説明

音声認識装置および音声認識装置における電源供給制御方法

【目的】
本発明は、音声認識装置において、電源制御機構にリセット信号処理を追加することにより、無駄な電源投入を避け、簡単に、かつ大幅に電源の消費電力の低減を図ることを目的とする。
【構成】
本発明は、音声認識装置において、マイコンにリセット信号出力機構を設け、リセット信号が入力されると一定時間内であっても信号の保持を停止するリセット入力機構を延長回路に設け、
音声認識装置の動作、行動、制御完了後にマイコンからリセット信号を出力し、
リセット信号を入力された延長回路が一定時間待つことなくすぐに音声信号制御回路の電源を遮断することで、無駄な電源投入を避け、簡単に、かつ大幅に電源の消費電力の低減を図る電源制御機構を特長とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は消費電力の低減を目的とする電源制御機構を備えた、音声信号を認識することによって動作、行動、制御を行う音声認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音声認識装置は入力した音声信号を認識し、その内容に応じて動作、行動、制御を行う装置である。入力する音声信号には、ファクシミリなどに用いられる可聴音変調信号、人の声、トーンパルスなどの様々な音声信号が存在する。
【0003】
音声認識装置は、デジタル信号処理技術の向上やLSIの小型化により、小型で安価に作れるようになり、リモコンやおもちゃなど、電池駆動で動作するものも少なくない。
そのため、音声認識装置は、従来よりも消費電力の削減が必要となっていった。
【0004】
消費電力の削減が必要な場合、音声認識装置に電源制御機構を設けるが、電源制御機構にはレベル検出法が用いられることが多い。
【0005】
レベル検出法は音声信号のレベル(音量)を検出することによって、電源制御を行う方法である。
【0006】
従来の電源制御機構を備えた音声認識装置のブロック図を図1に示す。
【0007】
音声認識装置1は大きく音声信号制御回路2と電源供給制御回路3に分かれる。
【0008】
入力された音声信号aは増幅器4で増幅される。
音声信号制御回路2では増幅器4から出力される音声信号a´を認識して、その音声信号a´に合わせて動作、行動、制御を行う。
【0009】
電源供給制御回路3はレベル検出回路7と制御回路9を備えており、
レベル検出回路7は増幅された音声信号a´が予め設定した閾値を超えたときにHレベルの音声レベル検出信号bを出力し、閾値を超えなかったときにLレベルの音声レベル検出信号bを出力する。制御回路9は前述した音声レベル検出信号bがHレベルのときのみ、電源回路10から出力される電圧を音声信号制御回路2に供給する。一方、音声レベル検出信号bがLレベルのときは、前述した電圧の音声信号制御回路2への供給は遮断される。これにより、一定レベル以上の音声信号a´が入力されたときのみに音声信号制御回路2に電圧が供給され、一定レベル未満の音声信号a´が入力されたときは音声信号制御回路2には電圧は供給されないことになり、不要な電力を削減できるようになっている。
【0010】
図1の各部の動作波形を示す図を図2に示す。
【0011】
しかしながら、人の声などは一定のレベル(音量)でないため、レベル検出回路7が検出できるレベルを常に超えた音声信号a´が入力されるとは限らない。
【0012】
そのため、音声信号a´が入力されているにも係わらず、レベル検出回路7が検出できない状態が断続するため、電源制御信号cが細切れとなり、音声信号制御回路2が電源の投入と遮断を繰り返すことになる。その結果、モデム5とマイコン6が動作不安定となり、音声認識することが難しくなる。
【0013】
上記の内容を鑑みて特許文献1において遅延回路8を設けて最後のレベル検出から遅延時間Tの間は音声信号制御回路2の電源を保持する方法が提案されている。
【0014】
遅延回路8を加えた音声認識装置のブロック図を図3にし、図3の各部の動作波形を示す図を図4に示す。
【0015】
遅延回路8は前述した音声レベル検出信号bの最後のレベル検出から遅延時間Tだけ遅延した電源制御信号cを出力して、制御回路9に入力する。
【0016】
遅延回路8を設けることで、遅延時間T内であれば音声のレベルが低下しても音声信号制御回路2の電源が遮断されないため、動作が不安定になることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2001−318689
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
特許文献1に示す技術を用いても、遅延時間Tは常に一定時間であるため、音声信号aが終了後も電源供給制御回路3は音声信号制御回路2の電源を保持することになる。つまり、音声入力aが終了し、音声認識装置1として動作、行動、制御が終了したとしても電源供給制御回路3は電源を遮断することができず、その分の消費電力が無駄となる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するために、本発明に係る音声認識装置は
入力された音声信号を解析し、解析した音声信号の内容に対して制御処理をする音声信号制御回路と、
電源と
前記電源から供給される電圧を前記音声信号制御回路へ供給あるいは遮断をする電源供給制御回路を有する音声認識装置であって
前記電源供給制御回路は音声信号のレベルを検出するレベル検出回路と、
レベル検出回路から出力した信号を一定時間保持して信号を出力する遅延回路と、
前記遅延回路が出力する信号に基づいて、前記電圧を前記音声信号制御回路に供給、遮断する制御回路を有し、
前記音声信号制御回路は前記解析された音声信号の内容に対する制御処理を終了するとリセット信号を出力し、
前記遅延回路は前記リセット信号を入力すると、信号保持を停止することを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係る音声認識装置における電源供給制御方法は
音声信号制御回路が入力された音声信号を解析し、解析した音声信号の内容に対して制御処理を行い、
電源供給制御回路が、前記音声信号制御回路に電源からの電圧供給を制御する音声認識装置の電源供給制御方法において
前記電源供給制御回路は音声信号のレベルを検出するレベル検出ステップと、
レベル検出ステップから出力した信号を一定時間保持して信号を出力する遅延ステップと、
前記遅延ステップが出力する信号に基づいて、前記電圧を前記音声信号制御回路に供給、遮断する制御ステップを有し、
前記音声信号制御回路は前記解析された音声信号の内容に対する制御処理を終了するとリセット信号を出力するステップと、
前記遅延ステップは前記リセット信号を入力すると、信号保持を停止するステップを有することを特徴とする。

【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、入力した音声レベル検出することによる電源制御の効率を改善することが出きる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来の電源制御機構を備えた音声認識装置のブロック構成図である。
【図2】図1の各部の動作波形を示す図である。
【図3】遅延回路を加えた従来の音声認識装置のブロック構成図である。
【図4】図3の各部の動作波形を示す図である。
【図5】本発明である音声認識装置のブロック構成図である。
【図6】図5の各部の動作波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0023】
以下、図面を用いて本実施形態を説明する。図5は本発明に係わる音声認識装置1の構成を示すブロック図であり、また図6は本実施例における各部の動作波形を示す図である。
【0024】
音声認識装置1は大きく分けて音声信号制御回路2と電源供給制御回路3から成る。
【0025】
外部から入力された音声信号aは増幅器4に入力する。増幅器4から出力された音声信号a´は分岐して音声信号制御回路2と電源供給制御回路3へそれぞれ入力される。
【0026】
音声信号制御回路2では、音声信号a´の認識をして、それに伴った動作、行動、制御を行う。具体的には増幅器4から出力された音声信号a´は音声信号制御回路2内のモデム5に入力され、音声信号の解析が行われる。解析されたデータをマイコン6に入力して、マイコン6はそのデータに合わせて様々な動作、行動、制御を行う。
【0027】
一方、電源供給制御回路3へ向かった音声信号a´はレベル検出回路7に入力される。
【0028】
電源供給制御回路3はレベル検出回路7と制御回路9を備えており、
レベル検出回路7は増幅された音声信号a´が予め設定した閾値を超えたときにHレベルの音声レベル検出信号bを出力し、閾値を超えなかったときにLレベルの音声レベル検出信号bを出力する。
【0029】
遅延回路8は前述した音声レベル検出信号bの立ち上がりを検出すると予め設定した遅延時間Tのあいだ遅延させた遅延信号である電源制御信号cを出力して、制御回路9に入力する。
【0030】
また、遅延回路8は遅延時間Tの間に音声レベル検出信号bを再度検出すると、その検出した時点からさらに遅延時間Tのあいだ遅延信号を保持するため、保持時間が延長される。
【0031】
制御回路9は電源制御信号cを検出して、電源回路10からの電源出力を投入もしくは遮断して、音声信号制御回路2の電源制御を行う。図6では電源制御信号cがHレベルのときに音声信号制御回路2に電圧が供給され、Lレベルのときは電圧が遮断される。
【0032】
ここで音声信号aによる動作指示が完了した場合には、マイコン6によって終了を自動的に検出して、遅延回路8にリセット信号dを出力する。遅延回路8はリセット信号dを入力すると遅延時間T内であったとしても遅延信号の保持をやめる。このとき、音声信号a´が入力されていない場合あるいは著しくレベルが低い場合は、音声レベル検出信号bはLとなる。一方、遅延回路8は前述のように遅延信号の保持をしないので、電源制御信号cはLとなる。それにより制御回路9は音声信号制御回路2の電源を遮断する。
【0033】
以上より、音声信号処理が終了した後の余分な遅延時間Tにおける電圧供給を削減でき、余剰時間Sの消費電力を抑えることができる。そのため、複雑な制御は必要とせずに、音声認識装置に全体的な消費電力を減らし、電池寿命を延ばすことができる。
【0034】
なお、本実施例において遅延時間Tの具体的な数値は示さなかったが、実施する装置の構成によって変動するものであるから、本発明においてはこれをなんら限定するものではない。
【0035】
また、音声認識装置のブロック図は主なブロックを示したものであり、他の機能ブロックが追加されたとしても、実現可能であるため、これを限定するものではない。
また、各検出信号、制御信号、リセット信号のレベル(H,L)や立ち上がりエッジ検出・立下りエッジ検出は上記に限定されず任意に設定できる。
【符号の説明】
【0036】
1…音声認識装置
2…音声信号制御回路
3…電源供給制御回路
4…増幅器
5…モデム
6…マイコン
7…レベル検出回路
8…遅延回路
9…制御回路
10…電源回路
a…音声信号
a´…増幅器より出力される音声信号
b…音声レベル検出信号
c…電源制御信号
d…リセット信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された音声信号を解析し、解析した音声信号の内容に対して制御処理をする音声信号制御回路と、
電源と
前記電源から供給される電圧を前記音声信号制御回路へ供給あるいは遮断をする電源供給制御回路を有する音声認識装置において
前記電源供給制御回路は音声信号のレベルを検出するレベル検出回路と、
レベル検出回路から出力した信号を一定時間保持して信号を出力する遅延回路と、
前記遅延回路が出力する信号に基づいて、前記電圧を前記音声信号制御回路に供給、遮断する制御回路を有し、
前記音声信号制御回路は前記解析された音声信号の内容に対する制御処理を終了するとリセット信号を出力し、
前記遅延回路は前記リセット信号を入力すると、信号保持を停止することを特徴とする
音声認識装置
【請求項2】
音声信号制御回路が入力された音声信号を解析し、解析した音声信号の内容に対して制御処理を行い、
電源供給制御回路が、前記音声信号制御回路に電源からの電圧供給を制御する音声認識装置の電源供給制御方法において
前記電源供給制御回路は音声信号のレベルを検出するレベル検出ステップと、
レベル検出ステップから出力した信号を一定時間保持して信号を出力する遅延ステップと、
前記遅延ステップが出力する信号に基づいて、前記電圧を前記音声信号制御回路に供給、遮断する制御ステップを有し、
前記音声信号制御回路は前記解析された音声信号の内容に対する制御処理を終了するとリセット信号を出力するステップと、
前記遅延ステップは前記リセット信号を入力すると、信号保持を停止するステップを有することを特徴とする
音声認識装置における電源供給制御方法




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−77172(P2013−77172A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216723(P2011−216723)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】