説明

非接触光書き込み装置

【課題】高い解像度で品質の向上した画像を記録できること。
【解決手段】結像レンズ8を、第2のブロック6のY方向への直線移動と共に半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1〜7a−mのライン方向(Y方向)に対して平行方向(Y方向)に往復移動(振動)する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触でリライタブルな感熱記録媒体に対してデータの記録及び消去を行う非接触光書き込み装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロイコ染料系、ジアゾ化合物系感熱材料を利用した感熱書き込み方式がある。又、特定温度で発色と消色とを繰り返すことを可能とする可逆性の感熱記録紙等がある。このようなリライタブルな感熱記録媒体に対して非接触でデータの記録及び消去を行う技術がある。例えば、特許文献1は、非接触で可逆性の感熱材料を顕色、消色する方法として赤外線を吸収し発熱する赤外線吸収層と感熱記録層とを順次基板上に積層した情報記録媒体を開示する。このうち感熱記録層は、感熱発色層又は金属薄膜層から成る。この感熱記録層は、赤外線吸収層の熱によって発色又は変色或いは溶融して除去される。又、特許文献1は、赤外線レーザの照射により赤外線吸収層を発熱させ、この熱により感熱記録層を発色又は変色或いは溶融して除去させる記録方法を開示する。
【特許文献1】特許第3266922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
赤外線レーザ等のレーザビームをリライタブルな感熱記録媒体に照射してデータの記録を行うとき、複数の印字ドット毎に感熱記録媒体上にレーザビームを照射することになる。この場合、レーザビームを照射する各印字ドット間の距離が離れると、感熱記録媒体上には、各印字ドットに対応する各像に隙間が生じてしまい、所謂飛び飛びの像として記録されてしまう。例えばレーザビームを出力する複数の発光点をライン状に配列した半導体レーザアレイがあるが、この半導体レーザアレイにおける各発光点の間隔が広いと、上記同様に、感熱記録媒体上には、飛び飛びの像として記録されてしまう。このため、感熱記録媒体上には、解像度が低く、品質の低下した画像が記録されてしまう。
【0004】
本発明の目的は、高い解像度で品質の向上した画像を記録できる非接触光書き込み装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の主要な局面に係る非接触光書き込み装置は、リライタブルな感熱記録媒体に対してデータの記録及び消去を行う非接触光書き込み装置において、レーザビームをそれぞれ発光する複数の発光点をライン状に配置して成る半導体レーザアレイと、半導体レーザアレイのライン方向に対して平行方向に往復移動可能で、かつ半導体レーザアレイから発光された各レーザビームを結像する結像レンズとを具備する。
【0006】
本発明の主要な局面に係る別の非接触光書き込み装置は、リライタブルな感熱記録媒体に対してデータの記録及び消去を行う非接触光書き込み装置において、レーザビームをそれぞれ発光する複数の発光点をライン状に配置して成る半導体レーザアレイと、半導体レーザアレイのライン方向に対して平行方向に往復移動可能で、かつ半導体レーザアレイから発光された各レーザビームを結像する結像レンズと、半導体レーザアレイと結像レンズとの間に配置され、半導体レーザアレイのライン方向に対して垂直な断面内にパワーを有し、かつライン方向に対して平行な断面内にパワーを有しないシリンドリカルレンズと、半導体レーザアレイとシリンドリカルレンズとを固定して設ける第1のブロックと、結像レンズを保持する第2のブロックと、第1のブロックを固定し、かつ第2のブロックを半導体レーザアレイのライン方向に対して平行方向に往復移動可能に設けるベースブロックと、結像レンズを保持する第2のブロックをベースブロック上に半導体レーザアレイのライン方向に対して平行方向に往復移動させる駆動装置とを具備する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高い解像度で品質の向上した画像を記録できる非接触光書き込み装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1及び図2は非接触光書き込み装置の構成図を示し、図1は正面図、図2は側面図を示す。かかる非接触光書き込み装置1は、例えばダンボール又はコンテナ等の物体2に対して貼り付けられている感熱記録媒体3に対して当該物体2に関するデータ、例えば物体2内に収納されている品物等の価格、品物等に関するデータ等を記録する。
【0009】
感熱記録媒体3は、特定温度の加熱制御により発色と消色とを繰り返し、感熱記録、感熱消去を可能とするリライタブルな可逆性の媒体である。この感熱記録媒体3には、高出力の発振波長のレーザビームを熱に変換する膜が塗布されている。これにより、感熱記録媒体3は、図3に示すようにレーザビームの照射を受けて温度T1、例えば130℃を超えて加熱して冷却すると消去モードになり、温度T1以上の温度T2、例えば180℃を超えて加熱して冷却すると発色モードになって発色する。しかるに、感熱記録媒体3は、発色と消色とを加熱温度と冷却温度とで制御され、繰り返して使用可能である。
【0010】
非接触光書き込み装置1は、ベースブロック4を備え、このベースブロック4上に第1のブロック5が固定して設けられると共に、第2のブロック6がY方向に移動可能に設けられている。このうち第1のブロック5上には、半導体レーザアレイ7が設けられている。この半導体レーザアレイ7は、例えば図4に示すようにレーザビームをそれぞれ発光する複数の発光点7a−1〜7a−mをライン状に配置して成る。そして、この半導体レーザアレイ7は、複数の発光点7a−1〜7a−mをライン方向をY方向に一致させて第1のブロック5上に固定されている。この半導体レーザアレイ7は、各発光点7a−1〜7a−mから各レーザビームを発光することによりライン状のレーザビーム7bを出力する。この半導体レーザアレイ7は、近赤外領域、例えば750nm〜1000nmの近赤外領域のうち例えば880nmの発光波長λを有し、かつ数Wの高出力を有する。この半導体レーザアレイ7は、例えば放熱板に固定されている。この放熱板は、強制冷却によって半導体レーザアレイ7の発熱を放熱する。なお、この半導体レーザアレイ7は、例えばレーザプリンタ、レーザポインタ、DVDプレーヤ等に既に使用されている低出力の半導体レーザ(LD)と同一の広がり角、出力−電流特性、温度特性を有する。
【0011】
第2のブロック6上には、結像レンズ8が設けられている。この結像レンズ8は、半導体レーザアレイ7から発光されるライン状のレーザビーム7bの光軸上に設けられ、半導体レーザアレイ7から発光されるライン状のレーザビーム7bを感熱記録媒体3上に結像する。この結像レンズ8は、半導体レーザアレイ7の両端部と中央部とでケラレの状態が相違しない程度の大きさに形成されている。すなわち、結像レンズ8における半導体レーザアレイ7のライン方向(Y方向)に対応する方向の長さは、半導体レーザアレイやのライン方向の長さよりも長くし、口径を大きくするように形成されている。又、結像レンズ8における半導体レーザアレイ7のライン方向に対して垂直方向に対応する方向の長さ、すなわち結像レンズ8の厚みは、当該結像レンズ8の中央部分のみ結像に寄与することから例えばケラレを生じない程度の厚みを有する直方体状等に形成されている。なお、結像レンズ8と半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1〜7a−mとの間の距離をAとし、結像レンズ8と当該結像レンズ8の結像位置との間の距離をBとする。
【0012】
ベースブロック4上には、モータ等からなる駆動装置9が設けられている。この駆動装置9は、結像レンズ8を保持する第2のブロック6をベースブロック4上に、半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1〜7a−mのライン方向(Y方向)に対して平行方向(Y方向)に往復移動させる。すなわち、駆動装置9は、回転軸9aを備える。この回転軸9aは、レーザビーム7bの出射方向と同一方向(X方向)と平行に設けられている。この回転軸9aと第2のブロック6との間には、運動変換器10が介在する。この運動変換器10は、回転軸9aの回転運動を第2のブロック6のY方向の直線運動に変換するもので、例えばラックーピニオン等が設けられている。駆動装置9は、例えば時計回りCW(Clock Wise)の方向と、反時計回りCCW(Counter Clock Wise)の方向とに回転可能で、時計回りCWと反時計回りCCWとを交互に繰り返すことで、運動変換器10を介して第2のブロック6上の結像レンズ8をY方向に往復移動すなわち振動させることを可能とする。
【0013】
一方、主制御部11は、感熱記録媒体3に記録すべきデータDを受けると、結像レンズ8の往復移動の指令を往復移動制御部12に発すると共に、データDの記録指令を記録制御部13に発する。往復移動制御部12は、往復移動の指令を受けると、駆動装置9に対して時計回りCWと反時計回りCCWとを交互に繰り返す駆動制御信号を送出する。駆動装置9は、往復移動制御部12からの時計回りCWと反時計回りCCWとを交互に繰り返す駆動制御信号を受けると、回転軸9aを時計回りCWと反時計回りCCWとに交互に繰り返して回転させる。この回転軸9aの時計回りCWと反時計回りCCWとの各回転は、共に運動変換器10によりY方向への直線運動に変換されて第2のブロック6に伝達される。これにより、結像レンズ8は、第2のブロック6のY方向への直線移動と共に半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1〜7a−mのライン方向(Y方向)に対して平行方向(Y方向)に往復移動(振動)する。
【0014】
結像レンズ8のY方向への往復移動の移動量Δdは、例えば当該結像レンズ8の倍率n分の1に設定される。すなわち、図4に示すように半導体レーザアレイ7における各発光点7aの配列ピッチをP1とし、結像レンズ8をY方向に往復移動したときの例えば配列ピッチP1の間隔を有する2つの発光点から発光される各レーザビーム7b−1、7b−2の感熱記録媒体3上での結像点の間隔をP2とすると、結像レンズ8と半導体レーザアレイ7の各発光点7aとの間の距離がA、結像レンズ8と当該結像レンズ8の結像位置との間の距離がBであるので、
P2=P1・(B/A) …(1)
結像レンズ8の倍率nは、B/Aであるので、
P2=P1・n …(2)
の関係が成り立つ。しかるに、駆動装置9は、上記式(2)の関係が成り立つように結像レンズ8の倍率n分の1に相当する移動量Δdで結像レンズ8を往復移動させる。なお、各レーザビーム7b−1、7b−2の感熱記録媒体3上での結像点の間隔P2は、結像レンズ8を移動量ΔdでY方向に往復移動したときの1つのレーザビーム、例えばレーザビーム7b−1の感熱記録媒体3上での移動距離に相当する。
【0015】
記録制御部13は、データDの記録指令を受けると、このデータDに基づいて半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1〜7a−mをそれぞれオン・オフ制御する。ここで、半導体レーザアレイ7の発光点7a−1に注目すると、この発光点7a−1に対するデータDは、例えば図5に示すように時系列のドットデータDa1、Da2、…、Dakから成る。これらドットデータDa1、Da2、…、Dakは、それぞれ発光点7a−1からレーザビームを出力するか否かの情報を含む。従って、記録制御部13は、発光点7a−1に対して時系列のドットデータDa1、Da2、…、Dakに従って発光点7a−1をオン・オフ制御する。この発光点7a−1に対するオン・オフ制御により感熱記録媒体3上には、図6に示すように各ドットデータDa1、Da2、…、Dakに対応する各印字ドットRa1、Ra2、…、Rakが記録される。なお、発光点7a−1のオン・オフ制御のとき感熱記録媒体3は、例えばZ方向に一定の速度で送られている。
【0016】
なお、データDは、他の発光点7a−2〜7a−mに対しても同様なドットデータを含むので、記録制御部13は、発光点7a−1に対するオン・オフ制御と同様に、各発光点7a−2〜7a−mに対してそれぞれ時系列の各ドットデータに従って各発光点7a−2〜7a−mをそれぞれオン・オフ制御する。これにより、感熱記録媒体3上には、他の発光点7a−2〜7a−mの各オン・オフに応じて各印字ドットが記録される。
【0017】
これに対して記録制御部13は、結像レンズ8を往復移動しているとき、例えば図5に示す各ドットデータDa1、Da2、…、Dakの間に、これらドットデータDa1、Da2、…、Dakに基づくドット間データを作成し、当該ドット間データに基づいて半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1〜7a−mをオン・オフ制御する。
例えば図7に示すように発光点7a−1に注目すると、記録制御部13は、発光点7a−1の各ドットデータDa1、Da2、…、Dakの各間、例えば各ドットデータDa1、Da2間に、これらドットデータDa1、Da2に基づく時系列の各ドット間データDa1−1、Da1−2、Da1−3、Da2−3、Da2−2、Da2−1を作成し、これらドットデータDa1、Da2とドット間データDa1−1、Da1−2、Da1−3、Da2−3、Da2−2、Da2−1とに基づいて半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1〜7a−mを順次オン・オフ制御する。
【0018】
この場合、時系列の各ドット間データDa1−1、Da1−2、…、Da2−1のうち例えば2分の1、すなわち前半の各ドット間データDa1−1、Da1−2、Da1−3は、例えばドットデータDa1と同一のオン又はオフの情報を含み、後半の各ドット間データDa2−3、Da2−2、Da2−1は、例えばドットデータDa2と同一のオン又はオフの情報を含む。そして、これらドット間データDa1−1、Da1−2、Da1−3、Da2−3、Da2−2、Da2−1は、結像レンズ8が1往復移動するときのデータである。
なお、各ドットデータDa1、Da2間の各ドット間データDa1−1、Da1−2、…、Da2−1は、前半をドットデータDa1と同一のオン又はオフの情報とし、後半をドットデータDa2と同一のオン又はオフの情報としているが、これに限らず、各ドット間データにおけるドットデータDa1とDa2との情報の割合を任意に変更してもよい。他の各ドットデータDa2、…、Dakの各間の各ドット間データも同様に、当該ドットデータDa2、…、Dakの各間の情報の割合を任意に変更してもよい。
【0019】
しかるに、記録制御部13は、結像レンズ8を往復移動しているとき、例えば発光点7a−1に対する時系列のドットデータDa1、Da2、…、Dakに、時系列の各ドット間データDa1−1、Da1−2、Da1−3、Da2−3、Da2−2、Da2−1を加え、この結果である各ドットデータDa1、Da1−1、Da1−2、Da1−3、Da2−3、Da2−2、Da2−1、Da2、…、Dakに従って発光点7a−1を順次オン・オフ制御する。この発光点7a−1に対するオン・オフ制御により感熱記録媒体3上には、例えば図8に示すように各ドットデータDa1、Da1−1、Da1−2、…、Da2、…、Dakに対応する各印字ドットRa1、Ra1−1、Ra1−2、…、Ra2、…、Rakが記録される。なお、発光点7a−1のオン・オフ制御のとき感熱記録媒体3は、例えばZ方向に一定の速度で送られている。そして、各印字ドットRa1、Ra1−1、Ra1−2、…、Ra2、…、Rakは、感熱記録媒体3上におけるレーザビームの結像点の移動距離P2内に記録される。
【0020】
なお、ドット間データは、他の発光点7a−2〜7a−mに対しても同様に含むので、記録制御部13は、発光点7a−1に対するオン・オフ制御と同様に、各発光点7a−2〜7a−mに対してそれぞれ時系列の各ドット間データを加えたデータに従って各発光点7a−2〜7a−mをそれぞれオン・オフ制御する。
又、上記記録制御部13は、例えば発光点7a−1に対する時系列のドットデータDa1、Da2の間に、6つのドット間データDa1−1、Da1−2、…、Da2−1を加えているが、これに限らず、例えば結像レンズ8の往復する移動スピートに応じてドット間データの数を決定してもよい。
【0021】
次に、上記の如く構成された装置によるデータの記録動作について説明する。
感熱記録媒体3に記録すべきデータDが主制御部11に入力されると、この主制御部11は、結像レンズ8の往復移動の指令を往復移動制御部12に発すると共に、データDの記録指令を記録制御部13に発する。このうち往復移動制御部12は、往復移動の指令を受けると、駆動装置9に対して時計回りCWと反時計回りCCWとを交互に繰り返す駆動制御信号を送出する。
【0022】
駆動装置9は、時計回りCWと反時計回りCCWとを交互に繰り返す駆動制御信号を受けると、回転軸9aを時計回りCWの方向と反時計回りCCWの方向とに交互に繰り返して回転させる。この回転軸9aの時計回りCWと反時計回りCCWとの各回転は、運動変換器10によりY方向への直線運動に変換されて第2のブロック6に伝達される。これにより、結像レンズ8は、図9に示すように2のブロック6のY方向への直線移動と共に半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1〜7a−mのライン方向(Y方向)に対して平行方向(Y方向)に往復移動する。
【0023】
このときの結像レンズ8のY方向への往復移動の移動量Δdは、例えば上記式(2)の関係が成り立つように結像レンズ8の倍率n分の1に設定される。このように結像レンズ8がY方向に往復移動の移動量Δdで往復移動すると、半導体レーザアレイ7における配列ピッチP1で配列されている複数の発光点7a−1〜7a−mから発光される各レーザビームは、図9に示すようにそれぞれ結像レンズ8を通ることにより当該半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1〜7a−mのライン方向(Y方向)と同一方向に走査される。しかるに、複数の発光点7a−1〜7a−mから発光される各レーザビームは、感熱記録媒体3上において上記式(2)の関係が成り立つための結像点の間隔P2の範囲内で走査される。
【0024】
一方、記録制御部13は、データDの記録指令を受けると、結像レンズ8を往復移動しているとき、例えば図5に示す各ドットデータDa1、Da2、…、Dakの間に、これらドットデータDa1、Da2、…、Dakに基づくドット間データを作成し、当該ドット間データに基づいて半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1〜7a−mをオン・オフ制御する。
例えば図7に示すように発光点7a−1に注目すると、記録制御部13は、発光点7a−1の各ドットデータDa1、Da2、…、Dakの各間、例えば各ドットデータDa1、Da2間に、これらドットデータDa1、Da2に基づく時系列の各ドット間データDa1−1、Da1−2、Da1−3、Da2−3、Da2−2、Da2−1を作成する。これらドット間データDa1−1、Da1−2、Da1−3、Da2−3、Da2−2、Da2−1は、結像レンズ8が1往復移動するときのデータであり、かつこれらドット間データDa1−1、Da1−2、…、Da2−1のうち例えば2分の1、すなわち前半の各ドット間データDa1−1、Da1−2、Da1−3は、例えばドットデータDa1と同一のオン又はオフの情報を含み、後半の各ドット間データDa2−3、Da2−2、Da2−1は、例えばドットデータDa2と同一のオン又はオフの情報を含む。そして、記録制御部13は、これらドット間データDa1−1、Da1−2、Da1−3、Da2−3、Da2−2、Da2−1に基づいて半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1〜7a−mを順次オン・オフ制御する。
【0025】
しかるに、記録制御部13は、結像レンズ8を往復移動しているとき、例えば発光点7a−1に対する時系列のドットデータDa1、Da2、…、Dakに、時系列の各ドット間データDa1−1、Da1−2、Da1−3、Da2−3、Da2−2、Da2−1を加え、この結果である各ドットデータDa1、Da1−1、Da1−2、Da1−3、Da2−3、Da2−2、Da2−1、Da2、…、Dakに従って発光点7a−1を順次オン・オフ制御する。このオン・オフ制御により発光点7a−1から発光したレーザビームは、往復移動している結像レンズ8により半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1〜7a−mのライン方向(Y方向)と同一方向に走査されて感熱記録媒体3上に結像される。なお、発光点7a−1がオン・オフ制御しているとき、感熱記録媒体3は、例えばZ方向に一定の速度で送られている。
【0026】
この結果、感熱記録媒体3上には、例えば図8に示すように各ドットデータDa1、Da1−1、Da1−2、…、Da2、…、Dakに対応する各印字ドットRa1、Ra1−1、Ra1−2、…、Ra2、…、Rakが記録される。これら印字ドットRa1、Ra1−1、Ra1−2、…、Ra2、…、Rakの軌跡は、結像レンズ8による半導体レーザアレイ7のライン方向(Y方向)への走査と、感熱記録媒体3のZ方向への送り速度とにより正弦波状になる。
【0027】
なお、データDは、他の発光点7a−2〜7a−mに対しても同様なドットデータを含むので、記録制御部13は、結像レンズ8を往復移動しているとき、発光点7a−1に対するオン・オフ制御と同様に、各発光点7a−2〜7a−mに対してもそれぞれ時系列の各ドットデータの間に、これらドットデータに基づくドット間データを作成し、ドットデータとドット間データとに基づいて半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1〜7a−mをオン・オフ制御する。これにより、感熱記録媒体3上には、他の発光点7a−2〜7a−mの各オン・オフに応じて各印字ドットが記録される。
【0028】
すなわち、感熱記録媒体3上にレーザビームが照射されて例えば図3に示すように融点180℃以上になると、感熱記録媒体3中における印字層中に存在する染料と顕色剤とが溶け合った状態になり、この状態から急冷することにより染料と顕色剤とが混ざり合ったまま結晶化して例えば黒色等に発色する。これにより、感熱記録媒体3上に物体2に関するデータ、例えば物体2内に収納されている品物等の価格、品物等に関するデータ等が記録される。又、感熱記録媒体3上にライン状のレーザビームが照射され、感熱記録媒体3が例えば約130℃〜180℃程度に加熱されると、染料と顕色剤とが徐々に分離して結晶化し、消色状態となる。これにより、感熱記録媒体3上のデータが消去される。
【0029】
このように上記第1の実施の形態によれば、結像レンズ8を、第2のブロック6のY方向への直線移動と共に半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1〜7a−mのライン方向(Y方向)に対して平行方向(Y方向)に往復移動(振動)する。これにより、半導体レーザアレイ7における各発光点7a−1〜7a−mの配列ピッチP1の間隔が広くても、これら発光点7a−1〜7a−m間隔が広いことによる影響を受けて感熱記録媒体上に飛び飛びの像として記録されることがなく、高品質の画像を記録できる。
【0030】
例えば発光点7a−1に対する時系列のドットデータDa1、Da2、…、Dakに、時系列の各ドット間データDa1−1、Da1−2、Da1−3、Da2−3、Da2−2、Da2−1を加え、この結果である各ドットデータDa1、Da1−1、Da1−2、Da1−3、Da2−3、Da2−2、Da2−1、Da2、…、Dakに従って発光点7a−1を順次オン・オフ制御するので、例えば感熱記録媒体3上には、各印字ドットRa1、Ra2の間を補間するように各印字ドットRa1−1、Ra1−2、…、Ra2−1を記録することができる。
従って、感熱記録媒体3上には、飛び飛びの像を記録することがなく、高い解像度で、高い品質の画像を記録できる。
【0031】
又、結像レンズ8の倍率n分の1に相当する移動量Δdで往復移動するので、モータ等からなる駆動装置9と、例えばラックーピニオン等の運動変換器10とにより簡単な構成で実現できる。これにより、結像レンズ8を往復移動するだけなので、駆動装置9に係る負荷も小さくで済み、スムーズな往復移動を実現できる。従って、半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1〜7a−mから発光された各レーザビームを感熱記録媒体3上に走査するのに、例えばポリゴンミラー又はスキャンモータ等を用いる必要がない。
半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1〜7a−mの配列ピッチP1を結像レンズ8により拡大した間隔P2の範囲内で各発光点7a−1〜7a−mから発光された各レーザビームを感熱記録媒体3上に走査するので、結像レンズ8の往復の移動量Δdは、その倍率n分の1に相当する微小な移動量Δdでよい。
又、例えばダンボール又はコンテナ等の物体2に貼られている感熱記録媒体3に対して非接触でデータの記録又は消去ができるので、感熱記録媒体3の長寿命化を図ることができる。
【0032】
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1及び図2と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
図10及び図11は非接触光書き込み装置の構成図を示し、図10は正面図、図11は側面図を示す。かかる非接触光書き込み装置1は、第1のブロック5上には、半導体レーザアレイ7と共に、シリンドリカルレンズ20が固定されている。このシリンドリカルレンズ20は、半導体レーザアレイ7と結像レンズ8との間に配置される。このシリンドリカルレンズ20は、半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1、7a−1、…、7a−mから発光された各レーザビームを半導体レーザアレイ7のライン方向に対して垂直方向に結像する。このシリンドリカルレンズ20は、半導体レーザアレイ7のライン方向に対して垂直方向にパワーを有し、かつ半導体レーザアレイ7のライン方向に対応する方向の長さが当該半導体レーザアレイ7のライン方向の長さよりも長く形成されている。しかるに、シリンドリカルレンズ20は、半導体レーザアレイ4の各発光点7a−1、7a−1、…、7a−mから発光された各レーザビームの放射方向を狭めて結像レンズ8におけるケラレ等によるロス分を極力低減する。
【0033】
次に、上記の如く構成された装置の動作について説明する。
感熱記録媒体3に記録すべきデータDが主制御部11に入力されると、上記同様に、結像レンズ8は、図9に示すように2のブロック6のY方向への直線移動と共に、半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1〜7a−mのライン方向(Y方向)に対して平行方向(Y方向)に往復移動する。
この状態に、半導体レーザアレイ7は、各発光点7a−1〜7a−mからそれぞれ各レーザビームを発光する。これらレーザビームは、シリンドリカルレンズ20を通って結像レンズ8に入射する。このとき、シリンドリカルレンズ20は、半導体レーザアレイ7から出力された各レーザビームを当該半導体レーザアレイ7のライン方向に対して垂直方向に結像する。
【0034】
シリンドリカルレンズ20を通った各レーザビームは、それぞれ結像レンズ8を通ることにより当該半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1〜7a−mのライン方向(Y方向)と同一方向に走査される。しかるに、複数の発光点7a−1〜7a−mから発光される各レーザビームは、感熱記録媒体3上において上記式(2)の関係が成り立つための結像点の間隔P2の範囲内で走査される。
【0035】
一方、記録制御部13は、上記同様に、データDの記録指令を受けると、結像レンズ8を往復移動しているとき、例えば図5に示す各ドットデータDa1、Da2、…、Dakの間に、これらドットデータDa1、Da2、…、Dakに基づくドット間データを作成し、当該ドット間データに基づいて半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1〜7a−mをオン・オフ制御する。
この結果、感熱記録媒体3上には、例えば上記図8に示すのと同様に、各ドットデータDa1、Da1−1、Da1−2、…、Da2、…、Dakに対応する各印字ドットRa1、Ra1−1、Ra1−2、…、Ra2、…、Rakが記録される。これら印字ドットRa1、Ra1−1、Ra1−2、…、Ra2、…、Rakの軌跡は、結像レンズ8による半導体レーザアレイ7のライン方向(Y方向)への走査と、感熱記録媒体3のZ方向への送り速度とにより正弦波状になる。
【0036】
このように上記第2の実施の形態によれば、半導体レーザアレイ7と結像レンズ8との間にシリンドリカルレンズ20を配置した。これにより、半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1、7a−1、…、7a−mから発光された各レーザビームの広がり角が大きくても、これらレーザビームを半導体レーザアレイ7のライン方向に対して垂直方向に結像することによって、半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1、7a−1、…、7a−mから発光された各レーザビームの放射方向を狭めて結像レンズ8におけるケラレ等によるロス分を極力低減できる。この結果、半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1、7a−1、…、7a−mから発光された各レーザビームを効率良く感熱記録媒体3上の各印字ドットRa1、Ra1−1、Ra1−2、…、Ra2、…、Rakの記録に寄与できる。
【0037】
なお、上記第2の実施の形態は、半導体レーザアレイ7と結像レンズ8との間にシリンドリカルレンズ20を配置しているが、シリンドリカルレンズ20に代わってマイクロレンズを用いてもよい。このマイクロアレイレンズは、複数のマイクロレンズをライン状に配列して成るもので、これらマイクロレンズによって半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1、7a−1、…、7a−mから発光された各レーザビームをそれぞれ平行光にコリメートする。これにより、半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1、7a−1、…、7a−mから発光される各レーザビームの放射方向を狭めて結像レンズ8におけるケラレ等によるロス分を極力低減できる。
【0038】
次に、本発明の変形例について説明する。
距離センサを第1のブロック5上に設ける。この距離センサは、感熱記録媒体3までの距離を測定し、その距離測定信号を出力する。この距離センサは、半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1、7a−1、…、7a−mと同一位置に設けられていれば、半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1、7a−1、…、7a−mと感熱記録媒体3との間の物像間距離を測定するものとなる。
【0039】
主制御部11は、距離センサから出力される距離測定信号を入力し、感熱記録媒体3までの距離の測定結果に基づいて結像レンズ8を半導体レーザアレイ7から出力される各レーザビームの光軸方向と同一方向に移動させて各レーザビームを感熱記録媒体3上に結像させるように制御する。例えば、レンズ移動機構は、主制御部11から出力される制御信号に従って結像レンズ8を各レーザビームの光軸方向と同一方向に移動させる。このレンズ移動機構は、例えばモータと、このモータの軸の回転を直線運動に変換する例えばラックーピニオン機構等の回転−直線運動変換機構とから成る。
【0040】
このような構成であれば、半導体レーザアレイ7は、各発光点7a−1、7a−1、…、7a−mからそれぞれ各レーザビームを発光する。結像レンズ8は、上記同様に、半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1〜7a−mのライン方向(Y方向)に対して平行方向(Y方向)に往復移動し、かつ半導体レーザアレイ7から出力された各レーザビームを感熱記録媒体3上に結像する。
【0041】
このとき、距離センサは、感熱記録媒体3までの距離を測定し、その距離測定信号を出力する。主制御部11は、距離センサから出力される距離測定信号を入力し、感熱記録媒体3までの距離の測定結果に基づいて結像レンズ8を半導体レーザアレイ7から出力される各レーザビームの光軸方向と同一方向に移動させる。これにより、各レーザビームは、半導体レーザアレイ7の各発光点7a−1〜7a−mのライン方向(Y方向)と同一方向に走査されると共に、感熱記録媒体3上に結像される。
【0042】
例えば、感熱記録媒体3が貼り付けられている物体2がコンベア等の搬送機構によりZ方向に搬送されるものとすると、物体2の配置位置の違いや物体2における感熱記録媒体3の貼り付けられている部分の変形等により半導体レーザアレイ7と物体2との距離が長くなった短くなったりして相対的に変化する。従って、距離センサは、感熱記録媒体3までの距離を測定し、この距離に応じて結像レンズ8を半導体レーザアレイ7から出力される各レーザビームの光軸方向と同一方向に移動させるので、半導体レーザアレイ7と物体2との距離が長くなった短くなったりして相対的に変化しても、半導体レーザアレイ7と物体2との距離を一定に保って常に各レーザビームを感熱記録媒体3上に結像できる。
【0043】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る非接触光書き込み装置の第1の実施の形態を示す正面図。
【図2】同装置における側面図。
【図3】同装置に使用する感熱記録媒体の発色モードと消去モードとを示す特性図。
【図4】同装置における半導体レーザアレイにおける各発光点の配列を示す図。
【図5】同装置における記録すべきデータのドットデータを示す摸式図。
【図6】同装置によるドットデータに対応する感熱記録媒体上の各印字ドットを示す図。
【図7】同装置におけるドット間データを示す摸式図。
【図8】同装置におけるドット間データを加えたドットデータに対応する感熱記録媒体上の各印字ドットを示す図。
【図9】同装置における結像レンズを往復移動したときの各レーザビームの感熱記録媒体上の走査範囲を示す図。
【図10】本発明に係る非接触光書き込み装置の第2の実施の形態を示す正面図。
【図11】同装置における側面図。
【符号の説明】
【0045】
1:非接触光書き込み装置、2:物体、3:感熱記録媒体、4:ベースブロック、5:第1のブロック、6:第2のブロック、7:半導体レーザアレイ、7a−1〜7a−m:複数の発光点、7b,7b−1,7b−2:レーザビーム、8:結像レンズ、9:駆動装置、9a:回転軸、10:運動変換器、11:主制御部、12:往復移動制御部、13:記録制御部、20:シリンドリカルレンズ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リライタブルな感熱記録媒体に対してデータの記録及び消去を行う非接触光書き込み装置において、
レーザビームをそれぞれ発光する複数の発光点をライン状に配置して成る半導体レーザアレイと、
前記半導体レーザアレイの前記ライン方向に対して平行方向に往復移動可能で、かつ前記半導体レーザアレイから発光された前記各レーザビームを結像する結像レンズと、
を具備することを特徴とする非接触光書き込み装置。
【請求項2】
リライタブルな感熱記録媒体に対してデータの記録及び消去を行う非接触光書き込み装置において、
レーザビームをそれぞれ発光する複数の発光点をライン状に配置して成る半導体レーザアレイと、
前記半導体レーザアレイの前記ライン方向に対して平行方向に往復移動可能で、かつ前記半導体レーザアレイから発光された前記各レーザビームを結像する結像レンズと、
前記半導体レーザアレイと前記結像レンズとの間に配置され、前記半導体レーザアレイの前記ライン方向に対して垂直な断面内にパワーを有し、かつ前記ライン方向に対して平行な断面内にパワーを有しないシリンドリカルレンズと、
前記半導体レーザアレイと前記シリンドリカルレンズとを固定して設ける第1のブロックと、
前記結像レンズを保持する第2のブロックと、
前記第1のブロックを固定し、かつ前記第2のブロックを前記半導体レーザアレイの前記ライン方向に対して垂直方向に往復移動可能に設けるベースブロックと、
前記結像レンズを保持する前記第2のブロックを前記ベースブロック上に前記半導体レーザアレイの前記ライン方向に対して平行方向に往復移動させる駆動装置と、
を具備することを特徴とする非接触光書き込み装置。
【請求項3】
前記結像レンズは、前記半導体レーザアレイの前記ライン方向に連続して振動することを特徴とする請求項1又は2記載の非接触光書き込み装置。
【請求項4】
前記結像レンズは、前記結像レンズの倍率分の1の移動量で往復移動することを特徴とする請求項1又は2記載の非接触光書き込み装置。
【請求項5】
複数の印字ドット毎の各ドットデータから成る前記データに基づいて前記半導体レーザアレイをオン・オフ制御する記録制御部を有し、
前記記録制御部は、前記結像レンズを往復移動しているとき、前記各印字ドットの間に、当該各印字ドットのうち少なくとも一方の前記印字ドットの前記ドットデータに基づいて少なくとも1つのドット間データを作成し、当該ドット間データに基づいて前記半導体レーザアレイをオン・オフ制御する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の非接触光書き込み装置。
【請求項6】
前記記録制御部は、前記結像レンズの往復する移動スピートに応じて前記ドット間データの数を決定することを特徴とする請求項5記載の非接触光書き込み装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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