説明

領域検出装置、領域検出方法、及び領域検出プログラム

【課題】通信不可領域の検出に際しての計算量を削減することである。
【解決手段】カバレッジホール検出装置10は、受信電力値取得部13と、ハンドオーバ地点特定部14と、通信品質値算出部15と、カバレッジホール判定部16とを有する。受信電力値取得部13は、複数の領域における、周辺基地局からの受信電力の値を取得する。ハンドオーバ地点特定部14は、上記受信電力を用いて、移動局のハンドオーバ地点を特定する。通信品質値算出部15は、上記複数の領域の内、上記ハンドオーバ地点を含む領域における、上記周辺基地局の通信品質を算出する。カバレッジホール判定部16は、上記周辺基地局の通信品質を用いて、上記ハンドオーバ地点を含む領域が、上記周辺基地局との間で所定の通信品質での通信が不可の領域であるか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、領域検出装置、領域検出方法、及び領域検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信システムでは、移動局は、自局の在圏するセルを形成する基地局との間で通信を行う。移動局は、移動に伴い、その位置に応じて、通信相手となる基地局を変更する。しかしながら、基地局の配置や設計を行う際、送信電力やアンテナの傾きによっては、何れの基地局の通信品質も、移動局との通信が可能な値に到達しない領域(以下、「カバレッジホール」と記す。)が生じることがある。カバレッジホールの検出には、例えば、以下に説明する手法が採られる。まず、基地局の設計者は、カバレッジホールの有無の判定対象となるエリアを複数のグリッド(サブエリア)に分割し、これら各グリッド内に評価点を1つずつ選択する。次に、設計者は、各評価点における周辺基地局の通信品質を測定し、全ての周辺基地局の通信品質が、要求される条件を満たさない場合に、その評価点が存在するグリッドを、カバレッジホールと判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2009/060935号
【特許文献2】特開2011−44808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、カバレッジホールの判定対象エリアが広範に渡る場合、あるいは、検出精度を高めるためにグリッドの面積(粒度)を小さくした場合には、設計者は、多数の評価点を選択することとなる。これに伴い、基地局の通信品質を測定すべき評価点が増加すると共に、カバレッジホール検出のために必要なCINR(Carrier to Interference and Noise Ratio)値の計算量が増大するという問題点がある。この様な問題点は、評価点付近に多くの周辺基地局が存在する場合に顕著となる。特に、近年では、マイクロセルやフェムトセルの増加に伴い、基地局のセルは縮小化傾向にあることから、カバレッジホールも縮小化しつつある。したがって、設計者が検出精度を高めるためには、グリッドを小さくとって、より多くの評価点を選択する必要があり、これに連れて、上記計算量は、更に増大することとなる。
【0005】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、通信不可領域の検出に際しての計算量を削減することのできる領域検出装置、領域検出方法、及び領域検出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本願の開示する領域検出装置は、一つの態様において、取得部と特定部と算出部と判定部とを有する。前記取得部は、複数の領域における、周辺基地局からの受信電力の値を取得する。前記特定部は、前記受信電力を用いて、移動局のハンドオーバ地点を特定する。前記算出部は、前記複数の領域の内、前記ハンドオーバ地点を含む領域における、前記周辺基地局の通信品質を算出する。前記判定部は、前記周辺基地局の通信品質を用いて、前記ハンドオーバ地点を含む領域が、前記周辺基地局との間で所定の通信品質での通信が不可の領域であるか否かを判定する。
【発明の効果】
【0007】
本願の開示する領域検出装置の一つの態様によれば、通信不可領域(カバレッジホール)の検出に際しての計算量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本実施例に係るカバレッジホール検出装置の機能構成を示す図である。
【図2】図2は、本実施例に係るカバレッジホール検出装置のハードウェア構成を示す図である。
【図3】図3は、本実施例に係るカバレッジホール検出装置がグリッド単位でカバレッジホールを検出する過程を説明するための図である。
【図4】図4は、本実施例に係るカバレッジホール検出装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】図5は、カバレッジホールの検出に伴う計算量の比較例を示す図である。
【図6】図6は、カバレッジホール検出プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示する領域検出装置、領域検出方法、及び領域検出プログラムの実施例を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施例により本願の開示する領域検出装置、領域検出方法、及び領域検出プログラムが限定されるものではない。
【0010】
まず、本実施例に係るカバレッジホール検出装置の構成を説明する。図1は、本実施例に係るカバレッジホール検出装置10の機能構成を示す図である。カバレッジホール検出装置10は、基地局パラメータ管理部11と、地形データ管理部12と、受信電力値取得部13と、ハンドオーバ地点特定部14と、通信品質値算出値15と、カバレッジホール判定部16とを有する。これら各構成部分は、一方向又は双方向に、信号やデータの入出力が可能なように接続されている。
【0011】
基地局パラメータ管理部11は、カバレッジホールの検出対象となるエリアに配置される基地局のパラメータ(以下、「局パラメータ」と記す。)として、基地局からの送信電力、垂直方向及び水平方向のアンテナの傾き(チルト、アジマス)、あるいは、基地局の位置(緯度・経度)を更新可能に記憶する。地形データ管理部12は、カバレッジホールの検出対象となるエリアの地形データとして、土地の利用状況、地表の高低や起伏の形、地形の種類、地図等の情報を更新可能に記憶する。
【0012】
受信電力値取得部13は、基地局パラメータ管理部11から取得される局パラメータと、地形データ管理部12から取得される地形データとを用いて、各グリッドにおける各基地局からの受信電力値を取得する。ハンドオーバ地点特定部14は、受信電力値取得部13から入力される受信電力値を基に、上記各グリッド内において移動局がハンドオーバを行う地点(以下、「ハンドオーバ地点」と記す。)の特定を行う。
【0013】
通信品質値算出値15は、ハンドオーバ地点特定部14により特定されたハンドオーバ地点につき、受信電力値取得部13から入力される受信電力値を用いて、サービング基地局(例えば、ハンドオーバ元の基地局)及びターゲット基地局(例えば、ハンドオーバ先の基地局)に対する通信品質を算出する。また、通信品質値算出値15は、サービング基地局、ターゲット基地局の何れの基地局に対する通信品質も、所定の条件を満たさない場合には、そのハンドオーバ地点のグリッドにつき、他の基地局(例えば、サービング基地局、ターゲット基地局以外の基地局)に関する通信品質を算出する。通信品質は、例えば、上述のCINRであるが、SINR(Signal to Interference and Noise Ratio)、CIR(Carrier to Interference Ratio)、SIR(Signal to Interference Ratio)等であってもよい。
【0014】
カバレッジホール判定部16は、通信品質値算出値15から入力された、各周辺基地局の通信品質値に基づき、移動局と各周辺基地局との通信の可否を判定する。カバレッジホール判定部16は、全ての周辺基地局が所定の通信品質を満たさない場合には、その地点の属するグリッドをカバレッジホールと判定する。更に、カバレッジホール判定部16は、地形データ管理部12から入力される地形データから推定される利用者数に基づき、各グリッドに対して重み付けを行い、カバレッジホールと判定されたグリッドの重みの総和を算出する。そして、カバレッジホール判定部16は、当該重みの総和が極力小さい値となる様に、基地局パラメータ管理部11内の局パラメータを変更(フィードバック制御)し、カバレッジホールの重みの総和が最小となる局パラメータを、最適パラメータとして、基地局パラメータ管理部11へ出力する。
【0015】
次に、カバレッジホール検出装置10のハードウェア構成を説明する。図2は、カバレッジホール検出装置10のハードウェア構成を示す図である。図2に示すように、カバレッジホール検出装置10は、プロセッサ10aと、記憶装置10bと、入力装置10cと、表示装置10dとが、バスを介して各種信号やデータの入出力が可能なように接続されている。プロセッサ10aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)である。記憶装置10bは、例えば、HD(Hard Disk)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置の他、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等のRAMを含む。また、入力装置10cは、例えば、キーボード、マウス、タッチパネルにより構成され、表示装置10dは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、ELD(Electro Luminescence Display)により構成される。
【0016】
図1に示したカバレッジホール検出装置10の基地局パラメータ管理部11と、地形データ管理部12とは、ハードウェアとしての記憶装置10bにより実現される。また、受信電力値取得部13と、ハンドオーバ地点特定部14と、通信品質値算出値15と、カバレッジホール判定部16とは、ハードウェアとしてのプロセッサ10aにより実現される。
【0017】
次に、図3、図4を参照しながら、カバレッジホール検出装置10の動作を説明する。図3は、本実施例に係るカバレッジホール検出装置10がグリッド単位でカバレッジホールH1〜H6を検出する過程を説明するための図である。本動作説明では、基地局B1〜B3の形成するセルC1〜C3の境界付近のエリアAを、カバレッジホール検出対象のエリア(評価エリア)として想定する。図3に示すように、エリアAは、多数のグリッドに分割されている。グリッドの形状は略正方形であり、一辺の長さは、屋外であれば例えば約5m、屋内であれば例えば約1mである。
【0018】
図4は、本実施例に係るカバレッジホール検出装置10の動作を説明するためのフローチャートである。S1では、プロセッサ10aは、エリアAの中から、カバレッジホール判定の対象となるグリッドを選択する。プロセッサ10aは、グリッドの選択を、エリアAの端部から縦方向又は横方向にシーケンシャルに行ってもよいし、入力装置10cからの指示に従って、任意のグリッドを選択してもよい。S2では、プロセッサ10aは、周辺セルC1〜C3の中から、受信電力値の算出対象となる周辺セルを選択する。周辺セルは、サービング基地局のセル、ターゲット基地局のセル、これら以外の周辺セルの順に選択される。例えば、図3において、移動局がセルC2からセルC1へハンドオーバする場合を想定すると、プロセッサ10aは、周辺セルとして、まずセルC2を優先的に選択し、次いで、ハンドオーバ先のセルC1を選択した後、セルC1、C2以外の周辺セルであるセルC3を選択する。
【0019】
S3では、プロセッサ10aは、セルC1〜C3を形成する各周辺基地局B1〜B3からの受信電力の値を基に、移動局のハンドオーバ地点を特定する。すなわち、プロセッサ10aは、S1で選択されたグリッドの4つの角における受信電力値を、各周辺基地局B1〜B3について算出し、周辺基地局間で受信電力値の逆転する(差分が0となる)地点を、ハンドオーバ地点として特定する。例えば、S1でグリッドG1が選択された場合、図3の網掛けに示すグリッドG1の角の4点が、受信電力測定点P1〜P4として選択される。グリッドG1の受信電力測定点P1〜P4において最大の受信電力値をとる周辺基地局が同一である場合には、グリッドG1において、受信電力値の逆転が生じていないため、グリッドG1は、ハンドオーバ地点を含むグリッドとして特定されない。これに対して、グリッドG1の受信電力測定点P1〜P4において最大の受信電力値をとる周辺基地局が異なる場合、例えば、測定点P1、P2では基地局B3(セルC3)であり、測定点P3、P4では基地局B2(セルC2)である場合には、グリッドG1において受信電力値の逆転が起こっているとの推測が可能である。したがって、かかる場合には、プロセッサ10aは、グリッドG1を、ハンドオーバ地点を含むグリッドとして特定する。
【0020】
なお、S3では、プロセッサ10aが、ハンドオーバ地点となるグリッドを特定する手法として、受信電力(RSRP:Reference Signal Received Power)の値を用いるものとした。しかしながら、これに限らず、プロセッサ10aは、各周辺基地局B1〜B3と移動局との間の伝搬損失が逆転した地点を、ハンドオーバ地点として特定するものとしてもよい。また、プロセッサ10aは、TA(Timing Advance)等のタイミング情報を用いて、各周辺基地局B1〜B3と移動局との間で送受信される信号の遅延量が逆転した地点を、ハンドオーバ地点として特定するものとしてもよい。
【0021】
S5において、プロセッサ10aは、上述のS3の処理を実行した結果、S1で選択されたグリッド内にハンドオーバ地点の存在が確認された場合(S4;Yes)には、S2で選択された周辺セルにつき、上記グリッドにおけるCINRの値を算出する。次に、プロセッサ10aは、S5で算出されたCINR値を用いて、S1で選択されたグリッドがカバレッジホールであるか否かを判定する(S6)。例えば、プロセッサ10aは、カバレッジホールの判定に際して、まず、サービング基地局B2及びターゲット基地局B1の双方のCINR値が所定の閾値以上であるか否かに基づき、これらの基地局が移動局との通信が可能な条件を満たすか否かを判定する。当該判定の結果、両基地局B1、B2の内、少なくとも一方の基地局のCINR値が所定の閾値以上である場合には、プロセッサ10aは、対象グリッドがカバレッジホールでないと判定する(S6;No)。これに対して、両基地局B1、B2のCINR値が所定の閾値未満である場合には、プロセッサ10aは、RLF(Radio Link Failure)と判定した上で、残りの周辺基地局B3に関して、両基地局B1、B2と同様の判定を行う。当該判定の結果、全ての周辺基地局B1〜B3のCINR値が所定の閾値未満である場合には、プロセッサ10aは、これら何れの基地局B1〜B3も移動局との通信が可能な条件を満たさないものと判断する。そして、プロセッサ10aは、S1で選択されたグリッドを通信不可グリッド(カバレッジホール)と判定する(S6;Yes)。
【0022】
S7では、プロセッサ10aは、S6でカバレッジホールと判定されたグリッドの周辺のグリッドに対し、S6と同様の判定を行う。カバレッジホールの周辺には、カバレッジホールが存在する可能性が高いことから、これにより、カバレッジホールの検出漏れが防止される。その結果、カバレッジホール検出装置10によるカバレッジホール検出の確実性、ひいては信頼性が向上する。
【0023】
なお、ハンドオーバ地点を含むグリッドについては、S6においてCINR値に基づく判定が完了しているため、S7では、カバレッジホールであるか否かの判定対象から除外される。例えば、図3において、ハンドオーバ地点L2を含むグリッドH1(図3の斜線部分)がカバレッジホールと判定された場合、その周辺のグリッドであるグリッドG2〜G7、H2、H4が、カバレッジホールの判定対象候補となる。しかしながら、これらのグリッドの内、グリッドG2はハンドオーバ地点L2を含み、グリッドH4はハンドオーバ地点L1を含む。また、グリッドH2は、ハンドオーバ地点L1、L2、L3を含むグリッドである。したがって、グリッドH1の周辺に位置する8つのグリッドの内、これらのグリッドG2、H4、H2は、カバレッジホールであるか否かの判定対象から除外され、その結果、残りの5つのグリッドG3〜G7のみが、判定対象として選択される。
【0024】
S4において、S1で選択されたグリッド内にハンドオーバ地点の不在が確認された場合(S4;No)、あるいは、S6における判定の結果、S1で選択されたグリッドがカバレッジホールでないと判定された場合(S6;No)には、S8以降の処理が実行される。すなわち、プロセッサ10aは、S1で選択されたグリッドの周辺(例えば、半径1km以内)に、未だ選択されていない周辺セルが有るか否かを判定し、有る場合には、S2で選択されていない残りの周辺セルにつき、上述したS3以降の処理を実行する(S8)。一方、全ての周辺セルが選択済みである場合には、プロセッサ10aは、S9以降の処理を実行する。
【0025】
S9では、プロセッサ10aは、カバレッジホールと判定されたグリッドに対する重み付けを行う。例えば、プロセッサ10aは、記憶装置10bから地形データを読み出し、当該地形データを参照して、移動局の利用者数を予想し、各グリッドには、予想された利用者数に応じて、予想利用者数の多いものには大きい係数を、予想利用者数の少ないものには小さい係数を、係数Fとして乗算する。これにより、プロセッサ10aは、グリッドの重要性に応じた重み付けを行う。すなわち、利用者の多いグリッド、換言すれば、カバレッジホールとなった場合に弊害が予想されるグリッドには、支障の小さいグリッドよりも、高い重み付けが為されることとなる。したがって、カバレッジホールと判定された全てのグリッドを均一に扱う場合と比較して、地形データを考慮に入れた、より実情に即した局パラメータの設定が可能となる。その結果、カバレッジホール検出装置10の柔軟性、及び通信環境に対する適応性が向上する。
【0026】
上述のS2〜S9の一連の処理は、カバレッジホール検出対象エリアAに属する全てのグリッドについて実行され、これら全てのグリッドの選択が完了(S10)したことに伴い、プロセッサ10aは、S11以降の処理を実行する。すなわち、プロセッサ10aは、記憶装置10bから局パラメータの候補を複数読み出し、当該局パラメータ候補の中から、カバレッジホールと判定されたグリッドの重みの総和が最小となる局パラメータを検索する(S11)。重みの総和が最小となる局パラメータが決定した場合(S11;Yes)には、プロセッサ10aは、当該局パラメータを最適値として、表示装置10dに出力する。一方、重みの総和が最小となる局パラメータが判別しない間は、プロセッサ10aは、従前の局パラメータを新たなパラメータに修正した(S12)後、再設定された局パラメータを用いて、上述したS1〜S11の一連の処理を実行する。これにより、カバレッジホール検出装置10は、カバレッジホールの重みの総和が最小値をとる局パラメータの検索を試行し、当該局パラメータが検知された時点で、処理を終了する。
【0027】
例えば、図3のエリアAでは、斜線に示すグリッドH1〜H6がカバレッジホールとして検出される。この場合、グリッドH1〜H6に対する重み付け値が、それぞれH1〜H3=0.3、H4=0.8、H5〜H6=0.5である場合には、カバレッジホールの重みの総和は、2.3(=0.3×3+0.4×1+0.5×2)となる。しかしながら、別の局パラメータの設定によっては、基地局からの送信電力、アンテナの傾き、基地局の位置に応じて、グリッドH1〜H6とは異なるグリッド群がカバレッジホールとして検出される可能性がある。この場合、カバレッジホールの重みの総和も変化する。したがって、カバレッジホール検出装置10は、この重みの総和を最小とする局パラメータを特定することができれば、カバレッジホールが移動局の利用者に対して与える影響の最も小さい基地局を設計することが可能となる。
【0028】
以上説明したように、カバレッジホール検出装置10は、受信電力値取得部13と、ハンドオーバ地点特定部14と、通信品質値算出部15と、カバレッジホール判定部16とを有する。受信電力値取得部13は、複数の領域(例えば、グリッド)における、周辺基地局B1〜B3からの受信電力(例えば、RSRP)の値を取得する。ハンドオーバ地点特定部14は、上記受信電力を用いて、移動局のハンドオーバ地点を特定する。通信品質値算出部15は、上記複数の領域の内、上記ハンドオーバ地点を含む領域における、周辺基地局B1〜B3の通信品質(例えば、CINR)を算出する。カバレッジホール判定部16は、周辺基地局B1〜B3の通信品質を用いて、上記ハンドオーバ地点を含む領域が、周辺基地局B1〜B3との間で所定の通信品質(例えば、3〜10dB以上)での通信が不可の領域(例えば、カバレッジホール)であるか否かを判定する。
【0029】
カバレッジホール検出装置10において、通信品質値算出部15は、周辺基地局B1〜B3の内、上記移動局のハンドオーバの境界をなす(ハンドオーバ元及び先の)基地局B2、B1の通信品質を算出した後、他の周辺基地局B3の通信品質を算出するものとしてもよい。また、カバレッジホール検出装置10において、通信品質値算出部15は、カバレッジホール判定部16により上記通信が不可の領域と判定された領域の周辺の領域における、周辺基地局B1〜B3の通信品質を算出する。更に、カバレッジホール判定部16は、周辺基地局B1〜B3の通信品質を用いて、上記周辺の領域が、上記通信が不可の領域であるか否かを判定するものとしてもよい。
【0030】
すなわち、設計者が、基地局の設計段階において、カバレッジホールを最少化するためには、局パラメータを変化させながら、カバレッジホールの検出を複数回繰り返す必要がある。このため、カバレッジホールの検出に必要な計算量には、カバレッジホールであるか否かの判定対象となるグリッドの数の影響が顕著に現れ、判定対象のグリッド数が多くなる程、計算量は増大する。換言すれば、カバレッジホール検出装置10は、上記判定対象のグリッドを絞り込むことで、カバレッジホールを最少化するための局パラメータを決定するための計算量を大幅に減少させることができる。
【0031】
そこで、本実施例に係るカバレッジホール検出装置10は、カバレッジホールが各基地局B1〜B3のセルC1〜C3の境界付近に存在することを利用して、最初に、ハンドオーバ条件を満たすセル境界地点のグリッドを選択する。次に、カバレッジホール検出装置10は、これらのグリッドに関してのみ、比較的通信品質が良好と推測されるサービング基地局及びターゲット基地局の通信品質を算出し、要求される通信品質との比較を行う。そして、何れの通信品質も要求品質を満たさない場合に初めて、カバレッジホール検出装置10は、全ての周辺基地局の通信品質を算出し、要求される通信品質との比較を行い、その結果、全ての周辺基地局が所定の要求品質を満たさないグリッドを、カバレッジホールとする。その上で、カバレッジホール検出装置10は、基地局の設計において、カバレッジホールと判定されるグリッドの数が減少する様に、局パラメータを繰り返し調整することで、カバレッジホールの最少化を図る。
【0032】
上述したように、本実施例に係るカバレッジホール検出装置10によれば、従来と比較して、通信品質を求める地点の数は縮小され、全体の計算量の削減が可能となる。特に、通信品質(dB値)の計算は、対数から実数への変換と実数から対数への再変換とを伴うことから、基地局毎に独立して算出可能な受信電力値の計算と比較して複雑である上、局パラメータを決定するための計算処理の大部分を占める。このため、通信品質の計算量の減少は、カバレッジホール検出装置10の演算量の削減に大きく貢献する。
【0033】
図5は、カバレッジホールの検出に伴う計算量の比較例を示す図である。図5に示すように、従来における計算量を100とすると、本実施例に係るカバレッジホール検出装置10の計算量は、凡そ70に減少する。図5において、αは、各グリッド内にハンドオーバ地点(図3のL1〜L3)が存在する確率を示し、0<α<1を満たす。βは、各グリッドの周囲の8グリッドの内、ハンドオーバ地点(図3のL1〜L3)を含まないグリッドの数を示し、1≦β≦8を満たす。従来の計算量は、グリッド数と周辺セル数(例えば、5、6個)とCINR計算量との積により算出され、この値を100とする。計算量は、グリッド数と周辺セル数に比例して増加するが、本実施例における計算量は、0<α<1を満たす上記αの乗算により、大幅に減少(例えば、20)する。但し、本実施例では、ハンドオーバ条件判定(グリッドの絞込み)が必要となることから、これに伴う計算量(例えば、50)が加算される。しかしながら、ハンドオーバ条件の判定は、対数計算を含むCINR計算と異なり、単純な和差計算で済むことから、当該判定のための計算量の増加を加味してもなお、カバレッジホール検出装置10の計算量は、トータルとして減少する。
【0034】
より具体的には、無線基地局設計段階でのカバレッジホールの存在の解析手法において、カバレッジホール検出装置10は、ハンドオーバ条件を満たす基地局B1、B2、B3間の境界地点を導出する。カバレッジホール検出装置10は、その境界地点において、基地局B1〜B3を含む全ての周辺基地局の通信品質が要求条件を満たさない場合に、その境界地点の属するグリッドをカバレッジホールと特定する。カバレッジホール検出装置10は、カバレッジホールがセル境界に位置する可能性が高い性質を利用して、カバレッジホール検出のために周辺基地局の通信品質評価を行うエリアを絞ることにより、計算量を減少させる。換言すれば、通信品質値を算出するグリッドが、カバレッジホールの存在する確率の高いハンドオーバ境界付近のグリッドに限定されるため、カバレッジホールを特定するための計算量は減少する。
【0035】
また、カバレッジホール検出装置10は、各境界地点において、周辺基地局の通信品質が要求条件を満たすか否かを判定する場合を、ハンドオーバ条件として参照したサービング基地局及びターゲット基地局の通信品質が要求条件を満たさない場合に限定する。カバレッジホール検出装置10は、全ての周辺基地局の品質評価に先立ち、カバレッジとなる可能性の高い(所定の通信品質による通信が不可となる可能性の低い)サービング基地局及びターゲット基地局の品質評価を行う。すなわち、カバレッジホール検出装置10は、ハンドオーバ地点を含むグリッドにつき、周辺基地局の内、まず、サービング基地局及びターゲット基地局に関する通信品質値を優先的に算出し、その後、これらの基地局以外の周辺基地局に関する通信品質値を算出する。周辺基地局の内、1つの基地局でも通信品質値が要求条件を満たす場合には、当該通信品質値が算出されたグリッドは、その時点で、カバレッジホールでないことが判明する。このため、カバレッジホール検出装置10は、以降、上記基地局以外の周辺基地局について、通信品質値を算出する必要はなくなる。したがって、カバレッジホール検出装置10は、判定対象のグリッドがカバレッジホールでないと判定するまでに品質評価を行うべき基地局の数を減らすことができる。その結果、通信品質の計算量の低減された、効率的なカバレッジホールの有無判定が実現される。
【0036】
更に、カバレッジホール検出装置10は、カバレッジホールとして特定されたグリッドの周囲のグリッドについても、周辺基地局の通信品質が要求条件を満たさないか否かの判定を行うことにより、カバレッジホールを特定する。カバレッジホールの周囲には、更に別のカバレッジホールが存在する可能性が高い。このため、カバレッジホール検出装置10は、カバレッジホールと判定されたグリッドに隣接するグリッドをも、通信品質の評価対象とすることで、カバレッジホールを不足なく検出することができる。このとき、カバレッジホール検出装置10は、ハンドオーバ地点の属するグリッドを、通信品質の評価対象から除外することで、一旦評価されたグリッドの再評価を未然に防止し、通信品質値の重複算出を回避する。これにより、より効率的なカバレッジホールの検出が可能となる。
【0037】
特に、カバレッジホール検出装置10は、検出されたカバレッジホールと、地形データ管理部12に格納されている地形データとの照合により、当該カバレッジホールが、通常利用者の存在しない、あるいは、存在する確率の極めて低いグリッドの場合には、そのグリッドをカバレッジホールとみなさないものとしてもよい。これにより、カバレッジホール検出装置10は、利用者の少ない位置のカバレッジホールを除外することで、無視し得るカバレッジホールの存在が、局パラメータの選択に与える負の影響が実質的に排除される。なお、カバレッジホール検出装置10が、カバレッジホールとして検出されたグリッドをカバレッジホールとして認識しない(無視する)処理は、カバレッジホール判定部16による当該グリッドへの重み付けの値を“0”に設定することで、実現可能である。
【0038】
また、カバレッジホール検出装置10は、カバレッジホール判定部16により、検出されたカバレッジホールを削減する方向で、局パラメータを変更していき、カバレッジホールを最少化可能な局パラメータを推定する。カバレッジホール検出装置10は、当該推定の結果、カバレッジホール数が最小値を採るパラメータを、基地局の設計上、最適なパラメータとして採用する。これにより、カバレッジホール検出装置10は、カバレッジホールを完全に無くすことができない場合であっても、カバレッジホールの存在による悪影響(通信不能や通信の切断)を、極力抑えることができる。この際、カバレッジホール検出装置10は、地形データとの照合により、各カバレッジホールに対して、利用者数に応じた重み付けを行い、当該重みの総和が最小値をとる局パラメータを、最適パラメータとして採用する。これにより、カバレッジホールを利用する人が極力少なくて済むパラメータが、最適パラメータとして設定される。したがって、カバレッジホール検出装置10は、利用者に対するカバレッジホールの影響を極小化することができる。その結果、カバレッジホールの存在による上記悪影響は、更に抑制される。
【0039】
[カバレッジホール検出プログラム]
上記実施例で説明したカバレッジホール検出装置10の各種の処理は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータシステムで実行することによって実現することもできる。そこで、以下では、図6を用いて、上記の実施例で説明したカバレッジホール検出装置10と同様の機能を有するカバレッジホール検出プログラムを実行するコンピュータの一例について説明する。図6は、カバレッジホール検出プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【0040】
図6に示すように、上記実施例におけるコンピュータ100は、CPU(Central Processing Unit)110と、ROM(Read Only Memory)120と、HDD(Hard Disk Drive)130と、RAM(Random Access Memory)140とを有する。これら100〜140の各部は、バス150を介して接続される。
【0041】
ROM120には、上記実施例で示した受信電力値取得部13と、ハンドオーバ地点特定部14と、通信品質値算出部15と、カバレッジホール判定部16と同様の機能を発揮するカバレッジ検出プログラムが予め記憶される。すなわち、ROM120には、図6に示すように、カバレッジホール検出プログラム120aが記憶される。なお、カバレッジホール検出プログラム120aについては、適宜分離してもよい。そして、CPU110が、カバレッジホール検出プログラム120aをROM120から読み出して実行する。
【0042】
HDD130には、上述の局パラメータ130aと地形データ130bとが格納される。CPU110は、局パラメータ130a及び地形データ130bを読み出す。CPU110は、これらをRAM140に記憶させる。CPU110は、RAM140に記憶された局パラメータ130a及び地形データ130bを用いて、カバレッジホール検出プログラム120aを実行する。また、CPU110は、RAM140に記憶された局パラメータ130a及び地形データ130bを用いて、カバレッジホール検出プログラム120aを実行する。なお、RAM140に記憶される各データ(局パラメータ140a及び地形データ140b)は、常に全てのデータがRAM140に記憶される必要はなく、処理に必要なデータのみがRAM140に一時記憶されればよい。
【0043】
なお、カバレッジホール検出プログラム120aは、必ずしも最初からHDD130に記憶させておく必要はない。例えば、コンピュータ100は、コンピュータ100に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」にプログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ100が、これらの媒体からプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。更には、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介して、コンピュータ100に接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」等にプログラムを記憶させておくものとしてもよい。
【0044】
なお、上記実施例では、カバレッジホール判定部16は、複数の局パラメータの中から、カバレッジホールの重みの総和が最小となる局パラメータを選択するものとした。しかしながら、かかる態様に限らず、基地局の設計者が、運用可能な局パラメータの組合せを事前に幾つか(例えば、3〜10個)選択しておき、カバレッジホール判定部16は、選択された組合せについてのみ、カバレッジホールの重みの総和を算出するものとしてもよい。かかる態様では、カバレッジホール判定部16は、試行された局パラメータ(基地局からの送信電力、アンテナの傾き及び方向、基地局の位置等)の組合せの中から、カバレッジホールの重みの総和が最小となる組合せを、最適値として選択する。これにより、実際に運用可能な局パラメータのみが選択の候補となることから、カバレッジホール判定部16が、重みの総和が最小となる局パラメータを検索して選択する上記実施例と比較して、重みの総和算出に伴う計算量が減少する。したがって、カバレッジホール検出装置10は、カバレッジホールを検出するための計算量を更に削減することができる。その結果、カバレッジホール検出装置10の処理負荷及び処理時間は低減され、カバレッジホール検出の効率化が可能となる。
【0045】
また、上記実施例では、説明の便宜上、カバレッジホール検出装置10がカバレッジホールと判定するために通信品質値を算出する対象の周辺基地局は、基地局B1〜B3の3つとしたが、必ずしも、これに限らない。例えば、カバレッジホール検出装置10は、移動局から所定の距離内に存在する全ての基地局や、移動局からの距離が小さい基地局からある一定数(例えば、5〜7個の基地局)につき、通信品質値を算出して、カバレッジホールであるか否かの判定を行うものとしてもよい。また、カバレッジホール検出装置10は、受信電力値取得部13の取得した受信電力値を用いて、移動局の受信電力値が所定値以上の基地局全てに関し、通信品質値を算出するものとしてもよい。これにより、カバレッジホール検出装置10は、移動局が通信可能な基地局の候補を、通信品質値の算出対象として漏れなく選定することができる。その結果、カバレッジホールの検出精度が向上する。
【0046】
更に、上記実施例では、ハンドオーバ地点の特定に関し、カバレッジホール検出装置10は、カバレッジホールの検出対象エリアに属する全てのグリッドをハンドオーバ地点の候補として、受信電力値の算出を行うものとした。しかしながら、受信電力値取得部13は、ハンドオーバ地点となる確率の低いセルC1〜C3の中心付近のグリッドについては、ハンドオーバ地点の候補から除外し、各セルC1〜C3の境界付近のグリッドのみを受信電力値の算出対象としてもよい。これにより、受信電力値の算出対象が減少する。したがって、ハンドオーバ条件判定に伴う計算量が減少する。その結果、カバレッジホール検出装置10は、カバレッジホール検出に際しての計算量を更に削減することが可能となる。
【0047】
また、上記実施例では、受信電力値の測定に関し、受信電力値は、各グリッドから角の4点を抽出して測定されるものとしたが、測定点の数や位置は、これに限らず、受信電波状況や、干渉の強弱、遮蔽物・反射物の有無等の通信環境に応じて、適宜変更可能である。通信品質値の算出に関しても、カバレッジホール検出装置10のプロセッサ10aは、各グリッドに1つの代表点を設け、この代表点における通信品質値を算出するものとしてもよい。あるいは、プロセッサ10aは、各グリッド内の所定位置に複数の算出点を設定し、各算出点において算出された複数の通信品質値の内、最大値または最小値をとる通信品質値を、そのグリッドの通信品質値として採用するものとしてもよい。
【0048】
更に、上記実施例では、受信電力値及び通信品質値は、グリッド単位で測定又は算出されるものとした。しかしながら、グリッドの地形、あるいは、受信電波状況、干渉の強弱、遮蔽物・反射物の有無等の通信環境によっては、プロセッサ10aは、複数のグリッドを纏めて1つのグリッドとみなし、そのグリッドについて、受信電力値の測定や通信品質値の算出を行うものとしてもよい。これにより、カバレッジホール検出装置10は、グリッドの位置する地形の状態や通信環境に応じて、グリッドの大きさや形状を適宜変更することができる。したがって、より柔軟性の高いグリッドの設定や配置が可能となる。その結果、カバレッジホール検出装置10の環境適応性が向上する。
【0049】
また、上記実施例では、プロセッサ10aは、ハンドオーバ地点の有無に基づき、通信品質値の算出対象とするか否かを決定した。すなわち、ハンドオーバ地点の数に拘らず、ハンドオーバ地点を1つでも含むグリッドは、一律に、通信品質値の算出対象とした。しかしながら、かかる態様に限らず、プロセッサ10aは、ハンドオーバ地点の集合であるハンドオーバ境界が複数含まれるグリッドについてのみ、通信品質値の算出対象とするものとしてもよい。例えば、ハンドオーバ境界数の閾値として2が設定されている場合、図3において、グリッドG2、G7にはハンドオーバ境界L2が含まれているものの、他のハンドオーバ境界L1、L3は含まれていない。したがって、これらのグリッドG2、G7に含まれるハンドオーバ境界数は1であり、上記閾値を満たさないことから、グリッドG2、G7は、通信品質値の算出対象とはならない。同様の理由により、グリッドH1、H3、H4、H6も、通信品質値の算出対象から除外される。これに対して、グリッドH2については、ハンドオーバ境界L1、L2、L3を含むグリッドであるため、ハンドオーバ境界数は3であり、上記閾値以上である。したがって、グリッドH2は、通信品質値の算出対象のグリッドとして選択される。かかる態様によれば、カバレッジホールの検出に伴う計算量は更に減少する。
【0050】
カバレッジホール検出装置10の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的態様は、図示のものに限らず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することもできる。例えば、受信電力値取得部13と通信品質値算出部15、あるいは、基地局パラメータ管理部11と地形データ管理部12をそれぞれ1つの構成要素として統合してもよい。反対に、カバレッジホール判定部16に関し、実際に各グリッドがカバレッジホールであるか否かの判定を行う部分と、各グリッドに対する重み付けにより最適な局パラメータを決定する部分とに分散してもよい。更に、記憶装置10bを、カバレッジホール検出装置10の外部装置としてネットワークやケーブル経由で接続するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 カバレッジホール検出装置
10a プロセッサ
10b 記憶装置
10c 入力装置
10d 表示装置
11 基地局パラメータ管理部
12 地形データ管理部
13 受信電力値取得部
14 ハンドオーバ地点特定部
15 通信品質値算出部
16 カバレッジホール判定部
100 コンピュータ
110 CPU
120 ROM
120a カバレッジホール検出プログラム
130 HDD
130a 局パラメータ
130b 地形データ
140 RAM
140a 局パラメータ
140b 地形データ
150 バス
A カバレッジホール検出対象エリア
B1、B2、B3 基地局
C1、C2、C3 セル
G1、G2、G3、G4、G5、G6、G7 グリッド
H1、H2、H3、H4、H5、H6 カバレッジホール
L1、L2、L3 ハンドオーバ地点
P1、P2、P3、P4 受信電力測定点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の領域における、周辺基地局からの受信電力の値を取得する取得部と、
前記受信電力を用いて、移動局のハンドオーバ地点を特定する特定部と、
前記複数の領域の内、前記ハンドオーバ地点を含む領域における、前記周辺基地局の通信品質を算出する算出部と、
前記周辺基地局の通信品質を用いて、前記ハンドオーバ地点を含む領域が、前記周辺基地局との間で所定の通信品質での通信が不可の領域であるか否かを判定する判定部と
を有することを特徴とする領域検出装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記周辺基地局の内、前記移動局のハンドオーバの境界をなす基地局の通信品質を算出した後、他の前記周辺基地局の通信品質を算出することを特徴とする請求項1記載の領域検出装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記判定部により前記通信が不可の領域と判定された領域の周辺の領域における、前記周辺基地局の通信品質を算出し、
前記判定部は、前記周辺基地局の通信品質を用いて、前記周辺の領域が、前記通信が不可の領域であるか否かを判定することを特徴とする請求項1記載の領域検出装置。
【請求項4】
領域検出装置が、
複数の領域における、周辺基地局からの受信電力の値を取得し、
前記受信電力を用いて、移動局のハンドオーバ地点を特定し、
前記複数の領域の内、前記ハンドオーバ地点を含む領域における、前記周辺基地局の通信品質を算出し、
前記周辺基地局の通信品質を用いて、前記ハンドオーバ地点を含む領域が、前記周辺基地局との間で所定の通信品質での通信が不可の領域であるか否かを判定する
ことを特徴とする領域検出方法。
【請求項5】
コンピュータに、
複数の領域における、周辺基地局からの受信電力の値を取得し、
前記受信電力を用いて、移動局のハンドオーバ地点を特定し、
前記複数の領域の内、前記ハンドオーバ地点を含む領域における、前記周辺基地局の通信品質を算出し、
前記周辺基地局の通信品質を用いて、前記ハンドオーバ地点を含む領域が、前記周辺基地局との間で所定の通信品質での通信が不可の領域であるか否かを判定する
処理を実行させることを特徴とする領域検出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−102386(P2013−102386A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245777(P2011−245777)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】