説明

音声認識機能付き電子機器

【課題】音声認識により電子機器の遠隔操作を行う場合の誤作動を好適に防止することができる電子機器を提供することである。
【解決手段】ディジタルテレビ受像機100において、判断手段(CPU131、判断プログラム133a)により、音声入力部11に入力された音声信号が、リモコン2のマイクロホン21に入力された音声信号であるか否かを、受信部12により受信された識別信号により判断することができ、判断手段により、音声入力部11により入力された音声信号が、リモコン2のマイクロホン21に入力された音声信号であると判断された場合、制御手段(CPU131、制御プログラム133b)によって、当該音声信号の音声認識を行い、当該音声認識結果に基づく機器本体部1の所定の動作を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声認識機能付き電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビやビデオ等の電子機器の多機能化・高機能化が進むに伴い、これらを遠隔操作するリモートコントロール装置にも、様々な機能に対応し、かつ簡易な操作で遠隔操作可能なものが求められ、現在では、このような遠隔操作に音声認識技術を用いた電子機器が利用されている。
【0003】
当該電子機器には、例えば、リモコン送信器でのキー操作によるリモコン信号RK又は音声信号が変換された赤外線RVが、機器本体において共通のフォーマットのリモコンパルスP1又はP2に変換され、リモコンパルス切替信号に従い、リモコン選択部を介して、リモコンパルスP1とP2のいずれかを排他的に解読する機器がある(特許文献1参照)。
【0004】
また、各種電子機器の遠隔操作に用いられるリモコン送信器に関し、簡易な操作で遠隔操作が可能なものとして、複数の送信部を設け、操作部の操作及び音声入力部への音声入力毎に、別々の送信部からリモコン信号を送信するリモコン送信器がある(特許文献2参照)。
【0005】
また、リモートコントロール受信機が配備された被操作装置に設けた音声認識手段と、音声信号情報を転送手段により転送して被操作装置を制御するリモートコントロール送信器とからなるリモートコントロール装置がある(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2003−219201号公報
【特許文献2】特開2003−111164号公報
【特許文献3】特開平07−030982号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電子機器本体側において音声認識を行うとした場合、電子機器本体を制御するための音声か周囲の雑音かを判断することが難しく、誤動作を生じてしまうおそれがある。
これに対して、上記特許文献1〜3に開示された装置では、リモコンに付されたマイクから入力された音声信号を音声認識により、所定の制御信号に変換し、各種電子機器本体の操作を行うものであり、電子機器本体側で音声認識を行う場合には適用できず、上記した誤動作の問題を解決することはできない。
【0007】
本発明の課題は、音声認識により電子機器の遠隔操作を行う場合の誤作動を好適に低減することができる電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明による発明は、電子機器本体部とリモコン部とからなる音声認識機能付き電子機器において、
前記リモコン部は、
音声を音声信号として入力するためのマイクロホンと、
前記電子機器本体部における複数の動作処理のカテゴリーの中から任意のカテゴリーを指定する指定手段と、
前記マイクロホンに音声信号が入力されたと認識された場合に、前記指定手段により指定されたカテゴリーに対応するIr(Infrared rays)信号を前記電子機器本体部に送信する送信部と、
を備え、
前記電子機器本体部は、
音声を音声信号として入力するための音声入力部と、
前記送信部により送信されたIr信号を受信する受信部と、
Ir信号に対応付けられた動作処理のカテゴリー毎に、音声信号と動作コマンドとを対応付けて記憶する記憶手段と、
前記音声入力部に入力された音声の入力時間と、前記受信部により受信されたIr信号の入力時間との差が、所定の時間内である場合に、前記音声入力部により入力された音声信号が、前記リモコン部の前記マイクロホンに入力された音声信号であると判断する判断手段と、
前記判断手段により、前記音声入力部に入力された音声信号が、前記リモコン部の前記マイクロホンに入力された音声信号であると判断された場合、当該音声信号の音声認識を行い、前記受信部により受信したIr信号に対応する前記記憶手段に記憶された動作処理のカテゴリーから動作コマンドを検索し、前記電子機器本体部の所定の動作を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明による発明は、電子機器本体部とリモコン部とからなる音声認識機能付き電子機器において
前記リモコン部は、
音声を音声信号として入力するためのマイクロホンと、
前記マイクロホンに音声信号が入力されたと認識された場合に、所定の識別信号を前記電子機器本体部に送信する送信部と、
を備え、
前記電子機器本体部は、
音声を音声信号として入力するための音声入力部と、
前記送信部により送信された識別信号を受信する受信部と、
前記音声入力部に入力された音声信号が、前記リモコン部の前記マイクロホンに入力された音声信号であるか否かを、前記受信部により受信された識別信号により判断する判断手段と、
前記判断手段により、前記音声入力部に入力された音声信号が、前記リモコン部の前記マイクロホンに入力された音声信号であると判断された場合、当該音声信号の音声認識を行い、当該音声認識結果に基づく前記電子機器本体部の所定の動作を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明による発明は、請求項2に記載の発明において、
前記判断手段は、前記音声入力部に入力された音声の入力時間と、前記受信部により受信された識別信号の入力時間との差が、所定の時間内である場合に、前記音声入力部に入力された音声信号が、前記リモコン部の前記マイクロホンに入力された音声信号であると判断することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明による発明は、請求項2または3に記載の発明において、
前記リモコン部は、
前記電子機器本体部における複数の動作処理のカテゴリーの中から任意のカテゴリーを指定する指定手段を備え、
前記送信部は、前記指定手段により指定されたカテゴリーに対応する識別信号を前記電子機器本体部に送信し、
前記電子機器本体部は、識別信号に対応付けられた動作処理のカテゴリー毎に、音声信号と動作コマンドとを対応付けて記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記判断手段により、前記音声入力部に入力された音声信号が、前記リモコン部の前記マイクホンに入力された音声信号であると判断された場合、当該音声信号の音声認識を行い、前記受信部により受信した所定の識別信号に対応する前記記憶手段に記憶された動作処理のカテゴリーから動作コマンドを検索し、前記電子機器本体部の所定の動作を制御することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明による発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載の発明において、前記識別信号は、Ir(Infrared rays)信号であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、判断手段によって、音声入力部に入力された音声の入力時間と、受信部により受信されたIr信号の入力時間との差が、所定の時間内である場合に、音声入力部に入力された音声信号が、リモコン部のマイクロホンに入力された音声信号であると判断することができ、判断手段により、音声入力部に入力された音声信号がリモコン部のマイクロホンに入力された音声信号であると判断された場合、制御手段によって、当該音声信号の音声認識を行い、受信部により受信したIr信号に対応する記憶手段に記憶された動作処理のカテゴリーから動作コマンドを検索し、電子機器本体部の所定の動作を制御することができる。
従って、電子機器本体部に音声信号が入力された場合、当該音声信号が、電子機器本体部を制御するための音声信号か周囲の雑音かを、より的確に判断することができることとなって、電子機器本体部の遠隔操作を行う場合の誤作動をより好適に低減することができる。
また、マイクロホンから入力された音声信号を識別するとともに、指定手段により指定された動作処理のカテゴリーに対応するIr信号を電子機器本体部に送信するので、予め、音声認識結果に基づく動作コマンドの検索範囲を任意の動作処理のカテゴリーに絞り込むことができ、動作コマンド検索の効率を上げることができる。
さらに、識別信号には、Ir信号を用いているので、送信部の消費電力を低くすることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、判断手段により、音声入力部に入力された音声信号が、リモコン部のマイクロホンに入力された音声信号であるか否かを、受信部により受信された識別信号により判断することができ、判断手段により、音声入力部に入力された音声信号が、リモコン部のマイクロホンに入力された音声信号であると判断された場合、制御手段によって、当該音声信号の音声認識を行い、当該音声認識結果に基づく電子機器本体部の所定の動作を制御することができる。
従って、電子機器本体部に音声信号が入力された場合、当該音声信号が、電子機器本体部を制御するための音声信号か周囲の雑音かを、より的確に判断することができることとなって、電子機器本体部の遠隔操作を行う場合の誤作動を好適に低減することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、判断手段によって、音声入力部に入力された音声の入力時間と、受信部により受信された識別信号の入力時間との差が、所定の時間内である場合に、音声入力部に入力された音声信号が、リモコン部のマイクロホンに入力された音声信号であると判断することができる。
従って、電子機器本体部に音声信号が入力された場合、当該音声信号が、電子機器本体部を制御するための音声信号か周囲の雑音かの判断を、確実に行うことができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2または3に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、マイクロホンから入力された音声信号を識別するとともに、指定手段によって指定された動作処理のカテゴリーに対応する所定の識別信号を電子機器本体部に送信するので、予め、音声認識結果に基づく動作コマンドの検索範囲を任意の動作処理のカテゴリーに絞り込むことができ、動作コマンド検索の効率を上げることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、請求項2〜4に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、識別信号には、Ir信号を用いているので、送信部の消費電力を低くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
なお、本実施の形態では、電子機器として、ディジタルテレビ受像機を例に説明する。しかし、電子機器はこれに限られることなく、例えば、ビデオやエアコン等の家電機器であっても良い。
【0019】
まず、図1を参照しながら、機器全体の構成及び要部構成について説明する。
本実施形態のディジタルテレビ受像機100は、例えば、テレビジョン放送信号(以下、放送信号という。)を受信し、受信した放送信号を、所定の出力信号に変換し、映像/音声データを出力する電子機器本体部としての機器本体部1と、ユーザが各種指示を遠隔操作によって音声入力するためのリモコン部としてのリモートコントロール装置(以下、リモコンという。)2と、を備えて構成されている。
【0020】
次に、ディジタルテレビ受像機100の要部構成について説明する。
機器本体部1は、放送信号を受信するアンテナ3と、アンテナ3により受信された放送信号から所定の放送チャンネルの放送信号を選局するチューナ4と、チューナ4から出力された放送信号の復調及び誤り訂正処理を行う復調部5と、復調部5で復調された放送信号に付加されている不正視聴防止用のスクランブル信号を解除するデスクランブル6と、デスクランブル6で解除された放送信号から各データを分離抽出することで、映像/音声データを取得するデマルチクサ7と、デマルチクサ7で取得された映像/音声データに伸張処理を行うデコーダ8と、デコーダ8で伸張された映像データにOSDデータを付加するOSD(On-Screen Character Display)処理部9と、デコーダ8、OSD処理部9で処理された映像/音声データを出力する受像部10と、音声を音声信号として入力する音声入力部11と、リモコン2からのIr信号を受信する受信部12と、機器本体部1全体を統括制御する制御部13と、各部を接続する制御バス14と、を備えて構成されている。
なお、音声入力部は、例えば、音声をそのまま音声信号として入力する場合に限らず、音声が音声信号に変換された後に入力される設計であっても良い。
【0021】
リモコン2は、例えば、図2に示すように、音声を音声信号として入力するためのマイクロホン21と、音声信号を識別するための識別信号としてのIr信号を送信する送信部22と、機器本体部1における複数の動作処理のカテゴリーの中から任意のカテゴリーを指定する操作部23と、を備えて構成されている。
具体的には、操作部23は、図2に示すように、指定手段として機能する機器本体部1における複数の動作処理のカテゴリーの中から任意のカテゴリーを指定するための操作キー(Ir1キー23a、Ir2キー23b、Ir3キー23c)と、その他、チャンネルボタンや方向指定キーなどで構成されている。また、送信部22は、赤外線通信機能により、コマンドを制御対象である機器本体部1に対して送信する機能を有し、例えば、マイクロホン21に音声信号が入力された場合には、入力された音声による振動を認識することにより、操作キー23aの押圧操作により指定されたカテゴリーに対応するIr信号を送信する。
【0022】
制御部13は、例えば、図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)131と、RAM(Random Access Memory)132と、記憶部133と、などを備えている。
【0023】
CPU131は、記憶部133に記憶された各種処理プログラム及びコマンドテーブルに従って各種の制御動作を行う。
【0024】
RAM132は、CPU131によって実行される処理プログラムなどを展開するためのプログラム格納領域や、入力データや上記処理プログラムが実行される際に生じる処理結果などを格納するデータ格納領域などを備える。
【0025】
記憶部133は、機器本体部1で実行可能なシステムプログラム、当該システムプログラムで実行可能な各種処理プログラム、これら各種処理プログラムを実行する際に使用されるデータ、CPU131によって演算処理された処理結果のデータなどを記憶する。なお、プログラムは、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形で記憶部133に記憶されている。
具体的には、記憶部133には、例えば、図1に示すように、判断プログラム133aと、制御プログラム133bと、Ir信号に対応付けられた動作処理のカテゴリー毎に、音声信号と動作コマンドとを対応付けて記憶したコマンドテーブル133cなどが記憶されている。
【0026】
判断プログラム133aは、CPU131に、音声入力部11に入力された音声信号が、リモコン2のマイクロホン21に入力された音声信号であるか否かを判断する機能を実現させるプログラムである。
具体的には、CPU131は、判断プログラム133aを実行することにより、音声入力部11に入力された音声の入力時間と、受信部12により受信されたIr信号の入力時間との差が、所定の時間内である場合に、音声入力部11に入力された音声信号が、リモコン2のマイクロホン21に入力された音声信号であると判断する。
CPU131は、かかる判断プログラム133aを実行することにより、判断手段として機能する。
【0027】
制御プログラム133bは、CPU131に、音声認識結果に基づく所定の動作処理を制御する機能を実現させるプログラムである。
具体的には、CPU131は、制御プログラム133bを実行することにより、判断プログラム133aの実行によって、音声入力部11に入力された音声信号が、リモコン2のマイクロホン21に入力された音声信号であると判断された場合、当該音声信号の音声認識を行い、受信部12により受信したIr信号に対応するコマンドテーブル133cに記憶された動作処理のカテゴリーから動作コマンドを検索し、機器本体部1の所定の動作を制御する。ここで、音声認識は、例えば、Juliusという音声認識ソフトウェアのように、膨大な音声パターンと言語パターンの統計データを集積することにより実現され、音声認識の基本原理は、音響モデル(音素(ローマ字1文字にほぼ相当)や音節(かな1文字に相当))の周波数パターンを保持し、入力音声とマッチングを行うものである。
CPU131は、かかる制御プログラム133bを実行することにより、制御手段として機能する。
【0028】
コマンドテーブル133cは、Ir信号に対応付けられた動作処理のカテゴリー毎に、音声信号と動作コマンドとを対応付けて記憶したコマンドテーブルである。
具体的には、例えば、図3に示すように、図2のIr1キー23aに対応したIr1は、チャンネル切替等の動作処理のカテゴリーに対応付けられ、さらに、「チャンネルアップ」、「チャンネルダウン」、「メニュー」等の音声信号が、所定の動作コマンドと対応付けられて記憶されている。
記憶部133は、かかるコマンドテーブル133cを記憶することで、記憶手段として機能する。
【0029】
次に、本発明のリモコン2の動作について、本発明の実施形態であるディジタルテレビ受像機の動作を例に図4を用いて説明する。
最初、リモコン2は、ユーザによる音声入力待機状態にある。そして、例えば、ユーザが「チャンネルアップ」を行いたい場合、ステップS1で、「チャンネルアップ」の動作を含むカテゴリーに対応付けられた操作キー(Ir1キー23a)を指定するとともに「チャンネルアップ」とリモコン2のマイクロホン21に発声する。すると、ステップS2で、ユーザによりリモコン2のマイクロホン21に音声入力があったと認識され(ステップS2;Yes)、ステップS3へ進む。一方、音声入力がない場合(ステップS2;No)は、再度、音声入力待機状態となる。
【0030】
次いで、ステップS3において、リモコン2は、所定のIr信号(Ir1信号)を送信部22から機器本体部1に送信する。以降、ステップS1からの処理を繰り返す。
【0031】
次に、本発明の機器本体部1の動作について、図5を用いて説明する。
まず、ステップS11において、CPU131は、音声入力部11より「チャンネルアップ」の音声を音声信号として入力すると、判断プログラム133aを実行することにより、音声入力部11に入力された音声の入力時間と、受信部12により受信されたIr1信号の入力時間との差が、所定の時間内であるか否かを判断する(ステップS12)。
【0032】
ステップS12において、CPU131は、Ir1信号を所定の時間内に受信したと判断した場合(ステップS12;Yes)、ステップS13へ進む。一方、CPU131は、Ir1信号を所定の時間内に受信していないと判断した場合(ステップS12;No)、本処理を終了する。
【0033】
次いで、CPU131は、制御プログラム133bを実行することにより、ステップS13において、音声入力部11に入力された「チャンネルアップ」の音声信号に基づき音声認識処理を行い、当該処理結果に基づき、受信部12により受信したIr1信号に対応するコマンドテーブル133cに記憶されたチャンネル切替に関する動作処理のカテゴリー(Ir1)から動作コマンドを検索する。
【0034】
次いで、CPU131は、ステップS14において、検索された「チャンネルアップ」に対応する動作コマンドに基づく機器本体部1の制御を行い、本処理を終了する。
【0035】
以上説明した本発明にかかるディジタルテレビ受像機100によれば、CPU131が判断プログラム133aを実行することによって、音声入力部11に入力された音声の入力時間と、受信部12により受信されたIr信号の入力時間との差が、所定の時間内である場合に、音声入力部11に入力された音声信号が、リモコン2のマイクロホン21に入力された音声信号であると判断することができ、CPU131により、音声入力部11に入力された音声信号がリモコン2のマイクロホン21に入力された音声信号であると判断された場合、CPU131が制御プログラム133bを実行することによって、当該音声信号の音声認識を行い、受信部12により受信したIr信号に対応するコマンドテーブル133cに記憶された動作処理のカテゴリーから動作コマンドを検索し、機器本体部1の所定の動作を制御することができる。
従って、機器本体部1に音声信号が入力された場合、当該音声信号が、機器本体部1を制御するための音声信号か周囲の雑音かを、より的確に判断することができることとなって、機器本体部1の遠隔操作を行う場合の誤作動をより好適に低減することができる。
また、マイクロホン21から入力された音声信号を識別するとともに、操作部23により指定された動作処理のカテゴリーに対応するIr信号を機器本体部1に送信するので、予め、音声認識結果に基づく動作コマンドの検索範囲を任意の動作処理のカテゴリーに絞り込むことができ、動作コマンド検索の効率を上げることができる。
さらに、識別信号には、Ir信号を用いているので、送信部22の消費電力を低くすることができる。
【0036】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、判断手段で判断される、音声の入力時間と、識別信号の入力時間との差は、ユーザが選択により条件設定を行うことができ、ユーザ所望のタイムラグを設定することができる設計であっても良い。
また、識別信号は、リモコン部に当該識別信号を送信するための操作キーを設け、ユーザにより、かかる操作キーを押下することで識別信号を送信する設計であっても良い。
識別信号は、Ir信号のみならず、電波を用いた電波信号、可視光線等(レーザー・LED等)を用いた光無線信号、超音波を用いた超音波信号などでもよい。
また、コマンドテーブルは、電子機器の動作処理のカテゴリーに限らず、複数の電子機器をリモコンにより操作することができる場合には、夫々の電子機器毎のカテゴリーによって、音声信号と動作コマンドとを対応付けて記憶する設計であっても良い。
また、電子機器本体部における複数の動作処理のカテゴリーの中から任意のカテゴリーを指定する指定手段として、夫々のカテゴリーに対応する操作キーを用いたが、これに限らず、切替スィッチ等により、予め、スィッチを切替えて任意のカテゴリーに設定を行う設計であっても良い。また、カテゴリーの設定は必須ではなく、マイクロホンにより音声が入力された場合、常に同一のIr信号を送信する構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明にかかるディジタルテレビ受像機の全体構成及び要部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明におけるリモコン部の1例を示すイメージ図である。
【図3】本発明におけるコマンドテーブルの1例を示す図である。
【図4】本発明におけるリモコン部の動作処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明における機器本体部の動作処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
100 ディジタルテレビ受像機(音声認識機能付き電子機器)
1 機器本体部
2 リモコン
21 マイクロホン
22 送信部
23 操作部(指定手段)
11 音声入力部
12 受信部
131 CPU(判断手段、制御手段)
133a 判断プログラム(判断手段)
133b 制御プログラム(制御手段)
133c コマンドテーブル(記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器本体部とリモコン部とからなる音声認識機能付き電子機器において、
前記リモコン部は、
音声を音声信号として入力するためのマイクロホンと、
前記電子機器本体部における複数の動作処理のカテゴリーの中から任意のカテゴリーを指定する指定手段と、
前記マイクロホンに音声信号が入力されたと認識された場合に、前記指定手段により指定されたカテゴリーに対応するIr(Infrared rays)信号を前記電子機器本体部に送信する送信部と、
を備え、
前記電子機器本体部は、
音声を音声信号として入力するための音声入力部と、
前記送信部により送信されたIr信号を受信する受信部と、
Ir信号に対応付けられた動作処理のカテゴリー毎に、音声信号と動作コマンドとを対応付けて記憶する記憶手段と、
前記音声入力部に入力された音声の入力時間と、前記受信部により受信されたIr信号の入力時間との差が、所定の時間内である場合に、前記音声入力部により入力された音声信号が、前記リモコン部の前記マイクロホンに入力された音声信号であると判断する判断手段と、
前記判断手段により、前記音声入力部に入力された音声信号が、前記リモコン部の前記マイクロホンに入力された音声信号であると判断された場合、当該音声信号の音声認識を行い、前記受信部により受信したIr信号に対応する前記記憶手段に記憶された動作処理のカテゴリーから動作コマンドを検索し、前記電子機器本体部の所定の動作を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする音声認識機能付き電子機器。
【請求項2】
電子機器本体部とリモコン部とからなる音声認識機能付き電子機器において
前記リモコン部は、
音声を音声信号として入力するためのマイクロホンと、
前記マイクロホンに音声信号が入力されたと認識された場合に、所定の識別信号を前記電子機器本体部に送信する送信部と、
を備え、
前記電子機器本体部は、
音声を音声信号として入力するための音声入力部と、
前記送信部により送信された識別信号を受信する受信部と、
前記音声入力部に入力された音声信号が、前記リモコン部のマイクロホンに入力された音声信号であるか否かを、前記受信部により受信された識別信号により判断する判断手段と、
前記判断手段により、前記音声入力部に入力された音声信号が、前記リモコン部の前記マイクロホンに入力された音声信号であると判断された場合、当該音声信号の音声認識を行い、当該音声認識結果に基づく前記電子機器本体部の所定の動作を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする音声認識機能付き電子機器。
【請求項3】
前記判断手段は、前記音声入力部に入力された音声の入力時間と、前記受信部により受信された識別信号の入力時間との差が、所定の時間内である場合に、前記音声入力部に入力された音声信号が、前記リモコン部の前記マイクロホンに入力された音声信号であると判断することを特徴とする請求項2に記載の音声認識機能付き電子機器。
【請求項4】
前記リモコン部は、
前記電子機器本体部における複数の動作処理のカテゴリーの中から任意のカテゴリーを指定する指定手段を備え、
前記送信部は、前記指定手段により指定されたカテゴリーに対応する識別信号を前記電子機器本体部に送信し、
前記電子機器本体部は、識別信号に対応付けられた動作処理のカテゴリー毎に、音声信号と動作コマンドとを対応付けて記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記判断手段により、前記音声入力部に入力された音声信号が、前記リモコン部の前記マイクロホンに入力された音声信号であると判断された場合、当該音声信号の音声認識を行い、前記受信部により受信した所定の識別信号に対応する前記記憶手段に記憶された動作処理のカテゴリーから動作コマンドを検索し、前記電子機器本体部の所定の動作を制御することを特徴とする請求項2または3に記載の音声認識機能付き電子機器。
【請求項5】
前記識別信号は、Ir(Infrared rays)信号であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の音声認識機能付き電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate