説明

非接触情報記録媒体、リーダライタ及び物品管理システム

【課題】RFタグ側に動作を開始するための開始信号を受信する開始信号受信手段と、リーダライタ側に開始信号を送出する開始信号送出手段とを更に備えることにより、リーダライタから放射された電波により活性化された複数のRFタグの中から、開始信号により選択されたRFタグのみと交信を可能とすることにより、選択されたRFタグとの情報通信を確実に行なうことができる物品管理システムを提供する。
【解決手段】この物品管理システム300は、ハンディタイプのリーダライタ(H−R/W)100と、リーダライタ100を制御するPC(制御手段)50と、を備えて構成される。また、リーダライタ100には図示しない発光素子10が一体構成で備えられている。そして複数の物品30には夫々の物品の必要情報が記録されたRFタグ200(200a、200b)が付されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触情報記録媒体、リーダライタ及び物品管理システムに関し、さらに詳しくは、複数の非接触情報記録媒体から特定の非接触情報記録媒体を選択的に動作させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から倉庫や収納庫に収納されている物品を管理するために、各物品にその物品に関する必要情報を記録した非接触型のRFタグ(以下、単にRFタグと呼ぶ)を取り付けて、リーダライタにより記録情報を読み書きして管理する手法が採られていた。例えば、倉庫の入出庫管理を行なう場合、入庫時には物品に付されたRFタグの記録情報をリーダライタにより読み取り、出庫時には同じくRFタグの記録情報をリーダライタにより読み取ることにより、倉庫内の物品の個数管理と入出庫記録を自動的に行なうシステムが存在する。しかし、このようなシステムはベルトコンベヤにより搬送される物品をトンネル型のアンテナを通過させてRFタグの情報を読み書きするという比較的規模が大きく、大量の物品を取り扱う場合にその適用範囲が限られていた。即ち、このようなシステムにおいてはRFタグの記録情報を一括で読み書きする訳ではなく、個別に読み書きするため、同時読取の際に発生する応答の衝突についての対策は必要なかった。
ところでRFタグを用いた物品管理においては、収納庫内に近接配置された複数の物品に夫々付されたRFタグを一括で読み書きするシステムが普及している。その際、複数のRFタグが一つのリーダライタの交信範囲にあると、当該リーダライタに対して複数のRFタグが同時に応答するため、応答の衝突が発生し、読み取りが正確にできない場合があった。そこで、このような衝突を回避する機能を持ったリーダライタが登場し複数のRFタグの同時読み取りが可能となったが、この場合には多数のRFタグを一括して読み書きすることとなるため、リーダライタが備える一つのアンテナによってカバーできる電力量には限界が生じる。そこで、特許文献1に開示されているように、一括して読み書きできるRFタグの数を制限するために、通常時にはRFタグの電力を抑制した状態にしておき、その中から乱数により通常の電力状態になるRFタグを数10枚程度になるように選択する電力制御方式が採られるようになった。
また、管理する物品が比較的少なく小規模な物品管理システムにおいては、ハンディタイプのリーダライタにより個々の物品に付されたRFタグにリーダライタを近接して交信を行なう方式もある。
【特許文献1】特開2002−74280公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら特許文献1に開示されている従来技術は、1台のリーダライタが備える一つのアンテナによってカバーできる電力量には限界があるため、RFタグを取り付けた物品を分けて読み書きしなければならず、操作が煩わしいばかりでなく、複数のRFタグが応答してしまうと、どのRFタグとどの読取データが対応するのかが判然としなかった。
また、従来のハンディタイプのリーダライタは、操作者の手の届く範囲内のみでデータの送受信が有効であり、且つ操作者がRFタグに対して直接、且つ適切にかざさないと読み書きができないことがあった。これは、交信に使用する電波が、リーダライタとRFタグとの距離が規定の狭い範囲内にあるときに限って最適な交信ができるように強度設定されているためである。従って、リーダライタとRFタグの距離が遠かったり、或いは両者の対向する角度が鋭角である場合には、電波が適切に受信できないことがあった。このため、高所若しくは視認性の悪い個所等、交信可能な範囲外、或いは送受信に適さない位置関係、角度となる箇所に取付けられたRFタグの読み取りが困難な状況が発生する場合があった。
本発明は、かかる課題に鑑み、RFタグ側に動作を開始するための開始信号を受信する開始信号受信手段と、リーダライタ側に開始信号を送出する開始信号送出手段とを更に備えることにより、リーダライタから放射された電波により活性化された複数のRFタグの中から、開始信号により選択されたRFタグのみと交信を可能とすることにより、選択されたRFタグとの情報通信を確実に行なうことができる物品管理システムを提供することを目的とする。
また他の目的は、高所若しくは視認性の悪い個所等、交信可能な範囲外、或いは送受信に適さない位置関係、角度となる箇所に取付けられたRFタグの読み取りを可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、アンテナを介して、電力用搬送波の受信と所定の変復調方式に基づくデータの授受を非接触にて行う非接触情報記録媒体であって、該非接触情報記録媒体のポーリング動作を開始するための開始信号を受信する開始信号受信手段を備えたことを特徴とする。
本発明の非接触情報記録媒体は、従来のようにリーダライタからの搬送波を受信して電力を生成して駆動する点は同じであるが、更に実際のプログラムを稼動させるために開始信号を受信するようにした。そのために、本発明では、開始信号を受信する開始信号受信手段を更に備えるものである。
請求項2は、前記開始信号は、所定の波長を有する光信号、所定の周波数を有する音波信号、或いは所定の周波数を有する電波信号の何れか一つ又は2つ以上の組み合わせの信号であることを特徴とする。
本発明の開始信号は、光、音及び電波により実現することができる。例えば、光の場合は、フォトダイオードやフォトトランジスタにより光を受光することにより、回路をONして非接触情報記録媒体が選択されたことを判断できる。また、光と音、電波の組み合わせで選択されたことを判断してもよい。
請求項3は、前記非接触情報記録媒体が前記電力用搬送波を受信し、且つ前記開始信号受信手段により前記開始信号を受信した場合、ポーリング動作を開始するように構成されていることを特徴とする。
本発明の最も大きな特徴は、電力用搬送波により活性化されただけでは非接触情報記録媒体に格納されているプログラムを実行しない点である。即ち、その状態で電力を生成して開始信号受信手段を動作させ、更に開始信号を受信した場合に限り、プログラム動作を開始してポーリング動作を行なうものである。
請求項4は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の非接触情報記録媒体との間で所定の変復調方式に基づく電力用搬送波の送信とデータの授受を行うと共に、前記非接触情報記録媒体のポーリング動作を開始するための開始信号を送出する開始信号送出手段を備えたことを特徴とする。
本発明のリーダライタは、非接触情報記録媒体との間で所定の変復調方式に基づく電力用搬送波の送信とデータの授受を行う点では従来例と同じであるが、更に非接触情報記録媒体のポーリング動作を開始するための開始信号を送出する開始信号送出手段を備えた点が特徴である。
【0005】
請求項5は、前記開始信号送出手段は、所定の波長により発光する発光素子、所定の周波数により振動する音波素子、或いは、所定の周波数の電波を発振する電波発振器の何れか一つ又は2つ以上の組み合わせの信号を送出するように構成されていることを特徴とする。
本発明の開始信号送信手段は、光、音及び電波により実現することができる。例えば、光の場合は、発光素子として発光ダイオードやレーザ光、又は紫外線や赤外線を発光する素子が考えられる。また音波素子として超音波発信器が考えられ、電波発振器としてリーダライタで使用している周波数以外の周波数を発振するものが考えられる。また、光と音、電波を組み合わせるようにしてもよい。
請求項6は、前記開始信号送出手段は、前記リーダライタと一体に構成され、且つ該リーダライタの動作に同期して前記開始信号を送出することを特徴とする。
本発明の開始信号送出手段は、リーダライタと一体に構成されていると、ハンディタイプのリーダライタの場合、好都合である。また、その動作もリーダライタの動作と同期するようにしておくと好都合である。
請求項7は、前記開始信号送出手段は、前記リーダライタと別体に構成されていることを特徴とする。
リーダライタと開始信号送出手段を別体としておくことにより、現状のリーダライタをそのまま使用することができる。
【0006】
請求項8は、前記開始信号送出手段は、前記開始信号が送出される方向に可視光を発光する構成としたことを特徴とする。
開始信号送出手段を可視光により行う場合を除いて、非可視光、音、電波により実現する場合、操作者はどの物品に開始信号を送出しているか視認できない。そこで本発明では、開始信号を送出する方向に可視光を発光するようにして、視認を容易とするものである。
請求項9は、前記発光素子は赤外線、紫外線、レーザ光又は可視光を発光する素子であることを特徴とする。
本発明の発光素子は具体的には、非可視光である赤外線、紫外線、レーザ光又は可視光を発光する素子である。
請求項10は、請求項4乃至9の何れか一項に記載のリーダライタと、該リーダライタを制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、少なくとも1つ以上の特定の非接触情報記録媒体に対して選択的にポーリングの交信を開始するために前記電力用搬送波を送信すると共に、選択した特定の非接触情報記録媒体に前記開始信号を送出するように前記リーダライタを制御することを特徴とする。
本発明の物品管理システムは、例えば、開始信号受信手段を光で実現する場合、光の波長が1種類の受光素子を用意しておく。そしてその波長の光を特定の非接触情報記録媒体に送出し、その波長に感応してポーリングを開始する。
【0007】
請求項11は、前記制御手段は、少なくとも1つ以上の特定の非接触情報記録媒体との間でポーリングの交信を開始するために、前記電力用搬送波を送信すると共に、選択した複数の非接触情報記録媒体に前記開始信号を送出するように前記リーダライタを制御することを特徴とする。
本発明の物品管理システムは、例えば、開始信号受信手段を光で実現する場合、光の波長が異なる受光素子を複数用意しておく。そして第1の波長の光を所定の範囲に広げて送出し、その波長に感応する受信手段のみがポーリングを開始する。従って、1つずつ光を照射するのではなく、複数の範囲に光を照射するので、ポーリングの時間を短縮することができる。
請求項12は、前記リーダライタは、ハンディタイプであることを特徴とする。
リーダライタを固定的に設置する必要はない。即ち、持ち運びが可能なハンディタイプでも構わない。
請求項13は、前記リーダライタと前記開始信号送出手段が一体で構成されている場合、前記リーダライタをX軸及びY軸方向に移動するXYテーブルを更に備えたことを特徴とする。
比較的大きな規模の倉庫等で、物品を収納する面積が広く、且つ広範囲に亘って収納される場合、XYテーブルにリーダライタを設置して、自動的にX軸及びY軸方向に移動するように構成しても良い。
請求項14は、前記リーダライタと前記開始信号送出手段が一体で構成されている場合、前記リーダライタの角度をX軸及びY軸方向に変化させる角度変更手段を更に備えたことを特徴とする。
中規模の倉庫等で、所定の範囲内に物品が収納されている場合は、リーダライタの角度をX軸、Y軸方向に変化することで開始信号送出手段からの開始信号を到達させることができる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、非接触情報記録媒体に、非接触情報記録媒体のプログラム動作を開始するための開始信号を受信する開始信号受信手段を備えたので、複数の非接触情報記録媒体の中から特定の非接触情報記録媒体だけを選択することができる。
また請求項2では、開始信号受信手段は、所定の波長を有する光信号又は所定の周波数を有する音波信号又は所定の周波数を有する電波信号の何れか一つ又は2つ以上の組み合わせの信号を受信するように構成されているので、非接触情報記録媒体が置かれた環境条件に応じて最適な受信手段を選択することができる。
また請求項3では、搬送電力を受信し、且つ開始信号受信手段により開始信号を受信した場合、ポーリング動作を開始するように構成されているので、複数の非接触情報記録媒体が応答して、応答の衝突が発生することを事前に回避することができる。
また請求項4では、非接触情報記録媒体との間で所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を行うと共に、非接触情報記録媒体のポーリング動作を開始するための開始信号を送出する開始信号送出手段を備えたので、複数の非接触情報記録媒体の中から特定の非接触情報記録媒体を容易に選択することができる。
また請求項5では、開始信号送出手段は、所定の波長により発光する発光素子又は所定の周波数により振動する音波素子又は所定の周波数の電波を発振する電波発振器の何れか一つ又は2つ以上の組み合わせの信号を送出するように構成されているので、非接触情報記録媒体が置かれた環境条件に応じて最適な送出手段を選択することができる。
また請求項6では、開始信号送出手段は、リーダライタと一体に構成され、且つリーダライタの動作に同期して開始信号を送出するので、リーダライタが動作をするときは、必ず開始信号を送出する準備を整えることができる。
また請求項7では、開始信号送出手段は、リーダライタと別体に構成されているので、リーダライタを従来の構成で使用が可能となり、且つ開始信号送出手段を他のリーダライタと共通に使用することができる。
また請求項8では、開始信号送出手段は、前記開始信号が送出される方向に可視光を発光する構成としたので、どこに開始信号が当たっているかを目視で確認することができる。
また請求項9では、発光素子は赤外線、紫外線、レーザ光又は可視光を発光する素子であるので、非接触情報記録媒体が置かれた環境条件に応じて最適な発光素子を選択することができる。
【0009】
また請求項10では、制御手段は、少なくとも1つ以上の特定の非接触情報記録媒体に対して選択的にポーリングの交信を開始するために、搬送電力を送信すると共に、選択した特定の非接触情報記録媒体に開始信号を送出するようにリーダライタを制御するので、複数の非接触情報記録媒体の中から選択した特定の非接触情報記録媒体と交信することができる。
また請求項11では、制御手段は、少なくとも1つ以上の特定の非接触情報記録媒体とポーリングの交信を開始するために、搬送電力を送信すると共に、選択した複数の非接触情報記録媒体に開始信号を送出するようにリーダライタを制御するので、1つずつ開始信号を送出するのではなく、所定の範囲に開始信号を送出することにより、ポーリングの時間を短縮することができる。
また請求項12では、リーダライタは、ハンディタイプで構成されているので、持ち運びが容易となり、場所を選ばず使用することができる。
また請求項13では、リーダライタと開始信号送出手段が一体で構成されている場合、リーダライタをX軸及びY軸方向に移動するXYテーブルを更に備えたので、自動的に大量の物品をスキャンすることができる。
また請求項14では、リーダライタと開始信号送出手段が一体で構成されている場合、リーダライタの角度をX軸及びY軸方向に変化させる角度変更手段を更に備えたので、簡易な方法である程度の物品をスキャンすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明のリーダライタの構成を示すブロック図である。このリーダライタ100は、リーダライタ100との間でデータの授受を行ってシステム全体を制御するPC50によって制御される。リーダライタ100は、外部のPC50とのデータの通信プロトコルを司る送受信装置1と、リーダライタ100全体の動作を制御する制御装置2と、制御装置2を動作させる手順を記録したファームウェアと読み取ったデータを格納するメモリ装置3と、制御装置2からのデータを搬送波に乗せて変調する変調器4と、操作コマンドを入力する入力装置5と、制御装置2により制御された情報を表示する表示装置6と、制御装置2からの交流信号である電力供給用信号と変調器4からの書き込みコマンドを電力増幅する電力増幅器7と、アンテナ9から受信した搬送波から2値化データに変換する検波復調器8と、図示しないRFタグとの電力用搬送波とデータの授受をするアンテナ9と、RFタグ(非接触情報記録媒体)のポーリング動作を開始するための開始信号を送出する発光素子(開始信号送出手段)10と、を備えて構成されている。尚、発光素子に限らず所定の周波数により振動する音波素子又は所定の周波数の電波を発振する電波発振器の何れか一つ又は2つ以上の組み合わせの信号を送出するように構成しても構わない。
【0011】
次に、本構成によるリーダライタ100の動作を説明する前に、RFタグ(非接触情報記録媒体)の構成を先に説明しておく。図2は、本発明のRFタグの構成を示すブロック図である。本実施形態のRFタグ200は、リーダライタ100からの電力用搬送波によりデータの授受をするアンテナ20と、書き込みコマンド読み出しコマンドを生成する送受信回路21と、アンテナ20からの電力用搬送波を受け、それを整流して直流電力に変換する電力生成回路22と、制御用ファームウェアとデータの記憶を司るメモリ装置23と、制御回路26からの送信コマンドに搬送波を乗せて変調する変調器24と、送受信回路21からの搬送波データから2値化データに変換する検波器25と、RFタグ200の全体の動作を制御する制御回路26と、RFタグ200のポーリング動作を開始するための開始信号を受信する受光素子(開始信号受信手段)27と、を備えて構成されている。尚、受光素子に限らず所定の周波数を有する音波信号又は所定の周波数を有する電波信号の何れか一つ又は2つ以上の組み合わせの信号を受信可能な素子で構成しても構わない。
【0012】
次に、図3を参照してそれぞれ単独の動作について説明する。図3は本発明のリーダライタとRFタグの基本的な動作を説明するフローチャートである。リーダライタ100は、図示しない電源が入れられると制御装置2のイニシャル動作後、メモリ装置3に記憶されたプログラムに従い動作を開始する。まず、初期化が行われる。次に、制御装置2は、RFタグ200に供給する電力供給用とコマンド送信用を兼ねた無線波を電力増幅器7から送信する(S1)。その信号は、アンテナ9から電磁波として外部に放射される。次に、特定のRFタグ200に対して発光素子10から光を照射する(S2)。RFタグ200のアンテナ20が電力供給用信号を受信し、電力生成回路22によりその搬送波を整流して直流電力に変換して、RFタグ内の全ての回路に供給する(S5)。電力を供給されて制御回路26が駆動すると、受光素子27が発光素子10からの光を受光したかを判断し(S6)、受光したことを判断すると(S6でYESのルート)、メモリ装置23に格納されたプログラムに従って、制御を開始する(S7)。
次に、制御回路26は、まず送受信回路21からコマンドを検波器25で復調して2値化信号に変換し、そのコマンドを解析する(S8)。その結果、自分が呼び出されていることを認識すると(S9でYESのルート)、レスポンスを変調器24により変調して送受信回路21を介してアンテナ20から送信する(S10)。このレスポンスをリーダライタ100がアンテナ9で受信して、検波復調器8で2値化コードに変換し、制御回路2により解析してRFタグ200が規格に合致したRFタグであると認識する(S3でYESのルート)。それにより、以後リーダライタ100とRFタグ200の間でポーリングが行われる(S4、S11)。
【0013】
図4は本発明の第1の実施形態に係る物品管理システムの概略構成図である。尚、以下の説明では、開始信号受信手段として受光素子、開始信号送出手段として発光素子を使用するものとする。この物品管理システム300は、ハンディタイプのリーダライタ(H−R/W)100と、リーダライタ100を制御するPC(制御手段)50と、を備えて構成される。また、リーダライタ100には図示しない発光素子10が一体構成で備えられている。そして複数の物品30には夫々の物品の必要情報が記録されたRFタグ200(200a、200b)が付されている。まず、図示しない操作者が持ったリーダライタ100を所定の距離(RFタグと交信可能な距離)まで近接し、リーダライタ100のスイッチをONする。それにより電波33が複数のRFタグ200(200a、200b)に放射され、図3で説明したとおり各RFタグに電力を供給する。その状態ではまだRFタグのプログラムは稼動していないので、リーダライタ100を特定のRFタグ200aに向け、図示しないスイッチをONすることにより、発光素子10から光31がRFタグ200aに照射される。それによりRFタグ200aのみが、図3で説明した交信手順に従ってリーダライタ100とポーリングを開始する。次に電波33を放射した状態で、光32をRFタグ200bに照射することにより、RFタグ200bのみが、図3で説明した交信手順に従ってリーダライタ100とポーリングを開始する。
尚、電波33と発光素子10をONするタイミングは、リーダライタ100の電源スイッチをONした後、別のスイッチを備え、そのスイッチをONするタイミングに同期して電波33と発光素子10が同時にONするように制御するのが好ましい。これにより、リーダライタを移動中に意図しないRFタグと交信することを防ぐことができる。但し、全ての物品をとりあえずスキャンする場合は、電波33と発光素子10をONのままでも構わない。
【0014】
図5は本発明の第2の実施形態に係る物品管理システムの概略構成図である。同じ構成要素には図4と同じ参照番号を付して説明する。この物品管理システム310は、リーダライタ(R/W)100と、リーダライタ100を制御するPC(制御手段)50と、図示しないがリーダライタ100をXY方向に移動するXYステージと、を備えて構成される。また、リーダライタ100には図示しない発光素子10が一体構成で備えられている。そして複数の物品30には夫々の物品の必要情報が記録されたRFタグ200(200a、200b)が付されている。本実施形態では、リーダライタ100がXYステージに固定され、物品30との距離は予めRFタグと交信可能な距離に設定されている。そして図示を省略するが、PC50によりXYステージの移動距離が指示される構成である。
まず、リーダライタ100のスイッチをONする。それにより電波33が複数のRFタグ200(200a、200b)に放射され、図3で説明したとおり各RFタグに電力を供給する。その状態ではまだRFタグのプログラムは稼動していないので、PC50はXYステージを駆動してリーダライタ100を特定のRFタグ200aに移動し、発光素子10から光34がRFタグ200aに照射される。それによりRFタグ200aのみが、図3で説明した交信手順に従ってリーダライタ100とポーリングを開始する。次に電波33を放射した状態で、PC50はXYステージを駆動してリーダライタ100を特定のRFタグ200bに移動し、光35をRFタグ200bに照射することにより、RFタグ200bのみが、図3で説明した交信手順に従ってリーダライタ100とポーリングを開始する。
尚、電波33と発光素子10をONするタイミングは、リーダライタ100が所定の位置に移動後、電波33に同期して発光素子10が同時にONするように制御するのが好ましい。これにより、リーダライタを移動中に意図しないRFタグと交信することを防ぐことができる。但し、全ての物品をとりあえずスキャンする場合は、電波33と発光素子10をONのままでも構わない。
【0015】
図6は本発明の第3の実施形態に係る物品管理システムの概略構成図である。同じ構成要素には図4と同じ参照番号を付して説明する。この物品管理システム320は、リーダライタ(R/W)100と、リーダライタ100を制御するPC(制御手段)50と、図示しないがリーダライタ100の角度をXY方向(BA方向)に変化させる角度駆動装置(角度変更手段)と、を備えて構成される。また、リーダライタ100には図示しない発光素子10が一体構成で備えられている。そして複数の物品30には夫々の物品の必要情報が記録されたRFタグ200(200a、200b)が付されている。本実施形態では、リーダライタ100が所定の場所に固定され、物品30と最も遠い距離でもRFタグと交信可能な距離に設定されている。そして図示を省略するが、PC50によりリーダライタ100の角度が指示される構成である。
まず、リーダライタ100のスイッチをONする。それにより電波33が複数のRFタグ200(200a、200b)に放射され、図3で説明したとおり各RFタグに電力を供給する。その状態ではまだRFタグのプログラムは稼動していないので、PC50は角度駆動装置を駆動してリーダライタ100を特定のRFタグ200aに向け、発光素子10から光36がRFタグ200aに照射される。それによりRFタグ200aのみが、図3で説明した交信手順に従ってリーダライタ100とポーリングを開始する。次に電波33を放射した状態で、PC50は角度駆動装置を駆動してリーダライタ100を特定のRFタグ200bに向け、光37をRFタグ200bに照射することにより、RFタグ200bのみが、図3で説明した交信手順に従ってリーダライタ100とポーリングを開始する。
尚、電波33と発光素子10をONするタイミングは、リーダライタ100が所定の角度に向いた後、電波33に同期して発光素子10が同時にONするように制御するのが好ましい。これにより、リーダライタ角度を変更中に意図しないRFタグと交信することを防ぐことができる。但し、全ての物品をとりあえずスキャンする場合は、電波33と発光素子10をONのままでも構わない。
【0016】
図7は本発明の第4の実施形態に係る物品管理システムの概略構成図である。同じ構成要素には図4と同じ参照番号を付して説明する。この物品管理システム330は、リーダライタ(R/W)100と、リーダライタ100を制御するPC(制御手段)50と、図示しないがリーダライタ100の角度をXY方向(BA方向)に変化させる角度駆動装置(角度変更手段)と、を備えて構成される。また、リーダライタ100には図示しない発光素子10が一体構成で備えられている。そして複数の物品30には夫々の物品の必要情報が記録されたRFタグ200(200a、200b)が付されている。本実施形態が図6の実施形態と異なる点は、発光素子10の光ビームが複数の物品に同時に照射されるように構成し、且つ光の波長を2種類備えた点と、RFタグ200aと200bの受光素子の波長感度が異なるように構成されている点である。例えば、RFタグ200aと200bの受光素子の波長感度がλa、λbとし、光38と光39の波長がλa、λbとする。
まず、リーダライタ100のスイッチをONする。それにより電波33が複数のRFタグ200(200a、200b)に放射され、図3で説明したとおり各RFタグに電力を供給する。その状態ではまだRFタグのプログラムは稼動していないので、まず物品30のうちの6つの物品に同時に光38(λa)を照射する。これにより、RFタグ200aが付された物品のRFタグのみが、図3で説明した交信手順に従ってリーダライタ100とポーリングを開始する。次に電波33を放射した状態で、PC50は角度駆動装置を駆動してリーダライタ100を物品30のうちの他の6つの物品に同時に光39(λb)を照射する。これにより、RFタグ200bが付された物品のRFタグのみが、図3で説明した交信手順に従ってリーダライタ100とポーリングを開始する。
尚、電波33と発光素子10をONするタイミングは、リーダライタ100が所定の角度に向いた後、電波33に同期して発光素子10が同時にONするように制御するのが好ましい。これにより、リーダライタ角度を変更中に意図しないRFタグと交信することを防ぐことができる。但し、全ての物品をとりあえずスキャンする場合は、電波33と発光素子10をONのままでも構わない。また、本実施形態では、リーダライタ100の角度を変えて行なったが、図4のようにハンディタイプでも良く、図5のようにXYステージにより移動しても構わない。
【0017】
図8は本発明の第5の実施形態に係る物品管理システムの概略構成図である。同じ構成要素には図4と同じ参照番号を付して説明する。この物品管理システム340は、リーダライタ(R/W)100と、リーダライタ100を制御するPC(制御手段)50と、リーダライタ100とは別体の光源40と、を備えて構成される。本実施形態が第1から第4の実施形態と異なる点は、発光素子10をリーダライタ100と一体構成とせず、別体の光源40として構成した点である。そして複数の物品30には夫々の物品の必要情報が記録されたRFタグ200が付されている。本実施形態では、リーダライタ100が所定の場所に固定され、物品30と最も遠い距離でもRFタグと交信可能な距離に設定されている。まず、リーダライタ100のスイッチをONする。それにより電波33が複数のRFタグ200に放射され、図3で説明したとおり各RFタグに電力を供給する。その状態ではまだRFタグのプログラムは稼動していないので、光源40を特定のRFタグ200に向けることにより、光源40から光41がRFタグ200に照射される。それによりRFタグ200のみが、図3で説明した交信手順に従ってリーダライタ100とポーリングを開始する。
図9は本発明の開始信号送出手段の構成を示す図である。開始信号送出手段を可視光により行う場合を除いて、非可視光(紫外線、赤外線)、音、電波により実現する場合、操作者はどの物品に開始信号を送出しているか視認できない。そこで本実施形態では、開始信号を送出する方向に可視光を発光するようにして、視認を容易とするものである。この開始信号送出手段60は、本体60cと、開始信号送出部60aと、可視光源60bと、取っ手44と、を備えて構成される。そして可視光源40bの光束43と開始信号送出部60aの送出方向42が物品30に付されたRFタグ200の位置に重なるように構成されている。これにより、どこに開始信号が当たっているかを目視で確認することができる。
【0018】
以上の通り本発明によれば、RFタグ200に、RFタグ200のプログラム動作を開始するための開始信号を受信する開始信号受信手段を更に備えたので、複数のRFタグ200の中から特定のRFタグ200だけを選択することができる。
また、開始信号受信手段は、所定の波長を有する光信号又は所定の周波数を有する音波信号又は所定の周波数を有する電波信号の何れか一つ又は2つ以上の組み合わせの信号を受信するように構成されているので、RFタグ200が置かれた環境条件に応じて最適な受信手段を選択することができる。
また、搬送電力を受信し、且つ開始信号受信手段により開始信号を受信した場合、ポーリング動作を開始するように構成されているので、複数のRFタグ200が応答して、応答の衝突が発生することを事前に回避することができる。
また、リーダライタ100はRFタグ200との間で所定の変復調方式に基づく搬送電力の送信とデータの授受を行うと共に、RFタグ200のポーリング動作を開始するための開始信号を送出する開始信号送出手段を備えたので、複数のRFタグ200の中から特定のRFタグ200を容易に選択することができる。
また、開始信号送出手段は、所定の波長により発光する発光素子又は所定の周波数により振動する音波素子又は所定の周波数の電波を発振する電波発振器の何れか一つ又は2つ以上の組み合わせの信号を送出するように構成されているので、RFタグ200が置かれた環境条件に応じて最適な送出手段を選択することができる。
また、開始信号送出手段は、リーダライタ100と一体に構成され、且つリーダライタ100の動作に同期して開始信号を送出するので、リーダライタ100が動作をするときは、必ず開始信号を送出する準備を整えることができる。
また、開始信号送出手段は、リーダライタ100と別体に構成されているので、リーダライタ100を従来の構成で使用が可能となり、且つ開始信号送出手段を他のリーダライタと共通に使用することができる。
【0019】
また、開始信号送出手段は、開始信号が送出される方向に可視光を発光する構成としたので、どこに開始信号が当たっているかを目視で確認することができる。
また、発光素子は赤外線、紫外線、レーザ光又は可視光を発光する素子であるので、RFタグ200が置かれた環境条件に応じて最適な発光素子を選択することができる。
また、PC50は、少なくとも1つ以上の特定のRFタグ200に対して選択的にポーリングの交信を開始するために、搬送電力を送信すると共に、選択した特定のRFタグ200に開始信号を送出するようにリーダライタ100を制御するので、複数のRFタグ200の中から選択した特定のRFタグ200と交信することができる。
また、PC50は、少なくとも1つ以上の特定のRFタグ200とポーリングの交信を開始するために、搬送電力を送信すると共に、選択した複数のRFタグ200に開始信号を送出するようにリーダライタ100を制御するので、1つずつ開始信号を送出するのではなく、所定の範囲に開始信号を送出することにより、ポーリングの時間を短縮することができる。
また、リーダライタ100は、ハンディタイプで構成されているので、持ち運びが容易となり、場所を選ばず使用することができる。
また、リーダライタ100と開始信号送出手段が一体で構成されている場合、リーダライタ100をX軸及びY軸方向に移動するXYテーブルを更に備えたので、自動的に大量の物品をスキャンすることができる。
また、リーダライタ100と開始信号送出手段が一体で構成されている場合、リーダライタの角度をX軸及びY軸方向に変化させる角度変更手段を更に備えたので、簡易な方法である程度の物品をスキャンすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のリーダライタの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明のRFタグの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明のリーダライタとRFタグの基本的な動作を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る物品管理システムの概略構成図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る物品管理システムの概略構成図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る物品管理システムの概略構成図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る物品管理システムの概略構成図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る物品管理システムの概略構成図である。
【図9】本発明の開始信号送出手段の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0021】
10 発光素子、30 物品、50 PC、100 リーダライタ、200 RFタグ、300 物品管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナを介して、電力用搬送波の受信と所定の変復調方式に基づくデータの授受を非接触にて行う非接触情報記録媒体であって、該非接触情報記録媒体のポーリング動作を開始するための開始信号を受信する開始信号受信手段を備えたことを特徴とする非接触情報記録媒体。
【請求項2】
前記開始信号は、所定の波長を有する光信号、所定の周波数を有する音波信号、或いは所定の周波数を有する電波信号の何れか一つ又は2つ以上の組み合わせの信号であることを特徴とする請求項1に記載の非接触情報記録媒体。
【請求項3】
前記非接触情報記録媒体が前記電力用搬送波を受信し、且つ前記開始信号受信手段により前記開始信号を受信した場合、ポーリング動作を開始するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の非接触情報記録媒体。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の非接触情報記録媒体との間で所定の変復調方式に基づく電力用搬送波の送信とデータの授受を行うと共に、前記非接触情報記録媒体のポーリング動作を開始するための開始信号を送出する開始信号送出手段を備えたことを特徴とするリーダライタ。
【請求項5】
前記開始信号送出手段は、所定の波長により発光する発光素子、所定の周波数により振動する音波素子、或いは、所定の周波数の電波を発振する電波発振器の何れか一つ又は2つ以上の組み合わせの信号を送出するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のリーダライタ。
【請求項6】
前記開始信号送出手段は、前記リーダライタと一体に構成され、且つ該リーダライタの動作に同期して前記開始信号を送出することを特徴とする請求項4又は5に記載のリーダライタ。
【請求項7】
前記開始信号送出手段は、前記リーダライタと別体に構成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のリーダライタ。
【請求項8】
前記開始信号送出手段は、前記開始信号が送出される方向に可視光を発光する構成としたことを特徴とする請求項4乃至7の何れか一項に記載のリーダライタ。
【請求項9】
前記発光素子は、赤外線、紫外線、レーザ光又は可視光を発光する素子であることを特徴とする請求項5に記載のリーダライタ。
【請求項10】
請求項4乃至9の何れか一項に記載のリーダライタと、該リーダライタを制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、少なくとも1つ以上の特定の非接触情報記録媒体に対して選択的にポーリングの交信を開始するために前記電力用搬送波を送信すると共に、選択した特定の非接触情報記録媒体に前記開始信号を送出するように前記リーダライタを制御することを特徴とする物品管理システム。
【請求項11】
前記制御手段は、少なくとも1つ以上の特定の非接触情報記録媒体との間でポーリングの交信を開始するために、前記電力用搬送波を送信すると共に、選択した複数の非接触情報記録媒体に前記開始信号を送出するように前記リーダライタを制御することを特徴とする請求項10に記載の物品管理システム。
【請求項12】
前記リーダライタは、ハンディタイプであることを特徴とする請求項10又は11に記載の物品管理システム。
【請求項13】
前記リーダライタと前記開始信号送出手段が一体で構成されている場合、前記リーダライタをX軸及びY軸方向に移動するXYテーブルを更に備えたことを特徴とする請求項10乃至12の何れか一項に記載の物品管理システム。
【請求項14】
前記リーダライタと前記開始信号送出手段が一体で構成されている場合、前記リーダライタの角度をX軸及びY軸方向に変化させる角度変更手段を更に備えたことを特徴とする請求項10乃至12の何れか一項に記載の物品管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−102712(P2007−102712A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−295350(P2005−295350)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】