説明

靴充電システム

【課題】 従来の充電池を用いた送風靴、加温靴、冷却靴では、充電に手間が掛かる上に、充電不良になる場合があり、雨水等、水濡れによる漏電、感電などの危険性もあった。
【解決手段】
非接触電力供給手段を用い、送電素子たる1次側コイル44で発生した磁束エネルギーを、第1の鉄心43、第2の鉄心30を介して、受電素子たる2次側コイル31に伝達し、第2の整流回路34を経由して充電池26に充電を行うようにし、防水構造とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電池を用いて靴内を換気する靴、充電池を用いて足を加温する靴、充電池を用いて足を冷却する靴の充電システムに関するもので、運動靴、革靴、ブーツ、作業靴、長靴、スリッパなどに適用して最適である。
【背景技術】
【0002】
従来の靴(例えば革靴、スニーカー、ブーツ等)は通気性、換気性が悪く、特に夏場は足の発汗作用により靴内部の温度、湿度が上昇して不快に感じる足蒸れの問題と、靴内部空間が臭くなる足臭の問題があった。
【0003】
そこで、発明者は、一端が靴内部に開口し、他端が外気に開口する空気流路を靴底に設け、この空気流路(以下空気流通路と称する)の途中に換気用の送風機を配置して2次電池(以下充電池と称する)で駆動させ、外気を靴内部側に送風する、あるいは靴内部の空気を外気側に送風することで、高温、多湿で、臭いを伴った靴内部の空気を排除するようにしたものを出願し、公開されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
なお、特許文献1では、高温、多湿で、臭いを伴った靴内部の空気が排除されること、あるいは足表面近傍の空気流れにより足表面の水分が気化されることで、足を冷却することができる。また、特許文献1の他に足を冷却するものとして、靴の底にペルチェ素子を配置し、充電池等の給電により足を冷却するものが特許登録されている(例えば、特許文献2)。
【0005】
また、逆に冬場には冷え性の女性が足に冷えを感じて仕事面、生活面で支障がでる問題があった。そこで、靴の底にヒータを配置し、充電池の給電により足を加温するものが実用新案登録されている(例えば、特許文献3)。
【0006】
【特許文献1】特開2007−296260号公報
【特許文献2】特許 平05−120640号
【特許文献3】登録実用新案第3061750号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1、特許文献2、特許文献3では、充電池を用いる場合、電池収納部から充電池を一端取り外し、接触式充電器に装着して充電し、再度電池収納部に収納しなければならず、手間が掛かる上に、充電池と接触する接触式充電器の機械部品の劣化のため、充電不良になる場合があった。本発明は上記点に鑑み、充電池を取り外すことなく充電でき、しかも、充電不良を大幅に減少できる靴充電システムを提供することを第1の目的とする。
【0008】
また、上記特許文献1、特許文献2、特許文献3では、電池収納部、あるいはその近傍が雨水で濡れていると、電池収納部から充電池を一端取り外した際、あるいは電池収納部に収納する際に、充電池、電池収納部等が濡れてしまい、漏電、感電の危険性があった。本発明は上記点に鑑み、漏電、感電を防止できる安全性の高い靴充電システムを提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、靴内部空間に開口する靴内開口部と外気に開口する外気開口部とを有して空気が通過できる1つ以上の空気送風路と、
空気送風路の靴内開口部および外気開口部のどちらか一方側から他方側に空気を送風する送風手段と、
送風手段を作動させる充電池と、
を具えた送風靴において、
充電池への給電が、充電器に具えられた送電素子と送風靴に具えられた受電素子との間で非接触状態で電力を伝送することのできる非接触電力供給手段によって行われることを特徴とする。
【0010】
これによれば、非接触電力供給手段の給電によって充電池を充電するので、充電池を取り外すことなく充電できる。また、接触式充電器を用いて充電池を充電する場合のように、接触式充電器の機械部品の劣化によって充電が正常に行われないということがない。その結果、充電不良を大幅に減少できる靴充電システムを提供することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、足を加温する加温手段と、
加温手段を作動させる充電池と、
を具えた加温靴において、
充電池への給電が、充電器に具えられた送電素子と加温靴に具えられた受電素子との間で非接触状態で電力を伝送することのできる非接触電力供給手段によって行われることを特徴とする。
【0012】
これによれば、非接触電力供給手段の給電によって、加温手段を作動させる充電池を充電するので、加温靴において、充電池を取り外すことなく充電できる。また、接触式充電器を用いて充電池を充電する場合のように、接触式充電器の機械部品の劣化によって充電が正常に行われないということがない。その結果、充電不良を大幅に減少できる靴充電システムを提供することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、足を冷却する冷却手段と、
冷却手段を作動させる充電池と、
を具えた冷却靴において、
充電池への給電が、充電器に具えられた送電素子と冷却靴に具えられた受電素子との間で非接触状態で電力を伝送することのできる非接触電力供給手段によって行われることを特徴とする。
【0014】
これによれば、非接触電力供給手段の給電によって冷却手段を作動させる充電池を充電するので、冷却靴において、充電池を取り外すことなく充電できる。また、接触式充電器を用いて充電池を充電する場合のように、接触式充電器の機械部品の劣化によって充電が正常に行われないということがない。その結果、充電不良を大幅に減少できる靴充電システムを提供することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明では、請求項1乃至請求項3のいずれか1つにおいて、充電池を収納する収納部が防水構造であることを特徴とする。
【0016】
これによれば、充電池を収納する収納部に雨水、その他の水分が侵入することがない。その結果、充電池の漏電、充電池からの感電を防止できる安全性の高い靴充電システムを提供することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明では、請求項1乃至請求項3のいずれか1つにおいて、充電器が防水構造であることを特徴とする。
【0018】
これによれば、充電器が防水構造であるので、充電器に雨水、その他の水分が侵入することがない。その結果、充電器の漏電、充電器からの感電を防止できる安全性の高い靴充電システムを提供することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明では、請求項1乃至請求項3のいずれか1つにおいて、非接触電力供給手段が防水構造であることを特徴とする。
【0020】
これによれば、非接触電力供給手段が防水構造であるので、非接触電力供給手段に雨水、その他の水分が侵入することがない。その結果、充電する際においても漏電、感電を防止できることができる安全性の高い靴充電システムを提供することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明では、靴内部空間に開口する靴内開口部と外気に開口する外気開口部とを有して空気が通過できる1つ以上の空気送風路と、
空気送風路の靴内開口部および外気開口部のどちらか一方側から他方側に空気を送風する送風手段と、
送風手段を作動させる充電池と、
充電池へ給電する圧電素子と、
を具えた送風靴において、
圧電素子の発電が、歩行運動によって生じる圧電素子の変形によって行われることを特徴とする。
【0022】
これによれば、歩行運動によって生じる圧電素子の変形によって圧電素子が発電し、送風機を作動させる充電池への給電がなされる。その結果、充電池を取り外すことなく充電できる。また、接触式充電器を用いて充電池を充電する場合のように、接触式充電器の機械部品の劣化によって充電が正常に行われないということがない。その結果、充電不良を大幅に減少できる靴充電システムを提供することができる。
【0023】
請求項8に記載の発明では、足を加温する加温手段と、
加温手段を作動させる充電池と、
充電池へ給電する圧電素子と、
を具えた加温靴において、
圧電素子の発電が、歩行運動によって生じる圧電素子の変形によって行われることを特徴とする。
【0024】
これによれば、歩行運動によって生じる圧電素子の変形によって圧電素子が発電し、加温手段を作動させる充電池への給電がなされる。その結果、充電池を取り外すことなく充電できる。また、接触式充電器を用いて充電池を充電する場合のように、接触式充電器の機械部品の劣化によって充電が正常に行われないということがない。その結果、充電不良を大幅に減少できる靴充電システムを提供することができる。
【0025】
請求項9に記載の発明では、足を冷却する冷却手段と、
冷却手段を作動させる充電池と、
充電池へ給電する圧電素子と、
を具えた冷却靴において、
圧電素子の発電が、歩行運動によって生じる圧電素子の変形によって行われることを特徴とする。
【0026】
これによれば、歩行運動によって生じる圧電素子の変形によって圧電素子が発電し、冷却手段を作動させる充電池への給電がなされる。その結果、充電池を取り外すことなく充電できる。また、接触式充電器を用いて充電池を充電する場合のように、接触式充電器の機械部品の劣化によって充電が正常に行われないということがない。その結果、充電不良を大幅に減少できる靴充電システムを提供することができる。
【0027】
請求項10に記載の発明では、請求項7乃至請求項9のいずれか1つにおいて、圧電素子と、充電池と、圧電素子から充電池に至る給電回路とが防水構造であることを特徴とする。
【0028】
これによれば、圧電素子、充電池、給電回路に雨水、その他の水分が侵入することがない。その結果、充電池、圧電素子、給電回路における漏電、感電を回避できる安全性の高い靴充電システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(第1実施形態)
第1実施形態を説明するにあたり、図1は送風靴100の正面図を、図2は図1のA方向から見た一部断面平面図を、図3は駆動・制御ユニットの断面図を、図4は第1実施形態による靴充電システムのブロック図を、図5は充電器の断面図を示す。なお、図2では、図1で示した駆動・制御ユニット23を省略し、アッパー13を想像線で示している。第1実施形態は、本発明の非接触電力供給手段に電磁結合を利用したものである。
【0030】
最初に、送風靴100を簡単に説明する。図1に示すように、送風靴100を構成する靴本体部11は、足200を挿入する挿入口11aを有しており、足200の足裏部200aを支持する底部12、足200の甲部200b等を覆うアッパー13から構成されている。なお、以下の説明では、底部12とアッパー13とで囲まれる領域を靴内部空間11bと称するものとする。
【0031】
底部12は路面と直接接地するアウトソール14、アウトソール14の上側に貼り合わされ、接地時の衝撃を緩和するミッドソール15、さらにミッドソール15の上側に配置され、足200を支持する足底板16から構成されている。
【0032】
底部12には、図2に示すように、空気送風路101、102が形成されており、空気送風路101、102の途中に、送風ユニット18が設けられている。そして、送風ユニット18のシロッコファン19が作動すると、外気が外気開口部20から吸い込まれ、空気送風路101、足底板16の貫通穴16aを経由して、靴内部空間11b側に送風される。一方、靴内部空間11bの湿った空気は、足底板16の貫通穴16bから空気送風路102、外気開口部21を経由して外気側に送風される。送風ユニット18は、本発明の送風機を構成する。
【0033】
ところで、上記アッパー13の側面には、図1に示すように、駆動・制御ユニット23が設けられている。駆動・制御ユニット23の本体部24には、図3に示すように、収納部24aが形成されており、上記シロッコファン19を駆動・制御する駆動・制御回路25、上記駆動・制御回路25に給電する充電池26、後述する受電部27が収納されている。
【0034】
上記本体部24の一端側は、外周部にOリング28が嵌合された着脱自在なフタ24bで塞がれており、駆動・制御回路25、充電池26、受電部27を防水することができる。なお、図3においては、受電部27のうち、後述する第2の整流回路34、補助電源回路35、本体検知/充電制御信号発振回路36、充電制御要マイコン37、コンデンサ38をまとめて受電部27Aと記することとした。
【0035】
上記駆動・制御回路25は、図示しない手動コントローラの制御・送信回路の送信部からの無線による指令信号を受信する受信部を備えており、上記指令信号に基づいてシロッコファン19を駆動・制御する。また、充電池26は、後述する非接触電力供給手段からの給電によって充電されるように構成されており、具体的には、ニッケルカドミウム、ニッケル水素、ニッケル亜鉛、酸化銀亜鉛、リチウムイオン等の充電池が適用されている。
【0036】
また、受電部27は、図4に示すように、複数の磁性体が積層された第2の鉄心30、第2の鉄心30に対して導線を巻回した2次側コイル31、32、33、第2の整流回路34、補助電源回路35、本体検知/充電制御信号発振回路36、充電制御用マイコン37、コンデンサ38を具えている。上記2次側コイル31は本発明の受電素子を構成する。
【0037】
なお、防水性、耐震性を向上させるため、第2の鉄心30、2次側コイル31、32、33は、絶縁性の樹脂で覆うように封入されていても良い。また、第2の鉄心30、2次側コイル31、32、33に加えて、第2の整流回路34、補助電源回路35、本体検知/充電制御信号発振回路36、充電制御用マイコン37、コンデンサ38が絶縁性の樹脂で覆うように封入されていても良い。
【0038】
次に、充電器40について説明する。充電器40は、図4、図5に示すように、本体部41、送電部42を具えており、上記送電部42は、複数枚の磁性体からなる第1の鉄心43、第1の鉄心43に対して導線を巻回した1次側コイル44、45、46、第1の整流回路47、共振回路48、間欠発振回路49、本体検知/充電制御信号受信回路50、コンデンサ51を具えている。上記第1の整流回路47には、交流電源52から交流電流が供給されるようになっている。上記1次側コイル44は本発明の送電素子を構成する。
【0039】
上記本体部41の一端側は、外周部にOリング53が嵌合された着脱自在なフタ41aで塞がれており、第1の鉄心43、1次側コイル44、45、46、第1の整流回路47、共振回路48、間欠発振回路49、本体検知/充電制御信号受信回路50、コンデンサ51を防水することができる。
【0040】
また、防水性、耐震性を向上させるため、 第1の鉄心43、1次側コイル44、45、46、第1の整流回路47、共振回路48、間欠発振回路49、本体検知/充電制御信号受信回路50、コンデンサ51は、絶縁性の樹脂で封入されていてもよい。
【0041】
なお、図5においては、上記第1の整流回路47、共振回路48、間欠発振回路49、本体検知/充電制御信号受信回路50、コンデンサ51を送電部42Aと記することとした。上記1次側コイル44(送電素子)、2次側コイル31(受電素子)は本発明の非接触電力供給手段を構成する。
【0042】
ところで、駆動・制御ユニット23の本体部24には凸部24cが、充電器40の本体部41には凹部41bが、それぞれ形成されており、上記凸部24cと、上記凹部41bとが嵌合した際に、第2の鉄心30と、第1の鉄心43とが所定の隙間を有して対向するように構成されている。なお、上記凸部24cと、上記凹部41bとが嵌合した際には、駆動・制御ユニット23と、充電器40とが所定の固定手段により固定されるようになっている。
【0043】
そして、交流電源52から交流電流が供給されると、第1の整流回路47により、交流電源52から供給される交流電流を直流化し、共振回路48により高周波の発振を行い、1次側コイル44で発生した磁束エネルギーを、第1の鉄心43、第2の鉄心30を介して、2次側コイル31に伝達し、第2の整流回路34を経由して充電池26に充電を行うことができる。上記のように、第1実施形態では、非接触電力供給手段に電磁結合を利用している。
【0044】
なお、充電器40に交流電流が供給された状態で、第1の鉄心43近傍に金属が配置されると、この金属が発熱をしてしまうため、上記凹部41bと上記凸部24cが嵌合していないときは、間欠発振回路49によって間欠発振させ、上記凹部41bと上記凸部24cが嵌合しているときにのみ、急速に充電を行わせることができる。
【0045】
上記凹部41bと上記凸部24cが嵌合がされているか否かの検知は、駆動・制御ユニット23側に配置した本体検知/充電制御信号発振回路36、2次側コイル31と、充電器40側に配置した1次側コイル44、本体検知/充電制御信号受信回路50とによって行われ、充電制御用マイコン37により充電が制御される。
【0046】
上記構成によれば、1次側コイル44で発生した磁束エネルギーを、第1の鉄心43、第2の鉄心30を介して、2次側コイル31に伝達し、第2の整流回路34を経由して充電池26に充電を行うことができるので、充電池26を取り外すことなく充電できる。
【0047】
また、接触式充電器を用いて充電池を充電する場合のように、接触式充電器の機械部品の劣化によって充電が正常に行われないということがない。その結果、充電不良を大幅に減少できる靴充電システムを提供することができる。
【0048】
また、駆動・制御回路25、充電池26、受電部27が、駆動・制御ユニット23の本体部24に収納され、外周部にOリング28が配置されたフタ24bで塞がれているので、上記駆動・制御回路25、充電池26、受電部27に雨水、その他の水分が侵入することがない。その結果、上記駆動・制御回路25、充電池26、受電部27において漏電、感電を防止できる安全性の高い靴充電システムを提供することができる。
【0049】
さらに、充電器40の第1の鉄心43、1次側コイル44、45、46、第1の整流回路47、共振回路48、間欠発振回路49、本体検知/充電制御信号受信回路50、コンデンサ51が、本体部41に収納され、外周部にOリング53が配置されたフタ41aで塞がれているので、充電器40を防水構造にでき、充電器40に雨水、その他の水分が侵入することがない。その結果、充電する際に漏電、感電を防止できる安全性の高い靴充電システムを提供することができる。
【0050】
なお、上記説明のように、受電部27、充電器40を防水構造とすることで、非接触電力供給手段を防水構造とすることができる。その結果、非接触電力供給手段において、漏電、感電を防止でき、安全性の高い靴充電システムを提供することができる。
【0051】
(第2実施形態)
第1実施形態では、充電池を、非接触電力供給手段からの給電によって充電するようにしたが、第2実施形態のように、圧電素子の変形の際に生じる電気の給電によって充電するようにしてもよい。以下では、主に第1実施形態との相違点について説明する。なお、本発明における歩行運動とは、歩行の他に、走る動作、足踏みする動作、飛び跳ねる動作であってもよい。
【0052】
第2実施形態による圧電発電ユニットは、図6(a)、図6(b)に示すように、片持ち発電運動タイプの圧電発電ユニット55で構成されている。上記圧電発電ユニット55は、本体部56、圧電バイモルフ57、錘58、整流回路59、コンデンサ60、制御回路61を具えており、本体部56には、上記圧電バイモルフ57、錘58、整流回路59、コンデンサ60、制御回路61に加えて駆動・制御回路25、充電池26が収納されている。
【0053】
上記圧電バイモルフ57は、板状に形成されたカーボンファイバー57aの両面に圧電素子57b、57cを設けたもので、一端側が固定されており、他端側が自由端になっている。上記自由端側には、錘58が具えられており、歩行運動の際に、圧電発電ユニット55に振動、衝撃が加わると、圧電バイモルフ57の自由端側が撓んで圧電素子57b、57cに変形が生じ、圧電素子57b、57cに起電力が生じる(すなわち、圧電素子57b、57cが発電する)。上記起電力は、圧電素子57b、57cに取り付けたリード線間で取り出され、整流回路59、コンデンサ60、制御回路61を経由して、充電池26に蓄えられる。制御回路61は、充電池26への給電を制御する。
【0054】
上記圧電素子57b、57cの材質は、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸バリウム等の圧電セラミックスの他に、フィルム状に形成されたポリフッ化ビニリデンなどの圧電性合成樹脂から構成されていてもよい。なお、上記圧電素子57b、57cから充電池26に至る整流回路59、コンデンサ60、制御回路61、配線は、本発明の給電回路を構成する。
【0055】
上記圧電素子57b、57c、給電回路、充電池26は、図示はしないが、Oリング、その他所定の防水手段を用いて防水構造となるように構成されている。
【0056】
上記構成によれば、歩行運動によって生じる圧電素子57b、57cの変形によって圧電素子57b、57cが発電し、シロッコファン19を作動させる充電池26への給電がなされる。その結果、充電池26を取り外すことなく充電できる。また、接触式充電器を用いて充電池を充電する場合のように、接触式充電器の機械部品の劣化によって充電が正常に行われないということがない。その結果、充電不良を大幅に減少できる靴充電システムを提供することができる。
【0057】
さらに、Oリング、その他所定の防水手段を用いることによって、圧電素子57b、57c、給電回路、充電池26を防水することができるので、圧電発電ユニット55に雨水、その他の水分が侵入することがない。その結果、充電する際に、漏電、感電を防止でき、安全性の高い靴充電システムを提供することができる。
【0058】
(第3実施形態)
第2実施形態では、片持ち発電運動タイプの圧電発電ユニットを用いたが、両持ち発電運動タイプの圧電発電ユニットを用いてもよい。
【0059】
図7(a)、図7(b)に示すように、第3実施形態による圧電発電ユニット63は、本体部64、圧電バイモルフ65、66、玉67、整流回路68、コンデンサ69、制御回路70を具えており、本体部64には、上記圧電バイモルフ65、66、玉67、整流回路68、コンデンサ69、制御回路70、駆動・制御回路25、充電池26が収納されている。
【0060】
上記本体部64の収納室64aには、圧電バイモルフ65、66が所定の間隔を有して、対向するように配置されている。なお、圧電バイモルフ65は、板状に形成されたカーボンファイバーの65aの両面に圧電素子65b、65cを設けたものであり、圧電バイモルフ66は、板状に形成されたカーボンファイバー66aの両面に圧電素子66b、66cを設けたものである。
【0061】
また、上記本体部64の収納室64aには、両圧電バイモルフ65、66の間で玉67が動く通路64bが形成されている。また、収納室64aには、整流回路68、コンデンサ69が具えられている。上記構成において、歩行の際に、発電運動、衝撃が加わると、玉67が通路64bを自由に移動して圧電バイモルフ65、66に衝突し、圧電素子65b、65c、66b、66cが変形して、圧電素子65b、65c、66b、66cに起電力が生じる。上記起電力は、圧電素子に取り付けたリード線間で取り出され、整流回路68、コンデンサ69、制御回路70を経由して、充電池26に蓄えられる。制御回路70は、充電池26への給電を制御する。
【0062】
(第4実施形態)
上記第1実施形態乃至第3実施形態では送風靴に適用される靴充電システムについて説明したが、足を加温する加温靴に適用されてもよい。第1実施形態乃至第3実施形態で説明した送風手段に換え、足を加温する加温手段を用いる。上記加温手段としては、図示はしないが、靴底あるいはアッパーにセラミックヒータ、電熱線等を具えるように構成する。上記加温手段は、充電池によって作動するものであり、第1実施形態と同様に、非接触電力供給手段が用いられる。上記構成によれば、加温靴の非接触電力供給手段においても、第1実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。
【0063】
(第5実施形態)
上記第1実施形態の送風靴は、高温、多湿で、臭いを伴った靴内部の空気が排除されること、あるいは足表面近傍の空気流れにより足表面の水分が気化されることで、足を冷却することができる。すなわち、第1実施形態の送風靴は冷却靴として、シロッコファンは、冷却手段として機能する。上記冷却手段は、充電池によって作動するものであり、非接触電力供給手段が用いられる。上記構成によれば、冷却靴の非接触電力供給手段においても、第1実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。
【0064】
(その他の実施形態)
第1実施形態では、非接触電力供給手段に電磁結合を利用したが、送電素子、受電素子をそれぞれ容量性の極板で構成し、上記送電素子、受電素子を、所定の隙間を有して互いに近接させた状態で蓄電し、受電素子側に貯まった電気を充電池に給電してもよい。
【0065】
また、第5実施形態では、第1実施形態の送風靴は冷却靴として、シロッコファンは、冷却手段として機能することを説明したが、足を冷却する冷却靴の冷却手段に、ペルチェ素子を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1実施形態による送風靴の正面図である。
【図2】図1のA方向から見た送風靴の一部断面平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による駆動・制御ユニットの断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による靴充電システムのブロック図である。
【図5】本発明の充電器の断面図を示す。
【図6(a)】本発明の第2実施形態による圧電発電ユニットの断面図である。
【図6(b)】図6(a)のB−B断面図である。
【図7(a)】本発明の第3実施形態による圧電発電ユニットの断面図である。
【図7(b)】図7(a)のC−C断面図である。
【符号の説明】
【0067】
17…(欠番)
19…シロッコファン(送風機)
22…(欠番)
23…駆動・制御ユニット
24…本体部
25…駆動・制御回路
26…充電池
27…充電部
29…(欠番)
30…第2の鉄心
31…2次側コイル(受電素子)(非接触電力供給手段)
32…2次側コイル
33…2次側コイル
34…第2の整流回路
35…補助電源回路
36…本体検知/充電制御信号発振回路
37…充電制御用マイコン
38…コンデンサ
39…(欠番)
40…充電器
41…本体部
41a…フタ
41b…凹部
42…送電部
42A…送電部
43…第1の鉄心
44…1次側コイル(送電素子)(非接触電力供給手段)
45…1次側コイル
46…1次側コイル
47…第1の整流回路
48…共振回路
49…間欠発振回路
50…本体検知/充電制御信号受信回路
51…コンデンサ
52…交流電源
53…Oリング
54、62…(欠番)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴内部空間に開口する靴内開口部と外気に開口する外気開口部とを有して空気が通過できる1つ以上の空気送風路と、
前記空気送風路の前記靴内開口部および前記外気開口部のどちらか一方側から他方側に空気を送風する送風手段と、
前記送風手段を作動させる充電池と、
を具えた送風靴において、
前記充電池への給電が、充電器に具えられた送電素子と前記送風靴に具えられた受電素子との間で非接触状態で電力を伝送することのできる非接触電力供給手段によって行われることを特徴とする靴充電システム。
【請求項2】
足を加温する加温手段と、
前記加温手段を作動させる充電池と、
を具えた加温靴において、
前記充電池への給電が、充電器に具えられた送電素子と前記加温靴に具えられた受電素子との間で非接触状態で電力を伝送することのできる非接触電力供給手段によって行われることを特徴とする靴充電システム。
【請求項3】
足を冷却する冷却手段と、
前記冷却手段を作動させる充電池と、
を具えた冷却靴において、
前記充電池への給電が、充電器に具えられた送電素子と前記冷却靴に具えられた受電素子との間で非接触状態で電力を伝送することのできる非接触電力供給手段によって行われることを特徴とする靴充電システム。
【請求項4】
前記充電池を収納する収納部が防水構造であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の靴充電システム。
【請求項5】
前記充電器が防水構造であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の靴充電システム。
【請求項6】
前記非接触電力供給手段が防水構造であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の靴充電システム。
【請求項7】
靴内部空間に開口する靴内開口部と外気に開口する外気開口部とを有して空気が通過できる1つ以上の空気送風路と、
前記空気送風路の前記靴内開口部および前記外気開口部のどちらか一方側から他方側に空気を送風する送風手段と、
前記送風手段を作動させる充電池と、
前記充電池へ給電する圧電素子と、
を具えた送風靴において、
前記圧電素子の発電が、歩行運動によって生じる前記圧電素子の変形によって行われることを特徴とする靴充電システム。
【請求項8】
足を加温する加温手段と、
前記加温手段を作動させる充電池と、
前記充電池へ給電する圧電素子と、
を具えた加温靴において、
前記圧電素子の発電が、歩行運動によって生じる前記圧電素子の変形によって行われることを特徴とする靴充電システム。
【請求項9】
足を冷却する冷却手段と、
前記冷却手段を作動させる充電池と、
前記充電池へ給電する圧電素子と、
を具えた冷却靴において、
前記圧電素子の発電が、歩行運動によって生じる前記圧電素子の変形によって行われることを特徴とする靴充電システム。
【請求項10】
前記圧電素子と、前記充電池と、前記圧電素子から前記充電池に至る給電回路とが防水構造であることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1つに記載の靴充電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図7(a)】
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【図7(b)】
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【公開番号】特開2009−207511(P2009−207511A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−50352(P2008−50352)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(306009592)
【Fターム(参考)】