説明

音声出力装置を備えた電子機器及び音声出力制御方法、音声出力制御プログラムが記憶された記憶媒体

【課題】 出力音量を変更する操作と音声出力とを関連づけることにより、使用者に対する操作性の向上を実現した電子機器を提供する。
【解決手段】 本発明の電子機器は、音声案内等の音声を出力する音声出力手段と、音量変更の操作があったときが音声出力手段からの音声出力中であるか否かを判定する音声出力判定手段と、音量変更の操作があったときに音声出力手段から出力される音声の音量を設定する音量設定手段と、音量変更前の設定音量と変更後の設定音量との大小を判定する音量判定手段と、音声出力判定手段が音声出力手段からの音声出力中に音量変更の操作があったと判定したときであって、音量判定手段が変更前の設定音量よりも変更後の設定音量の方が大きいと判定した場合に、音声出力手段を制御して出力中の音声を最初から繰り返して再生させる制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声出力装置を備えた電子機器と、この電子機器における音声出力制御方法と、この音声出力制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが記憶された記憶媒体と、に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、操作手順やエラーメッセージ等の音声案内を出力する機能を備えた電子機器が多数販売されている。このような音声案内は、電子機器の初心者や表示画面を見ることのできない視覚障害者等にとっては非常に便利な機能であるが、熟練者にとっては煩わしいことがあった。
【0003】
特開平7−302017号公報(特許文献1)では、音声停止キーを設置し、音声案内の再生中に音声停止キーが押下されると音声出力を停止する電子機器についての提案がなされている。しかしながら、特許文献1の発明では、音声停止キー等で音声を停止させた場合、音声案内が必要なときには再度音声案内が出力されるように設定をし直す必要があり、音声案内を必要としているような使用者にとってこの音声出力の再設定の作業が困難であるという問題があった。
【0004】
そこで、特開2006−300344号公報(特許文献2)では、音声ボタンを配置し、この音声ボタンを操作すると直ちに音声案内が出力され、また、一度聞き逃した音声案内であってもこの音声ボタンを操作することで再度聞くことができる電子機器についての提案がなされている。
【0005】
また、特開2008−259726号公報(特許文献3)では、音声案内のパターンを2種類有し、音声案内のパターンを切り換えることが可能な電子機器についての提案がなされている。また、特許文献3の発明では、音声を聞き直すための入力手段を有した電子機器の提案もなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−302017号公報
【特許文献2】特開2006−300344号公報
【特許文献3】特開2008−259726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の音声案内の出力機能を有した電子機器では、音量の変更と音声案内の再生状態との関連性がなく、使用環境に対して音声出力の音量が小さいために音声案内を聞き取れなかった場合等には、音量を上げたとしても既に出力済みの内容については聞くことができず音声案内を聞き逃すことがあった。
【0008】
上述した特許文献2の発明では、音声ボタンを操作することで出力済みの内容について再度出力させることが可能であるが、再度再生した場合にも音量が小さすぎて聞き取れないことがあり、音声ボタンを長押しして音量を上げた後に再度音声ボタンを押して音声案内を再生するという複数の操作が必要となっていた。
【0009】
また、特許文献3の発明では、聞き逃した音声案内について使用者が聞き直す場合には音声出力の音量を自動で上げて出力するという提案もなされているが、使用者にとって所望の音量で再生されるわけではないため、音量が小さすぎることによる聞き逃しや、音量が大きすぎるために煩わしさを感じさせる可能性があった。
【0010】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、音声案内等の音声出力に関する音量操作と音声案内等の出力とを関連づけることにより、使用者に対する操作性の向上を実現した電子機器と、この電子機器における音声出力制御方法と、この音声出力制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが記憶された記憶媒体と、を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の電子機器は、音声案内等の音声を出力する音声出力手段と、音量変更の操作があったときが前記音声出力手段からの音声出力中であるか否かを判定する音声出力判定手段と、音量変更の操作があったときに前記音声出力手段から出力される音声の音量を設定する音量設定手段と、前記音声出力判定手段が音声出力中であると判定したとき、前記音声出力手段を制御して出力中の音声を最初から繰り返して再生させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の電子機器は、音量変更前の設定音量と変更後の設定音量との大小を判定する音量判定手段を備え、前記制御手段は、前記音声出力判定手段が前記音声出力手段からの音声出力中に音量変更の操作があったと判定したときであって、前記音量判定手段が変更前の設定音量よりも変更後の設定音量の方が大きいと判定した場合に、前記音声出力手段を制御して出力中の音声を最初から繰り返して再生させることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の電子機器は、前記音声出力判定手段が前記音声出力手段からの音声出力中に音量変更の操作があったと判定した場合に、前記音量設定手段が音量を設定してからの時間を計る計時手段を備え、前記音量判定手段は、前記音量設定手段が音量を設定してから所定時間経過したときに、変更前の設定音量と所定時間経過後の設定音量とを比較することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の電子機器において、前記制御手段は、前記音量設定手段が音量を設定したとき、前記音声出力手段を制御して前記音量設定手段が設定した変更後の設定音量で音声を再生させることを特徴とする。
【0015】
そして、本発明の電子機器において、前記制御手段は、前記音声出力判定手段が前記音声出力手段からの音声出力中に音量変更の操作があったと判定したときにおいて前記音量判定手段が変更前の設定音量よりも変更後の設定音量の方が小さいと判定したとき、及び、前記音声出力手段から音声が出力されていないときに音量変更の操作があったとき、前記音量設定手段が設定した変更後の設定音量で前記音声出力手段から音声を出力させる制御を行うことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の電子機器において、前記音量設定手段は、音声出力中に設定音量を変更した場合、出力中の音声の再生が終了したときには設定音量を変更前の音量に設定することを特徴とする。
【0017】
本発明の音声出力制御方法は、使用者が音声出力の音量を変更する操作をしたときが音声出力手段からの音声出力中であるか否かを判定する音声出力判定処理と、該音声出力判定処理において音声出力中と判定されたとき、音声出力装置から出力される音声の音量を設定する音量設定処理と、出力中の音声を最初から繰り返して再生させる音声出力処理と、を実行することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の音声出力制御方法は、前記音声出力判定処理において音声出力中と判定されたときであって前記音量設定処理が実行されたとき、音量変更前の設定音量と音量変更後の設定音量との大小を判定する音量判定処理を実行し、該音量判定処理において音量変更後の設定音量の方が音量変更前の設定音量よりも大きいと判定されたときに前記音声出力処理を実行することを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明の音声出力制御方法は、前記音量設定処理の後、該音量設定処理からの時間を計る計時処理と、該計時処理において所定時間経過したか否かを判定する所定時間経過判定処理と、を実行し、該所定時間経過判定処理において所定時間経過したと判定されたとき、前記音量判定処理を実行することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の音声出力制御方法は、前記音量判定処理において音量変更後の設定音量の方が音量変更前の設定音量よりも大きいと判定されたとき、前記設定音量変更処理で設定された設定音量に従って出力中の音声を最初から繰り返して再生させる前記音声出力処理を実行することを特徴とする。
【0021】
本発明のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、使用者が音声出力の音量を変更する操作をしたときが音声出力手段からの音声出力中であるか否かを判定する音声出力判定処理と、該音声出力判定処理において音声出力中と判定されたとき、音声出力装置から出力される音声の音量を設定する音量設定処理と、出力中の音声を最初から繰り返して再生させる音声出力処理と、を実行するためのプログラムが記憶されたことを特徴とする。
【0022】
また、本発明のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、前記音声出力判定処理において音声出力中と判定されたときであって前記音量設定処理が実行されたとき、音量変更前の設定音量と音量変更後の設定音量との大小を判定する音量判定処理を実行し、該音量判定処理において音量変更後の設定音量の方が音量変更前の設定音量よりも大きいと判定されたときに前記音声出力処理を実行するためのプログラムが記憶されたことを特徴とする。
【0023】
さらに、本発明のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、前記音量設定処理の後、該音量設定処理からの時間を計る計時処理と、該計時処理において所定時間経過したか否かを判定する所定時間経過判定処理と、を実行し、該所定時間経過判定処理において所定時間経過したと判定されたとき、前記音量判定処理を実行するためのプログラムが記憶されたことを特徴とする。
【0024】
また、本発明のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、前記音量判定処理において音量変更後の設定音量の方が音量変更前の設定音量よりも大きいと判定されたとき、前記設定音量変更処理で設定された設定音量に従って出力中の音声を最初から繰り返して再生させる前記音声出力処理を実行するためのプログラムが記憶されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、音声案内等の音声出力に関する音量操作と音声案内等の出力とを関連づけることにより、使用者に対する操作性の向上を実現した電子機器と、この電子機器における音声出力制御方法と、この音声出力制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが記憶された記憶媒体と、を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例に係る電子機器としての文書作成装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施例に係る文書作成装置の断面模式図である。
【図3】本発明の実施例に係る文書作成装置のキーボードの平面図である。
【図4】本発明の実施例に係る文書作成装置の機能ブロック図である。
【図5】本発明の実施例に係る文書作成装置の表示部に表示される表示画面の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施例に係る文書作成装置の音声制御方法の制御フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について述べる。本発明の電子機器としての文書作成装置1は、音声案内等の音声を出力する音声出力手段としての音声出力装置48を備える。そして、この文書作成装置1は、音量変更の操作があったときが音声出力装置48からの音声出力中であるか否かを判定する音声出力判定手段62と、音量変更の操作があったときに音声出力装置48から出力される音声の音量を設定する音量設定手段61と、音声出力判定手段62が音声出力中であると判定したとき、音声出力装置48を制御して出力中の音声を変更後の設定音量で最初から繰り返して再生させる制御手段としての制御部41と、を備える。
【0028】
また、文書作成装置1は、音量変更前の設定音量と変更後の設定音量との大小を判定する音量判定手段63を備えている。そして、制御部41は、音声出力判定手段62が音声出力装置48からの音声出力中に音量変更の操作があったと判定したときであって、音量判定手段63が変更前の設定音量よりも変更後の設定音量の方が大きいと判定した場合に、音声出力装置48を制御して出力中の音声を最初から繰り返して再生させる制御を行う。つまり、制御部41は、文書作成装置1の使用者が音声案内の再生中に音量を上げる操作を行った場合に再生中の音声案内を最初から繰り返して変更後の音量で再生する制御を行う。
【0029】
さらに、文書作成装置1は、音声出力判定手段62が音声出力装置48からの音声出力中に音量変更の操作があったと判定した場合に、音量設定手段61が音量を設定してからの時間を計る計時手段64を備える。そして、音量判定手段63は、音量設定手段61が音量を設定してから所定時間経過したときに、変更前の設定音量と所定時間経過後の設定音量とを比較する。つまり、文書作成装置1では、音量判定手段63が、使用者が音量変更の操作を行う前の設定音量と音量変更後の設定音量とを比較し、この判定結果が音量を上げる操作であった場合、制御部41が、再生中の音声案内を最初から繰り返して変更後の音量で再生させる。
【0030】
また、制御部41は、音声出力判定手段62が音声出力装置48からの音声出力中に音量変更の操作があったと判定したときにおいて、音量判定手段63が変更前の設定音量よりも変更後の設定音量の方が小さいと判定したとき、及び、音声出力装置48から音声が出力されていないときに音量変更の操作があったとき、音量設定手段61が設定した変更後の設定音量で音声出力装置48から音声を出力させる制御を行う。
【実施例】
【0031】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。本発明は、音声案内等の音声を出力する音声出力装置を備えた電子機器であって、音声出力装置から音声が再生されている最中に音量を上げる操作が行われた場合、自動で再生中の音声案内を最初から繰り返して再生するという機能を有している。以下に、このような音声出力制御機能を備えた電子機器として、文書作成装置1を例に挙げて述べる。
【0032】
図1は、本発明の実施例に係る文書作成装置1の外観斜視図であり、図2は、文書作成装置1の側面断面模式図である。文書作成装置1は、葉書(100×148mm)やL判(89×127mm)、2L判(178×127mm)等の比較的小さな印刷用紙10に印刷を実行する装置であり、住所録を作成する機能や、住所録から自動で葉書に宛名書をする機能や、デジタルカメラで撮影した写真画像を取り込み写真として印刷する機能、文章を編集する機能、取り込んだ画像と文章とを組み合わせて葉書に印刷する機能等、様々な機能を有している。
【0033】
この文書作成装置1は、図1に示すように、箱形の筐体2を備え、筐体2の前方にはキーボード3が配置されている。このキーボード3は、筐体2の前方下端近傍に回動可能に装着されており、使用状態では図1に示したように前方に倒され、使用しない場合には筐体2の前面と対向した状態で収納されている。
【0034】
筐体2の前面には、印刷が完了した葉書や写真等の印刷用紙10が排出される排紙口5と、メモリーカード等の可搬型記憶媒体を挿入可能な記憶媒体挿入口6とが形成されている。この記憶媒体挿入口6は、メモリーカード等の着脱可能な可搬型記憶媒体が挿入されることにより、デジタルカメラで撮影された写真の画像データや、パーソナルコンピュータで編集された文章等の編集データを文書作成装置1に取り込み可能とするとともに、文書作成装置1で編集したデータをメモリーカード等に保存可能とする。
【0035】
また、筐体2の上面には、表示手段とされる液晶等の表示部8が配置され、この表示部8は筐体2の正面方向に回動可能とされている。この表示部8は、キーボード3からの入力信号に対応して画面上に入力内容が表示される、或いは、各種の設定に必要なメニュー画面が表示される、又は、デジタルカメラから取り込んだ写真画像が表示される等、文書作成装置1で必要とする各種のデータが表示される。また、この表示部8は、タッチパネルとしての機能も有しており、表示部8の画面上に表示されたアイコンを触ることによりメニューの選択や音声出力の音量を調整することができる。
【0036】
さらに、筐体2の上部には、筐体2の後方側から筐体2の上方までの間を回動可能な取っ手15が装着されている。この取っ手15は、略コ字状に形成され、文書作成装置1の運搬時等に把持されて使用される。
【0037】
そして、文書作成装置1は、図2に示すように、筐体2の背面に開口する空腔部16を有し、この空腔部16の開口を塞ぐように給紙トレイ18が配置されている。この給紙トレイ18は、筐体2の後方であって下方近傍位置に軸着されており、前後方向に回動可能とされ、印刷用紙10を複数枚重ねて収容することができるようになっている。
【0038】
また、給紙トレイ18の内側であって上方位置には、給紙トレイ18に収容された印刷用紙10を1枚ずつ下方に送り出すピックアップローラ19が配置されている。また、給紙トレイ18の下端近傍には、ピックアップローラ19によって下方に送り出された印刷用紙10を筐体2の排紙口5方向へと搬送する搬送ローラ20a,20bが配置されている。
【0039】
さらに、筐体2の内部であって搬送ローラ20a,20bの前方近傍には、印刷手段とされる印刷ヘッド21が配置されている。また、筐体2の内部であって印刷ヘッド21の前方には、印刷を完了した印刷用紙10を排紙口5から排出する排紙ローラ22a,22bが配置されている。この搬送ローラ20aと排紙ローラ22aは、図示しないステッピングモータによって回転を制御されて、所定速度で印刷用紙10を搬送している。
【0040】
印刷手段とされる印刷ヘッド21は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の各色インクを吐出する夫々のノズルを有するインクジェット方式の印刷ヘッド21とされ、ノズルから各色を印刷用紙10に噴射することにより印刷を実行する。なお、インクジェット方式の印刷ヘッド21について述べたが、本発明がインクジェット方式に限定されるわけではない。
【0041】
そして、給紙トレイ18に収容された印刷用紙10は、ピックアップローラ19によって前方に位置する印刷用紙10から順に下方に送り出され、搬送ローラ20a,20bとの間に挟み込まれた状態で印刷ヘッド21の下方に繰り出され、印刷が完了後、排紙ローラ22a,22bの間に挟み込まれて排紙口5から外部へと排出される。
【0042】
図3は、文書作成装置1が備えるキーボード3の平面図である。図3に示すように、キーボード3には、電源のON/OFFを切り換える電源スイッチとしての電源キー30や、選択するアイコンの切り換え等に用いる方向キー32、選択するとき等に用いる実行キー34、文字/数字等を入力するときに用いる文字入力キー36、取消しや前画面に戻るときに用いる取消しキー38等が配列されている。
【0043】
次に、本実施例の文書作成装置1の制御回路について述べる。図4は、文書作成装置1の機能回路ブロック図である。この文書作成装置1は、図4に示すように、制御部41とするCPUと、ROM51やRAM52等の記憶部42と、表示部8と、入力部45としての上述したキーボード3やタッチパネルと、印刷機構47と、音声出力装置48としてのスピーカーと、を備える。
【0044】
制御部41は、入力部45からのキー操作信号に応じて、又は、自動でROM51に予め記憶されているシステムプログラム、メモリーカードに記憶された制御プログラム等を起動させ、RAM52をワークメモリとして回路各部の動作を制御する制御手段として機能する。そして、制御部41は、ROM51に予め記憶されている音声案内等の音声情報を読出し、音声出力手段としての音声出力装置48を制御して音声出力を実行させる処理を行う。
【0045】
さらに、制御部41は、使用者が音声出力装置48から出力される音声の音量を変更したとき、音量設定手段61として、音声出力装置48から出力される音声の音量を設定する音量設定処理を行う。また、制御部41は、音声出力判定手段62として、音量設定処理を行ったときが音声出力装置48から音声が出力されている最中であるか否かを判定する音声出力判定処理を行う。
【0046】
また、制御部41は、音量判定手段63として、音量設定処理後の設定音量と音量設定処理前の設定音量とを比較する音量判定処理を行う。さらに、制御部41は、計時手段64として、音声出力装置48から音声出力中に音量設定処理があった場合に、音量設定処理からの経過した時間を計る計時処理を行う。
【0047】
記憶部42としてのROM51は、文書編集時に使用する文字フォントや印刷の字体、編集する印刷用紙の規格情報、その他の制御プログラム等が記憶されている。また、ROM51には、音声案内等の音声情報が予め記憶されている。
【0048】
記憶部42としてのRAM52は、入力部45で入力された文字等の文書の編集情報をワークメモリとして記憶する処理や、表示部8に表示されるパターンデータを記憶する処理等を行う。
【0049】
印刷機構47は、印刷部55と搬送部56とから構成される。この印刷部55は、上述した印刷ヘッド21とされるものであって、印刷用紙10に印刷を実行する処理を行う。また、搬送部56は、上述したピックアップローラ19、搬送ローラ20a,20bや排紙ローラ22a,22b、ローラを回転させるステッピングモータによって構成され、印刷用紙10を搬送する処理を行う。
【0050】
そして、本実施例の文書作成装置1は、上述したように音声出力装置48から音声が再生されている最中に使用者によって音量を上げる操作が行われた場合、自動で再生中の音声案内を最初から繰り返して再生するという機能を有している。以下、このような音声出力制御方法についての具体例及び制御フローについて述べる。
【0051】
図5は、本実施例に係る文書作成装置1の表示部8に表示される表示画面の一例であるメニュー画面を示す。図5に示すように、メニュー画面では、『文面』『宛名』『デジタル写真プリント』『設定』という大きなアイコンが表示されるとともに、音声案内等の音声出力の音量を変更するための『UP』や『DOWN』という音量変更入力手段としてのアイコンが表示されている。そして、このメニュー画面のアイコンを使用者が指等で触ることにより、所定のアイコンの機能を発揮させることができる。
【0052】
この図5に示すようなメニュー画面が表示部8に表示されている場合、音声出力装置48から「はがきの文面を作成するときは『文面』、宛名を印刷するときは『宛名』、写真を印刷するときは『デジタル写真プリント』を選んでください。」という音声が流れる。この音声案内の再生中に、使用者が表示部8に表示された音量変更のアイコンである『UP』に触れた場合、音量のインジケータ表示が『UP』に触れた回数に応じて変化し、音声の音量が操作に応じて変化するとともに、使用者の操作が完了し所定時間経過後に「はがきの文面を作成するときは『文面』、宛名を印刷するときは『宛名』、写真を印刷するときは『デジタル写真プリント』を選んでください。」という音声が最初から変更後の音量で再び再生される。
【0053】
図6は、このような音声出力制御における制御フローを示すフローチャートである。使用者が図5に示したような音量変更のアイコンに触れ音量変更の操作を行うと(ステップS101)、制御部41は、音声出力判定手段62として、音声が出力中であるか否かを判定する音声出力判定処理(ステップS103)を実行する。
【0054】
音声出力判定処理(ステップS103)において音声出力中であった場合、制御部41は、設定変更前の設定音量の値であるαを読み出す変更前音量読み出し処理(ステップS105)を実行し、音量設定手段61として使用者が変更した出力音量に設定音量を変更する音量設定処理を行うとともに、設定音量に従って音声出力装置48から出力されている音声の出力音量を変更する出力音量調整処理(ステップS107)を実行する。
【0055】
そして、制御部41は、計時手段64として音量設定処理からの時間を計時する計時処理を実行し、音量設定処理から所定時間経過したか否かを判定する所定時間経過判定処理(ステップS111)を実行する。この所定時間経過判定処理(ステップS111)において、所定時間経過前に使用者が音量変更の操作を行った場合、制御部41は、音量設定処理及び出力音量調整処理(ステップS107)を実行し、再び所定時間経過判定処理(ステップS111)を実行する。
【0056】
なお、所定時間経過判定処理(ステップS111)における所定時間としては1〜3秒程の時間が好適である。所定時間を短くとりすぎた場合、使用者が音量を変更している最中、つまり、2段階音量を上げようとしているにもかかわらず1段階音量を上げたときに音声が最初から再生されてしまう可能性があり、音量変更のアイコンを触る度に音声が最初から再生されることで使用者が煩わしく感じる可能性があるからである。一方で所定時間を長くとりすぎた場合、使用者が音量を変更した後も繰り返し音声案内等を再生するまでに時間がかかり、所定の操作、つまり、メニュー画面であれば『文面』『宛名』『デジタル写真プリント』『設定』のアイコンを選択する操作等に要する時間が長くなり、操作性が低下する可能性があるからである。
【0057】
所定時間経過判定処理(ステップS111)において、音量設定処理及び出力音量調整処理(ステップS107)から所定時間経過した場合、制御部41は、音量変更後の設定音量の値であるβをセットする処理(ステップS113)を実行し、音量判定手段63としてαがβよりも小さいか否か、つまり、使用者が行った出力音量変更の操作が音量を上げる操作であったか否かを判定する音量判定処理(ステップS115)を実行する。
【0058】
音量判定処理(ステップS115)においてα<βであった場合、つまり、使用者が行った音量変更の操作が音量を上げる操作であった場合、制御部41は、再生中であった音声に対応する音声情報をROM51から取得し(ステップS117)、再生中であった音声を音量変更後の設定音量で最初から出力する音声出力処理(ステップS121)を実行する。
【0059】
なお、音声出力判定処理(ステップS103)において音声出力中でないと判定した場合、制御部41は、変更された音量に設定音量を変更する音量設定処理(ステップS131)を実行する。また、音量判定処理(ステップS115)においてα≧βであった場合、つまり、使用者が行った音量変更の操作が音量を下げる操作であるか、あるいは、音量が変更されなかった場合には、設定音量(β)に従って音声の出力を継続する音声出力継続処理(ステップS135)を実行する。
【0060】
そして、制御部41は、音声出力処理(ステップS121)、又は、音声出力継続処理(ステップS135)、若しくは、音量設定処理(ステップS131)の後に出力される音声案内に関しては、音量設定手段61として設定した設定音量に従って音声出力装置48から出力させる制御を行う。
【0061】
このように、本実施例の電子機器としての文書作成装置1は、音声案内が再生されている最中に使用者が音量を上げる操作を行った場合、使用者が音声案内を聞き逃したと判断して最初から音声案内を再生する構成とされている。よって、例えば、年配者が音声案内の音量が小さいために音声案内を聞き取ることができなかったとき、音量を上げる操作をするだけで自動的に最初から音声案内を聞くことができるため、使用者にとって操作性が高い電子機器を提供できることとなる。
【0062】
また、使用者が音量変更の操作をした場合には所定時間経過した後に音量変更が完了したとして最初から音声を再生するか否かを判定するため、音量変更の操作中に音声が最初から再生されることを防止できる。つまり、本実施例の文書作成装置1は、音量変更の操作が開始される前の設定音量(α)と音量変更後の設定音量(β)とを比較して、音量変更前の設定音量よりも音量変更後の設定音量が大きいときに音声を繰り返して再生する構成とされている。
【0063】
よって、使用者が音量変更の操作中において微調整をしているときに、つまり、音量を下げすぎたために少し音量を上げるといった操作をしているときに、音量を上げたと判定されて音声が最初から再生されることを防止できる。これにより、音声案内が繰り返し再生されることによって使用者に煩わしいと感じさせることがなく、様々な熟練度の使用者にとって操作性が高い電子機器を提供できることとなる。
【0064】
また、音声の再生中に使用者が音量を上げる操作を行った場合、使用者が変更した音量で音声を最初から再生する構成とすることにより、使用者にとって所望の音量で音声を再生できることとなり、音量を変更する操作と音声を最初から再生させる操作とを個々に行う必要がなくなるため、使用者にとって操作性が高い電子機器を提供できることとなる。
【0065】
さらに、音声の再生中に使用者が音量を下げる操作を行った場合、再生中の音声の音量を使用者が変更した音量に下げて再生する構成とすることにより、音声案内を必要としない熟練者等が音量を下げたときにまで音声が最初から再生されることがなくなり、使用者に煩わしさを感じさせることを防止できる。
【0066】
また、音声が再生されていないときに音量操作があった場合には、変更された音量を出力音量として設定する構成とすることにより、音量設定が容易な電子機器を提供できることとなる。
【0067】
なお、上述した実施例では、音声を変更する方法としてタッチパネルのアイコンを操作する例を挙げているが、キーボード3に音量を変更するための音量ボタンを設置することや、表示部8の近傍にボリュームボタンを設置することもでき、タッチパネルに限定されるものではない。
【0068】
また、上述した実施例では、音声案内の再生中に使用者が音量変更の操作を行ったときには変更後の設定音量で音声を再生する構成とされているが、音声案内の再生中に音量変更の操作がなされたときには音声を最初から再生させるも、出力音量は変更しない構成とすることもできる。このような構成とした場合、音量変更の操作と音声を最初から再生させる操作とを別々に行う必要がなくなるため、機器の操作が複雑化することなく、操作性の高い電子機器を提供できることとなる。
【0069】
さらに、上述した実施例では、音声案内の再生中に使用者が音量変更の操作を行ったときには変更後の音量で音声を再生し、その後の音声案内に関しても変更後の設定音量で再生する構成としているが、再生中の音量変更は当該再生中の音声にのみ適用し、その後の音声案内に関しては音量変更前の設定音量に設定を戻す構成とすることもできる。
【0070】
このように、音声案内の再生中に音量変更の操作があったときに再生中の音声に関してのみ音量変更を適用する構成とした場合、使用者としては、聞き逃した音声に関しては音量変更後の大きな音量で再生を望むも、必ずしも他の音声に関してまで大きな音量で再生を望むとは限らないため、様々な使用者に対応可能な電子機器を提供できることとなる。
【0071】
なお、上述した実施例における各種処理は、コンピュータに実現させることのできるプログラムとして、例えば磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記憶媒体に書き込んだ状態で各種装置に適用する、あるいは、通信媒体により伝送して各種装置に適用することも可能である。このように所望の記憶媒体に本実施例で述べた各処理を記憶させ、他のコンピュータ等でプログラムを実行させることにより、本実施例の装置を用いた場合と同様の作用効果が得られる。なお、コンピュータは、文書作成装置1に内蔵されたコンピュータに限定されるわけではなく、記憶媒体に記憶されたプログラムを読み取り可能であって、読み取ったプログラムに従って制御動作を行うCPU等の演算装置を備えているあらゆるコンピュータを含む。
【0072】
また、音声出力制御の説明のため文書作成装置1を用いて述べてきたが、この音声出力制御は、音声出力装置48を備えたあらゆる電子機器において使用でき、文書作成装置1に特化した発明ではない。この音声出力装置48を備えた電子機器の例としては、撮像装置、投影装置、電子レンジ、給湯器、家電、自動車、パーソナルコンピュータ等が考えられる。
【0073】
さらに、本発明は、以上の実施例に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 文書作成装置 2 筐体
3 キーボード 5 排紙口
6 記憶媒体挿入口 8 表示部
10 印刷用紙 15 取っ手
16 空腔部 18 給紙トレイ
19 ピックアップローラ 20a,20b 搬送ローラ
21 印刷ヘッド 22a,22b 排紙ローラ
30 電源キー 32 方向キー
34 実行キー 36 文字入力キー
38 取消しキー 41 制御部
42 記憶部 45 入力部
47 印刷機構 48 音声出力装置
51 ROM 52 RAM
55 印刷部 56 搬送部
61 音量設定手段 62 音声出力判定手段
63 音量判定手段 64 計時手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声案内等の音声を出力する音声出力手段と、
音量変更の操作があったときが前記音声出力手段からの音声出力中であるか否かを判定する音声出力判定手段と、
音量変更の操作があったときに前記音声出力手段から出力される音声の音量を設定する音量設定手段と、
前記音声出力判定手段が音声出力中であると判定したとき、前記音声出力手段を制御して出力中の音声を最初から繰り返して再生させる制御手段と、を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
音量変更前の設定音量と変更後の設定音量との大小を判定する音量判定手段を備え、
前記制御手段は、前記音声出力判定手段が前記音声出力手段からの音声出力中に音量変更の操作があったと判定したときであって、前記音量判定手段が変更前の設定音量よりも変更後の設定音量の方が大きいと判定した場合に、前記音声出力手段を制御して出力中の音声を最初から繰り返して再生させることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記音声出力判定手段が前記音声出力手段からの音声出力中に音量変更の操作があったと判定した場合に、前記音量設定手段が音量を設定してからの時間を計る計時手段を備え、
前記音量判定手段は、前記音量設定手段が音量を設定してから所定時間経過したときに、変更前の設定音量と所定時間経過後の設定音量とを比較することを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御手段は、前記音量設定手段が音量を設定したとき、前記音声出力手段を制御して前記音量設定手段が設定した変更後の設定音量で音声を再生させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御手段は、前記音声出力判定手段が前記音声出力手段からの音声出力中に音量変更の操作があったと判定したときにおいて前記音量判定手段が変更前の設定音量よりも変更後の設定音量の方が小さいと判定したとき、及び、前記音声出力手段から音声が出力されていないときに音量変更の操作があったとき、前記音量設定手段が設定した変更後の設定音量で前記音声出力手段から音声を出力させる制御を行うことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記音量設定手段は、音声出力中に設定音量を変更した場合、出力中の音声の再生が終了したときには設定音量を変更前の音量に設定することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の電子機器。
【請求項7】
使用者が音声出力の音量を変更する操作をしたときが音声出力手段からの音声出力中であるか否かを判定する音声出力判定処理と、
該音声出力判定処理において音声出力中と判定されたとき、音声出力装置から出力される音声の音量を設定する音量設定処理と、
出力中の音声を最初から繰り返して再生させる音声出力処理と、を実行することを特徴とする音声出力制御方法。
【請求項8】
前記音声出力判定処理において音声出力中と判定されたときであって前記音量設定処理が実行されたとき、音量変更前の設定音量と音量変更後の設定音量との大小を判定する音量判定処理を実行し、
該音量判定処理において音量変更後の設定音量の方が音量変更前の設定音量よりも大きいと判定されたときに前記音声出力処理を実行することを特徴とする請求項7に記載の音声出力制御方法。
【請求項9】
前記音量設定処理の後、該音量設定処理からの時間を計る計時処理と、
該計時処理において所定時間経過したか否かを判定する所定時間経過判定処理と、を実行し、
該所定時間経過判定処理において所定時間経過したと判定されたとき、前記音量判定処理を実行することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の音声出力制御方法。
【請求項10】
前記音量判定処理において音量変更後の設定音量の方が音量変更前の設定音量よりも大きいと判定されたとき、前記設定音量変更処理で設定された設定音量に従って出力中の音声を最初から繰り返して再生させる前記音声出力処理を実行することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の音声出力制御方法。
【請求項11】
使用者が音声出力の音量を変更する操作をしたときが音声出力手段からの音声出力中であるか否かを判定する音声出力判定処理と、
該音声出力判定処理において音声出力中と判定されたとき、音声出力装置から出力される音声の音量を設定する音量設定処理と、
出力中の音声を最初から繰り返して再生させる音声出力処理と、を実行するためのプログラムが記憶されたことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項12】
前記音声出力判定処理において音声出力中と判定されたときであって前記音量設定処理が実行されたとき、音量変更前の設定音量と音量変更後の設定音量との大小を判定する音量判定処理を実行し、
該音量判定処理において音量変更後の設定音量の方が音量変更前の設定音量よりも大きいと判定されたときに前記音声出力処理を実行するためのプログラムが記憶されたことを特徴とする請求項11に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項13】
前記音量設定処理の後、該音量設定処理からの時間を計る計時処理と、
該計時処理において所定時間経過したか否かを判定する所定時間経過判定処理と、を実行し、
該所定時間経過判定処理において所定時間経過したと判定されたとき、前記音量判定処理を実行するためのプログラムが記憶されたことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項14】
前記音量判定処理において音量変更後の設定音量の方が音量変更前の設定音量よりも大きいと判定されたとき、前記設定音量変更処理で設定された設定音量に従って出力中の音声を最初から繰り返して再生させる前記音声出力処理を実行するためのプログラムが記憶されたことを特徴とする請求項12又は請求項13に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−100322(P2011−100322A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254835(P2009−254835)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】