説明

面状電熱採暖器具の製造方法

【課題】面状電熱採暖器具において、長尺のヒーター線を配設した両端からの放熱エネルギーの無駄遣いを防止する。
【解決手段】面状電熱採暖器具の製造方法であって、下生地1Bの上面の適宜巾の周縁部を除いた内側の略全面の両側に折り返すために交互に設けた略U字状の複数の折り返し部位2aと、両側の折り返し部位2aを接続する略平行状態の複数の略直線部位2bとを備えたヒーター線2を配設する工程と、ヒーター線2を配設した下生地1Bに上生地1Aを重ね合わせてヒーター線2の両側に交互に設けた複数の折り返し部位2aの内側の略直線部位2bに沿って固着した固着部位3を形成する工程と、ヒーター線2の両側の複数の折り返し部位2aの外側を包囲する封鎖部位3aを固着する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上生地と下生地との間に蛇行させた長尺のヒーター線を配設した面状電熱採暖器具の製造方法に関するものであり、更に詳細には、ヒーター線の略U字状に折り返すために交互に配した両側の複数の折り返し部位と、両側の折り返し部位を接続する略平行状態の複数の略直線部位と、ヒーター線の周りの上生地と下生地とを固着した電気マット、電気カーペット、電気毛布、電気座布団、電気ソフトアンカ等の面状電熱採暖器具の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気毛布、電気カーペット、電気マット、電気座布団、電気ソフトアンカ等の上生地と下生地との固着は接着剤や粘着剤を用いた接着や、熱プレスによる熱溶着、糸による縫着等の手段で行われていたが、図2に図示するように、一定間隔を有して交互に略U字状の折り返し部位と、該折り返し部位の両側から延設させた略直線部位とで、上生地と下生地との固着を行い、その間隔部位にヒーター線を挿通させていた。
【0003】
また、例えば、先に開示された、フェルトよりなる表生地3とフェルトよりなる裏生地2との間にヒーター線6及び温度検知線4を介在して面状からなる本体1を構成する面状採暖具において、前記フェルトよりなる裏生地2の床面側にその裏生地2を圧縮して凹部11を形成するとともに、圧縮しないままの凸部10を形成し、または前記裏生地2を圧縮して形成する凹部11は、そのフェルトの繊維密度を密部で構成し、その厚さを凸部10の厚さより薄くし、または前記裏生地2を、フェルト9と薄い基布8との二層で構成し、そのフェルト9側から部分的にフェルト9を圧縮することで凹部11を形成すると同時に、この凹部11の繊維を薄い基布8に絡みつかせて一体的に形成するもの(特許文献1参照)や、2枚の同種又は異種の片面有毛毛布が各有毛面が外側となるように重ね合われ、これらの各毛布間にヒーター線、センサー線等の電線が配線され、これらの配線を固定するように上記各毛布をキルティング縫製により袋帯状部を形成した電気毛布であって、上記配線を収納する袋帯状部の幅が10〜25mmであり、かつ隣り合って走行するヒーター線、センサー線等の電線の間にほぼ平行な2本のキルティング縫製糸が配置され、それぞれの両端が他のキルティング縫製糸により結ばれているもの(特許文献2参照)等が開示されている。
【特許文献1】特開平10−281481号公報
【特許文献2】実開昭62−188271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然し乍ら、前述の開示されている特許文献1〜2に記載のヒーター線は密着させており、オンオフ時のヒーター線の熱膨張に対応しておらず、また、図2に図したものは、一定間隔を有して交互に略U字状の折り返し部位と、該折り返し部位の両側から延設させた略直線部位とで、上生地と下生地との固着を行い、その間隔部位にヒーター線を挿通させており、つまり、両端が開口された筒状に形成されており、両端から放熱されてエネルギーの無駄遣いをしていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記課題に鑑み、鋭意研鑽の結果、これらの課題を解決するもので、 固着可能な上生地と下生地と、上生地と下生地との間の周縁部の適宜箇所に取着したコネクター又は電源コードと、コネクター又は電源コードに接続した長尺のヒーター線と、を備えた面状電熱採暖器具の製造方法であって、下生地の上面の適宜巾の周縁部を除いた内側の略全面の両側に折り返すために交互に設けた略U字状の複数の折り返し部位と、両側の折り返し部位を接続する略平行状態の複数の略直線部位とを備えたヒーター線を配設する工程と、ヒーター線を配設した下生地に上生地を重ね合わせてヒーター線の両側に交互に設けた複数の折り返し部位の内側の略直線部位に沿って固着した固着部位を形成する工程と、ヒーター線の両側の複数の折り返し部位の外側を包囲する封鎖部位を固着する工程と、を含むものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の面状電熱採暖器具の製造方法は、下生地の上面の適宜巾の周縁部を除いた内側の略全面の両側に折り返すために交互に設けた略U字状の複数の折り返し部位と、両側の折り返し部位を接続する略平行状態の複数の略直線部位とを備えたヒーター線を配設する工程と、ヒーター線を配設した下生地に上生地を重ね合わせてヒーター線の両側に交互に設けた複数の折り返し部位の内側の略直線部位に沿って固着した固着部位を形成する工程と、ヒーター線の両側の複数の折り返し部位の外側を包囲する封鎖部位を固着する工程と、を含むことにより、ヒーター線が固定されていないので熱や外部応力による負荷の影響も受けないもので、また、ヒーター線の両側の複数の折り返し部位の外側を包囲するように固着しているため、ヒーター線が配設された筒状のトンネルの両端が封鎖されており、熱が逃げることを防止する効果を有しており、画期的で実用性の高い有効な発明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の面状電熱採暖器具の製造方法の実施の形態を図面によって具体的に説明すると、図1は本発明の面状電熱採暖器具の製造方法の実施例の説明のための平面図であり、図2は従来の面状電熱採暖器具の説明のための平面図である。
【0008】
本発明は、上生地と下生地との間に蛇行させた長尺のヒーター線を配設した面状電熱採暖器具の製造方法に関するものであり、更に詳細には、ヒーター線の略U字状に折り返すために交互に配した両側の複数の折り返し部位と、両側の折り返し部位を接続する略平行状態の複数の略直線部位と、ヒーター線の周りの上生地と下生地とを固着した電気マット、電気カーペット、電気毛布、電気座布団、電気ソフトアンカ等の面状電熱採暖器具の製造方法に関するものであり、夫々固着可能な上生地1Aと下生地1Bと、該上生地1Aと下生地1Bとの間の何れか一方の周縁部の適宜箇所に取着した商業電源と電気的接続を行うためのコネクターC又は電源コードと、該コネクターC又は電源コードに接続した長尺のヒーター線2と、を備えた面状電熱採暖器具の製造方法であって、前記下生地1Bの上面の適宜巾の周縁部を除いた内側の略全面の両側に折り返すために交互に設けた略U字状の複数の折り返し部位2aと、該両側の折り返し部位2aを接続する略平行状態の複数の略直線部位2bとを備えたヒーター線2を配設する工程と、前記ヒーター線2を配設した下生地1Bに前記上生地1Aを重ね合わせて前記ヒーター線2の両側に交互に設けた複数の折り返し部位2aの内側の前記略直線部位2bに沿って固着した固着部位3を形成する工程と、前記ヒーター線2の両側の複数の折り返し部位2aの外側を包囲する封鎖部位3aを固着する工程と、を含むことを特徴とするものである。
【実施例】
【0009】
即ち、面状電熱採暖器具とは、電気マット、電気カーペット、電気毛布、電気座布団、電気ソフトアンカ等の面状の暖房機器であり、基体は上生地1Aと下生地1Bとの間にヒーター線2を配設しているもので、その基体の外側には適宜、柔軟な外布や弾性体による外装材(図示しない)を付設するものである。
【0010】
そして、夫々固着可能な上生地1Aと下生地1Bとは、織布、不織布が好適であり、異種素材でも同一素材でも構わないものであるが、固着を超音波溶着又は高周波溶着で実施する場合は溶着性が良い、ポリエステル不織布、ポリプロピレン不織布、ナイロン不織布、ポリエチレン不織布等を単体又は複合して使用でき、また、生地にラミネートして用いる場合のラミネートフィルムには、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロンフィルム、ポリエチレンフィルム等が好適なものである。
【0011】
次に、コネクターC又は電源コードは商業電源と電気的接続を行うものであり、上生地1Aと下生地1Bとの間の周縁部の少なくとも一カ所の適宜箇所に取着したものである。
【0012】
次には、ヒーター線2は、コネクターC又は電源コードに接続されているもので、両端がコネクターC又は電源コードに接続された通電性の内部コアの発熱線とその絶縁性の合成樹脂の外皮から成る長尺なものである。
【0013】
更に、下生地1Bの上面の適宜巾の周縁部を除いた内側の略全面に両側に折り返すために交互に設けた略U字状の複数の折り返し部位2aと、両側の折り返し部位2aを接続する略平行状態の複数の略直線部位2bとを備えたヒーター線2を配設する工程では、図1に図示するように、ヒーター線2の配設は上生地1Aと下生地1Bとの間の適宜巾の周縁部を除いた内側に配設するものであり、図示するものは、コネクターCから延設したもので、両側に交互に設けた複数の折り返し部位2aと複数の略直線部位2bとを備えるもので、複数の折り返し部位2aは上生地1Aと下生地1Bとの周縁部を除いた内側に配設され、夫々の折り返し部位2aを接続するように略平行状態の複数の略直線部位2bとを配設されたものである。
【0014】
更には、ヒーター線2を配設した下生地1Bに上生地1Aを重ね合わせてヒーター線2の両側に交互に設けた複数の折り返し部位2aの内側の略直線部位2bに沿って固着した固着部位3を形成する工程とは、固着部位3を形成する手段は特に限定するものでなく、周知の手段で固着部位を形成するもので、上生地1Aと下生地1Bとを固着するもので、固着部位3はヒーター線2の周りに遊び間隔を有したものが好適である。
【0015】
そして、ヒーター線2の両側の複数の折り返し部位2aの外側を包囲する封鎖部位3aを固着する工程とは、図1に図示するように、ヒーター線2が収納されたトンネル状のスペースは両端を封鎖部位3aで封鎖され、暖まった空気が漏れにくいもので省エネルギーに成るものである。
【0016】
また、電気的な接続に必要なコネクターCと蛇行するヒーター線2までの間の配線も両側を固着部位で固着することは勿論のことであり、更に、面状電熱採暖器具の上生地1Aと下生地1Bとの周縁部を糸によって縢り縫着するものである。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、ヒーター線を下生地の上面の適宜巾の周縁部を除いた内側の略全面に両側に折り返すために交互に設けた略U字状の複数の折り返し部位と、両側の折り返し部位を接続する略平行状態の複数の略直線部位とを備えて配設する工程と、ヒーター線を配設した下生地に上生地を重ね合わせてヒーター線の両側に交互に設けた複数の折り返し部位の内側の略直線部位に沿って固着した固着部位を形成する工程と、ヒーター線の両側の複数の折り返し部位の外側を包囲するように封鎖部位を固着する工程と、を含むことにより、ヒーター線が固定されていないので熱や外部応力による負荷の影響も受けないもので、また、ヒーター線の両側の複数の折り返し部位の外側を包囲するように固着しているため、ヒーター線が配設された筒状のトンネルの両端が封鎖されており、熱が逃げることを防止する面状電熱採暖器具の製造方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本発明の面状電熱採暖器具の製造方法の実施例の説明のための平面図である。
【図2】図2は従来の面状電熱採暖器具の説明のための平面図である。
【符号の説明】
【0019】
C コネクター
1A 上生地
1B 下生地
2 ヒーター線
2a 折り返し部位
2b 略直線状部位
3 固着部位
3a 封鎖部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
夫々固着可能な上生地と下生地と、該上生地と下生地との間の何れか一方の周縁部の適宜箇所に取着した商業電源と電気的接続を行うためのコネクター又は電源コードと、該コネクター又は電源コードに接続した長尺のヒーター線と、を備えた面状電熱採暖器具の製造方法であって、前記下生地の上面の適宜巾の周縁部を除いた内側の略全面の両側に折り返すために交互に設けた略U字状の複数の折り返し部位と、該両側の折り返し部位を接続する略平行状態の複数の略直線部位とを備えたヒーター線を配設する工程と、前記ヒーター線を配設した下生地に前記上生地を重ね合わせて前記ヒーター線の両側に交互に設けた複数の折り返し部位の内側の前記略直線部位に沿って固着した固着部位を形成する工程と、前記ヒーター線の両側の複数の折り返し部位の外側を包囲する封鎖部位を固着する工程と、を含むことを特徴とする面状電熱採暖器具の製造方法。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−164546(P2012−164546A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24725(P2011−24725)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(396016973)株式会社広電 (8)
【Fターム(参考)】