説明

音声放送システム及び情報端末

【課題】商品の宣伝のための音声放送時における客の動向を提示すること。
【解決手段】サーバ装置20は、複数の音声データを記憶する音声データ記憶部201と、複数の音声データのいずれかを音声データ記憶部201から読み出して放送装置に配信する配信部202と、配信部202によって音声データが配信される場合は、複数のカメラ部の中からいずれかのカメラ部を選択的に切り替える切替部203と、切り替えられたカメラ部で取得される映像を情報端末へ送信する送信部204と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品の宣伝のために音声放送を行う音声放送システム及びそれに用いられる情報端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、店内放送によって店内に陳列されている商品の宣伝を行う装置が知られている。例えば、公知の装置では、商品に関する音声情報を店舗内のスピーカに対して出力し、そのログデータを表示させるものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−22040号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の装置のように、ログデータを表示させることによって利用者に対し宣伝が行われた事実を提示する装置は従来から存在したものの、宣伝が行われたときの客の動向を提示する装置は存在せず、かかる装置が要望されていた。
【0005】
上述した観点に鑑み、本発明の目的は、音声放送時における客の動向を提示する音声放送システムおよびそれに用いられる情報端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための音声放送システムは、売場内の映像を取得する複数のカメラ部と、売場内の商品を宣伝するための音声放送を行う放送装置と、前記各カメラ部および前記放送装置の各々がネットワークを介して接続可能に構成されるサーバ装置と、を備える音声放送システムであって、前記サーバ装置は、前記音声放送で再生される複数の音声データを記憶する音声データ記憶部と、前記複数の音声データのいずれかを前記音声データ記憶部から読み出して前記放送装置に配信する配信部と、前記配信部によって音声データが配信される場合は、前記複数のカメラ部の中から、その音声データによる音声放送で宣伝される商品の売場付近の映像を取得するカメラ部を予め設定された条件に応じて選択的に切り替える切替部と、を備え、前記切り替えられたカメラ部は、前記音声放送時に撮影された映像を第1端末へ送信するための処理を行うものである。
【0007】
この音声放送システムでは、複数の音声データのいずれかを放送装置に配信するときに、複数のカメラ部の中からいずれかのカメラ部で取得される映像が第1端末に対して送信される。
【0008】
上記課題を解決するための情報端末は、売場内の商品を宣伝するための音声放送のスケジュールを管理するサーバ装置とネットワークを介して接続可能に構成される情報端末であって、情報の入力部と、前記サーバ装置のスケジュール管理部に管理されたスケジュールに基づいて、すでに設定されている音声放送の日程を表示する第1表示エリア、および、新たな音声放送の割り当てが可能な日程を表示する第2表示エリアが表示可能な前記表示画面を有する表示部と、前記第2表示エリアを前記入力部で指示されたときには、その指示された第2表示エリアに対応する日程に新たな音声放送を前記スケジュールに割り当てさせるスケジュール調整部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、音声放送時における客の動向を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る音声放送システムの構成例を示す図。
【図2】カメラ部およびスピーカの配置の一例を示す図。
【図3】音声放送による商品の宣伝順序を時系列上で説明するための図。
【図4】サーバ装置の構成を示すブロック図。
【図5】音声放送のスケジュールのデータ構成を示す図。
【図6】撮影パターンのデータ構成を示す図。
【図7】情報端末の構成を示すブロック図。
【図8】スピーカ12aの出力例と、スピーカ12bの出力例と、カメラ部10aの撮影パターンと、カメラ部10dの撮影パターンとを示すタイミングチャート。
【図9】音声放送の処理の全体を示すフローチャート。
【図10】スケジュール変更処理時における情報端末の基本的な表示態様を示す図。
【図11】図10と類似の表示態様であって、表示態様が1つの店舗だけのスケジュールを示すもの。
【図12】音声放送のスケジュールの変更処理の全体を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態における音声放送システムについて説明する。この音声放送システムは、商品の宣伝のために音声放送を行い、音声放送時における客の動向を提示するものである。
【0012】
[音声放送システムの構成]
図1は、本発明の実施形態における音声放送システムの構成例を示す図である。
図1に示す音声放送システム100は、複数のカメラ部10a,10b,・・・,10nと、各カメラ部を制御する映像装置11と、複数のスピーカ12a,12b,・・・,12nと、各スピーカを制御する放送装置13とを備える。この音声放送システム100はさらに、サーバ装置20と複数の情報端末30a,・・・,30nを備える。
【0013】
この音声放送システム100において、サーバ装置10および各情報端末(30a,・・・,30n)の各々は、例えば外部のIP(Internet Protocol)網1(通信ネットワーク)を介して、映像装置11および放送装置13に接続されている。図1では、主として店舗A内に有する構成要素を示してあるが、各店舗A,・・・,X内には、図示しないカメラ部、映像装置、スピーカおよび放送装置が設けられている。
【0014】
[カメラ部およびスピーカの配置]
次に、ある店舗内に設けられるカメラ部およびスピーカの配置について、図2を参照して説明する。図2は、カメラ部およびスピーカの配置の一例を示す図である。
【0015】
図2に示すように、この店舗内では、複数の種類の商品が陳列された3つの商品棚51,52,53が配置されている。そして、複数のカメラ部10a,10b,10c,10d,10eおよび複数のスピーカ12a,12bが設けられている。各カメラ部は、音声放送時における客の動向をとらえるために、所定の範囲の映像を撮影できるように配置されている。ここでは、カメラ部10a〜10eの撮影範囲として、撮影範囲d1〜d7とした例を示している。例えば、カメラ部10aの撮影範囲は、撮影範囲d1である。
【0016】
この実施形態の音声放送システム100は、商品の宣伝のために予め準備されている音声データをスピーカから出力する場合に、複数のカメラ部の中から、いずれかのカメラ部に切り替えて、その商品の売場付近の映像を撮影させるようする。店舗内に陳列される商品の売場は、商品毎に異なることから、同一のカメラ部の撮影では所望の映像がとらえられないこともあり得るし、同一の商品であっても複数の売場の映像を段階的に設定したい場合がある。そのため、カメラ部の切り替えが行われる。
【0017】
しかしながら、カメラ部の切り替えが行われたとしても撮影倍率または撮影方向(この実施形態では、撮影方向はカメラ部の向きを意味する)次第では客の動向をとらえられないこともあり得るし、同一のカメラ部であっても撮影倍率または撮影方向を段階的に設定したい場合もあり得る。そのため、カメラ部の撮影倍率または/および撮影方向が適宜変更されるようにできることが好ましい。そのために、本実施形態の各カメラ部(10a,10b,10c,10d,10e)は、映像装置11からの信号に基づいて、ズームインまたはズームアウトが可能な構成となっている。さらに各カメラ部(10a,10b,10c,10d,10e)は、映像装置11からの信号に基づいて、撮影方向の調整が可能な構成となっている。
【0018】
[音声放送による商品の宣伝順序]
次に、音声放送システム100によって実現される商品の宣伝順序について、図3を参照して説明する。図3は、音声放送による商品の宣伝順序を時系列上で説明するための図であって、(a)音声放送による宣伝の対象となる商品と、(b)音声放送を行うスピーカと、(c)音声放送に応じて選択されるカメラ部とを示す図である。なお、図3(a)は、一部の音声出力の順序を例示的に示しているに過ぎない。
【0019】
図3に示すように、この音声放送システム100では、宣伝対象となる商品(A,B)に応じて、音声放送を行うスピーカ(12a,12b)が選択され、その音声放送の間は、選択されたカメラ部(10a,10d)がその商品周辺の映像を撮影する。そして、上述したカメラ部(10a,10d)の撮影倍率および撮影方向は、商品(A,B)の売場(陳列場所)に応じて適宜変更して設定される。
【0020】
図3では、例えばスピーカ12aは、商品Aの宣伝のための音声放送を行うスピーカとして選択され、その音声放送の間は、カメラ部10aの倍率は1.2倍および撮影方向はaaに設定され、カメラ部10aは商品A付近の映像を撮影する。また、例えばスピーカ12bは、商品Bの宣伝のための音声放送を行うスピーカとして選択され、その音声放送の間は、カメラ部10dの倍率は2.0倍および撮影方向はbbに設定され、カメラ部10dは商品B付近の映像を撮影する。
【0021】
なお、図3では、各商品の音声放送に対応してスピーカが選択される場合について示したが、複数のスピーカを複数の放送系統に分けておき、その放送系統毎に選択されるようにしてもよい。
【0022】
[サーバ装置20の構成]
図4は、サーバ装置20の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、このサーバ装置20は、音声データ記憶部201、配信部202、切替部203、送信部204およびスケジュール管理部205を備える。
【0023】
音声データ記憶部201は、ROMまたはRAM(メモリ)により構成され、複数の音声データ(第1音声データ)を記憶する。各音声データは、商品の宣伝のために、スピーカからの音声放送で再生されるものである。
【0024】
音声データは、商品の宣伝を目的とする内容を含む。例えば、商品案内、タイムサービス案内などの内容が音声データに含まれる。音声データによる音声放送時には、その音声データが音声データ記憶部201から読み出されて、スピーカから音声データが出力される。
【0025】
また、この音声放送システム100では、上述した音声放送時以外のときは、BGM放送が行われる。音声データ記憶部201は、BGM(Background Music)データ(第2音声データ)を記憶しており、BGM放送時には、BGMデータが音声データ記憶部201から読み出されて、スピーカからBGMデータが出力される。
【0026】
配信部202は、CPUの機能によって実現される。この配信部202は、複数の音声データのいずれかを音声データ記憶部201から読み出して放送装置13に配信する。
【0027】
切替部203は、CPUの機能によって実現される。この切替部203は、配信部202によって音声データが配信される場合に、複数のカメラ部10a,10b,・・・10nの中から、いずれかのカメラ部を、予め設定された条件(この実施形態では、後述する音声放送のスケジュール2051)に応じて選択的に切り替える。このカメラ部の切り替えは、カメラ部が、音声放送時に宣伝される商品の売場付近の映像を取得できるようにするために行われる。
【0028】
カメラ部の切り替えは、1台、または、2台以上の単位で行われる。例えば、切替部203は、複数台のカメラ部を予めグループ分けしておき、グループ単位でカメラ部を切り替えるようにしてもよい。
【0029】
また、本実施形態の切替部203は、客の動向を正確にとらえるために、カメラ部の位置に応じてそのカメラ部の撮影倍率を制御する。さらに、この切替部203は、客の動向を正確にとらえるために、カメラ部の撮影方向も制御するように構成されている。このカメラ部の制御の処理については、後に詳細に説明する。
【0030】
送信部204は、CPUの機能によって実現される。この送信部204は、切替部203によって切り替えられたカメラ部で取得される映像を情報端末(第1端末)へ送信する。カメラ部からの映像データには、対象となる商品の売場付近の映像が含まれるため、送信部204は、情報端末の利用者(例えば、商品の宣伝主、商品の販売者、後援者など)に対し、音声放送時における客の動向を把握させることが可能になる。
【0031】
スケジュール管理部205は、メモリおよびそれと協働するCPUの機能によって実現される。このスケジュール管理部205は、音声放送のスケジュール2051を管理する。さらにスケジュール管理部205は、撮影パターン2052を管理する。
【0032】
図5は、音声放送のスケジュール2051のデータ構成を示す図である。
図5に示すように、このスケジュール2051は、「利用者ID」と、「音声情報」と、「放送日時」と、「配信先」と、「撮影先」とが互いに対応付けられている。
【0033】
「利用者ID」には、利用者(この実施形態では、例えば、商品の宣伝主、商品の販売者、後援者など)のIDが設定される。この実施形態では、利用者IDは、情報端末30(例えば、端末IP)と対応付けられており、送信部204がカメラ部からの映像を送信するときには、その映像が、対応する情報端末30に送信される。図5では、例えば「001」の利用者IDの場合、カメラ部10aからの映像データが、この利用者IDに対応付けられている情報端末30に対して送信される。
【0034】
「音声情報」には、対象となる「商品」に対応する「音声データ」が予め設定されている。図5では、例えば、商品Aに対応する音声データs(1)が設定されている。
【0035】
「放送日時」には、音声放送の「開始日時」および「終了日時」が記述されている。図5では、例えば、開始日時t10および終了日時t11が、商品Aに対応する音声データs(1)による音声放送の「開始日時」および「終了日時」として設定されている。
【0036】
また、図5に示すように、「配信先」には、音声データの出力先となる「スピーカ」およびそのスピーカを制御する「放送装置」が記述されている。図5では、例えば、スピーカ12aが音声データs(1)の出力先として設定され、音声装置13がそのスピーカ12aを制御する音声装置として設定されている。
【0037】
さらに、図5に示すように、「撮影先」には、音声放送時に切り替えられる「カメラ部」およびそのカメラ部の「撮影パターン」が記述されている。撮影パターンには、後述する図6に一例を示すように、カメラ部の倍率および撮影方向のデータからなる。図5では、例えば、カメラ部10aが、商品Aに対応する音声データs(1)による音声放送時に切り替えられるカメラ部として設定され、映像パターンx(1)が、そのカメラ部10aの撮影パターンとして設定されている。
【0038】
図6は、撮影パターン2052のデータ構成を示す図である。
図6に示すように、この撮影パターン2052は、「撮影パターン」と、「倍率」と、「撮影方向」とが互いに対応付けられている。図6では、例えば、撮影パターンx(1)は、1.2倍の倍率およびaaの撮影方向からなる。
【0039】
[情報端末の構成]
次に、各情報端末(30a,・・・,30n)について図7を参照して説明する。なお、以下の説明において、各情報端末(30a,・・・,30n)に共通の説明では各情報端末が単に情報端末30として参照される。
【0040】
図7は、情報端末30の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、情報端末30は、入力部301、表示部302、インターフェース303、メモリ304(記憶部)およびCPU305(処理部)を備える。これらの構成要素は全てバス300に接続されている。情報端末30は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話端末、携帯情報端末(PDA)などである。
【0041】
入力部301は、情報を入力するための入力装置である。入力部301は、例えば、マウス、キーボード、操作ボタン、スタイラスペンなどである。
【0042】
表示部302は、情報を表示するための表示装置である。表示部302は、例えば、表示パネルなどである。
【0043】
インターフェース303は、サーバ装置20と情報端末30との間の情報の授受を行うためのものである。情報端末30は、インターフェース303を介してサーバ装置20と接続されている。
【0044】
メモリ304は、RAMおよびROMを含む。ROMには、情報端末30全体の動作制御に必要なプログラムや各種データが記録される。CPU305は、このプログラムを読み出して各種を実行する。この実施形態では、CPU305は、スケジュール調整部3051を含む。このスケジュール調整部3051の機能については、後に詳細に説明する。
【0045】
[音声放送システム100の動作]
以下、商品の宣伝のための音声放送を行い、音声放送時における客の動向を提示するために実現される音声放送システム100の動作について図8および図9を参照して説明する。
【0046】
図8は、(a)スピーカ12aの出力例と、(b)スピーカ12bの出力例と、(c)カメラ部10aの撮影パターンと、(d)カメラ部10dの撮影パターンとを示すタイミングチャートである。
【0047】
図8(a)に示すように、例えば開始日時t10および終了日時t11が、音声データs(1)の音声放送の開始日時および終了日時として設定され、t10からt11までの間は、音声データs(1)がスピーカ12aから出力される。そして図8(a)に示すように、t10からt11までの間は、カメラ部10aの撮影パターンx(1)が設定され、x(1)の撮影パターンの映像がカメラ部10aによって撮影される。
【0048】
また、図8(b)に示すように、例えば開始日時t20および終了日時t21が、音声データs(2)の音声放送の開始日時および終了日時として設定され、t20からt21までの間は、音声データs(2)がスピーカ12bから出力される。そして図8(d)に示すように、t20からt21までの間は、カメラ部10dの撮影パターンx(2)が設定され、x(2)の撮影パターンの映像がカメラ部10dによって撮影される。
【0049】
なお、この実施形態では、対応するカメラ部の撮影期間は、音声放送の開始日時から終了日時までの期間(t10→t11、または、t20→t21)と同一とした場合について示しているが、様々な観点から変更可能である。例えば、カメラ部の撮影は、音声放送の開示日時よりも前から、または、後から開始するようにしてもよい。また、カメラ部の撮影は、音声放送の終了日時よりも前に、または、後に終了するようにしてもよい。
【0050】
次に、この音声放送が実現されるために実行される処理の全体について説明する。図9は、音声放送の処理の全体を示すフローチャートである。
【0051】
図9において、サーバ装置20では、スケジュール管理部205が、音声放送のスケジュール2051(図5)を参照して、配信対象となる音声データが存在する場合には、配信部202は、音声データを音声データ記憶部201から読み出す(ステップS101)。図8(a)では、音声データs(1)は開始日時t10にスピーカから出力されることになるので、スケジュール管理部205は、t10よりも前に、音声データs(1)が配信対象となることを示す通知を配信部202に対して行うことになる。この場合には、配信部202は、スケジュール管理部205からの通知を受けるタイミングで順次、対応する音声データを読み出すことができる。
【0052】
次にサーバ装置20では、配信部202が、ステップS101で読み出された音声データを、対応する放送装置13に対して配信する(ステップS102)。上述したスケジュール管理部205からの通知には、音声データの配信先(すなわち放送装置およびスピーカ)を含むので、配信部202は、その通知に示された配信先に対して音声データを配信する。
【0053】
この実施形態では、一例として、配信部202は、音声データをストリーミング配信する場合について説明するので、音声放送の開始日時から終了日時までの間、音声データは配信される。図8(a)では、音声データs(1)はt10からt20までの間、スピーカ10aから出力されるので、配信部202は、t10の前から、音声データs(1)を放送装置13に対して配信し続ける。その結果、放送装置13は、サーバ装置20から音声データ(1)を受信し、その音声データs(1)をt10からt20までの間スピーカ12aから出力させる。これによりt10からt20までの間、音声放送による商品の宣伝が行われる。
【0054】
さらにサーバ装置20では、切替部203が、複数のカメラ部10a,10b,・・・10nの中からいずれかのカメラ部を、スケジュール2051(図5)に応じて選択的に切り替える(ステップS103)。この切り替えを実現するために、スケジュール管理部205は、スケジュール2051(図5)に基づいて指定されるカメラ部を切替部202に対して通知することになる。この場合、スケジュール管理部205は、撮影パターン2052(図6)に基づいて、上記指定されるカメラ部の撮影パターンも切替部202に対して通知するようにしてもよい。
【0055】
例えば図8(c)の例では、カメラ部10aはt10からt20までの間、撮影パターンx(1)で撮影するので、切替部203は、スケジュール管理部205からの通知に基づいて、t10よりも前に、t10からt20までの間はカメラ部10aが撮影パターンx(1)で撮影することを映像装置11に対して予め行うことになる。その結果、映像装置11は、t10からt20までの間はカメラ部10aを撮影パターンx(1)(例えば、倍率1.2倍および撮影方向aa)で撮影するようにさせることができる。これにより音声放送時における商品付近の映像が確実に撮影される。
【0056】
ここで、切り替えられたカメラ部は、音声放送時に撮影された映像を情報端末(第1端末)へ送信するための処理を行う。この実施形態では、一例として、カメラ部は、音声放送時に撮影された映像を、映像装置11およびIP網1を介して、サーバ装置20へ送信する。その結果、サーバ装置20では、送信部204が、カメラ部からの映像を取得するので、所定のタイミングでその映像を、対応する情報端末30に送信する(ステップS104)。
【0057】
上述した所定のタイミングは、カメラ部からの映像をライブ配信とするためのタイミング、または、情報端末30からの要求を受けたタイミングとする構成をとることが可能である。
また、図5の例では、カメラ部に対応付けられた利用者IDが記録されていて、そのカメラ部からの映像は、当該利用者IDに対応する情報端末に送信されるものとする。これにより、音声放送時における客の動向が利用者に対して提示される。
【0058】
以上では、図5を参照して、予め設定された音声放送のスケジュール2051に従って音声放送が実行されていく場合について説明した。しかしながら、場合によっては、同一の音声放送であっても、利用者が同一店舗内で複数回に変更したいこともあり得るし、他店の音声放送を行いたくなる場合等もある。そのため、音声放送のスケジュール2051は簡易に変更できることが好ましい。
【0059】
以下、本実施形態における音声放送のスケジュール2051の変更処理について、図10ないし図12を参照して説明する。
【0060】
[スケジュールの変更処理]
図10は、スケジュール変更処理時における情報端末30の基本的な表示態様を示す図である。
図10に示すように、情報端末30(第2端末)において、スケジュール変更処理時の表示部302には、ある年月日(符号71)における5つの店舗A〜Eの音声放送の日程(9時から20時まで)を表示する放送スケジュールの表示画面50が構成されている。すなわち、この表示画面50には、各店舗毎に、音声放送の開始時刻から終了時刻までの期間を示す放送区間51,52,53,54(第1表示エリア)が表示されており、各放送区間には、宣伝対象の商品(図10では、A、または、C)も表示されている。例えば放送区間51は、商品Aを宣伝対象として、10時前から11時前まで音声放送が行われることを示している。
【0061】
この情報端末30では、放送区間51,52,53,54に対するドラッグ操作(入力部301の指示)に基づいて、新たな放送区間が割り当てられる。図10では、入力部301のドラッグ操作によって、ポインタ61aをポインタ61bまで移動させて店舗Bの放送区間52が店舗Eの放送区間52aとして割り当てられる例を示している。
【0062】
さらに、この情報端末30では、放送区間51,52,53,54に対するドラッグ操作に基づいて、放送区間の長さ(すなわち、開始時刻または終了時刻)を調整することも可能である。図10では、入力部301(例えば、マウス)の操作によって、放送区間54のエッジ(終了時刻)に重ねられたポインタ62aをポインタ62bまで移動させて、放送区間54の終了時刻を伸長する例を示している。
【0063】
図10では、5つの店舗A〜Eの音声放送の日程が表示されていたが、1つの店舗だけの日程を表示することもできる。その一例を図11に示す。図11は、図10と類似の表示態様であって、表示態様が1つの店舗だけのスケジュールを示すものである。
【0064】
図11に示すように、情報端末30において、スケジュール変更処理時の表示部302には、店舗Aの音声放送の日程(9時から11時過ぎまで)が表示されている。すなわち、この表示画面には、2つの放送区間71,72(第1表示エリア)が表示されており、各放送区間には、宣伝対象の商品(図11では、A、または、D)も表示されている。
【0065】
さらに、この表示画面には、新たな音声放送の割り当てが可能な区間(日程)を表示する新規候補区間73(第2表示エリア)が示されている。この新規候補区間73は、すでに割り当てられている日程などの関係を考慮して予め設定されている。利用者は割り当てが不可能な区間が完全には予測できず、スケジュール変更の円滑な運用が期待される。
この新規候補区間73は、利用者に対して、視覚的に他の区間と区別して提示される。図11では、入力部301のドラッグ操作によって、ポインタ81aをポインタ81bまで移動させて放送区間71が新規候補区間73内に割り当てられる例を示している。
【0066】
図12は、スケジュール2051の変更処理の全体を示すフローチャートである。
図12において、情報端末30(CPU305)は、サーバ装置20への要求に応じて、スケジュール2051に基づく音声放送のスケジュールを表示部302上に表示する(ステップS202)。表示される音声放送のスケジュールは、利用者の観点から様々な形態をとることが可能である。図10の例では、5つの店舗A〜Eの音声放送の日程が表示される。また、図11の例では、1つの店舗Aの音声放送の日程が表示される。
【0067】
次に情報端末30(CPU305)は、ステップS201で表示されたスケジュールにおいて、新たな音声放送の割り当てが可能な日程の範囲(第2表示エリア)を表示する(ステップS202)。この日程の範囲は、例えば図10に示した表示例では、複数の放送区間51,52,53,54以外の範囲が該当し、例えば図11に示した表示例では、新規候補区間73が該当する。
【0068】
さらに情報端末30(スケジュール調整部3051)は、入力部301の指示に対応する日程に新たな音声放送を割り当てさせる(ステップS203)。この場合には、情報端末30(スケジュール調整部3051)は、新たに日程が割り当てられることをサーバ装置20に対して通知する。例えば図10において入力部301(例えば、マウス)のドラッグ操作によって、店舗Bの放送区間52が店舗Eの放送区間52aとして割り当てられた場合には、スケジュール調整部3051は、店舗Eに放送区間52aが割り当てられたことをサーバ装置20に対して通知する。
【0069】
また、例えば図10において入力部301(例えば、マウス)の操作によって、店舗Aの放送区間54の終了時刻が引き延ばされた場合には、スケジュール調整部3051は、そのことをサーバ装置20に対して通知する。
【0070】
ステップS204では、サーバ装置20(スケジュール管理部205)は、ステップS203で割り当てさせる音声放送の日程をスケジュール2051に反映して変更する。この場合、この実施形態では、一例として、スケジュール管理部205は、情報端末30からの上記通知を受信し、その通知に基づいてスケジュール2051を変更する。これにより、スケジュール2051が変更され、音声放送システム100では、それ以降そのスケジュール2051に従って音声放送が実行される。
【0071】
以上説明したように、本実施形態の音声放送システム100によれば、サーバ装置20は、複数の音声データのいずれかを放送装置13に配信し、その配信に伴って、複数のカメラ部の中からいずれかのカメラ部で取得される映像を情報端末30へ送信する。ここで、音声データは商品の宣伝の内容を含み、その商品付近の映像をカメラ部が撮影するので、商品付近の映像を情報端末30に対して提示することができる。これにより、音声放送時における客の動向が確認できる。
【0072】
また、本実施形態の情報端末30によれば、新たな音声放送の割り当てが可能な日程の範囲(図10の例では、放送区間51,52,53,54以外の範囲、図11の例では、新規候補区間73)に対して入力部301で指示されたときには、その指示された範囲に対応する日程に新たな音声放送がスケジュール2051に割り当てさせる。これにより利用者はスケジュール2051を簡易に変更できる。
【0073】
[変更例]
なお、実施上のハードウエア構成および処理順序は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、変更してもよい。
上記実施形態の音声放送システムでは、カメラ部からの映像がサーバ装置20を介して情報端末30に送信される場合について説明したが、これに限られない。例えば、P2P(Pear-to-pear)技術を利用することで、サーバ装置20を介さずに、カメラ部からの映像が、映像装置11およびIP網1を介して、情報端末30に送信されるようにしてもよい。この場合、どの情報端末にどの音声放送時(図5の例では、「放送日時」)の映像を送るかの情報については、予めカメラ部または映像装置11に設定しておけばよい。このような構成をとることができれば、例えば図9のステップS104で、サーバ装置20が、カメラ部からの映像の送信処理を行う必要はなく、図9のステップS103で切り替えられたカメラ部が、音声放送時に撮影された映像を、映像装置11およびIP網1を介して、情報端末へ送信するようにすればよい(音声放送時に撮影された映像を情報端末へ送信するための処理)。
【0074】
また、本実施形態の音声放送システム100では、映像装置11によってカメラ部を制御する場合について説明したが、これに限られない。映像装置11を用いることは、カメラ部を制御するための一方策に過ぎない。例えば、カメラ部をIP網に接続可能なネットワークカメラとし、映像装置11に相当する機能をサーバ装置20に持たせるようにすれば、映像装置11によってカメラ部を制御する必要はなく、カメラ部とサーバ装置20との間で直接、IP網1を介した通信が行われることになる。
【0075】
さらに本実施形態の音声放送システム100では、スピーカを制御する音声装置13を備える場合について説明したが、これに限られない。例えば、IP網に接続可能なネットワークスピーカがスピーカとして使用されるときには、音声装置13を備える必要はなく、サーバ装置20とスピーカとの間で直接、IP網1を介した通信が行われることになる。その場合、図9に示したステップS102の処理では、配信部202が、ステップS101で読み出された音声データを、対応するスピーカ(音声装置)に対して配信することで実施可能である。
【符号の説明】
【0076】
10a,10b,・・・,10n カメラ部
11 映像装置
12a,12b,・・・,12n スピーカ
13 音声装置
20 サーバ装置
30a,・・・,30n 情報端末
201 音声データ記憶部
202 配信部
203 切替部
204 送信部
205 スケジュール管理部205
2051 音声放送のスケジュール
2052 映像パターン
3051 スケジュール調整部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
売場内の映像を取得する複数のカメラ部と、売場内の商品を宣伝するための音声放送を行う放送装置と、前記各カメラ部および前記放送装置の各々がネットワークを介して接続可能に構成されるサーバ装置と、を備える音声放送システムであって、
前記サーバ装置は、
前記音声放送で再生される複数の音声データを記憶する音声データ記憶部と、
前記複数の音声データのいずれかを前記音声データ記憶部から読み出して前記放送装置に配信する配信部と、
前記配信部によって音声データが配信される場合は、前記複数のカメラ部の中から、その音声データによる音声放送で宣伝される商品の売場付近の映像を取得するカメラ部を予め設定された条件に応じて選択的に切り替える切替部と、を備え、
前記切り替えられたカメラ部は、
前記音声放送時に撮影された映像を第1端末へ送信するための処理を行う、
音声放送システム。
【請求項2】
請求項1に記載の音声放送システムにおいて、
前記サーバ装置の切替部は、切り替えられたカメラ部で取得される映像の倍率を、当該カメラ部の位置に応じて制御する、音声放送システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の音声放送システムにおいて、
第2端末をさらに備えるとともに、
前記サーバ装置は、前記音声放送のスケジュールを管理するスケジュール管理部を有し、
前記第2端末は、
情報の入力部と、
前記管理されたスケジュールに基づいて、すでに設定されている音声放送の日程を表示する第1表示エリア、および、新たな音声放送の割り当てが可能な日程を表示する第2表示エリアが表示可能な前記表示画面を有する表示部と、を有し、
前記サーバ装置のスケジュール管理部は、前記第2表示エリアを前記第2端末の入力部で指示された場合に、その指示された第2表示エリアに対応する日程に新たな音声放送が割り当てる、音声放送システム。
【請求項4】
請求項3に記載の音声放送システムにおいて、
前記第2端末の入力部は、前記第1表示エリアに表示されている音声放送を、前記第2表示エリアへのドラッグ操作により指示を行う、音声放送システム。
【請求項5】
売場内の商品を宣伝するための音声放送のスケジュールを管理するサーバ装置とネットワークを介して接続可能に構成される情報端末であって、
情報の入力部と、
前記サーバ装置のスケジュール管理部に管理されたスケジュールに基づいて、すでに設定されている音声放送の日程を表示する第1表示エリア、および、新たな音声放送の割り当てが可能な日程を表示する第2表示エリアが表示可能な前記表示画面を有する表示部と、
前記第2表示エリアを前記入力部で指示されたときには、その指示された第2表示エリアに対応する日程に新たな音声放送を前記スケジュールに割り当てさせるスケジュール調整部と、
を備える情報端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−8766(P2012−8766A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143547(P2010−143547)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000223182)ティーオーエー株式会社 (190)
【Fターム(参考)】