説明

非接触型ICカード

【課題】電池を搭載する必要のない表示部付きの非接触型ICカードを提供する。
【解決手段】アンテナ12と、アンテナ12を介した通信の制御を行う通信制御手段20と、情報を表示する表示部15と、通信により受信した信号に基づいて、表示部15の表示を書き換える表示制御手段40と、通信により受信した信号から、表示部15の表示を書き換えるための電源を抽出する給電回路D12、C12とを備え、受信信号から電源を抽出して表示部15の表示を書き換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型ICカードに関し、例えばRFID(Radio Frequency Identification)と呼ばれるシステムにおいて用いられる非接触型ICカードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ICカードに対して非接触で情報を書き込み、読み出すシステムとしてRFIDと呼ばれるシステムがある。このシステムに用いられる非接触型ICカードとしては、カード主面に表示部を設けて、カードの情報を表示するように構成されたものがある(特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
このような表示部を有するICカードによれば、例えば電子マネーとして用いられるICカードにあっては、その残高を表示部に表示することにより、ユーザはいつでも残高を確認することができる等、カードの情報をユーザが常に確認し得るといった利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−296678号公報
【特許文献2】特開2007−265337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、表示部を有するICカードにおいては、表示部に電源を供給する必要があることから、電池を搭載する必要があり、その分、カードを薄型化し得ず、また電池交換といった煩雑な手間を避け得ない問題があった。
【0006】
また、充電式の電池を搭載したICカード(特許文献2)においては、電池を充電するための接触式の外部端子が設けられており、必要に応じて、この外部端子に充電用の電極を接触させて充電を行うといった煩雑な手間を避け得ない問題があった。
【0007】
上記の問題を鑑みて、本発明は、電池を搭載する必要のない表示部付きの非接触型ICカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施の形態に係る特徴は、非接触型ICカードにおいて、アンテナと、前記アンテナを介した通信の制御を行う通信制御手段と、情報を表示する表示部と、前記通信により受信した信号に基づいて、前記表示部の表示を書き換える表示制御手段と、前記通信により受信した信号から、前記表示部の表示を書き換えるための電源を抽出する給電回路とを備えることである。
【0009】
この構成によれば、受信信号から得られる電源により表示部の表示を書き換えるようにしたことにより、非接触型ICカードに電池を搭載する必要がなくなり、電池の交換といった手間を回避することができる。また、従来の充電式の電池を搭載した構成のように、電池を充電するための接触式の外部端子を設け、これに充電用の電極を接触させて充電するといった煩雑な手間を回避することができる。また、電池を搭載する必要がない分、非接触型ICカードを一段と薄型化することができる。
【0010】
本発明の実施の形態に係る特徴は、前記構成において、前記給電回路は、前記受信した信号により充電されるコンデンサを備え、前記コンデンサの容量に応じて、前記表示部の表示を書き換えるための時間を確保することである。
【0011】
この構成によれば、少なくとも表示部の書換えに必要な時間だけ、表示を書き換えるための電源電圧を書換えに必要な電圧レベル以上に保つことができるため、確実に表示部を書き換えることができる。
【0012】
本発明の実施の形態に係る特徴は、前記構成において、前記表示部は、表示の書き換え時のみ電源を必要とする電子ペーパーであることである。
【0013】
この構成によれば、表示を書き換える場合のみ電源を必要とする電子ペーパーを表示部に用いることにより、通信時のみ受信信号から電源を抽出して表示を書き換え、通信時以外には書き換えられた表示を維持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、電池を搭載する必要のない表示部付きの非接触型ICカードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるICカードの外観を示す斜視図である。
【図2】本発明によるICカードの構成を示すブロック図である。
【図3】電源電圧の変化を示すグラフである。
【図4】本発明の第2の実施の形態によるICカードを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面に基づき詳細に説明する。
【0017】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態に係る非接触型ICカード(以下、単にICカードと呼ぶ)10の外観を示す斜視図である。このICカード10は、薄型のカード基板11に後述するアンテナ、通信IC、表示部15、表示書込みICなどが搭載されている。表示部15は、ICカード10の主面の一部において、外部から視認可能に設けられている。
【0018】
図2は、本実施の形態に係るICカード10の全体構成を示すブロック図である。このICカード10は、リーダ/ライタ(外部通信手段)と非接触通信が可能なRFIDカードに表示部が設けられた構成を基本構成としている。
【0019】
図2に示すように、ICカード10においては、リーダ/ライタ(図示せず)との間で通信を行うためのアンテナ12及び通信IC20と、電子泳動方式、エレクトロクロミック方式、トナーディスプレイ方式又はツイストボール方式などの表示方式の電子ペーパーからなる表示部15と、アンテナ12を介して、リーダ/ライタとの間で通信を行い表示部15に情報を表示する表示書込みIC40とが、薄型(厚さ約0.8mm)のカード基板11(図1)に設けられている。表示部15として用いられる電子ペーパーは、表示内容を書き換える場合のみ電源を必要とし、書き換えられた表示を維持するための電源を必要としないものである。
【0020】
なお、本実施の形態において、ICカード10とリーダ/ライタとの間で行われる通信方式は、キャリア周波数が13.56MHzの電磁誘導方式であるが、これに限られるものではない。
【0021】
通信IC20は、アンテナ12を介して受信した信号を、ダイオードD11及び抵抗R11を介して整流した後、昇圧回路21に受ける。昇圧回路21は、整流された受信信号を昇圧して通信制御回路22へ出力する。通信制御回路22は、昇圧回路21から得られる電圧を電源として動作する。なお、リーダ/ライタから送信される信号は、プリアンブル及びこれに続いてコマンドbit列で変調されたものである。プリアンブルの部分において通信制御回路22の初期動作に必要な電源が供給される。
【0022】
昇圧回路21の前段には、コンデンサC11が設けられており、ダイオードD11及び抵抗R11において整流された受信信号により充電され、これにより、受信信号が立ち下がっても、昇圧回路21に供給される電圧が急激に低下しないようになされている。
【0023】
また、通信IC20においては、アンテナ12を介して受信された信号を、検波回路23を介して通信制御回路22に受ける。通信制御回路22は、受信信号のプリアンブルに続くコマンドbit列を復調して解釈し、反射波に返答情報を乗せてリーダ/ライタへ返す。具体的には、通信制御部回路22は、返答情報を発振回路(OSC)24から得られる13.56MHzのキャリアに重畳し、これをアンテナ12において反射する反射波に乗せてリーダ/ライタへ返信する。
【0024】
通信制御回路22は、セキュリティー機能を有しており、例えば、公開鍵暗号方式などの方式を用いて、リーダ/ライタとの間で情報を送受信する。また、通信制御回路22は、ICカード10に固有の識別情報を記憶したメモリを有しており、リーダ/ライタは、この識別情報に基づいて、ICカード10を識別するようになっている。
【0025】
なお、通信制御回路22は、内部に書き換え可能な不揮発性メモリを有しており、リーダ/ライタとの間の通信により、このメモリの情報を書き換えるようになされている。メモリに記憶される情報は、例えば、電子マネーとして用いられるICカードにあっては残高情報などであり、また、パチンコをプレイするために用いるICカードにあっては、クレジットの残高や貯玉数の情報などである。
【0026】
一方、アンテナ12と表示書込みIC40との間には、ダイオードD12、抵抗R12、コンデンサC12、昇圧回路31、32が設けられており、アンテナ12を介して受信した信号は、給電回路を構成するダイオードD12及び抵抗R12を介して整流された後、昇圧回路31に入力される。昇圧回路31は、整流された受信信号を昇圧して表示書込みIC40へ出力する。表示書込みIC40は、昇圧回路31から得られる電圧を電源として動作する。上述したように、リーダ/ライタから送信される電波は、プリアンブル及びこれに続いてコマンドbit列で変調されたものである。プリアンブルの部分において表示書込みIC40の初期動作に必要な電源が供給される。
【0027】
昇圧回路31の前段の給電回路には、コンデンサC12が設けられており、ダイオードD12及び抵抗R12において整流された受信信号により充電され、受信信号が立ち下がった後においても、昇圧回路31に供給される電圧が急激に低下しないようになされている。これにより、表示書込みIC40に対して供給される電源電圧が、表示部15の書き換えに必要な一定電圧以上となる時間を一定時間確保することができ、表示部15の表示を確実に書き換えることができる。
【0028】
具体的には、表示コントローラ41にA/Dコンバータ(図示せず)が設けられており、昇圧回路31から得られる電源電圧をA/Dコンバータを介して監視する。表示コントローラ41は、昇圧回路31から供給される電源電圧が所定の電圧(表示部15の表示を書き換えることが可能な電圧)となった場合に、受信信号に含まれる書込みコマンドに応じて、表示部15の表示を書き換える。
【0029】
給電回路に設けられたコンデンサC12の容量は、表示部15の表示を書き換えるために必要な時間だけ、表示書込みIC40に所定の電圧(表示部15の表示の書換えに必要な電圧)を供給することが可能な容量に設定されている。
【0030】
例えば、図3は、昇圧回路31から表示書込みIC40に供給される電源電圧Vcc2の変化を示すグラフであり、時点t1までにICカード10が信号を受信し、これに応じて、表示書込みIC40に供給される電源電圧Vcc2が電圧V1を越える電圧V2まで上昇しているとする。電圧V1は、表示書込みIC40において表示部15の表示の書換えに必要な最低電圧である。
【0031】
電源電圧Vcc2が電圧V2まで上昇した場合、受信信号が立ち下がっても(時点t1)、電源電圧Vcc2は、コンデンサC12の容量に応じた時間をかけて電圧V1まで徐々に低下する(時点t1〜t2)。この電圧V1まで低下する時間T1は、表示部15の表示を書き換えるために必要な消費電力とコンデンサC12の容量とによって決まる。この時間T1が表示部15の書き換え時間に要する時間以上となるように、コンデンサC12の容量を設定しておくことにより、表示部15の表示を確実に書き換えることができる。
【0032】
すなわち、受信信号が立ち下がっても、電源電圧Vcc2は、徐々に立ち下がることとなり、表示部15の表示の書換えに必要な電圧が、少なくとも書き込みに要する時間だけ維持されることになる。
【0033】
また、アンテナ12と表示書込みIC40との間には、検波回路33が設けられており、アンテナ12を介して受信された信号は、検波回路33を介して表示書込みIC40に入力される。表示書込みIC40は、受信電波のプリアンブルに続くコマンドbit列を復調して解釈し、書込みコマンドに応じて表示部15の表示を書き換える。表示部15に表示される情報としては、上述の通信制御回路22のメモリに記憶される残高情報、クレジットの残高、貯玉数の情報、又はその他の種々の情報である。
【0034】
表示書込みIC40は、表示部15の書き換えが完了すると、完了コマンドを、発振回路(OSC)23から得られる13.56MHzのキャリアに重畳し、これをアンテナ12において反射する反射波に乗せてリーダ/ライタへ返信する。
【0035】
表示書込みIC40には、表示コントローラ41、電子ペーパーを駆動するためのドライバ回路42が設けられている。ドライバ回路42は、表示部15のセグメントに対応した複数のスイッチング素子を有しており、これらのスイッチング素子の動作と、表示部15に共通に接続されたCOMラインの制御により、表示部15の各セグメントを表示状態又は非表示状態に書き換え制御する。なお、ドライバ回路42は、昇圧回路31の後段に設けられた昇圧回路32によって昇圧された電源電圧により表示部15の表示を書き換える。
【0036】
表示部15は、8桁の数字(文字)を表示し得る構成を有しており、各桁ごとに、数字(文字)を表現するための7セグメント及びドットのセグメントからなる合計8個のセグメントによって構成されている。これら各桁ごとに設けられた各々8個のセグメントは、表示コントローラ41によって表示状態又は非表示状態に書換え制御されることにより、8桁の数字(文字)の表示が書き換えられる。
【0037】
以上の構成において、ユーザがICカード10をリーダ/ライタに近づけると、ICカードとリーダ/ライタとの間で通信が行われる。この通信において、ICカード10の表示書込みIC40は、アンテナ12を介して受信した信号から得られた電源電圧に基づいて動作し、受信信号に含まれる書込みコマンドに応じて表示部15の表示を書き換える。
【0038】
ICカード10とリーダ/ライタとの間の通信が終了すると、表示書込みIC40に対する電源供給も行われなくなる。表示部15は、いわゆる電子ペーパーを用いて構成されていることにより、表示が書き換えられる場合のみ電源を必要とし、書き換えられた表示を維持するために電源を必要としないため、ICカード10とリーダ/ライタとの間の通信が行われない状態となっても、表示部15における表示は維持される。
【0039】
ここで、ICカード10の表示部15に表示される情報は、ICカード10に対応付けられた残高情報、クレジットの残高、貯玉数の情報などであり、これらの情報内容は、ICカード10を利用することにより変化するものである。従って、このICカード10の利用に際して、リーダ/ライタとの間の通信により得られる受信信号から表示部15を書き換えるための電源を供給することにより、表示部15の表示を書き換えることができる。すなわち、表示部15の表示を書き換える必要が生じるタイミングと、ICカード10とリーダ/ライタとの間で通信を行うタイミングとが一致していることにより、表示部15の表示を書き換えるための電源を受信信号から得ることができ、これにより、電池を備える必要がなくなる。
【0040】
このように、ICカード10においては、表示を書き換える場合においてのみ電源供給を必要とする電子ペーパーを表示部15に用い、リーダ/ライタとの通信を行う際に受信信号から得られる電源により表示部15の表示を書き換えるようにしたことにより、ICカード10に電池を搭載する必要がなくなり、電池の交換といった手間を回避することができる。また、従来のように、電池を充電するための接触式の外部端子を設けて充電用の電極を接触させて充電するといった煩雑な手間を回避することができる。また、電池をする必要がない分、ICカード10を一段と薄型化することができる。
【0041】
(第2の実施の形態)
なお、上述の第1の実施の形態においては、図2に示したように、ICカード10に表示書込みIC40及び通信IC20を別々に有し、各々がリーダ/ライタとの間で通信を行う場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、リーダ/ライタとの間の通信を通信ICによって行い、通信ICと表示書込みICとの間でデータの受け渡しを行うことによって、表示書込みICにより表示部の表示を書き換えるようにしてもよい。
【0042】
図4は、第2の実施の形態に係るICカード110を示すブロック図である。なお、図4において、図2との対応部分には同一符号を付して、重複した説明は省略する。
【0043】
ICカード110は、表示用チップ140がリーダ/ライタと直接通信を行うことなく、RFIDチップ120と通信を行うことによって、表示部15の表示を書き換える点が図2に示したICカード10と異なる。
【0044】
ICカード110は、カード基板11(図1)にアンテナ12、RFIDチップ120、表示用チップ140、表示部15を備える。RFIDチップ120は、図2に示したICカード10の通信IC20と同様にして、アンテナ12を介して、リーダ/ライタ(図示せず)との間で通信を行う。
【0045】
RFIDチップ120は、アンテナ12を介して受信した信号を、ダイオードD11を介して整流した後、電源安定化回路121に受ける。電源安定化回路121は、整流された受信信号を昇圧して通信制御回路22へ出力する。通信制御回路22は、電源安定化回路121から得られる電圧を電源として動作する。
【0046】
電源安定化回路121の前段には、コンデンサC13が設けられており、ダイオードD13において整流された受信信号により充電され、これにより、受信信号が立ち下がった後においても、電源安定化回路121に供給される電圧が急激に低下しないようになされている。このコンデンサC13の容量は、第1の実施の形態のICカード10のコンデンサC12の場合と同様にして、表示用チップ140に対して供給される電源電圧Vccが表示部15の書換えに必要な一定電圧以上となる時間を、表示部15の書換えに必要な一定時間確保することができる程度の容量に設定されている。これにより、第1の実施の形態の場合と同様にして、表示部15の表示を確実に書き換えることができる。
【0047】
また、RFIDチップ120は、アンテナ12を介して受信された信号を、検波回路23を介して通信制御回路22に受ける。通信制御回路22は、受信信号のコマンドbit列を復調して解釈し、反射波に返答情報を乗せてリーダ/ライタへ返す。具体的には、通信制御部回路22は、返答情報を発振回路(OSC)24から得られる13.56MHzのキャリアに重畳し、これをアンテナ12において反射する反射波に乗せてリーダ/ライタへ返信する。
【0048】
通信制御回路22は、セキュリティー機能を有しており、例えば、公開鍵暗号方式などの方式を用いて、リーダ/ライタとの間で情報を送受信する。また、通信制御回路22は、ICカード110に固有の識別情報を記憶したメモリを有しており、リーダ/ライタは、この識別情報に基づいて、ICカード110を識別するようになっている。
【0049】
なお、通信制御回路22は、内部に書き換え可能な不揮発性メモリを有しており、リーダ/ライタとの間の通信により、このメモリの情報を書き換えるようになされている。メモリに記憶される情報としては、例えば、電子マネーとして用いられるICカードにあっては残高情報などであり、また、パチンコをプレイするために用いるICカードにあっては、クレジットの残高や貯玉数の情報などである。
【0050】
本実施の形態の通信制御回路22は、係る構成に加えて、表示用チップ140との間で通信を行う機能を備えている。
【0051】
表示用チップ140は、電源安定化回路121の出力を表示コントローラ41に受けて当該表示コントローラ41の電源として用いると共に、昇圧回路131に受けて昇圧し、ドライバ回路42に供給する。ドライバ回路42は、昇圧回路131から供給される電圧を電源として表示部15の表示を書き換えることができる。
【0052】
RFIDチップ120の通信制御回路22は、リーダ/ライタからの受信信号に含まれる書込みコマンドを表示用チップ140の表示コントローラ41に出力する。表示コントローラ41は、通信制御回路22から受け取った書込みコマンドに基づいて、ドライバ回路42を制御することにより、表示部15の表示を書き換える。
【0053】
このように、RFIDチップ120のみがリーダ/ライタとの間で通信を行い、表示用チップ140は、RFIDチップ120を介して書込みコマンドを受けて表示部15の表示を書き換えることができる。
【0054】
以上説明した第2の実施の形態に係るICカード110においても、第1の実施の形態のICカード10と同様にして、表示を書き換える場合においてのみ電源供給を必要とする電子ペーパーを表示部15に用い、リーダ/ライタとの通信を行う際に受信信号から得られる電源により表示部15の表示を書き換えるようにしたことにより、ICカード110に電池を搭載する必要がなくなり、電池の交換といった手間を回避することができる。また、従来のように、電池を充電するための接触式の外部端子を設けて充電用の電極を接触させて充電するといった煩雑な手間を回避することができる。また、電池を搭載する必要がない分、)ICカード110を一段と薄型化することができる。
【0055】
さらに、ICカード110においては、RFIDチップ120のみがリーダ/ライタとの間で通信を行い、表示用チップ140はリーダ/ライタとの間で直接通信を行う必要がないため、表示用チップ140は、リーダ/ライタとの間の通信を行うための機能を有する必要がなくなる。
【0056】
(他の実施の形態)
なお、上述の実施の形態においては、通信制御回路22に書き換え可能な不揮発性メモリを備え、このメモリに残高情報などを記憶するようにしたが、これに限られるものではなく、通信制御回路22にICカード10(110)固有の識別情報を記憶したメモリを設け、この識別情報をリーダ/ライタが読み取ることにより、リーダ/ライタ側のサーバにおいて識別情報に対応付けられた残高情報などを読み出して処理することもできる。
【0057】
また、上述の実施の形態においては、表示部としていわゆる電子ペーパーを用いる場合について述べたが、これに限られるものではなく、例えば、メモリー性液晶など、書き換え時にのみ電源を必要とするものであれば、種々の表示手段を用いることができる。
【0058】
また、上述の実施の形態においては、ユーザが所持する非接触型ICカードに本発明を適用する場合について述べたが、非接触型ICカードの用途はこれに限られるものではなく、例えば商品タグとして用いる等、種々の用途に用いることができる。
【0059】
(非接触型ICカードの概要)
本発明の実施の形態におけるICカード10(110)は、アンテナ12と、アンテナ12を介した通信の制御を行う通信制御手段(通信用IC20、表示書込みIC40(RFIDチップ120))と、情報を表示する表示部15と、通信により受信した信号に基づいて、表示部15の表示を書き換える表示制御手段(表示書込みIC40(表示用チップ140))と、通信により受信した信号から、表示部15の表示を書き換えるための電源を抽出する給電回路(ダイオードD12、抵抗R12、コンデンサC12(ダイオードD13、コンデンサC13))とを備えることを特徴とする。
【0060】
この構成によれば、受信信号から得られる電源により表示部15の表示を書き換えるようにしたことにより、ICカード10(110)に電池を搭載する必要がなくなり、電池の交換といった手間を回避することができる。また、従来の充電式の電池を搭載した構成のように、電池を充電するための接触式の外部端子を設け、これに充電用の電極を接触させて充電するといった煩雑な手間を回避することができる。また、電池を搭載する必要がない分、ICカード10(110)を一段と薄型化することができる。
【0061】
本発明の実施の形態におけるICカード10(110)は、前記構成において、給電回路(ダイオードD12、抵抗R12、コンデンサC12(ダイオードD13、コンデンサC13))は、受信した信号により充電されるコンデンサC12(C13)を備え、コンデンサC12(C13)の容量に応じて、表示部15の表示を書き換えるための時間を確保することを特徴とする。
【0062】
この構成によれば、少なくとも表示部15の書換えに必要な時間だけ、表示を書き換えるための電源電圧を書換えに必要な電圧レベル以上に保つことができるため、確実に表示部を書き換えることができる。
【0063】
本発明の実施の形態におけるICカード10(110)は、前記構成において、表示部15は、表示の書き換え時のみ電源を必要とする電子ペーパーであることを特徴とする。
【0064】
この構成によれば、表示を書き換える場合のみ電源を必要とする電子ペーパーを表示部15に用いることにより、通信時のみ受信信号から電源を抽出して表示を書き換え、通信時以外には書き換えられた表示を維持することができる。
【符号の説明】
【0065】
10、110 ICカード
11 カード基板
12 アンテナ
15 表示部
20 通信IC
22 通信制御回路
40 表示書込みIC40
41 表示コントローラ
42 ドライバ回路
120 RFIDチップ
140 表示用チップ
D11〜D13 ダイオード
C11〜C13 コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナと、
前記アンテナを介した通信の制御を行う通信制御手段と、
情報を表示する表示部と、
前記通信により受信した信号に基づいて、前記表示部の表示を書き換える表示制御手段と、
前記通信により受信した信号から、前記表示部の表示を書き換えるための電源を抽出する給電回路と
を備えることを特徴とする非接触型ICカード。
【請求項2】
前記給電回路は、前記受信した信号により充電されるコンデンサを備え、
前記コンデンサの容量に応じて、前記表示部の表示を書き換えるための時間を確保することを特徴とする請求項1に記載の非接触型ICカード。
【請求項3】
前記表示部は、表示の書き換え時のみ電源を必要とする電子ペーパーであることを特徴とする請求項1または2に記載の非接触型ICカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−257798(P2011−257798A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129279(P2010−129279)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(510157007)
【Fターム(参考)】