説明

鞍乗型車両

【課題】通信用配線の数を少なく保ちつつ待機時の消費電力を低減できる、鞍乗型車両を提供する。
【解決手段】電動アシスト自転車10は、バッテリ54と、ハンドル32に設けられる操作ユニット34と、車体フレーム12に設けられかつバッテリ54に接続されるコントロールユニット62とを含む。操作ユニット34は、制御部80と電源スイッチ84とを含む。コントロールユニット62は、制御部70と電圧調整部75と起動信号発生部76とを含む。操作ユニット34とコントロールユニット62とは、通信用配線98および100によって相互に接続される。電源スイッチ84は、専用線96を介して起動信号発生部76に接続される。電源スイッチ84がオンされると、起動信号発生部76から起動信号が出力されて、電圧調整部75が起動される。電圧調整部75の出力に基づいて制御部70および80が起動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は鞍乗型車両に関し、より特定的には、電動アシスト自転車などの鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術の一例としての電動アシスト自転車が、特許文献1において開示されている。特許文献1において開示されている電動アシスト自転車では、車体フレームのヘッドパイプにフロントフォークが左右回動自在に軸支されており、フロントフォークの上端に操向ハンドルが設けられている。操向ハンドル付近には、操作・表示機能を有する操作パネルが設けられ、車体フレームの下部近傍には、電動モータ等を制御するためのコントローラが設けられている。そして、操作パネルの複数のスイッチおよび複数のLEDはそれぞれ、操作や表示のための情報を送信するための通信用配線を介してコントローラに接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−13028
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された電動アシスト自転車では、通信用配線数が多くなってしまい、コストが高くなりかつ収まりの良い配線状態を実現できず、好ましくない。操作パネルとコントローラとは離れて設けられているので、尚更である。
【0005】
そこで、たとえば図7に示すような構成が考えられる。この構成では、操作ユニット1およびコントロールユニット2がそれぞれ制御部3および4を含み、制御部3と4とは2つの通信用配線5および6を介して相互に接続されている。そして、操作ユニット1には常時バッテリ電圧が供給され、それに伴って操作ユニット1の制御部3は常時オンされている。一方、コントロールユニット2の制御部4は、操作ユニット1に含まれる電源スイッチ7のオンを契機として起動される。
【0006】
図7に示す構成では、操作ユニット1とコントロールユニット2とを接続する通信用配線の数を減ずることはできるが、操作ユニット1には常に電圧が供給されているので、待機時の消費電力が大きくなってしまう。
【0007】
それゆえにこの発明の主たる目的は、通信用配線の数を少なく保ちつつ待機時の消費電力を低減できる、鞍乗型車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の鞍乗型車両は、ハンドルと車体フレームとを含む鞍乗型車両であって、電源と、第1制御部を有しかつハンドルの近傍に設けられる操作ユニットと、第2制御部を有し、車体フレームの近傍に設けられかつ電源に接続されるコントロールユニットと、第1制御部から第2制御部への情報送信用に操作ユニットとコントロールユニットとを接続する第1通信用配線と、第2制御部から第1制御部への情報送信用にコントロールユニットと操作ユニットとを接続する第2通信用配線とを備え、操作ユニットはさらに、起動指示部を含み、コントロールユニットはさらに、第2制御部に接続されかつ電源から供給される電圧を調整するための電圧調整部と、電圧調整部を起動するための起動信号を起動指示部からの起動指示に応じて発生させる起動信号発生部とを含み、電圧調整部が起動されると、電圧調整部からの出力に基づいて第1制御部および第2制御部が起動されることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の鞍乗型車両は、請求項1に記載の鞍乗型車両において、起動指示部は専用線を介して起動信号発生部に接続されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の鞍乗型車両は、請求項1に記載の鞍乗型車両において、起動指示部は第1通信用配線を介して起動信号発生部に接続されていることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の鞍乗型車両では、操作ユニットは第1制御部を有し、コントロールユニットは第2制御部を有する。したがって、操作ユニットとコントロールユニットとの間の情報の送受信は、第1制御部から第2制御部へ情報を送信するための第1通信用配線と、コントロールユニットから操作ユニットへ情報を送信するための第2通信用配線との2つの配線によって行うことができ、コントロールユニットと操作ユニットとを接続する通信用配線の数を少なくできる。また、操作ユニットに含まれる起動指示部から起動指示を行うと、コントロールユニット内の起動信号発生部が起動信号を発生させ、それに基づいて電圧調整部が起動される。電圧調整部が起動されると、電圧調整部からの出力に基づいて第1制御部と第2制御部とが起動される。このように動作させることにより、起動指示部による起動指示が行われる前の待機時における消費電力を抑制できる。
【0012】
請求項2に記載の鞍乗型車両では、起動指示部は専用線を介してコントロールユニットの起動信号発生部に接続されているので、簡単な回路構成で待機時における消費電力を抑制できる。
【0013】
請求項3に記載の鞍乗型車両では、第1制御部から第2制御部への情報送信用の第1通信用配線を、起動指示部と起動信号発生部との接続に兼用するので、操作ユニットとコントロールユニットとの間の通信用配線の数をさらに少なくできる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、操作ユニットとコントロールユニットとの間の通信用配線の数を少なく保ちつつ、待機時の消費電力を低減できる、鞍乗型車両が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の一実施形態の電動アシスト自転車を示す右側面図である。
【図2】図1に示す電動アシスト自転車の主な構成部品を示すブロック図である。
【図3】図1に示す電動アシスト自転車に含まれる操作ユニットおよびコントロールユニットの構成の一例を示す回路図である。
【図4】操作ユニットおよびコントロールユニットの起動時におけるシーケンスを示す波形図である。
【図5】操作ユニットおよびコントロールユニットの停止時におけるシーケンスを示す波形図である。
【図6】操作ユニットおよびコントロールユニットの構成の他の例を示す回路図である。
【図7】操作ユニットおよびコントロールユニットの構成の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。
なお、この発明の実施の形態における左右、前後、上下とは、電動アシスト自転車10のシート36に運転者がそのハンドル32に向かって着座した状態を基準とした左右、前後、上下を意味する。
【0017】
図1および図2を参照して、この発明の一実施形態の鞍乗型車両としての電動アシスト自転車10は、車体フレーム12を含む。車体フレーム12は、ヘッドパイプ14と、ヘッドパイプ14から後方斜め下方に延びるダウンチューブ16と、ダウンチューブ16の後端から後方斜め上方に延びるシートチューブ18と、シートチューブ18の下端付近から後方に略水平に延びる左右一対のチェーンステー20と、両チェーンステー20の後端部とシートチューブ18の上部とを連結する左右一対のシートステー22とを含む。
【0018】
ヘッドパイプ14にはハンドルステム24が左右に回動可能に軸支されている。ハンドルステム24の下端にはフロントフォーク26が設けられ、フロントフォーク26の下端には前輪28が回転自在に軸支されている。フロントフォーク26によってヘッドライト30が支持されている。ハンドルステム24の上端にはハンドル32が設けられ、ハンドル32には操作ユニット34が設けられている。シートチューブ18の上端にはシート36が装着されている。チェーンステー20の後端には後輪38が回転自在に軸支されている。
【0019】
電動アシスト自転車10は、人力駆動系40とアシスト力駆動系42とを有する。
【0020】
人力駆動系40は、クランクアーム44と、クランクアーム44の一端に設けられるペダル46と、クランクアーム46の他端に取り付けられるクランク軸48と、クランク軸48に装着される駆動スプロケット50とを含む。運転者によってペダル46からクランクアーム44を介してクランク軸48に与えられたペダル踏力(トルク)は、駆動スプロケット50を介してチェーン52に供給される。
【0021】
アシスト力駆動系42は、シートチューブ18と後輪38の前縁との間に設けられるバッテリ54と、駆動ユニット56とを含む。駆動ユニット56は、電動モータ58と、電動モータ58を駆動するためのモータ駆動回路60を有するコントロールユニット62と、電動モータ58に取り付けられる補助スプロケット64と、運転者によってクランク軸48に与えられたペダル踏力を検出するための踏力検知センサ66とを含む。駆動ユニット56ひいてはコントロールユニット62は車体フレーム12に取り付けている。電動モータ58はクランク軸48の後側に設けられている。補助スプロケット64はチェーン52に噛合されている。踏力検知センサ66は、クランク軸48と駆動スプロケット50との間に設けられている。ペダル踏力の大きさに応じた電動モータ58によるアシスト力が、補助スプロケット64を介してチェーン52に供給される。
【0022】
チェーン52は、クランク軸48に装着された駆動スプロケット50と後輪38に設けられた従動スプロケット68とに巻回されている。チェーン52に伝えられたペダル踏力とアシスト力との合力が、従動スプロケット68を介して後輪38に伝達され、後輪38が回転される。
【0023】
ここで、図3を参照して、コントロールユニット62および操作ユニット34の構成の一例について説明する。
コントロールユニット62はさらに、制御部70と、電圧調整回路72,74を含む電圧調整部75と、起動信号発生回路76と、スイッチング回路78とを含む。
【0024】
制御部70は、モータ駆動回路60を制御し、かつ操作ユニット34の制御部80(後述)との間で信号を送受信する。電圧調整回路72は、バッテリ54からの電圧を降圧して電圧調整回路74に供給する。電圧調整回路74は、電圧調整回路72からの電圧を降圧して制御部70に供給する。制御部70は、電圧調整回路74からの降圧された所定電圧が供給されることによってオンされる。たとえば、電圧調整回路72は、供給された電圧を24Vから12Vに降圧し、電圧調整回路74は、供給された電圧を12Vから5Vに降圧し、降圧した電圧を制御部70に供給する。起動信号発生回路76は、トランジスタTr1を含み、スイッチング回路78は、バッテリ54と電圧調整回路72との電気的な接続/切断を行うものであり、トランジスタTr2,Tr3およびTr4を含む。また、制御部70とトランジスタTr1との間にはトランジスタTr5が接続され、制御部70の受信ポートRX1には、トランジスタTr6およびTr7が接続され、制御部70の送信ポートTX1には、トランジスタTr8およびTr9が接続されている。
【0025】
一方、操作ユニット34は、制御部80と、電圧調整回路82と、運転者がオン/オフ操作を行う電源スイッチ84と、アシストレベル切替スイッチ86と、ヘッドライト30をオン/オフするランプスイッチ88と、バッテリ残容量を表示する残量表示LED90と、電源オン状態で点灯する電源オンLED92と、アシストレベルがハイかローかを表示するアシストレベルLED94とを有する。残量表示LED90、電源オンLED92およびアシストレベルLED94にはそれぞれ、トランジスタTr10,Tr11およびTr12が接続されている。アシストレベル切替スイッチ86、ランプスイッチ88、およびトランジスタTr10〜Tr12は、制御部80に接続されている。
【0026】
電圧調整回路82は、コントロールユニット62に含まれる電圧調整回路72から供給される電圧を降圧して、制御部80に供給し、これによって制御部80が起動され、電源オンLED92が点灯される。また、アシストレベル切替スイッチ86が操作されると、アシストレベルLED94によってアシストレベルが表示される。
【0027】
電源スイッチ84は、専用線96を介して起動信号発生部76に接続されている。制御部80の送信ポートTX2には、トランジスタTr13およびTr14が接続され、制御部80の受信ポートRX2には、トランジスタTr15およびTr16が接続されている。そして、トランジスタTr7とTr14とは通信用配線98によって接続され、トランジスタTr9とTr16とは通信用配線100によって接続されている。
【0028】
制御部70は、モータ駆動回路60の動作を制御する。制御部70には、踏力検知センサ66からの踏力検知信号およびアシストレベル切替スイッチ86からの信号が入力される。制御部70は、入力された信号と内蔵する制御マップとに基づいてアシスト力を演算し、演算されたアシスト力に応じたモータ制御信号(PWM出力)をモータ駆動回路60に出力する。モータ駆動回路60はモータ制御信号に基づいて駆動モータ58を駆動制御する。
【0029】
この実施形態では、バッテリ54が電源に相当する。制御部80が第1制御部に相当し、操作部70が第2制御部に相当する。通信用配線98が第1通信用配線に相当し、通信用配線100が第2通信用配線に相当する。電源スイッチ84が起動指示部に相当する。
【0030】
図3を参照して、電源スイッチ84がオンされたときのコントロールユニット62および操作ユニット34の動作について説明する。
なお、図3、図6および図7に示す回路図において、下三角「▽」、上三角「△」、四角「□」および菱形「◇」の図形が示されているが、同一図形の箇所は、同電位であることを示す。
【0031】
図3を参照して、コントロールユニット62および操作ユニット34の待機時において電源スイッチ84がオンされると、トランジスタTr1がオンされ、起動信号発生部76から起動信号が出力される。これによってトランジスタTr3およびTr2がオンされ、バッテリ54と電圧調整回路72とが電気的に接続され、バッテリ54からの所定電圧が電圧調整回路72に供給され、電圧調整回路供給72が起動される。電圧調整回路72は、供給された電圧を降圧して、電圧調整回路74および82に供給する。この実施形態では、電圧調整回路72は、24Vを12Vに降圧する。
【0032】
電圧調整回路74は、供給された電圧を降圧して制御部70に供給し、これによって制御部70が起動される。この実施形態では、電圧調整回路72は、12Vを5Vに降圧する。すると、制御部70は、トランジスタTr4に保持信号を供給し続け、それによってトランジスタTr4およびTr2が常時オンされ、バッテリ54からの電圧が電圧調整回路72に供給され続ける。一方、操作ユニット34の電圧調整回路82は、供給された電圧を降圧して制御部80に供給し、これによって制御部80が起動される。この実施形態では、電圧調整回路82は、12Vを5Vに降圧する。このように、電源スイッチ84がオンされることによって、電圧調整回路72,74すなわち電圧調整部75、および電圧調整回路82が起動され、制御部70および80が起動される。
【0033】
その後は、制御部80からトランジスタTr13,Tr14,Tr7およびTr6を介して制御部70へ信号を送信することによって、操作ユニット34からコントロールユニット62へ情報が送信される。一方、制御部70からトランジスタTr8,Tr9,Tr16およびTr15を介して制御部80へ信号を送信することによって、コントロールユニット62から操作ユニット34へ情報が送信される。
【0034】
コントロールユニット62および操作ユニット34の動作中に電源スイッチ84をオンすれば、トランジスタTr5がオンされ、制御部70に停止信号が供給される。これに応じて、制御部70からトランジスタTr4への保持信号の出力が停止され、スイッチング回路78がオフされ、バッテリ54から電圧調整回路72への電圧の供給が停止される。それによって、電圧調整回路72,74すなわち電圧調整部75、および電圧調整回路82が停止され、制御部70および80も停止される。
【0035】
ここで、図4に、コントロールユニット62および操作ユニット34の起動時のシーケンス(電源立ち上がりシーケンス)を示す。
【0036】
コントロールユニット62および操作ユニット34の待機状態において電源スイッチ84がオンされ、図4(a)に示す信号が出力されると、起動信号発生部76から図4(b)に示す起動信号が出力される。すると、電圧調整回路72から図4(c)に示す電圧が出力されて、電圧調整回路72が起動され、電圧調整回路74および82から図4(d)に示す電圧が出力されて、電圧調整回路74および82が起動される。その後、制御部70から図4(e)に示す保持信号が出力され、電圧調整回路72,74および82がオンされ続ける。このとき、制御部70の受信ポートRX1および送信ポートにはそれぞれ、図4(f)および(g)に示すような信号が与えられる。
【0037】
また、図5に、コントロールユニット62および操作ユニット34の停止時のシーケンス(電源立ち下りシーケンス)を示す。
【0038】
コントロールユニット62および操作ユニット34の動作状態において電源スイッチ84がオンされ、図5(a)に示す信号が出力されると、起動信号発生部76からの起動信号は図5(b)に示すように減少していく。そして、トランジスタTr5から制御部70へ停止信号が出力されると、図5(e)に示すように保持信号が出力されなくなる。それにより、電圧調整回路72からの出力電圧は図5(c)に示すようにゼロになって、電圧調整回路72が停止され、電圧調整回路74および82からの出力電圧は図5(d)に示すようにゼロになって、電圧調整回路74および82が停止される。このようにして、電圧調整回路72,74および82がオフされると、制御部70および80も図5(f)および(g)に示すように停止される。
【0039】
このような電動アシスト自転車10によれば、操作ユニット34は制御部80を有し、コントロールユニット62は制御部70を有する。したがって、操作ユニット34とコントロールユニット62との間の情報の送受信は、制御部80から制御部70へ情報を送信するための通信用配線98と、コントロールユニット62から操作ユニット34へ情報を送信するための通信用配線100との2つの配線によって行うことができ、コントロールユニット62と操作ユニット34とを接続する通信用配線の数を少なくできる。
【0040】
操作ユニット34に含まれる電源スイッチ84をオンすると、コントロールユニット62内の起動信号発生部76が起動信号を発生させ、それに基づいて電圧調整回路72,74および82が起動される。そして、電圧調整回路72,74および82が起動されると、電圧調整回路74からの出力に基づいて制御部70が起動され、電圧調整回路82からの出力に基づいて制御部80が起動される。このように動作させることによって、電源スイッチ84がオンされる前の待機時における消費電力を抑制できる。
【0041】
電源スイッチ84は専用線96を介してコントロールユニット62の起動信号発生部76に接続されているので、簡単な回路構成で待機電力を抑制できる。
【0042】
また、コントロールユニットおよび操作ユニットとして、図6に示すようなコントロールユニット62aおよび操作ユニット34aが用いられてもよい。
【0043】
コントロールユニット62aは、図3に示すコントロールユニット62からトランジスタTr5を除いたものである。コントロールユニット62aでは、トランジスタTr9のコレクタ側にはバッテリ54からの電圧が常時供給されている。また、図6に示す構成では、図3に示す構成とは異なり専用線96を含まない。操作ユニット34aでは、電源スイッチ84は、通信用配線専用線98と100との間に設けられている。電源スイッチ84と通信用配線98との間には、トランジスタTr17およびTr18が設けられている。電源スイッチ84の通信用配線98側と制御部80との間には、トランジスタTr19が設けられている。また、トランジスタTr13のコレクタ側にはツェナーダイオードDzが接続されている。なお、コントロールユニット62aおよび操作ユニット34aにおいて、コントロールユニット62および操作ユニット34と同様の構成については同様の符号を付することによって、その重複する説明は省略する。
【0044】
このようなコントロールユニット62aおよび操作ユニット34aにおける動作について説明する。
コントロールユニット62aおよび操作ユニット34の待機時において電源スイッチ84がオンされると、トランジスタTr17がオンされ、それによってトランジスタTr1がオンされ、起動信号発生部76から起動信号が出力される。その後は、図3に示す構成と同様に動作して、電圧調整回路72,74すなわち電圧調整部75、および電圧調整回路82が起動され、制御部70および80が起動される。起動後は、図3に示す構成と同様に、制御部70と80との間で信号を送受信することによって、コントロールユニット62aと操作ユニット34aとの間で情報が送受信される。
【0045】
そして、コントロールユニット62aおよび操作ユニット34aの動作中に電源スイッチ84をオンすれば、トランジスタTr18およびTr19がオンされ、制御部80に制御部80の停止信号が供給される。すると、制御部80の送信ポートTX2からトランジスタTr13,Tr14,Tr7およびTr6を介して制御部70の受信ポートRX1に、停止信号が供給される。それに応じて制御部70からトランジスタTr4への保持信号の出力も停止され、スイッチング回路78から電圧調整回路72への電圧の供給が停止される。それによって、電圧調整回路72,74すなわち電圧調整部75、および電圧調整回路82が停止され、制御部70および80も停止される。
【0046】
コントロールユニット62aおよび操作ユニット34aにおける起動時および停止時のシーケンスも図4および図5に示すようになる。
【0047】
このようなコントロールユニット62aおよび操作ユニット34aを用いる場合も、コントロールユニット62および操作ユニット34を用いる場合と同様に、電源スイッチ84がオンされる前の待機電力を抑制できる。
【0048】
また、この場合は、専用線96を用いないので配線の数をさらに少なくできる。
【0049】
なお、上述の実施形態では、操作ユニットをハンドル32に設け、コントロールユニットを車体フレーム12に設けた場合について説明したが、これに限定されない。操作ユニットは、ハンドル32の近傍に設けられればよく、たとえばハンドルステム24に設けられてもよい。また、コントロールユニットは、車体フレーム12の近傍に設けられればよく、たとえば後輪38の上方にリアキャリアが設けられている場合には、当該リアキャリアに設けられてもよい。
【0050】
図3に示すコントロールユニット62では、起動信号発生部76からの起動信号でスイッチング回路78をオンさせることによって、電圧調整回路72を起動させていたが、これに限定されない。たとえば、起動信号発生部76からの起動信号を電圧調整回路72に直接入力することによって、電圧調整回路72を起動させるようにしてもよい。図6に示すコントロールユニット62aについても同様である。
【0051】
上述の実施形態では、電圧調整部75は電圧調整回路72と74とを含んで構成されていたが、これに限定されない。この発明は、電圧調整部75が1つの電圧調整回路からなる場合や、操作ユニットに電圧調整回路が含まれない場合にも適用できる。
【0052】
起動指示部は、電源スイッチ84に限定されず、たとえば、リモートコントローラからの赤外線などの光を受けるフォトトランジスタやフォトダイオードなどの受光部であってもよい。
【0053】
上述の実施形態では、この発明を電動アシスト自転車に適用した場合について説明したが、この発明は、これに限定されない。この発明は、任意の鞍乗型車両に適用できる。
【符号の説明】
【0054】
10 電動アシスト自転車
12 車体フレーム
32 ハンドル
34,34a 操作ユニット
54 バッテリ
62,62a コントロールユニット
70,80 制御部
72,74,82 電圧調整回路
75 電圧調整部
76 起動信号発生回路
78 スイッチング回路
84 電源スイッチ
96 専用線
98,100 通信用配線
Tr1〜Tr19 トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルと車体フレームとを含む鞍乗型車両であって、
電源と、
第1制御部を有しかつ前記ハンドルの近傍に設けられる操作ユニットと、
第2制御部を有し、前記車体フレームの近傍に設けられかつ前記電源に接続されるコントロールユニットと、
前記第1制御部から前記第2制御部への情報送信用に前記操作ユニットと前記コントロールユニットとを接続する第1通信用配線と、
前記第2制御部から前記第1制御部への情報送信用に前記コントロールユニットと前記操作ユニットとを接続する第2通信用配線とを備え、
前記操作ユニットはさらに、起動指示部を含み、
前記コントロールユニットはさらに、前記第2制御部に接続されかつ前記電源から供給される電圧を調整するための電圧調整部と、前記電圧調整部を起動するための起動信号を前記起動指示部からの起動指示に応じて発生させる起動信号発生部とを含み、
前記電圧調整部が起動されると、前記電圧調整部からの出力に基づいて前記第1制御部および前記第2制御部が起動される、鞍乗型車両。
【請求項2】
前記起動指示部は専用線を介して前記起動信号発生部に接続されている、請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記起動指示部は前記第1通信用配線を介して前記起動信号発生部に接続されている、請求項1に記載の鞍乗型車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−166616(P2012−166616A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27578(P2011−27578)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)