説明

面状発光装置

【課題】作業者の目が疲れずかつ、明るい面状発光装置を提供する。
【解決手段】複数の発光部20を配列して発光面201を構成する面状光源を具備した面状照明装置200であって、前記任意の発光部は、発光面の任意の法線に向かう少なくとも1以上の方向Aに対する輝度が、他の方向の輝度よりも小さい配光分布DLを有する。発光部が集合して発光面を構成する面状光源を有する面状照明装置として、床面に配置されるものは、発光面内で作業する場合が想定されるが、任意の発光部が、発光面の任意の法線に向かう少なくとも1以上の方向すなわち作業者のいる方向に対する輝度が、他の方向の輝度よりも小さい配光分布を有するようにしているため、作業者に過度の光を照射したり、全体として暗くなったりすることなく、作業者に対しては適度な光を照射しつつ、全体として十分な明るさを確保することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面状発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅のリビングダイニングにおいては、その使われ方が多様化しており、同時に複数人が異なる使い方をすることも珍しくはない。
例えば、図9に示すように、ダイニングで食事をしている一方、リビングの一画ではくつろいでいる人がいるような空間においては、開放空間の中で人の存在を感じながらも、プライベート感のあるスペースも確保したいというニーズがあり、モノスペースの中で開放感とプライベート感を同時実現する手法が模索されるようになった。
【0003】
このような中で、物理的な間仕切りを用いずに、光を使ってゾーンを区切ることで、開放スペースでありながらも心理的にはゆるやかに区切られた、ちょっとしたプライベート感を醸成するようなゾーニングという手法が提案されている。例えば、ダイニングとリビングの一画を光でゾーニングする方法が考えられる。
【0004】
ここで用いられる光源としては、複数の平面発光ユニットを連結することにより形成した大型の平面照明装置が提案されている(特許文献1)。
【0005】
このようなゾーニングを実現する手段としては図10のように複数のLEDを面状に配置し、ある程度の厚みを確保して乳白パネルなどで拡散させ均一に発光させるいわゆるLED直下型面光源が考えられる。また有機ELパネルを用いた面光源も考えられる。
【0006】
【特許文献1】特開平11−142652号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしこのような従来の面光源の場合、視線方向によらず、輝度(明るさ)がほとんど一定であることがほとんどである。面光源を使用した図10のような光でゾーニングされた領域で作業(本を読む、食事を取るなど)することを想定すると、作業台と面光源の輝度差が大きくなることになる。作業中も視線は常に作業台のみに向けられているわけではなく面光源やその他の方向に向けられることも多い。視線の方向により目に入る光の量が大きく異なるため、視線の切り替わり時に目の瞳孔などの調節が無意識に頻繁に行われることになり、大きな目の疲れを引き起こすことになる。
【0008】
このように、発光部が集合して発光面を構成する面状光源を有する面状照明器具として、床面に配置されるものは、発光面内で作業する場合が想定されるが、この場合、任意の発光部は、いずれの方向に対する輝度についても略一律であると、作業者に過度の光を照射するか、全体として暗くなるかのいずれかであり、明るくかつ作業者の目が疲れないような面状発光装置が望まれていた。
【0009】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたもので、作業者の目が疲れずかつ、明るい面状発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで本発明では、複数の発光部を配列して発光面を構成する面状光源を具備した面状照明装置であって、前記発光部の少なくとも1つは、発光面の任意の法線に向かう少なくとも1つの方向に対する輝度が、他の方向の輝度よりも小さくなるような配光を有することを特徴とする。
この構成によれば、発光部が集合して発光面を構成する面状光源を有する面状照明装置として、床面に配置されるものは、発光面内で作業する場合が想定されるが、任意の発光部が、発光面の任意の法線に向かう少なくとも1以上の方向すなわち作業者のいる方向に対する輝度が、他の方向の輝度よりも小さい配光を有するようにしているため、作業者に過度の光を照射したり、全体として暗くなったりすることなく、作業者に対しては適度な光を照射しつつ、全体として十分な明るさを確保することが可能となる。
【0011】
また本発明では、上記面状照明装置において、前記発光部は、配光部材を具備した点状光源で構成され、前記配光部材によって、配光が調節可能であるものを含む。
この構成によれば、面状光源は、複数の点状光源を配置してなるものであり、各々の点状光源に設けられた配光部材によって、配光が調節されるため、面状光源の配光制御を各部位ごとに簡単に行うことができる。
【0012】
また本発明では、上記面状照明装置において、前記点状光源は、LED素子であり、前記LED素子の背面側に、可動状態で配設され光射出方向を制御可能な反射性部材からなる配光部材を具備し、前記配光部材によって、配光が調節可能であるものを含む。
この構成によれば、反射鏡などの反射性部材の方向を変えるだけで配光性を調整することができる。
【0013】
また本発明では、上記面状照明装置において、前記点状光源は、LED素子であり、前記LED素子の前面側に、回動可能な複数の半透光性部材からなる配光部材を具備し、
前記配光部材によって、配光が調節可能であるものを含む。
この構成によれば、半球状の半透光性部材を複数個配置し回動可能にすることで、各配光部材の重なり具合を調整し、所望の配光を容易に提供することが可能となる。
【0014】
また本発明では、上記面状照明装置において、発光面上の圧力を検知する検圧部と、検圧部が圧力を検知した領域に向かう方向に対する輝度を、他の方向の輝度よりも小さい配光となるように調節する配光調節部と、を有するものを含む。
この構成によれば、発光面上の圧力を検知する検圧部と、検圧部が圧力を検知した領域(における法線)に向かう方向に対する輝度を、他の方向の輝度よりも小さい配光となるように調節する配光調節部とを有するため、作業者の位置を自動検出して配光制御することが可能となるため、効率のよい配光制御を実現することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明してきたように、本発明によれば、任意の発光部が、発光面の任意の法線に向かう少なくとも1以上の方向に対する輝度が、他の方向の輝度よりも小さい配光を有するようにしているため、作業者に過度の光を照射したり、全体として暗くなったりすることなく、作業者に対しては適度な光を照射しつつ、全体として十分な明るさを確保することが可能となる。ここで、発光面の任意の法線とは通常作業者のいる位置を通る法線であり、任意の法線に向かう方向とは通常作業者のいる方向であることが多い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る面状発光装置について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態の面状発光装置を示す図であり、図1(a)は斜視図、図1(b)はこの断面説明図、図2乃至4はこの面状発光装置を用いた床面発光システムの説明図である。
この面状発光装置200は、図1(a)および(b)に示すように、発光部としてLED素子20を複数個格子状に配列して発光面201を構成する面状光源を具備した面状照明装置であって、このLED素子20の少なくとも一部が、発光面201の任意の法線Sに向かう少なくとも1以上の方向Aに対する輝度が、他の方向の輝度よりも小さい配光分布Dを有することを特徴とする。
【0018】
ここでは、発光部としてのLED素子20からなる、点状光源を複数配列して面状光源を構成している。この点状光源としてのLED素子は図1(b)に示すように、プリント配線基板210上に実装されておりLEDチップ21とその周りに配設された反射鏡からなる配光部材22とで構成され、この配光部材22を動かすことによって、配光分布Dが調節可能に構成され、作業者400の目の方向Aに向かう光が抑制され、光量が小さくなっている。
【0019】
この面状光源は筐体204内に収納され、上面は拡散性の低い透光性パネル(光透過拡散パネル)211で構成されている。この透光性パネル211の上面が床面202を構成し、その周縁部を除く他の領域は発光面201となっている。
【0020】
次にこの面状発光装置の動作について説明する。
図1に示すように、LED素子20から発した光は配光部材22としての反射板により作業者の視線方向Aに向かう光の輝度が小さくこの視線方向A以外にピークを持つ方向に配光制御される。またそのままでは面光源として機能する均斉度が得られないので光透過拡散パネルを用いる。ただし、通常の光透過拡散パネルでは拡散率が高く、パネルを透過した段階で輝度指向性が一様となってしまうので、拡散率が低めのパネル、つまり拡散性の低い透光性パネル(ポリプロピレン)を用いる。この構成により、輝度指向性を変化させつつ、面光源として機能する十分な均斉度を実現することができる。
【0021】
実際には、作業者が座る可能性の高い位置を予め決定しておき、その位置における法線上の所定の高さに向かう方向での輝度分布が小さくなるように、配光部材を調整しておくようにする。また、作業者の座る可能性の高い位置を数箇所設定しておき、そのいずれの位置に対してもその位置における法線上の所定の高さに向かう方向での輝度分布が小さくなるように、配光部材を調整するようにしてもよい。さらにまた、作業者の位置に応じて、配光部材の角度を決定しておき、使用に先立ち、作業者が、位置選択ボタンを押すことで、その点における法線上の所定の高さに向かう方向での輝度分布が小さくなるように、配光部材を調整できるようにしてもよい。なお、ここで、作業者が座卓に座る場合と、椅子を使用する場合など複数の高さを設定しておき、高さについても選択することで、目の高さに応じて配光部材を調整し、配光分布を調整できるようにしておくのが望ましい。
【0022】
なお、この構成によれば発光面の任意の点(P)の発光部は、発光面の任意の法線に向かう少なくとも1以上の方向すなわちここでは作業者のいる方向に対する輝度が、他の方向の輝度よりも小さい輝度指向性を有するので、作業者に対しては目が疲れない程度の適度な輝度の光を照射できる。よってゾーニングの目的を達成でき、作業者の目の疲れをなくすことができる。また全体として十分な明るさを確保することが可能となる。さらにまたゾーン外の人に対しては、輝度は低下していないので十分なゾーニング効果を維持することができる。
【0023】
次にこの面状発光装置を用いた床面発光システムの一例について説明する。
図2は、図1に示した面状発光装置200を光源として用いた床面発光システムの配光制御部材100を床面に臨む面としての壁面1Wに収納した状態を示す斜視図、図3は同床面発光システムの配光制御部材100を展開した状態を示す斜視図、図4は、同側面図である。
この床面発光システムは、配光制御部材100が壁面の一部を構成するように埋め込み形成されており、配光制御部材100の反射面100Sが床面方向に展開し、面状光源としての面状発光装置200の発光面201からの光を床面202に向けて反射することによって、作業面300Sである机300の上面を照射するようにしたものである。
【0024】
机300の上の作業面300Sに向けて光照射を行ないたい時は、図3および4に示すように配光制御部材100を開き、反射面100Sを所望の角度まで開き、図示しない止具で止めて固定する。これにより、面状発光装置200からの光L0は配光制御部材の反射面100Sによって全反射され、反射光L1が机300の作業面300Sを照射する。
机の位置に応じて、図示しないリモートコントローラを用いてこの配光制御部材100の反射面100Sの開き角を調整することで、反射光L1の方向を調整し、作業面300Sに効率よく光照射がなされるように構成される。
【0025】
すなわち本発明の床面発光システムは、配光制御部材100が、床面202に対して垂直に起立された壁面1Wに収納可能な反射面を具備し、面状発光装置200からの出射光に対する反射面のなす角が調整可能であるようにしている。ここでは、この配光制御部材100は、床面202に平行となるように壁面1Wに配設された軸O1と、この軸O1に対して回動可能な反射面100Sとを具備している。
【0026】
上記構成によれば、作業者400に直接光が入るのを抑制することができ、しかも視作業をする場合には、配光制御部材(壁面の一部)が床面方向に展開し、面状発光装置(床面)からの光を床面に向けて反射することによって、作業面を照射する。
このため、配光制御部材100によって、面状発光装置200からの光を床面202および机面に向けて反射できるので、床面202および机面上で視作業する際のモノの視認性を上げることができる。
また、別体の照明を設けなくとも反射光により作業面を照明することができるので、簡便であり、空間が煩雑にならない。また、面状発光装置からの光のみを有効活用できるので電気エネルギーアップにならずにすむ。
【0027】
ここで本発明の面状発光装置200は、面状配列されたLED素子20と配光部材(配光制御反射板)21と散乱性の低い透光性パネル211(光透過拡散パネル)とを具備し、面実装型LED素子(SMD型LED素子)を、配光部材21を構成する反射面の方向を調整しつつ、作業者のメイン作業ポジションにおける視線方向の光が少なくなるように設計がなされている。LED素子はプリント配線基板上に実装してもよいし、基板と一体となったSMD型LED素子を用い、LED素子間で電気配線がなされるようにしてもよい。配光部材21を構成する反射板はアルミニウムなどの金属、またはガラス、プラスチックなどを基材としたものに蒸着法、スパッタリング法などで反射面を形成したものが望ましい。反射面は鏡面または基材にサンドブラスト処理、ディンプル形状などを施し、若干の拡散効果を持たせてもよい。
【0028】
また、本実施の形態では、多数のLED素子がプリント配線基板上に配列されている。各LED光源は、それぞれ赤色光、緑色光、青色光を発光するLED素子をまとめて1つの光源としてもよいし、各発光色で分けられていてもよい。なお、LED素子の発光色は一例であって、かかる発光色に限定されるものではない。なお、各LED素子に流す電流比率を制御することによって、光線の色成分を変化させることが可能である。
【0029】
上記のような光源の周縁に筐体や光透過拡散パネル211を配設し面状発光装置200を形成する。筐体には壁、床等の電気配線と接続するための電気接点が設けられている。また、光透過拡散パネル211は、光源の上方に配設され、光源を発光させたときに、面状発光装置200の発光面201となる。
【0030】
ここで、面状発光装置の筐体を構成する素材としては、プラスチックやこれらにガラス繊維などの強化充填材を配合したもの、アルミニウム合金、鉄、マグネシウム合金のような金属、木材などが適用可能であり、特に限定されるものではないが、割れにくい素材であることが望ましい。
【0031】
また、発光面201を構成する光透過パネル211の構成素材としては、透光性プラスチックやガラスなどが挙げられるが、所望の光学特性が得られ、発光面201を所望の外観にできれば、特に限定されるものではない。また、消灯時に床板や絨毯等の外観が必要な場合は、本発明の目的を損なわない範囲で、光透過パネルの上に床板や絨毯の外観に似せた光透過性の素材を積層してもよいし、光透過パネルに擬似印刷したものを用いてもよい。
【0032】
面状発光装置200は床面202上に床の一部として配設されるが、配設位置は部屋の中央、壁際など特に限定されるものではない。また配置形態としても、固定されていてもよいし、移動可能な構造としてもよい。ここでは一例として、壁際に配設した例を示している。
【0033】
次に配光制御部材100について説明する。
ここに示す配光制御部材100は、壁面に組み込んだものである。
作業面を明るくしたい場合に、配光制御部材を床面方向に展開し、面状発光装置からの光を床面に向けて反射する。この配光制御部材100は回動軸を軸として、180度回動可能である。回動軸には、適度な制動機構が内蔵されており、回動範囲内であれば、任意の角度で保持することが可能である。よって光の反射方向を制御することができるので作業面の位置が変化しても対応可能である。また、配光制御部材の配設位置は、面状発光装置からの光を所望の方向に反射することができれば特に限定されるものではない。
【0034】
また、配光制御部材100の形状、サイズは、所望の光学特性が得られれば特に限定されるものではない。
さらに、配光制御部材の光反射面100Sは、鏡面、光拡散面など所望の光学特性が得られれば特に限定されるものではない。
【0035】
ここで、配光制御部材100を構成する素材としては、プラスチックやこれらにガラス繊維などの強化充填材を配合したもの、アルミニウム合金、鉄、マグネシウム合金のような金属、木材、石膏ボードなどが適用可能であるが特に限定されるものではない。
【0036】
(実施の形態2)
次に本発明の実施の形態2について説明する。
図5は本発明の実施の形態2の面状発光装置を示す図であり、図5(a)は斜視図、図5(b)はこの断面説明図、図6は1つのLED素子の拡大斜視図である。
この面状発光装置200は、前記実施の形態1の面状発光装置に比べLED素子20の配光部材をLEDチップ21の背面に設けられる反射板に代えて、図6に示すように、LEDチップ21の前面を囲む半球状半透光性フィルムを配光部材32として用いたことを特徴とするものである。この半球状半透光性フィルムからなる配光部材32はLEDチップを中心として回動可能な半球状半透光性フィルムからなる可動片32a、32bを具備しており,この可動片32a、32bの重なり具合によって作業者の目の方向の光を遮光するように構成している。この点状光源としてのLED素子は図5(b)に示すように、プリント配線基板210上に実装されておりLEDチップ21とその前面に配設された配光部材32とで構成され、この配光部材32を動かすことによって、配光分布Dが調節可能に構成され、作業者400の目の方向Aに向かう光が抑制され、光量が小さくなっている。
【0037】
他部については、前記実施の形態1の面状発光装置と同様に形成されており、図5(a)および(b)に示すように、発光部としてLED素子20を複数個格子状に配列して発光面201を構成する面状光源を具備した面状照明装置であって、このLED素子20のそれぞれが、発光面201の、作業者400の位置の法線Sに向かう方向に対する輝度が、他の方向の輝度よりも小さい配光分布を有することを特徴とする。
【0038】
ここでも、発光部としてのLED素子20からなる、点状光源を複数配列して面状光源を構成している。
ここでも、LED素子から発した光は、半球状半透光性フィルムからなる配光部材32を用いたことにより作業者の視線方向以外にピークを持つ方向に配光制御する。またそのままでは面光源として機能する均斉度が得られないため、低拡散性の透光性パネルを用いる。ただし、通常の低拡散性の透光性パネルでは拡散率が高く、パネルを透過した段階で輝度指向性が一様となってしまうので、拡散率が低めのパネルを用いる。それにより輝度指向性を変化させつつ、面光源として機能する十分な均斉度を実現することができる。
【0039】
またこの構成によれば、面状光源は、複数の点状光源を配置してなるものであり、各々の点状光源に設けられた光学部材によって、輝度指向性が調節されるので,面状光源の配光制御を各部位ごとに簡単に行うことができる。作業者の位置、好みによって柔軟に特性を変化させることができる。
【0040】
(実施の形態3)
次に本発明の実施の形態3について説明する。
図7は本発明の実施の形態3の床面発光システムに用いられる面状発光装置を示す図であり、図7(a)は斜視図、図7(b)はこの断面説明図である。
この面状発光装置200は、前記実施の形態2の面状発光装置に比べ、圧力センサ501からなる検圧部を具備した点が異なる。すなわち、この面状発光装置200は、発光面上の圧力を検知する圧力センサ501からなる検圧部と、検圧部が圧力を検知した方向に対する輝度を、他の方向の輝度よりも小さい配光分布Dとなるように調節する配光調節部としての制御ボックス502とを具備している。
【0041】
この面状発光装置では、圧力センサ501からの出力に基づいて、作業者400の位置を検出する。そして、この検出結果に基づき制御ボックス502で信号処理を行い、自動的に作業者の位置検出を行ないLED素子20の配光部材を動かし、作業者400の方向の光を遮光して作業者400の方向の光量が小さくなるように、配光分布を制御し、作業者400の目に光が入射する光量を低減するようにしている。
【0042】
ここでも配光部材32は、図6に示したのと同様のものを使用しており、LEDチップ21の前面を囲む半球状半透光性フィルムを配光部材32として用いている。この半球状半透光性フィルムからなる配光部材32はLEDチップを中心として回動可能な可動片32a、32bを具備しており,この可動片32a、32bの重なり具合によって作業者の目の方向の光を遮光する。この点状光源としてのLED素子は図7(b)に示すように、プリント配線基板210上に実装されておりLEDチップ21とその前面に配設された配光部材32とで構成され、圧力センサ501の出力に基づいて制御ボックス502が出力する信号により、この配光部材32の可動片32a、32bを動かすことによって、これらの重なり具合により、配光分布が調節可能に構成され、作業者400の目の方向Aに向かう光が抑制され、光量が小さくなる。
【0043】
また、この圧力センサ501の上層は保護シート212で被覆され、表面が平坦となるように構成されている。
【0044】
なお、圧力センサ501としては、機械式と電子式があり、電子式にはさらにシリコンダイヤフラム式にステンレスダイヤフラム式に分けられる。ここでは圧力を感知し、それを電気信号としてフィードバックできるものであればいかなる方式でも適用可能である。
【0045】
更に、保護シート212としては、圧力センサ501を保護し、表面の平坦化を図ることのできるシート状体が用いられるが、光をほとんど損失、拡散することのない透明シートであることが望ましい。また実際に圧力がかかった領域のみの圧力センサに力が伝わるやわらかい素材であることが望ましく、例えばポリプロピレンなどが望ましいが、これに限定されるものではない。
【0046】
また、制御ボックス502としては、圧力センサ501からの電気信号を受けてデータ取得、演算、命令をするためのものが望ましい。
【0047】
次に本実施の形態の面状発光装置の動作について説明する。
図8は作業者視線方向の輝度値を自動的に少なくするためのフローチャートである。
まず、面状発光装置200の床面202に人が座ると、結果的に複数の圧力センサ501がこれを検知する(S1001)。
そして、この各圧力センサ501の検出結果に基づき、圧力を感知した複数の圧力センサ501のうち、中央の圧力センサ501の位置を検出する(S1002)。
【0048】
上記演算処理により得られた中央の圧力センサ501の中心位置を作業者400の位置とし、この位置における法線S上の床面202から所定の高さHの位置を作業者400の目の位置Oとし、各LED素子20に対してこの位置Oを臨む方向を決定する(S1003)。これらの一連の演算処理は制御ボックス502で行うものとする。
このようにして決定された方向における輝度が最小となるように配光片の位置を制御する(S1004)。
【0049】
このようにして、LED素子20のLEDチップ21から発した光は半透光性フィルムにより作業者の視線方向以外にピークを持つ方向に配光制御される。また面光源として機能する均斉度を高めるために透光性の光拡散パネル211を用いる。ただし、通常の光透過拡散パネルでは拡散率が高く、パネルを透過した段階で輝度指向性が一様となってしまうので、拡散率が低めのパネルを用いる。それにより輝度指向性を変化させつつ、面光源として機能する十分な均斉度を実現することができる。半透光性フィルムは略半球の構造の一部であり、光軸を中心として回転させることができる。
【0050】
以上説明してきたように、本実施の形態によれば、発光面上の圧力を検知する検圧部と、検圧部が圧力を検知した方向に対する輝度を、他の方向の輝度よりも小さい配光分布となるように調節する配光調節部とを有しているため、作業者の位置を自動検出して配光制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態1に係る面状発光装置を示す図
【図2】本発明の実施の形態1に係る面状発光装置を用いた床面発光システムの配光制御部材収納時の状態を示す斜視図
【図3】本発明の実施の形態1に係る面状発光装置を用いた床面発光システムの配光制御部材展開時の状態を示す斜視図
【図4】本発明の実施の形態1に係る面状発光装置を用いた床面発光システムの配光制御部材展開時の状態を示す側面図
【図5】本発明の実施の形態2に係る面状発光装置を示す図
【図6】本発明の実施の形態2に係る面状発光装置で用いられるLED素子を示す図
【図7】本発明の実施の形態3に係る面状発光装置を示す図
【図8】本発明の実施の形態3に係る面状発光装置の動作を示すフローチャート図
【図9】ゾーニング後の面状発光装置を示す図
【図10】従来例の面状発光装置を示す図
【符号の説明】
【0052】
100 配光制御部材
200 面状発光装置
20 LED素子(発光部)
201 発光面
202 床面
211 透光性パネル
212 保護シート
300S 作業面
300 机
400 作業者
501 圧力センサ
502 制御ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光部を配列して発光面を構成する面状光源を具備した面状照明装置であって、
前記発光部の少なくとも1つは、発光面の任意の法線に向かう少なくとも1つの方向に対する輝度が、他の方向の輝度よりも小さくなるような配光をもつ面状照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の面状照明装置であって、
前記発光部は、配光部材を具備した点状光源で構成され、
前記配光部材によって、配光が調節可能である面状照明装置。
【請求項3】
請求項2に記載の面状照明装置であって、
前記点状光源は、LED素子であり、前記LED素子の背面側に、可動状態で配設され光射出方向を制御可能な反射性部材からなる配光部材を具備し、
前記配光部材によって、配光が調節可能である面状照明装置。
【請求項4】
請求項2に記載の面状照明装置であって、
前記点状光源は、LED素子であり、前記LED素子の前面側に、回動可能な複数の半透光性部材からなる配光部材を具備し、
前記配光部材によって、配光が調節可能である面状照明装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の面状照明装置であって、
前記発光面上の圧力を検知する検圧部と、前記検圧部が圧力を検知した領域にむかう方向に対する輝度が、他の方向の輝度よりも小さい配光となるように調節する配光調節部と、を有する面状照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−73553(P2010−73553A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240977(P2008−240977)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】