説明

鞍乗り型車両の方向指示装置

【課題】ハンドルバーにウィンカランプを取り付けるステーの露出部分を少なくして意匠性を高めつつ、方向指示の被視認性を高めることができる方向指示装置を提供する。
【解決手段】方向指示装置は、ハンドルバー14の、少なくとも前部を覆うハンドルカバー27を有する鞍乗り型車両に設けられる。方向指示装置は、ハンドルバー14に接合された取り付けステー26と、取り付けステー26に支持される灯体25とを有する。ハンドルバー14の前部を覆うハンドルカバー27が、車体前方に面して形成された開口部47を有する。取り付けステー26は、ハンドルバー14から車体前方に向けて、開口部47を貫通して延在している。取り付けステー26の前端部に灯体25が連結される。取り付けステー26は、ハンドルバー14の端部分14cに接合される。取り付けステー26を覆うステーカバー45を備えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドルバーに取り付けられる鞍乗り型車両の方向指示装置に関し、特に、被視認性および意匠の向上を図るのに好適な鞍乗り型車両の方向指示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鞍乗り型車両(代表的には自動二輪車)に設けられる方向指示装置については、その取り付け構造が種々検討されている。例えば、特許文献1に記載されている方向指示装置は、ハンドルバーに固定したランプ取り付けステーに対して車体幅方向外側に延長させた支持アームの先端にウィンカランプ(灯体)を取り付けた構造を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−176902号のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されているようにハンドルバーに取り付けられる方向指示装置の意匠に着目すると、車体正面から見たときに、取り付けステーと支持アームが目立ってしまい、好ましい意匠になっているとはいえない。特に、左右のウィンカランプのどちらが付勢されているのかを車体正面からよりよく認識できるようにする(つまり、ウィンカランプの被視認性を高める)ために、支持アームを長くして左右のウィンカランプの間隔を大きくすることが考えられるが、そうすると、支持アームがより一層目立ってしまうことになる。そこで、方向指示装置の意匠性を高めつつ、被視認性も高める構造が望まれる。
【0005】
本発明の目的は、上記従来技術の課題に対して、高い被視認性と良好な意匠の両立を可能にする鞍乗り型車両の方向指示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明は、両端にハンドルグリップが装着されたハンドルバーと、ハンドルバーの、少なくとも前部を覆うハンドルカバーとを有する鞍乗り型車両に設けられ、ハンドルバーに接合された取り付けステーと、該取り付けステーに支持される灯体とを有する方向指示装置において、前記ハンドルカバーが、車体前方に面して形成された開口部を有し、前記取り付けステー(26)は、その一部が前記ハンドルカバー(27)に覆われるとともに、ハンドルバー(14)から車体前方に向けて、前記ハンドルカバー(27)の開口部(47)を貫通して延在しており、前記取り付けステーの前端部に前記灯体が連結されている点に第1の特徴がある。
【0007】
また、本発明は、前記ハンドルバーが、中央部分と、該中央部分から左右上方に立ち上げられた立ち上がり部分と、立ち上がり部分から車体幅方向左右にそれぞれ延長され、前記ハンドルグリップを装着される端部分とからなり、前記取り付けステーが、前記ハンドルバーの端部分に接合されている点に第2の特徴がある。
【0008】
また、本発明は、前記灯体が、前記取り付けステーに対して車体幅方向外側に偏倚して取り付けられている点に第3の特徴がある。
【0009】
また、本発明は、前記車両が、前記ハンドルグリップに隣接してハンドルバーに設けられるスイッチボックスを有し、前記ハンドルカバーの車体幅方向端部が、車両正面視で前記スイッチボックスに少なくとも一部が重なる位置に延在しており、前記灯体が、車両正面視で前記スイッチボックスの少なくとも一部および前記ハンドルカバーの前記車体幅方向端部と重なるように位置設定されている点に第4の特徴がある。
【0010】
また、本発明は、前記取り付けステーのうち、前記ハンドルカバーから外側に突出している部分が、平面視で車両進行方向に沿って直線的に延在している点に第5の特徴がある。
【0011】
また、本発明は、前記ハンドルカバーの開口部が、ハンドルバーに対して下前方に位置させて形成されている点に第6の特徴がある。
【0012】
また、本発明は、前記取り付けステーは、一端がハンドルバーに接合され、他端が前記開口部を貫通して車両前方に突出しているアーム部と、前記アーム部の他端に固定され、前記灯体の側面に当接する支持面を有する支持板部とからなり、平面視で、前記支持板部の一部がハンドルカバーと重なるように構成されている点に第7の特徴があり、前記アーム部が棒状部材である点に第8の特徴がある。
【0013】
また、本発明は、前記ハンドルカバーから車両前方に突出している前記取り付けステーの部分を覆うステーカバーを備え、前記ステーカバーが前記開口部の縁との間に隙間を生じないように密着し、かつハンドルカバーの裏面に回り込んだ端部を有している点に第9の特徴がある。
【0014】
また、本発明は、前記ステーカバーが、前記灯体に当接する端面を有している点に第10の特徴がある。
【0015】
また、本発明は、前記灯体が、ハウジングとハウジングの前部に取り付けられているレンズとを含み、該灯体のハウジングに、取り付けステーの支持板部を貫通しているボルトが螺合されるナットが一体成形で保持されている点に第11の特徴がある。さらに、本発明は、前記ステーカバーがゴム製である点に第12の特徴がある。
【発明の効果】
【0016】
上記特徴を有する本発明によれば、取り付けステーが、ハンドルバーから車体前方に向けて、ハンドルカバーの開口部を貫通して延在しており、その前端部に灯体が連結されているので、車両前後方向における開口部の位置によって、取り付けステーがハンドルカバーで覆われる領域を変えられる。例えば、開口部を車両前方に寄せて配置することによって、取り付けステーの大部分をハンドルカバー内に収めることができる。さらに、灯体の被視認性を向上させるべく取り付けステーを変更して灯体の配置場所を変える場合であっても、ハンドルカバーで取り付けステーを覆うことができるので、意匠の自由度も向上できる。従って、取り付けステーを隠して意匠性を高めつつ、方向指示装置の灯体の被視認性を確保できる。
【0017】
特に、第2の特徴を有する本発明によれば、ハンドルバーの高所で、かつ車体幅方向のより外側に灯体を位置させることができるので、方向指示の被視認性を向上させることができる。
【0018】
また、第3の特徴を有する本発明によれば、取り付けステーの取り付け位置よりも車体幅方向外側に灯体を偏倚させることで、より一層左右の灯体間の距離を大きくして方向指示の被視認性をさらに向上させることができる。
【0019】
また、第4の特徴を有する本発明によれば、ハンドルカバーとスイッチボックスとの境界部分に灯体を位置させることで、正面視で該境界部分を一部分隠すことができるので、意匠性を高めることができる。
【0020】
また、第5の特徴を有する本発明によれば、正面視で取り付けステーが見える範囲が小さくなるので、取り付けステーは目立ちにくくなり、意匠性が高められる。
【0021】
また、第6の特徴を有する本発明によれば、ハンドルカバーの開口部が、ハンドルバーに対して下前方に位置させて形成されているので、取り付けステーは車両の前方に延在することになる。これにより、左右の灯体間を広げた構造において、ハンドルバーを大きく回動させても、灯体が運転者側に近寄る量が少ないので、運転者の足置きスペースを確保しやすい。
【0022】
また、第7の特徴を有する本発明によれば、取り付けステーの先端部分である支持板部までハンドルカバーで覆って、運転者から取り付けステーの大部分が見えないようにして運転者から見た意匠性を高めつつ、支持板部の一部および灯体はハンドルカバーで隠されないので、運転者は方向指示状態について容易に確認することができる。
【0023】
また、第8の特徴によれば、取り付けステーが棒状であるので、ハンドルカバー内に複数配線されるハーネスが傷つくのを防止することができる。
【0024】
また、第9の特徴を有する本発明によれば、ステーカバーをハンドルカバーの開口部縁に密着させ、さらにステーカバーの端部をハンドルカバーの裏面に曲がり込ませたので、開口部からハンドルカバー内に水やほこりが浸入するのを防ぐことができる。さらに、灯体の取り付けステーのうち、ハンドルカバーから露出している部分をステーカバーで覆うので、取り付けステーを露出させずに意匠性を高めることができる。
【0025】
また、第10の特徴を有する本発明によれば、ステーカバーの一端がハンドルカバーの開口部に密着し、他端が灯体に当接しているので、水やほこりの侵入をより一層確実に防ぐことができるとともに、灯体の振動をステーカバーで吸収して低減させることができる。
【0026】
また、第11の特徴を有する本発明によれば、ナットが灯体側に固定されているので、取り付けステー側からボルトをねじ込むだけの簡単な作業で、取り付けステーに灯体を取り付けることができる。
【0027】
さらに、第12の特徴を有する本発明によれば、ステーカバーが可撓性または弾力性のあるゴムであるため、ボルトで灯体を取り付けステーに固定した後であっても、ステーカバーを、ボルトを含む取り付けステーの先端部に被せることが可能である。また、第10の特徴に関して説明した振動の吸収を、ゴム製の取り付けステーによれば、より良く行うことができる。
さらに、第13の特徴を有する本発明によれば、ハーネスを取り付けステーに支持固定させることなく配線することができ、組立が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係る方向指示装置を備えた自動二輪車の正面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る方向指示装置を備えた自動二輪車の側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る方向指示装置を備えた自動二輪車のハンドルバー周辺の正面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る方向指示装置を備えた自動二輪車のハンドルバー周辺の左側面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る方向指示装置を備えた自動二輪車のハンドルバー周辺の平面図である。
【図6】図3のA−A位置での断面図である。
【図7】ステーカバーを有する取り付けステーを含むハンドル周辺の左前下方から見た斜視図である。
【図8】図7のB−B位置での断面図である。
【図9】図7のC−C位置での断面図である。
【図10】方向指示装置の灯体の斜視図である。
【図11】方向指示装置の灯体の断面図である。
【図12】ステーカバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る方向指示装置を備えた鞍乗り型車両としての自動二輪車の正面図、図2は同側面図である。スクータ型車両である自動二輪車10は、車体フレーム11前部のヘッドパイプ12を上下に貫通して回動自在に支持された操向軸13を有し、操向軸13の上部にはハンドルバー14が、下部には車体左右に分岐したフロントフォーク15がそれぞれ結合される。フロントフォーク15の下端には前輪WFが回転自在に支持される。
【0030】
車体フレーム11の後部には、水冷式4サイクルエンジンEと遠心クラッチ付きベルト式無段変速機Tとを含むパワーユニット17がピボット軸16によって上下に揺動自在に連結される。パワーユニット17の出力軸(図示しない)は、後輪WRに連結される。パワーユニット17の後端部は、リヤクッションユニット18で車体フレーム11の後部に連結される。車体フレーム11のうち、後部分の上部にはヘルメット21等を収容するのに適する空間を形成する収納ボックス(ラゲッジボックス)19が取り付けられ、収納ボックス19の上には収納ボックス19の蓋として利用できるシート20が設けられる。
【0031】
ハンドルバー14の先端部分左右には、それぞれハンドルグリップ22が設けられ、左右のハンドルグリップ22に隣接して左右のスイッチユニット23が設けられる。また、左右のスイッチユニット23には左右のミラー24がそれぞれ立設される。
【0032】
さらに、ハンドルバー14には、左右のウィンカランプつまり方向指示装置の灯体25が、取り付けステー26を介して取り付けられる。ハンドルバー14の周囲は、左右両端を除いてハンドルカバー27で覆われる。ハンドルカバー27は、前上部分27aと前下部分27bと後部分27cとからなる。ハンドルカバー27の前部には、ヘッドライト28が設けられる。
【0033】
車体フレーム11はボディカバー29で覆われる。ボディカバー29は、ヘッドパイプ12の前部を覆うフロントカバー30と、ヘッドパイプ12の後方からフロントカバー30を覆うとともに運転者の脚部前方に位置して設けられるレッグシールド31と、運転者が足を載せられるステップフロア(低床式足載板)32と、ステップフロア32の外縁から下方へ延ばした左右一対のフロアサイドカバー33と、フロアサイドカバー33の下縁間を覆うアンダカバー34と、シート20の下周り前部を覆うシート下部カバー35と、シート20の下後部と後輪WRの上方を覆うリヤカバー36と、左右一対のサイドカバー37とからなる。
【0034】
次に、方向指示装置が取り付けられるハンドルバー周辺の構成を説明する。図3はハンドルバー周辺の正面図、図4は同左側面図、図5は平面図である。図3において、ハンドルバー14は、中央部分が低く、端部が高い位置になるように湾曲して成形されたパイプからなる。つまり、ハンドルバー14は、中央部分14a、中央部分14aから左右上方向に立ち上がっている立ち上がり部分14b、および立ち上がり部分14bから車体幅方向左右にそれぞれ延長される端部分14cからなる。中央部分14aには、操向軸13の上部が接合される。
【0035】
ハンドルバー14の端部分14cには、ハンドルグリップ22が装着され、ハンドルグリップ22に対して車体左右中央側に隣接してスイッチボックス23が装着される。左のスイッチボックス23には、ウィンカスイッチ、ハザードスイッチ、ディマースイッチおよびホーンスイッチ等が設けられ、右のスイッチボックス23には、スタータスイッチおよびエンジン停止スイッチ等が設けられる。いずれのスイッチも、周知の構成であり本発明の要部ではないので、図示もしくは符号は省略している。スイッチボックス23の前部に形成されている突出部38には、ミラー24の支持ポール39が螺着される。また、スイッチボックス23の前部には、ブレーキレバー40が取り付けられる。
【0036】
ハンドルバー14には、灯体25の取り付けステー26が接合される。取り付けステー26は、ハンドルバー14の端部分14c上で、スイッチボックス23にそれぞれ隣接した位置に溶接されるアーム部41と、灯体25が接合される支持板部42とからなり、取り付けステー26のうち、ハンドルカバー27から外側に突出している部分が、平面視で車両進行方向に沿って直線的に延在している。この取り付けステー26のレイアウトによれば、正面視で取り付けステー26が見える範囲が小さくなるので、取り付けステー26は目立ちにくくなり、意匠性が高められる。アーム部41は丸棒材からなり、支持板部42は灯体25をボルト止めして、所定方向に正しく指向して接合されるように板材からなるのがよい。
【0037】
取り付けステー26は、ハンドルバー14からやや下向き前方に突出され、平板からなる支持板部42には、灯体25が、そのハウジング(灯体ハウジング)43にボルト44をねじ込んで取り付けられる。取り付けステー26はゴム等の可撓性もしくは弾性材料からなるステーカバー45で覆うのが好ましい。図3、図5においては、車体右側の取り付けステー26は、ステーカバー45を取り外した状態、車体左側の取り付けステー26は、ステーカバー45を取り付けた状態を図示している。
【0038】
図3に示すように、ハンドルカバー27の車体幅方向端部つまり左右端部が、車両正面視でスイッチボックス23に少なくとも一部が重なる位置に延在しており、その下方で灯体25が、車両正面視でスイッチボックス23の少なくとも一部およびハンドルカバー27の前記車体幅方向端部と重なるように位置設定される。この位置設定によれば、ハンドルカバー27とスイッチボックス23との境界部分に灯体25を位置させているので、正面視で該境界部分を一部分隠すことができ、意匠性を高めることができる。
【0039】
灯体25のハウジング43内にはリフレクタを備えたバルブ55が収容され、ハウジング43の前面にはレンズ46が設けられる。ハンドルバー14に対する取り付けステー26の接合態様、および取り付けステー26に対する灯体25の取り付け態様はさらに後述する。
【0040】
ハンドルカバー27の前下部分27bには、後部分27cとの会合部27bcから上向きに切り欠き47cが形成され(図4参照)、後部分27cの上縁とともに開口部47を構成している。取り付けステー26は、この開口部47を貫通して車体前方に延出している。なお、開口部47の輪郭形状(縁形状)は取り付けステー26を覆うステーカバー45の外周面が密着して係合するように設定される。
【0041】
ハンドルカバー27の前上部分27aの上面には、速度計等の計器を備えるメータユニット48が取り付けられる(図5参照)。ヘッドライト28は、ハンドルカバー27の前上部分27aと前下部分27bの前部に係合するヘッドライトハウジング28aと、ヘッドライトハウジング28aの前部に設けられるレンズ28bとを備え、ヘッドライトバルブ28cや図示しないリフレクタが、これらヘッドライトハウジング28aとレンズとで囲まれた空間に配置される。
【0042】
次に、灯体25の取り付け態様を詳細に説明する。図6は、図3のA−A位置での断面図であり、図7は、ステーカバーを有する取り付けステー26を含むハンドル周辺の左前下方から見た斜視図である。図6、図7において、ハンドルバー14に接合された取り付けステー26のアーム部41は、ハンドルバー14の後側に対する溶接部41Wから下方に延び、さらに車体前方に延びてハンドルカバー27の前下部分27bの開口部47を貫通してハンドルカバー27の前方に突出している。支持板部42の一部つまりアーム部41との接合部42dは、平面視でハンドルカバー27の前端と重なるように位置されている。
【0043】
ハンドルカバー27内には、ブレーキワイヤ49、ブレーキスイッチハーネス50、ハンドルスイッチハーネス51、およびウィンカハーネス(方向指示装置ハーネス)52が配設される。アーム部41は、断面が円形の棒状であるので、ブレーキワイヤ49のチューブやウィンカハーネス52等と緩衝してもこれらを傷つけるおそれがない。
【0044】
ウィンカハーネス52は、支持板部42に穿たれたハーネス通し孔53を通して、支持板部42に固定される灯体25内のバルブ(後述)まで延長される。支持板部42には、ハーネス通し孔53と共に、ボルト44を通すためのボルト通し孔54が形成される。取り付けステー26を覆うステーカバー45は、アーム部41の先端部分および支持板部42を覆うと共に、ハンドルカバー27に形成される開口部47との間に隙間を有しないようにハンドルカバー27(前下部分27bおよび後下部分27c)と密着係合する。
【0045】
図7に示すように、ボルト44は車体幅方向中央側からボルト通し孔54に通され、先端が灯体25のハウジング43側に突出してハウジング43に埋め込まれているナット(後述する)に螺合される。灯体25へのボルト44の締め付けに際しては、ゴム等の可撓性もしくは弾性部材からなるステーカバー45をめくって、ボルト44を含む支持板部42を露出させた状態で行うことができる。
【0046】
図8、図9は開口部47とステーカバー45との係合部を示す断面図であり、それぞれ図7のB−B位置での断面図、およびC−C位置での断面図である。図8において、ステーカバー45は、ハンドルカバー27の前下部分27bの、開口部47の縁47aとの間に隙間を生じないように密着し、かつハンドルカバー27の裏面に回り込んだ端部45aを有する。
【0047】
また、図9に示した部位においては、ステーカバー45の端部45aは、ハンドルカバー27の裏面に回り込んだ部分を有するとともに、ハンドルカバー27の前下部分27bの外表面27bsと面一となる連続平坦面45bを有する。
【0048】
図10は、灯体25の斜視図であり、図11は灯体25の断面図である。図10において、取り付けステー26のアーム部41は、ステーカバー45内を車体後方に貫通してハンドルバー14まで延び、車体後方側に回り込んでハンドルバー14の長手方向に沿って車体幅方向中央寄りに延びる。そして、この車体幅方向中央寄りに延びた屈曲端部がハンドルバー14に溶接される。
【0049】
ウィンカハーネス52の一端は、ステーカバー45の、車体後方側からハンドルバー14側に引き出され、ブレーキスイッチハーネス50やハンドルスイッチハーネス51とともに結束される。ウィンカハーネス52の他端は、ステーカバー45内を通って支持板部42側に延び、支持板部42のハーネス通し孔53を通してウィンカバルブ55のソケット56に接合される。
【0050】
図11において、ハーネス通し孔53に対応する通し孔58が、ハウジング43の側部厚肉部43aに穿たれ、ボルト44が螺合するナット57は、例えば、ハウジング43の側部厚肉部43aにインサート成形により一体に埋め込まれている。
【0051】
図12は、ステーカバー45の斜視図である。ステーカバー45は、取り付けステー26の支持板部42を覆い、灯体25のハウジング43に当接する面45cと、アーム部41およびウィンカハーネス52が貫通する孔45dを有するスリーブ45eと、ハンドルカバー27と係合する前記端部45aとからなる。
【0052】
上記実施形態の方向指示装置では、灯体25の取り付けステー26の大部分をハンドルカバー27で隠すことができるうえ、ステーカバー45によって、取り付けステー26の全体を隠すことができる。
【0053】
なお、ステーカバー45はオプションであって必須のものではない。また、ステーカバー45を設ける場合も、ステーカバー45の全体を覆うようなものに限らず、ハンドルカバー27の開口部47と取り付けステー26との係合部側のみを覆う部分的なものであってもよい。
【符号の説明】
【0054】
10…自動二輪車、 13…操向軸、 14…ハンドルバー、 22…ハンドルグリップ、 23…スイッチボックス、 25…灯体(ウィンカランプ)、 26…取り付けステー、 27…ハンドルカバー、 28…ヘッドライト、 29…ボディカバー、 41…アーム部、 42…支持板部、 43…灯体ハウジング、 44…ボルト、 45…ステーカバー、 47…開口部、 53…ハーネス通し孔、 54…ボルト通し孔、 57…ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端にハンドルグリップ(22)が装着されたハンドルバー(14)と、ハンドルバー(14)の、少なくとも前部を覆うハンドルカバー(27)とを有する鞍乗り型車両に設けられ、ハンドルバー(14)に接合された取り付けステー(26)と、該取り付けステー(26)に支持される灯体(25)とを有する方向指示装置において、
前記ハンドルカバー(27)が、車体前方に面して形成された開口部(47)を有し、
前記取り付けステー(26)は、その一部が前記ハンドルカバー(27)に覆われるとともに、ハンドルバー(14)から車体前方に向けて、前記ハンドルカバー(27)の開口部(47)を貫通して延在しており、
前記取り付けステー(26)の前端部に前記灯体(25)が連結されていることを特徴とする鞍乗り型車両の方向指示装置。
【請求項2】
前記ハンドルバー(14)が、中央部分(14a)と、該中央部分(14a)から左右上方に立ち上げられた立ち上がり部分(14b)と、立ち上がり部分(14b)から車体幅方向左右にそれぞれ延長され、前記ハンドルグリップ(22)を装着される端部分(14c)とからなり、
前記取り付けステー(26)が、前記ハンドルバー(14)の端部分(14c)に接合されていることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両の方向指示装置。
【請求項3】
前記灯体(25)が、前記取り付けステー(26)に対して車体幅方向外側に偏倚して取り付けられていることを特徴とする請求項1または2記載の鞍乗り型車両の方向指示装置。
【請求項4】
前記車両が、前記ハンドルグリップ(22)に隣接してハンドルバー(14)に設けられるスイッチボックス(23)を有し、前記ハンドルカバー(27)の車体幅方向端部が、車両正面視で前記スイッチボックス(23)に少なくとも一部が重なる位置に延在しており、
前記灯体(25)が、車両正面視で前記スイッチボックス(23)の少なくとも一部および前記ハンドルカバー(27)の前記車体方向端部と重なるように位置設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鞍乗り型車両の方向指示装置。
【請求項5】
前記取り付けステー(26)のうち、前記ハンドルカバー(27)から外側に突出している部分が、平面視で車両進行方向に沿って直線的に延在していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鞍乗り型車両の方向指示装置。
【請求項6】
前記ハンドルカバー(27)の開口部(47)が、ハンドルバー(14)に対して下前方(27b)に位置させて形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の鞍乗り型車両の方向指示装置。
【請求項7】
前記取り付けステー(26)は、一端がハンドルバー(14)に接合され、他端が前記開口部(47)を貫通して車両前方に突出しているアーム部(41)と、前記アーム部(41)の他端に固定され、前記灯体(25)の側面に当接する支持面を有する支持板部(42)とからなり、
平面視で、前記支持板部(42)の一部がハンドルカバー(27)と重なるように構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の鞍乗り型車両の方向指示装置。
【請求項8】
前記アーム部(41)が棒状部材であることを特徴とする請求項7記載の鞍乗り型車両の方向指示装置。
【請求項9】
前記ハンドルカバー(27)から車両前方に突出している前記取り付けステー(26)の部分を覆うステーカバー(45)を備え、
前記ステーカバー(45)が前記開口部(47)の縁(47a)との間に隙間を生じないように密着し、かつハンドルカバー(27)の裏面に回り込んだ端部(45a)を有していることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の鞍乗り型車両の方向指示装置。
【請求項10】
前記ステーカバー(45)が、前記灯体(25)に当接する端面(45c)を有していることを特徴とする請求項9記載の鞍乗り型車両の方向指示装置。
【請求項11】
前記灯体(25)が、ハウジング(43)とハウジング(43)の前部に取り付けられているレンズ(46)とを含み、
前記灯体(25)のハウジング(43)に、取り付けステー(26)の支持板部(42)を貫通しているボルト(44)が螺合されるナット(57)が一体成形で保持されていることを特徴とする請求項7記載の鞍乗り型車両の方向指示装置。
【請求項12】
前記ステーカバー(45)がゴム製であることを特徴とする請求項9記載の鞍乗り型車両の方向指示装置。
【請求項13】
前記ステーカバー(45)内に、灯体(25)に一端が接続される方向指示装置ハーネス(52)が配線されていることを特徴とする請求項9記載の鞍乗り型車両の方向指示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−140281(P2011−140281A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2797(P2010−2797)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】