ゴムが液体状態における熱可塑性物質に混和性であり、かつ固体状態における熱可塑性物質に非混和性である方法。
【請求項2】
押出加工、吹込成形、射出成形、カレンダー加工、熱成形および引き抜き成形の少なくとも1つにより複合物質を加工することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
熱可塑性物質を提供する(a)が液状モノマーを提供することを含む請求項1記載の方法であって、当該方法が(d)液状モノマーを重合することにより熱可塑性物質を固体状態に変換することをさらに含み;および液状ゴムが液状モノマーに混和性であり、かつ固体状態における熱可塑性物質に非混和性である、方法。
【請求項4】
熱可塑性物質を提供する(a)が液状オリゴマーを提供することを含む請求項1記載の方法であって;当該方法が(d)前記液状オリゴマーを重合することにより熱可塑性物質を固体状態に変換することをさらに含み;および液状ゴムが液状オリゴマーに混和性であり、かつ固体状態における熱可塑性物質に非混和性である、方法。
【請求項5】
熱可塑性物質を提供する(a)が溶融熱可塑性ポリマーを提供することを含む請求項1記載の方法であって;当該方法が(d)前記溶融熱可塑性ポリマーを冷却することにより、熱可塑性物質を固体状態に変換することをさらに含み;および液状ゴムが溶融熱可塑性ポリマーに混和性であり、かつ固体状態における熱可塑性物質に非混和性である、方法。
【請求項6】
熱可塑性物質と液状ゴムの組み合わせを提供することを含む熱可塑性物質の靭性を改善する方法であって;
液状ゴムが25未満のガラス転移温度、≧1069g/モルの重量平均分子量を有し、かつ1以上の非官能性芳香族末端基を有するポリマー鎖を含み;液状ゴムが液体状態における熱可塑性物質に混和性であり、かつ固体状態における熱可塑性物質に非混和性であり、および組み合わせられた熱可塑性物質と液状ゴムの靭性が液状ゴムの不在下での熱可塑性物質の靭性よりも大きい方法。

【公開番号】特開2010−275562(P2010−275562A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−200772(P2010−200772)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【分割の表示】特願2007−238968(P2007−238968)の分割
【原出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】