説明

音響装置、音場補正方法、音場補正プログラム及びその記録媒体

【課題】
自動音場補正の終了時刻の予測を精度良く行い、その予測結果を利用者に報知する。
【解決手段】
自動音場補正で利用される各スピーカの基準出力音量情報と、スピーカ構成情報とが指定された残時間算出開始指令ACSTを制御部251から受けると、算出部271Aが、所要時間テーブルTLAに登録された所要時間情報を参照し、指定されたスピーカ構成情報及び基準音量推定情報に対応する所要時間を抽出する。この結果に基づく残時間情報ACRTが制御部251に報告される。残時間情報ACRTを受けた制御部251は、残時間情報ACRTを反映した報知を、表示装置等を利用して行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響装置、音場補正方法、音場補正プログラム及び当該音場補正プログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)等の普及に伴って、複数のスピーカを有するマルチチャンネルサラウンド方式の音響装置が普及している。これにより、家庭内空間や車両内空間においても、臨場感溢れるサラウンド音声を楽しむことができるようになってきている。
【0003】
ところで、音響装置の設置環境は様々である。このため、音声を出力する複数のスピーカを、マルチチャンネルサラウンド方式の観点における対称性を有する位置に配置することができない場合がしばしば発生する。特に、車両にマルチチャンネルサラウンド方式の音響装置を搭載する場合には、聴取位置である着座位置の制約等から、複数のスピーカを、マルチチャンネルサラウンド方式の観点から推奨される対称性を有する位置に配置することができない。さらに、各スピーカの特性も、当該マルチチャンネルサラウンド方式の実現に際して最適なものとなっていない場合も多い。
【0004】
このため、採用されるマルチチャンネルサラウンド方式により良質なサラウンド音声を得るためには、音響装置の特性を調整することにより、音場を補正することが必要となる。かかる音場補正を人手により行うのは大変に面倒かつ困難であるので、利用者に大きな負担となる。そこで、音響装置の特性の調整を自動的に行う技術が提案されている(特許文献1参照:以下、「従来例」という)。
【0005】
この従来例の技術では、各スピーカに基準オーディオ信号を供給して、各スピーカから所定のテスト音声を出力するとともに、所定の集音位置に配置されたマイクロフォン等の集音手段により、各スピーカから出力されたテスト音声を集音する。そして、集音結果が、所定の目標信号となるように、音響装置の特性である音量バランス特性や、出力音声の周波数特性を調整するようになっている。この結果、自動で音場補正が行われる。
【0006】
【特許文献1】特開平10−136498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来例の技術のように自動音場補正を行う場合には、各スピーカから出力されるテスト音声は、人にとっては耳障りな音声であることが一般的である。これは、例えば出力音声の周波数特性を調整するためには、可聴周波数帯の全域に渡る特性を測定することが必要であるが、可聴周波数帯の全域に渡って成分を有する音声は、人にとっては単なる雑音である。また、測定精度を高めるには集音位置におけるSN比を高くすることが好ましいが、このためには、テスト音声をある程度以上大きな音量とすることが必要である。
【0008】
このため、自動音場補正の実行中には、利用者は、補正対象の音場空間から遠ざかるようにしている。例えば、音響装置が車両に搭載され、補正対象の音場空間が車両内空間である場合には、自動音場補正の実行中には、利用者は車外で、自動音場補正が終了するのを待つ。こうした場合には、利用者は、例えば音響装置における表示装置に「自動音場補正が終了しました」等の終了表示を待つことになる。
【0009】
ところで、音場補正のための所要時間は、音響装置の種類や、設置環境等によって異なるため、利用者は、自動音場補正にどの程度の時間がかかるか、または、あとどれくらいの時間で音場補正が終了するかを、精度良く予測することができない。このため、車外等で待っている利用者にとっては、自動音場補正にかかる時間が実際よりも長く感じられ、ストレスとなっていた。
【0010】
このため、自動音場補正に際して、利用者にとって自動音場補正の終了時刻を予測することができる技術が待望されている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
【0011】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、自動音場補正の終了時刻の予測を精度良く行い、その予測結果を利用者に報知することができる音響装置及び音場補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、自動音場補正の機能を有し、複数のスピーカから音場空間へ向けて音声を出力する音響装置であって、前記複数のスピーカのそれぞれからの出力音量に対応する前記自動音場補正の所要時間情報が記憶された記憶手段と;前記音場空間の所定の集音位置で集音を行う集音手段と;前記複数のスピーカのそれぞれからの出力音量を増加させつつ、前記集音手段による集音結果が予め定められた基準レベルに対応する値となる基準出力音量を前記複数のスピーカのそれぞれについて推定する基準出力音量推定手段と;前記基準出力音量推定手段による推定結果と前記所要時間情報とに基づいて、前記自動音場補正が終了するまでの残時間を推定する残時間推定手段と;前記残時間推定手段による推定結果を報知する報知手段と;を備えることを特徴とする音響装置である。
【0013】
請求項11に記載の発明は、複数のスピーカのそれぞれからの出力音量を増加させつ、所定の集音位置における集音結果が予め定められた基準レベルに対応する値となる基準出力音量を前記複数のスピーカのそれぞれについて推定する基準出力音量推定工程と;前記基準出力音量推定工程における推定結果と、前記複数のスピーカのそれぞれからの出力音量に対応する自動音場補正の所要時間情報とに基づいて、前記自動音場補正が終了するまでの残時間を推定する残時間推定工程と;前記残時間推定工程における推定結果を報知する報知工程と;を備えることを特徴とする音場補正方法である。
【0014】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の音場補正方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする音場補正プログラムである。
【0015】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の音場補正プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図14を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
[構成]
図1には、一実施形態に係る音響装置100の概略的な構成がブロック図にて示されている。なお、以下の説明においては、音響装置100は、車両CR(図2参照)に搭載される装置であるものとする。また、この音響装置100は、マルチチャンネルサラウンド方式の1つである4チャンネルサラウンド方式を採用しているものとする。
【0018】
この図1に示されるように、音響装置100は、制御ユニット110と、ドライブユニット120とを備えている。
【0019】
また、音響装置100は、音出力ユニット130Lと、音出力ユニット130Rと、音出力ユニット130SLと、音出力ユニット130SRとを備えている。
【0020】
ここで、音出力ユニット130Lはレフトスピーカ131Lを有し、音出力ユニット130Rはライトスピーカ131Rを有している。また、音出力ユニット130SLはサラウンドレフトスピーカ131SLを有し、音出力ユニット130SRはサラウンドライトスピーカ131SRを有している。
【0021】
さらに、音響装置100は、集音手段としての集音ユニット140と、報知手段としての表示ユニット150と、操作入力ユニット160と、タイマ手段としてのタイマユニット170を備えている。
【0022】
なお、制御ユニット110以外の要素120〜170は、制御ユニット110に接続されている。
【0023】
制御ユニット110は、音響装置100の全体を統括制御する。この制御ユニット110の詳細については、後述する。
【0024】
上記のドライブユニット120は、音声コンテンツが記録されたコンパクトディスクCDがドライブユニット120に挿入されると、その旨を制御ユニット110に報告する。そして、ドライブユニット120は、コンパクトディスクCDが挿入された状態で、制御ユニット110から音声コンテンツの再生指令DVCを受けると、再生指定がなされた音声をコンパクトディスクCDから読み出す。かかる音声コンテンツの読み出し結果は、オーディオ信号であるコンテンツデータCTDとして、制御ユニット110へ向けて送られる。
【0025】
なお、コンパクトディスクCDには、音声コンテンツが、4チャンネルサラウンド方式で記録されているものとする。かかる4チャンネルサラウンド方式では、音声チャンネルとして、レフトチャンネル(以下、「Lチャンネル」とも記す)、ライトチャンネル(以下、「Rチャンネル」とも記す)、サラウンドレフトチャンネル(以下、「SLチャンネル」とも記す)及びサラウンドライトチャンネル(以下、「SRチャンネル」とも記す)が用意されている。
【0026】
上記の音出力ユニット130L〜130SRのそれぞれは、上述したスピーカ131L〜131SRの他に、制御ユニット110から受信した音声出力信号AOSL〜AOSSRを増幅する増幅器を備えている。これらの音出力ユニット130L〜130SRは、制御ユニット110から送られてきた音声出力信号AOSL〜AOSSRに従って、計測信号、楽曲等を再生して出力する。
【0027】
本実施形態では、図2に示されるように、音出力ユニット130Lのレフトスピーカ131Lは、助手席側の前方ドア筐体内に配置される。このレフトスピーカ131Lは、助手席側を向くように配設されている。
【0028】
音出力ユニット130Rのライトスピーカ131Rは、運転席側の前方ドア筐体内に配置される。このライトスピーカ131Rは、運転席側を向くように配設されている。
【0029】
音出力ユニット130SLのサラウンドレフトスピーカ131SLは、助手席側後部の筐体内に配置される。このサラウンドレフトスピーカ131SLは、助手席側の後部座席を向くように配設されている。
【0030】
音出力ユニット130SRのサラウンドライトスピーカ131SRは、運転席側後部の筐体内に配置される。このサラウンドライトスピーカ131SRは、運転席側の後部座席を向くように配設されている。
【0031】
図1に戻り、上記の集音ユニット140は、例えば、(i)周囲の音を収集して電気的なアナログ音声信号とするマイクロフォン、(ii)マイクロフォンから出力されたアナログ音声信号を増幅する増幅器、(iii)増幅されたアナログ音声信号をデジタル音声信号に変換するAD変換器(Analog to Digital Converter)とを備えて構成されている。ここで、マイクロフォンは、音場空間ASPにおける所定の少なくとも1つの位置に配置されている。各スピーカ131L〜131SRから出力された計測音声の集音ユニット140による集音結果は、集音結果データAADとして、制御ユニット110に報告される。
【0032】
上記の表示ユニット150は、例えば、(i)液晶パネル、有機EL(Electro Luminescence)パネル、PDP(Plasma Display Panel)等の表示デバイス151と、(ii)制御ユニット110から送出された表示制御データに基づいて、表示ユニット150全体の制御を行うグラフィックレンダラ等の表示コントローラと、(iii)表示画像データを記憶する表示画像メモリ等を備えて構成されている。この表示ユニット150は、制御ユニット110からの表示データIMDに従って、操作ガイダンス情報等を表示する。
【0033】
上記の操作入力ユニット160は、音響装置100の本体部に設けられたキー部、及び/又はキー部を備えるリモート入力装置等により構成される。ここで、本体部に設けられたキー部としては、表示ユニット150の表示デバイス151に設けられたタッチパネルを用いることができる。なお、キー部を有する構成に代えて、又は併用して音声認識技術を利用して音声にて入力する構成を採用することもできる。
【0034】
この操作入力ユニット160を利用者が操作することにより、音響装置100の動作内容の設定が行われる。例えば、自動音場補正の実行指令、音声コンテンツの再生指令等を、利用者が操作入力ユニット160を利用して行う。こうした入力内容は、操作入力データIPDとして、操作入力ユニット160から制御ユニット110へ向けて送られる。
【0035】
タイマユニット170は、例えば、クロック素子とカウンタ素子とを備えており、計時を行う。このタイマユニット170は、所定時間(例えば、0.1秒)が経過するたびに、その旨を計時結果TMDとして、制御ユニット110へ報告する。
【0036】
次に、上記の制御ユニット110について説明する。上述したように、制御ユニット110は、音響装置100の全体を統括制御する。この制御ユニット110は、図3に示されるように、制御処理部111と、チャンネル信号処理部112と、出力信号選択部113とを備えている。また、制御ユニット110は、アナログ変換部114と、音量バランス調整手段の一部としての音量調整部115とを備えている。さらに、制御ユニット110は、計測信号発生部116を備えている。
【0037】
上記の制御処理部111は、操作入力ユニット160に入力された指令入力や集音ユニット140による集音結果に基づいて、チャンネル信号処理部112、出力信号選択部113、音量調整部115及び計測信号発生部116を制御する。また、制御処理部111は、ドライブユニット120及び表示ユニット150を制御する。この制御処理部111の詳細については、後述する。
【0038】
上記のチャンネル信号処理部112は、ドライブユニット120から送られてきたコンテンツデータCTDを処理し、スピーカ131L〜131SRに供給される音声出力信号AOSL〜AOSSR(図1参照)の周波数特性の調整、及び、音声コンテンツの再生時におけるスピーカ131L〜131SR相互間における音声出力タイミングを調整する。このチャンネル信号処理部112は、図4に示されるように、チャンネル分離部210と、周波数特性調整手段の一部としての周波数特性補正部220と、音声出力タイミング調節手段の一部としての信号遅延部230とを備えている。
【0039】
上記のチャンネル分離部210は、ドライブユニット120からのコンテンツデータCTDを受ける。そして、チャンネル分離部210は、制御処理部111からのコンテンツ再生制御指令CSCに従って、コンテンツデータCTDを展開し、オーディオ信号であるデジタル音データ信号を生成する。引き続き、チャンネル分離部210は、生成されたデジタル音データ信号を解析し、デジタル音データ信号に含まれるチャンネル指定情報に従って、デジタル音データ信号を、4チャンネルサラウンド方式におけるL〜SRチャンネルに対応する4個の分離チャンネル信号SCDL,SCDR,SCDSL,SCDSRに分離する。このようにして分離された分離チャンネル信号SCDL〜SCDSRは、周波数特性補正部220へ向けて送られる。
【0040】
上記の周波数特性補正部220は、制御処理部111からの周波数特性補正指令FCCに従って、チャンネル分離部210から送られてきた分離チャンネル信号SCDL〜SCDSRのそれぞれの周波数特性を補正する。かかる機能を有する周波数特性補正部220は、図5に示されるように、4個の個別補正部221L〜221SRを備えている。
【0041】
各個別補正部221L〜221SRは、例えば、イコライザ機能を有しており、周波数特性補正指令FCCにおける個別周波数特性補正指令FCCL〜FCCSRにより指定された周波数特性補正を、分離チャンネル信号SCDL〜SCDSRに対して施す。かかる周波数特性補正結果は、周波数特性補正信号FCDL〜FCDSRとして、信号遅延部230へ向けて送られる。
【0042】
上記の信号遅延部230は、制御処理部111からの遅延制御指令DLCに従って、周波数特性補正部220から送られてきた周波数特性補正信号FCDL〜FCDSRのそれぞれを所定時間だけ遅延させる。かかる機能を有する信号遅延部230は、図6に示されるように、4個の遅延器231L〜231SRを備えている。
【0043】
各遅延器231L〜231SRは、遅延制御指令DLCにおける個別遅延制御指令DLCL〜DLCSRにより指定された遅延時間DLL〜DLSRだけ、周波数特性補正信号FCDL〜FCDSRを遅延させる。かかる遅延結果は、チャンネル処理信号PCDL〜PCDSRとして、出力信号選択部113へ向けて送られる。
【0044】
図3に戻り、上記の出力信号選択部113は、チャンネル信号処理部112からのチャンネル処理信号PCDL〜PCDSRと、計測信号発生部116からの後述する計測信号MSDとを受ける。そして、出力信号選択部113は、制御処理部111からの出力信号選択指令ODSに従って、アナログ変換部114に対し、チャンネル処理信号PCDL〜PCDSRの供給、計測信号MSDの供給、及び、いずれの信号も供給しないかを選択する。かかる機能を有する出力信号選択部113は、図7に示されるように、4個のスイッチ素子113L〜113SRを備えている。
【0045】
各スイッチ素子113L〜113SRは、入力端子としてA端子及びB端子を有するとともに、出力端子としてC端子を有している。A端子はチャンネル信号処理部112の信号遅延部230に接続された端子であり、B端子は計測信号発生部116に接続された端子である。また、C端子はアナログ変換部114に接続された端子である。各スイッチ素子113L〜113SRでは、A端子でチャンネル処理信号PCDL〜PCDSRを受けるとともに、B端子で計測信号MSDを受ける。そして、制御処理部111からの出力信号選択指令ODSにおける個別出力選択指令ODSL〜ODSSRに従って、A端子とC端子とを導通したり、B端子とC端子とを導通したり、更に、A端子及びB端子のいずれともC端子を導通しなかったりする。スイッチ素子113L〜113SRのC端子からは、選択された信号(無信号を含む)が、音出力選択信号PBDL〜PBDSRとしてアナログ変換部114へ向けて送られる。
【0046】
図3に戻り、上記のアナログ変換部114は、出力信号選択部113から送られてきたデジタル信号である音出力選択信号PBDL〜PBDSRを、それぞれアナログ信号に変換する。このアナログ変換部114は、当該4種のデジタル信号に対応して、互いに同様に構成された4個のDA変換器(Digital to Analogue Converter)を備えている。このアナログ変換部114による変換結果であるアナログ信号PBSL〜PBSSRは、音量調整部115へ向けて送られる。
【0047】
上記の音量調整部115は、アナログ変換部114からのアナログ信号PBSL〜PBSSRを受ける。そして、音量調整部115は、アナログ信号PBSL〜PBSSRのそれぞれに対して、制御処理部111からの音量調整指令VLCに従って、音量を調整する。かかる調整結果は、音声出力信号AOSL〜AOSSRとして、音出力ユニット130L〜130SRへ向けて出力される。
【0048】
上記の計測信号発生部116は、自動音場補正に利用されるテスト音声信号を発生する。この計測信号発生部116は、図8に示されるように、特性計測信号発生部241と、同期計測信号発生部242と、計測信号選択部243とを備えている。
【0049】
特性計測信号発生部241は、制御処理部111からスピーカ指定を含む特性計測信号発生指令FGCを受けると、指定された音出力ユニットのスピーカから出力された音声の集音位置における周波数特性及び音量バランスを計測するための信号を発生し、特性計測信号FGDとして計測信号選択部243へ向けて送る。ここで、特性計測信号発生部241が発生させる特性計測信号FGDとしては、例えば、ピンクノイズ信号が採用される。
【0050】
同期計測信号発生部242は、制御処理部111から同期計測信号発生指令SGCを受けると、パルス的に音声を発生させる同期計測信号SGDを発生させる。こうして発生された同期計測信号SGDは、計測信号選択部243へ向けて送られる。
【0051】
計測信号選択部243は、スイッチ素子を備えて構成されている。このスイッチ素子は、入力端子としてA端子及びB端子を有するとともに、出力端子としてC端子を有している。A端子は特性計測信号発生部241に接続された端子であり、B端子は同期計測信号発生部242に接続された端子である。A端子では特性計測信号FGDを受け、B端子では同期計測信号SGDを受ける。そして、制御処理部111からの選択指令SGSに従って、A端子とC端子とを導通したり、B端子とC端子とを導通したり、更には、A端子及びB端子のいずれともC端子を導通しなかったりする。C端子からは、選択された信号が、計測信号MSDとして出力信号選択部113へ向けて送られる。
【0052】
図3に戻り、次に、制御処理部111について説明する。この制御処理部111は、上述した他の構成要素を制御しつつ、音響装置100の機能を発揮させる。この制御処理部111は、図9に示されるように、制御部251と、自動音場補正部252とを備えている。
【0053】
上記の制御部251は、音響装置100における「再生モード」と「自動音場補正モード」との2つのモードの動作を制御する。ここで、「再生モード」とはコンパクトディスクCDから音声コンテンツを読み出してオーディオ信号を再生するモードである。そして、「自動音場補正モード」とは計測信号MSDを発生させて計測し、音出力ユニット130L〜130SRのそれぞれからの音声の想定聴取位置における到達タイミングの同期及び音量バランス、並びに音出力ユニット130L〜130SRに供給される音声出力信号AOSL〜AOSSRの周波数特性を自動的に補正するモードである。
【0054】
制御部251は、操作入力ユニット160から受けた操作入力データIPDを解析し、「再生モード」と「自動音場補正モード」のいずれかの動作制御を行う。より具体的には、制御部251は、通常は、「再生モード」の動作の制御を行う。一方、操作入力ユニット160から自動音場補正開始指令を受けると、制御部251は、「自動音場補正モード」の動作の制御を行う。そして、制御部251は、操作入力ユニット160から自動音場補正終了指令を受けると、「自動音場補正モード」の動作制御を終了し、「再生モード」の動作制御に復帰する。
【0055】
制御部251は、「再生モード」の動作制御に際し、出力信号選択部113へ向けて、スイッチ素子113L〜113SRの全てについて、A端子とC端子とを導通させるべきことを指定する出力信号選択指令ODSを送る。この結果、信号遅延部230からのチャンネル処理信号PCDL〜PCDSRが、出力信号選択部113を介して、音出力選択信号PBDC〜PBDSWとして、アナログ変換部114へ向けて供給されるようになる。
【0056】
この制御部251は、「再生モード」の動作制御に際し、利用者が再生すべき音声コンテンツの指定を支援するための案内画面を表示ユニット150に表示させる。そして、操作入力ユニット160から音声コンテンツを指定した再生指令が入力されると、制御部251は、ドライブユニット120を制御して、音声コンテンツのデータ読み出しを制御する。
【0057】
また、制御部251は、「再生モード」の動作制御に際し、チャンネル分離部210を制御して、コンテンツデータCTDを4チャンネルサラウンド方式における4個の分離チャンネル信号SCDL〜SCDSRに分離させる。
【0058】
また、制御部251は、「再生モード」の動作制御に際し、周波数特性補正部220を制御し、音出力ユニット130C〜130SWに供給される音声出力信号AOSL〜AOSSRの周波数特性を調整する。この周波数特性の制御に際して、制御部251は、操作入力ユニット160に入力された周波数特性補正指定に基づいて周波数特性調整指令FCCを生成し、周波数特性補正部220へ向けて送る。
【0059】
また、制御部251は、「再生モード」の動作制御に際し、音量調整部115を制御して、音出力ユニット130L〜130SRのスピーカ131L〜131SRからの出力音量を調整する。この出力音量の制御に際して、制御部251は、操作入力ユニット160に入力された音量指定や、集音ユニット140による集音結果から得られる騒音レベルに基づいて音量調整指令VLCを生成し、音量調整部115へ向けて送る。
【0060】
制御部251は、「自動音場補正モード」の動作制御に際して、自動音場補正部252の動作の開始及び終了の制御を行う。なお、後述するように、自動音場補正部252は、複数の種類の調整処理を行うようになっており、制御部251は、操作入力ユニット160からの自動音場補正開始指令が入力された報告を操作入力データIPDとして受けると、当該複数の調整処理を、予め定められた順序で開始させる制御を行うための動作制御指令ACSを行う。また、制御部251は、操作入力ユニット160からの自動音場補正終了指令が入力された報告を操作入力データIPDとして受けると、自動音場補正の進行段階にかかわらず、「自動音場補正モード」の動作制御を終了する。
【0061】
また、制御部251は、「自動音場補正モード」の動作制御に際して、自動音場補正部252から、スピーカの種類、出力音量及びテスト音声信号の種類を指定したテスト音声出力要求REQを受ける。このテスト音声出力要求REQを受けると、制御部251は、出力信号選択部113、音量調整部115及び計測信号発生部116を制御して、指定されたスピーカから、指定された音量で、指定されたテスト音声を出力させる制御を行う。
【0062】
また、制御部251は、「自動音場補正モード」の動作制御に際して、自動音場補正部252から、処理結果ACRを受ける。この処理結果ACRを受けた制御部251は、処理結果ACRにより指定された、音声出力タイミング設定情報、バランス設定情報、周波数特性設定情報及び残時間情報に従って、信号遅延部230に対する遅延時間設定、音量調整部115に対する音量設定、周波数特性補正部220に対する周波数特性設定及び表示ユニット150に対する表示設定を行うようになっている。
【0063】
上記の自動音場補正部252は、制御部251による制御のもとで、自動音場補正処理を行う。かかる機能を有する自動音場補正部252は、図10に示されるように、確認手段としてのスピーカ構成確認部261と、基準出力音量推定手段としての基準出力音量推定部262と、伝搬遅延推定手段及び音声出力タイミング調節手段の一部としての同期補正制御部263とを備えている。また、自動音場補正部252は、音量バランス調整手段の一部としてのバランス補正制御部264と、周波数特性調整手段の一部としての周波数特性補正制御部265と、残時間算出部266Aとを備えている。
【0064】
上記のスピーカ構成確認部261は、制御部251からの動作制御指令ACSにおけるスピーカ構成確認開始指令ACSCを受けると、スピーカ構成確認処理を実行する。このスピーカ構成確認処理に際して、スピーカ構成確認部261は、初期に想定されているスピーカ構成に従って、想定スピーカが存在しているか否かを確認する。
【0065】
かかる確認に際し、スピーカ構成確認部261は、存在が想定されているスピーカのそれぞれについて、スピーカの種類、出力音量及びテスト音声信号の種類を指定したテスト音声出力要求REQCを、制御部251へ向けて送る。こうしたテスト音声出力要求REQCは、スピーカの種類と出力音量との組み合わせごとに発行される。ここで、指定される出力音量の値は、予め定められた順序で段階的に増加するようになっている。なお、本実施形態では、テスト音声出力要求REQCでは、テスト音声信号として特性計測信号FGDが指定されるようになっている。
【0066】
そして、スピーカ構成確認部261は、テスト音声出力要求REQCの発行ごとに、集音ユニット140からの集音結果データAADを監視する。この監視により、指定したスピーカからの出力音声が集音されたと判断できた場合には、スピーカ構成確認部261は、指定したスピーカが存在すると判定する。一方、予め定められた最大音量まで出力音量を増加させたとしても、指定したスピーカからの出力音声が集音されたと判断できない場合には、スピーカ構成確認部261は、指定したスピーカが存在しないと判定する。
【0067】
こうした集音結果の監視結果により、スピーカ構成確認部261は、音響装置100のスピーカ構成を確認する。この確認結果の情報は、スピーカ構成情報ACRCとして制御部251へ報告される。
【0068】
なお、スピーカ構成確認部261によるスピーカ構成確認処理は、自動音場補正に際して、最初に行われるようになっている。
【0069】
上記の基準出力音量推定部262は、制御部251からの動作制御指令ACSにおける基準出力音量推定開始指令ACSVを受けると、自動音場補正に際して各スピーカから出力可能な音量の最大値である基準出力音量の推定処理を行う。かかる基準出力音量の推定処理を行うのは、自動音場補正による各スピーカの疲弊や破壊等を防止しつつ、SN比の良い状態で各種の測定を行うことを実現するためである。なお、基準出力音量推定開始指令ACSVでは、上述のスピーカ構成確認部261によって得られたスピーカ構成情報が指定されるようになっている。
【0070】
かかる基準出力音量推定に際して、基準出力音量推定部262は、指定されたスピーカ構成に含まれるスピーカのそれぞれについて、スピーカの種類、出力音量及びテスト音声信号の種類を指定したテスト音声出力要求REQVを、制御部251へ向けて送る。こうしたテスト音声出力要求REQVは、スピーカの種類と出力音量との組み合わせごとに発行される。ここで、指定される出力音量の値は、予め定められた順序で段階的に増加するようになっている。なお、本実施形態では、テスト音声出力要求REQVでは、テスト音声信号として特性計測信号FGDが指定されるようになっている。
【0071】
そして、基準出力音量推定部262は、テスト音声出力要求REQVの発行ごとに、集音ユニット140からの集音結果データAADを監視する。この監視により、指定したスピーカからの出力音声の集音結果の音量が基準レベルを超えたか否かを判定する。この判定の結果が肯定的となった場合には、その時点における指定出力音量の直前に指定した出力音量が、推定処理中のスピーカの基準出力音量と推定し、当該スピーカに関する基準出力音量推定を終了する。
【0072】
以上のようにして、指定されたスピーカ構成に含まれるスピーカについての基準出力音量の推定処理が終了すると、基準出力音量推定部262は、推定結果を、基準出力音量情報ACRVとして制御部251へ報告する。
【0073】
なお、基準出力音量推定部262による基準出力音量の推定処理は、自動音場補正に際して、スピーカ構成確認部261によるスピーカ構成確認処理の次に行われるようになっている。
【0074】
上記の同期補正制御部263は、制御部251からの動作制御指令ACSにおける同期補正開始指令ACSDを受けると、各スピーカに供給される音声出力信号AOSL〜AOSSRに付与されるべき遅延時間補正を制御する。なお、同期補正開始指令ACSDでは、上述のスピーカ構成確認部261によって得られたスピーカ構成情報、及び、基準出力音量推定部262によって得られた基準出力音量情報が指定されるようになっている。
【0075】
かかる遅延時間補正制御に際して、同期補正制御部263は、まず、指定されたスピーカ構成に含まれるスピーカのそれぞれについて、スピーカの種類、出力音量及びテスト音声信号の種類を指定したテスト音声出力要求REQDを、制御部251へ向けて送る。こうしたテスト音声出力要求REQDは、スピーカの種類と出力音量との組み合わせごとに発行される。ここで、指定される出力音量の値は、指定された基準出力音量情報における当該スピーカに関する基準出力音量を上限とし、予め定められた順序で段階的に増加するようになっている。なお、テスト音声出力要求REQDでは、テスト音声信号として同期計測信号SGDが指定されるようになっている。
【0076】
そして、同期補正制御部263は、テスト音声出力要求REQDの発行ごとに、集音ユニット140からの集音結果データAADを監視する。この監視により、同期補正制御部263は、指定したスピーカからの出力音声が、指定されたスピーカから出力されてからの集音ユニット140へ到達するまでの伝搬遅延時間を推定する。こうした伝搬遅延時間の推定を、指定されたスピーカ構成に含まれる全てのスピーカについて終了すると、基準出力音量推定部262は、音声出力信号AOSL〜AOSSRのそれぞれに付与されるべき遅延時間(DLL〜DLSR)を算出する。この算出結果は、同期補正制御部263から、同期補正情報ACRDとして制御部251へ報告される。
【0077】
上記のバランス補正制御部264は、制御部251からの動作制御指令ACSにおける音量バランス補正開始指令ACSBを受けると、各スピーカに供給される音声出力信号AOSL〜AOSSRに対して行われるべき音量補正を制御する。なお、音量バランス補正開始指令ACSBでは、上述のスピーカ構成確認部261によって得られたスピーカ構成情報、及び、基準出力音量推定部262によって得られた基準出力音量情報が指定されるようになっている。
【0078】
かかる音量バランス補正制御に際して、バランス補正制御部264は、まず、指定されたスピーカ構成に含まれるスピーカのそれぞれ、又は、所定の組み合わせについて、スピーカの種類、出力音量及びテスト音声信号の種類を指定したテスト音声出力要求REQBを、制御部251へ向けて送る。こうしたテスト音声出力要求REQBは、スピーカの種類と出力音量との組み合わせごとに発行される。ここで、指定される出力音量の値は、指定された基準出力音量情報における当該スピーカに関する基準出力音量を上限とし、予め定められた順序で段階的に増加するようになっている。なお、テスト音声出力要求REQBでは、テスト音声信号として特性計測信号FGDが指定されるようになっている。
【0079】
そして、バランス補正制御部264は、テスト音声出力要求REQBの発行ごとに、集音ユニット140からの集音結果データAADを監視する。この監視により、バランス補正制御部264は、指定したスピーカからの出力音声の集音ユニット140のマイクロフォンの位置における音量バランスを推定する。こうした音量バランスの推定を、左右方向及び前後方向について終了すると、バランス補正制御部264は、音声出力信号AOSL〜AOSSRに対して行われるべき音量補正値を算出する。この算出結果は、バランス補正制御部264から、音量バランス補正情報ACRBとして制御部251へ報告される。
【0080】
上記の周波数特性補正制御部265は、制御部251からの動作制御指令ACSにおける周波数特性補正開始指令ACSFを受けると、各スピーカに供給される音声出力信号AOSL〜AOSSRに対して行われるべき周波数特性補正を制御する。なお、周波数特性補正開始指令ACSFでは、上述のスピーカ構成確認部261によって得られたスピーカ構成情報、及び、基準出力音量推定部262によって得られた基準出力音量情報が指定されるようになっている。
【0081】
かかる周波数特性補正制御に際して、周波数特性補正制御部265は、まず、指定されたスピーカ構成に含まれるスピーカのそれぞれについて、スピーカの種類、出力音量及びテスト音声信号の種類を指定したテスト音声出力要求REQFを、制御部251へ向けて送る。こうしたテスト音声出力要求REQFは、スピーカの種類と出力音量との組み合わせごとに発行される。ここで、指定される出力音量の値は、指定された基準出力音量情報における当該スピーカに関する基準出力音量を上限とし、予め定められた順序で段階的に増加するようになっている。なお、テスト音声出力要求REQFでは、テスト音声信号として特性計測信号FGDが指定されるようになっている。
【0082】
そして、周波数特性補正制御部265は、テスト音声出力要求REQFの発行ごとに、集音ユニット140からの集音結果データAADを監視する。この監視結果を周波数解析することにより、周波数特性補正制御部265は、指定したスピーカからの出力音声の周波数特性を推定する。こうした周波数特性の推定を、指定されたスピーカ構成における全てのスピーカについて終了すると、周波数特性補正制御部265は、音声出力信号AOSL〜AOSSRに対して行われるべき周波数特性補正の態様を算出する。この算出結果は、周波数特性補正制御部265から、周波数特性補正情報ACRFとして制御部251へ報告される。
【0083】
上記の残時間算出部266Aは、制御部251からの動作制御指令ACSにおける残時間算出開始指令ACSTを受けると、その後における自動音場補正動作の残時間を、逐次算出する。なお、残時間算出開始指令ACSTでは、上述のスピーカ構成確認部261によって得られたスピーカ構成情報、及び、基準出力音量推定部262によって得られた基準出力音量情報が指定されるようになっている。また、残時間算出開始指令ACSTは、基準出力音量推定部262による基準出力音量推定処理が終了した後、直ちに発行されるようになっている。
【0084】
かかる機能を有する残時間算出部266Aは、図11に示されるように、残時間推定手段としての算出部271Aと、記憶手段としての記憶部275とを備えている。ここで、記憶部275には、不揮発性領域が用意されており、所要時間テーブルTLAが記憶されている。この所要時間テーブルTLAは、図12に示されるように、想定されるスピーカ構成における各スピーカの基準出力音量の組み合わせのそれぞれに対応して、自動音場補正における同期補正、音量バランス補正及び周波数特性補正に要する所要時間TT1,TT2,…,TTNが登録されている。
【0085】
上記の算出部271Aは、残時間算出開始指令ACSTを受けると、その時点における自動音場補正動作の残時間である初期残時間を導出する。かかる初期残時間の導出は、算出部271Aが、所要時間テーブルTLAを参照し、指定されたスピーカ構成情報及び基準出力音量情報に対応する所要時間TTj(j=(1〜Nのいずれか))を抽出することにより行われる。こうして初期残時間が導出されると、算出部271Aは、初期残時間TTjと、初期残時間TTjに対する経過時間の比率(この時点では、0%)とを、残時間情報ACRTとして制御部251へ報告する。
【0086】
その後、算出部271Aは、タイマユニット170からの計時結果TMDを監視する。そして、予め定められた経過時間ΔTが経過するたびに、前回に求められた残時間から経過時間ΔTを差し引くことにより、その時点における自動音場補正の残時間を算出する。また、算出部271Aは、その時点における初期残時間TTjに対する経過時間の比率を算出する。これらの算出結果は、残時間情報ACRTとして制御部251へ報告される。
【0087】
[動作]
次に、上記のように構成された音響装置100の動作について、「自動音場補正モード」のときの動作、特に、自動音場補正の残時間の報知に主に着目して説明する。
【0088】
利用者が操作入力ユニット160に自動音場補正指令を入力することにより、音響装置100の「自動音場補正モード」の動作が開始する。こうして、「自動音場補正モード」の動作が開始すると、まず、図13のステップS11において、スピーカ構成確認処理が行われる。
【0089】
スピーカ構成確認処理に際しては、まず、制御部251が、自動音場補正部252のスピーカ構成確認部261へ向けてスピーカ構成確認開始指令ACSCを発行する。このスピーカ構成確認開始指令ACSCを受けたスピーカ構成確認部261は、存在が想定されているスピーカのそれぞれについて、スピーカの種類、出力音量及びテスト音声信号の種類を指定したテスト音声出力要求REQCを、制御部251へ向けて送る。こうしたテスト音声出力要求REQCは、上述したように、スピーカの種類と出力音量との組み合わせごとに発行される。
【0090】
テスト音声出力要求REQCを受けるたびに、制御部251は、出力信号選択部113、音量調整部115及び計測信号発生部116を制御して、指定されたスピーカから、指定された音量で、指定されたテスト音声を出力させる。
【0091】
一方、スピーカ構成確認部261は、テスト音声出力要求REQCの発行ごとに、集音ユニット140からの集音結果データAADを監視する。この監視により、指定したスピーカからの出力音声が集音されたと判断できた場合には、スピーカ構成確認部261は、指定したスピーカが存在すると判定する。一方、予め定められた最大音量まで出力音量を増加させたとしても、指定したスピーカからの出力音声が集音されたと判断できない場合には、スピーカ構成確認部261は、指定したスピーカが存在しないと判定する。
【0092】
こうした集音結果の監視結果により、スピーカ構成確認部261は、音響装置100のスピーカ構成を確認する。この確認結果の情報は、スピーカ構成情報ACRCとして制御部251へ報告される。
【0093】
こうして、ステップS11の処理が終了すると、ステップS12において、基準出力音量の推定処理が行われる。この基準出力音量の推定処理は、まず、スピーカ構成情報ACRCを受けた制御部251が、自動音場補正部252の基準出力音量推定部262へ向けて基準出力音量推定開始指令ACSVを発行する。この基準出力音量推定開始指令ACSVを受けた基準出力音量推定部262は、指定されたスピーカ構成に含まれるスピーカのそれぞれについて、スピーカの種類、出力音量及びテスト音声信号の種類を指定したテスト音声出力要求REQVを、制御部251へ向けて送る。こうしたテスト音声出力要求REQVは、スピーカの種類と出力音量との組み合わせごとに発行される。
【0094】
テスト音声出力要求REQVを受けるたびに、制御部251は、出力信号選択部113、音量調整部115及び計測信号発生部116を制御して、指定されたスピーカから、指定された音量で、指定されたテスト音声を出力させる。
【0095】
一方、基準出力音量推定部262は、テスト音声出力要求REQVの発行ごとに、集音ユニット140からの集音結果データAADを監視する。この監視により得られた結果に基づいて、基準出力音量推定部262は、指定したスピーカからの出力音声の集音結果の音量が基準レベルを超えたか否かを判定する。この判定の結果が肯定的となった場合には、その時点における指定出力音量の直前に指定した出力音量が、推定処理中のスピーカの基準出力音量と推定し、当該スピーカに関する基準出力音量推定を終了する。
【0096】
そして、指定されたスピーカ構成に含まれるスピーカについて基準出力音量の推定処理が終了すると、基準出力音量推定部262は、推定結果を、基準出力音量情報ACRVとして制御部251へ報告する。
【0097】
こうして、ステップS12の処理が終了すると、ステップS13における各種音場補正処理と、ステップS14における残時間表示処理とが並行して実行される。
【0098】
ステップS13では、制御部251が、同期補正開始指令ACSD、音量バランス補正開始指令ACSB及び周波数特性補正開始指令ACSFが、予め定められた順序に従って、自動音場補正部252へ向けて、順次発行される。なお、同期補正開始指令ACSD、音量バランス補正開始指令ACSB及び周波数特性補正開始指令ACSFの発行順序は、実験、シミュレーション、経験等に基づき、最終的な補正結果を好適なものとするという観点から定められる。
【0099】
例えば、制御部251が、自動音場補正部252の同期補正制御部263へ向けて同期補正開始指令ACSDを発行することにより、同期補正制御部263による各スピーカに供給される音声出力信号に付与されるべき遅延時間補正の制御処理が開始する。かかる遅延時間補正の制御処理では、まず、同期補正制御部263が、指定されたスピーカ構成に含まれるスピーカのそれぞれについて、スピーカの種類、出力音量及びテスト音声信号の種類を指定したテスト音声出力要求REQDを、制御部251へ向けて送る。こうしたテスト音声出力要求REQDは、スピーカの種類と出力音量との組み合わせごとに発行される。ここで、指定される出力音量の値は、指定された基準出力音量情報における当該スピーカに関する基準出力音量を上限とし、予め定められた順序で段階的に増加するようになっている。また、テスト音声出力要求REQDでは、テスト音声信号として同期計測信号SGDが指定される。
【0100】
テスト音声出力要求REQDを受けるたびに、制御部251は、出力信号選択部113、音量調整部115及び計測信号発生部116を制御して、指定されたスピーカから、指定された音量で、指定されたテスト音声を出力させる。
【0101】
一方、同期補正制御部263は、テスト音声出力要求REQDの発行ごとに、集音ユニット140からの集音結果データAADを監視する。この監視により、同期補正制御部263は、指定したスピーカからの出力音声が、指定されたスピーカから出力されてからの集音ユニット140へ到達するまでの伝搬遅延時間を推定する。こうした伝搬遅延時間の推定を、指定されたスピーカ構成に含まれる全てのスピーカについて終了すると、基準出力音量推定部262は、音声出力信号AOSL〜AOSSRのそれぞれに付与されるべき遅延時間(DLL〜DLSR)を算出する。この算出結果は、同期補正制御部263から、同期補正情報ACRDとして制御部251へ報告される。
【0102】
同期補正情報ACRDを受けた制御部251は、同期補正情報ACRDにおいて報告された遅延時間の指定を、信号遅延部230へ送る。こうして、同期補正が終了する
【0103】
また、制御部251が、自動音場補正部252のバランス補正制御部264へ向けて音量バランス補正開始指令ACSBを発行することにより、バランス補正制御部264による各スピーカからの出力音量の補正制御処理が開始する。かかる出力音量の補正制御処理では、バランス補正制御部264が、まず、指定されたスピーカ構成に含まれるスピーカのそれぞれ、又は、所定の組み合わせについて、スピーカの種類、出力音量及びテスト音声信号の種類を指定したテスト音声出力要求REQBを、制御部251へ向けて送る。こうしたテスト音声出力要求REQBは、スピーカの種類と出力音量との組み合わせごとに発行される。ここで、指定される出力音量の値は、指定された基準出力音量情報における当該スピーカに関する基準出力音量を上限とし、予め定められた順序で段階的に増加するようになっている。また、テスト音声出力要求REQBでは、テスト音声信号として特性計測信号FGDが指定される。
【0104】
そして、バランス補正制御部264は、テスト音声出力要求REQBの発行ごとに、集音ユニット140からの集音結果データAADを監視する。この監視により、バランス補正制御部264は、指定したスピーカからの出力音声の集音ユニット140のマイクロフォンの位置における音量バランスを推定する。こうした音量バランスの推定を、左右方向及び前後方向について終了すると、バランス補正制御部264は、音声出力信号AOSL〜AOSSRに対して行われるべき音量補正値を算出する。この算出結果は、バランス補正制御部264から、音量バランス補正情報ACRBとして制御部251へ報告される。
【0105】
音量バランス補正情報ACRBを受けた制御部251は、音量バランス補正情報ACRBにおいて報告された音量補正指定を、音量調整部115へ送る。こうして、音量バランス補正が終了する
【0106】
また、制御部251が、自動音場補正部252の周波数特性補正制御部265へ向けて周波数特性補正開始指令ACSFを発行することにより、周波数特性補正制御部265による各スピーカに供給される音声出力信号AOSL〜AOSSRに対して行われるべき周波数特性補正の制御処理が開始する。かかる周波数特性補正の制御処理では、周波数特性補正制御部265は、まず、指定されたスピーカ構成に含まれるスピーカのそれぞれについて、スピーカの種類、出力音量及びテスト音声信号の種類を指定したテスト音声出力要求REQFを、制御部251へ向けて送る。こうしたテスト音声出力要求REQFは、スピーカの種類と出力音量との組み合わせごとに発行される。ここで、指定される出力音量の値は、指定された基準出力音量情報における当該スピーカに関する基準出力音量を上限とし、予め定められた順序で段階的に増加するようになっている。また、テスト音声出力要求REQFでは、テスト音声信号として特性計測信号FGDが指定される。
【0107】
そして、周波数特性補正制御部265は、テスト音声出力要求REQFの発行ごとに、集音ユニット140からの集音結果データAADを監視する。この監視結果を周波数解析することにより、周波数特性補正制御部265は、指定したスピーカからの出力音声の周波数特性を推定する。こうした周波数特性の推定を、指定されたスピーカ構成における全てのスピーカについて終了すると、周波数特性補正制御部265は、音声出力信号AOSL〜AOSSRに対して行われるべき周波数特性補正の態様を算出する。この算出結果は、周波数特性補正制御部265から、周波数特性補正情報ACRFとして制御部251へ報告される。
【0108】
周波数特性補正情報ACRFを受けた制御部251は、周波数特性補正情報ACRFにおいて報告された周波数特性補正指定を、周波数特性補正部220へ送る。こうして、周波数特性補正が終了する
【0109】
上述したステップS14における残時間表示処理では、まず、制御部251が、自動音場補正部252の残時間算出部266Aへ向けて残時間算出開始指令ACSTを発行することにより、残時間算出部266Aによる残時間算出処理が開始される。なお、残時間算出開始指令ACSTでは、上述のステップS11の処理により得られたスピーカ構成情報、及び、ステップS12の処理により得られた基準出力音量情報が指定されている。
【0110】
次に、残時間算出開始指令ACSTを受けた残時間算出部266Aが、その時点における自動音場補正動作の残時間である初期残時間を導出する。かかる初期残時間の導出は、算出部271Aが、所要時間テーブルTLAを参照し、指定されたスピーカ構成情報及び基準出力音量情報に対応する所要時間TTj(j=(1〜Nのいずれか))を抽出することにより行われる。こうして初期残時間が導出されると、算出部271Aは、初期残時間TTjと、初期残時間TTjに対する経過時間の比率(この時点では、0%)とを、残時間情報ACRTとして制御部251へ報告する。
【0111】
この初期残時間TTjを含む残時間情報ACRTを受けた制御部251は、当該残時間情報ACRTを反映した表示を表示ユニット150の表示デバイス151上に表示されることにより、その時点における自動音場補正の残時間を報知する。
【0112】
その後、算出部271Aは、タイマユニット170からの計時結果TMDを監視する。そして、予め定められた経過時間ΔTが経過するたびに、その時点における自動音場補正の残時間と、その時点における初期残時間TTjに対する経過時間の比率とを残時間情報ACRTとして制御部251へ報告する。
【0113】
新たな残時間情報ACRTを受けた制御部251は、当該残時間情報ACRTを反映した表示を表示ユニット150の表示デバイス151上に表示されることにより、その時点における自動音場補正の残時間を報知する。
【0114】
なお、本実施形態では、図14に示されるように、初期残時間TTjに対する経過時間の比率をステータスバーで表示し、その時点での残時間を文字表示するようになっている。
【0115】
そして、ステップS13の処理が終了すると、表示ユニット150の表示デバイス151上に自動音場補正の終了が表示される。
【0116】
以上説明したように、本実施形態では、自動音場補正で利用される各スピーカの基準出力音量を測定した後、各種音場補正の実行と並行して、各スピーカの基準出力音量の組み合わせで精度良く推定が可能な音場補正の残時間情報を算出する。そして、算出された残時間情報を利用者に対して報知する。したがって、自動音場補正の終了時刻の予測を精度良く行い、その予測結果を利用者に報知することができる。このため、残時間を予測できない利用者に生じるストレスの発生を有効に防止することができる。
【0117】
また、本実施形態では、自動音場補正の実行中に、所定の時間が経過するたびに、残時間の報知内容を更新する。このため、当初の残時間報知をする場合と比べて、更に、利用者に生じるストレスの発生を防止することができる。
【0118】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0119】
例えば、上記の実施形態では、残時間の報知を画像表示により行うことにしたが、音声による報知を更に行うようにすることもできる。また、残時間の報知を、音声のみにより行うようにすることもできる。なお、音声による報知を行う場合には、音場補正処理の妨げとしないため、各種音場補正処理の個々が終了したときに、残時間の情報を音声出力する。
【0120】
また、上記の実施形態では、基準出力音量の推定を、他の処理から独立して行うようにしたが、スピーカ構成確認時に併せて基準出力音量の推定を行うようにしてもよいし、各種音場補正において最初に行われる補正処理時に基準出力音量の推定を行うようにしてもよい。
【0121】
また、上記の実施形態では、スピーカ構成確認時及び基準出力音量の推定時のテスト音声信号として特性計測信号を採用するようにしたが、同期計測信号を採用するようにしてもよい。
【0122】
また、上記の実施形態における各種音場補正の種類は例示であり、音場補正の種類を少なくしたり、他の種類の音場補正を加えたりすることもできる。
【0123】
また、上記の実施形態は、残時間情報の表示に際して、ステータスバーと文字との表示を行うようにしたが、任意の態様の表示とすることができる。
【0124】
また、同期計測信号SGDとして、半波正弦波、インパルス波、三角波、鋸切り波、スポット正弦波、ホワイトノイズ、ピンクノイズ等を採用することができる。
【0125】
また、上記の実施形態では、ドライブユニット120をCDのドライブユニットとしたが、固定ディスクやDVDのドライブユニットとすることもできる。さらに、ラジオ放送や地上デジタルテレビ放送等の放送波受信回路や外部機器の音声入力回路等とすることもできる。
【0126】
また、上記の実施形態では、4チャンネルサラウンド方式を採用し、4個の音出力ユニットを備えることとしたが、音声コンテンツの読み出し結果であるオーディオ信号を適宜分離もしくは混合し、2個以上3個以下、又は、5個以上のスピーカから音出力をさせるようにする音響装置に音発明を適用することができる。
【0127】
また、上記の実施形態では、初期残時間の導出に際して、想定されるスピーカ構成における各スピーカの基準出力音量の組み合わせのそれぞれに対応して所要時間TT1,TT2,…,TTNが登録された所要時間テーブルTLAを採用した残時間算出部266Aを採用した(図11及び図12参照)。これに対し、図15及び図16に示される構成を有する残時間算出部266Bを採用することができる。
【0128】
この残時間算出部266Bでは、図16に示されるように、記憶部275に記憶される所要時間テーブルTLBには、基準出力音量ごとに対応する所要時間情報TS1,…TSMが登録されている。そして、図15の算出部271Bは、スピーカごとに定まった基準出力音量まで段階的に出力音量を増加させつつ行われる測定の回数を、基準出力音量ごとに対応する所要時間情報に乗じた後、さらに、乗算結果の和を算出することにより、初期残時間を算出する。かかる場合も精度の良い残時間を算出することができる。
【0129】
なお、上記の実施形態における制御ユニットを、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)を備えるコンピュータシステムとして構成し、制御処理部等の機能を、プログラムの実行によっても実現するようにすることができる。これらのプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配送の形態で取得されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の一実施形態に係る音響装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1の4個のスピーカの配置位置を説明するための図である。
【図3】図1の制御ユニットの構成を説明するためのブロック図である。
【図4】図3のチャンネル信号処理部の構成を説明するためのブロック図である。
【図5】図4の周波数補正部の構成を説明するためのブロック図である。
【図6】図4の信号遅延部の構成を説明するためのブロック図である。
【図7】図3の出力信号選択部の構成を説明するためのブロック図である。
【図8】図3の計測信号発生部の構成を説明するためのブロック図である。
【図9】図3の制御処理部の構成を説明するためのブロック図である。
【図10】図9の自動音場補正部の構成を説明するためのブロック図である。
【図11】図10の残時間算出部の構成を説明するためのブロック図である。
【図12】図11の所要時間テーブルに内容を説明するためのブロック図である。
【図13】図1の音響装置における自動音場補正処理を説明するためのフローチャートである。
【図14】残時間表示の例を説明するための図である。
【図15】残時間算出部の変形例の構成を説明するためのブロック図である。
【図16】図15の所要時間テーブルに内容を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
【0131】
100 … 音響装置
115 … 音量調整部(音量バランス調整手段の一部)
131L〜131SR … スピーカ
140 … 集音ユニット(集音手段)
150 … 表示ユニット(報知手段)
170 … タイマユニット(タイマ手段)
220 … 周波数特性補正部(周波数特性調整手段の一部)
230 … 信号遅延部(音声出力タイミング調整手段の一部)
261 … スピーカ構成確認部(確認手段)
262 … 基準出力音量推定部(基準出力音量推定手段)
263 … 同期補正制御部(伝搬遅延推定手段、音声出力タイミング調
整手段の一部)
264 … バランス補正制御部(音量バランス調整手段の一部)
265 … 周波数特性補正制御部(周波数特性調整手段の一部)
271A,271B … 算出部(残時間推定手段)
275 … 記憶部(記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動音場補正の機能を有し、複数のスピーカから音場空間へ向けて音声を出力する音響装置であって、
前記複数のスピーカのそれぞれからの出力音量に対応する前記自動音場補正の所要時間情報が記憶された記憶手段と;
前記音場空間の所定の集音位置で集音を行う集音手段と;
前記複数のスピーカのそれぞれからの出力音量を増加させつつ、前記集音手段による集音結果が予め定められた基準レベルに対応する値となる基準出力音量を前記複数のスピーカのそれぞれについて推定する基準出力音量推定手段と;
前記基準出力音量推定手段による推定結果と前記所要時間情報とに基づいて、前記自動音場補正が終了するまでの残時間を推定する残時間推定手段と;
前記残時間推定手段による推定結果を報知する報知手段と;
を備えることを特徴とする音響装置。
【請求項2】
前記所要時間情報は、前記複数のスピーカのそれぞれについての前記基準出力音量の組み合わせごとに対応した情報である、ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項3】
前記所要時間情報は、前記基準出力音量ごとに対応した情報である、ことを特徴とする請求項1に記載の音響装置。
【請求項4】
前記基準出力音量推定手段は、前記複数のスピーカのそれぞれからの出力音量を段階的に増加させつつ、前記集音手段による集音結果が前記基準レベルを超える直前の出力音量を前記基準出力音量と推定する、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項5】
時間を計時するタイマ手段を更に備え、
前記残時間推定手段は、前記基準出力音量推定手段による推定結果と前記所要時間情報とを使用して初期残時間を推定するとともに、前記タイマ手段による前記初期残時間の推定時からの経過時間を、前記初期残時間から差し引いた時間を現在残時間として推定する、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項6】
前記基準出力音量を上限の目安として、前記複数のスピーカのそれぞれからの出力音量を増加させつつ、前記複数のスピーカのそれぞれからの出力音声の前記集音手段による集音結果に基づいて、前記複数のスピーカのそれぞれから前記集音手段までの音声の伝搬遅延時間を推定する伝搬遅延推定手段と;
前記伝搬遅延推定手段による推定結果に基づいて、前記複数のスピーカのそれぞれからの音声の出力タイミングを調節する音声出力タイミング調節手段と;
を更に備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項7】
前記基準出力音量を上限の目安として、前記複数のスピーカのそれぞれからの出力音量を増加させつつ、前記集音手段による集音結果に基づいて、前記複数のスピーカのそれぞれからの出力音量のバランスを調整する音量バランス調整手段を更に備える、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項8】
前記基準出力音量を上限の目安として、前記複数のスピーカのそれぞれからの出力音量を増加させつつ、前記集音手段による集音結果に基づいて、前記複数のスピーカのそれぞれに供給される音響信号の周波数特性を調整する周波数特性調整手段を更に備える、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項9】
前記複数のスピーカの存在を確認する確認手段を更に備える、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項10】
移動体に搭載される、ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項11】
複数のスピーカのそれぞれからの出力音量を増加させつつ、所定の集音位置における集音結果が予め定められた基準レベルに対応する値となる基準出力音量を前記複数のスピーカのそれぞれについて推定する基準出力音量推定工程と;
前記基準出力音量推定工程における推定結果と、前記複数のスピーカのそれぞれからの出力音量に対応する自動音場補正の所要時間情報とに基づいて、前記自動音場補正が終了するまでの残時間を推定する残時間推定工程と;
前記残時間推定工程における推定結果を報知する報知工程と;
を備えることを特徴とする音場補正方法。
【請求項12】
請求項11に記載の音場補正方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする音場補正プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の音場補正プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2009−147879(P2009−147879A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326011(P2007−326011)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】