説明

非接触IC媒体制御プログラム、非接触IC媒体、および非接触IC媒体制御方法

【課題】非接触IC媒体の生成する電力に余裕がなくとも安定した通信が期待できる場合に、外部装置に対する応答出力を開始可能とする。
【解決手段】非接触IC媒体1は、電力生成手段2により外部装置9が発する電磁波から電力を生成し、電圧検出手段3により生成電力の電圧を検出する。非接触IC媒体1は、第1通信開始判断手段4と第2通信開始判断手段5を有し、第1通信開始判断手段4により、第2の電圧値に余裕を設けて設定された第1の電圧値より検出電圧値が大きい場合に、外部装置9との通信開始を判断する。第2通信開始判断手段5は、検出電圧値が第1の電圧値より小さく、かつ検出電圧値があらかじめ設定された第2の電圧値より大きい場合に、検出電圧値の時間当たり変化量にもとづいて外部装置9との通信開始を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触IC媒体制御プログラム、非接触IC媒体、および非接触IC媒体制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触IC(Integrated Circuit)カードは、リーダライタなどの外部装置と非接触に通信をおこなうことができるものとして、電子マネーや、身分証などとして広く普及してきている。これら非接触ICカードは、駅の改札通過時や、商業施設での精算時、会社での出退勤記録時など、速やかな処理が要求される場面での使用が多く、かざし時間やかざし距離が不十分なケースで情報の読出し、書込み、あるいは通信の失敗を生じる。
【0003】
また、非接触ICカードは、普段から身に着けることが要求される場合も多い。利用者の中には、普段から持ち歩く財布、定期入れなどに非接触ICカードを収納することで、非接触ICカード単体を持ち歩く者がいる。こうした利用者は、非接触ICカードを一枚に限らず、複数枚所持したり、クレジットカードや磁気カードなどその他のカード類(媒体)を併せ持つことも珍しくない。たとえば、さまざまな媒体を収納して膨らんだ財布は、非接触ICカードとリーダライタとのかざし距離の障害となる場合がある。
【0004】
特に、検知エリアの限界付近で非接触ICカードとリーダライタとが通信を開始した場合、情報の読出し、書込み、あるいは通信を失敗する場合がある。そのため、外部装置に対する応答出力の開始に必要な電力よりも、大きな電力の生成を検出してから外部装置に対する応答出力を開始する非接触ICカードが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−59023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、提案の非接触ICカードは、外部装置に対する応答出力の開始に必要な電力を得ているにもかかわらず、余裕分を積み増した電力を生成できないために外部装置に対する応答出力を開始できない場合がある。
【0007】
このような非接触ICカードは、情報の読出し、書込み、あるいは通信の失敗を予防する措置のために、通信可能な状態で通信をおこなわないものであり、利用者にとっての使い勝手を損なうものである。通信開始のための生成電力に余裕を設けすぎると、財布への収納や、媒体の重なりなど非接触ICカードの周囲環境によっては、非接触ICカードが通信開始に必要な電力を生成できず、利用者に与える制約が大きい。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、非接触IC媒体の生成する電力に余裕がなくとも安定した通信が期待できる場合に、外部装置に対する応答出力を開始可能な非接触IC媒体制御プログラム、非接触IC媒体、および非接触IC媒体制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、非接触IC媒体制御プログラムは、外部装置が発する電磁波から電力を生成し、外部装置と通信をおこなう非接触IC媒体を、電圧検出手段、第1通信開始判断手段、第2通信開始判断手段として機能させる。
【0010】
電圧検出手段は、外部装置が発する電磁波から生成した電力の電圧を検出する。第1通信開始判断手段、電力の電圧値があらかじめ設定された第1の電圧値より大きい場合に、外部装置との通信開始を判断する。第2通信開始判断手段は、生成した電力の電圧値が第1の電圧値より小さく、かつ電力の電圧値があらかじめ設定された第2の電圧値より大きい場合に、電力の電圧値の時間当たり変化量にもとづいて外部装置との通信開始を判断する。
【0011】
また、上記課題を解決するために、非接触IC媒体は、電力生成手段と、電圧検出手段と、第1通信開始判断手段と、第2通信開始判断手段とを備える。
電力生成手段は、外部装置が発する電磁波から電力を生成する。電圧検出手段は、電力の電圧を検出する。第1通信開始判断手段は、電力の電圧値があらかじめ設定された第1の電圧値より大きい場合に、外部装置との通信開始を判断する。第2通信開始判断手段は、電力の電圧値が第1の電圧値より小さく、かつ電力の電圧値があらかじめ設定された第2の電圧値より大きい場合に、電力の電圧値の時間当たり変化量にもとづいて外部装置との通信開始を判断する。
【0012】
また、上記課題を解決するために、非接触IC媒体制御方法は、外部装置が発する電磁波から電力を生成し、電力の電圧を検出し、電力の電圧値があらかじめ設定された第1の電圧値より大きい場合に、外部装置との通信開始を判断し、電力の電圧値が第1の電圧値より小さく、かつ電力の電圧値があらかじめ設定された第2の電圧値より大きい場合に、電力の電圧値の時間当たり変化量にもとづいて外部装置との通信開始を判断する。
【発明の効果】
【0013】
上記の非接触IC媒体制御プログラム、非接触IC媒体、および非接触IC媒体制御方法によれば、非接触IC媒体の生成する電力に余裕がなくとも安定した通信が期待できる場合に、外部装置に対する応答出力を開始可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態の非接触IC媒体のブロック図である。
【図2】第2の実施形態の通信システムの構成例を示す図である。
【図3】第2の実施形態の非接触ICカードのハードウェア構成例を示す図である。
【図4】第2の実施形態の非接触ICカードのかざし距離と、電力生成部および電圧レギュレータ部の出力電圧との関係を示すグラフである。
【図5】第2の実施形態の非接触ICカードが十分に通信可能な電力を得られる場合の、非接触ICカードのかざし時間と、電圧レギュレータ部の出力電圧との関係を示すグラフである。
【図6】第2の実施形態の非接触ICカードが通信可能な電力を得られる場合の、非接触ICカードのかざし時間と、電圧レギュレータ部の出力電圧との関係を示すグラフである。
【図7】第2の実施形態の非接触ICカードが通信可能な電力を得られない場合の、非接触ICカードのかざし時間と、電圧レギュレータ部の出力電圧との関係を示すグラフである。
【図8】第2の実施形態の非接触ICカードがICカードリーダライタに十分に近接してかざされた場合の、非接触ICカードのかざし位置と、電圧レギュレータ部の出力電圧との関係を示すグラフである。
【図9】第2の実施形態の非接触ICカードがICカードリーダライタに近接してかざされた場合の、非接触ICカードのかざし位置と、電圧レギュレータ部の出力電圧との関係を示すグラフである。
【図10】第2の実施形態の通信開始判断処理のフローチャートである。
【図11】第2の実施形態の第1の基準電圧監視処理のフローチャートである。
【図12】第2の実施形態の第2の基準電圧監視処理のフローチャートである。
【図13】第2の実施形態の処理テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施形態の非接触IC媒体のブロック図である。
非接触IC媒体1は、外部装置9が出力する電磁波をアンテナで受信し、受信した電磁波から生成する電力を用いて、外部装置9との間で通信をおこなう。非接触IC媒体1は、非接触に通信可能なICを内蔵した媒体であり、たとえば、非接触ICカード、非接触ICタグ、非接触IC内蔵携帯端末などがある。外部装置9は、非接触ICカードと通信をおこなうリーダライタである。
【0016】
非接触IC媒体1は、電力生成手段2と、電圧検出手段3と、第1通信開始判断手段4と、第2通信開始判断手段5を備える。電力生成手段2は、外部装置9が発する電磁波から電磁誘導作用で電力を生成する。誘導起電力を整流、平滑化して生成された電力(生成電力)は、定電圧装置を経て、非接触IC媒体1の各種処理をおこなうために用いられる。
【0017】
電圧検出手段3は、生成電力の電圧を検出電圧値として検出する。第1通信開始判断手段4は、検出電圧値があらかじめ設定された第1の電圧値より大きい場合に、外部装置9との通信開始を判断する。第1の電圧値は、非接触IC媒体1が情報の読出し、書込み、あるいは外部装置9と通信をおこなうことができる電圧値(第2の電圧値)より高い電圧値である。第1の電圧値は、電圧低下により情報の読出し、書込み、あるいは通信が不安定にならないように、第2の電圧値に余裕を設けて設定される。
【0018】
第2通信開始判断手段5は、検出電圧値が第1の電圧値より小さく、かつ検出電圧値があらかじめ設定された第2の電圧値より大きい場合に、検出電圧値の時間当たり変化量にもとづいて外部装置9との通信開始を判断する。検出電圧値の時間当たり変化量は、検出電圧値と、非接触IC媒体1が計時する時間値とから算出される。
【0019】
このように、第2通信開始判断手段5は、検出電圧値が第1の電圧値に満たなくても、第2の電圧値を超えていることから非接触IC媒体1が情報の読出し、書込み、あるいは通信をおこなうことができる状況で、検出電圧値の時間当たり変化量にもとづく通信開始の判断をおこなう。この検出電圧値の時間当たり変化量を通信開始の判断要素に加えることで、非接触IC媒体1は、情報の読出し、書込みを経て通信が終了するまで検出電圧値が第2の電圧値を越えているであろうことを推定して通信開始を判断できる。これにより、非接触IC媒体1は、非接触IC媒体の生成する電力に余裕がなくとも安定した情報の読出し、書込み、あるいは通信が期待できる場合に、外部装置9に対する応答出力を開始可能とする。
【0020】
次に、第2の実施形態を用いてより具体的な説明をする。まず、非接触ICカードを用いて実現されるサービスを提供する通信システムについて説明する。図2は、第2の実施形態の通信システムの構成例を示す図である。
【0021】
通信システム10は、非接触ICカード20と通信し、非接触ICカード20に記録されている情報の取得、および非接触ICカード20への情報の記録をおこなう。通信システム10は、非接触ICカード20に記録される情報にもとづいて、所要のサービスを提供する。たとえば、通信システム10は、電子マネーの決済システム、鉄道の自動改札システム、企業等における社員の出退勤管理システムなどに適用可能である。
【0022】
通信システム10は、処理装置11と、ICカードリーダライタ15を含んで構成され、必要に応じてディスプレイ12と、キーボード13と、マウス14等を含んで構成される。ICカードリーダライタ15は、利用者の非接触ICカード20に記録されている情報を読み書きする。キーボード13と、マウス14は、利用者の入力操作を受け付ける。
【0023】
通信システム10は、複数の処理装置11をネットワークで接続して構成してもよく、その場合、各処理装置11がアクセスするデータサーバを設けてもよい。
次に、第2の実施形態の非接触ICカード20のハードウェア構成について、図3を用いて説明する。図3は、第2の実施形態の非接触ICカードのハードウェア構成例を示す図である。
【0024】
非接触ICカード20は、電力生成部30と、電圧測定部40と、電圧レギュレータ部50と、CPU(Central Processing Unit)60と、アンテナ70と、信号復調部71と、信号変調部72と、メモリ80とを備える。
【0025】
電力生成部30は、ICカードリーダライタ15が出力する電磁波から電力を生成する。電力生成部30は、アンテナコイル31と、ダイオードブリッジ32と、平滑コンデンサ33を備える。アンテナコイル31は、ICカードリーダライタ15が出力する電磁波から誘導起電力を生じる。アンテナコイル31に生じた誘導起電力は、ダイオードブリッジ32により脈流の直流として全波整流される。平滑コンデンサ33は、脈流を平滑化する。なお、アンテナコイル31は、アンテナ70を兼ねることができる。
【0026】
電圧レギュレータ部50は、3端子レギュレータIC51と、安定化コンデンサ52を備える。3端子レギュレータIC51は、電力生成部30が生成した電力を入力して定電圧を出力する。安定化コンデンサ52は、3端子レギュレータIC51の発振を防止する。このように、電圧レギュレータ部50は、電力生成部30とともに、ICカードリーダライタ15が出力する電磁波から定圧電源を生成する定圧電源回路を構成する。
【0027】
非接触ICカード20は、CPU60によって制御される。CPU60は、所要の情報処理を実行するとともに、メモリ80を読み書きする。メモリ80は、たとえば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリである。また、CPU60は、信号復調部71、信号変調部72と接続されている。
【0028】
メモリ80には、CPU60に実行させるアプリケーションプログラムが格納される。また、メモリ80には、CPU60による処理に必要な各種データが格納される。
アンテナ70は、ICカードリーダライタ15との間で電波を送受信する。信号復調部71は、受信波から受信信号の復調をおこなう。信号変調部72は、送信信号から送信波への変調をおこなう。
【0029】
電圧測定部40は、電力生成部30が出力する電圧を測定し、CPU60に電圧測定値を出力する。電圧測定部40は、電圧測定を定周期でおこなう。電圧測定部40が電圧測定をおこなう周期は、たとえば、脈流の影響を排除するために非接触ICカード20が受信する電波の周波数にもとづいて決定することができる。
【0030】
このように、非接触ICカード20は、電力生成部30が出力する電圧を所定周期で監視することができる。
なお、非接触ICカード20は、電圧レギュレータ部50に代えて、あるいは電圧レギュレータ部50に加えてバッテリーを設けてもよい。また、CPU60の動作可能な電圧が、電力生成部30が出力する電圧の範囲内にある場合、非接触ICカード20は、電圧レギュレータ部50を必ずしも備えなくてよい。
【0031】
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。
なお、非接触ICカード20は、それぞれFPGA(Field Programmable Gate Array)やDSP(Digital Signal Processer)などからなるモジュールを含んで構成することもでき、CPU60を有しない構成とすることもできる。また、非接触ICカード20は、ICカードリーダライタ15から不揮発性メモリに記憶されているアプリケーションプログラム、あるいはファームウェアを更新することもできる。
【0032】
次に、第2の実施形態の非接触ICカード20がICカードリーダライタ15にかざされたときの、電力生成部30および電圧レギュレータ部50の出力電圧の変化について、図4を用いて説明する。図4は、第2の実施形態の非接触ICカードのかざし距離と、電力生成部および電圧レギュレータ部の出力電圧との関係を示すグラフである。
【0033】
グラフ中の出力電圧VGは、電力生成部30の出力電圧を示し、グラフ中の出力電圧VRは、電圧レギュレータ部50の出力電圧を示す。かざし距離とは、非接触ICカード20とICカードリーダライタ15との距離である。電圧V0は、CPU60の動作電圧である。CPU60は、出力電圧VRが電圧V0以上で動作する。非接触ICカード20は、出力電圧VRが電圧V1以上で、情報の読出し、書込み、あるいはICカードリーダライタ15との間で通信の実行が可能になる。非接触ICカード20は、出力電圧VRが電圧V2以上で、情報の読出し、書込み、あるいは通信が担保され、通信開始が可能となる。言い換えれば、非接触ICカード20は、出力電圧VRが電圧V2未満で通信を開始した場合、情報の読出し、書込み、あるいは通信途中に出力電圧VRが電圧V1未満となってこれら処理を失敗するおそれを無視できなくなる。
【0034】
電圧V3は、出力電圧VRが電圧V0となるときの出力電圧VGを示す。電圧V4は、出力電圧VRが電圧V1となるときの出力電圧VGを示す。電圧V5は、出力電圧VRが電圧V2となるときの出力電圧VGを示す。
【0035】
次に、第2の実施形態の非接触ICカード20がICカードリーダライタ15にかざされて、電圧レギュレータ部50の出力電圧VRが十分な大きさであるときの時系列での変化について、図5を用いて説明する。図5は、第2の実施形態の非接触ICカードが十分に通信可能な電力を得られる場合の、非接触ICカードのかざし時間と、電圧レギュレータ部の出力電圧との関係を示すグラフである。
【0036】
出力電圧VRは、非接触ICカード20がICカードリーダライタ15に接近するにしたがい大きな値となり、所定の定電圧に達したところで一定になる。この過程において、出力電圧VRは、タイミングT0で電圧V0を超え、CPU60が動作可能となる。その後、出力電圧VRは、タイミングT1で電圧V1を超え、情報の読出し、書込み、あるいはICカードリーダライタ15との間で通信が可能になる。その後、出力電圧VRは、タイミングT2で電圧V2を超え、ICカードリーダライタ15との間で通信開始が可能となる。
【0037】
このように、非接触ICカード20がICカードリーダライタ15に接近する場合、非接触ICカード20は、タイミングT2でICカードリーダライタ15との間で通信を開始することができる。
【0038】
なお、出力電圧VRを用いて説明したが、電圧測定部40の測定対象は、電力生成部30の出力電圧VGであり、出力電圧VRが電圧V0であることは、出力電圧VGが電圧V3であることにより判断できる。同様にして、出力電圧VRが電圧V1であることは、出力電圧VGが電圧V4であることにより判断できる。同様にして、出力電圧VRが電圧V2であることは、出力電圧VGが電圧V5であることにより判断できる。以下、図6から図9の説明においても同様である。
【0039】
次に、第2の実施形態の非接触ICカード20がICカードリーダライタ15にかざされて、電圧レギュレータ部50の出力電圧VRが情報の読出し、書込み、あるいは通信可能な範囲にあるときの時系列での変化について、図6を用いて説明する。図6は、第2の実施形態の非接触ICカードが通信可能な電力を得られる場合の、非接触ICカードのかざし時間と、電圧レギュレータ部の出力電圧との関係を示すグラフである。
【0040】
出力電圧VRは、非接触ICカード20がICカードリーダライタ15に接近するにしたがい大きな値となるものの、最大出力時においても電圧V2に達しない。この過程において、出力電圧VRは、タイミングT0で電圧V0を超え、CPU60が動作可能となる。その後、出力電圧VRは、タイミングT1で電圧V1を超え、情報の読出し、書込み、あるいはICカードリーダライタ15との間で通信可能な大きさになるが、電圧V2を超えるタイミングがない。そのため、非接触ICカード20は、ICカードリーダライタ15との間で、出力電圧VRが電圧V2を超えるという基準で通信開始を判断することができない。
【0041】
そこで、非接触ICカード20は、出力電圧VRが電圧V1を超え、かつ出力電圧VRの変化量が所定以下である状態が所定時間継続することを条件にして通信開始を判断する。たとえば、出力電圧VRは、タイミングT1以降で電圧V1を超え、タイミングT11以降で出力電圧VRの変化量が所定以下となる。そして、出力電圧VRは、タイミングT11から監視時間WTが経過したタイミングT12までの間、電圧V1を超え、変化量が所定以下である。
【0042】
つまり、非接触ICカード20は、出力電圧VRが通信開始を判断できる余裕のある電圧V2を超えていないものの、電圧V1を超えた状態で安定している。このような状態は、非接触ICカード20が停止、または移動速度が遅い状態であると考えられるので、非接触ICカード20が所要の処理を終了するまでの間に、出力電圧VRが急速に低下する可能性が低い。
【0043】
このように、非接触ICカード20がICカードリーダライタ15に十分に接近できない場合でも、非接触ICカード20は、タイミングT12でICカードリーダライタ15との間で通信を開始することができる。言い換えれば、非接触ICカード20は、出力電圧VRが通信開始を判断できる余裕のある電圧V2を超えない場合があっても、タイミングT12で情報の読出し、書込み、あるいはICカードリーダライタ15との間で通信をおこなうことができる。
【0044】
次に、第2の実施形態の非接触ICカード20がICカードリーダライタ15にかざされて、電圧レギュレータ部50の出力電圧VRが所要の処理の実行に必要な電圧に至らないときの時系列での変化について、図7を用いて説明する。図7は、第2の実施形態の非接触ICカードが通信可能な電力を得られない場合の、非接触ICカードのかざし時間と、電圧レギュレータ部の出力電圧との関係を示すグラフである。
【0045】
出力電圧VRは、非接触ICカード20がICカードリーダライタ15に接近するにしたがい大きな値となるものの、最大出力時においても電圧V1に達しない。そのため、非接触ICカード20は、所要の処理(情報の読出し、書込み、あるいはICカードリーダライタ15との間で通信など)をおこなうことができない。
【0046】
次に、第2の実施形態の非接触ICカード20がICカードリーダライタ15にかざされたときの、第1の通信開始タイミングについて、図8を用いて説明する。図8は、第2の実施形態の非接触ICカードがICカードリーダライタに十分に近接してかざされた場合の、非接触ICカードのかざし位置と、電圧レギュレータ部の出力電圧との関係を示すグラフである。
【0047】
非接触ICカード20は、経路P1、経路P2、経路P3を通って、ICカードリーダライタ15にかざされる。経路P1でICカードリーダライタ15に接近する非接触ICカード20は、タイミングT0でCPU動作可能範囲R1(出力電圧VRが電圧V0以上、あるいは出力電圧VGが電圧V3以上)に入る。そして、非接触ICカード20は、タイミングT1でリードライト可能範囲R2(出力電圧VRが電圧V1以上、あるいは出力電圧VGが電圧V4以上)に入る。そして、非接触ICカード20は、タイミングT2で捕捉可能範囲R3(出力電圧VRが電圧V2以上、あるいは出力電圧VGが電圧V5以上)に入ってから、タイミングT3でリードライト可能範囲R2を抜けるまでの経路P2でICカードリーダライタ15と通信可能となる。タイミングT3でリードライト可能範囲R2を抜けた非接触ICカード20は、経路P3でICカードリーダライタ15から離れる。
【0048】
このように、非接触ICカード20は、捕捉可能範囲R3に入ったタイミングT2で通信開始を判断する。この通信開始の判断は、後述する第1の基準電圧監視処理により実行される。
【0049】
次に、第2の実施形態の非接触ICカード20がICカードリーダライタ15にかざされたときの、第2の通信開始タイミングについて、図9を用いて説明する。図9は、第2の実施形態の非接触ICカードがICカードリーダライタに近接してかざされた場合の、非接触ICカードのかざし位置と、電圧レギュレータ部の出力電圧との関係を示すグラフである。
【0050】
非接触ICカード20は、経路P4、経路P5、経路P6を通って、ICカードリーダライタ15にかざされる。経路P4でICカードリーダライタ15に接近する非接触ICカード20は、タイミングT0でCPU動作可能範囲R1に入り、タイミングT1でリードライト可能範囲R2に入る。そして、非接触ICカード20は、捕捉可能範囲R3に入ることなく、CPU動作可能範囲R1を抜ける。このような場合、非接触ICカード20は、捕捉可能範囲R3に入ったタイミングT2で通信開始を判断することができない。
【0051】
そこで、非接触ICカード20は、出力電圧VRの変動幅がΔv以下の状態が監視時間WTだけ継続した場合に、ICカードリーダライタ15との通信開始を判断する。非接触ICカード20は、タイミングT11で出力電圧VRが電圧V11、タイミングT12で出力電圧VRが電圧V12であり、出力電圧VRの変動幅がΔv以下の状態が監視時間WTだけ継続している。したがって、非接触ICカード20は、タイミングT12で通信開始を判断する。非接触ICカード20は、タイミングT12から、タイミングT3でリードライト可能範囲R2を抜けるまでの経路P5でICカードリーダライタ15と通信可能となる。タイミングT3でリードライト可能範囲R2を抜けた非接触ICカード20は、経路P6でICカードリーダライタ15から離れる。
【0052】
このように、非接触ICカード20は、電圧が安定した状態が所定時間継続したタイミングT12で通信開始を判断する。この通信開始の判断は、後述する第2の基準電圧監視処理により実行される。
【0053】
なお、出力電圧VRを用いて説明したが、電圧測定部40の測定対象である出力電圧VGに置き換えて説明を補足する。出力電圧VGと出力電圧VRの対応関係は、図4に示したグラフにしたがう。非接触ICカード20は、出力電圧VGの変動幅が出力電圧VRの変動幅Δv相当以下の状態が監視時間WTだけ継続した場合に、ICカードリーダライタ15との通信開始を判断する。非接触ICカード20は、タイミングT11で出力電圧VGが出力電圧VRの電圧V11相当、タイミングT12で出力電圧VGが出力電圧VRの電圧V12相当であり、出力電圧VGの変動幅が出力電圧VRの変動幅Δv相当以下の状態が監視時間WTだけ継続している。したがって、非接触ICカード20は、出力電圧VGを測定することによって、タイミングT12で通信開始を判断できる。
【0054】
次に、非接触ICカード20が実行する通信開始判断処理について、図10を用いて詳細に説明する。図10は、第2の実施形態の通信開始判断処理のフローチャートである。通信開始判断処理は、非接触ICカード20がICカードリーダライタ15との通信開始を判断する処理である。通信開始判断処理は、CPU60が動作開始後に実行され、通信開始許可をおこなうまで、あるいはCPU60の動作が継続できなくなるまで実行される。
【0055】
[ステップS11]非接触ICカード20は、電圧サンプリング処理を実行する。電圧サンプリング処理は、所定周期でサンプリングした電圧をサイクリックなバッファ(電圧測定値記録部)に記録する。より具体的には、非接触ICカード20は、電圧測定部40からCPU60に入力された電圧測定値をメモリ80上の電圧測定値の記録領域に記録する。このとき、メモリ80は、不揮発性メモリに加えて、揮発性メモリを備え、CPU60は、電圧測定値を揮発性メモリに記録するようにしてよい。
【0056】
[ステップS12]非接触ICカード20は、第1の判断基準で通信開始の判断をおこなう第1の基準電圧監視処理を実行する。第1の基準電圧監視処理の詳細は、図11を用いて後述する。
【0057】
[ステップS13]非接触ICカード20は、第2の判断基準で通信開始の判断をおこなう第2の基準電圧監視処理を実行する。第2の基準電圧監視処理の詳細は、図12、図13を用いて後述する。
【0058】
[ステップS14]非接触ICカード20は、第1の基準電圧監視処理、または第2の基準電圧監視処理により通信開始が可能と判断されたか否かを判断する。非接触ICカード20は、第1の基準電圧監視処理、または第2の基準電圧監視処理により通信開始が可能であると判断された場合に、ステップS15にすすむ。一方、非接触ICカード20は、第1の基準電圧監視処理、または第2の基準電圧監視処理により通信開始が可能と判断されなかった場合にステップS11にすすむ。
【0059】
[ステップS15]非接触ICカード20は、ICカードリーダライタ15との通信開始を許可する。そして、非接触ICカード20は、通信開始判断処理を終了する。非接触ICカード20は、通信開始判断処理の終了後、通信開始の許可を受けて、ICカードリーダライタ15との通信をおこなう。
【0060】
次に、非接触ICカード20が実行する第1の基準電圧監視処理について、図11を用いて詳細に説明する。図11は、第2の実施形態の第1の基準電圧監視処理のフローチャートである。第1の基準電圧監視処理は、非接触ICカード20がICカードリーダライタ15との通信開始を第1の判断基準で判断する処理である。第1の基準電圧監視処理は、通信開始判断処理の中で実行され、通信開始許可をおこなうまで、あるいはCPU60の動作が継続できなくなるまで繰り返し実行される。
【0061】
[ステップS21]非接触ICカード20は、電圧測定部40が測定した電圧が第1の基準電圧以上か否かを判断する。非接触ICカード20は、電圧測定部40が測定した電圧が第1の基準電圧以上である場合に、ステップS22にすすむ。一方、非接触ICカード20は、電圧測定部40が測定した電圧が第1の基準電圧以上でない場合に、第1の基準電圧監視処理を終了する。
【0062】
第1の基準電圧は、電圧V2以上に相当し、非接触ICカード20がICカードリーダライタ15との通信、メモリ80の読み書きを含む所要の処理を実行可能な電圧V1に余裕分を加算した電圧である。したがって、非接触ICカード20がICカードリーダライタ15との通信開始を判断する第1の判断基準は、具体的には、電圧測定部40が測定した電圧が第1の基準電圧以上であるか否かである。
【0063】
[ステップS22]非接触ICカード20は、通信開始可能フラグをセットして、第1の基準電圧監視処理を終了する。ステップS14の第1の基準電圧監視処理により通信開始が可能と判断されたか否かの判断は、通信開始可能フラグの参照によりおこなわれる。
【0064】
このような電圧値だけの比較による通信開始の判断は、電力生成部30が十分な電圧値の電力を生成する場合に、速やかにおこなうことができる。そのため良好な通信環境下において、非接触ICカード20は、タイムラグを少なくして通信を開始できる。
【0065】
次に、非接触ICカード20が実行する第2の基準電圧監視処理について、図12、図13を用いて詳細に説明する。図12は、第2の実施形態の第2の基準電圧監視処理のフローチャートである。図13は、第2の実施形態の処理テーブルの一例を示す図である。
【0066】
第2の基準電圧監視処理は、非接触ICカード20がICカードリーダライタ15との通信開始を第2の判断基準で判断する処理である。第2の判断基準は、処理テーブル100にあらかじめ設定される。非接触ICカード20は、電圧測定部40が測定した電圧の変化量を評価し、評価された状態の継続時間に応じて通信開始可能か否かを処理テーブル100を用いて判定する。
【0067】
第2の基準電圧監視処理は、通信開始判断処理の中で実行され、通信開始許可をおこなうまで、あるいはCPU60の動作が継続できなくなるまで繰り返し実行される。
[ステップS31]非接触ICカード20は、電圧測定部40が測定した電圧が第2の基準電圧以上か否かを判断する。非接触ICカード20は、電圧測定部40が測定した電圧が第2の基準電圧以上である場合に、ステップS32にすすむ。一方、非接触ICカード20は、電圧測定部40が測定した電圧が第2の基準電圧以上でない場合に、第2の基準電圧監視処理を終了する。
【0068】
第2の基準電圧は、電圧V1以上に相当し、非接触ICカード20がICカードリーダライタ15との通信、メモリ80の読み書きを含む所要の処理を実行可能な電圧である。
[ステップS32]非接触ICカード20は、電圧測定部40が測定した電圧の変化量を取得して、電圧の変化量を評価する。具体的には、非接触ICカード20は、メモリ80から電圧測定値を読み出す。非接触ICカード20は、直近の電圧測定値、およびその前回の電圧測定値とから、直近の電圧変化量を算出する。非接触ICカード20は、算出した電圧変化量をあらかじめ定めた基準で5段階に評価してメモリ80に記録する。たとえば、非接触ICカード20は、電圧変化がないとみなせる場合は、電圧変化量を「電圧変化なし」と評価する。また、非接触ICカード20は、電圧変化量が所定量以下で正の変化であれば、電圧変化量を「電圧上昇変化小」と評価し、電圧変化量が所定量以下で負の変化であれば、電圧変化量を「電圧降下変化小」と評価する。また、非接触ICカード20は、電圧変化量が所定量を超える正の変化であれば、電圧変化量を「電圧上昇変化大」と評価し、電圧変化量が所定量を超える負の変化であれば、電圧変化量を「電圧降下変化大」と評価する。なお、5段階評価は、評価方法の例示であって、2段階評価でもよいし、10段階などであってもよい。
【0069】
[ステップS33]非接触ICカード20は、電圧変化量の評価を前回評価と比較して、電圧変化量のレベル(程度)に変化があったか否かを判定する。たとえば、非接触ICカード20は、電圧変化量のレベルに変化があった場合、ステップS34にすすみ、電圧変化量のレベルに変化がない場合、ステップS35にすすむ。
【0070】
[ステップS34]非接触ICカード20は、電圧変化の監視時間をリセットする。
[ステップS35]非接触ICカード20は、電圧変化量の評価に対応する監視時間が経過したか否かを判定する。電圧変化量の評価に対応する監視時間は、処理テーブル100に電圧変化量の評価ごとに、あらかじめ設定される。非接触ICカード20は、電圧変化量の評価に対応する監視時間が経過した場合にステップS36にすすみ、電圧変化量の評価に対応する監視時間が経過していない場合に第2の基準電圧監視処理を終了する。
【0071】
処理テーブル100は、電圧変化量の評価ごとの監視時間に加えて、電圧変化量の評価ごとの監視時間経過時の対応が設定されている。処理テーブル100によれば、非接触ICカード20は、「電圧変化なし」という評価状態が「100ms」継続することで、応答可能(通信開始可能)となる。同様に、非接触ICカード20は、「電圧上昇変化小」という評価状態が「120ms」継続することで、応答可能となる。同様に、非接触ICカード20は、「電圧上昇変化大」、「電圧降下変化小」、「電圧降下変化大」という評価状態で、応答保留となる。
【0072】
[ステップS36]非接触ICカード20は、処理テーブル100から電圧変化量の評価に対する対応を取得する。
[ステップS37]非接触ICカード20は、取得した対応が「応答可能」であるか否かを判定する。非接触ICカード20は、取得した対応が「応答可能」の場合、ステップS38にすすむ。一方、非接触ICカード20は、取得した対応が「応答可能」でない場合、すなわち「応答保留」の場合、第2の基準電圧監視処理を終了する。
【0073】
[ステップS38]非接触ICカード20は、通信開始可能フラグをセットして、第2の基準電圧監視処理を終了する。ステップS14の第2の基準電圧監視処理により通信開始が可能と判断されたか否かの判断は、通信開始可能フラグの参照によりおこなわれる。
【0074】
このように、非接触ICカード20は、電力生成部30が十分な電圧値の電力を生成しない場合でも、所要の処理を実行可能な電力が生成されている場合に、時間当たりの電圧値の変化量を監視することで通信開始の判断をおこなうことができる。
【0075】
つまり、非接触ICカード20は、電圧値の変化から非接触ICカード20の動きを間接的に把握し、非接触ICカード20の動きが少ないとみなせる場合に、所要の処理を実行可能な電力が所要の処理の実行時間だけ生成されることを期待する。この期待は、非接触ICカード20を操作する操作者の動きが緩慢な場合、その後も緩慢な動きであることが多いことによる。この期待により、非接触ICカード20は、良好とはいえない通信環境下においても、ICカードリーダライタ15との通信開始を判断することができる。
【0076】
たとえば、処理テーブル100では、電圧変化量の評価が「電圧変化なし」という評価状態を、非接触ICカード20の動きが小さい、あるいは停止しているとみなし、監視時間を「100ms」にして「応答可能」の判断をおこなっている。つまり、100msの間、動きが少なかった非接触ICカード20は、これから所要の処理を実行するのに必要な時間も動きが少なく、所要の処理を実行可能な電力を生成するとみなす。
【0077】
また、処理テーブル100では、電圧変化量の評価が「電圧上昇変化小」という評価状態を、非接触ICカード20の動きが小さい場合であるとみなし、この状態では、監視時間を「120ms」にして「応答可能」の判断をおこなっている。つまり、120msの間、動きが少なかった非接触ICカード20は、これから所要の処理を実行するのに必要な時間も動きが少なく、所要の処理を実行可能な電力を生成するとみなす。ただし、電圧変化量の評価が「電圧変化なし」の状態よりも動きが大きいであろうことから、監視時間は、より大きな値が設定される。より長い監視時間は、非接触ICカード20が電圧降下方向へのより大きな動きに転換した場合の電圧値がV1以上である時間を確保する。
【0078】
また、処理テーブル100では、電圧変化量の評価が「電圧上昇変化大」、「電圧降下変化大」という評価状態を、非接触ICカード20の動きが大きい場合であるとみなし、この状態では、監視時間を「0ms」にして「応答保留」としている。また、処理テーブル100では、電圧変化量の評価が「電圧降下変化小」という評価状態を、非接触ICカード20の動きが大きくないものの、所要の処理を実行可能な時間の電圧値を確保できないおそれがあるとみなし、この状態では、監視時間を「0ms」にして「応答保留」としている。
【0079】
なお、上記の処理機能は、情報処理装置として機能する非接触ICカード20によって実現することができる。その場合、非接触ICカード20が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムを非接触ICカード20で実行することにより、上記処理機能が非接触ICカード20上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、処理装置11で読み取り可能な記録媒体(可搬型記録媒体を含む)に記録しておくことができる。処理装置11は、ICカードリーダライタ15を介して非接触ICカード20にプログラムを転送することができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc − Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0080】
プログラムを流通させる場合には、たとえば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0081】
プログラムを実行する非接触ICカード20は、たとえば、処理装置11から転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、非接触ICカード20は、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムにしたがった処理を実行する。なお、非接触ICカード20は、ICカードリーダライタ15から直接プログラムを読み取り、そのプログラムにしたがった処理を実行することもできる。
【0082】
なお、上述の実施の形態は、実施の形態の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
さらに、上述の実施の形態は、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0083】
1 非接触IC媒体
2 電力生成手段
3 電圧検出手段
4 第1通信開始判断手段
5 第2通信開始判断手段
9 外部装置
10 通信システム
11 処理装置
15 ICカードリーダライタ
20 非接触ICカード
30 電力生成部
40 電圧測定部
50 電圧レギュレータ部
70 アンテナ
71 信号復調部
72 信号変調部
80 メモリ
100 処理テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置が発する電磁波から電力を生成し、前記外部装置と通信をおこなう非接触IC媒体を、
前記電力の電圧を検出する電圧検出手段、
前記電力の電圧値があらかじめ設定された第1の電圧値より大きい場合に、前記外部装置との通信開始を判断する第1通信開始判断手段、
前記電力の電圧値が前記第1の電圧値より小さく、かつ前記電力の電圧値があらかじめ設定された第2の電圧値より大きい場合に、前記電力の電圧値の時間当たり変化量にもとづいて前記外部装置との通信開始を判断する第2通信開始判断手段、
として機能させることを特徴とする非接触IC媒体制御プログラム。
【請求項2】
さらに、前記第1通信開始判断手段による通信開始の判断と、前記第2通信開始判断手段による通信開始の判断のうち、いずれか早い通信開始の判断にしたがい、前記外部装置との通信を開始する通信開始手段、として機能させることを特徴とする請求項1記載の非接触IC媒体制御プログラム。
【請求項3】
前記第2通信開始判断手段は、前記電力の電圧値の時間当たり変化量があらかじめ設定した範囲で、あらかじめ設定した時間だけ継続した場合に、前記外部装置との通信開始を判断することを特徴とする請求項2記載の非接触IC媒体制御プログラム。
【請求項4】
前記電力の電圧値の時間当たり変化量の設定範囲は、前記電力の電圧値の時間当たり変化量の大きさに応じて複数設定されることを特徴とする請求項3記載の非接触IC媒体制御プログラム。
【請求項5】
前記電圧検出手段は、定圧電源回路が備える電圧レギュレータ部の入力電圧を検出することを特徴とする請求項2記載の非接触IC媒体制御プログラム。
【請求項6】
外部装置が発する電磁波から電力を生成する電力生成手段と、
前記電力の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電力の電圧値があらかじめ設定された第1の電圧値より大きい場合に、前記外部装置との通信開始を判断する第1通信開始判断手段と、
前記電力の電圧値が前記第1の電圧値より小さく、かつ前記電力の電圧値があらかじめ設定された第2の電圧値より大きい場合に、前記電力の電圧値の時間当たり変化量にもとづいて前記外部装置との通信開始を判断する第2通信開始判断手段と、
を備えることを特徴とする非接触IC媒体。
【請求項7】
外部装置が発する電磁波から電力を生成し、
前記電力の電圧を検出し、
前記電力の電圧値があらかじめ設定された第1の電圧値より大きい場合に、前記外部装置との通信開始を判断し、
前記電力の電圧値が前記第1の電圧値より小さく、かつ前記電力の電圧値があらかじめ設定された第2の電圧値より大きい場合に、前記電力の電圧値の時間当たり変化量にもとづいて前記外部装置との通信開始を判断することを特徴とする非接触IC媒体制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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