説明

非接触型呼気センサ

【課題】呼気の流入を正しく検知でき、呼気中の検査対象成分の正確な検出を行うことの可能な非接触型呼気センサの提供にある。
【解決手段】前端が非接触型の呼気の吹き込み口15である開放端となっている筒状の呼気通路14を備えた非接触型呼気センサ12において、呼気通路14の延びる方向と平行な中心軸線mに対して垂直な断面上において、呼気通路14の中心からずれた複数の位置に相当する円周方向に等間隔な3箇所の位置において、吹き込まれた呼気の流速が充分かどうかを検知する流速検知手段としての流速検知器17を備え、流速検知器17の下流側である呼気通路14の後端側に呼気中の検査対象成分としてのアルコールの検出を行うアルコールセンサを有するセンサ部16が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、呼気中のアルコール濃度等を検出する呼気センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1で開示された従来技術では、飲酒運転防止装置が開示されている。運転席の適当な位置に運転者が呼気を吹き込む筒体14が設けられ、この筒体14内に総量センサ16が設けられている。総量センサ16は、筒体14内に吹き込まれた呼気により回転する風車18と、風車18の回転数に応じた電力を発電する発電部20とで構成されている。この筒体14内に吹き込まれた呼気は呼気取り入れ口22によりアルコールセンサ24に導かれ、ここで呼気中のアルコール濃度が検出される。そして、総量センサ16及びアルコールセンサ24はマイクロコンピュータ12に接続され、マイクロコンピュータ12はエンジン10と接続されている。また、筒体14には蓋26が設けられている。
【0003】
このような構成を持つ飲酒運転防止装置において、運転者は蓋26を開けて、呼気を筒体14内に非接触で吹き込むと、風車18が回転し総量センサ16により吹き込まれた呼気の総量が検出される。マイクロコンピュータ12は、総量センサ16で検出される呼気の総量が飲酒検査に充分な量と判断され、かつアルコールセンサ24で検出される呼気中アルコール濃度が水準値以下であると判断された場合にのみ、運転者は飲酒していないと判断し、エンジン10の始動ロックの解除を行う。その他の場合には、エンジン10の始動ロックの解除は行われない。
【特許文献1】特許文献1;実開昭58−68435号公報(第3〜8頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1で開示された技術においては、筒体14内に呼気を吹き込むことにより風車18が回転し、総量センサ16により吹き込まれた呼気の総量が検出されるが、筒体14内へ呼気が偏って吹き込まれた場合にも、風車18が回転してしまう問題がある。非接触で呼気を吹き込む場合には、運転者は筒体14内の中心方向に呼気を吹き込んでいるつもりでも、違う方向に吹き込まれる事はあり得ることであり、特に呼気が筒体14内の一方に偏って吹き込まれた場合には、筒体14の吹き込み口より外気が侵入してしまい、呼気が薄められてしまう問題がある。具体的には、例えば、呼気が筒体14の中心ではなく下側に偏って吹き込まれた場合、呼気に引き込まれるようにして筒体14の上側に外気が侵入するということが起ることがある。アルコールセンサ24で呼気中のアルコール濃度が検出されるが、筒体14内へ呼気が偏って吹き込まれた場合には、呼気が外気により薄められその薄められた呼気中のアルコール濃度の検出が行われるので、アルコール濃度は実際より低く検出される恐れがある。
【0005】
このように、筒体14内へ呼気が偏って吹き込まれた場合にも風車18が回転し、呼気の総量の検出が行われるので、呼気の総量が飲酒検査に充分な量に達したと判断された場合には、アルコールセンサ24で呼気中のアルコール濃度が検出されるが、呼気は外気によって薄められているので、実際には呼気中アルコール濃度は水準値以上であっても水準値以下であると誤って判断され、エンジン10の始動ロックの解除が行われてしまう。このように従来技術1においては、呼気が偏って吹き込まれた場合には呼気中のアルコール濃度の正確な検知が出来なくなる可能性がある。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、呼気の流入を正しく検知でき、呼気中の検査対象成分の正確な検出を行うことの可能な非接触型呼気センサの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するため、請求項1記載の発明は、一端が非接触型の呼気の吹き込み口である開放端となっている筒状の呼気通路を備えた非接触型呼気センサにおいて、前記呼気通路の延びる方向に対する垂直な断面において、前記呼気通路の中心からずれた複数の位置に、吹き込まれた呼気の流速が充分かどうかを検知する流速検知手段を備え、前記流速検知手段の下流側に呼気中の検査対象成分の検出を行うセンサ部が設けられていることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、呼気通路の延びる方向に対する垂直な断面において、呼気通路の中心からずれた複数の位置に、吹き込まれた呼気の流速が充分かどうかを検知する流速検知手段を備えているので、呼気の吹き込み口に対して偏って呼気が吹き込まれた場合に、呼気通路の中心からずれた複数の位置に配置されている流速検知手段の少なくとも1箇所において、吹き込まれた呼気の流速が不充分であることが検知されることから、呼気が正しく吹き込まれていないことが分るので、被検査者は呼気を正しく吹き込み直すことができる。また、流速検知手段の下流側に呼気中の検査対象成分の検出を行うセンサ部が設けられているので、呼気が正しく吹き込まれた場合には、センサ部により呼気中の検査対象成分の正確な検知を行うことができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の非接触型呼気センサにおいて、前記複数の流速検知手段は、前記呼気通路内において、前記呼気通路の延びる方向に対する垂直な断面上において回転対称となる位置に配置されていることを特徴とする。
請求項2記載の発明によれば、流速検知手段は呼気通路内において、呼気通路の延びる方向に対する垂直な断面上において回転対称となる位置に配置されているので、例えば、2個の流速検知手段が設けられているとすると、呼気通路の中心から等距離で円周方向に180°の間隔で設けられていることになる。また、3個の流速検知手段が設けられているとすると、呼気通路の中心から等距離で円周方向に120°の間隔で設けられていることになる。従って、呼気の吹き込みの偏りを確実に検知することができる。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の非接触型呼気センサにおいて、前記流速検知手段は前記呼気通路の内縁領域に設けられていることを特徴とする。
請求項3記載の発明によれば、流速検知手段は呼気通路の内縁領域に設けられているので、呼気の吹き込みの偏りを確実に検知することができる。ここで、内縁領域とは、筒状の呼気通路の延びる方向に対する垂直な断面上において、呼気通路の中心と壁面を結んだ線分の中間点よりも呼気通路の壁面側の領域を指すこととする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、呼気吹き込み口の通路内に複数個の流速検知手段を設けることにより、呼気が正しく流入しているかどうかを検知でき、呼気中の検査対象成分の正確な検出を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る非接触型呼気センサについて、図1〜図7に基づいて説明する。
図1は、自動車の運転席10の一部を示し、運転席10には運転ハンドル11が備えられ、運転ハンドル11の中心部に運転者の呼気中のアルコール濃度を検出するための非接触型呼気センサ12が設けられている。運転者は、この非接触型呼気センサ12の吹き込み口15に非接触で呼気を吹き込むことにより、呼気中のアルコール濃度の検出が行われ、その結果は、運転席10の前方のフロントパネル26に取り付けてある表示パネル22に表示される。
【0012】
図2に示されるように、非接触型呼気センサ12は円筒状の筒体13に呼気通路14が形成され、呼気通路14の前端は、運転席側に開口した呼気の吹き込み口15となっており、呼気通路14の後端側には、呼気中の検査対象成分としてのアルコール濃度の検出を行うアルコールセンサからなるセンサ部16が設けられている。尚、図2において、左方向の運転席側を前方とし、それと反対側の右方向を後方とする。運転者は吹き込み口15に口を直接接触させずに、吹き込み口15から口を少し離した状態で呼気の吹き込みを行う。このように吹き込み口に直接口を接触させずに呼気の吹き込みを行うような形式のセンサを非接触型呼気センサと呼ぶ。
【0013】
呼気通路14は前方より後方に延びているが、呼気通路14の中心軸線をmとすれば、中心軸線mも前方より後方に延びており、中心軸線mは呼気通路14の延びる方向に対して平行となっている。呼気通路14の内縁領域における、吹き込み口15から後方に若干入った位置に、吹き込まれた呼気の流速が充分かどうかを検知する流速検知手段に相当する流速検知器17が複数個設置されている。ここで、内縁領域とは、筒体13の延びる方向に対する垂直な断面上において、筒体13の中心と筒体13の壁面を結んだ線分の中間点よりも筒体13の壁面側の領域を指している。なお、筒体13が円筒の場合には、筒体13の半径の中間点よりも筒体13の壁面側の領域が内縁領域になる。この流速検知器17は、呼気通路14の中心軸線mに対する垂直な断面上の位置を考えた時に、それぞれずれた位置に設けられている。言い換えれば、この流速検知器17は、呼気通路14の中心軸線mの延びる方向に重ならないようにそれぞれずれた位置に設けられている。この実施形態では、図3に示すように、同一断面上に3箇所設けられ、周に沿った距離が等間隔、即ち、呼気通路14の中心から等距離で円周方向に120°間隔の回転対称となる位置に配置されており、この配置位置は呼気通路14の内縁領域に該当する。
【0014】
流速検知器17は、バネ体18と、バネ体18の先端に取り付けられた平板状の検出板19と、検出板19の後方に一定の隙間を介して設けられた平板状のベース体20とで構成されている。バネ体18とベース体20とは呼気通路14の周壁に固定され、検出板19及びベース体20の板面(面積の広い一対の面)を前後方向に向けて取り付けられている。バネ体18と検出板19とベース体20とはそれぞれ金属材料で形成され、バネ体18と検出板19とは電気的に導通されている。また、筒体13は絶縁材料(例えば樹脂)で形成されている。
【0015】
吹き込み口15から呼気が吹き込まれ、吹き込まれた呼気により検出板19を後方に押し付ける力が作用しバネ体18が変形するが、呼気の流速が充分な場合には、バネ体18の先端に取り付けられた検出板19がベース体20に接触し、バネ体18とベース体20とが電気的に導通状態となる。また、呼気が吹き込まれない場合或いは、吹き込まれた呼気の流速が不充分な場合には、検出板19とベース体20とは接触せず離れたままであり、バネ体18とベース体20とは電気的に非導通状態となる。尚、充分な流速を持った呼気が検出板19に吹き付けられた時には、バネ体18が充分に変形し検出板19がベース体20に接触するように、予めバネ体18のバネ定数の調整が行われているものとする。
【0016】
バネ体18とベース体20とはリード線で制御装置21に連結されており、このバネ体18とベース体20との導通又は非導通の信号は制御装置21に送信される。制御装置21では、各種演算処理、制御処理及び判断処理が行われる。
流速検知器17は3箇所設けられているので、3箇所それぞれから導通又は非導通の信号が制御装置21に送信される。制御装置21では、3箇所からの導通又は非導通の信号に基づき、呼気の吹き込みが正しく行われたのかどうかの比較処理、判断処理を行い、正しく行われなかった場合には、再吹き込みの表示を表示パネル22に表示されるように制御を行う。
【0017】
流速検知器17の下流側に設けられたセンサ部16にはアルコールセンサが備えられ、呼気通路14を介して導入された呼気中のアルコール濃度の検出が行われる。この検出信号は制御装置21に送信され、制御装置21にて、飲酒運転を判定するための別途定められた基準値との比較処理、判断処理が行われ、その結果を表示パネル22に表示されるように制御が行われる。
【0018】
次に、このような構成を持つ非接触型呼気センサ12における処理フローを図4のフローチャートに基づき説明を行う。
まず、S101で一連の処理フローがスタートをすると、S102にて運転席10に着座した運転者Dは、運転を始める前に運転ハンドル11に備えられている非接触型呼気センサ12の吹き込み口15に口を近づけ非接触で呼気の吹き込みを行う。
【0019】
次に、S103にて呼気通路14に設けられた流速検知器17で吹き込まれた呼気の流速の検知が行われる。S104では、その検知結果に基づき判断処理が行われる。図5(a)に示されるように、運転者Dが呼気の吹き込み口15へ偏りのない均一な吹き込みを行った場合には、呼気通路14に設置された3個所の流速検知器17の全てにおいて呼気が均等に吹き付けられ、流速検知器17におけるバネ体18とベース体20とが電気的に導通状態となる。なお、図5(a)において、網状にハッチングを施した部分は呼気の流れを表している。図5(b)には、各流速検知器17の導通状態を等価的に表したものである。このように、3箇所の流速検知器17の全てで、吹き込まれた呼気の流速が充分と検知された場合には、呼気の吹き込みが正しく行われたものと判断され、S105に進む。
【0020】
もし、図6(a)に示されるように、運転者Dが呼気の吹き込み口15へ下方に偏った吹き込みを行った場合には、呼気通路14に設置された3個所の流速検知器17の内、下方の2箇所の流速検知器17には呼気が均等に吹き付けられ、流速検知器17におけるバネ体18とベース体20とが電気的に導通状態となる。しかし、上方の1箇所の流速検知器17には呼気の吹き付けは弱く、前方の吹き込み口15から矢印で示すように下方に偏って吹き込まれた呼気の流れにより引き込まれる外気の侵入があるだけであり、その外気の流速は呼気の流速よりも遅いので、流速検知器17における検出板19とベース体20とは接触せず離れたままでバネ体18とベース体20とは電気的に非導通状態となる。このように、呼気が偏って吹き込まれた場合には、少なくとも1つの流速検知器17が反応しないようにバネ体18のバネ定数が調整されている。なお、図6(a)において、網状にハッチングを施した部分は呼気の流れを表しており、斜線でハッチングを施した部分は外気の流れを表している。図6(b)には、各流速検知器17の導通状態を等価的に表したものである。
【0021】
このように、S104にて、3箇所の流速検知器17の内、1箇所でも吹き込まれた呼気の流速が不充分と検知された場合には、呼気の吹き込みが正しく行われずに偏って吹き込まれたものと判断され、S106に進む。そして、S106にて、表示パネル22に再吹き込みを行うようにメッセージを表示する。図7には、表示パネル22の表示例を示している。この場合には、表示パネル22の「もう一度センサ真中に吹き込んで下さい」との再吹き込み表示23の個所が点灯表示される。運転者Dは、S102にリターンして、再度呼気の吹き込みを行う。
【0022】
次に、S105にて、正しく吹き込まれた呼気は、呼気通路14を介してセンサ部16へと導入され、センサ部16のアルコールセンサにより呼気中のアルコール濃度の検出が行われる。S107では、その検出結果に基づき判断処理が行われる。飲酒運転を判定するための別途定められた基準値に対して、呼気中のアルコール濃度が基準値以下であれば飲酒していないと判断され、S108に進む。もし、呼気中のアルコール濃度が基準値を超えておれば飲酒していると判断され、S109に進む。
【0023】
S108では、表示パネル22に飲酒していないので問題なしとの「OK」表示が行われる。図7には、表示パネル22の表示例を示しており、この場合には表示パネル22の「OK」表示24の個所が点灯表示される。
S109では、表示パネル22に飲酒しているので問題ありとの「NG」表示が行われる。図7には、表示パネル22の表示例を示しており、この場合には表示パネル22の「NG」表示25の個所が点灯表示される。
S110で一連の処理フローは完了し、運転者Dはその表示結果に基づき、適切なアクションをとることができる。
【0024】
この実施形態に係る非接触型呼気センサ12によれば以下の効果を奏する。
(1)運転席10に設けられた非接触型呼気センサ12の呼気通路14の内縁領域における、吹き込み口15から後方に若干入った位置に、吹き込まれた呼気の流速が充分かどうかを検知する流速検知器17が3箇所設置されており、この流速検知器17は呼気通路14の中心軸線mに対する垂直な同一断面上に、円周方向に120°間隔で設けられているので、呼気の吹き込み口15に対して偏って呼気が吹き込まれた場合に、呼気通路14の内縁領域における少なくとも1箇所において、吹き込まれた呼気の流速が不充分であることが流速検知器17により検知され、表示パネル22に呼気が正しく吹き込まれていないので再吹き込みを行うようにメッセージ表示されるので、運転者Dは呼気を正しく吹き込み直すことができ、呼気中のアルコール濃度の正確な検知を行うことができる。
(2)運転者Dが呼気の吹き込み口15へ偏りのない均一な吹き込みを行った場合には、3箇所の流速検知器17の全てで、吹き込まれた呼気の流速が充分と検知されると共に、センサ部16のアルコールセンサにより呼気中のアルコール濃度の検出が行われる。そして、呼気中のアルコール濃度が基準値以下であれば飲酒していないと判断され、呼気中のアルコール濃度が基準値を超えておれば飲酒していると判断され表示パネル22に表示されるので、運転者Dはその表示結果に基づき、適切なアクションをとることができ、飲酒運転を防止できる。
(3)流速検知器17は、バネ体18と、バネ体18の先端に取り付けられた平板状の検出板19と、検出板19の後方に一定の隙間を介して設けられた平板状のベース体20とで構成されており、充分な流速を持った呼気が検出板19に吹き付けられた時には、バネ体18が充分に変形し検出板19がベース体20に接触し導通状態となることにより、呼気の流速の検知を行うことができる。構成が簡単であり、安価に実施可能である。
(4)運転者Dは呼気の吹き込み口15へ非接触で呼気の吹き込みを行えば良いので、接触型の場合におけるマウスピースの洗浄又は、交換を必要としない。
【0025】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更しても良い。
○ 第1の実施形態では、流速検知器17を円周方向に等間隔で3箇所設けるとして説明したが、2箇所でも良いし、4箇所以上であっても構わない。また、等間隔でなくてもずらして設けられておれば良い。
○ 第1の実施形態では、流速検知器17は呼気通路14の中心軸線mに対する垂直な同一断面上に設けられているとして説明したが、同一断面上ではなくて前後方向にずれたそれぞれ別の断面上に設けられていても構わない。また、呼気通路が中心軸線に対して平行ではなく傾いていても構わない。
○ 第1の実施形態では、流速検知手段をバネ式の流速検知器17として説明したが、流量センサ、流速センサ、或いは圧力センサであっても良い。これらのセンサを使用する場合には、センサで検出した値がある値以上であった場合に呼気の流速が充分であるというように判断すればよい。また、バネの変形量を光センサを使って検出しても良い。
○ 第1の実施形態では、呼気の吹き込みが正しく行われない場合には、表示パネルに再吹き込みを促すメッセージを表示するとして説明したが、音を発するようにしても良い。
○ 第1の実施形態では、非接触型呼気センサを自動車に適用したアルコールセンサとして説明したが、自動車以外の乗り物、或いは飛行機などへの適用も可能である。また、検査対象成分がアルコール以外の臭気などの検出であっても良い。
○ 第1の実施形態において、非接触型呼気センサの吹き込み口にフィルタを設けても良い。このことにより、吹き込み口より塵埃等が侵入することを防止できる。
○ 第1の実施形態において、ステップ109に進んだ場合には自動車のエンジンが始動しないようにすることで、飲酒運転を抑制するようにしても良い。
○ 第1の実施形態では、筒体13の後端に直接センサ部16を配置するとして説明したが、筒体13の後端から少し離れた場所にセンサを配置して、そのセンサと筒体13の後端を連通する通路を設けてセンサ部を構成したり、流速検知器17の下流側であれば筒体13の内部にセンサ部を備えるようにしても良い。
○ 第1の実施形態では、筒体13は入口と出口の大きさが同じであったが、例えば入口から出口に向かって通路が狭くなっているというように、入口と出口の大きさが違っていても良い。
○ 流速検知手段を、羽根車と、その下半分に取り付けられた流れを緩和する緩和板とで構成し、呼気の吹き込みにより羽根車が回転することにより、呼気の吹き込みの偏りを運転者が目視チェック可能としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1の実施形態に係る非接触型呼気センサを備えた自動車の運転席の概略図である。
【図2】第1の実施形態に係る非接触型呼気センサの概略構成を示す模式図である。
【図3】図2のA方向からの矢視図である。
【図4】第1の実施形態に係る非接触型呼気センサの処理フローを示すフローチャートである。
【図5】第1の実施形態に係る非接触型呼気センサの呼気の吹き込みと検知状況を説明するための模式図である。(a)均一な吹き込みの場合、(b)流速検知器の導通状況。
【図6】第1の実施形態に係る非接触型呼気センサの呼気の吹き込みと検知状況を説明するための模式図である。(a)不均一な吹き込みの場合、(b)流速検知器の導通状況。
【図7】第1の実施形態に係る検出結果の表示パネルへの表示を示す模式図である。
【符号の説明】
【0027】
12 非接触型呼気センサ
13 筒体
14 呼気通路
15 吹き込み口
16 センサ部
17 流速検知器
m 呼気通路の中心軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が非接触型の呼気の吹き込み口である開放端となっている筒状の呼気通路を備えた非接触型呼気センサにおいて、
前記呼気通路の延びる方向に対する垂直な断面において、前記呼気通路の中心からずれた複数の位置に、吹き込まれた呼気の流速が充分かどうかを検知する流速検知手段を備え、
前記流速検知手段の下流側に呼気中の検査対象成分の検出を行うセンサ部が設けられていることを特徴とする非接触型呼気センサ。
【請求項2】
前記複数の流速検知手段は、前記呼気通路内において、前記呼気通路の延びる方向に対する垂直な断面上において回転対称となる位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の非接触型呼気センサ。
【請求項3】
前記流速検知手段は前記呼気通路の内縁領域に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の非接触型呼気センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−309650(P2008−309650A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157907(P2007−157907)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】