説明

非接触通信システムおよび非接触通信装置

【課題】 非接触通信システムにおいて、処理時間の短縮化を図る。
【解決手段】 リーダライタ1は、コマンドをICカードに送信した後、ICカードからコマンドに対する応答を受信するまでの間に、ICカードからの応答に対する評価条件、応答を判定することによって予想される複数の判定結果に各々対応する次のコマンドを上位装置から受信する。そして、ICカードから応答があったとき、リーダライタ1は、判定条件により応答を判定して複数のコマンドのうちから一つのコマンドを選択し、その選択したコマンド名を上位装置に通知すると共に、その通知のための通信をしている間に、選択したコマンドをICカードに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非接触通信装置が上位装置からのコマンドを順次データキャリアに送信して当該データキャリアに対し読み書き処理する非接触通信システムおよび非接触通信装置に係り、特に、処理時間の短縮を図ったものに関する。
【背景技術】
【0002】
ICカード(データキャリア)に対し、非接触で読み書きする非接触通信システムは、通常、上位装置と、リーダライタ(非接触通信装置)と、利用者が携帯するICカードとからシステム構成される。上位装置は、システムにとって必要なすべての機能を果たすもので、リーダライタとデータ通信を行う。リーダライタは、ICカードとの間で電波(電磁波)による非接触のデータ通信を行う。
【0003】
特許文献1には、入退室管理システムにおいて、上位装置とリーダライタとの間のデータ通信量、通信時間の削減を図って、上位装置の負担を軽減し、全体としての処理能率を向上させることが記載されている。そのために、カードの入退室照合に伴って生ずる履歴情報をリーダライタに記憶しておき、このリーダライタの記憶した履歴情報を全体用リーダライタにより収集し編集してカードに登録するようにして、上位装置とリーダライタとの間の通信を軽減させるようにすることが提案されている。
【特許文献1】特開2000−3492号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、駅の改札システムなどでは、高速処理が要求される。このような高速処理の要求に対しては、従来では、上位装置およびリーダライタの処理動作の高速化(動作クロックの高速化)や通信速度の高速化を図ったり、データ圧縮技術などを取り入れたりしていた。しかしながら、この高速処理対策では、処理の高速化に応じることができるような高い処理能力を有する設備であることが必要である上、システムが様々な環境下で使用されることを考慮すると、高速処理を実現するためには様々な問題が発生し、これを個別に解決してゆかねばならないという困難性を伴うことが予想される。また、特許文献1に記載された高速処理対策では、別に全体用リーダライタを設けねばならず、設備費が高くなるという問題があり、しかも、入退室システムには良いが、非接触通信システム一般に適合することは困難である。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、別に高価な設備を設けずとも、処理時間の短縮化を図ることができる非接触通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、データを記憶する記憶部を具えた非接触型データキャリアと、この非接触型データキャリアと非接触データ通信を行う非接触通信装置と、この非接触通信装置と通信を行い前記非接触型データキャリアと前記非接触通信装置との間の非接触データ通信を制御する上位装置とから構成される非接触通信システムであって、前記上位装置は、前記非接触型データキャリアと前記非接触通信装置との間の前記非接触データ通信を制御するためのコマンドを前記非接触通信装置に与える非接触通信制御手段と、前記非接触通信制御手段が前記非接触通信装置に与えたコマンドに対する前記非接触型データキャリアの応答を予測する応答予測手段と、前記応答予測手段が予測した前記非接触型データキャリアからの応答のそれぞれに対応する次期コマンドを準備し、前記非接触通信制御手段を介して準備した次期コマンドを前記非接触通信装置に与える次期コマンド準備手段と、を具え、前記非接触通信装置は、前記上位装置が具える前記非接触通信制御手段から与えられたコマンドを前記非接触型データキャリアが受信できる形式に変換して送信する送信制御手段と、前記非接触型データキャリアからの応答を受信する受信制御手段と、前記受信制御手段が受信した前記非接触型データキャリアからの応答に対応する前記上位装置から与えられた次期コマンドの一つを選択し、前記送信制御手段を介して前記非接触型データキャリアに送信した後、前記上位装置に対して選択した次期コマンドの一つが何であったかを示す次期コマンド選択情報を送信して通知する送受信制御手段と、を具え、前記上位装置が具える前記非接触通信制御手段は、更に、前記非接触通信装置が具える前記送受信制御装置から受信した前記次期コマンド選択情報に応じて新たなコマンドを前記非接触通信装置に与えることを特徴とする非接触通信システにある。
【0007】
請求項9の発明は、請求項1記載の非接触通信システムに使用される非接触通信装置において、前記上位装置が具える前記非接触通信制御手段から与えられたコマンドを前記非接触型データキャリアが受信できる形式に変換して送信する送信制御手段と、前記非接触型データキャリアからの応答を受信する受信制御手段と、前記受信制御手段が受信した前記非接触型データキャリアからの応答に対応する前記上位装置から与えられた次期コマンドの一つを選択し、前記送信制御手段を介して前記非接触型データキャリアに送信した後、前記上位装置に対して選択した次期コマンドの一つが何であったかを示す次期コマンド選択情報を送信して通知する送受信制御手段と、を具えることを特徴とする。
【0008】
上記請求項1および9の発明によれば、非接触通信装置から非接触型データキャリアへコマンドを送信し、非接触型データキャリアが非接触通信装置から送信されてきたコマンドに対する処理を実行している間に、上位装置から非接触通信装置に対して、非接触型データキャリアからの応答に応じて非接触通信装置から非接触型データキャリアへ送信すべき次期コマンドを送信することができ、また、非接触通信装置が非接触型データキャリアからの応答に対応するコマンドを選択すると、そのコマンドを非接触通信装置が非接触型データキャリアに送信した後、非接触型データキャリアが送信されてきたコマンドを処理している間に、非接触通信装置が非接触型データキャリアへ送信したコマンドを特定する情報を上位装置に送信することができるので、処理時間を短縮することができる。
【0009】
上記の請求項1の非接触通信システムにおいては、請求項2のように、前記上位装置が具える前記応答予測手段は、前記非接触通信装置が前記非接触型データキャリアに与えたコマンドに対する前記非接触型データキャリアからの応答が、正常でなかった場合、および正常であった場合の両方を予測し、更に、それぞれの場合において前記非接触型データキャリアからの複数の応答の形態を予測することができる。
【0010】
また、非接触通信システムにおいて、請求項3のように、前記上位装置が具える前記次期コマンド準備手段は、前記応答予測手段が予測した複数の前記応答のそれぞれに対応する次期コマンドを準備し、前記応答予測手段が予測した複数の前記応答と、準備した次期コマンドとをそれぞれ対応付けて前記非接触通信制御手段を介して前記非接触通信装置に与えることができる。このようにすれば、非接触通信装置において、非接触型データキャリアの応答に対する次期コマンドの選択処理が容易となる。
【0011】
更に、非接触通信システムにおいて、請求項4のように、前記上位装置が具える前記次期コマンド準備手段は、与えたコマンドに対する前記非接触型データキャリアからの応答が正常でなかった場合を予測して準備された次期コマンドに対して、少なくとも当該次期コマンドの再実行回数を付加して前記非接触通信装置に与えることができる。このようにすれば、非接触通信装置と非接触型データキャリアとの間で、同じコマンドの送信が繰り返されて処理が進行しなくなるという不具合を解消することができる。
【0012】
請求項5の発明は、非接触通信システムにおいて、前記非接触通信装置が具える前記送受信制御手段は、前記受信制御手段が受信した前記非接触型データキャリアからの応答に対応する前記上位装置から与えられた前記次期コマンドがない場合、前記上位装置に対して前記受信制御手段が受信した前記非接触型データキャリアからの応答をそのまま送信し、前記上位装置が具える前記次期コマンド予測手段は、前記非接触通信装置から通知された前記予測外応答情報に対応する新たなコマンドを新たな次期コマンドとして準備することを特徴とする。
【0013】
また、請求項10の発明は、請求項5記載の非接触通信システムに使用される非接触通信装置において、前記送受信制御手段は、前記受信制御手段が受信した前記非接触型データキャリアからの応答に対応する前記上位装置から与えられた前記次期コマンドがない場合、前記上位装置に対して前記受信制御手段が受信した前記非接触型データキャリアからの応答をそのまま送信することを特徴とする。
【0014】
上記請求項5、10の構成によれば、非接触型データキャリアからの応答が予想外のもので、非接触通信装置ではその応答に対処できない場合でも、その応答を上位装置で処理することによって、処理が途中で停止することを極力防止することができる。
【0015】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の非接触通信システムにおいて、前記非接触通信装置は、更に、前記送受信制御手段によって制御される信号出力手段を具え、前記上位装置が具える前記次期コマンド準備手段は、前記応答予測手段が予測した前記非接触型データキャリアからの応答のそれぞれに対応する次期コマンドに加え、前記応答予測手段が予測した前記非接触型データキャリアからの応答のそれぞれに対応して前記信号出力手段に信号を出力する次期信号出力コマンドを準備し、前記非接触通信制御手段を介して前記次期コマンドと前記次期信号出力コマンドとを前記非接触通信装置に与え、前記非接触通信装置が具える前記送受信制御手段は、前記受信制御手段が受信した前記非接触型データキャリアからの応答に対応する次期コマンドの一つと、次期信号出力コマンドの一つとを選択し、選択した次期コマンドの一つは前記送信制御手段を介して前記非接触型データキャリアに送信し、選択した次期信号出力コマンドの一つは前記信号出力手段に対応する信号に変換して出力することを特徴とする。
【0016】
請求項11の発明は、請求項9、10記載の非接触通信装置において、前記送受信制御手段によって制御される信号出力手段を具え、前記送受信制御手段は、前記受信制御手段が前記上位装置から受信した前記非接触型データキャリアからの応答に対応する次期コマンドの一つと、次期信号出力コマンドの一つとを選択し、選択した次期コマンドの一つは前記送信制御手段を介して前記非接触型データキャリアに送信し、選択した次期信号出力コマンドの一つは前記信号出力手段に対応する信号に変換して出力することを特徴とする。
【0017】
請求項6、11の構成によれば、例えば、コマンドに対する処理結果を表示装置や発音装置などの報知手段によって使用者に知らせることができる。
請求項6、11の構成は、請求項7、12の発明のように、前記非接触通信装置が具える前記信号出力手段は、通路の通行を禁止または許可する扉の開閉を制御する信号を出力するものとすることができる。
また、請求項8、13の発明のように、前記非接触通信装置が具える前記信号出力手段は、前記非接触通信装置が具える光または音を用いて状態を報知する報知手段を制御する信号を出力するものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の第1の実施例を図1〜図6に基づいて説明する。本実施例の非接触通信システムは、図6に示すように、非接触通信装置としてのリーダライタ1、このリーダライタ1の上位装置2、非接触型データキャリアとしてのICカード3から構成されている。リーダライタ1と上位装置2とは、データ通信を行うようになっている。この場合のデータ通信は、有線であっても、無線であっても良く、また、シリアル通信、パラレル通信のいずれであっても良い。この実施例では、有線によるシリアル通信であって、その通信方式は半2重通信方式が採用されているものとする。ICカード3は使用者が携帯するもので、図示はしないが、データを記憶する記憶部を有している。このICカード3とリーダライタ1とは、電波(電磁波)により非接触でデータ通信を行うようになっている。
【0019】
図2は、上位装置2の電気的構成を機能ブロックで示す。図2に示す通り、上位装置2は、次期コマンド準備手段としての次期コマンド準備部4、非接触通信制御手段としての非接触通信制御部5、応答予測手段としての応答予測部6、送信部7、受信部8、下位通信部9を具えている。このうち、応答予測部6は、リーダライタ1からICカード3に与えたコマンドに対して、ICカードからの応答(複数あり。)を予測する。
【0020】
次期コマンド準備部4は、応答予測部6が予測した応答のそれぞれに対するコマンド(次期コマンド)を準備する。非接触通信制御部5は、次期コマンド準備部4が準備した次期コマンドおよびその次期コマンドに対する応答についての判定条件をリーダライタ1に適合する形式に変更して送信部7に送る。送信部7は、非接触通信制御部5から与えられた次期コマンドおよび判定条件を変調して下位通信部9からリーダライタ1へ送信する。受信部8は、下位通信部9がリーダライタ1から受信したデータを復調して非接触通信制御部5に与える。そして、非接触通信制御部5は、リーダライタ1からのデータを上位装置2の形式に変換し、そのデータのうちリーダライタ1がICカード3に送信したコマンドが何であったかを示す次期コマンド選択情報を応答予測部6に与える。そして、応答予測部6は、そのリーダライタ1からICカード3に送信されたコマンドに対する応答を予測し、その予測した応答を次期コマンド準備部4に与えるのである。
【0021】
図1は、リーダライタ1の電気的構成を機能ブロックで示す。図1に示す通り、リーダライタ1は、上位装置2と有線による半2重通信方式にてシリアルデータ通信を行う上位通信部10、上位装置2との通信を制御する通信制御部11、記憶部12、送受信制御手段としてのデータ処理制御部13、アンテナ14を介してICカード3と電波でデータ通信を行う無線通信部15を備えている。
【0022】
通信制御部11は、受信制御部16と送信制御部17とからなる。記憶部12は、コマンドバッファ18、条件データバッファ19とからなる。通信制御部11の両制御部16、17のうち、受信制御部16は、上位装置2から送信されてきたデータを復調し、そのデータを、データの種類に応じて記憶部12のコマンドバッファ18および条件データバッファ19のうちのいずれかに格納する。また、送信制御部17は、データ処理制御部13側で作成されたデータを変調して上位通信部10を介して上位装置2に送信する。
【0023】
データ処理制御部13は、コマンド選択部20、コマンド選択情報部21、カード通信処理部22、カード応答判定部23、上位送信データ作成部24を備えている。また、無線通信部15は、送信回路25と受信回路26とから構成されている。データ処理制御部13のコマンド選択部20は、コマンド選択情報部21から与えられるコマンド選択情報に基づいて前記コマンドバッファ18に格納されている複数のコマンドのうちから、ICカード3へ送信すべきコマンドを選択してカード通信処理部22へ送る。カード通信処理部22は、送信制御手段として機能し、コマンド選択部20から与えられたコマンドをICカード3に適合する形式に変更して送信回路25に送る。そして、送信回路25は、カード通信処理部22から与えられたデータを変調してアンテナ14から送信する。
【0024】
リーダライタ1がICカード3と通信する場合、アンテナ14からは、電力用のキャリア信号が発信され、ICカード3に送信すべきデータは、そのキャリア信号に重畳される。ICカード3は、リーダライタ1から送信されてくる電力用のキャリア信号から動作電源を得て処理動作を行う。このICカード3から送信されるデータ信号は、リーダライタ1のアンテナ14に受信される。アンテナ14に受信されたデータ信号は、無線通信部15の受信回路26により復調される。そして、復調された受信データは、カード通信処理部22に与えられる。
【0025】
カード通信処理部22は、受信制御手段としても機能し、ICカード3から受信したデータをリーダライタ1の取り扱い形式に変更してカード応答判定部23に送る。カード応答判定部23は、ICカード3から受信したデータ(応答)を条件データバッファ19に格納されている判定条件によって判定する。そして、カード応答判定部23は、判定結果に基づく情報をコマンド選択情報部21および上位送信データ作成部24に与える。上位送信データ作成部24では、カード応答判定部23から与えられたデータを上位装置2に送信すべき内容にして通信制御部11の送信制御部17に与える。送信制御部17は、上位送信データ作成部24から与えられたデータを変調して上位装置2へ送信する。
【0026】
本実施例の非接触通信システムでは、ICカード3が行うべき処理は、コマンドとしてリーダライタ1から与えられる。ICカード3が一つのコマンドを処理すると、その処理結果としての応答がリーダライタ1に送信される。そして、リーダライタ1は、ICカード3からの応答内容を、判定条件によって判定し、その判定結果に応じた次のコマンドをICカード3に送る。このようなリーダライタ1がICカード3に送信するコマンド、および応答内容を判定するための基準となる判定条件は、全て上位装置2からリーダライタ1に送信される。
【0027】
ここで、従来の上位装置からリーダライタへのコマンドおよび判定条件の送信タイミングを、リーダライタからICカードへのコマンドの送信およびICカードからリーダライタへの応答の送信のタイミングに関連付けて図9により説明する。
即ち、リーダライタとICカードの通信が確立すると、まず、最初のコマンド1(初回コマンド1)が上位装置からリーダライタに送信され、リーダライタは、その初回コマンド1をICカードに送信する。ICカードは、リーダライタから送信された初回コマンド1についての処理を実行し、その処理結果を応答1としてリーダライタへ送信する。リーダライタは、ICカードから送信された応答1を上位装置へ送信する。
【0028】
上位装置は、応答1を判定条件1により判定する。この場合の判定結果は、少なくとも2つ、場合によっては3つ或はそれ以上得られる。例えば、応答1が数値「5」で、判定条件1が「5以上であればYES、5未満であればNO」であるような場合、判定結果は2つである。また、判定条件1が「5を超えていればプラス、5であればイコール、5未満であればマイナス」であるような場合、判定結果は3つである。なお、以下の説明では、理解し易くするために、判定結果は「YES」と「NO」の2つになる場合に限定されていることにする。
【0029】
上位装置は、応答1を判定条件1により判定すると、その判定結果に応じて次にリーダライタへ送信すべきコマンド(次期コマンド)を選択する。例えば、「YES」のときコマンド2、「NO」のときコマンド3をそれぞれ選択するものとすると、上位装置は、その判定結果に応じてリーダライタにコマンド2またはコマンド3を送信する。そして、リーダライタは、上位装置から送信されてきたコマンド2またはコマンド3をICカードに送信する。
【0030】
ICカードは、コマンド2またはコマンド3に対する応答2をリーダライタに送信し、リーダライタは、その応答2を上位装置に送信する。上位装置は、応答2を判定条件2または3によって判定し(応答2がコマンド2に対してのものであるときは判定条件2、コマンド3に対してのものであるときは判定条件3)、その判定結果に応じてコマンド4または5を選択し、リーダライタに送信する。そして、リーダライタは、コマンド4または5を実行し、その結果を応答3としてリーダライタに送信し、リーダライタは応答3を上位装置に送信する。その後、上位装置は、応答3の内容を判定条件で判定し、その判定結果に応じて次のコマンドを選択してリーダライタに送信するというように、上述のような動作を繰り返し実行することによってICカードに対する読み書きが行われる。
【0031】
このような読み書き構成の従来では、リーダライタからコマンドがICカードに送信された後は、上位装置がそのコマンドに対する応答を受信して応答の内容を判定するまで、次のコマンドを決定できない。従って、ICカードがコマンドについての処理を実行している間、上位装置およびリーダライタは、共に待機状態になり、これが従来システムにおいて、処理時間が長引く大きな原因となっていた。
【0032】
これに対し、本発明は、図5に示すように、コマンドに対する応答に対して判定条件で判定すると、その判定結果は2つ(「YES」か「NO」)、場合によっては3つ以上になるが、複数の判定結果の各々に対して次のコマンドは一義的に定まること、簡単な判断や処理はリーダライタ1でも実行することできることに着目してなされたもので、以下、図3のフローチャートおよび図4のシーケンスをも参照しながら説明する。
【0033】
図3(a)はリーダライタ1の通信制御部11の制御内容を示し、図3(b)はデータ処理制御部13の動作内容を示している。即ち、新たにICカード3に対して読み書きを開始するとき、上位装置2の次期コマンド準備部4が、ICカード3に送る最初のコマンド(初回コマンド1)と、その初回コマンドに対する応答についての判定条件1と、応答内容に応じて得られる2つの判定結果の各々(請求項にいうICカード3からの応答に相当)に対する次のコマンド2および3とを順に非接触通信制御部5に与える。そして、非接触通信制御部5は、初回コマンド1、判定条件1、次期コマンド2および3を順に送信部7、下位通信部9を介してリーダライタ1へ送信する。
上位装置2から初回コマンド1がリーダライタ1の上位通信部10に送信されると、受信制御部16が上位装置2からの初回コマンド1を受信して復調し、その復調した初回コマンド1をコマンドバッファ18に格納する(以上、図3(a)のステップA1で「有」→ステップA2)。
【0034】
一方、リーダライタ1においては、新たなICカード3に対して読み書きを開始しようとする場合、データ処理制御部13のカード応答判定部23は、これから新たなICカードに対して読み書きする旨の情報をコマンド選択情報部21に与える。また、コマンド選択部20は、コマンドバッファ18にコマンドが格納されたかを監視する状態となっている(ステップB1)。そして、上述のようにして上位装置2から送信されてきた初回コマンド1がコマンドバッファ18に格納されると、コマンド選択部20は、直ちにその初回コマンド1をコマンドバッファ18から読み出す。
【0035】
コマンド選択部20は、コマンドバッファ18から読み取ったコマンドが初回コマンド1であり、これから新たにICカード3に対して読み書きを開始するというコマンド選択情報部21の情報に適合しているので、ステップB1で「有」と判断して、その初回コマンド1をカード通信処理部22に送る。カード通信処理部22は、その初回コマンド1を送信回路25を介してアンテナ14からICカード3に送信する(ステップB2)。
【0036】
ICカード3は、このリーダライタ1からの初回コマンド1を受信し、その初回コマンド1についての要求処理1の実行に入る。そして、カード通信処理部22は、初回コマンド1を送信した後、ICカード3からの応答を待つ状態となる(ステップB3)。
【0037】
受信制御部16は、初回コマンド1をコマンドバッファ18へ格納すると、次のデータ受信が有るか否かを判断するステップA3に移行する。上位装置2からは初回バッファ1に続いて、判定条件データ1、コマンド2および3が順に連続的に送信されてくるので、受信制御部16は、初回コマンド1を格納後、直ちに、ステップA3で「判定条件データ」と判断して初回コマンド1に続いて送信されてきた判定条件データ1を条件データバッファ19に格納し(ステップA4)、最初のステップA1に戻る。そして、受信制御部16は、このステップA1で直ちに「有」と判断して、判定条件データ1に続いて送信されてくるコマンド2をコマンドバッファ18に格納し(ステップA2)、次いで、ステップA3に移行すると直ちに「有」と判断してコマンド2に続いて送信されてくるコマンド3をコマンドバッファ18に格納する(ステップA2)。その後、受信制御部16は、上位装置2からのデータの受信を待つ状態となる(ステップA3)。
【0038】
さて、ICカード3が初回コマンド1に対する応答処理1を終了すると、その処理結果である応答1のデータをリーダライタ1へ送信する。すると、受信回路26が応答1を受信して復調し、カード通信処理部22に与える(ステップB3)。カード通信処理部22は、ICカード3からの応答1をリーダライタ1の取り扱い形式に変更してカード応答判定部23に送る(ステップB5)。そして、条件データバッファ19に判定条件データ1が格納されているので(ステップB6で「有」)、カード応答判定部23は、その判定条件データ1を読み出して当該判定条件1に基づいてICカード3からの応答1の内容を判定し、その判定結果により、判定結果(請求項にいう応答)のそれぞれに対応した次期コマンドであるコマンド2および3のうちからいずれか一つのコマンドを選択する(ステップB7)。
【0039】
応答1に対する判定を終了すると、カード応答判定部23は、条件データバッファ19に格納されている使用済みの判定条件データ1をクリアし(ステップB8)、次いで、コマンド2および3のうちから判定条件に基づいて選択したコマンド(次期コマンド)名を上位送信データ作成部24およびコマンド選択情報部21に送る(ステップB9)。そして、上位送信データ作成部24は、選択したコマンドが何であるかを示す通知データ(選択した一つのコマンドを特定する次期コマンド選択情報)を作成して送信制御部17に送る(ステップB11)。送信制御部17は、その通知データ(次期コマンド選択情報)を上位通信部10から上位装置2に送信する(ステップB12)。
【0040】
リーダライタ1からの次期コマンド選択情報は、上位装置2において、下位通信部9に受信されて受信部8を介して非接触通信制御部5に与えられる。非接触通信制御部5は、受信した次期コマンド選択情報を応答予測部6および次期コマンド準備部4に与える。そして、応答予測部6は、次期コマンド選択情報に基づいて、リーダライタ1からICカード3に送信された一つのコマンドがコマンド2およびコマンド3のうちのいずれであるかを特定し、そして特定したコマンドに対してICカード3からの応答を判定条件により判定した結果(請求項にいう応答)を予測し、その予測した判定結果を次期コマンド準備部4に与える。
【0041】
次期コマンド準備部4は、非接触通信制御部5から与えられた次期コマンド選択情報に基づいて、コマンド2、3のうちICカード3に送信されたコマンドについての応答に対する判定条件2または3を図示しないメモリから選択すると共に、応答予測部6が予測した判定結果のそれぞれに対応する次期コマンド(図3でコマンド4および5)を図示しないメモリから選択して非接触通信制御部5に与える。そして、非接触通信制御部5は、次期コマンド準備部4から与えられた判定条件2または3、その判定条件2または3に基づいてICカード3からの応答を判定した場合に得られる2つの判定結果の各々についてのコマンド4および5を順次連続的に送信する。
【0042】
前記次期コマンド選択情報を上位装置2に送信している間に、コマンド選択部20は、コマンドバッファ18に格納されているコマンド(この場合、コマンド2および3)の中から、コマンド選択情報部21に与えられた選択コマンド名と同一名のコマンドを選択し(ステップB1で「有」)、カード通信処理部22、送信回路25を介してアンテナ14からICカード3に送信する(ステップB2)。そして、ICカード3からの応答を待つ状態となる(ステップB3)。
【0043】
上述のようにして上位装置2が判定条件データ2または3、コマンド4および5を送信し始めると、コマンド2および3の受信を終了した後、ステップA3の受信待ち状態にあった受信制御部16が、ICカード3からの応答があるまで間に、判定条件データ2を、前述の判定条件データ1と同様にして条件データバッファ19に格納し(ステップA3で「判定条件データ」→ステップA4→ステップA1)、続いて連続的に送信されてくるコマンド4および5をコマンドバッファ18に格納する(ステップA1で「有」→ステップA2→ステップA3で「コマンド」→ステップA2→ステップA3)。
【0044】
ICカード3からコマンド2または3についての応答が送信されてくると、その応答に対してカード応答判定部23が、判定条件バッファ13に格納されている判定条件2または3に基づいて判定し、コマンドバッファ18に格納されているコマンド4および5の中から、その判定結果に応じた一つのコマンドを選択する(ステップB3で「有」→ステップB5→ステップB6で「有」→ステップB7)。
【0045】
その後、条件データバッファ19に格納されている判定条件データ2または3が消去され、選択されたコマンド名を示す次期コマンド選択情報が上位装置2に送信されると共に、選択されたコマンドがICカード3に送信される(ステップB8→ステップB9→ステップB11→ステップB12→ステップB1で「有」→ステップB2)。そして、上位装置2では、前述したと同様に、ICカード3に送信されたコマンドに対する応答の判定条件データ、その判定条件による応答のそれぞれに対するコマンドを連続的に送信する、というように、以下、上述したと同様の動作を繰り返し実行してICカード3に対する読み書きを終了する。
【0046】
ここで、ステップB6において、判定条件バッファ13に判定条件データが格納されていない場合(次期コマンドが格納されていない場合に相当)には、応答の判定結果に応じたコマンドをICカード3に送信することもないので、コマンドバッファ18に格納されている使用済みコマンドをクリアする(ステップB10)。そして、カード応答判定部23がICカード3からの応答の種類を示す予測外応答情報を送信して次処理のためのコマンドを要求する旨を上位送信データ作成部24に送り、上位送信データ作成部24は、次のコマンドを要求する通知データを作成し、これを送信制御部17を介して上位装置4に送信する(ステップB11→ステップB12)。この通知データを受けた上位装置2は、その中の予想外応答情報に基づいて、これに対応する新たなコマンドを次期コマンドとしてリーダライタ1に送信する。
【0047】
なお、リーダライタ1は、ICカード3からの応答を待つステップB3において、一定時間経過してもICカード3からの応答がない場合や例外的な処理を必要とする応答であった場合には、その内容に応じた例外処理を行う(ステップB4)。そして、判定条件があるといけないので、ステップB6に移行して判定条件データがあるか否かを判断し、判定条件の有無に応じてステップB10→ステップB11→ステップB12またはステップB17→ステップB8→ステップB9→ステップB11→ステップB12を実行してステップB1に戻る。
【0048】
このように本実施例によれば、ICカード3に対して読み書きを開始する際には、上位装置2からリーダライタ1に対して、初回コマンド1、判定条件データ1、コマンド2および3を送信し、リーダライタ1は、初回コマンド1を受信すると、その初回コマンド1をICカード3に送信する。このため、リーダライタ1は、ICカード3からの応答を待っている間に、初回コマンド1以降に送られてくる判定条件データ1、コマンド2および3を受信する。
【0049】
読み書きを開始した以降では、上位装置2は、ICカード3からの応答を判定条件で判定することによってコマンドを選択してICカード3に送信すると共に、選択したコマンドを示す次期コマンド選択情報を上位装置2に送信し、上位装置2は、リーダライタ1から次期コマンド選択情報を与えられることによって、ICカード3に送信されたコマンドを特定してそのコマンドに対する判定条件と、その判定条件によって応答を判定した場合の複数の判定結果のそれぞれに対するコマンドを送信する。このため、リーダライタ1は、ICカード3からの応答を待っている間に、判定条件データ、複数のコマンドを受信することができる。また、リーダライタ1は、ICカード3からの応答に対する判定結果から複数のコマンドのうち一つのコマンドを選択し、そして、選択した一つのコマンド名を上位装置2に送信している間に、選択したコマンドをICカード3に送信することができる。
【0050】
このように、リーダライタ1は、上位装置2から送られてくるデータを受信している間にICカード3にコマンドを送信し、或はICカード3からの応答を判定して選択したコマンドをICカード3に送信し、ICカード3がそのコマンドを処理している間に、リーダライタ1は、ICカード3に送信したコマンドを示す次期コマンド選択情報を上位装置2に送信することができ、また、ICカード3からの応答を待つ間に上位装置2から送られてくる判定条件および複数の次期コマンドを受信することができるので、処理時間を短縮することができる。
【0051】
また、ICカード3からの応答に対する判定はリーダライタ1が行うが、この判定自体は簡単な処理であるので、処理時間が長くなったり、リーダライタ1の構成要素をそれほど高性能のものとしたりせずとも済む。この場合、上位装置2の応答予測部6がコマンドに対する応答を複数予測し、次期コマンド準備部4がその複数の応答の種類(例えば、「1未満」と「1以上」)と、それら各応答に対するコマンドとを互いに関連付けてリーダライタ1に送信するように構成すれば、リーダライタ1は、判定条件で応答を判定する必要がなく、処理速度を一層速くすることができる(請求項3)。
【0052】
図7は本発明の第2の実施例を示す。この実施例は、ICカード3からの応答が予測外の応答であった場合、つまり条件データバッファ19に記憶されている判定条件で判定できず従ってコマンドバッファ18に記憶されているコマンド中に次期コマンドがない場合の処理法についてのものである。
即ち、図7は、リーダライタ1からICカード3にコマンド4または5を送信し、ICカード3がそのコマンドについての要求処理3を実行し、その結果、応答3ではなく、予測しない応答11をリーダライタ1に送信した場合を示している。
【0053】
この場合には、リーダライタ1の条件データバッファ19に記憶されている判定条件4または5によっては応答11を判定することができない。この場合には、リーダライタ1のカード応答判定部23は、ICカード3から送信されてきた応答11をそのまま上位送信データ作成部24を介して上位装置11に送信する。
【0054】
上位装置11の次期コマンド準備部4は、ICカード3の応答11を判定して次期コマンド12を準備と、その次期コマンド12に対する応答についての判定条件13と、応答内容を判定条件13により判定した場合に得られる2つの結果の各々に対するコマンド14,15をリーダライタ1に送信する。そして、リーダライタ1は、次期コマンド12をICカード3に送信する。
【0055】
ICカード3は、コマンド12による要求処13を行い、応答13をリーダライタ1に送信する。以下は上述の第1の実施例で説明したように、リーダライタ1は、応答13を判定条件13により判定し、その判定内容に応じてコマンド14またはコマンド15をICカード3に送信すると共に、ICカード3に送信したコマンドが何であるかを上位装置2に送信する。
このようにICカード3からの応答が予想外のもので、リーダライタ1ではその応答に対処できない場合でも、その応答を上位装置2にそのまま送信して上位装置2で処理する構成とすることによって、処理が途中で停止することを極力防止することができる。
【0056】
図8は本発明の第3の実施例を示す。この実施例は、例えば非接触型データキャリアとしてRFIDタグを用いた人の入退場制御システムに適用したもので、上述の第1の実施例と相違するところは、リーダライタ1の外部にコマンド実行手段としての例えば電気錠27を設け、カード応答判定部23と電気錠27との間に、信号変換部28、信号出力手段としての信号出力部29を設けたところにある。
【0057】
この実施例では、上位装置3において、応答予測部6は、予測したICカード3からの応答のそれぞれに応じた次期コマンドに加え、その予測された応答のそれぞれに対応して次期信号出力コマンドを選択してリーダライタ1に送信する。リーダライタ1では、ICカード3からの応答に対して一つの次期コマンドを選択する際、一つの次期信号出力コマンドを選択し、選択した次期信号出力コマンドは信号変換部29に与える。
【0058】
信号変換部29は、次期信号出力コマンドを表示装置27に適合する形式に変換して信号出力部29に与える。そして、信号出力部29は、次期信号出力コマンドを電気錠27に送信し、電気錠27は、次期信号出力コマンドに応じた動作を実行、即ち扉を解錠し、或は施錠するという動作を実行する。
【0059】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施例に限定されるものではなく、次のような拡張或は変更が可能である。
上位装置2からリーダライタ1へ初回コマンド1、判定条件1、コマンド2および3を送信する場合、初回コマンド1が最後とならなければ、それらの送信順位は問わない。
上位装置2からリーダライタ1へ、判定条件、複数のコマンドを送信する場合、それらの送信順位は問わない。
初回コマンド1、判定条件1、コマンド2、コマンド3を連続的に送信する場合、真の意味での連続に限らず、それらの間に若干の空白時間を置いて送信しても良い。判定条件、複数のコマンドを送信する場合も同様である。
リーダライタ1がICカード3からの応答を判定条件により判定して複数のコマンドから一つのコマンドを選択した場合、その選択したコマンド名を上位装置2に送信することと、その選択したコマンドをICカード3へ送信することとは、いずれが先であっても良い。
【0060】
リーダライタ1が受信したコマンドは、ICカード3への送信後もコマンドバッファ18に記憶しておき、上位装置2からの指令によってその記憶したコマンドを再度使用してICカード3に送信するようにしても良い。このようにコマンドを記憶しておく場合、コマンドバッファに格納したコマンドを受信順に自動的にクリアするようにしても良い。また、ICカードへの送信を実行されなかったコマンドを優先的にクリアするように構成しても良い。コマンドを指定してクリアするようにしても良い。
上位装置2からリーダライタ1へ送信するコマンドには優先順位を付け、後から送信したコマンドを先に実行する構成を採用できる。
上位装置2からリーダライタ1へ送信したコマンドを、キャンセルしたり、置き換えたりする構成を採用できる。
コマンドの実行を強制終了させるために、コマンドバッファ18に格納されているコマンドを全てクリアする構成を採用できる。
未実行のコマンドがコマンドバッファ18に格納されている状態で、ICカード3へのコマンド送信を中断する構成を採用できる。この場合、中断した時点から再開させるように構成できる。
【0061】
データキャリアは、ICカードに限らず、RFICタグであっても良い。
図3のフローチャートのステップB3において、ICカード3からの応答がタイムアウト等と判断した場合(正常でない場合)、例外処理を実行(ステップB4)してステップB1に戻る。このステップB1、次のステップB2で、再び同じコマンドをICカード3に送信する場合、ICカード3からの応答が正常でなかった場合に、同じコマンドをICカード3に再送信する回数(再実行回数)を制限するようにしても良い。この再実行回数は、上位装置2からリーダライタ1へコマンドを送信する際に、コマンドに付加して送信することができる(請求項4相当)。なお、応答が正常でない場合とは、タイムアウトの他、パリティ、BCC、CRCエラー、無応答などがあり、正常の場合の応答には、「YES」、「NO」、「値」、「種類」での応答などがある。
図7において、コマンド実行手段は電気錠27に限られず、データキャリアのコマンドに対する応答のそれぞれを表示して人に報知するための報知手段、例えば光により状態を報知する表示装置や音を用いて状態を報知する発音装置などであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施例を示すリーダライタの電気的構成を示す機能ブロック図
【図2】上位装置の電気的構成を示す機能ブロック図
【図3】リーダライタにおける制御内容を示すフローチャート
【図4】上位装置、リーダライタ、ICカードの三者間での情報授受のシーケンス
【図5】コマンドと、その応答処理の流れを示すフローチャート
【図6】システム構成を示すブロック図
【図7】本発明の第2の実施例を示す図4相当図
【図8】本発明の第3の実施例を示す図1相当図
【図9】従来の情報授受を示す図4相当図
【符号の説明】
【0063】
図面中、1はリーダライタ(非接触通信装置)、2は上位装置、3はICカード(非接触型データキャリア)、4は次期コマンド準備部(次期コマンド準備手段)、5は非接触通信制御部(非接触通信制御手段)、6は応答予測部(応答予測手段)、13はデータ処理制御部(送受信制御手段)、22はカード通信処理部(送信制御手段、受信制御手段)、23はカード応答判定部である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを記憶する記憶部を具えた非接触型データキャリアと、この非接触型データキャリアと非接触データ通信を行う非接触通信装置と、この非接触通信装置と通信を行い前記非接触型データキャリアと前記非接触通信装置との間の非接触データ通信を制御する上位装置とから構成される非接触通信システムであって、
前記上位装置は、
前記非接触型データキャリアと前記非接触通信装置との間の前記非接触データ通信を制御するためのコマンドを前記非接触通信装置に与える非接触通信制御手段と、
前記非接触通信制御手段が前記非接触通信装置に与えたコマンドに対する前記非接触型データキャリアの応答を予測する応答予測手段と、
前記応答予測手段が予測した前記非接触型データキャリアからの応答のそれぞれに対応する次期コマンドを準備し、前記非接触通信制御手段を介して準備した次期コマンドを前記非接触通信装置に与える次期コマンド準備手段と、を具え、
前記非接触通信装置は、
前記上位装置が具える前記非接触通信制御手段から与えられたコマンドを前記非接触型データキャリアが受信できる形式に変換して送信する送信制御手段と、
前記非接触型データキャリアからの応答を受信する受信制御手段と、
前記受信制御手段が受信した前記非接触型データキャリアからの応答に対応する前記上位装置から与えられた次期コマンドの一つを選択し、前記送信制御手段を介して前記非接触型データキャリアに送信した後、前記上位装置に対して選択した次期コマンドの一つが何であったかを示す次期コマンド選択情報を送信して通知する送受信制御手段と、を具え、
前記上位装置が具える前記非接触通信制御手段は、更に、前記非接触通信装置が具える前記送受信制御装置から受信した前記次期コマンド選択情報に応じて新たなコマンドを前記非接触通信装置に与えることを特徴とする非接触通信システム。
【請求項2】
請求項1記載の非接触通信システムにおいて、
前記上位装置が具える前記応答予測手段は、
前記非接触通信装置が前記非接触型データキャリアに与えたコマンドに対する前記非接触型データキャリアからの応答が、正常でなかった場合、および正常であった場合の両方を予測し、更に、それぞれの場合において前記非接触型データキャリアからの複数の応答の形態を予測することを特徴とする非接触通信システム。
【請求項3】
請求項2記載の非接触通信システムにおいて、
前記上位装置が具える前記次期コマンド準備手段は、
前記応答予測手段が予測した複数の前記応答のそれぞれに対応する次期コマンドを準備し、
前記応答予測手段が予測した複数の前記応答と、準備した次期コマンドとをそれぞれ対応付けて前記非接触通信制御手段を介して前記非接触通信装置に与えることを特徴とする非接触通信システム。
【請求項4】
請求項2または3記載の非接触通信システムにおいて、
前記上位装置が具える前記次期コマンド準備手段は、
与えたコマンドに対する前記非接触型データキャリアからの応答が正常でなかった場合を予測して準備された次期コマンドに対して、少なくとも当該次期コマンドの再実行回数を付加して前記非接触通信装置に与えることを特徴とする非接触通信システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の非接触通信システムにおいて、
前記非接触通信装置が具える前記送受信制御手段は、
前記受信制御手段が受信した前記非接触型データキャリアからの応答に対応する前記上位装置から与えられた前記次期コマンドがない場合、
前記上位装置に対して前記受信制御手段が受信した前記非接触型データキャリアからの応答をそのまま送信し、
前記上位装置が具える前記次期コマンド予測手段は、前記非接触通信装置から送信された前記非接触型データキャリアからの応答に対応する新たなコマンドを新たな次期コマンドとして準備する
ことを特徴とする非接触通信システム。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の非接触通信システムにおいて、
前記非接触通信装置は、
更に、前記送受信制御手段によって制御される信号出力手段を具え、
前記上位装置が具える前記次期コマンド準備手段は、
前記応答予測手段が予測した前記非接触型データキャリアからの応答のそれぞれに対応する次期コマンドに加え、前記応答予測手段が予測した前記非接触型データキャリアからの応答のそれぞれに対応して前記信号出力手段に信号を出力する次期信号出力コマンドを準備し、前記非接触通信制御手段を介して前記次期コマンドと前記次期信号出力コマンドとを前記非接触通信装置に与え、
前記非接触通信装置が具える前記送受信制御手段は、
前記受信制御手段が受信した前記非接触型データキャリアからの応答に対応する次期コマンドの一つと、次期信号出力コマンドの一つとを選択し、選択した次期コマンドの一つは前記送信制御手段を介して前記非接触型データキャリアに送信し、選択した次期信号出力コマンドの一つは前記信号出力手段に対応する信号に変換して出力する
ことを特徴とする非接触通信システム
【請求項7】
請求項6記載の非接触通信システムにおいて、
前記非接触通信装置が具える前記信号出力手段は、通路の通行を禁止または許可する扉の開閉を制御する信号を出力するものであることを特徴とする非接触通信システム。
【請求項8】
請求項6または7記載の非接触通信システムであって、
前記非接触通信装置が具える前記信号出力手段は、前記非接触通信装置が具える光または音を用いて状態を報知する報知手段を制御する信号を出力するものであることを特徴とする非接触通信システム。
【請求項9】
請求項1記載の非接触通信システムに使用される非接触通信装置において、
前記上位装置が具える前記非接触通信制御手段から与えられたコマンドを前記非接触型データキャリアが受信できる形式に変換して送信する送信制御手段と、
前記非接触型データキャリアからの応答を受信する受信制御手段と、
前記受信制御手段が受信した前記非接触型データキャリアからの応答に対応する前記上位装置から与えられた次期コマンドの一つを選択し、前記送信制御手段を介して前記非接触型データキャリアに送信した後、前記上位装置に対して選択した次期コマンドの一つが何であったかを示す次期コマンド選択情報を送信して通知する送受信制御手段と、を具えることを特徴とする非接触通信装置。
【請求項10】
請求項9記載の非接触通信装置において、
前記送受信制御手段は、
前記受信制御手段が受信した前記非接触型データキャリアからの応答に対応する前記上位装置から与えられた前記次期コマンドがない場合、
前記上位装置に対して前記受信制御手段が受信した前記非接触型データキャリアからの応答をそのまま送信することを特徴とする非接触通信装置。
【請求項11】
請求項9または10記載の非接触通信装置において、
前記送受信制御手段によって制御される信号出力手段を具え、
前記送受信制御手段は、前記受信制御手段が前記上位装置から受信した前記非接触型データキャリアからの応答に対応する次期コマンドの一つと、次期信号出力コマンドの一つとを選択し、選択した次期コマンドの一つは前記送信制御手段を介して前記非接触型データキャリアに送信し、選択した次期信号出力コマンドの一つは前記信号出力手段に対応する信号に変換して出力することを特徴とする非接触通信装置。
【請求項12】
請求項11記載の非接触通信装置において、
前記信号出力手段は、通路の通行を禁止または許可する扉の開閉を制御する信号を出力するものであることを特徴とする非接触通信装置。
【請求項13】
請求項11または12記載の非接触通信装置において、
光または音を用いて状態を報知する報知手段を具え、
前記信号出力手段は、前記報知手段を制御する信号を出力するものであることを特徴とする非接触通信装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−107331(P2006−107331A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−296179(P2004−296179)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】