説明

非接触電力伝送送電装置、非接触電力伝送受電装置、非接触電力伝送及び通信システム

【課題】 高耐圧部品を用いずに、簡単で、安価な構成により電力と情報の伝送が可能な、非接触電力伝送送電装置、非接触電力伝送受電装置、非接触電力伝送及び通信システムを供給する。
【解決手段】 送電コイル17または受電コイル33と、絶縁された送電側信号コイル23または受電側信号コイル42により電力伝送波形の振幅を変調または復調して電力と情報の伝送を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末などの携帯電子機器への電力と情報の伝送を行う、非接触電力伝送送電装置、非接触電力伝送受電装置、非接触電力伝送及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の非接触電力伝送及び通信システムとして、例えば特許文献1、2などが知られている。特許文献1には、充電器に、交番電力を生成する回路としてスイッチング素子FETによるフルブリッジ回路の中間に1次コイルを含む共振回路が接続されたフルブリッジ複合共振回路を設け、スイッチング素子FETの各々に対するオン/オフ制御を行うとともに、2次コイルに伝達すべき情報に基づいて共振回路を含むフルブリッジ複合共振回路としての抵抗値を変更することにより、1次コイルに励起される交番電力の振幅を変調することが開示されている。
【0003】
特許文献2には、充電器に、交番電力を生成する回路としてスイッチング素子FETによるフルブリッジ回路の中問に1次コイルを含む共振回路が接続されたフルブリッジ複合共振回路を設け、スイッチング素子FETの各々に対するオン/オフ制御を行うとともに、2次コイルに伝達すべき情報に基づいてスイッチング素子FETのオン時間を変更することにより、1次コイルに励起される交番電力の振幅を変調することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−114885号公報
【特許文献2】特開2011−114886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、非接触電力伝送及び通信システムの構成によっては、1次コイルの両端電圧が100Vpp以上と高電圧になることから、2次コイルに伝達すべき情報に基づいて共振回路を含むフルブリッジ複合共振回路としての抵抗値を変更する場合、高耐圧部品の選定が必要であった。また、特許文献2においては、2次コイルに伝達すべき情報に基づいてスイッチング素子FETのオン時間を変更することにより、1次コイルに励起される交番電力の振幅を変調するため、オン時間を変更すると、スイッチング素子FETからみた負荷のインピーダンスが変わるため、複数の整合回路が必要になり、回路が複雑になっていた。
【0006】
そこで本発明は、高耐圧部品を用いずに、簡単で、安価な構成により電力と情報の伝送が可能な、非接触電力伝送送電装置、非接触電力伝送受電装置、非接触電力伝送及び通信システムを供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の非接触電力伝送送電装置、非接触電力伝送受電装置、非接触電力伝送及び通信システムは、非接触電力伝送送電装置または非接触電力伝送受電装置のどちらか一方または両方で、電力伝送する送電部および受電部と、電力伝送波形の振幅を変えて情報をやり取りする送電信号部および受電信号部とを絶縁して構成することで、電力伝送波形の振幅を変調または復調することにより、電力と情報の伝送を同時に行う。
【0008】
すなわち、本発明によれば、電力伝送を行う送電部と情報伝送を行う送電信号部からなり、前記送電部は非接触で電力と情報を電力伝送波形により伝送し、一定の周波数でパルス波形を発生させる発振回路と、前記発振回路の周波数に応じて交番電力を発生させる駆動回路と、前記駆動回路に伝送する電力を供給するDC電源と、前記駆動回路とのインピーダンス整合をする整合回路と、前記整合回路からの電力伝送波形を伝送する送電コイルとで構成され、さらに、前記送電信号部は前記送電コイルの電力伝送波形に情報を重畳し、外部からの送電側送信信号の情報により前記電力伝送波形を変調する信号を発生させる送信信号変調回路と、前記送電コイルの電力伝送波形の振幅を前記送信信号変調回路の信号により変調して情報を重畳させる送電側信号コイルとで構成され、前記送電部と前記送電信号部が電気的に絶縁されていることを特徴とする非接触電力伝送送電装置が得られる。
【0009】
また、本発明によれば、電力伝送を行う送電部と情報伝送を行う送電信号部からなり、前記送電部は非接触で電力と情報を電力伝送波形により伝送し、一定の周波数でパルス波形を発生させる発振回路と、前記発振回路の周波数に応じて交番電力を発生させる駆動回路と、前記駆動回路に伝送する電力を供給するDC電源と、前記駆動回路とのインピーダンス整合をする整合回路と、前記整合回路からの電力伝送波形を伝送する送電コイルとで構成され、さらに、前記送電信号部は前記送電コイルの電力伝送波形に情報を重畳し、または、情報を検出し、前記送電コイルの電力伝送波形の振幅を変調する、または、重畳されている情報を検出する送電側信号コイルと、外部からの送電側送信信号の情報により前記送電コイルの電力伝送波形を変調する信号を発生させる送電信号部の送信信号変調回路と、前記送電側信号コイルで検出した情報を復調して外部に送電側受信信号として出力する送電信号部の受信信号復調回路と、前記送電側信号コイルと接続させる前記送電信号部の送信信号変調回路と前記送電信号部の受信信号復調回路を切換える切換回路とで構成され、前記送電部と前記送電信号部が電気的に絶縁されていることを特徴とする非接触電力伝送送電装置が得られる。
【0010】
また、本発明によれば、前記送電コイルと前記送電側信号コイルが、非接触で磁気的に結合する位置に配置されていることを特徴とする上記の非接触電力伝送送電装置が得られる。
【0011】
また、本発明によれば、前記送信信号変調回路は、スイッチング素子と抵抗から構成され、前記送電側送信信号により前記スイッチング素子のオンとオフの動作を制御することを特徴とする上記の非接触電力伝送送電装置が得られる。
【0012】
また、本発明によれば、前記受信信号復調回路は、信号増幅回路と比較回路から構成され、前記電力伝送波形に重畳されている情報を復調することを特徴とする上記の非接触電力伝送送電装置が得られる。
【0013】
また、本発明によれば、電力伝送を行う受電部と情報伝送を行う受電信号部からなり、前記受電部は非接触で電力と情報を電力伝送波形により伝送し、前記電力伝送波形が伝送される受電コイルと、前記受電コイルで受電した交番電力を直流電力に変換する整流回路と、前記整流回路の直流電圧を任意の電圧に変換するDC−DCコンバータと、前記DC−DCコンバータから外部に接続された充電装置に供給する電力を制御する充電制御回路とで構成され、さらに、前記受電信号部は前記受電コイルの電力伝送波形に重畳されている情報を復調し、前記受電コイルの電力伝送波形に重畳されている情報を検出する受電側信号コイルと、前記受電側信号コイルで検出した情報を復調して外部に受電側受信信号として出力する受信信号復調回路とで構成され、前記受電部と前記受電信号部が電気的に絶縁されていることを特徴とする非接触電力伝送受電装置が得られる。
【0014】
また、本発明によれば、電力伝送を行う受電部と情報伝送を行う受電信号部からなり、前記受電部は非接触で電力と情報を電力伝送波形により伝送し、前記電力伝送波形が伝送される受電コイルと、前記受電コイルで受電した交番電力を直流電力に変換する整流回路と、前記整流回路の直流電圧を任意の電圧に変換するDC−DCコンバータと、前記DC−DCコンバータから外部に接続された充電装置に供給する電力を制御する充電制御回路とで構成され、さらに、前記受電信号部は前記受電コイルの電力伝送波形の情報を検出し、または、情報を重畳し、前記受電コイルの電力伝送波形の重畳されている情報を検出する、または、振幅を変調する受電側信号コイルと、前記受電側信号コイルで検出した情報を復調して外部に受電側受信信号として出力する受電信号部の受信信号復調回路と、外部の受電側送信信号の情報により前記電力伝送波形を変調する信号を発生させる受電信号部の送信信号変調回路と、前記送電側信号コイルと接続させる前記受電信号部の送信信号変調回路と前記受電信号部の受信信号復調回路を切換える切換回路とで構成され、前記受電部と前記受電信号部が電気的に絶縁されていること特徴とする非接触電力伝送受電装置が得られる。
【0015】
また、本発明によれば、前記受電コイルと前記受電側信号コイルが、非接触で磁気的に結合する位置に配置されていることを特徴とする上記の非接触電力伝送受電装置が得られる。
【0016】
また、本発明によれば、前記受信信号復調回路は、信号増幅回路と比較回路から構成され、前記電力伝送波形に重畳されている情報を復調することを特徴とする上記の非接触電力伝送受電装置が得られる。
【0017】
また、本発明によれば、前記送信信号変調回路は、スイッチング素子と抵抗から構成され、前記送電側送信信号により前記スイッチング素子のオンとオフの動作を制御することを特徴とする上記の非接触電力伝送受電装置が得られる。
【0018】
また、本発明によれば、上記または上記の非接触電力伝送送電装置と、上記の非接触電力伝送受電装置から構成されていることを特徴とする非接触電力伝送及び通信システムが得られる。
【0019】
また、本発明によれば、上記または上記の非接触電力伝送送電装置と、上記の非接触電力伝送受電装置から構成されていることを特徴とする非接触電力伝送及び通信システムが得られる。
【0020】
また、本発明によれば、前記送電コイルと前記送電側信号コイル、および、前記受電コイルと前記受電側信号コイルが、それぞれ非接触で磁気的に結合する位置に配置されていることを特徴とする上記の非接触電力伝送及び通信システムが得られる。
【0021】
また、本発明によれば、前記送信信号変調回路は、スイッチング素子と抵抗から構成され、前記送電側送信信号または前記受電側送信信号により前記スイッチング素子のオンとオフの動作を制御されることを特徴とする上記の非接触電力伝送及び通信システムが得られる。
【0022】
また、本発明によれば、前記受信信号復調回路は、信号増幅回路と比較回路から構成され、それぞれの前記送電部の電力伝送波形または前記受電部の電力伝送波形に重畳されている情報が復調されることを特徴とする上記の非接触電力伝送及び通信システムが得られる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の非接触電力伝送送電装置、非接触電力伝送受電装置、非接触電力伝送及び通信システムは、電力伝送する送電部および受電部と、電力伝送波形の振幅を変えて情報をやり取りする送電信号部および受電信号部を絶縁して構成することで、高耐圧部品を用いずに、簡単で安価な構成により、電力伝送と通信を行う事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1に係る非接触電力伝送送電装置のブロック図。
【図2】本発明の実施の形態1に係る送信信号変調回路のブロック図。
【図3】本発明の実施の形態2に係る非接触電力伝送送電装置のブロック図。
【図4】本発明の実施の形態3に係る非接触電力伝送受電装置のブロック図。
【図5】本発明の実施の形態3に係る受信信号復調回路のブロック図。
【図6】本発明の実施の形態4に係る非接触電力伝送受電装置のブロック図。
【図7】本発明の実施の形態5に係る非接触電力伝送及び通信システムのブロック図。
【図8】本発明の実施の形態5に係る非接触電力伝送及び通信システムの各部波形の説明図。図8(a)は、送電電力波形。図8(b)は、送電側送信信号波形。図8(c)は、送電側電力伝送波形。図8(d)は、受電側電力伝送波形。図8(e)は、充電用電力波形。図8(f)は、受電側受信信号波形。
【図9】本発明の実施の形態6に係る非接触電力伝送及び通信システムのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0026】
(実施の形態1)
本発明の非接触電力伝送送電装置に関して、説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る非接触電力伝送送電装置のブロック図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る送信信号変調回路のブロック図である。
【0027】
本発明の非接触電力伝送送電装置11は、電力伝送を行う送電部12と情報伝送を行う送電信号部21で構成されている。送電部12は、一定の周波数でパルス波形を発生させる発振回路14と、発振回路14の周波数に応じて交番電力を発生させる駆動回路15と、駆動回路15に伝送する電力を供給するDC電源13と、駆動回路15とのインピーダンス整合をする整合回路16と、整合回路16からの電力伝送波形を伝送する送電コイル17とで構成する。さらに、送電信号部21は、送電コイル17の電力伝送波形に情報を重畳させるために、外部からの送電側送信信号24の情報により電力伝送波形を変調する信号を発生させる送信信号変調回路22と、送電コイル17の電力伝送波形の振幅を送信信号変調回路22の信号により変調して情報を重畳させる送電側信号コイル23とで構成する。非接触電力伝送送電装置11の送電部12と、送電信号部21は、電気的に絶縁して構成する。
【0028】
DC電源13から駆動回路15に電力が供給されると、発振回路14の周波数に応じて駆動回路15のスイッチング素子等によりスイッチングされて交番電力となり、整合回路16に送くる。整合回路16で送電コイル17とのインピーダンス整合がとられて送電コイル17に電力を供給する。送電コイル17の電力伝送波形に、情報を重畳させるために、送電側信号コイル23を、送電コイル17の近傍または送電コイル17と、非接触で重ねて、送電コイル17と送電側信号コイル23が非接触で磁気的に結合を持つ位置になるように構成する。送電側送信信号24を送信信号変調回路22により送電コイル17の電力伝送波形の振幅を変調する信号を発生させて、送電側信号コイル23に供給する。送電側信号コイル23は、送信信号変調回路22の信号により、磁界を発生させて、送電コイル17の電力伝送波形の振幅を変調させる。これにより、送電側送信信号24の情報が送電コイル17の電力伝送波形に重畳されて情報が伝送される。
【0029】
送信信号変調回路22は、図2に示すように、信号駆動回路26、DC電源29、抵抗27、スイッチング素子として働くFET28により構成する。送電側送信信号24を信号駆動回路26に入力して、電力伝送波形の振幅を変調する信号を発生させる。さらに、FET28のゲートの制御端子に入力することで、DC電源29からの直流をオンとオフ動作により制御して送電側信号コイル23を動作させる交番信号に変える。この交番信号により送電側信号コイル23で磁界を発生させて、送電コイル17の電力伝送波形の振幅を変調する。抵抗27は、DC電源29からの電流に対してFET28を保護するために設けたものである。
【0030】
なお、本発明の非接触電力伝送送電装置11からの電力伝送波形の振幅を変調した電力伝送波形は、従来用いられている振幅を復調する非接触電力伝送受電装置によって、元の情報に復調することが可能である。
【0031】
(実施の形態2)
本発明の非接触電力伝送送電装置に関して、実施の形態1の構成と異なる送電信号部について説明する。図3は、本発明の実施の形態2に係る非接触電力伝送送電装置のブロック図である。
【0032】
本発明の非接触電力伝送送電装置11は、電力伝送を行う送電部12と情報伝送を行う送電信号部21で構成する。送電部12は、実施の形態1と同様の構成である。送電信号部21は、送電コイル17の電力伝送波形の振幅を変調する、または、重畳されている情報を検出する送電側信号コイル23と、外部からの送電側送信信号24の情報により送電コイル17の電力伝送波形を変調する信号を発生させる送電信号部21の送信信号変調回路22と、送電側信号コイル23で検出した情報を復調して外部に送電側受信信号52として出力する送電信号部21の受信信号復調回路43で構成する。さらに、送電側信号コイル23と接続させる送信信号変調回路22と受信信号復調回路43を切換える切換回路51とで構成する。非接触電力伝送送電装置11の送電部12と、送電信号部21は、電気的に絶縁して構成する。
【0033】
送電コイル17の電力伝送波形に、情報を重畳させる、または、重畳されている情報を検出するために、送電側信号コイル23を、送電コイル17の近傍または送電コイル17と、非接触で重ねて、送電コイル17と送電側信号コイル23が非接触で磁気的に結合を持つ位置になるように構成する。
【0034】
送電信号部21において、実施の形態1と異なる点は、切換回路51により2つの回路を選択できるように構成されていることである。切換回路51により、送信信号変調回路22を選択した場合は、送電側送信信号24を送信信号変調回路22により送電コイル17の電力伝送波形の振幅を変調する信号を発生させて、送電側信号コイル23に供給する。送電側信号コイル23は、送信信号変調回路22の信号により、磁界を発生させて、送電コイル17の電力伝送波形の振幅を変調させる。これにより、送電側送信信号24の情報が送電コイル17の電力伝送波形に重畳されて情報が伝送されることになる。また、切換回路51により、受信信号復調回路43を選択した場合は、送電コイル17の電力伝送波形に重畳されている情報を送電側信号コイル23で検出し、受信信号復調回路43により情報を復調して送電側受信信号52として外部に供給する。送電コイル17の電力伝送波形に重畳されている情報が伝送される。
【0035】
(実施の形態3)
本発明の非接触電力伝送受電装置に関して、図面を用いて説明する。図4は、本発明の実施の形態3に係る非接触電力伝送受電装置のブロック図である。図5は、本発明の実施の形態3に係る受信信号復調回路のブロック図である。
【0036】
本発明の非接触電力伝送受電装置31は、電力伝送を行う受電部32と情報伝送を行う受電信号部41で構成する。受電部32は、非接触で電力と情報を電力伝送波形により伝送する受電コイル33と、受電コイル33で受電した交番電力を直流電力に変換する整流回路34と、整流回路34の直流電圧を任意の電圧に変換するDC−DCコンバータ35と、DC−DCコンバータ35から外部に接続された充電装置37に供給する電力を制御する充電制御回路36とで構成する。さらに、受電信号部41は、受電コイル33の電力伝送波形に重畳されている情報を復調し、受電コイル33の電力伝送波形に重畳されている情報を検出する受電側信号コイル42と、受電側信号コイル42で検出した情報を復調して外部に受電側受信信号44として出力する受信信号復調回路43とで構成する。非接触電力伝送受電装置31の受電部32と受電信号部41は、電気的に絶縁して構成する。
【0037】
受電コイル33から整流回路34に交番電力が供給されると、充電のために整流されて、外部に接続された二次電池等の充電装置37の仕様に合せて電圧をDC−DCコンバータ35により変換して、充電制御回路36で制御して充電装置37に充電する。受電側信号コイル42を、受電コイル33の近傍または受電コイル33と非接触で重ねて、受電コイル33と受電側信号コイル42が非接触で磁気的に結合を持つ位置になるように構成して、受電コイル33の情報が重畳させられている電力伝送波形を検出する。受電側信号コイル42は、電力伝送信号に重畳されている情報を検出して、受信信号復調回路43で復調して受電側受信信号44とする。これにより、電力伝送波形に重畳されている情報が伝送される。
【0038】
受信信号復調回路43は、図5に示すように、コンデンサ46、整流器47、信号増幅回路48、比較回路49より構成されている。受電側信号コイル42で検出した情報信号を整流器47で整流して、信号増幅回路48で情報信号を増幅し、比較回路49で任意のレベルと比較して受電側受信信号44に復調する。コンデンサ46は、受電側信号コイル42からのノイズに対する保護のために設けたものである。
【0039】
なお、本発明の非接触電力伝送受電装置31は、従来用いられている電力伝送波形の振幅を変調する非接触電力伝送送電装置による情報を、復調することが可能である。
【0040】
(実施の形態4)
本発明の非接触電力伝送受電装置に関して、実施の形態3の構成と異なる受電信号部について説明する。図6は、本発明の実施の形態4に係る非接触電力伝送受電装置のブロック図である。
【0041】
本発明の非接触電力伝送受電装置31は、電力伝送を行う受電部32と情報伝送を行う受電信号部41で構成する。受電部32は、実施の形態3と同様の構成である。受電信号部41は、送電コイル17の電力伝送波形に重畳されている情報を検出する、または、送電コイル17の電力伝送波形の振幅を変調する受電側信号コイル42と、受電側信号コイル42で検出した情報を復調して外部に受電側受信信号44として出力する受電信号部41の受信信号復調回路43と、外部からの受電側送信信号53の情報により受電コイル33の電力伝送波形を変調する信号を発生させる受電信号部41の送信信号変調回路22と、受電側信号コイル42で構成する。さらに、受電側信号コイル42と接続させる受電信号部41の受信信号復調回路43と受電信号部41の送信信号変調回路22を切換える切換回路51とで構成する。非接触電力伝送受電装置31の受電部32と、受電信号部41は、電気的に絶縁して構成する。
【0042】
受電コイル33の電力伝送波形に、重畳されている情報を検出する、または、情報を重畳させるために、受電側信号コイル42を、受電コイル33の近傍または受電コイル33と、非接触で重ねて、受電コイル33と受電側信号コイル42が非接触で磁気的に結合を持つ位置になるように構成する。
【0043】
受電信号部41において、実施の形態3と異なる点は、切換回路51により2つの回路を選択できるように構成されていることである。切換回路51により、受信信号復調回路43を選択した場合は、受電コイル33の電力伝送波形に重畳されている情報を受電側信号コイル42で検出し、受信信号復調回路43により情報を復調して受電側受信信号44として外部に供給する。受電コイル33の電力伝送波形に重畳されている情報が伝送されることになる。また、切換回路51により、送信信号変調回路22を選択した場合は、受電側送信信号53を送信信号変調回路22により受電コイル33の電力伝送波形の振幅を変調する信号を発生させて、受電側信号コイル42に供給する。受電側信号コイル42は、送信信号変調回路22の信号により、磁界を発生させて、受電コイル33の電力伝送波形の振幅を変調させる。これにより、受電側送信信号53の情報が受電コイル33の電力伝送波形に重畳されて情報が伝送される。
【0044】
(実施の形態5)
本発明の非接触電力伝送及び通信システムに関して、図面を用いて説明する。図7は、本発明の実施の形態5に係る非接触電力伝送及び通信システムのブロック図である。
【0045】
本発明の非接触電力伝送及び通信システムは、非接触電力伝送送電装置11と非接触電力伝送受電装置31で構成する。非接触電力伝送送電装置11と非接触電力伝送受電装置31により、電力伝送と電力伝送波形の振幅を変調および復調することにより情報の伝送を行う。
【0046】
実施の形態5の非接触電力伝送及び通信システムは、実施の形態1の非接触電力伝送送電装置11と実施の形態3の非接触電力伝送受電装置31により構成するので、詳細な説明は省略する。
【0047】
そこで、実施の形態5で説明した非接触電力伝送及び通信システムの各部波形について、説明する。図8は、本発明の実施の形態5に係る非接触電力伝送及び通信システムの各部波形の説明図である。 図8(a)は、送電電力波形である。図8(b)は、送電側送信信号波形である。図8(c)は、送電側電力伝送波形である。図8(d)は、受電側電力伝送波形である。図8(e)は、充電用電力波形である。図8(f)は、受電側受信信号波形である。
【0048】
図7に示す本発明の非接触電力伝送及び通信システムにおいて、非接触電力伝送送電装置11から非接触電力伝送受電装置31に、電力と情報を伝送した場合の各部分の波形について説明する。駆動回路15より出力される、電力伝送の元となる図8(a)の交番電力の送電電力波形は、非接触電力伝送受電装置31に伝送する情報である図8(b)の送電側送信信号24の波形と重畳されて、振幅が変調された送電側信号コイル23から伝送する図8(c)の電力伝送波形となる。受電コイル33には、図8(d)の受電側電力伝送の波形が伝送される。受電側電力伝送波形は、受電コイル33の電力を伝送する交流波形を整流回路34により整流して、DC−DCコンバータ35を介して図8(e)の充電用電力波形となり、充電制御回路36を介して外部の充電装置37に充電する。受電側信号コイル42が、受電コイル33の電力伝送波形を検出して、電力伝送波形に重畳してあった情報を受信信号復調回路43で復調して図8(f)の受電側受信信号44の波形とする。これにより、非接触電力伝送送電装置11から非接触電力伝送受電装置31に、高耐圧部品を用いずに、簡単で安価な構成により、電力と情報を伝送したことを確認することができる。
【0049】
(実施の形態6)
本発明の非接触電力伝送及び通信システムに関して、図面を用いて説明する。図9は、本発明の実施の形態6に係る非接触電力伝送及び通信システムのブロック図である。
【0050】
本発明の非接触電力伝送及び通信システムは、非接触電力伝送送電装置11と非接触電力伝送受電装置31で構成する。非接触電力伝送送電装置11と非接触電力伝送受電装置31により、電力伝送と電力伝送波形の振幅を変調および復調することにより情報の伝送を行う。
【0051】
実施の形態6の非接触電力伝送及び通信システムは、実施の形態2の非接触電力伝送送電装置11と実施の形態4の非接触電力伝送受電装置31により構成するので、詳細な説明は省略する。
【0052】
実施の形態5で、非接触電力伝送及び通信システムの非接触電力伝送送電装置11から非接触電力伝送受電装置31に、電力と情報を伝送した場合の各部分の波形について説明したが、非接触電力伝送送電装置11から非接触電力伝送受電装置31に情報を伝送した場合についても、同様に行うことが出来るのは、明らかである。
【0053】
以上、この発明の実施の形態を説明したが、この発明は、これらの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。すなわち、当業者であれば、当然なしえるであろう各種変形、修正もまた本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の非接触電力伝送及び通信システムは、特に携帯電話、ヘッドセット、デジタルカメラ、デジタルビデオ等の携帯機器に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
11 非接触電力伝送送電装置
12 送電部
13、29 DC電源
14 発振回路
15 駆動回路
16 整合回路
17 送電コイル
21 送電信号部
22 送信信号変調回路
23 送電側信号コイル
24 送電側送信信号
26 信号駆動回路
27 抵抗
28 FET
31 非接触電力伝送受電装置
32 受電部
33 受電コイル
34 整流回路
35 DC−DCコンバータ
36 充電制御回路
37 充電装置
41 受電信号部
42 受電側信号コイル
43 受信信号復調回路
44 受電側受信信号
46 コンデンサ
47 整流器
48 信号増幅回路
49 比較回路
51 切換回路
52 送電側受信信号
53 受電側送信信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力伝送を行う送電部と情報伝送を行う送電信号部からなり、
前記送電部は非接触で電力と情報を電力伝送波形により伝送し、
一定の周波数でパルス波形を発生させる発振回路と、
前記発振回路の周波数に応じて交番電力を発生させる駆動回路と、
前記駆動回路に伝送する電力を供給するDC電源と、
前記駆動回路とのインピーダンス整合をする整合回路と、
前記整合回路からの電力伝送波形を伝送する送電コイルとで構成され、
さらに、前記送電信号部は前記送電コイルの電力伝送波形に情報を重畳し、
外部からの送電側送信信号の情報により前記電力伝送波形を変調する信号を発生させる送信信号変調回路と、
前記送電コイルの電力伝送波形の振幅を前記送信信号変調回路の信号により変調して情報を重畳させる送電側信号コイルとで構成され、
前記送電部と前記送電信号部が電気的に絶縁されていることを特徴とする非接触電力伝送送電装置。
【請求項2】
電力伝送を行う送電部と情報伝送を行う送電信号部からなり、
前記送電部は非接触で電力と情報を電力伝送波形により伝送し、
一定の周波数でパルス波形を発生させる発振回路と、
前記発振回路の周波数に応じて交番電力を発生させる駆動回路と、
前記駆動回路に伝送する電力を供給するDC電源と、
前記駆動回路とのインピーダンス整合をする整合回路と、
前記整合回路からの電力伝送波形を伝送する送電コイルとで構成され、
さらに、前記送電信号部は前記送電コイルの電力伝送波形に情報を重畳し、または、情報を検出し、
前記送電コイルの電力伝送波形の振幅を変調する、または、重畳されている情報を検出する送電側信号コイルと、
外部からの送電側送信信号の情報により前記送電コイルの電力伝送波形を変調する信号を発生させる送電信号部の送信信号変調回路と、
前記送電側信号コイルで検出した情報を復調して外部に送電側受信信号として出力する送電信号部の受信信号復調回路と、
前記送電側信号コイルと接続させる前記送電信号部の送信信号変調回路と前記送電信号部の受信信号復調回路を切換える切換回路とで構成され、
前記送電部と前記送電信号部が電気的に絶縁されていることを特徴とする非接触電力伝送送電装置。
【請求項3】
前記送電コイルと前記送電側信号コイルが、非接触で磁気的に結合する位置に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の非接触電力伝送送電装置。
【請求項4】
前記送信信号変調回路は、スイッチング素子と抵抗から構成され、前記送電側送信信号により前記スイッチング素子のオンとオフの動作を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非接触電力伝送送電装置。
【請求項5】
前記受信信号復調回路は、信号増幅回路と比較回路から構成され、前記電力伝送波形に重畳されている情報を復調することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の非接触電力伝送送電装置。
【請求項6】
電力伝送を行う受電部と情報伝送を行う受電信号部からなり、
前記受電部は非接触で電力と情報を電力伝送波形により伝送し、
前記電力伝送波形が伝送される受電コイルと、
前記受電コイルで受電した交番電力を直流電力に変換する整流回路と、
前記整流回路の直流電圧を任意の電圧に変換するDC−DCコンバータと、
前記DC−DCコンバータから外部に接続された充電装置に供給する電力を制御する充電制御回路とで構成され、
さらに、前記受電信号部は前記受電コイルの電力伝送波形に重畳されている情報を復調し、
前記受電コイルの電力伝送波形に重畳されている情報を検出する受電側信号コイルと、
前記受電側信号コイルで検出した情報を復調して外部に受電側受信信号として出力する受信信号復調回路とで構成され、
前記受電部と前記受電信号部が電気的に絶縁されていることを特徴とする非接触電力伝送受電装置。
【請求項7】
電力伝送を行う受電部と情報伝送を行う受電信号部からなり、
前記受電部は非接触で電力と情報を電力伝送波形により伝送し、
前記電力伝送波形が伝送される受電コイルと、
前記受電コイルで受電した交番電力を直流電力に変換する整流回路と、
前記整流回路の直流電圧を任意の電圧に変換するDC−DCコンバータと、
前記DC−DCコンバータから外部に接続された充電装置に供給する電力を制御する充電制御回路とで構成され、
さらに、前記受電信号部は前記受電コイルの電力伝送波形の情報を検出し、または、情報を重畳し、
前記受電コイルの電力伝送波形の重畳されている情報を検出する、または、振幅を変調する受電側信号コイルと、
前記受電側信号コイルで検出した情報を復調して外部に受電側受信信号として出力する受電信号部の受信信号復調回路と、
外部の受電側送信信号の情報により前記電力伝送波形を変調する信号を発生させる受電信号部の送信信号変調回路と、
前記送電側信号コイルと接続させる前記受電信号部の送信信号変調回路と前記受電信号部の受信信号復調回路を切換える切換回路とで構成され、
前記受電部と前記受電信号部が電気的に絶縁されていることを特徴とする非接触電力伝送受電装置。
【請求項8】
前記受電コイルと前記受電側信号コイルが、非接触で磁気的に結合する位置に配置されていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の非接触電力伝送受電装置。
【請求項9】
前記受信信号復調回路は、信号増幅回路と比較回路から構成され、前記電力伝送波形に重畳されている情報を復調することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の非接触電力伝送受電装置。
【請求項10】
前記送信信号変調回路は、スイッチング素子と抵抗から構成され、前記送電側送信信号により前記スイッチング素子のオンとオフの動作を制御することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の非接触電力伝送受電装置。
【請求項11】
請求項1または2に記載の非接触電力伝送送電装置と、請求項6に記載の非接触電力伝送受電装置から構成されていることを特徴とする非接触電力伝送及び通信システム。
【請求項12】
請求項1または2に記載の非接触電力伝送送電装置と、請求項7に記載の非接触電力伝送受電装置から構成されていることを特徴とする非接触電力伝送及び通信システム。
【請求項13】
前記送電コイルと前記送電側信号コイル、
および、前記受電コイルと前記受電側信号コイルが、それぞれ非接触で磁気的に結合する位置に配置されていることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の非接触電力伝送及び通信システム。
【請求項14】
前記送信信号変調回路は、スイッチング素子と抵抗から構成され、前記送電側送信信号または前記受電側送信信号により前記スイッチング素子のオンとオフの動作を制御されることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の非接触電力伝送及び通信システム。
【請求項15】
前記受信信号復調回路は、信号増幅回路と比較回路から構成され、それぞれの前記送電部の電力伝送波形または前記受電部の電力伝送波形に重畳されている情報が復調されることを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載の非接触電力伝送及び通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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