説明

音響調整方法、音響調整装置及びオーディオシステム

【課題】安定的に安定感やクリア感のある音場を調整できる「音響調整方法、音響調整装置及びオーディオシステム」を提供する。
【解決手段】音響調整装置2は、前方に配置したスピーカ14から出力する前チャネルと後方に配置したスピーカ14から出力する後チャネルとの間の遅延時間を変化させながら、車内床上に配置した床上マイクMF4でピックアップされた音の低音成分の音圧レベルから、運転者の耳の位置に配置した耳マイクML3、MR3でピックアップされた音の低音成分の音圧レベルの平均値を減じた値を指標Zとして算出し、指標Zが最大となる遅延時間を、前チャネルと後チャネルとの間の遅延時間として用いるようにオーディオシステム1を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオシステムの音響を調整する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オーディオシステムの音響を調整する技術としては、前後左右の4つのスピーカを備えたオーディオシステムにおいて、各スピーカから出力する音声の遅延時間を制御することにより、音場を調整する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-199199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
音響の評価項目の一つとして、リスナーの感じる音場の安定感やクリア感があるが、このようなリスナーの感じる音場の安定感やクリア感を測る指標は確立されていないために、従来は、音響調整者のそれぞれが、自身の感覚や経験や勘に従って安定感やクリア感ある音場が得られるように、オーディオシステムの各種出力特性を試行錯誤的に調整していた。
【0005】
そして、このために、リスナーに安定感やクリア感のある音場を提供するように、オーディオシステムの音響を、音響調整者の如何によらずに一定の品質をもって安定的に調整することが困難であった。
そこで、本発明は、前後のスピーカを備えたオーディオシステムの音響を、リスナーに安定感やクリア感のある音場を提供するように安定的に調整可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題達成のために、本発明は、前方に配置されたスピーカである前方スピーカと後方に配置されたスピーカである後方スピーカとを用いて音声を出力する、各スピーカから出力する音声間の遅延時間を可変なオーディオシステムの音響を調整する音響調整方法として、所定のリスニングポイントに着座したリスナーの耳が位置すると推定される位置に配置された第1のマイクで収音した、前記オーディオシステムから出力された音声の低音成分の音圧レベルである耳位置音圧レベルを、前記第1のマイクよりも下方の高さとなる位置に配置された第2のマイクで収音した、前記オーディオシステムが出力した音声の低音成分の音圧レベルである下方位置音圧レベルから減じた値を指標として、当該指標が最大となる、前記オーディオシステムにおける前記前方スピーカから出力する音声と前記後方スピーカから出力する音声との間の遅延時間を遅延時間設定値として算定する算定ステップと、算定した前記遅延時間設定値を、以降、前記前方スピーカから出力する音声と前記後方スピーカから出力する音声との間の遅延時間として用いるように前記オーディオシステムに設定する設定ステップとを有する音響調整方法を提供する。
【0007】
このような音響調整方法によれば、オーディオシステムが各スピーカを用いて出力する音声の低音成分の音像の重心位置を、リスナーに対してリスナーの耳の位置よりも低い位置に調整することができる。
ここで、オーディオシステムの出力する低音成分の像の重心が下方の位置にあるときに、リスナーが感じる音場の安定感やクリア感が増大する。よって、本発明によれば、上記指標に従って調整を行うのみで、リスナーに安定感やクリア感のある音場を提供するように安定的にオーディオシステムを調整することができるようになる。
【0008】
ここで、以上のような音響調整方法において、前記算定ステップは、たとえば、前記オーディオシステムに、前記前方スピーカから出力する音声と前記後方スピーカから出力する音声との間の遅延時間を段階的に変化させながら音声を出力させると共に、前記遅延時間が変化する度に前記指標を算出するステップと、前記算出した指標が最大となったときの、前記オーディオシステムにおける前記前方スピーカから出力する音声と前記後方スピーカから出力する音声との間の遅延時間を前記遅延時間設定値として算定するステップとより構成することができる。
【0009】
また、以上のような音響調整方法において、前記オーディオシステムは自動車に搭載された、前記前方スピーカとして車内前方左右に配置された2つのスピーカと、前記後方スピーカとして車内後方左右に配置された2つのスピーカとを備えたオーディオシステムであってよい。
【0010】
また、この場合には、前記所定のリスニングポイントは前記自動車の前席であり、前記第1のマイクは、前記自動車の前席の着席者の耳が位置すると推定される位置に配置され、前記第2のマイクは、前記前席の前方の床上に配置されるものであってもよく、この場合には、前記第1のマイクとして、自動車の前席の着席者の左耳が位置すると推定される位置に配置された左耳マイクと、自動車の前席の着席者の右耳が位置すると推定される位置に配置された右耳マイクとを備え、前記耳位置音圧レベルとして、前記左耳マイクで収音した、前記オーディオシステムから出力された音声の低音成分の音圧レベルと、前記右耳マイクで収音した、前記オーディオシステムから出力された音声の低音成分の音圧レベルとの平均を検出することが好ましい。
【0011】
または、この場合には、前記所定のリスニングポイントは前記自動車の運転席であり、前記第1のマイクは、前記自動車の運転席の着席者の耳が位置すると推定される位置に配置され、前記第2のマイクは、前記運転席の前方の床上に配置されるものとしてもよく、この場合には、前記第1のマイクとして、自動車の運転席の着席者の左耳が位置すると推定される位置に配置された左耳マイクと、自動車の運転席の着席者の右耳が位置すると推定される位置に配置された右耳マイクとを備え、前記耳位置音圧レベルとして、前記左耳マイクで収音した、前記オーディオシステムから出力された音声の低音成分の音圧レベルと、前記右耳マイクで収音した、前記オーディオシステムから出力された音声の低音成分の音圧レベルとの平均を検出することが好ましい。
【0012】
また、以上のような音響調整方法において、前記オーディオシステムから出力された音声の低音成分は、たとえば、200Hz以下の周波数帯域の成分としてよい。
また、併せて本発明は、以上のような音響調整方法を実行する音響調整装置と、オーディオシステムを提供する。
また、本発明は、以上のような音響調整方法により前記遅延時間設定値が設定されるオーディオシステムとして、前方に配置されたスピーカである前方スピーカと、後方に配置されたスピーカである後方スピーカと、前記前方スピーカから出力する音声と前記後方スピーカから出力する音声との間の遅延時間を、設定された前記遅延時間設定値に調整する前後遅延時間調整手段を備えたオーディオシステムを提供する。ここで、このようなオーディオシステムは、前記前方スピーカとして前方左に配置された前方左スピーカと、前方右に配置された前方左スピーカとを備え、前記後方スピーカとして後方左に配置された後方左スピーカと、後方右に配置された後方左スピーカとを備える場合には、ユーザの設定に応じて、前記前方左スピーカと前記後方左スピーカとから出力する音声と、前記前方左スピーカと後方左スピーカとから出力する音声との間の遅延時間を調整する左右遅延時間調整手段をさらに備えるものとして構成してもよい。
【0013】
また、本発明は、以上のような音響調整方法により前記遅延時間設定値が設定されるオーディオシステムとして、前記下方マイクの設置高さを異ならせて前記音響調整方法により算定された前記遅延時間設定値が複数、当該延時間設定値の算定に用いた前記下方マイクの設置高さと対応づけて設定されると共に、ユーザ操作に応じて定まる低音成分の音像重心高さと一致または近似する前記設置高さに対応づけて設定されている前記遅延時間設定値に、前記前方スピーカから出力する音声と前記後方スピーカから出力する音声との間の遅延時間を調整する前後遅延時間調整手段を備えたオーディオシステムを提供する。
【0014】
このようなオーディオシステムによれば、ユーザ自身で、低音成分の音像重心高さを、好みに合わせて所望の高さに調整できるようになる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、前後のスピーカを備えたオーディオシステムの音響を、リスナーに安定感やクリア感のある音場を提供するように安定的に調整可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係るオーディオシステムの音響調整の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るスピーカとマイクの配置を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る前後遅延時間設定処理をフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係るに係る遅延時間調整処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係る設定前後遅延時間テーブルを示すである。
【図6】本発明の実施形態に係る遅延時間調整処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
ここで、本実施形態は、オーディオシステムの出力する低音成分の像の重心が低い位置にあるときに、リスナーが感じる音場の安定感やクリア感が増大することの知見に基づき、低音成分の像の重心が低い位置となるようにオーディオシステムの出力特性を調整するものである。
【0018】
ここで、オーディオシステムの出力する低音成分の像の重心が低い位置にあるときに、リスナーが感じる音場の安定感が増大するのは、低音は「重い」との感覚に結びつき易く、そして、「重い」ものが下方にあることに対して人は安定感を感じることによるものと考えられる。
【0019】
また、オーディオシステムの出力する低音成分の像の重心が低い位置にあるときに、リスナーが感じる音場のクリア感が増大するのは、低音の音像が下に下がることにより、リスナーの目線高さ位置における、ボーカルや楽器などの主要パートの音域である中音域の明瞭度が増すことによるものと考えられる。
【0020】
さて、図1に、本実施形態に係るオーディオシステムの音響調整の構成を示す。
ここで、本実施形態に係るオーディオシステム1は自動車に搭載されるシステムであり、図示するように、当該オーディオシステム1は、CD/DVDプレイヤやメディアプレイヤなどの音声信号を出力するオーディオソース機器11、DSP12(Digital signal processor12)、4つのアンプ13、4つのスピーカ14、メモリ15、ユーザ操作を受け付ける操作部16、表示部17、以上の各部を制御する制御部18とを備えている。
【0021】
ここで、オーディオソース機器11は、R、Lの左右2チャネルのステレオ音声信号を出力する。
また、4つのスピーカ14は、図2aに示すように、車内前方右側に配置されたスピーカSpFR14、車内前方左側に配置されたスピーカSpFL14、車内後方右側に配置されたスピーカSpRR14、車内後方左側に配置されたスピーカSpRL14とより構成されている。
【0022】
また、図1に示すように、4つのアンプ13は、それぞれ、4つのスピーカ14の各々に対応して設けられており、DSP12から入力する音声信号を増幅し、対応するスピーカ14に出力する。
次に、DSP12は、オーディオソース機器11から入力するR(右)、L(左)の左右2チャネルのステレオ音声信号から、FR(前右)、FL(前左)、RR(後右)、RL(後左)の4チャネルの音声信号を生成する。具体的には、たとえば、オーディオソース機器11から入力するR(右)チャネルのステレオ音声信号から、FR(前右)、RR(後右)チャネルの音声信号を生成し、オーディオソース機器11から入力するL(左)チャネルのステレオ音声信号から、FL(前左)、RL(後左)チャネルの音声信号を生成する。
【0023】
そして、FR(前右)チャネルの音声信号を、スピーカSpFR14に対応するアンプ13に出力することにより車内前方右側に配置されたスピーカSpFR14から出力し、FL(前左)チャネルの音声信号を、スピーカSpFL14に対応するアンプ13に出力することにより車内前方左側に配置されたスピーカSpFL14から出力し、RR(後右)、チャネルの音声信号を、スピーカSpRR14に対応するアンプ13に出力することにより車内後方右側に配置されたスピーカSpRR14から出力し、RL(後左)チャネルの音声信号を、スピーカSpRL14に対応するアンプ13に出力することにより車内後方左側に配置されたスピーカSpRL14から出力する。
【0024】
また、図示するように、DSP12は、オーディオソース機器11から入力するR(右)、L(左)の左右2チャネルのステレオ音声信号から、FR(前右)、FL(前左)、RR(後右)、RL(後左)の4チャネルの音声信号を生成すると共に、制御部18からの設定に従って、FR(前右)、FL(前左)、RR(後右)、RL(後左)の各チャネルの音声信号の周波数特性を調整するイコライザ121と、FR(前右)、FL(前左)、RR(後右)、RL(後左)の4チャネルの音声信号の各々に対応して設けられた4つの可変遅延部122を備えている。そして、4つの可変遅延部122の各々は、対応するチャネルの音声信号を、制御部18から設定された遅延時間分、遅延させて、対応するチャネルの音声信号を増幅するアンプ13に出力する。
【0025】
さて、このようなオーディオシステム1の自動車への搭載時などに行われるオーディオシステム1の初期音響調整を行う際に、一時的に、音響調整装置2と、二つの耳マイク3と、床上マイクMF4がオーディオシステム1に接続され、オーディオシステム1の前チャネル(FRチャネル、FLチャネル)の音声信号と、後チャネル(RRチャネル、RLチャネル)の音声信号との間の遅延時間の制御値である設定前後遅延時間CNTDLFRのオーディオシステム1の設定が行われる。
【0026】
ここで、二つの耳マイク3は、左耳マイクML3と右耳マイクMR3とより構成され、図2b、cに示すように、左耳マイクML3は運転席に置かれた、運転者を模擬するダミー人形の左耳位置に設置され、右耳マイクMR3はダミー人形の右耳位置に設置される。
また、図2b、cに示すように、床上マイクMF4は、運転席中央の前方の位置の床上に、たとえば、床上高さが15cmと30cmとの間のいずれかの高さとなるように設置される。
そして、音響調整装置2は、図3に示す前後遅延時間設定処理を行うことにより、オーディオシステム1の前チャネル(FRチャネル、FLチャネル)の音声信号と、後チャネル(RRチャネル、RLチャネル)の音声信号との間の遅延時間の制御値である設定前後遅延時間CNTDLFRのオーディオシステム1への設定を行う。
【0027】
すなわち、図示するように、この前後遅延時間設定処理において、音響調整装置2は、オーディオシステム1の制御部18を介してオーディオソース機器11にテスト音声の出力を開始させる(ステップ302)。ここで、オーディオソース機器11に出力させるテスト音声は任意の音声であって良いが、200Hz以下の低音成分を含む音声とする。
【0028】
次に、音響調整装置2は、オーディオシステム1の制御部18を介してDSP12の可変遅延部122の遅延時間を制御しつつ、前チャネル(FRチャネル、FLチャネル)の音声信号に対する、後チャネル(RRチャネル、RLチャネル)の音声信号の遅延時間を、制御可能な最小遅延時間DLminから、制御可能な最大遅延時間DLmaxまで(ステップ304、312)、遅延時間の制御可能な最小スパンΔDLFRづつ変化させながら(ステップ314)、ステップ306-310の処理を行う。
【0029】
より具体的には、FRチャネルとFLチャネルの可変遅延部122の遅延時間を最大とし、RRチャネル、RLチャネルの可変遅延部122の遅延時間を0とした初期状態から、FRチャネルとFLチャネルの可変遅延部122の遅延時間が0となるまで、FRチャネルとFLチャネルの可変遅延部122の遅延時間をΔDLFRづつ減少し、FRチャネルとFLチャネルの可変遅延部122の遅延時間が0となったならば、以降は、RRチャネルとRLチャネルの可変遅延部122の遅延時間を、RRチャネルとRLチャネルの可変遅延部122の遅延時間が最大となるまで、ΔDLFRづつ増加させる。そして、初期状態において、ステップ306-310の処理を行うと共に。遅延時間を変更する度に、ステップ306-310の処理を行う。なお、FRチャネルとFLチャネルの可変遅延部122の遅延時間は常に等しく、RRチャネルとRLチャネルの可変遅延部122の遅延時間は常に等しくする。
【0030】
さて、ステップ306-310の処理では、まず、左耳マイクML3でピックアップされた音の低音成分(たとえば、20-200Hzの成分)の音圧レベル(dB)と、右耳マイクMR3でピックアップされた音の低音成分の音圧レベル(dB)の平均値を両耳平均音圧レベルPEとして算出すると共に、床上マイクでピックアップされた音の低音成分の音圧レベル(dB)を足下音圧レベルPFとして算出する(ステップ306)。
【0031】
そして、足下音圧レベルPFから両耳平均音圧レベルPEを減じた値を、指標Z(i)として算出し(ステップ308)、算出した指標Z(i)を、当該時点における前チャネル(FRチャネル、FLチャネル)の音声信号に対する、後チャネル(RRチャネル、RLチャネル)の音声信号の遅延時間DLFR(i)に対応づけて記憶する(ステップ310)。
【0032】
そして、最小遅延時間DLminから最大遅延時間DLmaxまでの間の各遅延時間について、ステップ306-310の処理を行ったならば、オーディオシステム1の制御部18を介してオーディオソース機器11にテスト音声の出力を停止させる(ステップ316)。
また、記憶されている指標Z()のうちの、値が最大の指標Z(j)に対応づけて記憶されている遅延時間DLFR(j)を、設定前後遅延時間CNTDLFRとする(ステップ318)。なお、指標Z()が最大となる遅延時間DLFR()は、各スピーカ14の配置や音響空間の特性(形状等)によって異なるものとなる。
【0033】
そして、設定前後遅延時間CNTDLFRを、オーディオシステム1の制御部18を介してメモリ15に設定し(ステップ320)、処理を終了する。
以上、音響調整装置2が行う前後遅延時間設定処理について説明した。
以上の前後遅延時間設定処理によれば、足下音圧レベルPFから両耳平均音圧レベルPEを減じた値が最大となる、すなわち、オーディオシステム1が各スピーカ14から出力する音声の低音成分の像の重心が下方に配置された床上マイクに最も近くなる、前チャネル(FRチャネル、FLチャネル)の音声信号に対する、後チャネル(RRチャネル、RLチャネル)の音声信号の遅延時間が設定前後遅延時間CNTDLFRとして、オーディオシステム1に設定されることとなる。
【0034】
なお、以上の前後遅延時間設定処理は、前チャネル(FRチャネル、FLチャネル)の音声信号に対する、後チャネル(RRチャネル、RLチャネル)の音声信号の遅延時間が正の場合に、最大値をとる指標Z(i)が得られることが既知である場合には、最小遅延時間DLminを0とするようにしても良い。
【0035】
次に、ユーザのオーディオシステム1の利用時に、オーディオシステム1の制御部18が行う遅延時間調整処理について説明する。なお、ユーザのオーディオシステム1の利用時には、音響調整装置2と、二つの耳マイク3と、床上マイクMF4は、オーディオシステム1から取り外されている。
【0036】
図4に、オーディオシステム1の制御部18が行う遅延時間調整処理の手順を示す。
図示するように、この処理では、まず、左チャネル(FLチャネル、RLチャネル)の音声信号に対する、右チャネル(FRチャネル、RRチャネル)の音声信号の遅延時間を、音像の左右方向の定位位置が、メモリ15に保持されている、ユーザから設定された左右方向の音像定位位置である指定左右方向音像定位置に定位するように算出し、算出した遅延時間が実現されるように各チャネルの可変遅延部122の設定遅延時間を、最大の遅延時間が最小となるよう算出する(ステップ402)。
【0037】
そして、次に、メモリ15に設定されている設定前後遅延時間CNTDLFRが正であるかどうかを調べ(ステップ404)、正であれば、後チャネル(RRチャネル、RLチャネル)の可変遅延部122の設定遅延時間を、ステップ402で算出した設定遅延時間に設定前後遅延時間CNTDLFRを加えた値に変更し(ステップ406)、ステップ410に進む。一方、設定前後遅延時間CNTDLFRが正でなければ(ステップ404)、前チャネル(FRチャネル、FLチャネル)の可変遅延部122の設定遅延時間を、ステップ402で算出した設定遅延時間に設定前後遅延時間CNTDLFRを加えた値に変更し(ステップ408)、ステップ410に進む。ただしメモリ15に設定されている設定前後遅延時間CNTDLFRが0であれば、そのままステップ410に進むようにしてもよい。
【0038】
そして、各チャネルの可変遅延部122に、設定遅延時間を、当該可変遅延部122における遅延時間として設定する(ステップ410)。ここで、このようにして遅延時間を設定された各チャネルの可変遅延部122は、以降、入力する音声信号を設定された遅延時間に等しい時間遅延させて出力する。
この結果、前方に配置されたスピーカSpFR14、SpFL14から出力される音声に対する、後方に配置されたスピーカSpRR14、SpRL14から出力される音声の遅延時間は設定前後遅延時間CNTDLFRとなり、各スピーカ14から出力される音声の低音成分の音像の重心位置の上下方向高さが、下方の、初期音響調整時に床上マイクを設置した高さに最も近い高さとなるように制御されることとなる。
【0039】
そして、制御部18は、このようにして各可変遅延部122に遅延時間を設定したならば(ステップ410)、ユーザの操作部16を介した左右方向音像定位置の変更操作の発生を監視し(ステップ412)、変更操作が発生したならば、操作内容に応じて、メモリ15に保持されている指定左右方向音像定位位置を更新し(ステップ414)、ステップ402からの処理に戻る。
【0040】
以上、オーディオシステム1の制御部18が行う遅延時間調整処理について説明した。
ところで、各チャネルの可変遅延部122として、周波数帯域毎に遅延時間の設定を受付、周波数帯域毎に設定された遅延時間で音声信号を遅延させることのできる可変遅延部122を用いる場合には、以上の遅延時間調整処理のステップ406の処理を、後チャネル(RRチャネル、RLチャネル)の可変遅延部122の低音成分の設定遅延時間のみを、ステップ402で算出した設定遅延時間に設定前後遅延時間CNTDLFRを加えた値に変更する処理とし、ステップ408の処理を、前チャネル(FRチャネル、FLチャネル)の可変遅延部122の低音成分の設定遅延時間のみを、ステップ402で算出した設定遅延時間に設定前後遅延時間CNTDLFRを加えた値に変更する処理とするようにしてもよい。このようにすることにより、低音成分についてのみ、前方に配置されたスピーカSpFR14、SpFL14から出力される音声に対する、後方に配置されたスピーカSpRR14、SpRL14から出力される音声の遅延時間を、設定前後遅延時間CNTDLFRとすることができ、結果、オーディオシステム1が出力される音声の中高音成分に影響を与えることなく、各スピーカ14から出力される音声の低音成分の音像の重心位置の上下方向高さを下方の、初期音響調整時に床上マイクを設置した高さに最も近い高さとすることができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明した。
ところで、以上の実施形態は、オーディオシステム1において、ユーザのオーディオシステム1の利用時に、ユーザの操作に応じて、オーディオシステム1が出力する音声の低音成分の音像の重心位置の高さを変更できるように構成してもよい。
すなわち、この場合には、オーディオシステム1のメモリ15に、図5に示すような設定前後遅延時間テーブルを記憶するようにする。
図示するように設定前後遅延時間テーブルは、異なる複数の重心位置高さ毎に対応して設けられた複数のエントリ(図の各行)を有し、オーディオシステム1の初期音響調整時に、各エントリに、当該エントリに対応する重心位置高さを登録する。また、初期音響調整時に、各エントリに、床上マイクMF4の高さを、当該エントリに対応する重心位置高さと同じ高さとして、音響調整装置2において図3の前後遅延時間設定処理を行って算出した設定前後遅延時間CNTDLFRを登録しておく。
【0042】
そして、ユーザのオーディオシステム1の利用時に、オーディオシステム1の制御部18は、図4に示した遅延時間調整処理に代えて、図6に示す遅延時間調整処理を行うようにする。
すなわち、制御部18は、遅延時間調整処理において、図示するように、まず、左チャネル(FLチャネル、RLチャネル)の音声信号に対する、右チャネル(FRチャネル、RRチャネル)の音声信号の遅延時間を、音像の左右方向の定位位置が、メモリ15に保持されている、ユーザから設定された左右方向の音像定位位置である指定左右方向音像定位位置に定位するように算出し、算出した遅延時間が実現されるように各チャネルの可変遅延部122の設定遅延時間を、最大の遅延時間が最小となるよう算出する(ステップ602)。
【0043】
そして、次に、メモリ15に保持されている、ユーザから設定された低音成分の音像の重心位置である指定重心位置に対応する設定前後遅延時間CNTDLFRを算定し、算定した設定前後遅延時間CNTDLFRが正であるかどうかを調べる(ステップ604)。
ここで、指定重心位置に対応する設定前後遅延時間CNTDLFRは、指定重心位置と同じ値が重心位置高さとして登録されている設定前後遅延時間テーブルのエントリに登録されている設定前後遅延時間CNTDLFRとする。
そして、算定した設定前後遅延時間CNTDLFRが正であれば、後チャネル(RRチャネル、RLチャネル)の可変遅延部122の設定遅延時間を、ステップ602で算出した遅延時間に、ステップ604で算定した設定前後遅延時間CNTDLFRを加えた値に変更し(ステップ606)、ステップ610に進む。一方、算定した設定前後遅延時間CNTDLFRが正でなければ(ステップ604)、前チャネル(FRチャネル、FLチャネル)の可変遅延部122の設定遅延時間を、ステップ602で算出した遅延時間に、ステップ604で算定した設定前後遅延時間CNTDLFRを加えた値に変更し(ステップ608)、ステップ610に進む。ただし、算定した設定前後遅延時間CNTDLFRが0であれば、そのままステップ610に進むようにしてもよい。
【0044】
そして、各チャネルの可変遅延部122に、設定遅延時間を、当該可変遅延部122における遅延時間として設定する(ステップ610)。
この結果、各スピーカ14から出力される音声の低音成分の音像の重心の高さが、ユーザから設定された重心位置の高さに最も近い高さとなるように制御されることとなる。
そして、制御部18は、このようにして各可変遅延部122に遅延時間を設定したならば(ステップ610)、ユーザの操作部16を介した左右方向音像定位置の変更操作の発生(ステップ612)と、ユーザの操作部16を介した低音成分の音像の重心位置の変更操作の発生(ステップ616)とを監視する。
【0045】
そして、左右方向音像定位置の変更操作が発生したならば(ステップ612)、操作内容に応じて、メモリ15に保持されている指定左右方向音像定位位置を更新し(ステップ614)、ステップ602からの処理に戻る。
また、低音成分の音像の重心位置の変更操作が発生したならば(ステップ616)、操作内容に応じて、メモリ15に保持されている指定重心位置を更新し(ステップ618)、ステップ602からの処理に戻る。ここで、低音成分の音像の重心位置の変更操作としては、ユーザの重心位置の上昇/下降操作を受付、上昇操作を受け付けた場合には、指定重心位置を、設定前後遅延時間テーブルに登録されている重心位置高さのうちの、現在メモリに保持されている指定重心位置より大きい最小の高さに更新し、下降操作を受け付けた場合には、指定重心位置を、設定前後遅延時間テーブルに登録されている重心位置高さのうちの、現在メモリに保持されている指定重心位置未満の最大の高さに更新する。
【0046】
ところで、以上の実施形態における音響調整装置2の機能は、これをオーディオシステム1に当該オーディオシステム1の機能の一部として備えるようにしても良い。
また、実施形態は、左耳マイクML3を助手席に置かれたダミー人形の左耳位置に設置し、右耳マイクMR3をダミー人形の右耳位置に設置し、床上マイクMF4を助手席中央の前方の位置の床上に設置するように修正して実施するようにしてよい。
【符号の説明】
【0047】
1…オーディオシステム、2…音響調整装置、3…耳マイク、4…床上マイク、11…オーディオソース機器、12…DSP、13…アンプ、14…スピーカ、15…メモリ、16…操作部、17…表示部、18…制御部、121…イコライザ、122…可変遅延部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に配置されたスピーカである前方スピーカと後方に配置されたスピーカである後方スピーカとを用いて音声を出力する、各スピーカから出力する音声間の遅延時間を可変なオーディオシステムの音響を調整する音響調整方法であって、
所定のリスニングポイントに着座したリスナーの耳が位置すると推定される位置に配置された第1のマイクで収音した、前記オーディオシステムから出力された音声の低音成分の音圧レベルである耳位置音圧レベルを、前記第1のマイクよりも下方の高さとなる位置に配置された第2のマイクで収音した、前記オーディオシステムが出力した音声の低音成分の音圧レベルである下方位置音圧レベルから減じた値を指標として、当該指標が最大となる、前記オーディオシステムにおける前記前方スピーカから出力する音声と前記後方スピーカから出力する音声との間の遅延時間を遅延時間設定値として算定する算定ステップと、
算定した前記遅延時間設定値を、以降、前記前方スピーカから出力する音声と前記後方スピーカから出力する音声との間の遅延時間として用いるように前記オーディオシステムに設定する設定ステップとを有することを特徴とする音響調整方法。
【請求項2】
請求項1記載の音響調整方法であって、
前記算定ステップは、
前記オーディオシステムに、前記前方スピーカから出力する音声と前記後方スピーカから出力する音声との間の遅延時間を段階的に変化させながら音声を出力させると共に、前記遅延時間が変化する度に前記指標を算出するステップと、
前記算出した指標が最大となったときの、前記オーディオシステムにおける前記前方スピーカから出力する音声と前記後方スピーカから出力する音声との間の遅延時間を前記遅延時間設定値として算定するステップとより構成されることを特徴とする音響調整方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の音響調整方法であって、
前記オーディオシステムは自動車に搭載された、前記前方スピーカとして車内前方左右に配置された2つのスピーカと、前記後方スピーカとして車内後方左右に配置された2つのスピーカとを備えたオーディオシステムであることを特徴とする音響調整方法。
【請求項4】
請求項3記載の音響調整方法であって、
前記所定のリスニングポイントは前記自動車の前席であり、前記第1のマイクは、前記自動車の前席の着席者の耳が位置すると推定される位置に配置し、前記第2のマイクは、前記前席の前方の床上に配置することを特徴とする音響調整方法。
【請求項5】
請求項3記載の音響調整方法であって、
前記所定のリスニングポイントは前記自動車の運転席であり、前記第1のマイクは、前記自動車の運転席の着席者の耳が位置すると推定される位置に配置し、前記第2のマイクは、前記運転席の前方の床上に配置することを特徴とする音響調整方法。
【請求項6】
請求項4記載の音響調整方法であって、
前記第1のマイクとして、自動車の前席の着席者の左耳が位置すると推定される位置に配置された左耳マイクと、自動車の前席の着席者の右耳が位置すると推定される位置に配置された右耳マイクとを備え、前記耳位置音圧レベルとして、前記左耳マイクで収音した、前記オーディオシステムから出力された音声の低音成分の音圧レベルと、前記右耳マイクで収音した、前記オーディオシステムから出力された音声の低音成分の音圧レベルとの平均を検出することを特徴とする音響調整方法。
【請求項7】
請求項5記載の音響調整方法であって、
前記第1のマイクとして、自動車の運転席の着席者の左耳が位置すると推定される位置に配置された左耳マイクと、自動車の運転席の着席者の右耳が位置すると推定される位置に配置された右耳マイクとを備え、前記耳位置音圧レベルとして、前記左耳マイクで収音した、前記オーディオシステムから出力された音声の低音成分の音圧レベルと、前記右耳マイクで収音した、前記オーディオシステムから出力された音声の低音成分の音圧レベルとの平均を検出することを特徴とする音響調整方法。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6または7記載の音響調整方法であって、
前記オーディオシステムから出力された音声の低音成分は、200Hz以下の周波数帯域の成分であることを特徴とする音響調整方法。
【請求項9】
前方に配置されたスピーカである前方スピーカと後方に配置されたスピーカである後方スピーカとを用いて音声を出力する、各スピーカから出力する音声間の遅延時間を可変なオーディオシステムの音響を調整する音響調整装置であって、
所定のリスニングポイントに着座したリスナーの耳が位置すると推定される位置に配置された第1のマイクと、
前記第1のマイクよりも下方の高さとなる位置に配置された第2のマイクと、
前記第1のマイクで収音した、前記オーディオシステムから出力された音声の低音成分の音圧レベルである耳位置音圧レベルを、前記第2のマイクで収音した、前記オーディオシステムが出力した音声の低音成分の音圧レベルである下方位置音圧レベルから減じた値を指標として、当該指標が最大となる、前記オーディオシステムにおける前記前方スピーカから出力する音声と前記後方スピーカから出力する音声との間の遅延時間を遅延時間設定値として算定する算定手段と、
算定した前記遅延時間設定値を、以降、前記前方スピーカから出力する音声と前記後方スピーカから出力する音声との間の遅延時間として用いるように前記オーディオシステムに設定する設定手段とを有することを特徴とする音響調整装置。
【請求項10】
請求項9記載の音響調整装置であって、
前記算定手段は、
前記オーディオシステムに、前記前方スピーカから出力する音声と前記後方スピーカから出力する音声との間の遅延時間を段階的に変化させながら音声を出力させると共に、前記遅延時間が変化する度に前記指標を算出する指標算出手段と、
前記算出した指標が最大となったときの、前記オーディオシステムにおける前記前方スピーカから出力する音声と前記後方スピーカから出力する音声との間の遅延時間を前記遅延時間設定値として算定する遅延時間設定値算定手段とより構成されることを特徴とする音響調整装置。
【請求項11】
請求項9または10記載の音響調整装置であって、
前記オーディオシステムは自動車に搭載された、前記前方スピーカとして車内前方左右に配置された2つのスピーカと、前記後方スピーカとして車内後方左右に配置された2つのスピーカとを備えたオーディオシステムであることを特徴とする音響調整装置。
【請求項12】
請求項11記載の音響調整装置であって、
前記所定のリスニングポイントは前記自動車の前席であり、前記第1のマイクは、前記自動車の前席の着席者の耳が位置すると推定される位置に配置され、前記第2のマイクは、前記前席の前方の床上に配置されることを特徴とする音響調整装置。
【請求項13】
請求項11記載の音響調整装置であって、
前記所定のリスニングポイントは前記自動車の運転席であり、前記第1のマイクは、前記自動車の運転席の着席者の耳が位置すると推定される位置に配置され、前記第2のマイクは、前記運転席の前方の床上に配置されることを特徴とする音響調整装置。
【請求項14】
請求項12記載の音響調整装置であって、
前記第1のマイクとして、自動車の前席の着席者の左耳が位置すると推定される位置に配置される左耳マイクと、自動車の前席の着席者の右耳が位置すると推定される位置に配置される右耳マイクとを備え、
前記算定手段は、前記耳位置音圧レベルとして、前記左耳マイクで収音した、前記オーディオシステムから出力された音声の低音成分の音圧レベルと、前記右耳マイクで収音した、前記オーディオシステムから出力された音声の低音成分の音圧レベルとの平均を検出することを特徴とする音響調整装置。
【請求項15】
請求項13記載の音響調整装置であって、
前記第1のマイクとして、自動車の運転席の着席者の左耳が位置すると推定される位置に配置される左耳マイクと、自動車の運転席の着席者の右耳が位置すると推定される位置に配置される右耳マイクとを備え、
前記算定手段は、前記耳位置音圧レベルとして、前記左耳マイクで収音した、前記オーディオシステムから出力された音声の低音成分の音圧レベルと、前記右耳マイクで収音した、前記オーディオシステムから出力された音声の低音成分の音圧レベルとの平均を検出することを特徴とする音響調整装置。
【請求項16】
請求項9、19、11、12、13、14または15記載の音響調整装置であって、
前記オーディオシステムから出力された音声の低音成分とは、200Hz以下の周波数帯域の成分であることを特徴とする音響調整装置。
【請求項17】
前方に配置されたスピーカである前方スピーカと後方に配置されたスピーカである後方スピーカとを用いて音声を出力する、各スピーカから出力する音声間の遅延時間を可変なオーディオシステムであって、
所定のリスニングポイントに着座したリスナーの耳が位置すると推定される位置に配置された第1のマイクのマイクで収音した、前記オーディオシステムから出力された音声の低音成分の音圧レベルである耳位置音圧レベルを、前記第1のマイクよりも下方の高さとなる位置に配置された第2のマイクで収音した、前記オーディオシステムが出力した音声の低音成分の音圧レベルである下方位置音圧レベルから減じた値を指標として、当該指標が最大となる、前記前方スピーカから出力する音声と前記後方スピーカから出力する音声との間の遅延時間を遅延時間設定値として算定する算定手段と、
算定した前記遅延時間設定値を、以降、前記前方スピーカから出力する音声と前記後方スピーカから出力する音声との間の遅延時間として設定する設定手段とを有することを特徴とするオーディオシステム。
【請求項18】
請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の音響調整方法により前記遅延時間設定値が設定されるオーディオシステムであって、
前方に配置されたスピーカである前方スピーカと、
後方に配置されたスピーカである後方スピーカと、
前記前方スピーカから出力する音声と前記後方スピーカから出力する音声との間の遅延時間を、設定された前記遅延時間設定値に調整する前後遅延時間調整手段を備えたことを特徴とするオーディオシステム。
【請求項19】
請求項17記載のオーディオシステムであって、
前記前方スピーカとして前方左に配置された前方左スピーカと、前方右に配置された前方左スピーカとを備え、
前記後方スピーカとして後方左に配置された後方左スピーカと、後方右に配置された後方左スピーカとを備え、
当該オーディオシステムは、
ユーザの設定に応じて、前記前方左スピーカと前記後方左スピーカとから出力する音声と、前記前方左スピーカと前記後方左スピーカとから出力する音声との間の遅延時間を調整する左右遅延時間調整手段を有することを特徴とするオーディオシステム。
【請求項20】
請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の音響調整方法により前記遅延時間設定値が設定されるオーディオシステムであって、
当該オーディオシステムには、前記下方マイクの設置高さを異ならせて前記音響調整方法により算定された前記遅延時間設定値が複数、当該延時間設定値の算定に用いた前記下方マイクの設置高さと対応づけて設定されており、
かつ、
当該オーディオシステムは、
ユーザ操作に応じて定まる低音成分の音像重心高さと一致または近似する前記設置高さに対応づけて設定されている前記遅延時間設定値に、前記前方スピーカから出力する音声と前記後方スピーカから出力する音声との間の遅延時間を調整する前後遅延時間調整手段を備えていることを特徴とするオーディオシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−90126(P2013−90126A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228671(P2011−228671)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】