説明

音響出力装置

【課題】本発明は草花などの植物に音楽や声などの音響を出力させることができる音響出力装置を提供する。
【解決手段】草花や木などを固定することができる固定部を有し、固定部を支えるとともに振動を伝えるコイル部と音信号をコイル部に振動を伝える振動部を有するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草花や木などの植物に音楽や声などの音響を出力させることができる音響出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の音響出力装置(スピーカー)は出力装置自体にコーンと呼ばれる振動板が供えられており、入力された電気信号(音信号)を空気振動に変えるためにこの振動板であるコーンを振動させることで音を外部に出力する構造になっている。つまりこの音はこのスピーカー本体から出力される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
今日、花や木などの展示などで同時に音楽などを流し展示効果をあげたいときなどは、花や木など並んで別に音響出力装置(スピーカー)を設置し音楽や音などの音響を流すことにより展示効果をあげるのはごく当たり前のことである。しかしこの場合当然スピーカーを設置することになるが展示物以外に新たな場所が必要になるなどや、くわえて展示場所の制限があるときなどは結果設置ができないなどが発生してしまうことがしばしばおきた。また設置ができたとしてもスピーカーが露出されてしまい美観が損なわれ展示効果が下がってしまうという欠点があった。
【0004】
また出力される音や音楽などを展示物の内容と関連を持たせ展示効果をあげようとしても設置場所によっては展示物と音や音楽の出力の場所や方向が異なってしまい思うように期待できなかった。また既に実用新案登録第3106593号考案や、実用新案登録第3109755号考案などがあるが、この考案などでは花木を挿入したときと草木が挿入されていない場合とを比較した時、音や音楽の音の大きさにあまり差が無く草や木などから音がでているというインパクトが弱かった。これは振動が草木を支えている部分や装置自体が振動してしまい音になって外部に出力されてしまい挿入された花木から音がでているという感覚が弱かった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は草花や木などが固定可能な草木固定部を有する音響出力装置であって、音信号を振動に変換し、前記振動を草木固定部に伝える振動伝達部を有し、振動伝達部からの振動を草木固定部に伝え草木固定部を振動させ音響を出力させることを特徴とする音響出力装置を請求項1の発明とし振動吸収部を備えボイスコイルからの振動を前期振動吸収部で吸収させることを特徴とする請求項1記載の音響出力装置を請求項2の発明とし、少なくとも2つの振動伝達部を備え前記振動伝達部が分離可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項2記載の音響出力装置を請求項3の発明とし磁性体で構成された振動伝達部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3記載の音響出力装置で上記課題を解決するものである。
【実施例】
【0006】
図1は、第一実施例の形態における音響出力装置の縦断面図、図2は本発明の概観図である。
【0007】
以下図に従って説明する。図1での円筒状下ヨーク1は鋼鉄や鉄で構成されておりリング状マグネット2を経由し円筒形のヨーク3と接触されている。したがって下ヨーク1、ヨーク3は磁化され下ヨーク1、マグネット2、ヨーク3とで一連の磁性体として形成される。つまりヨーク3のヨークA12部と下ヨーク1のヨークB13部は反対の磁極性をもつことになる。さらにこのヨークA部とヨークB部は接しておらず円筒状のボイスコイル5が上下に振動できるように一定距離の隙間を保持した状態で構成される。
【0008】
ダンパー4は振動筒6と前述したヨークA12部とヨークB13部の間隔を一定に保持し、さらにボイスコイル5が容易に上下振動を行える役割を持つ。そのためこのダンパー4は柔軟性のある材質で構成されており上下方向には動きやすく横方向には動きにくい構造となっており振動吸収部7により外筒10に固定されている。この振動吸収部7の役目は振動筒6が振動した場合に外筒10へ振動が伝わって外筒10から音や音楽がでてしまわないように吸収する役目とボイスコイル5を支える役目を持つ。
【0009】
振動筒6の中心位置のダンパー4部に下振動伝達ピン17が固定される。この下振動伝達ピン17はボイスコイル5が振動すると同期して振動する機能を果たす。そのために硬い素材で構成される。防音部8はボイスコイル5が振動したときに外筒10を振動させて外部に音が漏れてしまわないように外筒10の内側に装着され音を吸収する役目を持っている。したがって柔らかい素材で作られている。下固定部15は挿入筒18にある上固定部14と装着するためのもので下固定部15の内側に上固定部14が入り込むように構成されている。
【0010】
挿入筒18は円筒状のもので形成されており、鉄や陶器、アクリルなどの素材を利用するが材質や形はとくに制限されるものではない。挿入筒18の下部には穴があけてあり草木固定部11の中央の底部と固定された上振動伝達ピン16が挿入筒18の下部から突き出した形で構成される。なお草木固定部11の材質は金属が好ましいが硬いものであれば動作上に問題は無い。草木固定部11は挿入筒18には直接固定されず振動吸収部20を経由し挿入筒18の底部に固定される。の振動吸収部20の中央部には穴が開いており上振動伝達ピン16とは接触しない程度の隙間が開いており上振動伝達ピン16の振動が振動吸収部20に伝わらないような構造となっている。同様に挿入筒18も穴が開いており上振動伝達ピン16は挿入筒18にも接触しない程度の隙間を確保してある。つまり草木固定部11に固定された上振動伝達ピン16は非接触のまま挿入筒18下部へ突き出すことになる。この構造は挿入筒18内部に水などを入れた場合に漏れないようにするためのものでもある。
【0011】
本装置は外筒10部と挿入筒18部とに分かれているが使用時には外筒10に挿入筒18を差込んで使用する。挿入筒18を外頭筒10に上固定部14を下固定部15の内側に差し込むことによって同時に下振動伝達ピン17と上振動伝達ピン16が接続されることになる。つまり振動経路がボイスコイル5、ダンパー4、下振動伝達ピン17、上振動伝達ピン16、挿入筒18、草木固定部11と形成されることになるので草木固定部11の固定された草木、花などが振動し音や音楽が発生することになる。さらに挿入筒18の重さや、入れられた水や草木、草木固定部11などの重さは上固定部14が外筒10の上に乗る形が形成されるので安定した設置が可能になる。
【0012】
ボイスコイル5は振動筒6に筒状にエナメル線が巻かれ振動筒6に固定され、巻き始めと巻き終わりの両端は音信号の入力端子9が備えられている。この入力端子9にはCDやカセットデッキなどを再生し音声信号を入力するか、または増幅器(アンプ)などを通し増幅された音楽信号を入力する。
【0013】
入力端子9に音信号が入力されると音信号に従った磁界がボイスコイル5に発生する。音声信号は交流信号であるので電流の方向が交互入れ替わりボイスコイル5には交流信号にしたがってN極S極が入れ替わることになる。ボイスコイル5はヨークB13部、ヨークA12部の簡の位置でヨークA12、ヨークB13部の磁極にたいして反発、吸引を繰り返す。このときボイスコイル5が巻かれた振動筒6が上下振動をすることになりさらにダンパー4が振動する。このダンパー4の構造は格子状の平面や棒状のものでできている。つまりダンパー4自体は表面積が少なくなるので振動しても極めて小さな音になるため漏れ出す音を少なくすることができる。
【0014】
この上下振動は入力された音の信号が変換されたもので、ダンパー4の中央には下振動伝達ピン17が接続されているために結果的に入力された音信号が下振動伝達ピン17に振動として伝わることになる。この上下振動伝達ピン17は図1のように細い棒状のもので形成される。この振動伝達ピンはダンパー4の上下の振動をうけて上振動伝達ピン16に上下方向つまり垂直方向の振動を伝える。すなわち下振動伝達ピン16は上下方向のみの振動をするので空気に触れる振動面積を非常に小さくすることが可能になる。したがって草木固定部11へ振動を伝達する前に音として再現されてしまう漏れ音を最小限にすることが可能になる。さらにダンパー4は振動吸収部7を経由して外筒10の内側に固定されているが振動を吸収するやわらかい素材で構成されているため外筒10への振動は吸収され外筒10外部への音漏れを抑えることができるので必要に応じて構成する。同様に外筒10の内壁には防音材でできた防音部8が構成されているのでさらに外筒10外部への音漏防止の最大の効果をあげている。
【0015】
本装置の動作時は下振動伝達ピン17と上振動伝達ピン16は接触することになるので下振動伝達ピン17の上下振動は上振動伝達ピンへ16へと伝達することになる。振動伝達ピン16は草木固定部11に接続されているので結果的に草木固定部11に振動が伝わることになる。つまり草木固定部11へ差し込まれた草木などは振動を伝えられ草木自体が振動しその振動が葉、花を振動することになり、周知のスピーカーのコーン紙と同じ役目となり音が再現されることになる。この場合も同様に草木固定部11は挿入筒18には吸収部20を経由し固定されているので草木固定部11の振動は吸収部20に吸収され挿入筒18の余計な振動がしない構造になっているので挿入筒18から音漏れしないようになっている。
【0016】
本発明は挿入筒18と外筒10とをはずせることになっているが、これは挿入筒18に生花や木などを挿入したときに水を入れるが、水の入れ替えなどをしやすくしたもので水の入れ替えを必要としない花などを入れるということや使い勝手で問題なければ挿入筒18は外筒10からはずせる構造にしなくとも良い。この場合は図1の下振動伝達ピン17上振動伝達ピン16のように別々の構成にしなくとも下振動伝達ピン17を挿入筒18の草木固定部11に接続すればよい。また図1では下振動伝達17が上振動伝達ピン16に差し込まれた状態で接触する構造になっているがこれは下振動ピン17と上振動ピン16が接触すればよいので形状などを限定するものではない。また図1の防水部19は挿入筒18に入れた水が漏れた場合に外筒10に水が入って故障しないようにするためのもので造花かドライフラワーなどの利用を前提にすれば特に備えなくとも良いし、外筒10の内壁に防音部8が構成されているがこれも全内部を構成する必要はなく一部や部分的に構成しても良いし場合によっては備えなくとも良い。加えて上振動伝達ピン16と下振動伝達ピン17に吸引するように磁性体を有する構造にすれば外筒10に挿入筒18を差し込む際上下振動ピンが互いに引き付けあい簡単により確実に組み立てをすることが可能になるし挿入筒18がより安定することにもなる。
【0017】
CDプレーヤーやカセットデッキなどにある外部スピーカー端子を本考案の入力端子9に接続し音楽を入力する場合はCDプレーヤーからの音楽が花や木などから直接出力することができるので展示における集客効果など一段とアップすることができるし、くわえて本考案の装置を2台用意しステレオの右チャンネル、左チャンネルの外部スピーカー端子に各々接続すればステレオによる再現が可能となる。また挿入筒18などを花瓶などの形状にして水などをいれ、花や木などを生けることができるので花や木などを長持ちさせることもできる。また生花にこだわることなく造花やドライフラワーなどでも同様に音信号を再生することもできるのは言うまでも無い。この場合は水の入れ替え、花の入れ替えなどの手入れをする必要が無いため常時設置ができ手間がかからない。
たとえば挿入筒18をプランター程度に大きくし土をいれるなどで外からは見えないようにすることができ花などの成長とともに音が変化するので癒し効果は抜群である。さらに挿入筒18に絵などを書き込んだり模様のシートなどを巻きつけたりすれば好みの演出が可能になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係わる音響出力装置は、草花や樹木などを振動させ容易に音や音楽を出力させることができるので鉢、プランターなどに内蔵させることができ美観を損なうことが無い。また水をいれることもできるので花を長持ちさせ、さらにはそのまま花瓶として利用することもできる。また花や木を入れる挿入筒18を外筒10より分離できるようにすれば、容易に水の入れ替えや花の入れ替えができる。くわえて花や木の種類や大きさなどにより音の大きさや音質が異なるので設置される場所に応じた音楽の調整も可能となり設置される場所も限定されることは無い。また特に被展示物が花や木であれば、花そのものから音や音楽が出力されるので展示によるインパクトが非常に強くなり演出効果抜群である。
【0019】
図2のように花や木などの植物を差し込まなくとも草木固定部11を木材や大木など固形物に直接接触させれば固形物全体での振動を発生すことができるので大木や木材、さらに家やいすなどから音や音楽が出力できる。こうした場合は音響出力装置(スピーカー)が目に触れることなく設置可能になり、くわえて新たに場所を確保する必要がなくなり場所の有効利用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係わる音響出力装置の縦断面図である。
【図2】本発明に係わる音響出力装置の構造図である。
【符号の説明】
【0021】
1 … 下ヨーク
2 … マグネット
3 … ヨーク
4 … ダンパー
5 … ボイスコイル
6 … 振動筒
7 … 振動吸収部
8 … 防音部
9 … 入力端子
10 … 外筒
11 … 草木固定部
12 … ヨークA
13 … ヨークB
14 … 上固定部
15 … 下固定部
16 … 上振動伝達ピン
17 … 下振動伝達ピン
18 … 挿入筒
19 … 防水部
20 … 振動吸収部
21 … 草木

【特許請求の範囲】
【請求項1】
草花や木などが固定可能な草木固定部を有する音響出力装置であって、音信号を振動に変換し、前記振動を草木固定部に伝える振動伝達部を有し、振動伝達部からの振動を草木固定部に伝え草木固定部を振動させ音響を出力させることを特徴とする音響出力装置。
【請求項2】
振動吸収部を備えボイスコイルからの振動を前記振動吸収部で吸収させることを特徴とする請求項1記載の音響出力装置。
【請求項3】
少なくとも2つの振動伝達部を備え前記振動伝達部が分離可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項2記載の音響出力装置。
【請求項4】
磁性体で構成された振動伝達部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3記載の音響出力装置。

【図1】
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【図2】
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