説明

非接触型書き換え可能記録媒体の記録方法

【課題】レーザ光を走査して、非接触型書き換え可能記録媒体に文字、バーコード、ベタ画像又は図形を描画する記録方法において、複数の線要素を記録するに際し、良好なバーコード読み取り性や視認性などが得られるような記録方法を提供する。
【解決手段】基材表面に可逆性感熱発色層を設けてなる非接触型書き換え可能記録媒体に対する、レーザ光の走査による、隣り合う、又は隣接して重複する線の描画において、第1の線1を描画したのち、第2の線2を描画するに際し、すでに描画された第1の線1の余熱及び第2の線2の描画時の発熱の相互干渉による記録の退色現象を抑制する手段として、第1の線1の描画開始点から、第2の線2の描画終了点まで描画する時間、及び/又は重複幅rを制御する非接触型書き換え可能記録媒体の記録方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型書き換え可能記録媒体の記録方法に関する。さらに詳しくは、レーザ光を走査して、非接触型書き換え可能記録媒体に文字、バーコード、ベタ画像又は図形を描画する記録方法において、隣り合う、又は隣接して重複する複数の線要素を記録する際に、線要素の退色を抑制して、例えばバーコード読み取り性や視認性などの低下を抑える、非接触型書き換え可能記録媒体の記録方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、物品の管理に使用されているラベル、例えば食品を輸送するプラスチックコンテナ(通い箱)に貼るラベル、電子部品の管理に用いるラベル、段ボールなどに貼る物流管理ラベルなどは、感熱記録材料が主流となっている。
この感熱記録材料は、支持体上に電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前駆体と電子受容性の顕色剤とを主成分とする感熱記録層が設けられており、そして、一般に画像を形成すると、その部分を消去して再度記録できるリライト方式ラベルの普及が広まってきた。この場合、被着体に付けたラベルをそのままリライトするためには、被着体にラベルが貼られたまま、一度記録した情報を消去した後に、再度記録する際に通常のプリンターにラベル付き被着体を通すことはできない。これを実現させるためには、非接触で画像情報の消去と書き込みを行う必要がある。
このため、近年、ラベルを繰り返し利用のために画像形成及び消去が可能な可逆性感熱記録材料、例えば(I)支持体上に温度に依存して透明度が可逆的に変化する有機低分子物質と樹脂からなる感熱層を設けてなる可逆性感熱記録材料、(II)支持体上に染料前駆体と可逆性顕色剤を含む感熱発色層を設けてなる可逆性感熱記録材料等が開発されている。
前記可逆性感熱記録材料の中で、特に(II)の可逆性感熱記録材料が普及している。しかしながら、この可逆性感熱記録材料における感熱発色層は、所定の熱履歴を受けると、詳しくはレーザ光が重複して照射される、あるいはある温度域の状態で複数の線要素を記録すると、ラベル表面が破壊する、あるいは発色した記録が消えて記録濃度が下がり視認性を低下させてしまう課題があった。これにより、複数の線要素からなる1次元バーコードやベタ画像を形成する場合、1度発色した部分が周りの熱によって発色濃度が低下し、バーコードの読み取り性能や視認性に劣る問題が発生していた。また、前に描いた線の終点から、次に描く線までの時間が極端に短い場合、前に描いた線と次に描く線の始点の位置にずれが生じ、鮮明な図が描けないという問題があった。これによって視認性が不十分となり、バーコード読み取り性も低下するなど、画像形成面で問題を抱えていた。
【特許文献1】特開2003−118238号公報
【特許文献2】特開2003−320694号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、このような事情のもとで、レーザ光を走査して、非接触型書き換え可能記録媒体に文字、バーコード、ベタ画像又は図形を描画する記録方法において、複数の線要素を記録するに際し、良好なバーコード読み取り性や視認性などが得られるような記録方法を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、レーザ光の走査による、隣り合う、又は隣接して重複する線の描画において、第1の線を描画したのち、第2の線を描画するに際し、すでに描画された第1の線の余熱及び第2の線の描画時の発熱の相互干渉による記録の退色現象を抑制する手段を講じることにより、具体的には、(1)レーザ光の走査による、隣り合う、又は隣接して重複する線の描画において、第1の線を描画したのち、第2の線を描画するに際し、第1の線の描画開始点から、第2の線の描画終了点まで描画する時間が、所定の範囲になるようにレーザ光を走査させることにより、あるいは(2)レーザ光の走査による、隣接して重複する線の描画において、第1の線を描画したのち、第2の線を描画するに際し、重複幅が所定の範囲になるようにレーザ光を走査させることにより、その目的を達成し得ることを見出した。
また、レーザ光の走査方法として、助走通過方式を用いることにより、線の始点と終点とで過剰なレーザエネルギーを受けることなく記録ができるため、さらに記録性能を向上させ得ることを見出した。
さらに、光吸収熱変換剤を可逆性感熱発色層に含有させるか、あるいは可逆性感熱発色層上に光吸収熱変換剤を含有する光吸収熱変換層を設け、記録媒体表面のレーザ光の光吸収率が40%以上である場合に、記録性能がより向上することを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1]基材表面に可逆性感熱発色層を設けてなる非接触型書き換え可能記録媒体に対する、レーザ光の走査による、隣り合う、又は隣接して重複する線の描画において、第1の線を描画したのち、第2の線を描画するに際し、すでに描画された第1の線の余熱及び第2の線の描画時の発熱の相互干渉による記録の退色現象を抑制する手段として、第1の線の描画開始点から、第2の線の描画終了点まで描画する時間、及び/又は重複幅を制御することを特徴とする非接触型書き換え可能記録媒体の記録方法、
[2]レーザ光の走査による、隣り合う、又は隣接して重複する線の描画において、第1の線を描画したのち、第2の線を描画するに際し、第1の線の描画開始点から、第2の線の描画終了点まで描画する時間が、0.2〜34msecになるようにレーザ光を走査させる上記[1]項に記載の非接触型書き換え可能記録媒体の記録方法、
[3]レーザ光の走査による、隣接して重複する線の描画において、第1の線を描画したのち、第2の線を描画するに際し、重複幅が0〜60μmになるようにレーザ光を走査させる上記[1]又は[2]項に記載の非接触型書き換え可能記録媒体の記録方法、
[4]レーザ光の走査方式が、助走通過方式である上記[1]〜[3]項のいずれか1項に記載の非接触型書き換え可能記録媒体の記録方法、
[5]光吸収熱変換剤を可逆性感熱発色層に含有させるか、あるいは可逆性感熱発色層上に光吸収熱変換剤を含有する光吸収熱変換層を有し、記録媒体表面のレーザ光の光吸収率が40%以上である非接触型書き換え可能記録媒体を用いる、上記[1]〜[4]項のいずれか1項に記載の非接触型書き換え可能記録媒体の記録方法、及び
[6]基材表面の可逆性感熱発色層を設けた反対面に、接着剤層を設けてなる非接触型書き換え可能記録媒体を用いる、上記[1]〜[5]項のいずれか1項に記載の非接触型書き換え可能記録媒体の記録方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の非接触型書き換え可能記録媒体の記録方法によれば、レーザ光の走査により、隣り合う、又は隣接して重複する複数の線要素を記録する際に、線要素の退色を抑制して、例えばバーコード読み取り性や視認性などの低下を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の非接触型書き換え可能記録媒体(以下、単に、書き換え可能記録媒体又は記録媒体と称することがある。)の記録方法は、基材表面に可逆性感熱発色層を設けてなる非接触型書き換え可能記録媒体に対する、レーザ光の走査による、隣り合う、又は隣接して重複する線の描画において、第1の線を描画したのち、第2の線を描画するに際し、すでに描画された第1の線の余熱及び第2の線の描画時の発熱の相互干渉による記録の退色現象を抑制する手段として、第1の線の描画開始点から、第2の線の描画終了点まで描画する時間、及び/又は重複幅を制御することを特徴とする。
前記本発明の記録方法には、好ましい態様として、(1)レーザ光の走査による、隣り合う、又は隣接して重複する線の描画において、第1の線を描画したのち、第2の線を描画するに際し、第1の線の描画開始点から、第2の線の描画終了点まで描画する時間が、0.2〜34msecになるようにレーザ光を走査させる方法(以下、記録方法1と称する。)、及び、(2)レーザ光の走査による、隣接して重複する線の描画において、第1の線を描画したのち、第2の線を描画するに際し、重複幅が0〜60μmになるようにレーザ光を走査させる方法(以下、記録方法2と称する。)の2つの態様がある。
本発明の記録方法においては、書き換え可能記録媒体に、レーザ光を走査して、例えば文字、バーコード、ベタ画像又は図形を描画する。前記レーザ光の走査とは、光走査装置を用い、レーザ光を発振させて収束されたレーザビームを、所定の描画が行われるように該書き換え可能記録媒体に照射することを指す。
【0007】
前記光走査装置としては、特に制限はないが、例えばレーザ光源と、それから発振するレーザ光を走査するための回転駆動可能なスキャニングミラーと、スキャニングミラーにより走査されたレーザ光を収束させる焦点距離補正光学系を有する装置を用いることができる。
前記光走査装置におけるレーザ光源としては、一般に波長が700〜1400nmの範囲にある近赤外レーザ光が用いられるので、本発明においても、該波長のレーザ光を発振し得るものであればよく、特に制限はないが、半導体レーザ(830nm)及びYAGレーザ(1064nm)が好ましく用いられる。
また、このレーザ光源から発振するレーザ光を走査するための回転駆動可能なスキャニングミラーとしては、ガルバノミラー、ポリゴンミラー、レゾナントミラーなどを用いることができる。前記ガルバノミラーは、マグネットの付いたミラーを外部磁界で制御するタイプのものであり、ポリゴンミラーは、多面体のミラーを回転するタイプのものである。一方、レゾナントミラーは、ガルバノミラーと原理は同じであるが、共振周波数で駆動するタイプのものである。
当該光走査装置において、前記スキャニングミラーにより走査されたレーザ光を収束させる焦点距離補正光学系としては、例えばf−θレンズを用いた光学系を挙げることができる。
【0008】
本発明における記録方法1は、隣り合う、又は隣接して重複する線を描画するのに適用される。
この記録方法1においては、レーザ光の走査による、隣り合う、又は隣接して重複する線の描画において、第1の線を描画したのち、第2の線を描画するに際し、第1の線の描画開始点から、第2の線の描画終了点まで描画する時間が、0.2〜34msecになるようにレーザ光を走査させることが好ましい。
前記描画時間が0.2msec以上であれば、第1の線を描画したのち、第2の線を描画するまでの時間が速すぎることがなく、ガルバノミラーなどのスキャニングミラーの速度が設定速度に応答することができるため(レーザ光のオン、オフ走査がうまくいくため)、描き始め時点と描き終わり時点で基材の破壊が起こりにくい。また、太線1本1本の描き始めのタイミングのバラツキが起こりにくく、鮮明な描画が得られる。また、レーザ光の走査方式として、後で説明する助走通過方式を採用しない場合でも、線の始点と終点で熱による基材の破壊が起こりにくい。一方、34msec以下であれば、第2の線を描くタイミングが、前に描いた第1の線の余熱(蓄熱)によって消色に働く温度のタイミングとずれが生じるので、一度発色した部分が周りの熱によって発色濃度が低下するのを抑制することができ、例えば良好なバーコード読み取り性能や視認性などが得られる。前記描画時間は、より好ましくは、0.3〜30msec、さらに好ましくは0.3〜25msecである。
この記録方法1は、文字、バーコード、ベタ画像又は図形の描画に適用することができる。
図1は、バーコードの太線における1本1本の線の記録方法の一例の説明図である。太線は複数の細線を隣接して描画している。図1において、(a)は一次元バーコード、(b)は該一次元バーコードにおける太線拡大図、(c)は、前記(b)における線の拡大図であり、符号1は第1の線、2は前記第1の線1に隣接して重複する第2の線、3は重複部、rは重複幅を示す。
記録方法1においては、第1の線1の描画開始点から、第2の線2の描画終了点まで描画する時間が0.2〜34m秒になるようにレーザ光を走査させることが好ましい。
レーザ光の走査方式としては、以下に説明する助走通過方式及び通常の記録方式のいずれでもよいが、一つの線の描き始め(始点)付近及び描き終わり(終点)付近において、過度のレーザエネルギーが照射されるのを回避し、基材の劣化を抑制し得る観点から、助走通過方式が好ましい。
【0009】
本発明において、助走通過方式でない通常の記録方式を採用した場合は、一つの線の描き始め(始点)と描き終わり(終点)でスキャニングミラーの駆動を停止させるため、始点と終点付近でスキャニングミラーの駆動に加速と減速が生じる。この加減速期間中もレーザビームを一定の出力で照射するため、始点と終点付近では他の軌跡点より多くのレーザエネルギーを照射することとなり、助走通過方式に比べ基材劣化が現われやすくなる。前記「助走通過方式」とは、光走査装置を用いて、書き換え可能記録媒体にレーザビームを照射することにより、所定の描画を行う際に、前記スキャニングミラーを連続駆動させ、レーザ光を発振した場合に想定されるレーザビームの軌跡(仮想レーザビーム)が実質上等速運動している場合のみに、レーザ光を発振させてレーザ光の走査を行い、描画することを指す。
具体的には、一つの線を描画する場合、該線を描画する少し手前で、レーザ発振器をオフにした状態にてスキャニングミラーを駆動させ、仮想レーザ光(レーザ発振器をオンにしてレーザ光を発振した場合に想定されるレーザビームの軌跡)が線の始点に達した時点では、該スキャニングミラーは、実質上等速駆動するように調整する。そして、仮想レーザビームが線の始点に達した時点で、レーザ発振器をオンにして描画を開始する。描画中は、該スキャニングミラーは実質上等速駆動する。
線の終点においてレーザ発振器をオフにして描画を中止するが、スキャニングミラーは連続駆動させた状態で、そのままの駆動速度若しくは駆動速度を変えて、仮想レーザビームが次の線の始点に到達するようにガルバノミラーの駆動を調整する。
通常の記録方式では、前述のように線の始点付近及び終点付近において、過度のレーザエネルギーが照射されていたのに対してこのような助走通過方式を採用することにより、これを回避することができる。
【0010】
図2は、バーコード描画において、隣り合う線を通常の記録方式で記録する方法の一例の説明図である。
まず、スキャニングミラーを走査し、仮想レーザビームが始点Cに到達した時点で、スキャニングミラーの走査を停止し、一瞬待機させる。次にスキャニングミラーを走査させると共に、レーザ発振器をオンにしてレーザビームを照射して線nを描く。p点に達した時点でスキャニングミラーの走査停止とレーザ発振器のオフを同時に行う。次にスキャニングミラーを走査し、仮想レーザビームが次の線の始点qに達した時点で、スキャニングミラーの走査を停止し、一瞬待機させる。その後、スキャニングミラーを走査させると共に、レーザ発振器をオンにしてレーザビームを照射し、線sを描く。t点に達した時点でスキャニングミラーの走査停止とレーザ発振器のオフを同時に行う。以後、上記と同様に操作して線u及び線vを描く。
図3は、バーコード描画において、隣り合う線を助走通過方式で記録する方法の一例の説明図である。
図3において、まず、スキャニングミラーをA点にて駆動開始し、仮想レーザビームが始点aに達した時点でレーザ発振器をオンにして描画を開始し、線bを描く。c点にて、レーザ発振器をオフにすると共に、スキャニングミラーを、仮想レーザビームが点線で示すループを描くように駆動させ、該仮想レーザビームがd点に達した時点でレーザ発振器をオンにして再び描画を開始し、線eを描く。
次いで、f点にて、レーザ発振器をオフにすると共に、スキャニングミラーを、仮想レーザビームが点線で示すループを描くように駆動させ、該仮想レーザビームがg点に達した時点でレーザ発振器をオンにして再び描画を開始し、線hを描く。i点にてレーザ発振器をオフにすると共に、スキャニングミラーを、仮想レーザビームが点線で示すループを描くように駆動させ、該仮想レーザビームがj点に達した時点でレーザ発振器をオンにして再び描画を開始し、線kを描く。文字の終点であるm点にて、レーザ発振器をオフにして描画を終了する。
スキャニングミラーは、仮想レーザビームが点線を描きB点に達した時点で駆動を停止する。このようにして、バーコードが記録される。
なお、レーザ発振器がオンの状態のときには、スキャニングミラーは、実質上等速駆動の状態である。
なお、前記の通常の記録方式及び助走通過方式は、隣接して重複する線の描画においても、同様に適用することができる。
当該記録方法1は、文字、バーコード、ベタ画像及び図形の描画のいずれにも適用することができる。
【0011】
次に、本発明における記録方法2は、隣接して重複する線を描画するのに適用される。この記録方法2においては、レーザ光の走査による隣接して重複する線の描画において、第1の線を描画したのち、第2の線を描画するに際し、重複幅が0〜60μmになるようにレーザ光を走査させることが好ましい。この重複幅(図1におけるr)が0〜60μmであれば記録濃度を低下させることなく、記録濃度の維持が可能である。該重複間隔が60μmを超えると、すでに描いた第1の線の余熱により、次に描く第2の線が消色状態になりやすく、視認性が低下するおそれがある。
さらに、重複面積が広すぎる場合は、熱により基材に損傷を与える場合がある。また、重複せずに線同士が離れていると、つまり重複幅が0μm未満であると、バーコードにおいては太線と認識されにくくなり、バーコードの光学読み取り性が低下する原因となる。該重複幅は、より好ましくは3〜50μmであり、さらに好ましくは、3〜40μmである。
当該記録方法2においても、レーザ光の走査方式は、前述の記録方法1の場合と同様に、助走通過方式であることが好ましい。当該記録方法2は、バーコードやベタ画像などの描画に適用することができる。
本発明の記録方法において、記録を行う際の、記録媒体表面とレーザ光源の距離は、スキャンスピード及び照射出力によって異なるが、基材の劣化防止、文字濃度(バーコード読み取り性)、文字の大きさを考慮して選定する必要がある。好ましくは記録の際はレーザ出力が2.0〜3.6W、照射距離145〜210mm、デューティ65〜100%である。
このような本発明の記録方法(記録方法1、2)によれば、レーザ光の走査により、非接触型書き換え可能記録媒体に文字、バーコード、ベタ画像又は図形を描画する記録方法において、隣り合う、又は隣接して重複する複数の線要素を記録する際に、線要素の退色を抑制して、例えばバーコード読み取り性や視認性などの低下を抑えることができる。
【0012】
記録用レーザビームを照射した後に、冷却風などによって急冷することにより、良好な画像を得ることができる。この冷却作業は、レーザ光の走査と冷却風によって急冷することを交互に行ってもよいし、同時に行うこともできる。
本発明の方法における記録画像の消去方法は、書き換え可能記録媒体の情報を新しい情報に書き直すために行う。この場合、先ず、記録された記録媒体表面に700〜1400nmの近赤外レーザ光を照射する。所定のエネルギー量によるレーザ光の照射に加えて、熱ロールなどを接触させる方法、熱風を吹き付ける方法などによって冷却速度を更に遅くすることにより画像残存率を更に低減することができる。
加熱ロールは、該ラベル表面を、記録消去をする際のレーザ光照射開始時から開始後4秒以内に100〜140℃程度に加熱することができ、該記録媒体表面を損傷しないものであれば、特に制限することなく公知の加熱ロールを使用することができる。例えば、ゴムロール、ステンレスロールなどを使用することができる。特に耐熱性に優れるシリコーンゴムロールを好適に使用することができる。ゴム硬度は40度以上が好ましい。40度未満の柔らかいゴムロールになると、例えば光吸収熱変換層への付着力が強くなり、光吸収熱変換層がゴムロールに取られるなどの問題が発生するおそれがある。
また、熱風を送風することにより、記録画像を消去することができる。この場合、80〜140℃程度の熱風を10〜60秒間程度送風する。
【0013】
次に、本発明の記録方法に用いる非接触型書き換え可能記録媒体について説明する。
本発明の記録方法において用いる非接触型書き換え可能記録媒体は、基材表面に可逆性感熱発色層を設けた構造を有し、この記録媒体において、基材としては特に制限はなく、例えばポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリカーボネート、ポリプロプレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのプラスチックフィルム、合成紙、不織布、紙などが挙げられる。この基材としては、被着体と共にリサイクル可能な点から、被着体と同材質系のものを使用することが好ましい。基材の厚さとしては特に制限はないが、通常10〜500μm、好ましくは20〜200μmの範囲である。
前記基材表面に設けられる可逆性感熱発色層は、一般に無色ないし淡色の染料前駆体、可逆性顕色剤及び必要に応じて用いられるバインダー、消色促進剤、無機顔料、各種添加剤などから構成されている。
前記染料前駆体としては特に制限はなく、従来感熱記録材料において、染料前駆体として用いられている公知の化合物の中から、任意のものを適宜選択して使用することができる。例えばトリアリールメタン系化合物、キサンテン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物などの中から選ばれる少なくとも1種が用いられる。
一方、可逆性顕色剤としては、加熱後の冷却速度の違いにより、前記染料前駆体に可逆的な色調変化を生じさせるものであればよく、特に制限はないが、発色濃度、消色性、繰り返しの耐久性などの点から、長鎖アルキル基を有するフェノール誘導体からなる電子受容性化合物が好ましい。
前記フェノール誘導体は、分子中に酸素、硫黄などの原子やアミド結合を有していてもよい。アルキル基の長さや数は、消色性と発色性のバランスなどを考慮して選定されるが、アルキル基としては、炭素数8以上のものが好ましく、特に8〜24程度のものが好ましい。また、長鎖アルキル基を側鎖にもつヒドラジン化合物、アニリド化合物、尿素化合物なども使用することができる。
このような可逆性顕色剤の結晶性を利用して、情報を記録する際には、加熱後急冷することにより、一方消去する際には、加熱後徐冷を行うことにより、繰り返し情報の記録及び消去が可能となる。
染料前駆体と可逆性顕色剤の割合については特に制限はないが、染料前駆体100質量部に対し、可逆性顕色剤が、通常50〜700質量部、好ましくは100〜500質量部の範囲で用いられる。
この感熱発色層の厚さは、通常1〜10μm、好ましくは2〜7μmの範囲である。
【0014】
本発明で用いる書き換え可能記録媒体においては、前記感熱発色層中に光吸収熱変換剤を含有させてもよいし、感熱発色層上に光吸収熱変換剤を含有する光吸収熱変換層を設けてもよい。
前記光吸収熱変換剤は、照射するレーザ光を吸収して熱に変換する作用を有するものであって、使用するレーザ光によって、適宜選択される。レーザ光としては、装置の簡便性や走査性などの面から、発振波長が700〜1400nmの範囲にあるものを選定するのがよく、例えば半導体レーザ光(830nm)及びYAGレーザ光(1064nm)が好適である。
該光吸収熱変換剤は、このような近赤外のレーザ光を吸収し、発熱するものであって、可視光域の光はあまり吸収しないものが好ましい。可視光を吸収すると視認性やバーコード読み取り性が低下する。このような要求性能を満たす光吸収熱変換剤としては、有機染料及び/又は有機金属系色素を挙げることができる。具体的には、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、アントラキノン系色素、アズレン系色素、スクワリリウム系色素、金属錯体系色素、トリフェニルメタン系色素、インドレニン系色素などの中から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中で、高い光熱交換性を有することから、インドレニン系色素が好適である。
感熱発色層中に、前記光吸収熱変換剤を含有させる場合、その含有量については特に制限はないが、感熱発色層全質量に基づき、通常0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%である。
一方、感熱発色層上に光吸収熱変換層を設ける場合、該光吸収熱変換層は、一般的に前記光吸収熱変換剤、バインダー及び必要に応じて用いられる無機顔料、帯電防止剤、その他添加剤などから構成される。光吸収熱変換層の厚さとしては、通常0.05〜10μm、好ましくは0.1〜3μmの範囲である。
【0015】
本発明で用いる非接触型書き換え可能記録媒体においては、感熱発色層中に前記光吸収熱変換剤が含有されているか、あるいは前記感熱発色層上に光吸収熱変換層を有し、記録媒体表面のレーザ光の光吸収率が40%以上であることが好ましい。このレーザ光の光吸収率が40%以上であれば、記録媒体表面における照射エネルギーが十分であって、記録に際しては鮮明な記録ができ、消去の際には画像を完全に消すことができる。該光吸収率はより好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上である。
このような構成の非接触型書き換え可能記録媒体は、光学的刺激により光吸収熱変換剤を介して発生する熱によって可逆性感熱発色層を発色又は脱色させ、非接触で記録(書き込み印字)及び消去を繰り返し、リライト(再書き込み)が可能である。
本発明で用いる非接触型書き換え可能記録媒体においては、基材表面の可逆性感熱発色層を設けた反対面に、接着剤層を設けることができる。この接着剤層としては、被着体へ貼付する利便性の面から、粘着剤層であることが好ましい。
前記粘着剤層を構成する粘着剤は、プラスチックからなる被着体に対して良好な接着性を示し、かつ該被着体と記録媒体を共にリサイクルする場合、このリサイクルを阻害しない樹脂組成のものが好ましく、特に樹脂成分として、アクリル酸エステル系共重合体を含む粘着剤は、リサイクル性に優れ好適である。その他、ゴム系、ポリエステル系、ポリウレタン系、シリコーン系粘着剤なども使用することができる。該粘着剤層の厚さは、通常5〜60μm、好ましくは15〜40μmの範囲である。
前記粘着剤層上には、必要に応じて剥離シートを設けることができる。
【実施例】
【0016】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例における記録(印字)方法及び結果の判定方法を以下に示す。
(1)記録(印字)方法
レーザ光を照射するレーザマーカーとして、YAGレーザ(波長1064nm)[サンクス(株)製、商品名「LP−V10」]を用いて1次元バーコード及びベタ画像の記録を行った。
照射距離180mm、レーザ出力2.5W、デューティ100%に調節し、スキャンスピードと、1次元バーコード及びベタ画像の大きさを調節することで、前に描いた線の始点から、隣り合う次の線の終点を描くまでの時間と隣接する線の重複間隔を変動させて実施例及び比較例の実験を行った。
<通常印字方式>
スキャニングミラーをC点にて駆動を開始するとともに、レーザ発振器をオンにして描画を開始し、線nを描く。文字の折り返し点pにてレーザ発振器をオフにすると共にスキャニングミラーの走査をオフにする。その後、点線で示した軌跡を描くようにスキャニングミラーが動き、次の線の始点qに達した時点でスキャニングミラーとレーザ発振器を同時にオンして次の線sを描く。この際に線nと線sを重複させることにより、太線を描くことができる。(図2参照)
<助走通過印字方式>
スキャニングミラーをA点にて駆動開始し、仮想レーザビームが文字始点aに達した時点でレーザ発振器をオンにして描画を開始し、線bを描く。文字の折り返し点cにて、レーザ発振器をオフにするとともに、スキャニングミラーを、仮想レーザビームが点線で示すループを描くように駆動させ、該仮想レーザビームがdに達した時点でレーザ発振器をオンにして再び描画を開始し、線eを描く。この際に線bと線eを重複させることにより、太線を描くことができる。(図3参照)
(2)結果の判定方法
実施例、比較例では、コード39の1次元バーコード(ナローバー0.3mm、ratio2.5、記録情報:0123)及びベタ画像を記録し、以下の評価方法により判定を行った。
コード39:コード体系1次元バーコード
ナローバー:コード39の細エレメント幅
ratio:コード39の太細エレメント幅の比(太エレメント幅/細エレメント幅)
<評価>
印字濃度:光学式濃度計「マクベスRD918」[マクベス社製]を用いて測定した。
光学濃度0.65以上:線図の濃度が濃く、鮮明で視認性が良い。
光学濃度0.64以下:線図の濃度が薄く、視認性に劣る。
バーコード読み取り適正性:ANSI規格により評価 (優)A>B>C>D>F(劣)
印字結果:下記評価方法に準拠 (優)4>3>2>1(劣)
4:非常に鮮明な線図になっており、目視、バーコードリーダーとも、線図を正確に判別できて、画像の濃度ムラがない。
3:目視、バーコードリーダーとも、ほとんど線図を判別できるが、僅かな濃度ムラが確認できる。
2:目視判別が困難であり、バーコードリーダーがしばしば誤作動し、濃度ムラがある。
1:目視、バーコードリーダーとも、線図の判別ができない。
【0017】
製造例1 感熱発色層形成用塗工液(A液)の調製
染料前駆体として、トリアリールメタン系化合物である3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド10質量部、可逆性顕色剤として4−(N−メチル−N−オクタデシルスルホニルアミノ)フェノール30質量部、分散剤のポリビニルアセタール1.5質量部及び希釈溶剤としてテトラヒドロフラン2500質量部を、粉砕機及びディスパーにより粉砕、分散させて、感熱発色層形成用塗工液(A液)を調製した。
製造例2 光吸収熱変換層形成用塗工液(B液)の調製
近赤外光吸収熱変換剤(ニッケル錯体系色素)[(株)トスコ製、商品名「SDA−5131」]を、1質量部、紫外線硬化型バインダー(ウレタンアクリレート)[大日精化工業(株)製、商品名「PU−5(NS)」]100質量部及び無機顔料(シリカ)[日本アエロジル工業(株)製、商品名「アエロジルR−972」]3質量部を、ディスパーにより分散させて、光吸収熱変換層形成用塗工液(B液)を調製した。
【0018】
実施例1
基材として厚さ100μmの発泡ポリエチレンテレフタレートフィルム[東洋紡績(株)製、商品名「クリスパー50K2411」]易接着コート側に、製造例1で調製したA液を、グラビア方式にて乾燥後の厚さが4μmになるように塗布し、60℃のオーブンで5分間乾燥させ、感熱発色層を形成した。次いで、この感熱発色層上に、製造例2で調製したB液を、乾燥後の厚さが1.2μmになるようにフレキソ方式にて塗布し、60℃のオーブンで1分間乾燥させたのち、紫外線を光量220mJ/cm2で照射して光吸収熱変換層を作製した。
レーザ光の光吸収率は、60%であった。なお、レーザ光の光吸収率は、紫外可視分光光度計[島津製作所製、商品名「MPC−3100」]を用いて透過率、反射率を測定し、下記の計算式により算出した。
100%−(透過率+反射率)=光吸収率%
描画画像としてコード39のバーコードを、隣接する線の重複間隔が20μmとし、前に描いた線の始点から隣り合う次の線の終点を描くまでの時間が1.8msecになるように、線の長さを2mm、実線を描く際の時間を2500mm/secにレーザ走査条件を調整して、通常印刷方式により記録テストを行った。
実施例2
描画画像としてコード39のバーコードを、隣接する線の重複間隔が20μmとし、前に描いた線の始点から隣り合う次の線の終点を描くまでの時間が1.8msecになるように、線の長さを2mm、実線を描く際の時間を2500mm/secにレーザ走査条件を調整して、助走通過方式により、実施例1と同様に記録テストを行った。
【0019】
実施例3
描画画像としてコード39のバーコードを、隣接する線の重複間隔が20μmとし、前に描いた線の始点から隣り合う次の線の終点を描くまでの時間が9.0msecになるように、線の長さを10mm、実線を描く際の時間を2500mm/secにレーザ走査条件を調整して、助走通過方式により、実施例1と同様に記録テストを行った。
実施例4
描画画像としてコード39のバーコードを、隣接する線の重複間隔が20μmとし、前に描いた線の始点から隣り合う次の線の終点を描くまでの時間が18msecになるように、線の長さを20mm、実線を描く際の時間を2500mm/secにレーザ走査条件を調整して、助走通過方式により、実施例1と同様に記録テストを行った。
実施例5
描画画像としてコード39のバーコードを、隣接する線の重複間隔が20μmとし、前に描いた線の始点から隣り合う次の線の終点を描くまでの時間が29msecになるように、線の長さを35mm、実線を描く際の時間を2500mm/secにレーザ走査条件を調整して、助走通過方式により、実施例1と同様に記録テストを行った。
【0020】
実施例6
描画画像としてコード39のバーコードを、隣接する線の重複間隔が50μmとし、前に描いた線の始点から隣り合う次の線の終点を描くまでの時間が9.0msecになるように、線の長さを10mm、実線を描く際の時間を2500mm/secにレーザ走査条件を調整して、助走通過方式により、実施例1と同様に記録テストを行った。
実施例7
描画画像としてコード39のバーコードを、隣接する線の重複間隔が10μmとし、前に描いた線の始点から隣り合う次の線の終点を描くまでの時間が9.0msecになるように、線の長さを10mm、実線を描く際の時間を2500mm/secにレーザ走査条件を調整して、助走通過方式により、実施例1と同様に記録テストを行った。
実施例8
描画画像としてコード39のバーコードを、隣接する線の重複間隔が70μmとし、前に描いた線の始点から隣り合う次の線の終点を描くまでの時間が18msecになるように、線の長さを20mm、実線を描く際の時間を2500mm/secにレーザ走査条件を調整して、助走通過方式により、実施例1と同様に記録テストを行った。
【0021】
実施例9
描画画像としてコード39のバーコードを、隣接する線の重複間隔が0μmとし、前に描いた線の始点から隣り合う次の線の終点を描くまでの時間が9.0msecになるように、線の長さを10mm、実線を描く際の時間を2500mm/secにレーザ走査条件を調整して、助走通過方式により、実施例1と同様に記録テストを行った。
実施例10
描画画像としてコード39のバーコードを、隣接する線の重複間隔が20μmとし、前に描いた線の始点から隣り合う次の線の終点を描くまでの時間が38msecになるように、線の長さを45mm、実線を描く際の時間を2000mm/secにレーザ走査条件を調整して、助走通過方式により、実施例1と同様に記録テストを行った。
実施例11
描画画像としてコード39のバーコードを、隣接する線の重複間隔が20μmとし、前に描いた線の始点から隣り合う次の線の終点を描くまでの時間が0.18msecになるように、線の長さを0.5mm、実線を描く際の時間を6000mm/secにレーザ走査条件を調整して、助走通過方式により、実施例1と同様に記録テストを行った。
【0022】
比較例1
描画画像としてコード39のバーコードを、隣接する線の重複間隔が70μmとし、前に描いた線の始点から隣り合う次の線の終点を描くまでの時間が0.18msecになるように、線の長さを0.5mm、実線を描く際の時間を6000mm/secにレーザ走査条件を調整して、助走通過方式により、実施例1と同様に記録テストを行った。
比較例2
描画画像としてコード39のバーコードを、隣接する線の重複間隔が70μmとし、前に描いた線の始点から隣り合う次の線の終点を描くまでの時間が38msecになるように、線の長さを45mm、実線を描く際の時間を2500mm/secにレーザ走査条件を調整して、助走通過方式により、実施例1と同様に記録テストを行った。
比較例3
描画画像としてコード39のバーコードを、隣接する線の重複間隔が−10μm(10μm離れている)とし、前に描いた線の始点から隣り合う次の線の終点を描くまでの時間が0.18msecになるように、線の長さを0.5mm、実線を描く際の時間を6000mm/secにレーザ走査条件を調整して、助走通過方式により、実施例1と同様に記録テストを行った。
比較例4
描画画像としてコード39のバーコードを、隣接する線の重複間隔が−10μmとし、前に描いた線の始点から隣り合う次の線の終点を描くまでの時間が38msecになるように、線の長さを45mm、実線を描く際の時間を2500mm/secにレーザ走査条件を調整して、助走通過方式により、実施例1と同様に記録テストを行った。
前記実施例1〜11及び比較例1〜4における印字方式、総印字時間(前に描いた線の始点から隣り合う次の線の終点を描くまでの時間)、重複間隔及び記録性(印字濃度、バーコード読み取り性、印字結果)を第1表に示す。
【0023】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の非接触型書き換え可能記録媒体の記録方法は、前記記録媒体に文字、バーコード、ベタ画像、又は図形を描画する記録方法において、隣り合う、又は隣接して重複する複数の線要素を記録する際に、線要素の退色を抑制して、例えばバーコード読み取り性や視認性などの低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】バーコードの太線における1本1本の線の記録方法の一例の説明図である。
【図2】バーコード描画において、隣り合う線を通常の記録方式で記録する方法の一例の説明図である。
【図3】バーコード描画において、隣り合う線を助走通過方式で記録する方法の一例の説明図である。
【符号の説明】
【0026】
1 第1の線
2 第2の線
3 重複部
r 重複幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材表面に可逆性感熱発色層を設けてなる非接触型書き換え可能記録媒体に対する、レーザ光の走査による、隣り合う、又は隣接して重複する線の描画において、第1の線を描画したのち、第2の線を描画するに際し、すでに描画された第1の線の余熱及び第2の線の描画時の発熱の相互干渉による記録の退色現象を抑制する手段として、第1の線の描画開始点から、第2の線の描画終了点まで描画する時間、及び/又は重複幅を制御することを特徴とする非接触型書き換え可能記録媒体の記録方法。
【請求項2】
レーザ光の走査による、隣り合う、又は隣接して重複する線の描画において、第1の線を描画したのち、第2の線を描画するに際し、第1の線の描画開始点から、第2の線の描画終了点まで描画する時間が、0.2〜34msecになるようにレーザ光を走査させる請求項1に記載の非接触型書き換え可能記録媒体の記録方法。
【請求項3】
レーザ光の走査による、隣接して重複する線の描画において、第1の線を描画したのち、第2の線を描画するに際し、重複幅が0〜60μmになるようにレーザ光を走査させる請求項1又は2に記載の非接触型書き換え可能記録媒体の記録方法。
【請求項4】
レーザ光の走査方式が、助走通過方式である請求項1〜3のいずれか1項に記載の非接触型書き換え可能記録媒体の記録方法。
【請求項5】
光吸収熱変換剤を可逆性感熱発色層に含有させるか、あるいは可逆性感熱発色層上に光吸収熱変換剤を含有する光吸収熱変換層を有し、記録媒体表面のレーザ光の光吸収率が40%以上である非接触型書き換え可能記録媒体を用いる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非接触型書き換え可能記録媒体の記録方法。
【請求項6】
基材表面の可逆性感熱発色層を設けた反対面に、接着剤層を設けてなる非接触型書き換え可能記録媒体を用いる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非接触型書き換え可能記録媒体の記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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