説明

非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルム、その製造方法及び非粘着性立体ラベル付き包装物品

【課題】販売促進効果を有する容器のバージン性を保証する非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルムを提供することを主要な目的とする。
【解決手段】非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルム5は、熱収縮性フィルム本体部分6と無収縮性フィルム部分7とからなる。無収縮性フィルム部分7の一方端は、筒を形成するように、熱収縮性フィルム本体部分6の側部の一方に接続され、かつ、その他方端が熱収縮性フィルム本体部分6の側部の他方端に接続される。無収縮性フィルム部分7は、熱収縮性フィルム本体部分6よりも熱収縮率の小さいフィルムで形成され、少なくとも、下方部7aと、該下方部7aから上方に突出した上方部7bとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムに関し、より特定的には販売促進効果を与えるように改良された非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムに関する。この発明はまたそのような非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムの製造方法に関する。この発明はまたそのような非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムでシールされた非粘着性立体ラベル付き包装物品に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば頭髪剤のワックスの容器等は、販売促進効果を持たせるために、コンビニエンスストアやドラッグストアにおいて、他者製品と差別化し、消費者の目をより強く惹きつけるように際立たせる必要がある。
【0003】
図9(A)は、現在の市場において流通している、例えば頭髪剤のワックスのタックラベル付き容器の斜視図である。図9(B)は、その側面図である。
【0004】
これらの図を参照して、蓋1と容器2とからなる蓋付き容器の側面に、該容器のバージン性を保証するシール3が形成されている。シール3は、熱収縮フィルムからなる筒状のフィルム片を蓋付き容器の側面に被せて、これを熱収縮させることによって形成される。シール3には、開封を行うためのミシン目3mが設けられている。シール3は、蓋付き容器の開封を防止するためのものであり、シール3が破れていない限り、該容器は未だ開封されていないというバージン性が保証される。容器がもし開けられたとしたら、容器が開けられたことがわかるようになる。
【0005】
また、販売促進効果を持たせるために、他者製品と差別化し、消費者の目を惹きつけるタックラベル4が、シール3を介在させて蓋付き容器の側壁に貼付されている。タックラベル4に記載された情報により、他社の商品との差別化が図られ、一方、消費者はその情報を購買の選択指針とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のタックラベル4は、その裏面には糊(粘着剤)が塗布されており、この糊によって、蓋付き容器の側面に貼付されている。しかしながら、タックラベル4に付けられた糊の糊殺し(全面に粘着剤が塗布された材料の一部分に特殊な処理を施し、粘着剤が働かなくなるようにする方法)が充分でないと、容器に糊が移る可能性があった。糊移りの程度は、気候や使用期間に左右される。糊移りは、商品の美観を損ね、販売促進効果を逆行し、問題であった。
【0007】
また、タックラベル4を容器の側面に貼り付ける方法は、見栄え、スマートさという点においても満足できるものではなかった。
【0008】
さらに、タックラベル4が別物品となっており、コストがかかり、また、店の店員が陳列する際に手間がかかるという問題点があった。また廃棄時、タックラベル4を取り外し、分別廃棄する必要もあった。
【0009】
この発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、コンビニエンスストアやドラッグストアにおいて、他者製品に抜きん出て消費者の目を惹きつける、販売促進効果の大きい非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムを提供することにある。
【0010】
この発明の他の目的は、包装に便利でかつコストのかからない、さらに廃棄の容易な非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムを提供することにある。
【0011】
この発明の他の目的は、糊殺しの必要のない非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムを提供することにある。
【0012】
この発明のさらに他の目的は、店の店員が陳列する際、手間がかからないように改良された非粘着性立体ラベル一体型包装用止フィルムを提供することにある。
【0013】
この発明のさらに他の目的は、そのような非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムの製造方法を提供することにある。
【0014】
この発明のさらに他の目的は、そのような非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムが装着されてなる、販売促進効果が高められた非粘着性立体ラベル付き包装物品を提供することにある。
【0015】
この発明のさらに他の目的は、梱包時に折り畳めて、陳列するとラベルが起き上がる非粘着性立体ラベル付き包装物品を提供することにある。
【0016】
この発明のさらに他の目的は、そのような非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムが装着されてなる、バージン性が保証された非粘着性立体ラベル付き容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、被包装物品の側面を包み込むように装着され、熱収縮することによって該被包装物品を包装し固定する、非粘着性の立体ラベルが一体化されたフィルムに係り、上記被包装物品の側面を包んで熱収縮する、熱収縮性のフィルムで形成された熱収縮性フィルム本体部分と、筒を形成するように、その一方端が、上記熱収縮性フィルム本体部分の側部の一方に接続され、その他方端が上記熱収縮性フィルム本体部分の側部の他方端に接続され、かつ、上記熱収縮性フィルム本体部分よりも熱収縮率の小さいフィルムで形成された、印刷を施す部分となる無収縮性フィルム部分とを備える。上記無収縮性フィルム部分は、少なくとも、下方部と、該下方部から上方に突出した上方部とを含む。
【0018】
上記無収縮性フィルム部分は、上記下方部と上記上方部を接続する、括れた形状を有する接続部をさらに備えるのが好ましい。
【0019】
なお、本明細書で、「無収縮性」というのは、上記熱収縮性フィルムに比べて、熱収縮率がより小さいという意味で用いられており、全く収縮しないという意味ではない。
【0020】
この発明の好ましい実施態様によれば、上記下方部の上端の位置は、上記熱収縮性フィルム本体部分の上端の位置より低くされており、上記下方部の下端の位置は、上記熱収縮性フィルム本体部分の下端の位置より高くされている。
【0021】
上記無収縮性フィルム部分の上記上方部には、貫通孔が設けられていてもよい。
【0022】
上記無収縮性フィルム部分は無延伸フィルムで形成され、上記熱収縮性フィルム本体部分は水平方向に延伸された延伸フィルムで形成されるのが好ましい。
【0023】
上記無収縮性フィルム部分は、撓んでも元に戻る可撓生を有するフィルムで形成されているのが好ましい。
【0024】
上記熱収縮性フィルム本体部分の厚みは、上記無収縮性フィルム部分の厚みより薄くされているのは好ましい。
【0025】
上記無収縮性フィルム部分の厚みは60μm〜120μmにされ、上記熱収縮性フィルム本体部分の厚みは30μm〜70μmにされているのが好ましい。
【0026】
上記無収縮性フィルム部分はポリエチレンテレフタレートフィルム又はポリプロピレンフィルムで形成され、上記熱収縮性フィルム本体部分はポリスチレン、ポリ塩化ビニール又はポリエチレンテレフタレートで形成されるのが好ましい。
【0027】
上記下方部の上端の位置と上記熱収縮性フィルム本体部分の上端の位置との段差、および上記下方部の下端の位置と上記熱収縮性フィルム本体部分の下端の位置との段差は、それぞれ5mm〜10mmであるのが好ましい。
【0028】
この発明の他の局面に従う方法は、上記非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムの製造方法に係る。まず、筒が形成されるように熱収縮性フィルムの両側縁が無収縮性フィルムで接続されてなる、長手の筒状フィルムを準備する。上記筒状フィルムを、上記無収縮性フィルムが上になるように厚み方向にプレスして平たくした状態で、その輪切り片が、少なくとも、下方部と、該下方部から上方に突出した上方部とを含む形状に、型を用いて、上面又は下面から打ち抜くように輪切りする。
【0029】
この発明の好ましい実施態様によれば、切り抜かれた上記輪切り片を、さらに、上記無収縮性フィルムの上記下方部の上端の位置が、熱収縮性フィルム本体部分の上端の位置より低くなるように、かつ、上記無収縮性フィルムの上記下方部の下端の位置が、熱収縮性フィルム本体部分の下端の位置より高くなるように、切断加工する工程を含む。
【0030】
この発明の他の局面に従う非粘着性立体ラベル付き包装物品は、被包装物品と、上記被包装物品の側面を包み込むように装着され、熱収縮することによって該物品をシールする非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムとを備える。上記非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムは、上記物品の側面を包んで熱収縮する、熱収縮性のフィルムで形成された熱収縮性フィルム本体部分と、筒を形成するように、その一方端が、上記熱収縮性フィルム本体部分の側部の一方に接続され、その他方端が上記熱収縮性フィルム本体部分の側部の他方端に接続され、かつ上記熱収縮性フィルム本体部分よりも熱収縮率の小さい、印刷可能なフィルムで形成された、印刷を施す部分となる無収縮性フィルム部分とを備える。上記無収縮性フィルム部分は、少なくとも、下方部と、該下方部から上方に突出した上方部とを含む。上記熱収縮性フィルム本体部分は、上記被包装物品の側面に密着している。
【0031】
この発明の好ましい実施態様によれば、上記熱収縮性フィルム本体部分の上端は、上記被包装物品の上部の角を包み込むように、該被包装物品の上部の表面の周縁を被覆している。上記熱収縮性フィルム本体部分の下端は、上記被包装物品の底の角を包み込むように、該被包装物品の底面の周縁を被覆している。
【0032】
上記被包装物品は蓋付き容器であるのが好ましい。この場合、蓋付き容器のバージン性が保証される。
【0033】
上記被包装物品は、1本以上の乾電池の集合体であってもよい。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムを用いてシールすれば、ラベル一体型のスマートさにより、販売促進効果が得られる。被包装物品が蓋付き容器であれば、バージン性が保証されるので、消費者は安心して新品を購入できる。また梱包が嵩張らなくなり、輸送の箱数が減り、コストダウンに繋がる。また、店の店員が陳列の際に手間がかからない。さらに従来のように、タックラベルを剥がす必要がないので、廃棄時においても手間が掛からない。資源の節約になり、環境保護にもつながる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
販売促進効果の大きい、非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムを得るという目的を、厚みと熱収縮率の異なる2種類のフィルムを貼りあわせた資材を用いることによって実現した。以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0036】
図1(A)は、本発明に係る非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルム、特に製品のバージン性を保証する開封防止フィルムの斜視図であり、図1(B)は、その正面図である。
【0037】
これらの図を参照して、非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルム5は、蓋付き容器(図示せず)の側面を包んで熱収縮する、熱収縮性のフィルムで形成された熱収縮性フィルム本体部分6を備える。筒を形成するように、無収縮性フィルム部分7の一方端が、熱収縮性フィルム本体部分6の側部の一方に接続され、かつ、その他方端が熱収縮性フィルム本体部分6の側部の他方端に接続されている。接続部分は、接着剤により、また溶着により接続されている。無収縮性フィルム部分7は、熱収縮性フィルム本体部分6よりも熱収縮率の小さいフィルムで形成された、印刷を施す部分となるものである。それゆえに、印刷性に優れたものが好ましい。
【0038】
無収縮性フィルム部分7に印刷を施す場合、表側に印刷する場合(表刷り)には、印刷面の上に、印刷が剥がれないように脱落保護シートをさらに貼り付けるのが好ましい。表刷りの場合には、裏刷りと比較して、後述するように、印刷面の面積を大きくできるメリットがある。
【0039】
無収縮性フィルム部分7は、下方部7aと上方部7bとこれらを接続する括れた形状の接続部7cとからなる。下方部7aの上端7tの位置は、熱収縮性フィルム本体部6分の上端6tの位置より低くされており、下方部7aの下端7pの位置は、熱収縮性フィルム本体部分6の下端6bの位置より高くされている。上方部7bの形状は種々選ぶことが出来る。上方部7bに、種々の情報を印刷し、際立たせる。熱収縮性フィルム本体部分6には、開封のためのミシン目6mが設けられている。
【0040】
無収縮性フィルム部分7は無延伸フィルムで形成され、熱収縮性フィルム本体部分6は、図中、周方向に延伸された延伸フィルムで形成される。無収縮性フィルム部分7は、撓んでも元に戻る可撓生を有するフィルムで形成される。可撓生を有するフィルムを用いる理由については後述する。
【0041】
熱収縮性フィルム本体部分6の厚みは、無収縮性フィルム部分7の厚みより薄くされている。無収縮性フィルム部分7の厚みは60μm〜120μmにされ、熱収縮性フィルム本体部分6の厚みは30μm〜70μmにされている。
【0042】
無収縮性フィルム部分7はポリエチレンテレフタレートフィルム又はポリプロピレンフィルムで形成され、熱収縮性フィルム本体部分6はポリスチレン、ポリ塩化ビニール又はポリエチレンテレフタレートで形成されるが、これに限られるものでない。ポリエチレンテレフタレートフィルムは、耐熱温度120℃のものが好ましく、ポリプロピレンフィルムは、耐熱温度140℃のものが好ましい。
【0043】
下方部7aの上端の位置と熱収縮性フィルム本体部分6の上端6tの位置との段差S1、および下方部7aの下端の位置と熱収縮性フィルム本体部分6の下端6bの位置との段差S2は、それぞれ5mm〜10mmである。段差S1,S2を設ける理由は後述の記載より明確になる。
【実施例2】
【0044】
実施例1に係る非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルムを用いて、蓋付き容器をシールする場合について説明する。容器は、蓋付きの、例えば頭髪剤のワックスの容器である。
【0045】
図2(A)を参照して、蓋1の付いた頭髪剤のワックスの容器2を準備する。図2(B)を参照して、非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルム5を蓋付き容器の側面を包むように装着する。このとき、非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルムとして、図1(A)と図2(B)を参照して、無収縮性フィルム部分の下方部7aの垂直方向の長さが蓋付き容器の高さとほぼ一致するような大きさのものが選ばれる。装着時、熱収縮性フィルム本体部分6の上端6tの位置は、蓋1の上面1aより高くなり、熱収縮性フィルム本体部分の下端6bの位置は、容器2の底面より低くなる。
【0046】
この装着状態で、加熱炉に入れ、熱収縮性フィルム本体部分6を熱収縮させると、非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルムは、蓋付き容器の側面に巻き着き、これを被覆する。図2(C)を参照して、熱収縮性フィルム本体部分の上端6tは、蓋1の角1cを包み込むように、蓋1の表面の周縁を被覆する。図2(D)の底面図を参照して、熱収縮性フィルム本体部分の下端6bは、容器2の底の角2cを包み込むように、容器2の底面の周縁を被覆する。この周縁の被覆を実現するために、図1(B)を再び参照して、段差S1,S2が設けられているのである。こうして、蓋付き容器はシールされ、非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルムが破られない限り、該蓋付き容器のバージン性が保証される。
【0047】
本実施例によれば、開封防止フィルムでシールされた立体ラベル付き容器が、加熱炉に入れるという一工程で得られる。従来は、図9(A)(B)を参照して、シール3を容器2に装着する工程と販売の現場でタックラベル4を貼り付ける工程の2工程で行っていたものが、本実施例によれば、一工程でできるので、工程が簡略化される。
【0048】
また本実施例によれば、ラベルが一体化されているので、従来のように、別途タックラベルを貼り付ける必要がない。タックラベルを使用しない分、資源の保護になり、また、廃棄面からみても環境保護につながる。
【0049】
図2(E)を参照して、無収縮性フィルム部分7の上方部7bは、撓んでも元に戻る可撓生を有するフィルムで形成されているので、化粧箱13の中で、蓋付き容器が収容されている時は、上方部7b(情報が印刷された部分)を寝かせるように折り畳むことができる。これにより、梱包がかさばらなくなり、輸送の箱数が減り、コストダウンにつながる。化粧箱13から取り出し、陳列すると、何もしなくても、上方部7bは瞬時に元のように復元し、図2(C)に示すように、立体的に立ち上がる(形状記憶効果を有する)。これが「立体ラベル」と称する由来である。したがって、店の店員が陳列の際に手間がかからない。上方部7bは情報が印刷され、販売促進効果を発揮する。上方部7bには、糊は使用されていないので、糊殺しの必要はないし、また糊が容器に移るという問題もない。これが「非粘着性」と称する由来である。
【実施例3】
【0050】
実施例3は、非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルムの製造方法に係る。図3(A)を参照して、筒が形成されるように、熱収縮性フィルム9の両側縁が無収縮性フィルム10で接続されてなる長手の筒状フィルム11を準備する。
【0051】
次に、図3(B)を参照して、筒状フィルム11を、無収縮性フィルム10が上になるように厚み方向にプレスして平たくした状態で、一点鎖線で示す型24を用いて、その輪切り片が、下方部と、該下方部から上方に突出した上方部と、これらを接続する接続部分を含む形状になるように、上面から打ち抜くように輪切りする。図3(C)は輪切りした直後のものの斜視図である。その後、図3(C)と(D)を参照して、後方の余分な部分24を切り取る。これによって、輪切り片12を得る。輪切り片12は、熱収縮性フィルム本体部分6、及び、下方部7aと上方部7bとこれらを接続する括れた形状の接続部7cとからなり、かつその側部の一方端が、該熱収縮性フィルム本体部分6の側部の一方に接続され、さらに、その他方端が該熱収縮性フィルム本体部分6の側部の他方端に接続された無収縮性フィルム部分7とからなる。
【0052】
図3(E)を参照して、切り抜かれた輪切り片12を、さらに、下方部7aの上端7tの位置が、熱収縮性フィルム本体部分6の上端6tの位置より低くなるように、かつ、下方部7aの下端7pの位置が、熱収縮性フィルム本体部分6の下端6bの位置より高くなるように、切断加工する。こうして、図1(A)に示す非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルムの一片が完成する。無収縮性フィルム部分7の手前側及び後方部の双方において、下方部7aの上端7tの位置は、熱収縮性フィルム本体部6分の上端6tの位置より低くされており、下方部7aの下端7pの位置は、熱収縮性フィルム本体部分6の下端6bの位置より高くされている。
【0053】
図4(A)、(B)(C)は、実施例3の変形例に係り、図1(B)に対応する正面図である。図4を参照して、筒状フィルム11を、無収縮性フィルム10が上になるように厚み方向にプレスして平たくした状態で、筒状フィルム11を型を用いて輪切りするときに、熱収縮性フィルム9及び無収縮性フィルム10の双方を一挙に型で打ち抜くと、図のように、向かい合う両側が同じ形状に打ち抜かれる。打ち抜く時に使用する型を変えることにより、(A)のように、矩形状に打ち抜いたり、(B)のように、角丸長方形状に打ち抜くことができる。また(C)のように、接続部が括れていない形状にもできる。
【0054】
図4(A)に係る非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムは、図5に示すように回り込みが必要のない場合に好適に使用される。図5中、図2と同一部分には同一の参照番号を付し、その説明を繰り返さない。この場合は、熱収縮性フィルム本体部分6の上端6tは、被包装物品の上部の角を包み込まない、即ち回り込まない。熱収縮性フィルム本体部分の下端は、被包装物品の底の角を包み込まない。回り込みがなくとも、蓋1と容器2の境目の隙間23に熱収縮性フィルム本体部分6が熱収縮により食い込むため、フィルムの脱落は止められる。
【0055】
なお、図4(A)、(B)では、接続部が括れている場合を例示したが、図4(C)に示すように括れていなくても相当の効果を奏する。この場合、無収縮性フィルム部分10は、下方部7aと、該下方部7aから上方に突出した上方部7bとからなる。下方部7aと上方部7bの境界が接続部ということもできる。
【実施例4】
【0056】
図6(A)は、実施例4に係る非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムの、図1(B)に対応する正面図である。
【0057】
本実施例では、無収縮性フィルム部分の上方部7bに、貫通孔20が設けられているのが特徴である。貫通孔20の形状は、丸、四角、三角、星型、半丸、楕円等であるが、これに限られるものでない。このような非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムは、図7に示すように、複数個の乾電池を横に並べて包装する場合に好ましく利用される。
【0058】
図7(A)を参照して、例えば単3乾電池を2本横に並べて包装する場合を説明する。図7(A)を参照して、非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルム5を、2本並べられた単3乾電池21の側面を包むように装着する。このとき、非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルムとして、熱収縮性フィルム本体部分6の高さ方向の長さが単3乾電池21の高さよりも長いものが選ばれる。装着時、熱収縮性フィルム本体部分6の上端6tの位置は、乾電池21の上面1aより高くなり、熱収縮性フィルム本体部分の下端6bの位置は、乾電池21の底面より低くなる。
【0059】
この装着状態で、加熱炉に入れ、熱収縮性フィルム本体部分6を熱収縮させると、熱収縮性フィルム本体部分6は、乾電池21の側面に巻き着き、これを被覆し、2本の乾電池をばらけないように固定する。図7(B)を参照して、熱収縮性フィルム本体部分の上端6tは、並んだ乾電池21の集合体の上面の角を包み込むように、乾電池21の上面の周縁を被覆する。図7(C)の底面図を参照して、熱収縮性フィルム本体部分の下端6bは、乾電池21の底面の角21cを包み込むように、並んだ乾電池21の集合体の底面の周縁を被覆する。貫通孔20があるので、商品陳列台に設けられた例えば固定用釘に架けて陳列できる。
図6(A)では、括れた形状を有する接続部を有する非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムを例示したが、図6(B)に示すように、下方部7aと上方部7bを接続する部分が括れていなくても相当の効果を奏する。固定用釘に架けて陳列する場合、括れていない方が強度的に有利である。
【実施例5】
【0060】
図8は、例えば図4(A)におけるVIII−VIII線に沿う断面図である。無収縮性フィルム部分7と熱収縮性フィルム本体部6は糊で固着される。無収縮性フィルム部分7側に糊をつけるか、熱収縮性フィルム本体部6側に糊をつ付けるかは任意である。印刷を無収縮性フィルム部分7に表刷りする場合は、糊固着部22の上方にも印刷できるので、印刷面積を広く確保できる。この場合、印刷面の上に、印刷が剥がれないように脱落保護シートを貼り付けるのが好ましい。印刷を無収縮性フィルム部分7に裏刷りする場合には、糊固着部22には印刷できないので、その分、印刷面積が少なくなる。
【0061】
上記実施例では、頭髪剤のワックスの容器と乾電池を例示したが、この発明はこれに限られるものでなく、化粧クリーム、軟膏などの塗布薬の容器、飲用PETボトルなど、バージン性が強く求められる被包装物品は、全て本発明の適用範囲内のものである。
【0062】
今回開示された実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明によれば、糊移りがなく、販売促進効果を際立たせ、かつバージン性が保証された非粘着性立体ラベル付き容器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】(A) 実施例1に係る非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルムの斜視図である。 (B) 実施例1に係る非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルムの正面図である。
【図2】(A) 非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルムの容器への装着の第1の工程を示す斜視図である。 (B) 非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルムの容器への装着の第2の工程を示す斜視図である。 (C) 非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルムの容器への装着の第3の工程を示す斜視図である。 (D) 非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルムが密着装着された容器の底面図である。 (E) 非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルムが密着装着された容器が、化粧箱に収納されているときの状態を示す斜視図である。
【図3】(A) 実施例3に係る非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルムの製造方法の第1の工程を示す斜視図である。 (B) 実施例3に係る非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルムの製造方法の第2の工程を示す正面図である。 (C) 実施例3に係る非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルムの製造方法の第3の工程を示す斜視図である。 (D) 実施例3に係る非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルムの製造方法の第4の工程を示す斜視図である。 (E) 実施例3に係る非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルムの製造方法の第5の工程を示す斜視図である。
【図4】(A) 実施例3の変形例に係る非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルムの正面図である。 (B) 実施例3の他の変形例に係る非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルムの正面図である。 (C) 実施例3のさらなる他の変形例に係る非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルムの正面図である。
【図5】実施例3の変形例に係る非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルムを用いて蓋付き容器を包装する場合の工程を示す図である。
【図6】(A) 実施例4に係る非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムの正面図である。 (B) 実施例4の他の態様に係る非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムの正面図である。
【図7】(A) 非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムの乾電池への装着の第1の工程を示す斜視図である。 (B) 非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムの乾電池への装着の第2の工程を示す斜視図である。 (C) 非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムが密着装着された乾電池の底面図である。
【図8】実施例5を説明するための、図4(A)におけるVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図9】(A) 従来のタックラベルの付いた、頭髪剤のワックスの容器の斜視図である。 (B) 従来のタックラベルの付いた、頭髪剤のワックスの容器の側面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 蓋
1a 上面
1c 蓋の角
2 容器
2c 底の角
3 シール
4 タックラベル
5 非粘着性立体ラベル一体型開封防止フィルム
6 熱収縮性フィルム本体部
6t 上端
6b 下端
6m ミシン目
7 無収縮性フィルム部分
7a 下方部
7b 上方部
7c 接続部
7t 上端
7p 下端
9 熱収縮性フィルム
10 無収縮性フィルム
11 筒状フィルム
12 輪切り片
13 化粧箱
S1 段差
S2 段差
20 貫通孔
21 単三乾電池
21c 電池の角部
22 糊固着部
23 隙間
24 型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物品の側面を包み込むように装着され、熱収縮することによって該被包装物品を包装し固定する、非粘着性の立体ラベルが一体化されたフィルムであって、
前記被包装物品の側面を包んで熱収縮する、熱収縮性のフィルムで形成された熱収縮性フィルム本体部分と、
筒を形成するように、その一方端が、前記熱収縮性フィルム本体部分の側部の一方に接続され、その他方端が前記熱収縮性フィルム本体部分の側部の他方端に接続され、かつ、前記熱収縮性フィルム本体部分よりも熱収縮率の小さいフィルムで形成された、印刷を施す部分となる無収縮性フィルム部分と、を備え、
前記無収縮性フィルム部分は、少なくとも、下方部と、該下方部から上方に突出した上方部とを含む、非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルム。
【請求項2】
前記無収縮性フィルム部分は、前記下方部と前記上方部を接続する、括れた形状を有する接続部をさらに備える、請求項1に記載の非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルム。
【請求項3】
前記下方部の上端の位置は、前記熱収縮性フィルム本体部分の上端の位置より低くされており、前記下方部の下端の位置は、前記熱収縮性フィルム本体部分の下端の位置より高くされている、請求項1又は2に記載の非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルム。
【請求項4】
前記無収縮性フィルム部分の前記上方部には、貫通孔が設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルム。
【請求項5】
前記無収縮性フィルム部分は無延伸フィルムで形成され、前記熱収縮性フィルム本体部分は水平方向に延伸された延伸フィルムで形成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルム。
【請求項6】
前記無収縮性フィルム部分は、撓んでも元に戻る可撓生を有するフィルムで形成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルム。
【請求項7】
前記熱収縮性フィルム本体部分の厚みは、前記無収縮性フィルム部分の厚みより薄くされている、請求項1から6のいずれか1項に記載の非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルム。
【請求項8】
前記無収縮性フィルム部分の厚みは60μm〜120μmにされ、前記熱収縮性フィルム本体部分の厚みは30μm〜70μmにされている、請求項7に記載の非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルム。
【請求項9】
前記無収縮性フィルム部分はポリエチレンテレフタレートフィルム又はポリプロピレンフィルムで形成され、前記熱収縮性フィルム本体部分はポリスチレン、ポリ塩化ビニール又はポリエチレンテレフタレートで形成される請求項1から8のいずれか1項に記載の非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルム。
【請求項10】
前記下方部の上端の位置と前記熱収縮性フィルム本体部分の上端の位置との段差、および前記下方部の下端の位置と前記熱収縮性フィルム本体部分の下端の位置との段差は、それぞれ5mm〜10mmである、請求項2から8のいずれか1項に記載の非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルム。
【請求項11】
請求項1から10に記載の非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムの製造方法であって、
筒が形成されるように熱収縮性フィルムの両側縁が無収縮性フィルムで接続されてなる、長手の筒状フィルムを準備する工程と、
前記筒状フィルムを、前記無収縮性フィルムが上になるように厚み方向にプレスして平たくした状態で、その輪切り片が、少なくとも、下方部と、該下方部から上方に突出した上方部とを含む形状になるように、型を用いて、上面又は下面から打ち抜くように輪切りする工程と、を備えた、非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムの製造方法。
【請求項12】
切り抜かれた前記輪切り片を、前記無収縮性フィルムの前記下方部の上端の位置が、前記熱収縮性フィルム本体部分の上端の位置より低くなるように、かつ、前記無収縮性フィルムの下方部の下端の位置が、前記熱収縮性フィルム本体部分の下端の位置より高くなるように、さらに切断加工する工程、を備えた請求項11に記載の非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムの製造方法。
【請求項13】
被包装物品と、
前記被包装物品の側面を包み込むように装着され、熱収縮することによって該被包装物品をシールする粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムとを備え、
前記非粘着性立体ラベル一体型包装用フィルムは、
前記被包装物品の側面を包んで熱収縮する、熱収縮性のフィルムで形成された熱収縮性フィルム本体部分と、
筒を形成するように、その一方端が、前記熱収縮性フィルム本体部分の側部の一方に接続され、その他方端が前記熱収縮性フィルム本体部分の側部の他方端に接続され、かつ前記熱収縮性フィルム本体部分よりも熱収縮率の小さい、印刷可能なフィルムで形成された、印刷を施す部分となる無収縮性フィルム部分とを含み、
前記無収縮性フィルム部分は、少なくとも、下方部と、該下方部から上方に突出した上方部とを含み、
前記熱収縮性フィルム本体部分は、前記被包装物品の側面に密着している、非粘着性立体ラベル付き包装物品。
【請求項14】
前記熱収縮性フィルム本体部分の上端は、前記被包装物品の上部の角を包み込むように、該被包装物品の上部の表面の周縁を被覆しており、
前記熱収縮性フィルム本体部分の下端は、前記被包装物品の底の角を包み込むように、該被包装物品の底面の周縁を被覆している、請求項13に記載の非粘着性立体ラベル付き包装物品。
【請求項15】
前記被包装物品は蓋付き容器である、請求項13又は14に記載の非粘着性立体ラベル付き包装物品。
【請求項16】
前記被包装物品は、1本以上の乾電池の集合体である請求項13又は14に記載の非粘着性立体ラベル付き包装物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−120452(P2008−120452A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−53191(P2007−53191)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(506352304)株式会社 ヤマギワ (1)
【出願人】(595170498)石田レーベル株式会社 (1)
【Fターム(参考)】