説明

音楽再生装置

【目的】 演奏データ中の歌詞情報を文字コードで表わしてそのサイズを圧縮した上、文字コードとして定義されていない文字や記号も歌詞として画面に表示することを可能とする。
【構成】 ひらがな、カタカナ、漢字、数字、アルファベットのような一般的な文字/記号のフォントイメージデータはROM1に記憶する。特殊な文字や記号(外字)に対応する外字フォントイメージデータは、音楽データと、文字コード列からなる歌詞データと共に演奏データとしてハードディスク5内に記憶させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、音楽の演奏に伴って歌詞を表示することが可能な音楽再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、音楽再生装置、特にカラオケ装置においては、音楽の演奏に伴って画面に表示される歌詞に対応する歌詞情報は、演奏データ中に文字コード列で記録されており、歌詞を画面に表示するタイミングで文字コードに対応するフォントイメージデータをフォントイメージ記憶装置から取り出して、画面表示制御部に展開していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述するような歌詞情報を文字コード列として演奏データ中に記録させる方式にすると、歌詞情報を演奏データ中にフォントイメージデータで記録する場合に比べて一曲分の演奏データのサイズを小さくすることができる反面、前記フォントイメージ記憶装置に記憶されていない特殊な文字、記号に関しては画面に表示できないという制約があった。
【0004】本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、歌詞情報を文字コード列として演奏データに保持するようにすると共に、フォントイメージデータがフォントイメージ記憶手段に記憶されていない特殊な文字についても画面に表示可能となる音楽再生装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために本発明の音楽再生装置は、音楽データと、その音楽データに対応すると共に文字コードを含んで構成される歌詞情報とからなる演奏データを記憶する演奏データ記憶手段と、前記文字コードに対応するフォントイメージデータを記憶するフォントイメージ記憶手段と、前記演奏データ記憶手段より前記音楽データを読み出し、楽音として再生する再生手段と、前記再生手段による再生動作に伴って、前記演奏データ記憶手段から読み出される前記文字コードに対応するフォントイメージデータを前記フォントイメージ記憶手段より読み出して画面に出力する歌詞出力手段とを備え、前記歌詞情報を構成する文字コード中に、対応するフォントイメージデータが前記フォントイメージ記憶手段に記憶されていない文字コードが存在するとき、そのフォントイメージ記憶手段に記憶されていないフォントイメージデータをも含んで前記演奏データを構成した。
【0006】
【作用】上記の構成を有する本発明の音楽再生装置では、歌詞出力手段は、再生手段による楽音の再生に伴って歌詞情報を構成する文字コードを演奏データ記憶手段から読み出し、その文字コードに対応するフォントイメージデータをフォントイメージ記憶手段より読み出して歌詞を表わす文字として画面に出力する。このとき、演奏データ記憶手段から読み出した文字コードが、その対応するフォントイメージデータがフォントイメージ記憶手段に記憶されていない文字コードであれば、演奏データに含まれている対応するフォントイメージデータを読み出して、歌詞出力手段によりその文字コードに対応する文字を画面に出力する。
【0007】
【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図面を参照して説明する。
【0008】図1は本実施例の音楽再生装置の構成を示すブロック図である。
【0009】図1に示すように、本実施例の音楽再生装置の動作を管理するCPU3には、動作プログラムやフォントイメージデータを格納するROM1と、複数曲分の音楽データや歌詞情報を格納するハードディスク5と、前記歌詞情報に応じたフォントイメージデータをテレビモニタ11に表示するためのNTSC信号に変換するための表示制御回路7と、前記音楽データを電気的に増幅して、スピーカ13へ出力するためのアンプ9と、演奏曲を指定するための曲番号を入力するテンキー15とが接続されている。
【0010】前記ROM1には、図2に示すフォーマットで前記ハードディスク5に格納されている歌詞データを構成している文字コードと対応する文字をテレビモニタ11に表示するためのフォントイメージデータと、CPU3の動作プログラムとが格納されている。前記フォントイメージデータとしては、ひらがな、カタカナ、アルファベット、漢字、数字や一般的によく使われる記号が格納される。
【0011】ハードディスク5には、図2に示すフォーマットで複数曲分の演奏データが格納されている。この演奏データは、音楽データ17と歌詞データ19と前記ROM1に記憶されていないフォントイメージデータである外字フォントイメージデータ16,18,20とから構成されている。前記音楽データ17は、例えばMIDIデータのように音楽再生に必要な情報と、音楽の再生に従って所定のタイミングで歌詞をテレビモニタ11に字幕として出力するための出力タイミング情報からなる。前記歌詞データ19は、歌詞の文章について始めから順番に文字コードに変換した文字コード列である。また、前記外字フォントイメージデータ16,18,20に対応する外字コードも前記歌詞データ19の文字コード列に含まれている。なお、図2では三文字分の外字フォントイメージデータを有しているが、必要な文字数分だけ外字フォントイメージデータを持つことができる。
【0012】上記構成の音楽再生装置では、テンキー15により入力された曲番号に基づいてハードディスク5より演奏データが読み出される。そして、その演奏データのうち音楽データ17はアンプ9にて電気的に増幅されてスピーカー13より出力される。また、前記音楽データ17の再生に伴い、音楽データ17に含まれる出力タイミング情報に応じて歌詞データ19を構成する文字コードが順に読み出される。そして、この文字コードのフォントイメージに対応するフォントイメージデータがROM1から読み出されて表示制御回路7へ出力される。表示制御回路7では前記フォントイメージをNTSC信号に変換しテレビモニタ11へ出力する。テレビモニタ11には文字コードに対応する文字が表示される。
【0013】続いて、CPU3による歌詞データの画面表示処理に関するサブルーチンについて、図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0014】この処理は音楽データ17に含まれる前記出力タイミング情報を読み出したタイミングで行われる。また、一画面に表示される文字数nは予めメインプログラムにより設定されるものとする。
【0015】まず、ワークエリアを示すシンボルWORK1に初期値として前記文字数nを設定する(S10)。なお、このWORK1の値は、テレビモニタ11に表示される文字数を示すものであり、WORK1がnであれば図4に示す左端の位置53に表示され、WORK1の値が減少していくにつれて表示位置はテレビモニタ11に向かって右方向へ移動してゆくのである。そして、S10の処理に続いて、フォントイメージデータに対応する文字の出力位置を、図4に示すテレビモニタ11の表示位置のうちの左端の位置53に設定する(S12)。
【0016】続いて、歌詞データ19を構成している文字コードを一文字分読み出して、そのコード番号をワークエリアCODEにセットする(S14)。CPU3はCODEにセットされたコード番号が外字フォントイメージデータ16,18,20に対応している外字コードを示しているかを判断する。外字コードである場合(S16:YES)は、その外字コードが外字フォントイメージデータ16に対応する外字コードAであれば(S20:YES)、外字フォントイメージデータ16を読み出してワークエリアBUFFERに転送する。このBUFFERは一文字分のフォントイメージデータを格納できるサイズをもつワークエリアである。前記外字コードが外字コードAではなく(S20:NO)、外字フォントイメージデータ18に対応する外字コードBであれば(S24:YES)、外字フォントイメージデータ18を読み出して前記BUFFERに転送する(S26)。外字コードBでなければ(S24:NO)、その外字コードは外字フォントイメージデータ20であるので、外字フォントイメージデータ20をBUFFERに転送する(S28)。
【0017】一方、前記S16において、CODEにセットされたコード番号が外字コードでなければ(S16:NO)、CODEで指定される文字コードに対応するフォントイメージデータをROM1より読み出して、BUFFERに転送する(S18)。
【0018】こうして、BUFFERに一文字分のフォントイメージデータが転送されると、CPU3は表示制御回路7に対してBUFFER内にあるフォントイメージデータとWORK1の内容とを出力する(S30)。すると、表示制御回路7では、入力されたフォントイメージデータをNTSC信号に変換すると共に、WORK1の値と対応する表示位置に前記フォントイメージデータに対応する文字のフォントイメージを出力するようにテレビモニタ11に信号を送出する。
【0019】CPU3は前記S30の動作が終了すると、WORK1の値を1だけ減じ(S32)、そのWORK1の値が0でなければ(S34:NO)、一画面分の文字表示が終了していないので、S14の処理に戻る。WORK1の値が0であれば(S34:YES)、一画面分の文字表示を終了しメインプログラムに戻る。
【0020】以上説明したように、本実施例の音楽再生装置では、ROM1に記憶されている一般的な文字のフォントイメージデータの他に、ROM1に記憶されていない特殊な文字や記号等を表わす外字フォントイメージデータを音楽データ17や歌詞データ19と共に演奏データとして保持しているので、一般的な文字以外の特殊な文字や記号についても表示することができ、しかもその外字フォントイメージデータをROM1に記憶する必要もないので、ROM1の記憶量の増大を防止できる。
【0021】
【発明の効果】以上説明したことから明かなように、本発明の音楽再生装置によれば、文字コードに対応するフォントイメージデータがフォントイメージ記憶手段に記憶されていない場合でも、その記憶されていないフォントイメージデータを演奏データ中に記憶しているので、特殊な文字や記号等を歌詞として表示することができる。また、一般的な文字に対応するフォントイメージデータを記憶するためのフォントイメージ記憶手段には、特殊な文字、記号等に対応するフォントイメージデータは記憶されていないので、フォントイメージ記憶手段のサイズは変化することはない。さらに、音楽データと、文字コードと、一部の特殊な文字、記号に対応するフォントイメージデータとから演奏データを構成しているだけであるので、一曲当りの演奏データのサイズを非常に小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の音楽再生装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例の音楽再生装置における演奏データのフォーマットを示す図である。
【図3】本実施例の音楽再生装置における歌詞の画面表示処理をしめすフローチャートである。
【図4】本実施例の音楽再生装置におけるテレビモニタへの文字表示位置を示す図である。
【符号の説明】
1 ROM
3 CPU
5 ハードディスク
7 表示制御回路
9 アンプ
11 テレビモニタ
13 スピーカー
16,18,20 外字フォントイメージデータ
17 音楽データ
19 歌詞データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 音楽データと、その音楽データに対応すると共に文字コードを含んで構成される歌詞情報とからなる演奏データを記憶する演奏データ記憶手段と、前記文字コードに対応するフォントイメージデータを記憶するフォントイメージ記憶手段と、前記演奏データ記憶手段より前記音楽データを読み出し、楽音として再生する再生手段と、前記再生手段による再生動作に伴って、前記演奏データ記憶手段から読み出される前記文字コードに対応するフォントイメージデータを前記フォントイメージ記憶手段より読み出して画面に出力する歌詞出力手段とを備え、前記歌詞情報を構成する文字コード中に、対応するフォントイメージデータが前記フォントイメージ記憶手段に記憶されていない文字コードが存在するとき、そのフォントイメージ記憶手段に記憶されていないフォントイメージデータをも含んで前記演奏データを構成したことを特徴とする音楽再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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