説明

面光源装置

【課題】改善した放電効率を発揮することができる面光源装置を提供する
【解決手段】面光源装置内の不純物が、50ppm以下の水分、50ppm以下の窒素30ppm以下の酸素、20ppm以下の一酸化炭素、及び20ppm以下の二酸化炭素を含む。よって、前記のような不純物規格を有する面光源装置は向上した輝度を有するようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面光源装置に関するもので、より詳細には面形態で光を出射する面光源装置内に存在する不純物の規格に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、液晶(LC)は、電気的特性及び光学的特性を兼ね備えている。液晶は、電気的特性による電界の方向に対応して配列が変化し、光学的特性による配列に対応して光の透過率を変化する。
【0003】
液晶表示装置(液晶ディスプレイ、LCD)は、液晶の電気的特性及び光学的特性を利用して映像を表示する。液晶ディスプレイは、CRT等に比べて体積が非常に小さくて重量が軽いという長所を有し、そのためにポータブルコンピューター、通信機器、液晶テレビ及び宇宙航空産業などに広く使用されている。
【0004】
液晶表示装置は、液晶を制御するための液晶制御部(liquid crystal controlling part)及び液晶に光を供給する光供給部(light supplying part)を必要とする。
【0005】
液晶制御部は、第1基板に配置された画素電極(pixel electrode)、第2基板に配置された共通電極(common electrode)及び画素電極と共通電極の間に介在する液晶を含む。画素電極は、解像度に対応して多数個からなり、共通電極は画素電極と反対側に位置する。各画素電極には、互いに異なるレベルの画素電圧(pixel voltage)を印加するために薄膜トランジスタ(thin film transistor; TFT)が連結されており、共通電極には等しいレベルのレファレンス電圧(reference voltage)が印加される。画素電極及び共通電極は、導電性を有する透明な物質で成り立っている。
【0006】
光供給部は、液晶制御部の液晶に光を供給する。光は、画素電極、液晶及び共通電極を順次に通過する。ここで、液晶を通過した映像の質は、光供給部の輝度及び輝度均一性によって大きく左右される。一般的に輝度及び輝度均一性が高いほど、表示品質は良好になる。
【0007】
従来、液晶表示装置の光供給部は、棒形状を有する冷陰極蛍光ランプ(CCFL)またはドット形状を有する発光ダイオード(LED)が主に使用されてきた。CCFLは、輝度が高くて寿命が長く、白熱燈に比べて発熱量が非常に少ないという長所がある。一方、発光ダイオードは、輝度が高いという長所がある。しかし、従来のCCFLまたはLEDには、輝度均一性が良くないという短所がある。
【0008】
したがって、CCFLまたはLEDを光源に持つ光供給部は、輝度均一性を高めるために導光板(LGP)、拡散部材(diffusion member)及びプリズムシート(prism sheet)等の光学部材を含んでいる。それによって、CCFLまたはLEDを使用する液晶表示装置は、光学部材によって体積及び重さが大きく増加する問題点を有している。
【0009】
このような問題点を解消するため、平板形態の面光源装置が提案された。従来の面光源装置は、隔壁分離型と隔壁一体型に分けることができる。
【0010】
従来の隔壁分離型面光源装置は、第1基板、該第1基板上に配置された第2基板、及び第1基板及び第2基板の縁部の間に配置されて内部空間を限定する密封部材を含む。内部空間に隔壁を配列し、内部空間を水銀ガスを含む放電ガスが注入される複数個の放電空間に区切る。第1基板及び第2基板の内面には、蛍光層が形成される。第1基板及び第2基板の両側端部外面に沿って放電ガスに電圧を印加するための電極が形成される。
【0011】
一方、従来の隔壁一体型面光源装置は、第1基板と、該第1基板上に配置された第2基板を含む。第2基板は、複数個の隔壁部を一体に有し、該隔壁部が第1基板に突き合わせられることによって、放電ガスが注入される複数個の放電空間が形成される。第2基板の縁部は、シーリング用フリットを介して第1基板に接合される。第1基板及び第2基板の内面に蛍光層が形成され、放電ガスに電圧を印加するための電極は、第1及び第2基板の外周面(両側端部外面)を覆う。
【0012】
液晶表示装置で消耗される電力の相当部分は、バックライトユニットで消耗される。したがって、消費電力の節減のためには、面光源装置の効率向上が絶対的必要事項であると言える。消費電力を減少させるための努力として、面光源装置の光度を高めて、入力電力対輝度の効率を高めて、面光源装置の駆動周波数(Drive Frequency)を最適化して輝度を高めることができるインバーターを開発しようとする等の試みがなされてきた。
【0013】
本発明は、このような研究成果の一環として、放電効率を高めることができる面光源装置の規格を提示するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、改善した放電効率を発揮することができる面光源装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の面光源装置は、面光源装置の放電空間内に含まれた不純物の中で水分含量が50ppm以下、窒素含量が50ppm以下、酸素含量が30ppm以下、一酸化炭素の含量が20ppm以下、及び二酸化炭素の含量が20ppm以下である。
【発明の効果】
【0016】
前記の本発明によれば、放電空間内の不純物が、50ppm以下の水分、50ppm以下の窒素、30ppm以下の酸素、20ppm以下の一酸化炭素及び20ppm以下の二酸化炭素を含むので、前記のような不純物規格を有する面光源装置は、向上した輝度を有するようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付した図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0018】
面光源装置の不純物は、水分、窒素、酸素、一酸化炭素及び二酸化炭素等を含む。特に、本発明では、水分は50ppm以下、窒素は50ppm以下、酸素は30ppm以下、二酸化炭素は20ppm以下、及び一酸化炭素は20ppm以下である。
【0019】
前記のような不純物規格を有する面光源装置では、不純物が最適の量に調節されて、不純物が放電ガスに影響を与える程度が減少される。したがって、面光源装置は向上した輝度を有するようになる。
【0020】
一方、前記のような不純物規格を有する面光源装置は、図1に図示された隔壁分離型面光源装置100と図2に図示された隔壁一体型面光源装置200に区分することができる。
【0021】
以下では、前記不純物規格を有する隔壁分離型面光源装置と隔壁一体型面光源装置について説明する。
【0022】
図1は、隔壁分離型面光源装置を示した斜視図である。
【0023】
図1を参照すると、隔壁分離型面光源装置100は、放電ガスが注入される複数個の放電空間を有する光源体、及び放電ガスに電圧を印加するための電極150を含む。
【0024】
光源体は、第1基板111、該第1基板111上に配置された第2基板112、第1基板及び第2基板の縁部の間に配置されて内部空間を限定する密封部材130、及び内部空間を複数個の放電空間140に区切る隔壁120を含む。
【0025】
第1基板及び第2基板は、可視光は透過させて紫外線は遮断するガラス材質からなる。第2基板112は、放電空間140で発生した光が出射する出射面になる。
【0026】
隔壁120は、第1方向に沿って内部空間に平行に配列されて、内部空間をストライプ形態(stripe shape)の複数個の放電空間140に区切る。隔壁120の下面は、第1基板111と接触しており、上面は第2基板112と接触している。各放電空間140に放電ガスを注入するために、隔壁120を蛇行構造に配列させたり、または通路(passage hole)(未図示)を隔壁120に形成させることができる。
【0027】
電極150は、第1基板111の底面(下面)に形成された第1電極152、及び第2基板112の上面に形成された第2電極154を含む。特に、第1電極152及び第2電極154は、第1方向と実質的に直交する第2方向に沿って第1基板111及び第2基板112の両側端部に配置される。一方、電極150は、導電性テープまたは導電性ペーストを含むことができる。
【0028】
反射層(未図示)が、第1基板111の表面に形成される。反射層は、放電空間140で発生した光の中で第1基板111方向に向かう光を第2基板112の方向に反射させる役目をする。
【0029】
電圧が印加された放電ガスから発生した紫外線によって励起される第1蛍光層(未図示)を反射層の表面に形成される。第1蛍光層と同じ機能を有する第2蛍光層(未図示)を第2基板112の底面(下面)に形成する。
【0030】
図2は、隔壁一体型面光源装置を示した斜視図である。
【0031】
図2を参照すると、隔壁一体型面光源装置200は、放電ガスが注入される内部空間を有する光源体、及び放電ガスに電圧を印加するための電極250を含む。
【0032】
光源体は、第1基板211、及び第1基板211上に配置されて隔壁部220を一体に有する第2基板212を含む。第1方向に平行に配列された隔壁部220が第1基板211と接触しており、ほぼアーチ形状の複数個の放電空間240を形成する。各放電空間240に放電ガスを注入するために、隔壁部220は、蛇行構造に配列したり、または、連通路225を隔壁部220に形成したりすることができる。特に、連通路225は、隔壁部220上に斜線型またはS字形態に形成することができる。一方、本実施例による隔壁部220は、約1mm乃至5mm程度の幅を有する。
【0033】
電極250は、第1方向と実質的に直交する第2方向に沿って光源体210の両側端部上に沿って配列される。電極250は、第1基板211の底面(下面)に形成された第1電極252、及び第2基板212の上面に形成された第2電極254を含む。
【0034】
反射層(未図示)は、第1基板211の表面に形成される。第1蛍光層(未図示)を反射層の表面に形成し、第2蛍光層(未図示)は第2基板212の底面(下面)に形成する。
【0035】
前記のような構成からなる隔壁一体型面光源装置を製造する方法を下記に示す。第2基板212を成形して、第2基板212に隔壁部を一体に形成する。第2蛍光層を第2基板212の底面(下面)に形成する。その後、第2基板212を焼成させる。一方、第1基板211上に反射層を形成した後、乾燥させる。第1蛍光層を反射層上に形成した後、乾燥させる。その後、第1基板211を焼成させる。
【0036】
前記のように完成された第1基板211及び第2基板212を接合して光源体を完成させる。光源体を加熱しながら真空排気して、光源体内の放電空間の不純物を除去する。続いて、水銀ゲッター(mercury getter)を利用して光源体内に水銀ガスを注入させる。最後に、電極を第1基板211及び第2基板212の外周面(両側端部外面)に形成させる。
【0037】
ここで、前記各焼成工程後に、反射層と蛍光層は大気に露出する。大気に露出した反射層と蛍光層は、大気に含まれた多量の水分と窒素成分を吸収するようになる。反射層と蛍光層に吸収された水分は、面光源装置の放電中に水素と酸素に分解される。
【0038】
水素は、放電空間内で回転震動をして、水銀電子の平均エネルギーを減少させる。したがって、平均エネルギーが減少した水銀電子によって面光源装置の発光効率が低下する。
【0039】
酸素と窒素は、水銀と化学的に結合して水銀酸化物と水銀チッ化物を形成する。水銀酸化物と水銀チッ化物は、放電を起すことができないので、放電空間内の水銀の量が減少する結果を招来する。
【0040】
このように、放電空間内の水分、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素等の不純物は、面光源装置の放電効率に大きな影響を及ぼす。
【0041】
したがって、本発明はこのような点に着眼して、不純物の含量を調節して面光源装置の放電効率を高めることに特徴がある。
【実施例】
【0042】
[面光源装置の製造]
<実験例1>
隔壁一体型面光源装置用光源体を形成した。光源体を550℃の温度で焼成させた。光源体を400℃の温度に加熱しながら排気工程を行った。水銀ガスを光源体内に供給した。最後に、電極を光源体上に形成して、隔壁一体型面光源装置を製造した。
【0043】
<実験例2>
隔壁一体型面光源装置用光源体を形成した。光源体を500℃の温度で焼成させた。光源体を近赤外線を利用して予備加熱した。その後、光源体を400℃の温度に加熱しながら排気工程を行った。水銀ガスを光源体内に供給した。最後に、電極を光源体上に形成して、隔壁一体型面光源装置を製造した。
【0044】
<実験例3>
隔壁一体型面光源装置用光源体を形成した。光源体を500℃の温度で焼成させた。光源体を450℃の温度に加熱しながら排気工程を行った。水銀ガスを光源体内に供給した。最後に、電極を光源体上に形成して、隔壁一体型面光源装置を製造した。
【0045】
<実験例4>
隔壁一体型面光源装置用光源体を形成した。光源体を550℃の温度で焼成させた。光源体を近赤外線を利用して予備加熱した。その後、光源体を450℃の温度に加熱しながら排気工程を遂行した。水銀ガスを光源体内に供給した。最後に、電極を光源体上に形成して、隔壁一体型面光源装置を製造した。
【0046】
<比較例1>
隔壁一体型面光源装置用光源体を形成した。光源体を500℃の温度で焼成させた。光源体を400℃の温度に加熱しながら排気工程を遂行した。水銀ガスを光源体内に供給した。最後に、電極を光源体上に形成して、隔壁一体型面光源装置を製造した。
【0047】
<比較例2>
隔壁一体型面光源装置用光源体を形成した。光源体を500℃の温度で焼成させて光源体を形成した。光源体内に5gの水分を添加した。続いて、光源体を400℃の温度に加熱しながら排気工程を遂行した。水銀ガスを光源体内に供給した。最後に、電極を光源体に形成して、隔壁一体型面光源装置を製造した。
【0048】
[面光源装置内の水分量測定]
実験例1乃至4による面光源装置と比較例1及び2による面光源装置内に存在する水分量を測定して、下記の表1に比較して示した。
【0049】
【表1】

【0050】
前記表に示されたように、焼成工程のみを550℃の温度で遂行して製造した実験例1の面光源装置内では、50ppm以下の水分量が検出された。光源体のみを予備加熱する工程だけを追加して製造した実験例2の面光源装置内でも50ppm以下の水分量が検出された。また、排気工程のみを450℃の温度で遂行して製造した実験例3の面光源装置内でも同様に50ppm以下の水分量が検出された。特に、前記各工程を全て遂行して製造した実験例4の面光源装置内では30ppm以下の水分量しか検出されなかった。
【0051】
一方、比較例1及び2による面光源装置内では、200ppm及び1,000ppm以上の水分量が検出された。
【0052】
以上のような水分量検出結果から、本発明による工程を通じて完成された面光源装置内の水分量が大きく減少することを確認することができる。特に、前記の3種工程全てを遂行して製造した面光源装置内では30ppm以下の水分量しか検出されなかったので、3種工程全てを含む方法を通じて面光源装置を製造することが最も好ましいことが分かる。
【0053】
一方、通常の面光源装置内には200ppm以上の水分、100ppm以上の窒素、50ppm以上の酸素、50ppm以上の二酸化炭素、50ppm以上の一酸化炭素が含まれ、放電効率が悪い。
【0054】
不純物の含量を少なくして試験した結果、放電効率の向上をもたらすことが分かり、特に50ppm以下の水分、50ppm以下の窒素、30ppm以下の酸素、20ppm以下の一酸化炭素及び20ppm以下の二酸化炭素を含むことが好ましいことが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0055】
前記のように本発明によれば、不純物が50ppm以下の水分、50ppm以下の窒素、30ppm以下の酸素、20ppm以下の一酸化炭素及び20ppm以下の二酸化炭素を含む。したがって、不純物が放電ガスに与える影響が最小化されて、面光源装置は向上した輝度を有するようになる。
【0056】
先に説明した本発明の詳細な説明では、本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当の技術分野の熟練した当業者または該当の技術分野に通常の知識を有する者なら、特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び技術領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解できるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】隔壁分離型面光源装置を示した斜視図である。
【図2】隔壁一体型面光源装置を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
100 隔壁分離型面光源装置
200 隔壁一体型面光源装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電空間内の不純物中で水分含量が、50ppm以下であることを特徴とする面光源装置。
【請求項2】
前記不純物中の窒素含量が、50ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の面光源装置。
【請求項3】
前記不純物中の酸素含量が、30ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の面光源装置。
【請求項4】
前記不純物中の一酸化炭素の含量が、20ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の面光源装置。
【請求項5】
前記不純物中の二酸化炭素の含量が、20ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載の面光源装置。
【請求項6】
放電空間内の不純物として、水分含量が50ppm以下、窒素含量が50ppm以下、酸素含量が30ppm以下、一酸化炭素の含量が20ppm以下、及び二酸化炭素の含量が20ppm以下であることを特徴とする面光源装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−242619(P2007−242619A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−58068(P2007−58068)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(504303539)サムスン コーニング カンパニー リミテッド (14)
【Fターム(参考)】