説明

非線形光学デバイス用の三環式スペーサーシステム

【課題】非線形光学デバイス用の三環式スペーサーシステムの提供。
【解決手段】本発明は、式Iの非線形光学発色団のスペーシング用の化合物、並びに、その工業的に許容され得る塩、溶媒和物及び水和物に関し、式中、R、R、R、R、W、X、Y、Z、Q、Q、Q及びLは明細書中に定義されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ポリマー電子光学(EO)材料は、位相段列レーダー(phased array radar)、人工衛星及びファイバー電気通信、ケーブルテレビ(CATV)、航空機及びミサイル誘導用の光学ジャイロスコープ、電子妨害手段(ECM)システム、高速演算用のバックプレーン相互接続、超高速アナログ−デジタル変換、地雷探知、高周波フォトニクス、空間光モジュレーション及びあらゆる光学的(光−スイッチング−光)シグナル処理を含む、広範な次世代のシステム及びデバイスにおいて、中核的な用途に使用できる可能性が非常に高い。
【背景技術】
【0002】
非線形光学的(NLO)材料は、電場又は入射光(2光子吸収)が外部から印加されると、これらの一次、二次、三次及び/又は高次分極率を変動させることができる。多くの現在の電気通信用途では、二次分極率(過分極率又はβ)が非常に関心を集めている。過分極率は、電場の印加に応答するNLO材料の屈折率変化に関連している。非線形光学材料については、非特許文献1及び2中により詳細に議論されている。
【0003】
非常に高い分子電子光学的特性を有する多くのNLO分子(発色団)が合成されてきた。分子双極子モーメント(μ)及び過分極率(β)の生成物は、双極子の材料加工への関与による分子の電子光学的性能の尺度として用いられることが多い。Disperse Red(DR)は、Bell Labsが1960年代に、並外れたNLO特性を有するとして最初に評価した発色団の1つであり、これは、580×10−48esuの電子光学係数μβを示す。FTC、CLD及びGLDを含む現在の分子設計は、10,000×10−48esuを超えるμβ値を示す。非特許文献3、特許文献1を参照されたい。
【0004】
しかし、微視的な分子の過分極率(β)を巨視的な材料の過分極率(X(2))に翻訳するのは非常に困難であった。というのは、分子の補助的な成分(発色団)を、(i)高度な巨視的非線形性、及び、(ii)十分な一時的、熱的、化学的及び光化学的安定性を示すNLO材料に組みこまなければならないからである。これら両方の問題を同時に解決することは、多くの政府機関並びに市販のデバイス及びシステムにおいてEOポリマーを広範に工業化する際に、最終的に推進力になると考えられる。
【0005】
NLO発色団は凝集性が乏しいため、高過分極率材料(X(2))の製造は制限される。工業的に使用できる材料は、単一の材料軸の周囲に静電的に配向した所望の分子モーメントを有する発色団を、高い分子密度で含んでいなければならない。このような機構とするために、NLO発色団の電荷移動(双極子)の性質は、通常、材料加工中に外部電場を印加して、非中心対称性次元に有利な低エネルギー状態の局在化を生じさせることによって開発される。残念ながら、発色団密度が中程度である場合においても、分子は、実際の電場エネルギーを介して除去できない多分子双極性結合(中心対称性)凝集体を形成する。この問題を克服するため、通常は、近傍の分子間の関係性を制限する物理的障壁を構成することによって、非凝集性の双極性発色団を協同の材料構造に組みこんでいる。これは、(i)個々の分子を立体障害構成成分で囲むことによって、又は、(ii)二次的に組織される超構造に(例えば、ポリマー骨格上に、又は、デンドリマー形成体内に)分子を共有結合させることによって実施することができる。Tobin Marksらによってセルフアセンブリ超格子などの他の方法が報告されているが、これらはおそらく、近い将来に全般的に有用な結果を生むことはないであろう。非特許文献2、4〜7を参照。
【0006】
それにもかかわらず、工業化可能なNLOポリマーの製造を阻む最大の問題は、長期材料安定性の取得である。分子組織技術によって、非常に性能の高い材料(sub−1−ボルトの駆動電圧及び100Gb/sを超えるスイッチング周波数を示す)が製造されているが、現在、10Gb/sで作動する工業品質の高安定性ポリマー系デバイスの製造でさえ実用化が限界である。非特許文献8及び9を参照。この欠点は主に、経時的な分子の運動により中心対称性が再構成されることに起因する。この問題を解決するため、3つの解決手段が想定されてきた:(i)ガラス転移点(Tg)が高いホストポリマーへの発色団の組みこみ、(ii)骨格及びデンドリマーの単一点でのポリマーの組みこみ、及び、(iii)複数点での架橋による組みこみ。Tが高いポリマーを使用した場合、NLO発色団が熱に誘導されて求核的に分解してしまうため、十分な結果は依然として示されていない。発色団が発色団の一点を介して(通常、電子供与性アミン上で)ポリマー超構造に付着されるという単一点組みこみ技術も同様に、おそらくは分子運動の残存度に起因して、不十分な熱的性質を示した;熱によるランダム化に加えて、光刺激シス−トランス異性体化の結果生じる運動によって、作動寿命の間中、運動性は部分的に誘発される。複数点及び二重末端架橋(DEC)組みこみの方法は、熱的要件を満たすことのできる唯一の技術である。非特許文献10を参照。
【特許文献1】国際特許WO00/09613号
【非特許文献1】D. S. Chemla and J. Zyss, Nonlinear Optical properties of organic molecules and crystals, Academic Press, 1987
【非特許文献2】K. −S. Leeら. Polymers for Photonics Applications I, Springer (2002)
【非特許文献3】Daltonら, “New Class of High Hyperpolarizability Organic Chromophores and Process for Synthesizing the Same”
【非特許文献4】Keinan S.ら, Chem. Mater., 16, 1848−1854 (2004)
【非特許文献5】Koeckelberghs, G.ら, Marcromolecules, 36, 9736−9741 (2003)
【非特許文献6】Robinson, B. H.ら. J. Phys. Chem. A, 104, 4785−4795 (2000)
【非特許文献7】L Daltonら, “The Role of London Forces in Defining Noncentrosymmetric Order of High Dipole Moment−High Hyperpolarizability Chromophores in Electrically Poled Polymeric Films”, Proceedings of the National Academy of Sciences USA, Vol. 94, pp. 4842−4847 (1997)
【非特許文献8】L. Daltonら, ”Synthesis and Processing of Improved Organic Second−Order Nonlinear Optical Materials for Applications in Photonics”, Chemistry of Materials, Vol. 7, No. 6, pp. 1060−1081 (1995)
【非特許文献9】Shi Y.ら, Science, 288, 119−121
【非特許文献10】Kajzar, F.ら. Organic Thin Films for Waveguiding Nonlinear Optics, Gordon (1996)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、過分極率の高い有機NLO材料の有効性は、この材料が加工時に凝集する傾向及びこの得られた材料の熱安定性によって限定される。従って、過分極率が大きく、かつ、電子光学デバイスに用いた場合に電子光学係数が大きくかつ熱安定性が高い、改善された非線形光学活性材料が必要とされている。本発明は、これらの要求を満たすことを追求し、かつ、個々の発色団を分けるスペーサーシステムを導入することによって、凝集を防止すると共に長期熱安定性のための複数点材料組み込みを提供することにより、さらに関連する利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、式Iの非線形光学発色団のスペーシング用の化合物又はその工業的に許容され得る塩に関する:
【0009】
【化1】

【0010】
は、C−C10アリール、C−C10ヘテロアリール、4〜10員環ヘテロ環状基又はC−C10飽和環状基であり;上記環状部位中の1又は2個の炭素原子はオキソ(=O)部位で任意に置換されていてもよく;かつ、上記R基は1〜3個のR基で任意に置換されていてもよく;
【0011】
及びRは、Rの定義に列挙された置換基、(CH(C−C10アリール)又は(CH(4〜10員環ヘテロ環)から独立して選択され、tは0〜5の範囲の整数であり、かつ、上記R及びR基は1〜3個のR基で任意に置換されていてもよく;
【0012】
は、Rの定義に列挙された置換基、化学結合(−)又は水素から独立して選択され;
【0013】
、Q及びQは、水素、ハロ、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アジド、−OR、−NRC(O)OR、−NRSO、−SONR、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NR、−S(O)、−NR(CROR、−(CH(C−C10アリール)、−SO(CH(C−C10アリール)、−S(CH(C−C10アリール)、−O(CH(C−C10アリール)、−(CH(4〜10員環ヘテロ環状)及び−(CRORからそれぞれ独立して選択され、式中、jは0〜2の範囲の整数であり、式中、mは1〜5の整数であり、かつ、tは0〜5の整数であり;ただし、Rが水素である場合、Qは使用できない;当該アルキル基は、O、S及び−N(R)−から選択される1又は2個のヘテロ部位を任意に含み、当該アリール及びヘテロ環状Q基は、C−C10アリール基、C−C飽和環状基又は4〜10員環ヘテロ環状基に任意に縮合していてもよく;上記ヘテロ環状部位の1又は2個の炭素原子はオキソ(=O)部位で任意に置換されていてもよく;かつ、上記Q基の当該アルキル、アリール及びヘテロ環状部位は、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アジド、−NRSO、−SONR、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NR、−(CROR、−OR及びRの定義中に列挙した置換基から独立して選択される1〜3個の置換基で任意に置換されていてもよく、式中、mは1〜5の整数であり;
【0014】
各Rは、H、C−C10アルキル、−(CH(C−C10アリール)及び−(CH(4〜10員環ヘテロ環状)から独立して選択され、式中、tは0〜5の整数であり;当該アルキル基は、O、S及び−N(R)−から選択される1又は2個のヘテロ部位を任意に含んでいてもよく、当該アリール及びヘテロ環状R基は、C−C10アリール基、C−C飽和環状基又は4〜10員環ヘテロ環状基に任意に縮合していてもよく;かつ、H以外の上記R置換基は、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アジド、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NR、ヒドロキシ、C−Cアルキル及びC−Cアルコキシから独立して選択される1〜3個の置換基で任意に置換されていてもよく;
【0015】
各R及びRは、独立して、H又はC−Cアルキルであり;
X、Y及びZは、それぞれ独立して、C(炭素)、O(酸素)、N(窒素)及びS(硫黄)から選択され、かつ、これらはR内に含まれ;
X、Y及びZは、互いに直接隣接しており;
Wは、X、Y又はZではないRにおいて任意の非水素原子であり;かつ
Lは、不安定基又は非線形光学発色団である。
【0016】
本発明の実施態様は、以下の化合物を意味する:
【0017】
【化2】

【0018】
本発明において、用語「非線形光学的発色団」(NLOC)は、光を照射したときに非線形光学的効果を生じる分子又は分子の部分であると定義される。発色団は、光と相互作用することによって非線形光学的効果を生じる、任意の分子単位である。所望の効果は、共鳴波長又は非共鳴波長において生じ得る。特定の発色団の非線形光学的材料における活性は、その過分極率として示され、これは発色団の分子双極子モーメントに直接関連する。
【0019】
本発明において、用語「不安定基」は、他に示さない限り、一時的な化合物、又は、特定の条件下で他の化合物で置換されることによって異なる機能を生じ得る基であると定義される。
【0020】
特定の不安定基の例には、プロトン(−H)、ヒドロキシル基(−OH)、アルコキシ基(−OR)、ニトロ基(−NO)、アミン(−NH)及びハロゲンが挙げられるが、これらに限定されない。不安定基は、芳香族及び置換された芳香族環状構造、酸素含有部位、カルボニル含有部位及びチオフェン含有部位、又は、これらの混合物を含む(が、これらに限定されない)他の化合物に付着し得る。
【0021】
本発明において、用語「ハロ」は、他に示さない限り、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを含む。好ましいハロ基は、フルオロ、クロロ及びブロモである。
【0022】
本明細書中で用いる用語「アルキル」は、他に示さない限り、直鎖、環状又は分枝部位を有する飽和の一価の炭化水素基を含む。当該アルキル基において、環状部位には少なくとも3つの炭素原子が必要であることが理解される。
【0023】
本明細書中で用いる用語「アルケニル」は、他に示さない限り、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有し、かつ、「アルキル」の定義で上記に記載した直鎖、環状又は分枝部位も含む一価の炭化水素基を含む。
【0024】
本明細書中で用いる用語「アルキニル」は、他に示さない限り、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有し、かつ、「アルキル」の定義で上記に記載した直鎖、環状又は分枝部位も含む一価の炭化水素基を含む。
【0025】
本明細書中で用いる用語「アルコキシ」は、他に示さない限り、O−アルキル基(式中、「アルキル」は上記で定義したとおりである)を含む。
【0026】
本明細書中で用いる用語「アリール」は、他に示さない限り、芳香族炭化水素から1つの水素を除いた有機基、例えば、フェニル又はナフチルを含む。
【0027】
本明細書中で用いる用語「ヘテロアリール」は、他に示さない限り、O、S及びNから独立して選択される1つ又はそれ以上のヘテロ原子を含むヘテロ芳香族炭化水素の環における炭素原子から1つの水素原子を除いた有機基を含む。ヘテロアリール基は、これらの環系に少なくとも5個の原子を有していなければならず、当該原子は、独立して、0〜2個のハロゲン、トリフルオロメチル、C−Cアルコキシ、C−Cアルキル又はニトロ基で任意に置換されていてもよい。
【0028】
本明細書中で用いる用語「4〜10員環ヘテロ環」は、他に示さない限り、O、S及びNから独立して選択される1つ又はそれ以上のヘテロ原子を含む芳香族及び非芳香族ヘテロ環状基を含み、各ヘテロ環状基は、その環系に4〜10原子を含む。非芳香族ヘテロ環状基は、これらの環系に原子を4個だけ含むが、芳香族ヘテロ環状基は、これらの環系に少なくとも5個の原子を含んでいなければならない。4員環ヘテロ環状基の例はアゼチジニル(アゼチジンから誘導される)である。5員環ヘテロ環状基の例はチアゾリルであり、10員環ヘテロ環状基の例はキノリニルである。非芳香族ヘテロ環状基の例は、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、H−インドリル及びキノリジニルである。芳香族ヘテロ環状基の例は、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル及びフロピリジニルである。上記に列挙した化合物から誘導される上記基は、可能である場合C−付着でもN−付着でもよい。例えば、ピロールから誘導される基は、ピロール−1−イル(N−付着)又はピロール−3−イル(C−付着)であってよい。
【0029】
本明細書中で用いる用語「飽和環状基」は、他に示さない限り、非芳香族の完全に飽和した環状部位(アルキルは上記で定義したとおりである)を含む。
【0030】
本明細書中で用いる句「工業的に許容され得る塩」は、他に示さない限り、本発明の化合物中に存在し得る酸性又は塩基性基の塩を含む。塩基性の性質を有する本発明の化合物は、種々の無機及び有機酸との種々の塩を形成し得る。このような本発明の塩基性化合物の薬学的に許容され得る酸付加塩を製造するのに用いることのできる酸は、非毒性酸付加塩を形成するもの、すなわち、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸リン酸エステル塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酸クエン酸エステル塩、酒石酸塩、パントテン酸塩、二酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩及びパモ酸塩[すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート)]塩のような、薬理学的に許容され得るアニオンを含む塩である。
【0031】
酸性の性質を有する本発明のこれらの化合物は、種々の薬理学的に許容され得るカチオンと塩基性塩を形成し得る。このような塩の例には、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、特にナトリウム塩及びカリウム塩が挙げられる。
【0032】
本明細書中で用いる用語「溶媒和物」は、非共有結合的分子間力で結合された化学量論的又は非化学量論的な量の溶媒をさらに含む本発明の化合物又はその塩を含む。
【0033】
本明細書中で用いる用語「水和物」は、非共有結合的分子間力で結合された化学量論的又は非化学量論的な量の水をさらに含む本発明の化合物又はその塩を意味する。
【0034】
本発明の特定の化合物は不斉中心を有していてもよく、そのため、異なるエナンチオマー形として存在する場合がある。本発明は、本発明の化合物の全ての光学異性体及び立体異性体並びにその混合物の使用に関する。本発明の化合物はまた、互変異性体として存在する場合もある。本発明は、全てのこのような互変異性体及びその混合物の使用に関する。
【0035】
本発明はまた、原子質量又は質量数が天然に通常みられる原子質量又は質量数とは異なるような原子で1つ又はそれ以上の原子が置き換えられている以外は式I及びIIに記載の化合物と同一の、同位体標識化合物及びその工業的に許容され得る塩を含む。本発明の化合物に組みこむことができる同位体の例には、水素、炭素、窒素、酸素、硫黄、フッ素及び塩素の同位体、例えば、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F及び36Clがそれぞれ挙げられる。上記同位体及び/又は他の原子の他の同位体を含む本発明の化合物及び当該化合物の工業的に許容され得る塩は、本発明の範囲内である。本発明の特定の同位体標識化合物、例えば、H及び14Cなどの放射性同位体が組みこまれた化合物は、薬物及び/又は基底組織分配アッセイに有用である。三重水素化、すなわちH同位体、及び、炭素−14(すなわち14C)同位体は、製造及び検出が容易であるために特に好ましい。さらに、より重い同位体、例えば重水素(すなわちH)で置換すると、安定性がより高くなるため、必然的に有利である。本発明の式Iの同位体標識化合物は、通常、下記のスキーム及び/又は実施例及び製造例に開示される手段を実行し、容易に入手可能な同位体標識試薬で非同位体標識試薬を置き換えることによって製造することができる。
【0036】
本明細書で参照される特許、特許出願、公開国際出願及び科学的刊行物はそれぞれ、その全体が本明細書中に援用される。
【0037】
(図面の簡単な解説)
図1は、本発明のスペーサーシステムの一般的図示であり、図中、発色団は1A中のクレヨンとして表される。
【0038】
図2は、発色団核が付着したスペーサーシステムの図示である。
【0039】
図3は、Q官能基が付着し、かつ、発色団が付着したスペーサーシステムの図示である。
【0040】
図4は、反応性アルキル化剤を用いて導入された特定の重合性官能基の例であるが、これらに限定されない。
【0041】
図5は、二次的に結合させて応用することのできる、反応性アルキル化剤を用いて導入された特定の官能基の例であるが、これらに限定されない。
【0042】
図6は、反応性アルキル化剤を重要中間体として用いたブロック/脱ブロック技術を使用して縮重合架橋されることにより二次的に結合できる、特定の官能基の例であるが、これらに限定されない。
【0043】
図7は、架橋材料の製造に適用可能な従来の架橋剤の例であるが、これに限定されない。
【0044】
図8は、スペーサー、発色団又はこれらの組み合わせへのQ基の付着を図示する構造の例示である。
【0045】
図9は、反応性アミノ、ジアゾ、ハロゲン及びヒドロキシ官能基を有する有用な4’−フェニル−m−テルフェニル中間体を製造するための従来のプロセスである。
【0046】
図10は、1’−アミノ−4’−フェニル−m−テルフェニル重要中間体を用いてスペーサー4’−フェニル−m−テルフェニル官能基を新規発色団システム内に導入する、特定の非限定的な例である。
【0047】
図11は、スペーサーシステムを4’−フェニル−m−テルフェニルスペーサー官能基と比較した、発色団の可視吸収スペクトルである。
【0048】
図12は、1’−ハロ−4’−フェニル−m−テルフェニルのハロゲン官能基を用いた周期律表のIA属金属との反応による、有用な有機金属4’−フェニル−m−テルフェニルの製造の従来のプロセスである。
【0049】
図13は、1’−ハロ−4’−フェニル−m−テルフェニルのハロゲン官能基を用いた周期律表のIIA属金属との反応による、有用な有機金属4’−フェニル−m−テルフェニル中間体の製造の従来のプロセスである。
【0050】
図14は、メトキシ化スペーサー4’−フェニル−m−テルフェニルシステムのQ官能基化のための従来のブロック−脱ブロック技術の応用の特定の例であるが、これらに限定されない。
【0051】
(発明の詳細な説明)
式Iの化合物は、非線形光学発色団をスペーシング(spacing)して発色団の凝集を防ぐための剤として有用である。多くの有用なNLO発色団が当業者に公知である。所望のNLO効果を提供しかつNLOスペーサー/発色団の形成に用いられる合成方法に適合する任意のNLO発色団を本発明で用いることができるが、好ましいNLO発色団は電子供与基及び電子求引基を含む。
【0052】
図1は、本発明の発色団スペーサーシステムの三環式構造の一般的な様式を示す。代表的には、R、R及びRからなるスペーサーは、発色団の末端ではなく発色団の中心に近い非線形光学発色団(図1のL)に付着している。スペーサーは発色団Lの周りを効果的に包んでいて、溶媒を含む他の分子種と発色団との相互作用を防ぐ小さな空隙スペースVが形成されている。その結果として、スペーサーR、R及びRは、発色団の電子特性を妨げ得る分子種による物理的接触及び化学的攻撃から発色団Lを保護している。さらに、スペーサーは、加工の際の一般的な頭−尾パターンにおいて、活性発色団の凝集を効果的に防止する。本発明の特定の実施態様において、第4の環系RがR位でスペーサーR、R及びRに付着していて、個々の発色団の間をさらに分離させていてもよい。図2は、4つの環部位R、R、R及びRを全て含むスペーサーシステムを例示する。
【0053】
本発明の主題のシステムの全てにはスペーサーシステムが必須であり、1Bに1つの単独で、1Cに複数のものを示す。1Dに、任意のQ基で置換された発色団上の必須成分を示す。1E、1F、1G及び1Hに、置換されたQ基を示す。1B、1C、1D、1E、1F、1G及び1Hに例示される全てのシステムは、レベル1の用途について本発明の範囲内にある。
【0054】
スペーサーR、R、R及びRの種々の環状部位はさらなる官能基Qを含んでいてよく、これは、スペーサー/発色団システムに熱安定性を付与し、かつ、スペーサーが、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル等を含む多数のポリマーシステムに挿入できるポリマー状モノマーとして作用できるようにする。図3は、外側の環状部位R1、R2及びR4にそれぞれ付着した官能基Q1、Q2及びQ4を有するテルフェニルスペーサーを示す。一実施態様において、個々のQ基は、発色団を整列させる極性調整過程で化学反応性となる置換基の中から選択され得、これにより、個々のQ基が互いに重合して、発色団間の間隔が操作された非線形光学ポリマーが得られる。
【0055】
図4に重合性官能基をスペーサーに提供できるQ基の例を示すが、これらに限定されない。図4に列挙された官能基は、反応性アルキル化剤としてスペーサーに導入できる。潜在的なQ基として作用する他の官能基を図5に列挙する。また、図5の官能基は、図14に示すように、ブロック/脱ブロック過程で反応性アルキル化剤としてスペーサーに導入できる。安定性が高いメトキシブロッキング基が、スペーサーシステムの種々の点においてその末端に位置する。当業者に公知の化学的手法を用いて、これらの基を、種々のR基で容易に置換可能な高反応性ヒドロキシ構成成分で置換又は「脱ブロック」することができる。Q基として作用し得る他の官能基には、ポリマー縮合反応由来の種々のモノマーが挙げられる。図5、6及び7には、付着した発色団とスペーサーとを結合させることのできるQ基として使用可能な公知のモノマーである種々の官能基の例が含まれるが、これらに限定されない。
【0056】
図4〜8に潜在的なQ基を挙げるが、これらに限定されない。塩を適当なアルキル化剤RXと反応させて、所望のQ−官能基(式中、−Q=ORである)を導入する。この過程は当業者に公知である。
【0057】
図8は、Q基が、R1、R2、R3、R4及び発色団を含むスペーサー/発色団システムの任意の部分に付着できることを例示する。反応性官能基がR1及びR2環に配置される場合、一連のスペーサー/発色団モノマーはポリマーの様式で付着できる。反応性官能基がR4基にも付着する場合、架橋は、促進され、極性調整過程中にある程度生じ得る。架橋により、熱安定性の有機光学材料が得られる。また、非線形光学特性の増強は、極性調整過程において整列した発色団が製造されることに起因すると予測できる。発色団は光学活性にとって最適な配向で整列され、架橋過程中にその場所に固定される。
【0058】
式Iの化合物は、以下の反応スキーム及び考察に従って製造することができる。反応スキームは本発明の三環式スペーサーシステムの製造についての特定の例を示すが、これに限定されない。それぞれのスキームは、本発明の全てのスペーサーシステムに共通する構造を示し、この構造は中心すなわち第一の環状構造Rであり、これは互いに直接結合した3つの原子X、Y及びZを有し、第2の環状部位R及びRは原子X及びZにそれぞれ結合している。図2及び3は、RのX、Y及びZ原子と、R及びRの環状部位との関係を概略的に例示する。R、R及びRの空間的関係の特定の例がスキーム1及び2に例示される。他に示さない限り、反応スキーム及び以下の考察中のR、R、R、R、R、R、W、X、Y、Z、Q、Q、Q及びLは上記で定義したとおりである。
【0059】
【化3】

【0060】
上記スキーム1を参照すると、式Iの化合物はQ基(Q)で置換された1−フェニルエタノンを、Qで置換されたベンズアルデヒドで処理して、両方のフェニル基が置換された1,3−ジフェニルプロペノンを得ることにより製造することができる。Qで置換された第2の1−フェニルエタノンを1,3−ジフェニルプロペノンと反応させて、2,4,6−トリフェニル置換ピラニル中間体を製造する。このピラニル中間体を、中心環の5位がフェニル置換された2’−ニトロ−[1,1’;3’,1’’]テルフェニルに転化する。ニトロ官能基上でさらに反応を行って、非線形光学発色団の所望の結合部位と反応できる任意数の不安定官能基を得る。図9は、水素付着によってテルフェニルニトロが容易にアミンに転化され得ることを示す。また、アミンは、不安定基として作用して図10に図示されるように発色団に結合することができる、又は、図9に図示されるようにジアゾニウム中間体を介して任意の数の不安定官能基を製造する手段になり得る。図9に例示された特定の例には、ヒドロキシル及びハロテルフェニルの製造が含まれる。ハロテルフェニルは特に有用である、というのは、図12に図示される合成上望ましい有機金属テルフェニル化合物又は図13に図示されるグリニャール試薬の製造において中間体として働くことができるからである。
【0061】
図11は、同じ非線形光学発色団(PTニ )に付着した種々の官能基の可視吸収スペクトルを比較したものである。R位にフェニル置換を有するテルフェニルスペーサーは、λmaxが712nmにおいて最も高い。次に長いλmaxを有するスペーサーは、672nmにおける1,3,5−トリイソプロピルベンゼン基である。さらに2つの環状構造が隣接した中心環状構造を有する三環式システムは、発色団の付着点からの結合長の1つだけがテルフェニルスペーサーの長い波長によって示されるという点が有利である。いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、スペーサーの大きさの拡大及び三環式スペーサーシステムの固有の構造によって発色団と溶媒分子との相互作用が妨げられ、これによって吸収スペクトルが誘導され、高いλmaxは、発色団の光学特性を保つ排除半径(exclusion radius)が大きいことを示すと考えられる。極性の高い発色団核が極性で非プロトン性の溶媒分子に囲まれている場合、溶媒は低エネルギーの配置で整列して発色団の双極子に反発し、局所的な電場を効果的に生じる。この電場によって、発色団の基底状態のCTエネルギーが変化し、溶媒発色(solvatochromism)として知られる様式で光子吸収が変化する。スペーサーシステムは、溶媒分子の接近を排除することにより、全体的な電場強度を低下させる。
【0062】
代替の三環式スペーサーシステムをスキーム2に図示するが、式中、中心R環状部位はインドールであり、かつ、R及びRは両方とも、メトキシQ基を有するフェニル基である。Rは化学結合であり、かつ、Qはメトキシである。
【0063】
【化4】

【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
本発明を、以下の実施例により例示する。しかし本発明は、以下の実施例の特定の細部に限定されるものではない。
【実施例1】
【0065】
1’−アミノ−4’−フェニル−m−テルフェニル重要中間体を用いた、4’−フェニル−m−テルフェニル官能基からの新規発色団(PTニ )(式中、A=NO2)の製造
【0066】
【化5】

【実施例2】
【0067】
付着した発色団(PTニ )(式中、A=NO2)を有する1,3−ビス−(4’−メトキシビフェニル−4−イル)−5−(4−メトキシフェニル)−1H−インドールスペーサーの製造
【0068】
【化6】

【実施例3】
【0069】
環系が5−メトキシ置換基を有するヘテロ環状インドール核であり、かつ、R及びRがそれぞれ、5−メトキシ置換基及び4−アニシル置換基を有するへテロ環状2−(1,3,4−チアジアゾール)核であるスペーサーシステムの製造のための、特定の非限定的な従来の合成スキーム
【0070】
【化7】

【実施例4】
【0071】
環系が、5−メトキシ置換基を有するヘテロ環状インドール核であり、かつ、R及びRが、ヘテロ環状2−(1,3,4−チアジアゾール)核であるスペーサーシステムの製造のための、特定の非限定的な従来の合成スキーム
【0072】
【化8】

【0073】
本発明の好ましい実施態様を例示して説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲の中で種々の改変がなされ得るということが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明のスペーサーシステムの一般的図示であり、図中、発色団は1A中のクレヨンとして表される。
【図2】発色団核が付着したスペーサーシステムの図示である。
【図3】Q官能基が付着し、かつ、発色団が付着したスペーサーシステムの図示である。
【図4】反応性アルキル化剤を用いて導入された特定の重合性官能基の例であるが、これらに限定されない。
【図5】二次的に結合させて応用することのできる、反応性アルキル化剤を用いて導入された特定の官能基の例であるが、これらに限定されない。
【図6】反応性アルキル化剤を重要中間体として用いたブロック/脱ブロック技術を使用して縮重合架橋されることにより二次的に結合できる、特定の官能基の例であるが、これらに限定されない。
【図7】架橋材料の製造に適用可能な従来の架橋剤の例であるが、これに限定されない。
【図8】スペーサー、発色団又はこれらの組み合わせへのQ基の付着を図示する構造の例示である。
【図9】反応性アミノ、ジアゾ、ハロゲン及びヒドロキシ官能基を有する有用な4’−フェニル−m−テルフェニル中間体を製造するための従来のプロセスである。
【図10】1’−アミノ−4’−フェニル−m−テルフェニル重要中間体を用いてスペーサー4’−フェニル−m−テルフェニル官能基を新規発色団システム内に導入する、特定の非限定的な例である。
【図11】スペーサーシステムを4’−フェニル−m−テルフェニルスペーサー官能基と比較した、発色団の可視吸収スペクトルである。
【図12】1’−ハロ−4’−フェニル−m−テルフェニルのハロゲン官能基を用いた周期律表のIA属金属との反応による、有用な有機金属4’−フェニル−m−テルフェニルの製造の従来のプロセスである。
【図13】1’−ハロ−4’−フェニル−m−テルフェニルのハロゲン官能基を用いた周期律表のIIA属金属との反応による、有用な有機金属4’−フェニル−m−テルフェニル中間体の製造の従来のプロセスである。
【図14】メトキシ化スペーサー4’−フェニル−m−テルフェニルシステムのQ官能基化のための従来のブロック−脱ブロック技術の応用の特定の例であるが、これらに限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの非線形光学発色団のスペーシング用の化合物又はその工業的に許容され得る塩:
【化1】

は、C−C10アリール、C−C10ヘテロアリール、4〜10員環ヘテロ環状基又はC−C10飽和環状基であり;前記環状部位中の1又は2個の炭素原子はオキソ(=O)部位で任意に置換されていてもよく;かつ、前記R基は1〜3個のR基で任意に置換されていてもよく;
及びRは、Rの定義に列挙された置換基、(CH(C−C10アリール)又は(CH(4〜10員環ヘテロ環)から独立して選択され、tは0〜5の範囲の整数であり、かつ、前記R及びR基は1〜3個のR基で任意に置換されていてもよく;
は、Rの定義に列挙された置換基、化学結合(−)又は水素から独立して選択され;
、Q及びQは、水素、ハロ、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アジド、−OR、−NRC(O)OR、−NRSO、−SONR、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NR、−S(O)、−NR(CROR、−(CH(C−C10アリール)、−SO(CH(C−C10アリール)、−S(CH(C−C10アリール)、−O(CH(C−C10アリール)、−(CH(4〜10員環ヘテロ環状)及び−(CRORからそれぞれ独立して選択され、式中、jは0〜2の範囲の整数であり、式中、mは1〜5の整数であり、かつ、tは0〜5の整数であり;ただし、Rが水素である場合、Qは使用できない;当該アルキル基は、O、S及び−N(R)−から選択される1又は2個のヘテロ部位を任意に含み、当該アリール及びヘテロ環状Q基は、C−C10アリール基、C−C飽和環状基又は4〜10員環ヘテロ環状基に任意に縮合していてもよく;前記ヘテロ環状部位の1又は2個の炭素原子はオキソ(=O)部位で任意に置換されていてもよく;かつ、前記Q基の当該アルキル、アリール及びヘテロ環状部位は、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アジド、−NRSO、−SONR、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NR、−(CROR、−OR及びRの定義中に列挙した置換基から独立して選択される1〜3個の置換基で任意に置換されていてもよく、式中、mは1〜5の整数であり;
各Rは、H、C−C10アルキル、−(CH(C−C10アリール)及び−(CH(4〜10員環ヘテロ環状)から独立して選択され、式中、tは0〜5の整数であり;当該アルキル基は、O、S及び−N(R)−から選択される1又は2個のヘテロ部位を任意に含んでいてもよく、当該アリール及びヘテロ環状R基は、C−C10アリール基、C−C飽和環状基又は4〜10員環ヘテロ環状基に任意に縮合していてもよく;かつ、H以外の前記R置換基は、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アジド、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NR、ヒドロキシ、C−Cアルキル及びC−Cアルコキシから独立して選択される1〜3個の置換基で任意に置換されていてもよく;
各R及びRは、独立して、H又はC−Cアルキルであり;
X、Y及びZは、それぞれ独立して、C(炭素)、O(酸素)、N(窒素)及びS(硫黄)から選択され、かつ、これらはR内に含まれ;
X、Y及びZは、互いに直接隣接しており;
Wは、X、Y又はZではないRにおいて任意の非水素原子であり;かつ
Lは、不安定基又は非線形光学発色団である。
【請求項2】
及びRが[1,3,4]チアジアゾール−2−イルである;R3がインドールである;R4が1つの化学結合である;かつ、Q、Q及びQがメトキシである
ことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
X及びYが炭素であり、Zが窒素であり、かつ、Lがアミンである
ことを特徴とする請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
式Iの化合物が以下:
【化2】

:からなる群より選択される
ことを特徴とする請求項1に記載の化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−518036(P2008−518036A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539229(P2007−539229)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2005/039212
【国際公開番号】WO2006/047772
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(507137058)サード−オーダー ナノテクノロジーズ, インク. (6)
【Fターム(参考)】