説明

非空気入りタイヤ用の組み付け冶具

【課題】リンク機構を弾性手段により径方向内向きに圧縮させた状態で接地部材を容易に装着させられる非空気入りタイヤ用の組付け冶具を提供する。
【解決手段】1つの節で揺動可能に連結された2つのリンク部材をリムの幅方向Wに配置し、節に設けた台座の相互間に弾性手段を保持してリンク機構とし、このリンク機構を円周方向Sに沿って複数配置し、接地部材を装着して非空気入りタイヤとするに際し、弾性手段を組付けるための冶具100である。冶具100は、一方の台座20に着脱可能な2つの保持部111を有する第一の板状部材110と、他方の台座に着脱可能な2つの保持部121を有する第二の板状部材120と、板状部材110を回転可能に保持する一方、板状部材120を進退可能にねじ付けた軸部材130とを備え、軸部材130は、板状部材120を板状部材110に接近及び遠離可能に保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リム状部材の円周方向に間隔を空けて設けたリンク機構の一部に弾性手段を用いて径方向外向きの付勢力に与えた後、かかる付勢力に抗して当該リンク機構を圧縮させた状態で無終端状の接地部材を装着して非空気入りタイヤとするに際し、前記弾性手段を圧縮状態又は伸長状態に組み付けるのに有効な非空気入りタイヤ用の組み付け冶具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等に使用されるタイヤとしては空気入りタイヤが一般的であるが、空気入りタイヤは、その充填空気圧がパンク等に起因して減少し、又は消失するという問題がある。
【0003】
このため、空気圧を用いない非空気入りタイヤとして、例えば、中実構造のソリッドタイヤが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平6−293203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、こうした従来のソリッドタイヤは、重量及び硬さ共に大きく、空気入りタイヤに比べて、十分な乗心地や操縦性を確保することができない。また、転がり抵抗も大きくなるため、特殊な用途以外では使用されない状況にある。
【0005】
そこで、本願発明者は、リム状部材の外側にその円周方向に沿って間隔を空けて複数のリンク機構を配置し、このリンク機構の要素の一つとして弾性手段を用いて径方向外向きの付勢力を与えると共に、当該リンク機構に無終端状の接地部材を装着した非空気入りタイヤを開発するに至った。
【0006】
かかる非空気入りタイヤは、弾性手段によってリンク機構に発生する径方向外向きの付勢力を利用することで、タイヤとしての剛性を確保している。なお、本明細書中において、「剛性」とは、ずれ変形に対する弾性の強さを言うものとする。
【0007】
このため、弾性手段によってリンク機構に発生する径方向外向きの付勢力に抗して当該リンク機構を径方向内向きに圧縮させた状態で、無終端状の接地部材を装着すれば、接地部材の円周方向に初期張力が付与されるので、リンク機構の動きは、当該接地部材によって、より強固に規制される。
【0008】
かかる現象は、タガ効果とも呼ばれ、リンク機構の相互間の当該リンク機構が存在しない部分も併せて、接地部材の円周方向における曲げ剛性が増加する。このため、リンク機構と接地部材との接合力が向上すると共に、より均一な接地圧分布が確保できることから、ロードノイズの抑制が図れる等、乗心地の改善に更に有効である。
【0009】
しかしながら、こうした非空気入りタイヤは、車体を支える必要があるため、リンク機構に発生させる付勢力も大きくする必要がある。このため、弾性手段としては、その弾性力(復元力)が大きなものを選択する必要があるが、こうした条件を満たす弾性手段を採用した場合、現実的には、リンク機構を径方向内側に圧縮させた状態で接地部材を装着することは非常に困難である。
【0010】
本発明の解決すべき課題は、リンク機構を弾性手段により径方向外向きに伸長させた後、弾性手段の付勢力に抗して当該リンク機構を圧縮させたまま無終端状の接地部材を装着するに際し、かかる弾性手段を圧縮状態又は伸長状態に組み付けることが、実際上は困難であるということにあり、本発明の目的とするところは、リンク機構を径方向内向きに圧縮させた状態のまま接地部材を容易に装着させることができる非空気入りタイヤ用の組み付け冶具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、節を介して2つの部材を揺動可能に連結してなるリンクをリム状部材の幅方向に間隔を空けて2箇所に配置し、各節に設けた台座の相互間に、変形及び復元の可能な弾性手段を保持してリンク機構とし、このリンク機構を円周方向に沿って間隔を空けて複数配置した非空気入りタイヤとするに際し、前記弾性手段を圧縮状態又は伸長状態に組み付けるための非空気入りタイヤ用の組み付け冶具であって、一方の台座に着脱可能な保持部を有する第一の板状部材と、他方の台座に着脱可能な保持部を有する第二の板状部材と、第一の板状部材及び第二の板状部材の少なくとも一方を、互いに接近及び遠離可能に保持する軸部材とを備えることを特徴とするものである。
【0012】
なお、本発明において、「円周」、「幅」及び「半径」とは、リム状部材の「円周」、「幅」及び「半径」をいう(タイヤ又は後述の無終端状の接地部材についても同義)。
【0013】
また、本発明の冶具は、非空気入りタイヤに係るリンク機構がその節を当該リンク機構の内側に屈曲させることで圧縮状態を実現する構成であるのか、当該節をリンク機構の外側に屈曲させることで当該リンク機構の圧縮状態を実現する構成であるのかを問わず、使用することができる。
【0014】
即ち、本発明である冶具によれば、リンク機構の節が内側に屈曲することで当該リンク機構の圧縮状態を実現できる構成の場合には、2つの板状部材を接近させることで、弾性手段が伸張してない自然長の状態(定常状態)よりも圧縮した状態に組み付けることができ、また、前記節が外側に屈曲することでリンク機構の圧縮状態を実現できる構成の場合には、2つの板状部材を遠離させることで、当該弾性手段が前記定常状態よりも伸張した状態に組み付けることができる。
【0015】
また、本発明に係る弾性手段としては、例えば、ゴム弾性体に代表される材質的な弾性力を発揮するもの、コイルスプリングに代表される機械的な弾性力を発揮するもの、又は、ゴム弾性体を繊維補強したもの或いは空気ばねのように材質的及び機械的な弾性力を複合的に発揮するものが挙げられる。
【0016】
本発明に従えば、第一の板状部材及び第二の板状部材はそれぞれ、複数の保持部を有するものとすることができる。
【0017】
また本発明において、第一の板状部材及び第二の板状部材の少なくとも一方を互いに接近及び遠離可能に保持する手段としては、例えば、一方の板状部材を回転可能に保持する一方、他方の板状部材を進退可能にねじ付ける構成や、ラチェット機構が挙げられる。
【0018】
また、本発明に従えば、第一の板状部材及び第二の板状部材の保持部はそれぞれ、様々な手段で台座を着脱可能に保持することができるが、一例としては、当該台座の外縁部が着脱可能に嵌合する溝部を有し、この溝部は、当該板状部材に設けた凹部の内側に形成されたものが挙げられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明である非空気入りタイヤ用の組み付け冶具によれば、節を介して2つの部材を揺動可能に連結してなるリンクをリム状部材の幅方向に間隔を空けて2箇所に配置し、各節に設けた台座の相互間に、変形及び復元の可能な弾性手段を保持してリンク機構とし、このリンク機構を円周方向に沿って間隔を空けて複数配置し、当該複数のリンク機構に、無終端状の接地部材を装着して非空気入りタイヤとするに際し、軸部材に保持された2つの板状部材をそれぞれ、2つの台座に取り付けたのち、少なくともいずれか一方を軸部材に沿って接近又は遠離させれば、リンク機構に与えた径方向外向きの付勢力に抗して当該リンク機構を径方向内向きに圧縮させた状態に維持することができる。
【0020】
このため、リム状部材の円周方向に沿って間隔を空けて配置した複数のリンク機構に、無終端状の接地部材を装着するに際し、本発明である組み付け冶具を用いて、リンク機構付きリム状部材が接地部材の内側に納まるまで、かかるリンク機構を圧縮させておき、その状態のリンク機構付きリム状部材を接地部材の内側に合わせたのち、本発明である組み付け冶具を取り外せば、所謂タガ効果の付与された非空気入りタイヤが製造される。
【0021】
従って、本発明の冶具によれば、上述の非空気入りタイヤに対して所謂タガ効果を付与すべく、リンク機構を圧縮させた状態のまま接地部材を容易に装着させることができる。
【0022】
また、本発明において、第一の板状部材及び第二の板状部材がそれぞれ、複数の保持部を有するものであれば、複数のリンク機構毎に冶具を用いることなく、保持部の数だけリンク機構をまとめて圧縮させた状態に維持できるため、少ない作業工数で接地部材を容易に装着することができる。
【0023】
また、本発明において、第一の板状部材及び第二の板状部材の少なくとも一方を軸部材にて互いに接近及び遠離可能に保持する手段として、一方の板状部材を回転可能に保持する一方、他方の板状部材を進退可能にねじ付ければ、板状部材に対して軸部材を時計回り又は反時計回りに回転させるだけの簡単な操作で、所謂タガ効果の微調整が可能となる。
【0024】
また、本発明において、第一の板状部材及び第二の板状部材でそれぞれ、台座を着脱可能に保持するにあたっては、第一の板状部材及び第二の板状部材がそれぞれ、台座の外縁部が着脱可能に嵌合する溝部を有し、この溝部を、当該板状部材に設けた凹部の内側に形成すれば、リム状部材上の小さなスペースにリンク機構に対して効率的に取り付けることができる。このため、リンク機構を複雑かつ大型化させることなく、リンク機構に対して本発明である取り付け冶具を容易に取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明である非空気入りタイヤ用の組み付け冶具を詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明に従う冶具を用いて製造されるメカニカルタイヤ(以下、「タイヤ」という)の一例を模式的に示す斜視図である。また、図2(a),(b)はそれぞれ、図1のA−A断面図及び、同メカニカルタイヤに係るリンク機構の一部と接地部材の一部との結合部分をその下面側から示す要部斜視図である。
【0027】
符号2は、図1に示すように、図示せぬ車軸(回転軸)に連結される円筒形のリム状部材(以下、「リム」という。)である。リム2は、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属材料により構成されている。
【0028】
リム2の外周側には、その円周方向Sに沿って間隔を空けて複数のリンク機構3が設けられている。リンク機構3は、図2(a)に示すように、リム2の幅方向Wに沿って間隔を空けて配置される2つのリンクL1,L2を有し、その節C2を弾性手段4で連結している。
【0029】
リンクL1は、同図に示すように、リム2の外側壁2aに自在継手である連結部C1を介して連結される一端部を有し当該一端部の連結部C1を基点に揺動可能な第一リンク部材3aと、この第一リンク部材3aの他端部に対して節C2を介して連結される一端部を有し節C2を基点に揺動可能な第二リンク部材3bとを有し、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属材料により構成されている。
【0030】
リンクL2も、同様に、リム2に連結部C1を介して連結される第一リンク部材3aと、この第一リンク部材3aに対して節C2を介して揺動可能に連結される第二リンク部材3bとを有し、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属材料により構成されている。
【0031】
連結部C1は、少なくとも第一リンク部材3aがリム2に対して円周方向S及び幅方向Wに揺動できれば、如何なる構成であってもよい。なお、本形態に係る連結部C1は、リム2の外側壁2aに対して円周方向Sに揺動可能に連結されると共に、第一リンク部材3aを幅方向Wに揺動可能に連結する自在継手である。
【0032】
節C2は、例えば、第一リンク部材3aと第二リンク部材3bとをピンを用いて回転可能に連結するものであり、その回転方向は、第一リンク部材3aと第二リンク部材3bとを幅方向Wに揺動させる方向である。なお、節C2も、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属材料により構成されており、ピン等で軸支するのに替えて、自在継手を採用してもよい。
【0033】
弾性手段4は、リンクL1,L2の動きに応じて節C2の相互間でリム2の幅方向Wに沿って圧縮及び伸長する。これにより、タイヤ1の円周方向S、幅方向W及び半径方向Rそれぞれの相対変位に対して所要の剛性(例えば、車種や使用環境又は運転者の要求等により決定される剛性)をもたらす。
【0034】
弾性手段4は、例えば、ゴム弾性体に代表される材質的な弾性力を発揮するもの、コイルスプリングに代表される機械的な弾性力を発揮するもの、又は、ゴム弾性体を繊維補強したもの或いは空気ばねのように材質的及び機械的な弾性力を複合的に発揮するものが挙げられる。
【0035】
符号6は、図1に示すように、リンク機構3の外側に装着される無終端状のトレッド部材(接地部材)である。トレッド部材6は、ゴム等の弾性材料からなり、図2(a)に示すように、その裏面に補強層Rが設けられている。
【0036】
なお、本発明にて、「無終端」とは、環状形又は円筒形のように、その両端が繋がって、内側に閉じられた空間を形成する形状を言うものとする。また、補強層Rは、トレッド部材6の内部に配置することもできる。更に、トレッド部材6は、クラウン部のみからなる平面的な形状であるが、本来の意味でのタイヤと同様、ショルダ部やサイド部を設けてリム2の内側に巻き込ませてもよい。
【0037】
符号7は、トレッド部材6の裏面に、リンク機構3の第二リンク部材3bを連結するためのセグメントである。セグメント7は、図2(b)に示すように、幅方向Wに延在し、その踏み面(トレッド部材6との結合面)7fが平坦な平板状の2つのプレート部材7aからなる。
【0038】
プレート部材7aには、様々な形状のものを採用できるが、本形態にあっては、山形鋼状のものを採用している。また、プレート部材7aも、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属材料により構成されている。
【0039】
プレート部材7aにはそれぞれ、図2(b)に示すように、円周方向Sに沿って間隔ΔX1を空けて2つのブラケット部7bが接合されている。ブラケット部7bも、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属材料により構成されている。なお、符号Bは、後述のシャフト3cを回転可能に保持する軸受である。
【0040】
シャフト3cは、幅方向Wに沿って延在し、第二リンク部材4bとセグメント7(プレート部材7a)とを揺動可能に連結する連結部C3として機能する。シャフト3cは、その両端がそれぞれ軸受Bに回転可能に連結されている。また、シャフト3cには、第二リンク部材4bの他端がそれぞれ、ピン等を用いて幅方向Wに沿って揺動可能に連結されている。これにより、セグメント7は、第二リンク部材3bに対して、円周方向Sに揺動すると共に幅方向Wに揺動する。
【0041】
なお、連結部C3は、セグメント7が少なくとも第二リンク部材3bに対して円周方向Sに揺動すると共に幅方向Wに揺動すればよいことから、シャフト3cを設けることなく、連結部C1と同様、自在継手としてもよい。また、第二リンク部材3bは、サイドウォール側に位置する2つのブラケット部7bそれぞれに直結させる構成とすることも可能である。
【0042】
即ち、本形態のリンク機構3は、リム2に繋がるリンクL1,L2、これらリンクL1,L2を関連付ける弾性手段4及びセグメント7で構成される。
【0043】
リンク機構3はそれぞれ、弾性手段4によって径方向Rに沿って外向きに伸長するように付勢されている。これにより、各リンク機構3を径方向Rに沿って内向きに圧縮させようとすると、当該リンク機構3はそれぞれ、弾性手段4の弾性力(復元力)によって、径方向Rに沿って外向きに伸長しようとする。即ち、リンク機構3は、リム2上において、弾性手段4の弾性力によって、その外観形状を一定の状態に維持される。
【0044】
本形態では、リンク機構3の弾性手段4を圧縮させた状態でトレッド部材6を装着することで、所謂タガ効果を持たせている。また、セグメント7にトレッド部材6を固定するにあたっては、接着等の様々な方法を採用できるが、本形態では、固定具Fを用いてセグメント7に対してプレート部材7aを圧着させている。固定具Fとしては、例えば、六角レンチ(六角棒スパナ)を使用する六角レンチ用の穴付きボルトF1及びナットF2を利用している。
【0045】
また、セグメント7にトレッド部材6を固定するにあたっては、隣り合うセグメント7が円周方向Sに沿って少許の間隔を形成するように、プレート部材7aの大きさ、又は、リンク機構3の配置を決定する。
【0046】
これにより、リンク機構3はそれぞれ、各セグメント7により、トレッド部材6を円周方向Sに沿って少許の間隔を空けて保持する。なお、少許の間隔は、車種や使用環境、又は、運転者の要求等に応じて適宜設定することができる。
【0047】
タイヤ1は、例えば、図3(a)の実線に示すような状態から、荷重直下で、仮想線で示す如く、リム2とトレッド部材6とが半径方向Rに沿って互いに接近するように変位すると、リンクL1,L2はそれぞれ節C2を基点に互いに接近するように屈曲し、弾性手段4を幅方向Wに圧縮変形させる。
【0048】
しかしながら、弾性手段4の圧縮変形は、同時に、リンクL1,L2を離間させる反力を節C2に作用させる。即ち、リンク機構3はそれぞれ、弾性手段4の存在により、リム2とトレッド部材6とが半径方向Rに接近するときに、所要の上下剛性(半径方向Rにおける剛性)を生じさせることができる。
【0049】
また、図3(b) の実線に示すような状態から、仮想線で示す如く、リム2とトレッド部材6とが円周方向Sに沿って相対変位すると、リンク機構3全体が伸長することで、直接的にはリンクL1,L2の全長が長くなることで、弾性手段4に引張り変形を生じさせる。
【0050】
しかしながら、弾性手段4の引張り変形は、同時に、リンクL1,L2を円周方向Sに接近させる反力を節C2に作用させる。即ち、リンク機構3はそれぞれ、弾性手段4の存在により、リム2とトレッド部材6とが円周方向Sに相対変位するときに、所要の前後剛性(円周方向Sにおける剛性)を生じさせることができる。
【0051】
また、図3(c) の実線に示すような状態から、仮想線で示す如く、リム2とトレッド部材6とが幅方向Wに相対変位すると、リンク機構3全体が揺動変位することで、直接的にはリンクL1,L2が連結部C1及び節C2を基点に揺動変位することで、弾性手段4に引張り変形を生じさせる。
【0052】
しかしながら、弾性手段4の引張り変形は、同時に、リンクL1,L2を幅方向Wに接近させる反力を節C2に作用させる。即ち、リンク機構3はそれぞれ、弾性手段4の存在により、リム2とトレッド部材6とが幅方向に相対変位するときに、所要の横剛性(幅方向Wにおける剛性)を生じさせることができる。
【0053】
なお、上述したところでは、リム2とトレッド部材6との間に、円周方向S、幅方向W及び半径方向Rの変位がそれぞれ、互いに独立して生じる場合について説明したが、上述の非空気入りタイヤでは、それらの相対変位の二種類以上が同時に発生する場合にあっても、所要の剛性を複合的なものとして、同時にもたらし得ることはもちろんである。
【0054】
即ち、図1〜3に示すタイヤ1によれば、リム2の外側にその円周方向Sに沿って間隔を空けて複数のリンク機構3を配置し、当該リンク機構3の上部に設けられたセグメント7がそれぞれ、無終端状のトレッド部材6を保持することにより、加圧空気その他気体の充填が不要となるので、タイヤ1内圧の低下、消失等のおそれを十分に取り除くことができる。
【0055】
また、リム2の周りに複数のセグメント7を配置したことで、円周方向Sに沿って間隔を空けて配置された各リンク機構3を互いに独立して機能させつつも、タイヤ1全体としては一体ものとして機能するため、より大きな接地面積が確保されることで圧接力(グリップ力)が向上し、その場合の接地圧分布についても、より均一なものとすることができる。
【0056】
また、従来から提案されているタイヤの多くは、上下方向、前後方向及び横方向の個々に対して最適な剛性特性とはなっていなかったのに対し、図1〜3に示すタイヤ1は、かかるリンク機構3をそれぞれ、リム2の幅方向Wに間隔を空けて配置した2つのリンクL1,L2を有し、当該リンクL1,L2を、リム2に揺動可能に連結される第一リンク部材3aと、セグメント7に揺動可能に連結される第二リンク部材3bと、第一リンク部材3aと第二リンク部材3bとを揺動可能に連結する節部C2とで構成し、この節部C2の相互間に、変形及び復元の可能な弾性手段4を保持したことから、車種や用途等に応じて弾性手段4を適宜調整・交換することにより、タイヤ1の上下剛性、前後剛性及び横剛性をそれぞれ、互いに独立させた関係の下で簡易に所望の通りに設定することができる。
【0057】
即ち、図1〜3に示すタイヤ1によれば、所要に応じた大きさの上下剛性、前後剛性及び横剛性のそれぞれを、相互に独立させて簡易に付与できて、乗心地や操縦性に優れた非空気入りタイヤを提供することができる。
【0058】
また、タイヤ1には、その変形例として、リンク機構3に、図4〜7に例示する如く、捩りばねとしてのトーションバー8,9を設けることができる。
【0059】
本形態に係る弾性手段4は、スプリングであって、リンク部材3a又は3bに固定される台座20によって、リンクL1の節C2とリンクL2の節C2との間に配置されている。
【0060】
トーションバー8は、図4(a)等に示すように、幅方向Wに沿って延在し、その両端8a,8bをリム2の外側壁2a(図1等参照)に対して回転不能に固定することもできるが、好適には、トーションバー8a,8bの捩り部を大きく確保するため、トーションバー8a,8bの中央部(即ち、トーションバー8の真ん中)をリム2に対して回転不能に対して固定する。また、トーションバー8の端部8a,8bの内側付近には、リンクL1及びリンクL2がそれぞれ、連結部C1を介して幅方向Wに沿って揺動可能に連結されている。これにより、トーションバー8は、リム2に対し、リンクL1における連結部C1を中心とした円周方向Sへの捩れに対する捩りばねと、リンクL2における連結部C1を中心とした円周方向Sへの捩れに対する捩りばねとして機能する。
【0061】
一方、トーションバー9も、図4(a)等に示すように、幅方向Wに沿って延在する。トーションバー9は、その中央部(即ち、トーションバー9の真ん中)をリム2に対して回転不能に対して固定することも可能であるが、好適には、本形態のように、トーションバー9の両端9a,9bをリム2の外側壁2aに対して回転不能に固定する。また、トーションバー9の端部9a,9bの内側付近はそれぞれ、図4(b) 等に示すように、モーメントアーム10の一端部10aが一体に固定されている。
【0062】
モーメントアーム10の他端部10bには、連結部C4を介してコネクティングロッド11が連結されている。連結部C4は、少なくとも、コネクティングロッド11の一端部11aがモーメントアーム10の軸線周りを回転(幅方向Wに沿って揺動)することを許容すると共に、モーメントアーム10の他端部10bを中心として円周方向Sに揺動することを許容する。
【0063】
本形態では、モーメントアーム10の他端部10bをピン状に構成し、この他端部10bをスリーブ部材12の内側で回転可能に保持すると共に、このスリーブ部材12をコネクティングロッド11の一端部11aに形成した貫通孔の内側で幅方向Wに沿った軸線周りに回転可能に保持して連結部C4を構成する。
【0064】
また、コネクティングロッド11の他端部11bは、台座20を介してリンクL1(L2)の節C2に連結されている。
【0065】
台座20は、弾性手段5の一端部を保持する台座部21と、この台座部21を保持する台座保持部22を有し、この台座保持部22には、節C2に形成された図示せぬ凹部(貫通孔を含む)に対して回転可能に差し込まれるヒンジピン部23と、コネクティングロッド11の一端部11b に設けた連結部C5に差し込まれるヒンジピン部24とが一体に設けられている。
【0066】
詳細には、コネクティングロッド11の一端部11aと同様、コネクティングロッド11の一端部11bに貫通孔を形成し、この貫通孔の内側でスリーブ13を幅方向Wに沿った軸線周りに回転可能に保持すると共に、このスリーブ13の内側で台座部20のヒンジピン部24を回転可能に保持して連結部C5を構成する。
【0067】
これにより、トーションバー9は、モーメントアーム10を介してコネクティングロッド11から台座20を経てリンクL1, L2の節C2に一体的に繋がることで、リンクL1, L2の幅方向Wへの変位に対する捩りばねとして機能する。
【0068】
クロスバー14は、図4等に示すように、幅方向Wに沿って延在し、リンクL1及びリンクL2がそれぞれ、連結部C3によって幅方向Wに揺動可能に連結されている。また、クロスバー14の両端14a,14bには、セグメント(プレート部材7a)7がブラケット7bを介して回転可能に保持されている。即ち、クロスバー14も、前述のシャフト3cと同様に機能する。
【0069】
図4〜7に示す構成によれば、例えば、トレッド部材6がリム2に対して半径方向Rに沿って接近すると、図4(a)及び図5(a)に示すように、弾性手段4の長さがl1からl2に圧縮されることにより、その圧縮変形に伴う復元力を生じさせる。
【0070】
即ち、同構成によれば、先の形態と同様、トレッド部材6がリム2に対して半径方向Rに沿って接近又は離脱すると、弾性手段4の圧縮又は伸張により、所要の上下剛性を付与することができる。
【0071】
また、同構成によれば、例えば、リンク機構3が図6(b)に示すに示すように、リム2に対して円周方向Sに沿って傾倒すると、トーションバー8がその軸線周りに捩れることにより、その捩れ変形に伴う復元力を生じさせる。
【0072】
即ち、同構成によれば、他の形態と同様、リンク機構3がリム2に対して円周方向Sに沿って傾倒すると、トーションバー8の捩れ変形に伴う復元力により、所要の前後剛性を付与することができる。
【0073】
更に、同構成によれば、トレッド部材6がリム2に対して幅方向Wに沿って左右に変位したときの横剛性についても更に有効である。
【0074】
例えば、リンク機構3がリム2に対して図7(a) の矢印に示す方向に、幅方向Wに沿って変位すると、これに伴いリンクL1の節C2とリンクL1の節C2との間には、図7(b)の符号θで示すような半径方向Rに沿った高さ変化が生じる。
【0075】
これにより、図7(a)に示すように、トーションバー9には、弾性手段4、モーメントアーム10及びコネクティングロッド11を通して捩れが生じると共に、その捩れ変形に伴う復元力が生じる。
【0076】
即ち、同構成によれば、トーションバー9の捩れ変形に伴う復元力により、横剛性を更に高めることができる。
【0077】
従って、同構成の如く、節C2を弾性手段5で連結すると共に、トーションバー8,9を付加した場合、弾性手段4のみの場合と比べて、前後剛性および横剛性を更に確実に生じさせることができると共に、夫々を独立に制御することができる。
【0078】
図8は、本発明に係るリンク機構3の更に他の形態をその上部(接地面)側から示す斜視図である。なお、他の形態と同一部分は、同一符号をもって、その説明を省略する。
【0079】
本形態では、リンクL2側の台座20を構成する台座部21及び台座保持部22を別体に設け、台座保持部22を、ヒンジピン部23を有するヒンジピン部材として機能させる。このため、本形態では、台座部21をガイドシャフト25に一体に形成すると共に、台座保持部22の内側に、この台座部材20を貫通するめねじを形成する一方、ガイドシャフト25の一端部25aにおねじを形成し、このガイドシャフト25の一端部25aがリンクL2側の台座保持部22にねじ付けられている。これにより、ガイドシャフト25を回転させれば、このガイドシャフト25は、台座部21と共に、リンクL2側の台座保持部22を基点に進退することができる。
【0080】
これに対し、リンクL1側の台座20には、ガイドシャフト25の他端部25bをスライド可能に保持する貫通孔が形成されている。これにより、ガイドシャフト25を回転させれば、このガイドシャフト25の進退に追従して、リンクL2側の台座部21も、図9(a),(b)に示すように、リンクL1側の台座20に対して進退する。
【0081】
即ち、リンクL1側の台座保持部22とリンクL2側の台座部材20との間に掛け渡されたガイドシャフト25を一方の方向に回転させれば、2つの台座部21を互いに接近させることができ、また、ガイドシャフト25を逆回転させても、2つの台座部21を互いに遠離させることができる。
【0082】
これにより、ガイドシャフト25を回転させるだけで、その回転方向に応じて、弾性手段4を圧縮状態又は伸長状態に自由に調整することができる。
【0083】
しかしながら、その一方で、タイヤ1は、車体を支える必要があるため、リンク機構3に発生させる付勢力も大きくする必要がある。このため、弾性手段4としては、その弾性力(復元力)が大きなものを選択する必要があるが、こうした条件を満たす弾性手段4を採用した場合、現実的には、全てのリンク機構3を径方向Rの内側に圧縮させたのち、その状態を維持したままでトレッド部材6を装着することは非常に困難である。
【0084】
そこで、タイヤ1を図10に示すように、リンク機構3付きリム2と、セグメント7を固定したトレッド部材6とに予め分離しておき、本発明に従う組み付け冶具100を用いて、その組み付けを行う。
【0085】
図11は、本発明に従う組み付け冶具100を斜め上方から示す斜視図である。同図にて、符号110は、第一の板状部材である。第一の板状部材110には、リンク機構3を構成する一方の台座20を着脱可能に保持する2つの保持部111が設けられている。
【0086】
本発明に従えば、2つの保持部111はそれぞれ、台座20に対して着脱可能に嵌合する凹部であって、台座部21により弾性手段4側への移動を規制する構成あればよい。即ち、保持部111としての凹部は、台座20に対して嵌合させることができれば、台座20の如何なる部位に対して嵌合させてもよい。このため、本形態では、例示的に、保持部111としての凹部は、台座部21と一体に設けられた六角柱形状の冶具嵌合部26に対して着脱可能に嵌合するものとしている。
【0087】
符号120は、第二の板状部材である。第二の板状部材120にも、リンク機構3を構成する他方の台座20を着脱可能に保持する2つの保持部121が設けられている。2つの保持部121はそれぞれ、台座部21の外縁部が着脱可能に嵌合する溝部122を有し、この溝部122は、当該板状部材120に設けた凹部123の内側に形成されている。
【0088】
符号130は、第一の板状部材110及び第二の板状部材120を互いに接近及び遠離可能に保持する軸部材である。
【0089】
軸部材130の一端部130aは、ストレート部であって、第一の板状部材110に形成した孔を貫通し、当該端部に固定されたストッパ部材131により抜け止めされている。これにより、軸部材130は、第一の板状部材110を回転可能に保持する。
【0090】
これに対し、軸部材130の他端部は、ねじ部であって、第二の板状部材120が進退可能にねじ付けられている。これにより、第二の板状部材120は、第一の板状部材110に対して接近及び遠離することができる。
【0091】
かかる組み付け冶具100によれば、互いに隣り合う2つのリンク機構3において、リンクL1側の台座部21が、図9に示す如く、リンクL2側の台座部21に対して接近するように、ガイドシャフト25を回転させたのち、両リンク機構3に対して組み付ければ、2つの台座21の位置関係を固定することができる。
【0092】
また、かかる組み付け冶具100によれば、図12(a)に示す状態で軸部材130を回転させれば、図12(b)に示すように、弾性手段4を更に圧縮変形させた状態にすると共に、図12(b)に示す状態を維持することができる。
【0093】
即ち、かかる組み付け冶具100は、軸部材130に保持された2つの板状部材110,120をそれぞれ、2つの台座20に取り付けたのち、軸部材130を回転させることで2つの板状部材110,120を互いに接近させれば、図13(a)に示す状態から、リンク機構3に与えた径方向R外向きの付勢力に抗して、図13(b)に示すに、当該リンク機構3を径方向R内向きにΔSa(3)だけ圧縮させた状態に維持することができる。
【0094】
このため、リム2の円周方向Sに沿って間隔を空けて配置した複数のリンク機構3に、無終端状のトレッド部材6を装着するに際し、組み付け冶具100を用いて、リンク機構3付きリム2がトレッド部材6の内側に納まるまで、かかるリンク機構3を圧縮させておき、その状態のリンク機構3付きリム2をトレッド部材6の内側に合わせたのち、組み付け冶具100を取り外せば、所謂タガ効果の付与された非空気入りタイヤが製造される。
【0095】
従って、かかる組み付け冶具100によれば、上述のタイヤ1に対して所謂タガ効果を付与すべく、リンク機構3を圧縮させた状態のままトレッド部材6を容易に装着させることができる。
【0096】
なお、本発明に従う組み付け冶具100は、台座部21を進退させることなく、図1〜3や、図4〜7で例示したように、節C2に対して台座20(台座部21)を進退不能に固定した形態にも適用することができる。
【0097】
また、本発明に従えば、第一の板状部材110の保持部111及び第二の板状部材120の保持部121は、少なくとも1つのリンク機構3の弾性手段4を拘束する構成であればよいが、本形態の如く、第一の板状部材110及び第二の板状部材120にそれぞれ、複数の保持部111(121)を設ければ、リンク機構3毎に冶具100を用いることなく、保持部111(121)の数だけリンク機構3をまとめて圧縮させた状態に維持できるため、少ない作業工数でトレッド部材6を容易に装着することができる。例えば、タイヤ1に対して、その円周方向Sに沿って1度の角度毎にリンク機構3を設けた場合、1つのリム2に対して合計360箇のリンク機構3に設けられるが、本形態の冶具100を用いれば、360箇所の半分である180箇所に、当該冶具100を取り付ければよい。
【0098】
また、本形態の如く、第一の板状部材110及び第二の板状部材120の少なくとも一方を軸部材130にて互いに接近及び遠離可能に保持する手段として、一方の板状部材110を回転可能に保持する一方、他方の板状部材120を進退可能にねじ付ければ、板状部材110,120に対して軸部材130を時計回り又は反時計回りに回転させるだけの簡単な操作で、所謂タガ効果の微調整が可能となる。
【0099】
また、本形態の如く、第一の板状部材110及び第二の板状部材120でそれぞれ、台座20を着脱可能に保持するにあたっては、第一の板状部材110及び第二の板状部材120の少なくとも一方が、台座部21の外縁部が着脱可能に嵌合する溝部123を有し、この溝部123を、当該板状部材120に設けた凹部121の内側に形成すれば、リム2上の小さなスペースにリンク機構3に対して効率的に取り付けることができる。このため、リンク機構3を複雑かつ大型化させることなく、リンク機構3に対して冶具100を容易に取り付けることができる。
【0100】
上述したところは本発明の好適な形態を説明したものであるが、請求の範囲内で種々の変更を加えることができる。
【0101】
更に、本発明に従う冶具100によれば、節C2が連結部C1,C3よりも幅方向Wの内側に配置される場合、リンク機構3の節C2が内側に屈曲することで当該リンク機構3の圧縮状態を実現できる構成の場合には、2つの板状部材110,120を接近させることで、当該弾性手段4を定常状態よりも圧縮した状態に組み付けるが、節C2が連結部C1,C3よりも幅方向Wの外側に配置される場合、節C2が外側に屈曲することでリンク機構3の圧縮状態を実現できる構成の場合には、2つの板状部材110,120を遠離させることで、当該弾性手段4を定常状態よりも伸張した状態に組み付けることができる。
【0102】
更に、上述した各形態及びそれに含まれる様々な構成は、車種や使用環境又は運転者の要求等に合せて、適宜組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明に従う冶具を用いて製造されるメカニカルタイヤの一例を模式的に示す斜視図である。
【図2】(a),(b)はそれぞれ、図1のA−A断面図及び、同メカニカルタイヤに係るリンク機構の一部と接地部材の一部との結合部分をその下面側から示す要部斜視図である。
【図3】(a)〜(c)はそれぞれ、無負荷の状態から直下に荷重を負荷したときに、同タイヤに発生する上下剛性を説明するスケルトン図、同タイヤに発生する前後剛性を説明するスケルトン図及び、同タイヤに発生する左右剛性を説明するスケルトン図である。
【図4】(a),(b)はそれぞれ、同タイヤに採用されるリンク機構の他の形態を無負荷の状態として模式的に示す正面図及び側面図である。
【図5】(a),(b)はそれぞれ、同リンク機構の直下に荷重を負荷したときの状態を模式的に示す正面図及び側面図である。
【図6】(a),(b)はそれぞれ、同リンク機構が傾倒したときの状態を模式的に示す正面図及び側面図である。
【図7】(a),(b)はそれぞれ、同リンク機構が横方向に移動したときの状態を模式的に示す正面図及び側面図である。
【図8】本発明に係るリンク機構の更に他の形態をその上部(接地面)側から示す斜視図である。
【図9】(a),(b)はそれぞれ、同リンク機構に係る台座を取り外した状態を弾性手段と共に示す斜視図及び、同台座を調整して弾性手段が圧縮した状態を示す斜視図である。
【図10】メカニカルタイヤの製造にあたり、リンク機構付きリムとトレッド部材とを分離させた状態を示す分解斜視図である。
【図11】本発明に従う組み付け冶具を斜め上方から示す斜視図である。
【図12】(a),(b)はそれぞれ、同冶具をリンク機構に取り付けた状態を上部(接地面)から示す斜視図及び同冶具を操作して当該リンク機構に係る弾性手段を圧縮させた状態を上部(接地面)から示す斜視図である。
【図13】(a),(b)はそれぞれ、同冶具を操作して弾性手段を圧縮変形させる前後のリンク機構の状態を示す要部側面図である。
【符号の説明】
【0104】
1 メカニカルタイヤ(非空気入りタイヤ)
2 リム(リム状部材)
3 リンク機構
3a 第一リンク部材
3b 第二リンク部材
4 弾性手段
6 トレッド部材(無終端部材)
7 セグメント
7a プレート部材
7b ブラケット(軸受台座)
8 トーションバー
8a,8b トーションバー端部
9 トーションバー
10 モーメントアーム
10a モーメントアームの一端部
10b モーメントアームの他端部
11 コネクティングロッド
11a コネクティングロッドの一端部
11b コネクティングロッドの他端部
13 スリーブ
14 クロスバー
14a クロスバーの一端部
14b クロスバーの他端部
20 台座
21 台座部
22 台座保持部
23 節部側ヒンジピン部(差し込み部)
24 コネクティングロッド側ヒンジピン部(差し込み部)
25 ガイドシャフト(ガイド部材)
26 冶具嵌合部
C1 連結部
C2 節
C3 連結部
C4 連結部
C5 連結部
L1,L2 リンク
100 組み付け冶具
110 第一の板状部材
111 保持部
120 第一の板状部材
121 保持部
122 溝部
123 凹部
130 軸部材
130a 軸部材の一端部(ストレート部)
130b 軸部材の他端部(ねじ部)
131 ストッパ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
節を介して2つの部材を揺動可能に連結してなるリンクをリム状部材の幅方向に間隔を空けて2箇所に配置し、各節に設けた台座の相互間に、変形及び復元の可能な弾性手段を保持してリンク機構とし、このリンク機構を円周方向に沿って間隔を空けて複数配置した非空気入りタイヤとするに際し、前記弾性手段を圧縮状態又は伸長状態に組み付けるための非空気入りタイヤ用の組み付け冶具であって、
一方の台座に着脱可能な保持部を有する第一の板状部材と、
他方の台座に着脱可能な保持部を有する第二の板状部材と、
第一の板状部材及び第二の板状部材の少なくとも一方を、互いに接近及び遠離可能に保持する軸部材とを備えることを特徴とする、非空気入りタイヤ用の組み付け冶具。
【請求項2】
請求項1において、第一の板状部材及び第二の板状部材はそれぞれ、複数の保持部を有することを特徴とする、非空気入りタイヤ用の組み付け冶具。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記軸部材は、一方の板状部材を回転可能に保持する一方、他方の板状部材を進退可能にねじ付けたものであることを特徴とする、非空気入りタイヤ用の組み付け冶具。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、第一の板状部材及び第二の板状部材の保持部はそれぞれ、当該台座の外縁部が着脱可能に嵌合する溝部を有し、この溝部は、当該板状部材に設けた凹部の内側に形成されたものであることを特徴とする、非空気入りタイヤ用の組み付け冶具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−280025(P2009−280025A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132601(P2008−132601)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)