説明

面光源装置及び液晶表示装置

【課題】光拡散板が湿気により変形することがない上に厳しい冷熱環境に晒されても割れや変形が生じることがない面光源装置を提供する。
【解決手段】ランプボックス5と、該ボックス内に配置された複数の光源2と、ボックス5の縁枠部51の前面に当接してその開放面を塞ぐ光拡散板3と、フレーム形状の前面縁枠部32の外縁から背面側に側面被覆部33が延設されてなる横断面形状が略L字のフレーム体31と、を備え、フレーム体31の前面縁枠部32が光拡散板3の前面3aの周縁部を被覆し、フレーム体の側面被覆部33がランプボックスの側面壁5aに当接配置され、この装置を−35℃の冷熱槽内に30分間配置せしめた後85℃の加熱槽内に配置してから200秒後の光拡散板3の表裏面の温度差が20℃以上であり、光拡散板3としてアイゾッド衝撃強さが2〜10kJ/mのプロピレン樹脂板が用いられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光拡散板が湿気により変形することがない上に厳しい冷熱環境に晒されても割れや変形が生じることがない面光源装置と液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置としては、例えば液晶セルを備えた液晶パネル(画像表示部)の背面側に面光源装置がバックライトとして配置された構成のものが公知である。前記バックライト用の面光源装置としては、ランプボックス(筐体)内に複数の光源が配置されると共にこれら光源の前面側に光拡散板が配置された構成の面光源装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
かかる光拡散板としては、軽量であること、壊れ難いこと、光源等からの熱や、湿気等により変形しないことが求められており、このような要求に応え得るものとしてプロピレン樹脂からなる光拡散板が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−170937号公報
【特許文献2】特開2008−83660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液晶テレビ等の液晶表示装置は、点灯開始後、バックライト内の温度は常温から80℃以上まで上昇する一方、消灯後はバックライト内の温度は80℃以上の高温から常温へと低下する。液晶テレビは、近年、大型化が進んでいるが、このように大型のものになると、その分、光源からの発熱量も大きく増大するから、点灯開始後、バックライト内の温度はさらに高い温度まで上昇することになる。
【0006】
また、液晶テレビ等の液晶表示装置を例えば工場から販売店まで搬送する際に、夏場においてはトラック内において高温になることが知られている。また、冬場においては、特に北海道等の寒冷地においては、搬送のトラック内において氷点下の低い温度になる。このように液晶表示装置は、使用の際のON、OFFの繰り返しや、搬送中の環境条件等により、厳しい冷熱環境に晒されることも多い。このような厳しい冷熱環境に晒されると、光拡散板に割れや変形が生じることが懸念される。
【0007】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、光拡散板が湿気により変形することがない上に厳しい冷熱環境に晒されても割れや変形が生じることがない面光源装置及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0009】
[1]前面側が開放されたランプボックスと、
前記ランプボックス内に互いに離間して配置された複数の光源と、
前記ランプボックスの縁枠部の前面に当接して該ランプボックスの開放面を塞ぐように配置された光拡散板と、
平面視フレーム形状の前面縁枠部の外縁から背面側に向けて側面被覆部が延設されてなる、横断面形状が略L字形状のフレーム体と、を備えた面光源装置であって、
前記フレーム体の前面縁枠部が、前記光拡散板の前面の周縁部を被覆するように配置され、前記フレーム体の側面被覆部が、前記ランプボックスの側面壁を被覆するように配置され、
前記面光源装置は、該面光源装置を−35℃にセットされた冷熱槽内に30分間配置せしめた後直ちに85℃にセットされた加熱槽内に配置し、この加熱槽内に配置してから200秒後における該面光源装置の光拡散板の表面と裏面の温度差が9箇所の測定点の平均値で20℃以上になるものであり、
前記光拡散板として、アイゾッド衝撃強さが2〜10kJ/mであるプロピレン樹脂板が用いられていることを特徴とする面光源装置。
【0010】
[2]前記フレーム体の前面縁枠部の背面と、前記光拡散板の前面との距離が0.05〜3.00mmの範囲である前項1に記載の面光源装置。
【0011】
[3]前記フレーム体の前面縁枠部の背面と前記光拡散板の前面との間に、これら両面に当接状態にゴムパッキンが配置されている前項1または2に記載の面光源装置。
【0012】
[4]前項1〜3のいずれか1項に記載の面光源装置と、該面光源装置の前面側に配置された液晶パネルとを備えることを特徴とする液晶表示装置。
【発明の効果】
【0013】
[1]の発明では、光拡散板としてプロピレン樹脂板が用いられているから、軽量で、十分な機械的強度を有し、湿気により光拡散板が変形することがない。また、光拡散板としてアイゾッド衝撃強さが2〜10kJ/mであるプロピレン樹脂板が用いられているから、該面光源装置を−35℃にセットされた冷熱槽内に30分間配置せしめた後直ちに85℃にセットされた加熱槽内に配置し、この加熱槽内に配置してから200秒後における該面光源装置の光拡散板の表面と裏面の温度差が9箇所の測定点の平均値で20℃以上になるような構成の(例えば大型の)面光源装置であるにもかかわらず、厳しい冷熱環境に晒されても光拡散板に割れや変形が生じることがなく、耐冷熱性に優れた面光源装置が提供される。
【0014】
[2]の発明では、フレーム体の前面縁枠部の背面と、光拡散板の前面との距離が0.05〜3.00mmの範囲であるから、厳しい冷熱環境に晒されることで光拡散板に歪みが多少生じても光拡散板に波打ち状の変形を生じることが十分に防止され得る。
【0015】
[3]の発明では、フレーム体の前面縁枠部の背面と光拡散板の前面との間に、これら両面に当接状態にゴムパッキンが配置されているから、ランプボックスに対して光拡散板がより安定状態に固定される。
【0016】
[4]の発明では、光拡散板が湿気により変形することがない上に厳しい冷熱環境に晒されても割れや変形が生じることがない高耐久性の液晶表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明に係る面光源装置の一実施形態を一部分離状態で示す斜視図である。
【図2】この発明に係る面光源装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図3】図2におけるA−A線の断面図である。
【図4】図2におけるB−B線の断面図である。
【図5】この発明に係る液晶表示装置の一実施形態を示す断面図である。
【図6】光拡散板の表面と裏面の温度差を測定する際の9箇所の測定点を示す光拡散板の平面図である。
【図7】冷熱試験の際の面光源装置の槽内での配置状態を示す模式的斜視図である。
【図8】アイゾッド衝撃強さの測定方法の説明図であって、(A)はノッチを形成した試験体を示す斜視図、(B)は試験体を支持台に固定した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
この発明に係る面光源装置1の一実施形態を図1〜4に示す。この面光源装置1は、平面視矩形状で上面側(前面側)が開放された薄箱型形状のランプボックス5と、該ランプボックス5内に相互に離間して配置された複数の線状光源2と、前記ランプボックス5の縁枠部51の前面に当接して該ランプボックス5の開放面を塞ぐように配置された光拡散板3と、前記ランプボックス5の背面壁5bから前面側に向けて突設された複数のスペーサピン4と、平面視(前面視)フレーム形状(額縁形状)のフレーム体31と、を備えてなる。
【0019】
前記ランプボックス5は、金属製ベース板部6と、一対の樹脂製側板部7、7と、反射板8とからなる(図1〜4参照)。
【0020】
前記金属製ベース板部6は、平面視矩形状の背面板15と、該背面板15における幅方向に向き合う一対の側縁のそれぞれから前面側に向けて延ばされた側面板16、16と、これら側面板16、16のそれぞれの前方側の縁から前記背面板15と平行に外方に向けて延ばされた縁枠板17、17と、これら縁枠板17、17のそれぞれの外方側の縁から前記側面板16と平行に背面側に向けて延ばされた返し板18、18とからなる(図1、3参照)。
【0021】
前記反射板8は、平面視矩形状の背面板部8aと、該背面板部8aにおける幅方向に向き合う一対の側縁のそれぞれから前面側に向けて延ばされた傾斜側面板部8b、8bと、これら傾斜側面板部8b、8bのそれぞれの前方側の縁から前記背面板部8aと平行に外方に向けて延ばされた前面板部8c、8cとからなる(図1、3参照)。
【0022】
前記ランプボックス5は、図1、3、4に示すように、前記金属製ベース板部6の背面板15の前面に前記反射板8の背面板部8aが接合されると共に、前記金属製ベース板部6の縁枠板17、17の前面にそれぞれ前記反射板8の前面板部8c、8cが当接して配置され、前記金属製ベース板部6の背面板15における長さ方向に向き合う一対の側縁部の前面に前記樹脂製側板部7、7が接合されてなる。
【0023】
本実施形態では、前記一対の返し板18、18及び前記一対の樹脂製側板部7、7によって前記ランプボックス5の側面壁5aが形成されている(図1、3、4参照)。また、前記金属製ベース板部6の背面板15及び前記反射板8の背面板部8aによって前記ランプボックス5の背面壁5bが形成されている(図3、4参照)。また、前記反射板8の一対の前面板部8c、8c及び前記一対の樹脂製側板部7、7の前面によって前記ランプボックス5の縁枠部51が形成されている(図1、3、4参照)。
【0024】
前記ランプボックス5内にその長さ方向に沿って前記複数の線状光源2が配置されている。即ち、前記ランプボックス5の長さ方向に対向する一対の側面壁5a、5a間に架け渡す態様で(即ち前記一対の樹脂製側板部7、7間に架け渡す態様で)前記複数の線状光源2が平行状に配置されている(図1、4参照)。
【0025】
前記ランプボックス5の背面壁5b(即ち反射板の背面板部8a)から前面側に向けて複数のスペーサピン4が突設されており、これらスペーサピン4は、隣り合う光源2、2の間の略中心位置に配置されている(図3参照)。前記スペーサピン4は、円錐形状であり、該円錐の底面が前記ランプボックス5の背面壁5bに接合されている。前記スペーサピン4は、前記光拡散板3の背面3bに当接しており、前記光拡散板3を内側から支持している(図3、4参照)。なお、前記スペーサピン4は、その先端が、前記光拡散板3の背面3bに(接触しないで)近接した状態に配置されていても良い。
【0026】
なお、本発明において、前記スペーサピン4は、配置されていてもよいし、配置されていなくてもよいが、上記実施形態のように配置されているのが好ましい。
【0027】
前記光拡散板3は、前記ランプボックス5の縁枠部51の前面に当接して該ランプボックス5の開放面を塞ぐように配置されている。即ち、前記光拡散板3は、前記反射板8の一対の前面板部8c、8c及び前記一対の樹脂製側板部7、7の前面に当接して該ランプボックス5の開放面を塞ぐように配置されている(図1、3、4参照)。
【0028】
前記光拡散板3として、アイゾッド衝撃強さが2〜10kJ/mであるプロピレン樹脂板が用いられている。なお、前記アイゾッド衝撃強さは、ASTM D256 Method Aに準拠して測定された値である(詳細な測定条件は後述する)。
【0029】
前記フレーム体31は、平面視(前面視)フレーム形状の前面縁枠部32と、該前面縁枠部32の外縁から全周にわたって背面側に向けて延ばされた側面被覆部33とからなる(図1〜4参照)。前記フレーム体31は、横断面形状が略L字形状である(図3、4参照)。
【0030】
前記フレーム体31の前面縁枠部32が前記光拡散板3の前面3aの周縁部を被覆するように配置されると共に、前記フレーム体31の側面被覆部33の内面33aが、前記ランプボックス5の側面壁5a(18)に当接状態に配置され、この状態で側面被覆部33が側面壁5a(18)にネジ止め固定(図示しない)等により固定されている(図3、4参照)。前記フレーム体31の前面縁枠部32の背面32bと前記光拡散板3の前面3aとの間にこれら両面に当接してゴムパッキン35が配置されている(図1、3、4参照)。前記ゴムパッキン35は、前記フレーム体31の前面縁枠部32と同様に平面視フレーム形状(額縁形状)である。
【0031】
ここで、前記面光源装置1が、該面光源装置1を−35℃にセットされた冷熱槽内に30分間配置せしめた後取り出して直ちに85℃にセットされた加熱槽内に配置し、この加熱槽内に配置してから200秒後における該面光源装置1の光拡散板3の表面(前面)3aと裏面(背面)3bの温度差が9箇所の測定点の平均値で20℃以上になるものである場合には、厳しい冷熱環境に晒されると光拡散板に割れや変形が生じ易いのであるが、本発明では前記光拡散板3としてアイゾッド衝撃強さが2〜10kJ/mであるプロピレン樹脂板が用いられているから、厳しい冷熱環境に晒されても光拡散板3に割れや変形が生じることがなく、耐冷熱性に優れた面光源装置1を提供できる。
【0032】
この発明において、前記フレーム体31の前面縁枠部32の背面32bと、前記光拡散板3の前面3aとの距離は、0.05〜3.00mmの範囲に設定されるのが好ましい(図3、4参照)。0.05mm以上であることで厳しい冷熱環境に晒されることで光拡散板3に歪みが多少生じても光拡散板3に波打ち状等の変形の発生を十分に防止できると共に、3.00mm以下とすることで薄型化を十分に維持できる。中でも、前記フレーム体31の前面縁枠部32の背面32bと、前記光拡散板3の前面3aとの距離は、0.5〜2.5mmの範囲に設定されるのが特に好ましい。
【0033】
また、前記ランプボックス5の長さ方向に対向する一対の縁枠部51の外縁同士の間隔を「L1」(mm)とし、前記ランプボックス5の長さ方向に対向する一対の縁枠部51の内縁同士の間隔を「L2」(mm)とし、前記光拡散板3の線膨張率をβ(1/℃)とし、常温(25℃)と前記光拡散板3が晒され得る高温環境温度85℃との差異をΔT(即ち60℃である)としたとき、前記光拡散板3の長さ方向の長さW(mm)は、
1/(1+β×ΔT)≧ W ≧L2/(1−β×ΔT)
上記式を満たしていることが好ましい(図4参照)。
【0034】
前記光拡散板3としては、アイゾッド衝撃強さが2〜10kJ/mであるプロピレン樹脂板が用いられる。アイゾッド衝撃強さが2kJ/m未満では厳しい冷熱環境に晒されると光拡散板に割れや変形が生じる。一方、アイゾッド衝撃強さが10kJ/mを超えると、曲げ強さ、弾性率が低下し、光拡散板に割れや変形が生じる。前記光拡散板3としては、アイゾッド衝撃強さが3〜8kJ/mであるプロピレン樹脂板を用いるのが好ましく、中でもアイゾッド衝撃強さが4〜6kJ/mであるプロピレン樹脂板を用いるのがより好ましい。
【0035】
前記プロピレン樹脂製光拡散板3としては、光拡散機能を有するプロピレン樹脂板であれば特に限定されず、例えば、外部拡散性の光拡散板、内部拡散性の光拡散板、或いは外部拡散性と内部拡散性の両方を備えた光拡散板等が挙げられる。なお、前記外部拡散性のプロピレン樹脂製光拡散板としては、例えば表面がマット面等の粗面に形成されることによって光拡散機能が付与された光拡散板等を例示できる。この場合、外部拡散性のプロピレン樹脂製光拡散板の粗面が前面側に位置するように配置するのが良い。また、前記内部拡散性のプロピレン樹脂製光拡散板としては、例えばプロピレン樹脂板中に光拡散粒子(光拡散剤)が分散含有せしめられることによって光拡散機能が付与された光拡散板等を例示できる。
【0036】
また、前記光拡散板3は、両面が平坦面であってもよいし、両面または片面にエンボス加工が施されるなどして細かな凹凸が形成されていてもよいし、両面または片面にレンズアレイやプリズムアレイが形成されていてもよい。レンズアレイとしては、断面が半円形状のもの、楕円形状のものなどが挙げられる。断面が楕円形状のレンズアレイが形成されている場合、その楕円の長軸は光拡散板の厚さ方向に対して並行であってもよいし、直交していてもよい。
【0037】
なお、プロピレン樹脂は結晶性樹脂であり、結晶部と非晶部が存在しているために、若干白曇状に見え、光拡散剤を添加していなくても若干の光拡散性能を得ることができる。即ち、前記光拡散板3は、光拡散剤を含有していてもよいし、非含有であってもよい。
【0038】
前記光拡散板3を構成するプロピレン樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えばプロピレンを単独で重合させて得られるホモポリプロピレンであっても良いし、プロピレン及びこれと共重合し得る共重合成分の共重合体であっても良い。十分な剛性が得られる点で、前記プロピレン樹脂中のプロピレン単位の含有率は98質量%以上であるのが好ましい。前記共重合成分としては、特に限定されるものではないが、例えばエチレン、1−ブテン等のα−オレフィンなどが挙げられる。
【0039】
前記光拡散粒子としては、前記光拡散板3を構成するプロピレン樹脂と屈折率が異なる粒子であって、該粒子を分散させて含有させることにより光拡散板を透過する光を拡散し得るものであれば、特に限定されない。例えば、ガラス粒子、ガラス繊維、シリカ粒子、水酸化アルミニウム粒子、炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、酸化チタン粒子、タルク等の無機粒子であっても良いし、スチレン系重合体粒子、アクリル系重合体粒子、シロキサン系重合体粒子等の有機粒子であっても良い。
【0040】
前記プロピレン樹脂製光拡散板3は、例えば、造核剤、紫外線吸収剤、HALS(ヒンダードアミン系光安定剤)等の添加剤を含有していてもよい。
【0041】
前記実施形態では、光源2として線状光源を用いたが、特にこれに限定されるものではなく、例えば発光ダイオード(LED)等の点状光源を用いても良い。なお、前記線状光源としては、特に限定されるものではないが、例えば冷陰極管、熱陰極管、EEFL(外部電極蛍光ランプ)等が挙げられる。
【0042】
前記反射板8としては、特に限定されるものではないが、例えば合成樹脂製の基板の片面(内面)にアルミニウム等の金属が蒸着された金属蒸着層(反射膜)が形成された積層板等が挙げられる。
【0043】
前記フレーム体31の構成材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリカーボネート等の合成樹脂、アルミニウム、ステンレス等の金属等が挙げられる。
【0044】
前記ゴムパッキン35の材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
【0045】
次に、前記面光源装置1を用いて構成される液晶表示装置20の一実施形態を図5に示す。図5において、20は液晶表示装置、11は液晶セル、12及び13は偏光板である。前記液晶セル11の上下両側にそれぞれ偏光板12、13が配置され、これら構成部材11、12、13によって画像表示部としての液晶パネル10が構成されている。前記液晶パネル10の下側の偏光板13の下面側(背面側)に前記面光源装置1が配置されることによって前記液晶表示装置20が構成されている。なお、前記液晶セル11としては、カラー画像を表示可能なものが好ましく用いられる。
【0046】
この発明に係る面光源装置1及び液晶表示装置20は、上記実施形態のものに特に限定されるものではなく、請求の範囲内であれば、その精神を逸脱するものでない限りいかなる設計的変更をも許容するものである。
【実施例】
【0047】
次に、この発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0048】
<実施例1>
前述した図1〜4に示す面光源装置1を製作した。この面光源装置(37インチ型)1において、金属製ベース板部6の厚さは1.2mmであり、PET製反射板8の厚さは250μmであり、側板部7はポリカーボネート製である。光源2は、18本配置され、いずれも直径3mmのCCFL(冷陰極放電管)である。フレーム体31はポリカーボネート製である。フレーム体31の前面縁枠部32の背面32bと、光拡散板3の前面3aとの距離は2mmであり、反射板8の前面と光拡散板3の背面3bとの距離は23mmであり、ランプボックス5の内容積は約8.1L(リットル)である。光拡散板3として、厚さが1.5mmで、アイゾッド衝撃強さが4.4kJ/mであるポリプロピレン板を用いた。前記ポリプロピレン板は、プロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂(住友化学社製「D101」、プロピレン単位含有率99質量%)(結晶性樹脂)100質量部に対し造核剤(ミリケンジャパン社製「EXP−20」)0.1質量部分散されたものからなる。この面光源装置において、L1は848.6mm、L2は830.6mm、Wは841.5mm(図4参照)、βは1.11×10-8/℃であった。
【0049】
<実施例2>
光拡散板の長さWを844.4mmに設定した以外は、実施例1と同様にして面光源装置1を製作した。
【0050】
<比較例1>
光拡散板として、ポリプロピレン板に代えて、ポリスチレン樹脂100質量部に対し架橋アクリル系重合体粒子(光拡散粒子)0.6質量部分散されてなる厚さ1.5mmのポリスチレン板を用いた以外は、実施例1と同様にして面光源装置101を製作した。
【0051】
<比較例2>
光拡散板として、ポリプロピレン板に代えて、ポリスチレン樹脂100質量部に対し架橋アクリル系重合体粒子(光拡散粒子)0.6質量部分散されてなる厚さ1.5mmのポリスチレン板を用いた以外は、実施例2と同様にして面光源装置101を製作した。
【0052】
上記光拡散板のアイゾッド衝撃強さは、株式会社東洋精機製作所製のユニバーサルインパクトテスターを用いてASTM D256 Method Aに準拠して測定された値である。光拡散板を、長さ63.5mm±2mm、幅12.70mm±0.2mmの大きさに切り出して試験片41を得た。前記試験片41を複数枚重ね合わせて図8に示すようにハンマの衝撃点をはずれる長さ方向の一端部にセロハンテープ43を一周巻き付けた後、上島製作所製のノッチングマシーンを用いて前記試験片41の側面の長さ方向中心位置に角度45度±1度で深さ2.54mm±0.25mmで加工してノッチ42を設けることによって全厚が6mmの試験体40を作製した(図8参照)。このため、各試験片41のノッチ42は一方の側面側(図8で右側)において位置が揃う。
【0053】
次に、前記試験体40を23℃±2℃、相対湿度50%の雰囲気中に1日間放置した後、この雰囲気中で、図8(B)に示すようにセロハンテープ43を巻き付けた端部側を下にして試験体40をサンプル支持台44の上に倒立状態で固定した状態で(試験体40の12.70mm(幅)×6mm(全厚)の面を下側にして固定した状態で)アイゾッド衝撃試験を行った。アイゾッド衝撃試験で用いるハンマの質量は2.086kgであり、ハンマ軸心とハンマの重心との距離は16.88cmであり、ハンマの持ち上げ角度は135度に設定した。このようなアイゾッド衝撃試験を5回繰り返し行い、この5回測定の平均値を光拡散板の「アイゾッド衝撃強さ」とした。
【0054】
また、光拡散板の線膨張率βは、次のようにして測定された値である。即ち、光拡散板から5cm×5cm×厚さ1.5mmの大きさの試験片を切り出し、該試験片の線膨張係数をTMA測定装置(エスアイアイナノテクノロジー株式会社製「EXSTAR6000」)を用いて測定した。プローブに石英プローブを用い、−55〜150℃の範囲で4℃/分で温度変化させて圧縮モードで測定した。光拡散板の長辺方向及び短辺方向でそれぞれ測定を行い、大きい方の値を光拡散板の線膨張率β(1/℃)とした。
【0055】
上記のようにして得られた面光源装置について下記評価法に基づいて評価を行った。その結果を表1に示す。
【0056】
<冷熱試験による評価>
図7に示すように、冷熱試験槽(espec株式会社製「TSA−1334−W」、内容量1334L)80内に支持棚81を配置し、実施例1の面光源装置1を支持棚81の最上段に配置し、実施例2の面光源装置1を支持棚81の上から2段目に配置し、比較例1の面光源装置101を支持棚81の上から3段目に配置し、比較例2の面光源装置101を支持棚81の最下段に配置した。
【0057】
次に、前記冷熱試験槽内において奥側から手前側に向けて−35℃の冷風を風量50m3/秒で30分間送風循環せしめた後、85℃の温風を槽内の上部から下部に向けて風量50m3/秒で30分間送風循環せしめた。この合計1時間の冷熱負荷を1サイクルとして、400サイクル繰り返す冷熱試験を実施した後、光拡散板における割れの有無、波状のうねりの有無を目視で調べた。
【0058】
<吊り下げ反り試験による反り量の評価>
クリップを用いて光拡散板をその短辺方向を上下方向にして天井から吊り下げ、該光拡散板の短辺方向の2等分中間位置同士を結ぶように糸を光拡散板の長辺方向に沿って水平に巻き付け、この光拡散板と糸との最大離間間隔を反り量(mm)とした。冷熱試験前の光拡散板と冷熱試験後の光拡散板のそれぞれについて反り量を評価した。
【0059】
<加熱槽内に配置してから200秒後の光拡散板の表裏面の平均温度差の測定法>
面光源装置の光拡散板3の表裏の18箇所(表面9箇所と裏面9箇所)の測定点90(図6参照)のそれぞれに熱電対を接着テープで固定した。次に、面光源装置を−35℃にセットされた冷熱槽内に30分間配置せしめた後取り出して直ちに85℃にセットされた加熱槽内に配置し、この加熱槽内に配置してから200秒後における面光源装置の光拡散板3の9箇所の測定点90(図6参照)における表面(前面)3aと裏面(背面)3bの温度差を測定し、これら9箇所の測定点での表裏の温度差の平均値を求めた。
【0060】
【表1】

【0061】
一般に、各測定点90での光拡散板3の表裏温度差は、測定位置で差があるため、光拡散板において表裏温度差に起因した歪みが生じる。また、光拡散板は、上記冷熱試験により膨張・収縮を繰り返すから、前記L1、L2に対してWが適切な範囲内の大きさでない場合、光拡散板が膨張した際には光拡散板の側面がランプボックス5の縁枠部51の段部の側面に当接して歪みを生じ、光拡散板が収縮した際には光拡散板の端縁がランプボックス5の縁枠部51の内縁からボックス5の内部空間内に落ち込み、ボックス5の側面壁5aに光拡散板の側面が当接して歪みを生じる。これらの歪みが光拡散板に対し局所的に集中して負荷されると割れや変形が生じやすい。
【0062】
ここで、表1から明らかなように、実施例1、2の面光源装置では、アイゾッド衝撃強さが2〜10kJ/mであるプロピレン樹脂板からなる光拡散板を用いているから、光拡散板は上記歪みに強く、厳しい冷熱環境に晒されても光拡散板に割れや変形(うねり等)を生じることがない。
【0063】
これに対し、比較例1、2の面光源装置では、光拡散板(ポリスチレン板)のアイゾッド衝撃強さが1.4kJ/mであるから、厳しい冷熱環境に晒されると割れやうねりを生じた。
【0064】
上記実施例1、2及び比較例1、2の冷熱試験において、面光源装置の光拡散板の前面側には何も配置されていない構成である(光拡散板が冷風・温風に直接に晒される状態にある)が、例えば実施例1、2及び比較例1、2の面光源装置の光拡散板の前面に、プリズムフィルムを介して液晶パネル10を装着した構成(即ち液晶表示装置)として前記同様に冷熱試験(400サイクル)を行っても、表1に示す結果と同様の冷熱試験結果が得られた、即ち実施例1、2では光拡散板に割れや変形(うねり等)を生じない一方、比較例1、2では割れやうねりを生じた。なお、2000サイクルの冷熱試験を行った場合にも同様の冷熱試験結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0065】
この発明の面光源装置は、液晶表示装置用のバックライトとして好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0066】
1…面光源装置
2…光源
3…光拡散板
3a…前面(表面)
3b…背面(裏面)
4…スペーサピン
5…ランプボックス
5a…背面壁
5b…側面壁
51…縁枠部
10…液晶パネル
20…液晶表示装置
31…フレーム体
32…前面縁枠部
32b…背面
33…側面被覆部
33a…内面
35…ゴムパッキン
90…測定点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面側が開放されたランプボックスと、
前記ランプボックス内に互いに離間して配置された複数の光源と、
前記ランプボックスの縁枠部の前面に当接して該ランプボックスの開放面を塞ぐように配置された光拡散板と、
平面視フレーム形状の前面縁枠部の外縁から背面側に向けて側面被覆部が延設されてなる、横断面形状が略L字形状のフレーム体と、を備えた面光源装置であって、
前記フレーム体の前面縁枠部が、前記光拡散板の前面の周縁部を被覆するように配置され、前記フレーム体の側面被覆部が、前記ランプボックスの側面壁を被覆するように配置され、
前記面光源装置は、該面光源装置を−35℃にセットされた冷熱槽内に30分間配置せしめた後直ちに85℃にセットされた加熱槽内に配置し、この加熱槽内に配置してから200秒後における該面光源装置の光拡散板の表面と裏面の温度差が9箇所の測定点の平均値で20℃以上になるものであり、
前記光拡散板として、アイゾッド衝撃強さが2〜10kJ/mであるプロピレン樹脂板が用いられていることを特徴とする面光源装置。
【請求項2】
前記フレーム体の前面縁枠部の背面と、前記光拡散板の前面との距離が0.05〜3.00mmの範囲である請求項1に記載の面光源装置。
【請求項3】
前記フレーム体の前面縁枠部の背面と前記光拡散板の前面との間に、これら両面に当接状態にゴムパッキンが配置されている請求項1または2に記載の面光源装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の面光源装置と、該面光源装置の前面側に配置された液晶パネルとを備えることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−134629(P2011−134629A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293874(P2009−293874)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】