説明

非結合型の親油性化合物が少ない、結合型ウマエステロゲンの天然混合物の獲得方法

結合型ウマエストロゲンの天然混合物を含有する抽出物を、結合型ウマエストロゲンの混合物の液液抽出により獲得する方法が記載されており、その際、得られた混合物は、非結合型フラボノイド、非結合型イソフラボノイド、非結合型ノルイソプレノイド、非結合型ステロイド、特にアンドロスタン−ステロイド及びプレグナン−ステロイド、及び同等の非結合他が化合物を有するグループからの非結合型の親油性化合物が減少されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非結合型のフラボノイド、非結合型のイソフラボノイド、非結合型のノルイソプレノイド、非結合型のステロイド、特にアンドロスタン−ステロイド及びプレグナンステロイド、及び同等の非結合型化合物を有するグループからなる非結合型の親油性化合物が減少されている、結合型ウマエストロゲンの天然混合物の獲得に関する。
【0002】
エストロゲンは、医学においてホルモン補充療法のために使用される。特に、エストロゲン混合物は、自然な閉経及び人工的閉経により女性において生じる更年期障害の治療及び予防のために使用される。この場合に、妊娠した雌ウマの尿中に存在するような結合型エストロゲンの天然混合物(以後、結合型ウマエストロゲンの天然混合物と表す)は特に有効であり、良好な相容性であることは明らかである。
【0003】
妊娠した雌ウマの尿(=pregnant mares urine、以後省略して「PMU」とする)中に溶解した固体含有量は、もちろん広範囲に変動することができ、一般に、1リットル当たり乾燥物質40〜90gの範囲内にある。尿素及びその他の通常の尿内容物の他に、PMUの固体含有物中に、フェノール成分が、乾燥物質に対して約2〜5質量%の量で含まれている。このフェノール成分には、クレゾール、及びHPMFとして公知のジヒドロ−3,4−ビス[(3−ヒドロキシフェニル)メチル]−2(3H)−フラノンが存在する。これらは、遊離型又は結合型で存在するPMU中には、エストロゲンの天然混合物が含まれていて、この天然混合物は十分に結合型で、例えば硫酸半エステル−ナトリウム塩として(以後省略して「硫酸塩」とする)存在する。結合型エストロゲンの含有量は(エストロゲン硫酸塩として計算して)、乾燥物質に対して0.1〜1質量%であることができる。更に、PMUの固体含有物中には他の親油性化合物が存在することができ、この量は広範囲に変動することができかつ予見できない。この親油性化合物は、主に妊娠した雌ウマが餌として摂取した植物から由来し、特に多様なフラボノイド誘導体、イソフラボノイド誘導体、ノルイソプレノイド誘導体及び同等の化合物、例えばホルモノネチン、ゲニステイン、ダイドゼイン、ビオカニンA、エクオール及びクメストロールが含まれる。本来植物由来のこの親油性化合物は、尿中に結合型又は遊離型(非結合型)で存在することができる。PMUの固体含有物中に更に存在する親油性成分には、非結合型ステロイド誘導体も属し、これには特にアンドロスタン−ステロイド及びプレグナン−ステロイド、しかしながら非結合型エストロゲン誘導体も挙げられる。
【0004】
結合型エストロゲンの天然混合物を含有する抽出物は、通常では固相抽出法を用いて又は水と混合しないか又はほとんど混合しない有機溶剤を用いた多様な液液抽出工程をベースとする方法により得られる。一般に、結合型エストロゲンの得られた天然混合物は、医薬品用の作用物質成分として使用するために、所定の薬学的規格を満たさなければならず、例えばUSP(米国薬局方)又は欧州薬局方で定められた規格に対応しなければならないことが重要である。従って、乾燥物質に対する結合型エストロゲンの含有量に関して所定の限界値が維持されなければならない。
【0005】
米国特許第2,55,205号明細書及び米国特許第2,429,398号明細書は、PMUからの水溶性エストロゲン調製物の製造方法を記載しており、その際に、まず活性炭又は他の吸着材料に吸着させ、水と混合可能な有機溶剤、例えばピリジンで溶出し、引き続き溶剤を除去することにより、当初使用されたPMUの水溶性のエストロゲン成分の大部分を含有する水性濃縮液が得られる。米国特許第2,429,398号明細書では、この濃縮液をベンゼン及び/又はエーテルを用いた抽出によりさらに精製しており、米国特許第2,551,205号明細書には、この濃縮液をpH2〜6、有利に4〜5にまで酸性化し、次いで、脂肪族、芳香族又は環式脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン)又は塩素化された炭化水素(例えばクロロホルム、二塩化エチレン、トリクロロエチレン、四塩化炭素、クロロベンゼン)のグループからなる水とほとんど混合不可能な有機溶剤で迅速に抽出し、不所望の物質、例えば脂肪、油、遊離フェノール成分及び非結合型ステロイドを有機相中に移行させることにより分離することが記載されている。最終的に、この水相は中和により安定化される。米国特許第2,551,205号明細書は、得られた抽出液を引き続く抽出工程及び沈殿により更に精製することを推奨している。全体として、米国特許第2,551,205号明細書に記載された方法を実施した後に、使用された濃縮物のエストロゲン成分の約80%の収率が得られているにすぎない。
【0006】
米国特許第2,565,115号明細書では、PMUからアセトンを用いた結合型エストロゲンの抽出が記載されている。得られたエストロゲンフラクションの純度に関しては記載されていない。
【0007】
米国特許第2,696,265号明細書は、最初にエストロゲンを脂肪族アルコール又はケトン、例えばヘキサノール、シクロヘキサノール又はシクロヘキサノンで抽出する方法を記載している。このエストロゲンは有機相中に移行し、引き続き更に精製され、特にエストロゲンを含有する水相を塩酸で4のpH値に調節し、二塩化エチレンで抽出する。
【0008】
米国特許第2,834,712号明細書には、有効な純度及びわずかな毒性のエストロゲン混合物の製造方法を開示しており、この方法は多様な溶剤を用いた多数の個々の抽出工程及び多様なpH値の調節に基づいている。この場合に、ヘキサン及びベンゼンのような溶剤を大量に使用する。例えば1つの工程で既に精製された濃縮物を水に溶かし、塩酸で約5のpH値に調節し、ベンゼンを用いて、引き続きエーテルを用いて抽出し、フェノール成分を分離する。
【0009】
国際特許出願WO 01/27134は、比較的簡単な方法を記載しており、結合型エストロゲンをPMUから抽出する:塩、例えば塩化ナトリウムの添加後に、PMUを少なくとも同じ体積割合の有機溶剤、例えば酢酸エチルで抽出し、その際、結合型エストロゲンを有機相に移行させる。この有機相を分離し、乾燥し、抽出物が得られる。WO 01/27134には、結合型エストロゲンの得られた抽出物の純度に関する記載はなされていない。
【0010】
しかしながら前記された及び先行技術から公知の液液抽出法の場合には、著しい泡形成、沈殿物形成、エマルション形成及び悪い相分離性のような多くの問題がある。一般に複数の抽出工程が必要であり、これはエストロゲン含有量の損失及び部分的な獲得を引き起こす。更に、この抽出法は大量の部分的に健康に有害な溶剤が必要である。更に、前記の特許明細書中では、得られた生成物中の、非結合性の親油性成分、例えば非結合性フラボノイド誘導体、イソフラボノイド誘導体、ノルイソプレノイド誘導体及び同等の非結合性化合物、又は非結合性ステロイド、特にアンドロスタン−ステロイド及びプレグナン−ステロイドの含有量に関しても、これらの成分の分離に関しても記載がなされていない。先行技術から公知のこの方法は、乾燥物質に対する得られた全ホルモン含有量について測定して、得られた抽出物の収率に関して又は純度に関して申し分のない結果は提供されていないか、又はこの方法は多くの多様な方法工程及び大量の有機の、部分的に毒性の観点から不所望の溶剤の使用に基づいている。
【0011】
さらに、先行技術から、フェノール性の尿内容物が十分に減少された、結合型ウマエストロゲンの天然混合物を得るための多様な液相抽出法は公知である。国際特許出願WO 98/08526は、半極性の、特に非イオン性の半極性のポリマーの吸着樹脂を用いた固相抽出で、フェノール性の尿内容物を減少させた、十分にクレゾール及びHPMF不含の、PMUの天然エストロゲン含有物を実際に完全に含有する混合物を得ることができる方法を記載している。国際特許出願WO98/08525には、固相抽出でシリカゲルを吸着剤として使用する類似の方法が記載されている。中国特許出願CN 1308083も、シアノ基含有の極性吸着樹脂を使用する同等の方法を記載している。得られた抽出物は、作用物質成分としてPMUからの結合型エストロゲンの天然混合物を含有する医薬品の製造のための出発物質として適している。
【0012】
薬学的に課された規格の要求、例えば乾燥物質に対して結合型エストロゲンの含有量に関して維持される限界値を、通常ではPMUからWO98/08526の方法又はWO98/08525の方法により得られた結合型エストロゲンの混合物は満たしている。しかしながら、結合型エストロゲンの所望の含有量の他に、非結合型の親油性化合物も、得られた乾燥物質中に含まれていることが判明した。非結合型の親油性化合物には、例えば多様な非結合型フラボノイド誘導体、イソフラボノイド誘導体、ノルイソプレノイド誘導体及び同等の非結合型化合物、例えばホルモノネチン、ゲニステイン、ダイドゼイン、ビオカニンA、エクオール及びクメストロール、しかしながら非結合型ステロイド、特にアンドロスタン−ステロイド及びプレグナン−ステロイド、及び非結合型エストロゲンが挙げられ、その際、この列挙は最終的なものとは見なされない。PMUから得られた結合型エストロゲンの混合物中の非結合型の親油性化合物の存在は標準化されておらず、遊離型及び結合型の親油性化合物の含有量及び組成は、例えば妊娠した雌ウマが摂取した餌に依存して変化する。
【0013】
結合型ウマエストロゲンの天然混合物の組成は、非結合型の親油性化合物の付加的な存在によって変化しないが、乾燥物質に対する結合型ウマエストロゲンの含有量は減少しかねない。非結合型の親油性成分の適切な分離により、得られた抽出物中の作用物質、つまり結合型ウマエストロゲンのより高い濃度が達成できた。医薬品の安全性の理由からも、非結合型の親油性化合物を分離して、個々の抽出バッチの均質な組成を保証することは有利である、それというのも、妊娠した雌ウマの摂取する餌の季節変化に依存してPMU中の含有量及び組成が変化することがある非結合型の親油性成分は除去され、それにより得られた抽出物は乾燥物質に対して全ての比較可能な含有量の結合型ウマエストロゲンを含有することになるためである。更に、非結合型の親油性化合物の分離は、均質な薬理効果スペクトルを達成するために有利である。例えば、場合によりそれ自体不所望の生理作用を有することがある、場合により存在する非結合型の親油性化合物を、結合型ウマエストロゲンの天然混合物から分離することが有利である。
【0014】
従って、本発明の課題は、非結合型の親油性化合物、特に非結合型フラボノイド−誘導体、イソフラボノイド−誘導体及びノルイソプレノイド−誘導体が十分に減少されている、結合型ウマエストロゲンの天然混合物の工業的に及び経済的に最適な獲得方法を開発することである。特に、本発明の課題は、健康を害しない溶剤を少量だけ使用するような方法を開発することである。更に、わずかな方法工程に基づくだけでかつその際に、乾燥物質に対して比較的高い含有量の結合型エストロゲンを有する結合型ウマエストロゲンの抽出物を供給する方法を開発するのが好ましい。更に、本発明の方法を用いて、妊娠した雌ウマの尿からの、既にフェノール性の尿内容物が減少された、変動する量の、場合により高められた量の非結合型の親油性化合物を含有することができる、結合型エストロゲンの混合物を処理し、本発明により得られた結合型ウマエストロゲンの天然混合物は良好な作用物質含有量を有しかつ必要な薬学的基準を満たし、特に乾燥物質に対して結合型エストロゲンの含有量に関する必要な限界値を維持することが簡単に可能であるのが好ましい。
【0015】
結合型ウマエストロゲンの混合物は、変動する量の、場合により高められた量の非結合型の親油性化合物を有するPMUからも意外に簡単に得ることができる方法が見出され、その際、得られた結合型ウマエストロゲンの混合物は、非結合型の親油性化合物、特に非結合型のフラボノイド−誘導体、イソフラボノイド−誘導体及びノルイソプレノイド−誘導体が十分に減少されている。特に、本発明による方法は、妊娠した雌ウマの尿からの、既にフェノール性の尿内容物が減少された、結合型ウマエストロゲンの混合物を使用することができ、この方法を用いて、高い生成物品質を有しかつ薬学的基準の要求、特に乾燥物質に対して結合型エストロゲン混合物の含有量に関して維持すべき限界値に関しての要求が確実に満たされる結合型ウマエストロゲンの混合物が得られる。
【0016】
結合型ウマエストロゲンの天然混合物を獲得する本発明による方法において、得られた混合物が、非結合型フラボノイド、非結合型イソフラボノイド、非結合型ノルイソプレノイド、非結合型ステロイド、特にアンドロスタン−ステロイド及びプレグナン−ステロイド及び同等の非結合型化合物を有するグループからの非結合型の親油性化合物が減少されていることを特徴とし、かつ前記方法は
a) 次の
(i) 妊娠したウマの尿からの、フェノール性の尿内容物質が既に減少されている、結合型エストロゲンの天然混合物の水溶液、
(ii) 妊娠したウマの尿からの、フェノール性の尿内容物質が既に減少されている、結合型エストロゲンの天然混合物の水性濃縮物、
(iii) 尿液の濃縮物、及び
(iv) 場合により濾過により前精製された尿濃縮物
を有するグループから選択される水性出発相を、上記のグループからなる非結合型の親油性化合物の抽出のため適した、水と混合できないか又はほとんど混合できない有機溶剤である抽出剤の十分な量を用いた液液抽出にさらし、引き続き水相を分離し、かつ
b) 場合により、得られた水相を用いて方法工程(a)を繰り返し、かつ
c) 結合型エストロゲンの天然混合物を含有する水相を得て、これを場合により濃縮することを特徴とする。
【0017】
本発明による方法のために、水性出発相として、妊娠した雌ウマの尿からの、フェノール性の尿内容物質が既に減少された、結合型エストロゲンの天然混合物の水溶液(i)又は妊娠した雌ウマの尿からの、フェノール性の尿内容物質が既に減少された、結合型エストロゲンの天然混合物の水性濃縮物(ii)を使用することができる。この水溶液又はこの水性濃縮物は、例えば既に国際特許出願WO 98/08526及びWO 98/08525又は中国特許出願CN 1308083に記載されたような方法により得ることができ、かつ従ってこれらの公開された特許出願から当業者に公知である。このWO98/08526、WO 98/08525及びCN 1308083の内容は、開示の目的で、本出願の対象にもされる。妊娠した雌ウマの尿からの、フェノール性の尿内容物質が既に減少された、結合型エストロゲンの天然混合物の水溶液又は水性濃縮物は、国際特許出願WO 01/27134中に記載されたような液液抽出法の生成物でもあることができる。これらの特許出願明細書中に記載された方法により得られた水溶液又は濃縮物は、本発明による方法において使用する前に、自体公知のように例えば蒸留により更に濃縮されていてもよく、有機溶剤を十分に除去された濃縮液が得られる。
【0018】
更に、本発明による方法のために、水性出発相としてPMUから濃縮により得られた濃縮物(iii)又は濾過又は同等の方法により既に予備精製されたPMUから得られた濃縮物(iv)を使用することができる。この合わせた尿(PMU)は、まず自体公知のようにスラリー物質及び固形物を除去する。固形物及びスラリー物質を除去し、これを自体公知の分離法、例えばデカンテーション、セパレーション及び/又は濾過により分離するのが有利である。PMUは例えば自体公知の分離装置、例えばセパレータ、濾過装置又は遠心沈降装置を介して供給することができる。分離装置として、例えば砂床を用いることができるか又は市販のセパレータ、例えばノズル型セパレータ又はチャンバ型セパレータを使用することができる。所望の場合に、精密濾過装置又は限外濾過装置を使用することもでき、その使用の場合に同時に濾過されたPMUの十分な細菌及びウイルスの不含性を達成することができる。
【0019】
所望の場合に、尿もしくは尿濃縮物に、保存剤、殺菌剤、殺細菌剤及び/又は抗蠕虫剤を添加することもできる。
【0020】
予備精製された尿濃縮物(iv)として、PMUから、自体公知の膜濾過により得ることができる濃縮されたPMU濃縮液を使用することができる。この濃縮液の固形物含有量及びこの組成は、使用したPMU及び膜濾過のために使用した膜、例えばその孔径、並びに濾過条件に応じて変化することができる。例えば、ナノフィルトレーション膜を使用する場合に、PMU濃縮液中のエストロゲン含有物のほとんど損失のない濃度と同時に、低分子量のPMU内容物の50質量%までの除去が達成できる。本発明による方法のために、約1:10の割合まで、例えば約1:7の割合まで濃縮され、かつその体積は従って当初のPMU体積の約1/10、例えば約1/7にまで濃縮されていることができるPMU濃縮液を使用することができる。
【0021】
水性出発相として使用された濃縮物が、PMUの濃縮された濃縮物であるか又は例えば膜濾過により既に予備精製されたPMU濃縮物である場合に、得られた結合型ウマエストロゲンの混合物は本発明による方法により非結合型の親油性化合物が減少されていて、既に十分な純度を有するが、場合によりなお有意な量のフェノール性の尿内容物質を含有し、これは更なる方法工程で分離しなければならない。得られた水相を用いて例えば、国際特許出願WO98/08526及びWO 98/08525又は中国特許出願CN 1308083に記載されたような方法及びこの公開された特許出願から当業者に周知の方法を実施することができ、フェノール性の尿内容物質の含有量に関して必要な、結合型エストロゲンについての薬学的基準を満たす生成物が得られる。
【0022】
この本発明の範囲内で、妊娠した雌ウマの尿からの、フェノール性の尿内容物質が既に減少された、結合型エストロゲンの天然混合物の水溶液又は妊娠した雌ウマからの、フェノール性の尿内容物質が既に減少された、結合型エストロゲンの天然混合物の水性濃縮物を、水性出発相として使用することが特に有利である。
【0023】
本発明の場合に、詳細に前記した水性出発相を用いる方法工程(a)において、十分な量の抽出剤を用いた液液抽出を実施し、この抽出剤は、水と混合できないか又はほとんど混合できずかつ非結合型の親油性化合物、特に非結合型フラボノイド、非結合型イソフラボノイド、非結合型ノルイソプレノイド及び非結合型ステロイドの抽出のために適した有機溶剤である。更に、この有機溶剤は水性出発相と混合できないか又はほとんど混合できず、その際、ほとんど混合できないとは水相中で最大で6体積%溶解される有機溶剤であることを意味する。この液液抽出工程のために、非結合型の親油性化合物を水相から抽出する全ての水と混合できない有機溶剤を基本的に使用することができる。非結合型の親油性化合物、特に非結合性フラボノイド、非結合性イソフラボノイド、非結合性ノルイソプレノイド及び非結合性ステロイドの抽出のために、例えば直鎖、分枝鎖又は環式の構造であることができる1〜10個のC原子を有する次の有機溶剤が適している:C〜C10−アルコール(例えばブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール及びペンタノール)、C〜C10−エステル化された酸(例えば酢酸エチル(=酢酸エチルエステル))、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、マロン酸エチルメチル、ホスホン酸ジメチル)、C〜C10−アルデヒド及びC〜C10−ケトン(例えばブタノン、ペンタノン、ヘキサン−2,4−ジオン、ヘキサンジアール、シクロヘキサンカルバルデヒド、メチルフェニルケトン等)、もしくは一般にC〜C10−アルコキシ化合物、C〜C10−エーテル(ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル)、C〜C−ニトリル、及びC〜C−ハロゲンアルカン(塩化メチレン)、並びに前記の溶剤の混合物。特に、酢酸−C〜C−アルキルエステル、ヘキサノール、ジエチルエーテル、塩化メチレン、メチル−t−ブチルエーテル及び前記の溶剤の混合物を本発明において抽出剤として利用することができる。これらの選択から、酢酸−C〜C−アルキルエステル、特に酢酸チルエステル(=酢酸エチル)が本発明の有利に使用すべき抽出剤である。
【0024】
方法工程(a)において本発明により実施される、十分な量の抽出剤を用いる液液抽出において、水性出発相対抽出剤の体積比は、本発明の範囲内で制限はないと解釈される。一般に、水性出発相の体積に相当する体積の有機溶剤が使用され、その際、もちろん水相対有機相の比は、10:1〜1:10の範囲内であることができる。水性出発相対有機抽出剤の体積比は、有利に5:1〜1:3の範囲内にあり、特に2:1〜1:2の範囲内の体積比が有利である。
【0025】
このような抽出プロセスの実施は、先行技術から当業者に公知である。通常では、液液抽出は、水相及び水と混合できない有機相の連続的混合が可能な装置中で実施される。例えば、2つの相を撹拌により混合するいわゆるミキサーセトラー装置がこのような抽出プロセスの実施のために適している。
【0026】
基本的に、本発明により記載された液液抽出は、水性出発相のすべてのpH値で実施可能である。本発明により記載された液液抽出の特に有利な態様の場合には、方法工程(a)において、水性出発相のpH値を4〜12の範囲内の値に調節する。有利にこのpH値は4.0〜7.0の範囲内の値に、つまり弱酸性から中性の範囲内に調節される。このpH値は、4.0〜6.0の範囲内、特に4.7〜5.3の範囲内の値に調節するのが特に有利である。
【0027】
pH値の調節の間に、装入された溶液は、有利に十分に大きな不活性な容器中で、例えば特殊鋼容器中で、攪拌機又は同等の装置で混合され、pH値の迅速かつ均質な調節が保証される。pH値の調節のために、通常の塩基又は酸を使用することができる。例えば、pH値を低下させるために、通常の無機酸又は有機酸の一方が、有利に希釈酸が使用される。pH値を7より低く低下又は調節するために、例えば希硫酸、有利に1N硫酸、希酢酸、希リン酸又は希塩酸、有利に1N塩酸の使用が特に適している。
【0028】
本発明により記載された液液抽出は、特定の温度を調節する必要はなく、広範囲の温度で実施することができ、この温度は5℃〜有機溶剤の沸点もしくは最大95℃にあることができる。有利に本発明による液液抽出は室温で実施される、それというのも付加的エネルギー需要が最も少ないためである。室温とは通常では周囲温度であると見なされ、例えば10〜30℃の間の温度を表す。
【0029】
このような液液抽出の時間は、本発明の範囲内で制限はなく、5分〜数時間である;この時間は使用される水性出発相の量に依存して変動する。一般には、方法工程(a)からの水相及び有機抽出剤は、5〜60分間、有利に10〜20分間相互に混合され、非結合型の親油性成分の水相から有機相へのできる限り完全な移行が達成される。
【0030】
混合による抽出工程に引き続き相混合物を放置し、相分離が達成される。この相分離は、使用された体積に応じて、10分〜数時間の期間行うことができ、有利にこの相は30〜120分間放置される。この水相及び有機相が相互に分離された場合、水相を取り出し、次の使用のために保管し、有機相は破棄される。
【0031】
上記の方法工程(a)は場合により繰り返すことができ、次いで本発明の場合に付加的な方法工程(b)を続ける、その際、方法工程(a)から得られた水相を用いて新たに十分な量の抽出剤を用いた液液抽出を実施し、前記の抽出剤は、非結合型の親油性化合物、特に非結合型フラボノイド、非結合型イソフラボノイド、非結合型ノルイソプレノイド及び非結合型ステロイドの抽出のために適した、水と混合できない又はほとんど混合できない溶剤である。
【0032】
この抽出剤の選択及び抽出の実施の種類、つまり使用される装置、抽出プロセスの時間及び温度は、方法工程(a)で実施された上記の方法が典型的であると見なされる。
【0033】
方法工程(a)及び(b)において、本発明により2つの工程において異なる抽出剤を使用することも、同じ抽出剤を使用することも可能である。2つの抽出工程において同じ抽出剤を使用するのが有利である。特に、2つの抽出工程において、酢酸−C1〜C4−アルキルエステル、特に酢酸エチルエステルを抽出剤として使用するのが好ましい。
【0034】
方法工程(b)において本発明により実施される、十分な量の抽出剤を用いる液液抽出において、方法工程(a)からの既に1回抽出された、結合型ウマエストロゲンを含有する水相対抽出剤の体積比は、本発明の範囲内で制限はないと解釈される。一般に、方法工程(a)から得られた水相の体積を明らかに下回る体積の有機溶剤が使用され、その際、もちろん水相対有機相の比は、40:1〜1:2の範囲内であることができる。有利に方法工程(b)から得られた水相対有機抽出剤の体積比は20:1〜1:1の範囲内、特に10:1〜2:1の範囲内の体積比が有利である。
【0035】
方法工程(b)中での混合による抽出工程に引き続き、相混合物を放置し、相分離が達成される。この相分離は、10分〜数時間の期間行うことができ、有利にこの相は20〜90分間放置される。この水相及び有機相が相互に分離された場合、水相を取り出し次の使用のために保管し、有機相は破棄される。
【0036】
水相から有機相を分離した後で、方法工程(c)で結合型エストロゲンの天然混合物を含有する水相が得られる。この水相は、PMU又は精製されたPMU濃縮物中に当初から存在する非結合型の親油性成分の含有物の極端にわずかな割合の他に、PMU中に存在する結合型エストロゲンの天然混合物を含有する。所望の場合に、この水相は自体公知の方法で濃縮することができ、十分に有機溶剤を除去し、次の処理のために適した濃縮物が得られる。例えば得られた水相からなお存在する有機溶剤の残留物を留去することができる。この蒸留により、水性抽出相の乾燥物質含有量は一定の値で、有利に5〜15%の範囲内の乾燥重量に、特に9%の乾燥重量に調節することができる。引き続き、得られた結合型ウマエストロゲンの天然混合物の安定化のために、水性抽出溶液のpH値をなおアルカリ性の範囲内の値に、有利に8〜13の範囲内に、有利に9〜12の値に調節することができる。pH値の調節のために、通常ではpH値の調節のために使用される塩基、例えば1N NaOH又はNaCOが適している。
【0037】
本発明により方法工程(c)において得られ及び場合によりなおさらに後処理又は濃縮された水相は、結合型ウマエストロゲンの天然混合物を含有する医薬品の製造のための出発材料として用いることができる。所望の場合に、適当な乾燥プロセス、例えば噴霧乾燥により、溶出剤不含の固体混合物を製造することができる。結合型エストロゲンの天然混合物を固体医薬品の製造のために使用する限り、この結合型エストロゲンを含有する水相を固体の担持剤と濃縮又は乾燥の前に既に混合し、こうして結合型エストロゲンと担持剤とを含有する固形物混合物を得るのが有利である。エストロゲン混合物を含有する水相も、この水相から製造された濃縮物又は乾燥された固体生成物も、自体公知の方法で固体又は液体の医薬調製物、例えば錠剤、糖衣錠剤、カプセル剤又はエマルション中に混入することができる。この医薬調製物は、自体公知の方法により、通常の固体又は液体の担持剤、例えばデンプン、セルロース、乳糖又はタルク又は液体パラフィンの使用下で及び/又は常用の調剤学的助剤、例えば錠剤崩壊剤、溶解助剤又は保存剤の使用下で製造することができる。結合型エストロゲンを含有する生成物は調剤学的担持剤及び助剤と自体公知の方法で混合することができ、かつこの混合物は適当な投与形に変換することができる。
【0038】
本発明により記載された液液抽出の場合に、妊娠した雌ウマの尿からの、フェノール性の尿内容物質が既に減少された、結合型エストロゲンの天然混合物の水溶液、妊娠した雌ウマの尿からの、フェノール性の尿内容物質が既に減少された、結合型エストロゲンの天然混合物の水性濃縮物、尿液の濃縮物又は場合により濾過により予備精製した尿濃縮物である水性出発相から、多数の非結合型の親油性化合物を簡単な方法で除去する。分離された非結合型の親油性化合物は、特に非結合型フラボノイド、非結合型イソフラボノイド、非結合型ノルイソプレノイド及び非結合型ステロイド、この場合、特に非結合型アンドロスタン誘導体及び非結合型プレグナン誘導体である。
【0039】
典型的な液液抽出法と比較して、この場合にわずかな体積の有機溶剤が使用される、それというのも水性出発相として常に当初のPMUの濃縮物が使用されるためである。例えば本発明により記載された液液抽出の水性出発相のために、国際特許出願WO98/08526に記載された方法より得られた水性濃縮物が使用される場合に、PMU5000lの代わりに濃縮物約35l及び相応して少量の有機溶剤が抽出のために使用される。
【0040】
本発明による液液抽出のために水性出発相として、妊娠した雌ウマの尿からの、フェノール性の尿内容物質が既に減少された、結合型エストロゲンの天然混合物の水溶液又は妊娠した雌ウマの尿からの、フェノール性の尿内容物質が既に減少された、結合型エストロゲンの天然混合物の水性濃縮物を使用する場合に、作用物質抽出物として得られた、非結合型の親油性成分及びフェノール性の尿内容物質が減少された、結合型エストロゲンの天然混合物は、本発明により確認されたように、薬学的基準の明らかな最適化を特徴とする。特に、この液液抽出により、結合型エストロゲン対乾燥物質の比の8〜20%の改善が生じ、この抽出法の場合に結合型ウマエストロゲンの顕著な損失は観察されなかった。従って、方法工程(c)で得られた、結合型ウマエストロゲンの天然混合物を含有する水相は、先行技術と比較して、有利な組成及び乾燥物質に対して高められた全ホルモン含有量を有する。それにより、例えば組成物及び作用物質含有量に関して明らかに改善された品質の生成物が得られる。
【0041】
多様でかつ変動する量の非結合型の親油性成分を含有する妊娠した雌ウマの尿から、フェノール性の尿内容物質が減少された、結合型エストロゲンの天然混合物の水溶液又は濃縮物を液液抽出する簡単な方法が、得られた作用物質抽出物の品質の改善に寄与することは明らかに意外である。特に、使用したPMUに依存して、量的にも組成においても著しく変動することがある非結合型の親油性化合物の割合は、本発明による方法によって、方法工程(c)において水相として、薬学的基準の高い要求、例えばUSP又は欧州薬局方により課せられた基準を満たす天然の結合型ウマエストロゲンの混合物を得ることができるように、確実に減少させることができることは極めて意外である。
【0042】
更に、本発明による抽出法の実施の際に、例えば濃縮物製造の範囲内で先行する加工工程において助剤として予めPMUに添加されている非結合型の親油性化合物、例えば消泡性の物質も除去されることは極めて意外である。
【0043】
本発明による方法の場合に、非結合型の親油性化合物が減少された、結合型ウマエストロゲンの天然混合物の形の得られた抽出された濃縮物を更に加工しかつ医薬形状に変換することは極めて簡単でかつ容易であることはさらに有利である。意外にも、本発明による方法を用いて得られた作用物質抽出物は極めて良好な乾燥挙動を特徴としかつ乾燥後に得られた固体は特に良好な流動性を特徴とする。例えば本発明により得られた、抽出された濃縮物は、抽出されていない溶液よりも明らかに簡単に担持剤に担持させることができる。作用物質濃度の維持も簡単でかつ再現可能である。
【0044】
本発明による方法は、既に詳細に前記したように、先行技術と比較して一連の利点及び改善を提供する。本発明は、例えば高い割合の遊離フラボノイド、遊離イソフラボノイド、遊離ノルイソプレノイド又は遊離ステロイド誘導体、この場合に特に有利アンドロスタン−ステロイド又はプレグナン−ステロイドを有する変動する量の非結合型の親油性成分を含有するPMUも、維持すべき薬学的基準を脅かすことなしに使用することができる。本発明による方法を用いて、個々の抽出バッチの均質な組成を保証することができる、それというのも、PMU中の含有量及び組成が妊娠した雌ウマの摂取した餌の種類に依存して変化することがある非結合型の親油性成分は常に除去され、それにより得られた抽出物は乾燥物質に対して全て同等の含有量の結合型ウマエストロゲンを有するためである。更に、本発明による方法を用いて達成された、非結合型の親油性化合物の分離により、得られた抽出物中の作用物質、つまり結合型ウマエストロゲンの高い濃度が達成される。本発明による方法は、更に経済的利点を有する、それというのも薬学的基準が守られていない場合、例えば乾燥物質に対して結合型エストロゲンの不十分な含有量の場合に有益な作用物質が失われてしまうという危険性が明らかに低下するためである。更に、本発明により記載された方法を適用することにより、得られる抽出物の作用物質含有量の著しく正確でかつ再現可能な調節が可能となる。本発明による方法は、乾燥物質−含有量に対して高めたホルモン含有量を有する品質改善された作用物質成分を提供する。この作用物質成分は、作用物質として天然の結合型ウマエストロゲンの混合物を含有する医薬品の製造のために特に適している。
【0045】
次の実施例は、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲を制限するものではない。
【0046】
実施例
次の実施例において、PMU中に含まれる結合型エストロゲンの天然混合物を含有しかつ非結合型の親油性化合物、例えば非結合型フラボノイド、非結合型イソフラボノイド、非結合型ノルイソプレノイド、非結合型ステロイド、特にアンドロスタン−ステロイド及びプレグナン−ステロイド、及び同等の非結合型化合物が十分に減少されているPMUから作用物質−抽出物を獲得する一般的作業手順を記載する。本発明の場合に、変動するもしくは高められた割合の非結合型の親油性化合物を有することがあるPMUからも、高い作用物質含有量を有する高品質抽出物が得られる。
【0047】
妊娠した雌ウマの尿からの、フェノール性の尿内容物質が既に減少されている、結合型エストロゲンの天然混合物の水性濃縮物の抽出
水性出発相として、国際特許出願WO 98/08526に記載された方法を用いてPMU約5000lから製造された、妊娠した雌ウマの尿からの、フェノール性の尿内容物質が既に減少されている、結合型エストロゲンの天然混合物の水性濃縮液35.3kg(実施例1)もしくは26.7kg(実施例2)を使用する(乾燥物質含有量(=TS)及びHPLC及びGCを用いて測定された結合型エストロゲン、例えばエストロン硫酸塩、及び非結合型の親油性化合物、例えばホルモノネチンの含有量を、使用した水性濃縮物の多様なバッチについて次の実施例の表に記載した)。この水性濃縮物を特殊鋼容器中で攪拌機を用いて混合し、pH値を1N HSOで約5.0の値に調節した。この得られた溶液は、ミキサーセトラー装置中で、10:8の水相対有機相の比で酢酸エチルエステル(EEの量の表示は次の実施例の表を参照)と混合し、約15分間強力に撹拌した。その後に、この混合物を相分離のために約90分間放置した。引き続き、相を分離し、水相を新たに10:2の水相対有機相の比で酢酸エチルエステル(EEの量の表示は次の実施例の表を参照)と混合し、15分間撹拌した。
【0048】
抽出後にこの混合物を相分離のために約30分間放置した。有機相を分離した後、水相を反応槽に移した。この水相から常圧でなお存在する残りの酢酸エチルエステルを留去した。この蒸留により、乾燥物質含有量は約9%に調節された。引き続き、この溶液のpH値を、1N NaOH又はNaCOの添加により約11.0に調節した。こうして得られた水性抽出相の結合型エストロゲンに関する含有量は、HPLC及びGC分析により調査した(乾燥物質含有量(=TS)及びHPLC及びGCを用いて測定された結合型エストロゲン、例えばエストロン硫酸塩、及び非結合型の親油性化合物、例えばホルモノネチンの含有量を、使用した水性濃縮物の多様なバッチについて次の実施例の表に記載した)。個々のホルモン成分の相互の割合、つまり結合型エストロゲンの混合物中でのエストロン硫酸塩、エクイリン硫酸塩及び17−アルファ−DH−エクイリン硫酸塩の相対的割合は、個々のバッチにおいて、自然の変動に基づきPMU中で可変である。個々のバッチを相互に適切に混合することにより、個々のホルモン成分の相互の所望の割合を調節できる。
【0049】
【表1】

【0050】
この抽出法は、水性出発相として、妊娠した雌ウマの尿からの、フェノール性の尿内容物質が既に減少された、結合型エストロゲンの天然混合物の水性濃縮物の代わりに、尿液の濃縮物、場合により濾過により予備精製された尿濃縮物、又は妊娠した雌ウマの尿からの、フェノール性の尿内容物質が既に減少された、結合型エストロゲンの天然混合物の水溶液を水性出発相として使用する場合に、同様に実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合型ウマエストロゲンの天然混合物を獲得する方法において、得られた混合物は、非結合型フラボノイド、非結合型イソフラボノイド、非結合型ノルイソプレノイド、非結合型ステロイド、特にアンドロスタン−ステロイド及びプレグナン−ステロイド及び同等の非結合型化合物を有するグループからの非結合型の親油性化合物が減少されており、かつ前記方法は
d) 次の
(v) 妊娠したウマの尿からの、フェノール性の尿内容物質が既に減少されている、結合型エストロゲンの天然混合物の水溶液、
(vi) 妊娠したウマの尿からの、フェノール性の尿内容物質が既に減少されている、結合型エストロゲンの天然混合物の水性濃縮物、
(vii) 尿液の濃縮物、及び
(viii) 場合により濾過により予備精製された尿濃縮物
を有するグループから選択される水性出発相を、上記のグループからなる非結合型の親油性化合物の抽出のため適した、水と混合できないか又は水とほとんど混合できない有機溶剤である抽出剤の十分な量を用いた液液抽出にさらし、引き続き水相を分離し、かつ
e) 場合により、得られた水相を用いて方法工程(a)を繰り返し、かつ
f) 結合型エストロゲンの天然混合物を含有する水相を得て、これを場合により濃縮することを特徴とする、結合型ウマエストロゲンの天然混合物を獲得する方法。
【請求項2】
方法工程(a)において、水性出発相として、妊娠した雌ウマの尿からの、フェノール性の尿内容物質が既に減少された、結合型エストロゲンの天然混合物の水溶液(i)又は妊娠した雌ウマの尿からの、フェノール性の尿内容物質が既に減少された、結合型エストロゲンの天然混合物の水性濃縮物(ii)を使用する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
抽出剤は、直鎖、分枝鎖又は環状のC〜C10−アルコール、C〜C10−エステル化された酸、C〜C10−アルデヒド、C〜C10−ケトン、C〜C10−エーテル、C〜C−ニトリル、及びC〜C−ハロゲンアルカン、及び前記の溶剤の混合物からなるグループから選択される、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
抽出剤は、酢酸−C〜C−アルキルエステル、ヘキサノール、ジエチルエーテル、塩化メチレン、メチル−t−ブチルエーテル及び前記溶剤の混合物からなるグループから選択される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
抽出剤は、酢酸−C〜C−アルキルエステル、有利に酢酸エチルエステルである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
方法工程(a)において水性出発相が4〜12の範囲内のpH値に調節されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
pH値が4.0〜7.0の範囲内、特に4.0〜6.0の範囲内、有利に4.7〜5.3の範囲内に調節されている、請求項6記載の方法。
【請求項8】
方法工程(a)において、水性出発相対抽出剤の体積比が5:1〜1:3の範囲内、有利に2:1〜1:2の範囲内にある、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
方法工程(b)において、方法工程(a)から得られた水相対抽出剤の体積比が20:1〜1:1の範囲内、有利に10:1〜2:1の範囲内にある、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合型ウマエストロゲンの天然混合物を獲得する方法において、得られた混合物は、非結合型フラボノイド、非結合型イソフラボノイド、非結合型ノルイソプレノイド、非結合型ステロイド、特にアンドロスタン−ステロイド及びプレグナン−ステロイド、及び同等の非結合型化合物を有するグループからの非結合型の親油性化合物が減少されていいて、かつ前記方法は
a) 次の
(i) 妊娠したウマの尿からの、フェノール性の尿内容物質が既に減少されている、結合型エストロゲンの天然混合物の水溶液、
(ii) 妊娠したウマの尿からの、フェノール性の尿内容物質が既に減少されている、結合型エストロゲンの天然混合物の水性濃縮物、
(iii) 濃縮に得られた尿液の濃縮物、及び
(iv) 固形物及びスラリー物質を除去された尿濃縮物の機械的分離法により又は濾過により得られた濃縮された尿−濃縮液
を有するグループから選択される水性出発相を十分な量の抽出剤を用いた液液抽出にさらし、引き続き水相を分離し、その際、前記抽出剤は上記のグループからなる非結合型の親油性化合物を抽出のため適した、水と混合できないか又は水とほとんど混合できない有機溶剤であり、かつ直鎖、分枝鎖又は環状のC〜C10−アルコール、C〜C10−エステル化された酸、C〜C10−アルデヒド、C〜C10−ケトン、C〜C10−エーテル、C〜C−ニトリル、及びC〜C−ハロゲンアルカン、及び前記の溶剤の混合物からなるグループから選択され、かつ
b) 場合により得られた水相を用いて方法工程(a)を繰り返し、かつ
c) 結合型エストロゲンの天然混合物を含有する水相を得て、これを場合により濃縮することを特徴とする、結合型ウマエストロゲンの天然混合物を獲得する方法。
【請求項2】
方法工程(a)において、水性出発相として、妊娠した雌ウマの尿からの、フェノール性の尿内容物質が既に減少された、結合型エストロゲンの天然混合物の水溶液(i)又は妊娠した雌ウマの尿からの、フェノール性の尿内容物質が既に減少された、結合型エストロゲンの天然混合物の水性濃縮物(ii)を使用する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
フェノール性の尿内容物質の減少を、非イオン性の半極性の吸着樹脂又は疎水化されたシリカゲルを用いる固相抽出により行う、請求項2記載の方法。
【請求項4】
抽出剤は、酢酸−C〜C−アルキルエステル、ヘキサノール、ジエチルエーテル、塩化メチレン、メチル−t−ブチルエーテル及び前記溶剤の混合物からなるグループから選択される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
抽出剤は、酢酸−C〜C−アルキルエステル、有利に酢酸エチルエステルである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
方法工程(a)において水性出発相が4〜12の範囲内のpH値に調節されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
pH値が4.0〜7.0の範囲内、特に4.0〜6.0の範囲内、有利に4.7〜5.3の範囲内に調節されている、請求項6記載の方法。
【請求項8】
方法工程(a)において、水性出発相対抽出剤の体積比が5:1〜1:3の範囲内、有利に2:1〜1:2の範囲内にある、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
方法工程(b)において、方法工程(a)から得られた水相対抽出剤の体積比が20:1〜1:1の範囲内、有利に10:1〜2:1の範囲内にある、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2006−505561(P2006−505561A)
【公表日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544306(P2004−544306)
【出願日】平成15年10月8日(2003.10.8)
【国際出願番号】PCT/EP2003/050703
【国際公開番号】WO2004/035067
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(391027619)ゾルファイ ファーマスーティカルズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (46)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Pharmaceuticals GmbH
【Fターム(参考)】