説明

面光源装置用ソーダライムガラス基板及びその製造方法、面光源装置、並びにバックライトアセンブリ

【課題】 面光源装置用ソーダライムガラス基板及びその製造方法、面光源装置、並びにバックライトアセンブリを提供する。
【解決手段】 ガラス表面のナトリウムイオンがカリウムイオンにイオン交換されたソーダライムガラス基板を含む面光源装置200は、第1基板210、前記第1基板210と対向するように配置されて内部空間を区画する第2基板220、及び前記内部空間に電圧を印加する放電用電極部250を含む。前記第1基板210及び第2基板220のうち、少なくとも一つの基板は、ソーダライムガラス基板を含み、ソーダライムガラス基板の表面の全部又は一部は、ナトリウムイオンがカリウムイオンにイオン交換されたイオン交換層を含む。前記面光源装置200は、ナトリウムイオンが除去されてナトリウム溶出による変色等の問題点を解決することができ、更にガラス基板自体の強度を増加させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面光源装置用ソーダライムガラス基板及びその製造方法、前記面光源装置用ソーダライムガラス基板を含む面光源装置、並びに前記面光源装置を含むバックライトアセンブリに関する。より詳細には、ソーダライムガラスで構成された面光源装置用ガラス基板及びその製造方法と、前記ソーダライムガラス基板を含み、ナトリウム溶出による光源の変色を防止することができる面光源装置と、前記面光源装置を含むバックライトアセンブリとに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶表示装置に用いられる面光源装置は、その内部に放電空間を有し、前記放電空間には、水銀ガス、アルゴンガス等の放電ガスが満たされている。放電ガスに電圧が印加されると、放電ガスが励起されて紫外線を放出し、この紫外線は、放電空間を区画する内部基板の表面に塗布された蛍光体膜を励起させて可視光線を放出させる。
【0003】
前記放電空間を区画する方法には、大きく分けて二つの方法がある。一つの方法は、ガラス基板を成型加工して、複数の放電空間を形成する方法(以下、「ガラス成型方法」という)であり、他の方法は、二枚のガラス基板の間にガラス又はセラミック材質の隔壁を配置して、多数の放電空間を形成する方法(以下、「隔壁形成方法」という)である。
【0004】
前記ガラス成型方法は、ガラス基板をその成型加工が可能な一定温度に加熱し、隔壁によって分離され、又は互いに連結される多数の放電チャンネルを有するように、特定の金型を利用して前記ガラス基板を成型加工した後、前記加工されたガラス基板と他のガラス基板とをシリング用フリットを用いて接合することによって、多数の放電空間を形成する方法である。
【0005】
ガラス成型方法によって放電空間を形成する時に主に使用されるガラスは、ホウケイ酸ガラスである。ホウケイ酸ガラスは、ガラス中にナトリウム成分が殆どないので、ランプの黒化による面光源装置の寿命の減少、及び蛍光体の発光効率の低下の虞が少ない。しかし、前記ホウケイ酸ガラスは、その軟化点が約821℃と非常に高いので、ガラス成型方法によって放電空間を形成することに限界があり、且つガラスの価格も高いので、面光源装置の単価上昇の要因として作用していた。
【0006】
前記ホウケイ酸ガラスの代替として、ソーダライムガラスを前記ガラス成型方法に適用する場合、面光源装置の製造単価を低減することができる長所があるが、ランプの製造後に、水銀とガラス中のナトリウムとの反応によって発生するランプの黒化現象による面光源装置の寿命の減少と、蛍光体の発光効率の低下という問題、及びナトリウムの溶出によってソーダライムガラスの表面にアマルガムが形成されて光源が変色するという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記のような問題点を解決するための本発明の第1の目的は、ソーダライムガラス表面のナトリウムイオンがカリウムイオンにイオン交換され、ソーダライムガラスの強度が向上された面光源装置用ソーダライムガラス基板を提供することにある。
【0008】
本発明の第2の目的は、ソーダライムガラスの強度が向上された面光源装置用ソーダライムガラス基板の製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明の第3の目的は、前記面光源装置用ソーダライムガラス基板を含み、ナトリウム溶出による光源の変色を防止することができる面光源装置を提供することにある。
【0010】
本発明の第4の目的は、前記面光源装置を光源として含み、ナトリウム溶出による光源の変色を防止することができるバックライトアセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の目的を達成するためのソーダライムガラス基板は、ガラス表面のナトリウムイオンがカリウムイオンにイオン交換されたイオン交換層を含む。
【0012】
本発明の第2の目的を達成するための面光源装置用ソーダライムガラス基板の製造方法は、ソーダライム板ガラスをその軟化点以上に加熱する段階、加熱されたソーダライム板ガラスを予熱された金型に移動させて、前記ソーダライム板ガラスが複数の隔壁を有するように成型する段階、及び成型されたソーダライム板ガラスを冷却しながら、前記隔壁の表面に存在するナトリウムイオンをカリウムイオンにイオン交換させる段階を含む。
【0013】
本発明の第3の目的を達成するための面光源装置は、第1基板、第2基板、及び放電用電極部を含む。前記第2基板は、前記第1基板の上方に設けられ、放電ガスが注入される内部空間を区画する。前記放電用電極部は、前記放電ガスに電圧を印加する。前記第1基板及び第2基板のうち、少なくとも一つの基板は、ガラス表面のナトリウムイオンがカリウムイオンにイオン交換されたイオン交換層を含むソーダライムガラス基板である。
【0014】
本発明の第3の目的を達成するための他の面光源装置は、第1基板及び第2基板を含む。前記第2基板は、前記第1基板との間に内部空間を区画する。前記第1基板及び第2基板はソーダライムガラスを含む。前記第1基板又は第2基板の両側部には、放電用電極部が設けられる。前記放電用電極部に対応する前記基板は、ナトリウムイオンがカリウムイオンにイオン交換されたイオン交換層を含む。
【0015】
本発明の第4の目的を達成するためのバックライトアセンブリは、面光源装置、上部ケース及び下部ケース、光学シート、及びインバータを含む。前記面光源装置は、第1基板、前記第1基板と対向するように配置されて放電ガスが注入される内部空間を区画する第2基板、及び前記放電ガスに電圧を印加する放電用電極部を含む。前記第1基板及び第2基板のうち、少なくとも一つの基板は、ガラス表面のナトリウムイオンがカリウムイオンにイオン交換されたソーダライムガラスからなる。前記上部ケース及び下部ケースは面光源装置を収納する。前記光学シートは、前記面光源装置と前記上部ケースとの間に介在され、バックライトアセンブリから照射される光の光学特性を向上させる。前記インバータは、前記面光源装置を駆動するための放電電圧を前記放電用電極部に印加する。
【0016】
前記第4の目的を達成するための他のバックライトアセンブリは、面光源装置、上部ケース及び下部ケース、光学シート、及びインバータを含む。前記面光源装置は、第1基板、及び前記第1基板と対向して配置され、前記第1基板との間に内部空間を区画する第2基板を含み、前記第1基板及び第2基板はソーダライムガラスを含む。前記第1基板及び第2基板のうち、少なくとも一つの基板の両側部には、放電用電極部が設けられる。前記上部ケース及び下部ケースは前記面光源装置を収納する。前記光学シートは、前記面光源装置と前記上部ケースとの間に介在され、バックライトアセンブリから照射される光の光学特性を向上させる。前記インバータは、前記面光源装置を駆動するための放電電圧を前記放電用電極部に印加する。前記面光源装置の放電用電極部に対応する基板は、ガラス表面のナトリウムイオンがカリウムイオンにイオン交換されたイオン交換層を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
ソーダライムガラス基板
(第1実施例)
本発明の面光源装置用ソーダライムガラス基板(以下、単にソーダライムガラス基板という)は、ガラス表面のナトリウムイオンがカリウムイオンにイオン交換されることにより、カリウムイオンを含む。前記イオン交換のために使用されるイオン交換溶液は、10重量%以上で、且つ溶解度以下の濃度範囲の硝酸カリウムを含有する硝酸カリウム水溶液及び酸化亜鉛粉末が混合されたスラリー溶液であり、440〜480℃の温度を有するガラス表面に噴射される。具体的には、槽に工業用硝酸カリウム440gと蒸留水2000mlとを入れて、それらを常温で完全に溶解させる。その後、槽に1μmの平均粒度を有する酸化亜鉛粉末800gを入れた後、酸化亜鉛粉末が充分に分散されるまで攪拌することにより、スラリー溶液であるイオン交換溶液が製造される。
【0019】
硝酸カリウム水溶液内の硝酸カリウムの濃度が10重量%未満であれば、イオン交換に必要なカリウムイオンの濃度が充分ではないので、イオン交換速度が遅くなる。そのため、ガラス表面に充分な圧縮応力層が形成されないので、ソーダライムガラス基板の強度が大きく増加されない。反面、硝酸カリウムの濃度が硝酸カリウムの溶解度を超過すると、硝酸カリウムが充分に溶解されないので、ガラス表面において局部的なイオン交換が行われ、ガラス表面に均質な圧縮応力層が形成されない。前記イオン交換が行われるガラス表面の温度が440〜480℃の範囲を外れると、イオン交換反応が有効に進行することができない。
【0020】
前記のように、イオン交換反応が有効に進行するためには、ガラス表面の温度が440〜480℃の範囲でなければならないので、放電空間を形成するための方法のうち、ソーダライムガラス基板を高温に加熱する段階を含むガラス成型方法の場合には、ソーダライムガラス基板が高温に加熱された後、ソーダライムガラス基板の温度は、ソーダライムガラス基板の冷却過程中に前記範囲を通過するので、成型過程中にイオン交換段階が含まれる。隔壁形成方法によって放電空間を形成する場合には、面光源装置の製造前に、予めイオン交換されたソーダライムガラス基板を準備しなければならない。
【0021】
面光源装置
(第2実施例)
図1は、第2実施例による面光源装置の断面図である。
【0022】
図1を参照すると、本実施例による面光源装置100は、放電ガスが注入された内部空間を有する光源本体、及び放電ガスが注入された内部空間に電圧を印加するための放電用電極部150を含む。一方、放電ガスは水銀を含む。
【0023】
本実施例による面光源装置100は、隔壁分離型である。従って、光源本体は、第1基板110、第1基板110の上方に配置された第2基板120、第1及び第2基板110、120の周縁の間に配置されて内部空間を区画する密封部材130、及び内部空間を複数の放電空間Sに分割する複数の隔壁140を含む。各隔壁140は内部空間において互いに平行に配列され、内部空間を複数の放電空間Sに分割する。放電空間Sを互いに連通させるために、隔壁140が蛇腹状に配列されてもよいし、貫通孔(図示せず)が隔壁140に形成されてもよい。
【0024】
第1及び第2基板110、120として、選択的にガラス表面のナトリウムイオンがカリウムイオンにイオン交換されたソーダライムガラス基板を使用することができるが、第2基板120としてソーダライムガラス基板を使用することが好ましい。隔壁140にも、ナトリウムイオンがカリウムイオンにイオン交換されたソーダライムガラスを使用することができる。
【0025】
放電用電極部150は、隔壁140の配列方向と実質的に直交する方向に沿って、第1及び第2基板110、120の両側部の放電空間Sに面していない表面に形成される。放電用電極部150は、導電性テープ及び導電性ペーストを含むことができる。
【0026】
第1基板110の放電空間Sに面する表面には、反射層160が形成される。前記反射層160は、放電空間Sから発生した光のうち、第1基板110に向かう光を第2基板120に反射させる役割を果たす。前記反射層160の表面上には、第1蛍光層171が形成される。第2基板120の放電空間Sに面する表面には、第2蛍光層172が形成される。
【0027】
(第3実施例)
図2は、第3実施例による面光源装置の断面図である。図3は、図2のA部分の拡大図である。図4は、図2の面光源装置に使用されるソーダライムガラス基板の斜視図である。
【0028】
図2乃至図4を参照すると、本実施例による面光源装置200は、水銀等の放電ガスが注入される内部空間を有する光源本体、及び放電ガスに電圧を印加するための放電用電極部250を含む。
【0029】
本実施例による面光源装置200は、隔壁一体型である。従って、光源本体は、第1基板210と、第1基板210の上方に配置され、且つ隔壁部240を一体に有する第2基板220とを含む。前記隔壁部240は、第1基板210に当接して複数の放電空間Sを形成する。第1基板210の両側部に位置する隔壁部240は、シリング用フリット260を介して第1基板210に接合される。隔壁部240の幅は、ほぼ1〜2mmである。放電空間Sを互いに連通させるために、隔壁部240が蛇腹状に配列されてもよいし、貫通孔(図示せず)が隔壁部240に形成されてもよい。
【0030】
放電空間Sを形成するためのソーダライムガラス基板の製造方法は、ソーダライム板ガラスの成型段階を含む。この成型段階では、ソーダライム板ガラスのナトリウムイオンが、イオン交換溶液中のカリウムイオンにイオン交換される。放電空間Sを形成するソーダライム板ガラスを成型するために、まず、ソーダライム板ガラスが、そのイオン交換が可能な温度に加熱される。ソーダライム板ガラスは、その軟化点が約736℃であってホウケイ酸ガラスの軟化点より約100℃低いので、成型がより容易である。軟化点以上の温度に加熱されたソーダライム板ガラスは、成型のために予熱された金型に移動され、図4に示されたような形態に成型される。その後、ソーダライム板ガラスは徐冷炉で徐々に冷却されるが、冷却される過程でソーダライム板ガラスの温度が440〜480℃の範囲に到達すると、予め準備されたイオン交換溶液がソーダライム板ガラスの表面に噴射されて、ソーダライム板ガラスの表面のナトリウムイオンと、イオン交換溶液内のカリウムイオンとのイオン交換反応を進行させる。好ましくは、前記イオン交換溶液は、ソーダライムガラス基板の放電空間と接する表面にのみ噴射される。前記イオン交換溶液は、10重量%以上で、且つ溶解度以下の濃度範囲の硝酸カリウムを含有する硝酸カリウム水溶液及び酸化亜鉛粉末が混合されたスラリー溶液である。前記混合される酸化亜鉛粉末の濃度は、好ましくは硝酸カリウム水溶液内で15重量%〜50重量%である。前記酸化亜鉛粉末の濃度が15重量%未満であれば、酸化亜鉛粉末が担持する硝酸カリウムの量が少なく、ガラス表面の被覆厚さが薄くなって、ガラス表面のナトリウムイオンをカリウムイオンにイオン交換することができないという問題点がある。反面、酸化亜鉛粉末の濃度が50重量%を超過すると、イオン交換溶液の粘性が大幅に増加し、均質なイオン交換溶液の製造が難しくなるという問題点がある。イオン交換反応が終了すると、追加的な冷却過程を経て成型が完了する。
【0031】
前記ソーダライムガラス基板は、置換されたカリウムイオンのイオン半径がナトリウムのイオン半径より大きいので、内部に圧縮応力層が形成され、イオン交換処理されていないソーダライムガラス基板に対して強度が増加される。
【0032】
前記のようなソーダライムガラス基板が、第2基板220用として使用される。又、イオン交換処理のみが行われ、成型されていないソーダライムガラス基板が、第1基板210として使用されることができる。
【0033】
ソーダライムガラス基板の放電空間Sに面する表面は、ナトリウムイオンがイオン交換によってカリウムイオンに置換されており、ナトリウムと水銀ガスとの反応、及びナトリウム溶出によるアマルガム形成等の問題点が発生しない。
【0034】
放電用電極部250は、隔壁部240の配列方向とほぼ直交する方向に沿って、第1及び第2基板210、220の両側部の放電空間Sに面していない表面に形成される。反射層が第1基板210の放電空間Sに面する表面に形成される。第1蛍光層(図示せず)が第1基板の放電空間Sに面する表面に形成され、第2蛍光層(図示せず)が、第2基板220の放電空間Sに面する表面に形成される。
【0035】
(第4実施例)
図5は、第4実施例による面光源装置を示す断面図であり、図6は、図5の面光源装置に使用されるソーダライムガラス基板を示す斜視図である。
【0036】
本実施例による面光源装置300は、第2基板を除いては、第3実施例による面光源装置とほぼ同様に構成される。従って、同じ部材には同じ参照符号を付与して、その説明を省略する。
【0037】
第2基板225は、隔壁部245を一体に有する。隔壁部245を通じて隣接する放電空間Sの間で電流が偏流する現象を抑制するために、隔壁部245の幅は、ほぼ3mm〜5mmであり、好ましくは4mmである。放電空間Sを互いに連通させるために、多様な形態を有する連通路(図示せず)が第2基板225に形成されることができる。
【0038】
(第5実施例)
図7は、第5実施例による面光源装置において、第1基板及び第2基板のうち、いずれか一つの基板が面光源装置から取り除かれた状態を示す平面図である。図8は、第1基板及び第2基板を備える面光源装置の断面図であり、図7のI−I’線から見た断面図である。
【0039】
図7乃至図8を参照すると、本実施例による面光源装置400は、第1基板410、第2基板420、及び放電用電極部432を含む。第1基板410及び第2基板420は、ソーダライムガラスを含む。第1基板410及び第2基板420のうち、いずれか一つの基板のみがソーダライムガラスを含んでもよい。前記第2基板420は第1基板410と対向して配置され、前記第1基板410及び第2基板420の間に内部空間を区画する。前記第1基板410及び第2基板420の両側部430には放電用電極部432が設けられ、前記放電用電極部432は、電圧が印加されると電子を放出する。前記放電用電極部432は層構造をなし、第2基板420の内部空間に面しない表面に形成される。前記放電用電極部432は、前記第1基板410及び第2基板420の全部にわたって形成されてもよい。
【0040】
前記内部空間には、内部空間を複数の放電空間Sに分割するための隔壁440が配置されている。前記第1基板410及び第2基板420の周縁には、内部空間を区画する密封部材460が介在されている。前記隔壁440は、第1基板410及び第2基板420と同様にソーダライムガラスで構成されてもよいし、セラミック材質で構成されてもよい。
【0041】
前記両側部430に形成された放電用電極部432に対応する第1基板410及び第2基板420の放電空間Sに面する表面、及び隔壁440の表面は、それぞれソーダライムガラス内のナトリウムイオンがカリウムイオンにイオン交換されて形成されたイオン交換層470を含む。前記イオン交換層470上には、水銀との反応又は水銀の浸透を抑制するための保護層(図示せず)が形成されることができる。図示しないが、前記保護層上には蛍光層が形成される。前記放電空間S内には、アルゴンガス、ネオンガス、水銀ガス等が注入される。前記保護層の厚さは300〜1100Åである。
【0042】
前記イオン交換層470の厚さは、15〜20μmであることが好ましい。イオン交換層470の厚さの範囲は、面光源装置に約1.8kVの初期電圧が印加されても、イオン交換層470が破損されないようにするのに有効な範囲である。
【0043】
(第6実施例)
図9は、第6実施例による面光源装置の断面図である。
【0044】
図9を参照すると、本実施例による面光源装置500は、第1基板510、第2基板520、及び放電用電極部532を含む。第1基板510及び第2基板520は、ソーダライムガラスで構成される。第1基板510は、ソーダライムガラスではなくホウケイ酸ガラスで構成されてもよい。前記第2基板520は、面光源装置の放電空間Sを形成するために、複数の隔壁540を一体に有するように成型されたものである。前記第1基板510及び第2基板520上には、放電用電極部532が付着される。前記放電用電極部532は、成型された第2基板520の屈曲に沿って堅固に付着される。
【0045】
前記放電用電極部532に対応する第1基板510乃至第2基板520の放電空間Sに面する表面には、ソーダライムガラス表面のナトリウムイオンがカリウムイオンにイオン交換されたイオン交換層570が形成されている。前記イオン交換層570の厚さは、15〜20μmであることが好ましい。前記イオン交換層570の厚さの範囲は、面光源装置に約1.8kVの初期電圧が印加されても、イオン交換層570が破損されないようにするのに有効な範囲である。
【0046】
本実施例による面光源装置は、前記イオン交換層570を形成するための別の工程を必要としないので、製造工程面で効率的である。
【0047】
前記イオン交換層570上には、水銀との反応又は水銀の浸透を抑制するための保護層535が形成される。図示しないが、前記保護層535上には蛍光層が形成される。前記放電空間S内には、アルゴンガス、ネオンガス、及び水銀が注入されている。前記保護膜層の厚さは、300〜1100Åである。
【0048】
前記第1基板510乃至第2基板520の放電空間Sに面する表面において、前記放電用電極部532に対応していない箇所では、保護層によっても充分に水銀とナトリウムとの接触が遮断され得るが、放電用電極部532に対応する箇所では、強い電場が発生して保護層の破壊が発生する虞がある。前記面光源装置500は、前記イオン交換処理によって、前記第1基板510乃至第2基板520の放電空間Sに面する表面において、放電用電極部532に対応する箇所でのナトリウム溶出による光源の変色を防止することができる。
【0049】
バックライトアセンブリ
(第7実施例)
図10は、第7実施例によるバックライトアセンブリを示す分解斜視図である。
【0050】
図10を参照すると、本実施例によるバックライトアセンブリ1000は、第4実施例による面光源装置300、上部ケース1100及び下部ケース1200、光学シート900、及びインバータ1350を含む。
【0051】
前記面光源装置300は、図5に図示した面光源装置300とほぼ同じ構成を有するので、前記面光源装置300についての説明は省略する。一方、前述した他の実施例による面光源装置が前記バックライトアセンブリ1000に採用されることもできる。
【0052】
下部ケース1200は、面光源装置を収納するために、底部1210、及び底部1210の周縁から収納空間を区画するために延長された複数の側壁1220から構成される。面光源装置は、下部ケース1200の収納空間内に収納される。
【0053】
前記インバータ1350は前記下部ケース1200の背面に配置され、面光源装置を駆動するための放電電圧を発生させる。インバータ1350から発生した放電電圧は、第1及び第2電源線1352、1354を通じて面光源装置の放電用電極部250にそれぞれ印加される。
【0054】
光学シート900は、面光源装置300から照射される光を均一に拡散させるための拡散板(図示せず)と、拡散された光に直進性を付与するためのプリズムシート(図示せず)とから構成されることができる。
【0055】
上部ケース1100は、下部ケース1200に結合して面光源装置300と光学シート900とを支持する。上部ケース1100は、面光源装置300の下部ケース1200からの離脱を防止する。
【実施例】
【0056】
イオン交換処理されていない通常のソーダライムガラス基板と、前記第1実施例で製造されたイオン交換溶液によってイオン交換処理されたソーダライムガラス基板との物性を比較した。結果を表1に示す。
【0057】
具体的には、イオン交換処理されていないソーダライムガラス基板と、イオン交換処理されたソーダライムガラス基板との各強度を、UTM機器を利用して測定した。更に、各ガラス基板の強度の比を、3点強度法を利用して測定した。
【0058】
加えて、AFM(DI−3000)機種を使用して、各ガラス基板の表面凸凹の大きさを測定するとともに、腐食の程度を確認した。
【0059】
【表1】

【0060】
前記表1に示すように、イオン交換処理されたソーダライムガラス基板の強度は、イオン交換処理されていない通常のソーダライムガラス基板に対して、3.7倍の強度増加を示す。
【産業上の利用可能性】
【0061】
ガラス表面のナトリウムイオンがカリウムイオンに置換されたソーダライムガラス基板を使用して、面光源装置の放電空間を形成することによって、ナトリウムイオン成分による変色等の副作用を防止して、従来のホウケイ酸ガラスを効果的に代替することができる。これによって、面光源装置の製造費用を節減することができる。又、イオン交換による圧縮応力層の形成により、ガラス基板自体の強度が向上される付加的な効果も得ることができる。
【0062】
基板の表面において放電用電極部に対応していない箇所では、保護層によっても有効に水銀とナトリウムとの接触が遮断され得るが、放電用電極部に対応する箇所では、強い電場が発生して保護層が破壊される虞がある。そのため、基板の表面において前記放電用電極部に対応する箇所にのみ選択的にイオン交換処理をして、効率的にナトリウム溶出による問題点を解決することができる。
【0063】
以上、本発明の実施例によって詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有するものであれば本発明の思想と精神を離れることなく、本発明を修正または変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】第2実施例による面光源装置の断面図である。
【図2】第3実施例による面光源装置の断面図である。
【図3】図2のA部分の拡大図である。
【図4】図2の面光源装置に用いられるソーダライムガラス基板の斜視図である。
【図5】第4実施例による面光源装置を示す断面図である。
【図6】図5の面光源装置に用いられるソーダライムガラス基板を示す斜視図である。
【図7】第5実施例による面光源装置において、第1基板及び第2基板のうち、いずれか一つの基板が面光源装置から取り外された状態を示す平面図である。
【図8】第1基板及び第2基板を備える面光源装置の断面図であり、図7のI−I’線から見た断面図である。
【図9】第6実施例による面光源装置の断面図である。
【図10】第7実施例によるバックライトアセンブリを示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
S…放電空間、100,200,300,400,500…面光源装置、110,210,410,510…第1基板、120,220,225,420,520…第2基板、130,460…密封部材、140,440,540…隔壁、150,250,432,532…放電用電極部、240,245…隔壁部、430…両側部、470,570…イオン交換層、535…保護層、900…光学シート、1000…バックライトアセンブリ、1100…上部ケース、1200…下部ケース、1350…インバータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス表面のナトリウムイオンがカリウムイオンにイオン交換されたイオン交換層を含むことを特徴とする面光源装置用ソーダライムガラス基板。
【請求項2】
前記ガラス基板は、面光源装置の放電空間を形成するための複数の隔壁部を一体に有することを特徴とする請求項1に記載の面光源装置用ソーダライムガラス基板。
【請求項3】
第1基板と、
前記第1基板の上方に配置され、放電ガスが注入される内部空間を区画する第2基板と、
前記放電ガスに電圧を印加する放電用電極部とを含み、
前記第1基板及び第2基板のうち、少なくとも一つの基板は、ガラス表面のナトリウムイオンがカリウムイオンにイオン交換されたイオン交換層を含むソーダライムガラス基板であることを特徴とする面光源装置。
【請求項4】
前記第1基板及び第2基板の周縁の間に介在され、前記内部空間を区画する密封部材と、
前記内部空間を複数の放電空間に分割する隔壁とを含むことを特徴とする請求項3に記載の面光源装置。
【請求項5】
前記隔壁は、ガラス表面のナトリウムイオンがカリウムイオンにイオン交換されたソーダライムガラスを含むことを特徴とする請求項4に記載の面光源装置。
【請求項6】
前記隔壁は、前記第2基板と一体に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の面光源装置。
【請求項7】
第1基板と、
前記第1基板と対向して配置され、前記第1基板との間に内部空間を区画する第2基板とを含み、
前記第1基板及び第2基板はソーダライムガラスを含み、
前記第1基板又は第2基板の両側部には放電用電極部が設けられる面光源装置であって、
前記放電用電極部に対応する前記基板は、ナトリウムイオンがカリウムイオンにイオン交換されたイオン交換層を含むことを特徴とする面光源装置。
【請求項8】
前記第1基板及び第2基板は、それらの表面に保護層を更に含むことを特徴とする請求項7に記載の面光源装置。
【請求項9】
前記第1基板及び第2基板の周縁の間に位置して前記内部空間を区画する密封部材と、前記内部空間内において一定の間隔をおいて形成され、放電空間を形成する複数の隔壁とを含むことを特徴とする請求項7に記載の面光源装置。
【請求項10】
前記隔壁はソーダライムガラスを含み、前記放電用電極部と対向する隔壁は、前記放電空間に露出した隔壁の表面のナトリウムイオンがカリウムイオンにイオン交換されたイオン交換層を含むことを特徴とする請求項9に記載の面光源装置。
【請求項11】
前記隔壁は、前記イオン交換層上に保護層を更に含むことを特徴とする請求項10に記載の面光源装置。
【請求項12】
前記第1基板及び第2基板のうち、いずれか一つの基板は、放電空間を形成するための複数の隔壁を一体に有することを特徴とする請求項7に記載の面光源装置。
【請求項13】
前記放電用電極部は、第1及び第2基板の両側部を囲むことを特徴とする請求項7に記載の面光源装置。
【請求項14】
前記イオン交換層の厚さは、15〜20μmであることを特徴とする請求項7に記載の面光源装置。
【請求項15】
第1基板、前記第1基板と対向するように配置されて放電ガスが注入される内部空間を区画する第2基板、及び前記放電ガスに電圧を印加する放電用電極部を含み、前記第1基板及び第2基板のうち、少なくとも一つの基板は、ガラス表面のナトリウムイオンがカリウムイオンにイオン交換されたソーダライムガラスからなる面光源装置と、
前記面光源装置を収納する上部ケース及び下部ケースと、
前記面光源装置と前記上部ケースとの間に介在された光学シートと、
前記面光源装置を駆動するための放電電圧を前記放電用電極部に印加するためのインバータとを含むことを特徴とするバックライトアセンブリ。
【請求項16】
第1基板、及び前記第1基板と対向して配置され、前記第1基板との間に内部空間を区画する第2基板を含み、前記第1基板及び第2基板はソーダライムガラスを含み、前記第1基板及び第2基板のうち、少なくとも一つの基板の両側部には放電用電極部が設けられる面光源装置と、
前記面光源装置を収納する上部ケース及び下部ケースと、
前記面光源装置と前記上部ケースとの間に介在された光学シートと、
前記面光源装置を駆動するための放電電圧を前記放電用電極部に印加するインバータとを含むバックライトアセンブリであって、
前記面光源装置の放電用電極部に対応する基板は、ガラス表面のナトリウムイオンがカリウムイオンにイオン交換されたイオン交換層を含むことを特徴とするバックライトアセンブリ。
【請求項17】
ソーダライム板ガラスをその軟化点以上に加熱する段階と、
加熱されたソーダライム板ガラスを予熱された金型に移動させて、前記ソーダライム板ガラスが複数の隔壁を有するように成型する段階と、
成型されたソーダライム板ガラスを冷却しながら、前記隔壁の表面のナトリウムイオンをカリウムイオンにイオン交換させる段階とを含むことを特徴とする面光源装置用ソーダライムガラス基板の製造方法。
【請求項18】
前記イオン交換段階は、440〜480℃の温度を有するソーダライム板ガラスの表面に、カリウムイオンを含むイオン交換溶液を噴射する段階を含むことを特徴とする請求項17に記載の面光源装置用ソーダライムガラス基板の製造方法。
【請求項19】
前記イオン交換溶液は、10重量%以上で、且つ溶解度以下の濃度範囲の硝酸カリウムを含有する硝酸カリウム水溶液及び酸化亜鉛粉末が混合されたスラリー溶液であることを特徴とする請求項18に記載の面光源装置用ソーダライムガラス基板の製造方法。
【請求項20】
前記酸化亜鉛粉末の硝酸カリウム水溶液内での濃度は、15重量%〜50重量%であることを特徴とする請求項19に記載の面光源装置用ソーダライムガラス基板の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−28010(P2006−28010A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−201693(P2005−201693)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(504275513)三星コーニング株式会社 (40)
【Fターム(参考)】