説明

頭と内臓を除去した魚を切り身にするための装置および方法

本発明は、頭と内臓を除去した魚を切り身にする切断部(11)を備える装置(10)に関する。切断部(11)は少なくとも1対の丸鋸(15、16)と、魚を受け取り、魚を尾から先に切断部(11)に通して搬送するための少なくとも1つのサドル型支持体(13)を有する無限に回転する搬送コンベヤ(12)とを有し、それぞれの支持体(13)は処理する魚の中骨(22)と形状固定結合を形成する支持端部(21)と、中骨(22)を支持体(13)に対してセンタリングするための装置(14)とを有し、魚の中骨を支持体(13)の支持端部(21)から取り外すための手段を、中骨(22)をセンタリングするための装置(14)の領域に配置して備えることを特徴とする。さらに、本発明は対応する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭と内臓を除去した魚を切り身にするための装置に関する。本装置は魚を切り身にするための切断部を備え、切断部は少なくとも1対の丸鋸と、無限に回転する搬送コンベヤとを有する。搬送コンベヤは魚を受け取り、魚を尾から先に切断部に通して搬送するための少なくとも1つのサドル型支持体を有する。それぞれの支持体は、処理する魚の中骨と形状固定結合をするための支持端部と、中骨を支持体に対してセンタリングするための装置とを有する。
【0002】
さらに、本発明は頭と内臓を除去した魚を切り身にする方法に関する。本方法は、中骨を支持部材の支持端部上に背中を上にして置いた魚を、魚を切り身にするための装置に尾から先に通し、搬送中に背骨を1対の丸鋸によって切り離すステップを有する。
【0003】
この種類の装置および方法は、水産加工業において切り身を魚の骨から切り離すために用いる。より正確には、腹部スポークおよび/または背部スポークを切り離す。魚は一般的に尾から先に背中を上にして搬送されるが、スポークを切り離すためには、魚を中央に配置して切断装置に入れなければならない。そのために、頭と内臓を除去した魚を、いわゆる搬送サドルと呼ばれる支持体の上に配置する。魚が搬送サドルの上に留まるように、搬送サドルの上部には支持端部を備える。通常、搬送サドルの上部は、魚の中骨を捕らえる歯を有し、形状固定結合を形成する。魚の種類によっては、歯が1列あれば十分なものもある。特に、サケ科の魚の中骨は、腹腔内の領域において、肋骨付属器が中骨から狭角に中骨の全長にわたって均一に延在するため、歯は中骨の下から中央を捕らえる。中骨から狭角に突出する肋骨付属器はそのまま誘導部を形成し、中骨が常に支持体の支持端部上で中央に来るようにする。つまり、肋骨付属器によって中骨が支持体から滑り落ちるのを防ぐ。センタリング装置は一般的に、お互いに向かう方向および離れる方向に、同時に移動することができる1対のフラップを備える。センタリング装置によって、切断処理のために魚を精密にセンタリングすることができる。
【0004】
別の魚の種類、特に白身魚の種類では、場所によって異なる形状の中骨を有する魚もある。つまり、腹腔内の領域において、中骨に対する肋骨付属器の位置が腹腔の尾側の端部から、腹腔の頭側の端部にわたって変化する。サケ科の魚では、腹腔の尾側の端部の肋骨付属器は、中骨に対して類似した方向性を持ち、すなわち、中骨から狭角に延在している。頭部に向かうと肋骨付属器の配置は変化し、腹腔の頭部側の端部では、肋骨付属器は中骨から広角、つまりほとんど水平に延在する。中骨がこのような形状を持つ結果として、より正確には肋骨付属器の方向性によって、中骨を搬送サドルに載せると歯の列の両側のどちらか1方に傾く。近接部の肋骨付属器の支持または誘導機能が無くなるためである。つまり、肋骨付属器が中骨から平行に延在する領域では、中骨は歯の列から離れて傾くため、センタリング装置によって精密にセンタリングすることが難しくなる。その結果として不正確な大きさの切り身ができる。このような理由から、2列の歯を持つ搬送サドルを上記の種類の魚に対して用いてきた。
【0005】
この種の搬送サドルはたとえば特許文献1から既知である。この手段によって、中骨が2列の歯の中央に来るように中骨を載せることができる。しかし、2列の歯を持つ搬送サドルには大きな欠点がある。この種の搬送サドルは搬送方向Tに対して横向きに厚さが必要なため、この搬送サドルの形状は様々な装置に対して邪魔となる。別の欠点としては、切断部または丸鋸が骨に十分近づいて切断できないため、切断されていない切り身の部分が骨から引きちぎられることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ特許第3403771号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、魚をより正確にセンタリングすることができる、魚を切り身にするための簡単で安価な装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本目的は、以下に述べる特徴を持つ装置によって、魚の中骨を支持体の支持端部から取り外すための手段を、中骨をセンタリングするための装置の領域に配置して備えることによって実現する。本発明による取り外し装置によって、魚の胴体、より正確には中骨を、能動的または受動的に一部または全部を支持体から引き離すことができ、その結果としてセンタリング装置は、魚の形状に関係なく、魚の中骨を支持体に対して中央にセンタリングすることができる。言い換えれば、取り外すことによって、支持体と中骨との間の形状固定が少なくとも一部解除されるため、少なくとも取り外した領域において中骨は自由に動くことができる。特に、白身魚の種類は、中骨の形状から以前は2列の支持体を必要としていたが、今では1列の支持体で処理することができる。本発明の設計を用いると、切断品質および切り身の生産高を大きく向上させることができる。また、搬送サドルに配置することができるすべての魚種を分離処理直前に精密にセンタリングできるため、不正確なセンタリングによって生じる不正確な切断を低減し、または完全に無くすこともできる。
【0009】
本発明を適切に発展した例では、切断部は、腹骨を切り離すための1対の下部丸鋸と、背骨を切り離すための1対の上部丸鋸とを備えることを特徴とする。対の上部丸鋸を、魚の尾から先に搬送する搬送方向Tにおいて、対の下部丸鋸の後ろに配置する。中骨を取り外すための手段は中骨を持ち上げる手段であり、対の下部丸鋸の両側に、搬送方向Tにおいて対の下部丸鋸から対の上部丸鋸まで延在する。持ち上げる手段として取り外し手段を設計することによって、センタリング操作を開始するために、中骨を能動的かつ明確に支持体の歯から解放することができる。
【0010】
有利なことには、中骨を取り外す手段は2つの誘導要素を備える。誘導要素のそれぞれは不均一な誘導表面を形成するように隆起部を有し、隆起部は中骨をセンタリングする装置の方向に、支持体の支持端部を超えて突出する。支持体の上に配置した魚は自動的に誘導要素の輪郭または誘導表面を進むため、この構造は機械的に特に簡潔かつ効果的である。誘導要素を対で配置することによって、つまり支持体または対の丸鋸のそれぞれの側面に1つの誘導要素を配置することによって、一定してかつ同時に、魚および特に魚の中骨を確実に誘導する。
【0011】
本発明のさらに好ましい発展例では、中骨を取り外す手段は2つの誘導要素を備え、それぞれの誘導要素を、搬送方向Tに完全な平面誘導表面を形成するように平面として設計され、支持体の支持端部が1列の歯の構成となるように支持体と協力することを特徴とする。歯の高さは支持体の前部では、搬送方向Tから見て後部よりも高いため、後部の歯は誘導表面が及ぶ平面よりも下部に位置する。その結果、中骨を支持体から引き離す受動分離を行うことができるが、これは中骨の後部は魚の頭部側を指しながらそのまま誘導表面上を進み、その間尾側を指す前部の歯が引き続き中骨を捕らえて確実に搬送するためである。この構造は、特に既存の装置を利用可能な誘導要素を用いて改良する際に適切である。なぜなら、搬送方向Tに対して前から後ろに、歯の高さが低くなる搬送サドルを用いて、搬送サドルを交換するだけで済むからである。
【0012】
好ましくは、取り外し装置は上下に移動可能である。本発明によるこの設計を用いると、中骨を支持体との係合から解除する可能性もさらに得られる。
【0013】
本目的は前記のステップを有する方法によって、魚の背骨を切り離す前に、魚の中骨を支持体の支持端部から取り外し、次に支持端部に対して中央にセンタリングすることによって実現する。結果として得られる有利点は、すでに装置と関連して説明済みであり、繰り返しを避けるために対応する箇所について参照する。
【0014】
さらに、適切なおよび/または好ましい特徴と発展は付随する請求項および説明から明らかである。本発明の特に好ましい実施形態を添付図面を用いて詳細に説明する。図面は次の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による装置の概略斜視図であり、切断部に入る支持体と、移動可能な誘導要素で形成する、中骨を取り外す手段とを示す。
【図2】支持体がほとんど完全に切断部を通過した、図1による装置。
【図3】図1による装置の正面図。
【図4】本発明による装置の別の実施形態を示す斜視図であり、対応する隆起部を備える誘導要素によって取り外し手段を形成する。
【図5】本発明による装置の別の実施形態の詳細を示し、移動可能な誘導ロッカによって取り外し手段を形成する。
【図6】歯を備える搬送サドルを示し、搬送方向Tと反対方向に、前から後ろに歯の高さが低くなる。
【図7】第7脊椎の領域における、白身魚の骨の概略断面図。
【図8】本発明による装置の概略側面図を示し、2対の丸鋸の1対をもう1対の上に配置し、中骨をセンタリングする装置自体が中骨を取り外す手段を形成する。
【図9】図8の装置の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図に示す装置は、頭と内蔵を除去した魚の胴体から切り身を切るために機能する。本装置は様々な種類の魚、特にサケ科の魚および白身魚を処理するように設計・構成されている。当然ながら、本装置は背骨または腹骨を切り離すためだけに用いてもよい。
【0017】
頭と内臓を除去した魚を切り身にするための装置10は通常の方法で、切断部11と、少なくとも1つの支持体13を備える無限に回転する搬送コンベヤ12と、支持体13に対して魚をセンタリングするための装置14とを備える。魚を切り身にするための切断部11は、少なくとも1対の丸鋸15、16を有する。回転可能な対の丸鋸15、16を既知の方法で背骨を切り離すように設計・構成する。つまり、対の丸鋸15、16を上記または回転するそれぞれの支持体13が形成する搬送面E上に、互いに離間して配置する。一般的に切断部11は、腹骨を切り離すための第2の対の丸鋸18、19を備える。第2の対の丸鋸18、19を第1の対の丸鋸15、16と適合するように構成し、搬送面Eの下部に配置する(たとえば図3参照)。魚を尾から先に切断部11の中を搬送する魚の搬送方向Tにおいて、腹部の切り身を切断する対の下部丸鋸18、19を、背部の切り身を切断する対の上部丸鋸15、16の前に配置する(たとえば図1参照)。必要であれば、対の丸鋸15、16と18、19を、搬送方向Tにおいて場所をずらさずに、お互いに上下に配列してもよい(たとえば図8参照)。
【0018】
無限に回転する搬送コンベヤ12は好ましくは複数の支持体13を備える。搬送サドルとも呼ばれるこのサドル型支持体を、搬送コンベヤ12上に解放可能なように固定して、配置する。サドル型支持体は搬送コンベヤ12と共に回転する。支持体13を、魚を受け取るように設計・構成する。搬送要素12の駆動により、支持体13上に配置した魚を、切断部11を通って搬送することができる。魚を支持体13に固定するために、支持体13は上部側に支持端部21を有する。この支持端部21を処理する魚の中骨22と形状固定を形成するように設計する。支持体13は支持隆起23を有する。支持隆起23は搬送コンベヤ12に固定するための手段24を有する。上端部には、たとえば釘または歯40を備え、歯40は支持隆起23の全長にわたって延在することが好ましい。歯40は2列で形成してもよいが、1列が好ましい。搬送方向Tの前側では、支持隆起23は先端または突出部25となる。歯40の方向性は様々である。好ましくは、歯40は搬送方向Tに傾いている。図示する実施形態では、突出部25の領域においてのみ、歯40は搬送方向Tと反対方向に傾いている。当然ながら、歯40のその他の構成および傾きも可能である。支持隆起23の厚さを、支持隆起23がお互いに離間した対の丸鋸18、19の間を移動できるような厚さに選択する。
【0019】
前述の通り、対の下部丸鋸18、19は魚すなわち中骨22下部の開いた腹腔に切り込む。対の下部丸鋸18、19を、搬送方向Tにおいて対の上部丸鋸15、16の前に配置することが好ましい。対の上部丸鋸15、16は上部および外側から魚の背部に切り込む。対の下部丸鋸18、19の上部および搬送方向Tにおいて対の上部丸鋸15、16の前に、魚をセンタリングするための装置14を配置する。装置14は一般的に、2つのセンタリングフラップ26、27を備える。センタリングフラップ26、27は、それぞれ旋回軸Sの周囲を同時に旋回可能なため、2つのセンタリングフラップ26、27間の距離は変化する。このような装置10は前述の通り基本的には既知であるため、詳細な説明は省略する。対の丸鋸15、16および18、19を互いに直接上下に配置し、丸鋸15、16、18、19を同時に魚の胴体と係合させることも可能である。図8および図9から分かるように、このような構成では、中骨22をセンタリングするための装置14を搬送方向Tにおいて切断部11の前に配置する。
【0020】
本発明による前述の装置10に関連して、支持体13の支持端部21から魚の中骨22を取り外すための手段がある。本手段を、中骨22をセンタリングするための装置14の領域に配置する。好ましくは、本手段をセンタリング装置14の下部に配置する。その結果、本手段の作動によって魚を支持体13との形状固定結合から解放する。魚はこのとき部分的に誘導されず、または固定されていないため、センタリングフラップ26、27は魚をセンタリングするために自由に魚に接触できる。魚を取り外すということは、中骨22を支持体13から分離または解放することである。中骨22を支持体13の歯40から、たとえば中骨22の位置を変える作動要素の制御によって能動的に引き離すか、またはたとえば中骨22の強制誘導によって、受動的に引き離すかのどちらであるかは問わない。
【0021】
第1の実施形態では、取り外す手段は持ち上げる手段28である。手段28をたとえば誘導要素29、30によって形成してもよい。本実施形態において対の下部丸鋸18、19の両側には誘導要素29または30を搬送方向Tに配置する。誘導要素29または30は対の下部丸鋸18、19から対の上部丸鋸15、16まで延在することが好ましい。それぞれの誘導要素29、30を1つの部品で構成することが好ましいが、もちろん複数の部品で構成してもよい。それぞれの誘導要素29、30は円弧状部分31と線状部分32を有し、線状部分32は搬送方向Tと平行に伸びる。線状部分32は魚の中骨22を誘導する表面を形成する。
【0022】
中骨22を持ち上げるために、本発明はここで様々な選択肢を提供する。第1に、それぞれの誘導要素29、30は不均一な誘導表面を形成するように隆起部33を備えていてもよい(たとえば図4参照)。この隆起部33は支持体13の支持端部21を超えて、センタリング装置14の方向に突出する。より正確には、隆起部33の上端部は歯40が形成する支持端部21の上端部よりも上にある。言い換えれば、隆起部33の領域では中骨22は隆起部33上に載っているが、搬送方向Tにおいて見ると、中骨22は少なくとも隆起部33の後部では歯40上に載っている。したがって、処理する魚が支持体13と共に隆起部33を通過するとすぐに、隆起部33は中骨22と支持端部21の結合を解放するが、誘導要素29、30の別の領域においては、魚または中骨22は支持端部21と動作可能なように結合する。
【0023】
隆起部33を誘導要素29、30の線状部分32において形成または配置することが好ましい。隆起部33は誘導要素29、30と1部品として構成し、一体化した部品を形成してもよい。さらに、隆起部33は、誘導表面の形状を変更するために、誘導要素29、30に解放可能なように取り付ける要素であってもよい。搬送方向Tにおいて、隆起部33は線状部分32の長さの一部を超えて延在してもよい。図示しない実施形態では、隆起部は任意の部分でのみ作用してもよく、または円弧状部分31から線状部分32の領域まで延在してもよい。
【0024】
持ち上げる手段28または手段28を形成する誘導要素29、30を誘導表面の形状とは無関係に、上下に移動可能なように設計してもよい(たとえば図1および図2参照)。別の実施形態では、手段28を形成する他の部品、たとえば、魚の搬送方向Tにおいて対の下部丸鋸18、19の前に配置された誘導ロッカ39(たとえば図5参照)も中骨22を持ち上げるために上下に移動可能なように設計してもよい。このために、上下に移動可能な要素、たとえば直線的に動作するための駆動部、回転軸Dの周囲を回転または旋回して動作するための駆動部、空気圧シリンダ、停止機構を備えるばね要素およびその他一般的な駆動部材を用いてもよい。手段28、つまり、たとえば誘導要素29、30または手段28を形成するその他の部品を、その位置を変更するために個別に制御可能としてもよい。直線的および/または回転的な動作によって、誘導要素29、30または手段28を形成するその他の部品は、制限された空間と時間において、搬送面Eを超えて支持端部21から離れて上部に移動可能である。動作を実行するために、様々な選択が利用可能である。したがって、たとえば誘導要素29、30は軸38に対して回転してもよい。しかし、誘導要素29、30を軸38上に回転しないように設置し、軸自体の回転によって位置が変わるようにしてもよい。好ましくは誘導要素29、30または対応する部品は制御可能な動作において同期し、中骨22を同時かつ対称的に中骨22に対して持ち上げ、誘導要素29、30または対応する部品上の両側に再び戻すようにする。
【0025】
本発明の別の実施形態では、支持体13は特に重要な意味を持つ。上記の装置10において、中骨を取り外す手段を誘導要素29、30と支持体13との操作可能な結合によって形成してもよい。そのために、誘導要素29、30を完全に平面な誘導表面を形成するように平面として形成する。つまり、誘導要素29、30は隆起部を持たない。これに対応して、支持体13は支持端部21に、高さが搬送方向Tの前部領域から後部に行くほど低くなる歯40を有する(たとえば図6参照)。言い換えれば、先頭の歯40は末尾の歯40よりも高く、後部の歯40は誘導表面が及ぶ平面より下部に存在する。魚の中骨22の尾部分、つまり先頭の部分が支持端部21上に恒久的に位置するとき、中骨22の頭部部分は支持端部21の上部に位置する誘導表面に乗り上げることによって、支持端部21から解放される。好ましくは、本実施形態の支持体13は1列の歯を持つ。しかし、支持体13は平行して離間した2列の歯を備えていてもよい。
【0026】
図8および図9の実施形態では、装置14は第1の対の側面センタリングフラップ41、42と、少なくとも1つのセンタリングローラ43と、少なくとも1つの保持ローラ44と、第2の対のセンタリングフラップ45、46とを備える。しかし、好ましくは、2つのセンタリングローラ43および2つの保持ローラ44を備える。センタリングローラ43および保持ローラ44を共通の旋回アーム47上に配列する。対のセンタリングフラップ45、46は図示しないキャリアを通じて、搬送平面に垂直に配向する軸AZ¬1の周囲を旋回可能である。対のセンタリングフラップ41、42は平行軸AZ¬2の周囲を旋回可能である。センタリングローラ43および保持ローラ44の両方は支持体13上に位置する魚の胴体上部から作用する。センタリングローラ43および保持ローラ44の両方は円錐形または円錐台の形状であり、いずれの場合も対になってお互いに対向し、魚の胴体をセンタリングローラ43の間の中央に誘導し、保持ローラ44の間で保持する。
【0027】
第1の対の側面センタリングフラップ41、42を支持体13から中骨22を取り外すための手段として同時に構成する。つまり装置14自体が取り外し手段である。センタリングフラップ41、42は上部に向かって開口する構成である。言い換えれば、2つの離間したセンタリングフラップ41、42は平行ではなく、お互いに対して角度βとなる(特に図9参照)。角度βは好ましくは1°から5°の間であるが、5°を超えてもよい。センタリングフラップ41、42間の距離は搬送面から上に向かって増加するため、支持体13上で搬送中に、魚の胴体を側面センタリングフラップ41、42によって中骨22から取り外す。後続するセンタリングローラ43はさらに魚の胴体を直立させ、センタリングする。第2の対の側面センタリングフラップ45、46は、保持ローラ44が魚の胴体を下に押す間に、魚の胴体を支持体13上で保持してセンタリングする。その結果、魚の胴体は支持体13の支持端部21上の中央に固定して配置される。装置14の後ろに、しかし搬送方向Tにおいて切断部11の前に、少なくとも1つの明示しないひれ直立装置を備えていてもよい。しかし、好ましくは、2つのひれ直立装置を備える。このひれ直立装置は保持ローラ44の後で、魚の胴体が切断部11に入る前に動作する。本実施形態で前述したように、本装置14は、好ましくは支持体13の領域で、つまり、魚の胴体の腹腔領域で動作する。
【0028】
明示しない別の実施形態では、支持体13と中骨22の形状固定を、ノブなどのその他の表面設計によって行ってもよい。力固定によって魚を支持体13上に保持する可能性もあり、中骨22を持ち上げるためにこの力固定を解放する。前述の実施形態をお互いに組み合わせてもよい。したがって、たとえば図4に示す実施形態と図6に示す支持体13を組み合わせるという可能性もある。また、隆起部33を適切に設計することによっておよび/または誘導要素29、30または手段28を形成するその他の部品を具体的に制御することによって、中骨22の全長にわたって、支持体の支持端部21から魚を解放してもよい。
【0029】
図7は、第7脊椎で切断した白身魚の骨を再度示す概略図である。肋骨付属器35は中骨22から延在する。腹腔の尾側では、肋骨付属器35は中骨22に対して狭角αとなる。頭部方向ではこの角度は大きくなる。腹腔の頭部側では、肋骨付属器35は中骨22からほとんど横に突出し、中骨22に対して広角βとなる。角度αの領域では、肋骨付属器35は中骨22が支持体13から滑り落ちるのを防ぐ。角度βの領域では、この誘導機能は失われるため、中骨22は支持体13から右または左に滑ることもある。中骨22がこのように滑ることは、さらにたとえば中骨22が下向きに突出しているなど、解剖上の特性によっても加勢される。
【0030】
以下に、添付図を参照して本方法の原理を詳細に説明する。オペレータは頭部と内臓を除去した魚を、支持体13の上に開いた腹腔を下にして、魚の尾が前になるように、支持体13の突出部25に置く。このとき、魚の胴体は、中骨22を予備的にセンタリングして支持端部21の歯40上に位置し、中骨22と歯40が形状固定結合する。ここで、形状的/解剖的特性および/または特に魚の頭部方向の肋骨付属器の配列によって、中骨22が支持端部21の近くに来ることもある。次に支持体13は魚の胴体を、切断部11を通って搬送する。最初に、支持体13が丸鋸18、19の間を通ることによって、丸鋸18、19は骨から腹部の切り身を分離する(腹骨を切り離す)。
【0031】
腹骨を切り離した後、中骨22を短時間、歯40から取り外す。その結果、中骨22は歯40から引き離され、中骨22、したがって魚の胴体は自由になる。この時点で、完全にはセンタリングできないかもしれない魚の胴体を、センタリングフラップ26、27をお互いに向かって同時に動かすことによって、精密にセンタリングすることが可能である。つまり、魚の胴体は支持体13上で中央にない可能性もあるが、センタリングフラップ26、27は魚の胴体を持ち上げ、次に中央の位置に置く。センタリングフラップ26、27の片側は魚によって開かれ、魚の胴体はセンタリングして上部対の丸鋸15、16に搬送される。ファスナーのような原理で歯40が常に中骨22と係合し、確実に搬送するように、この精密なセンタリング操作を適宜調整する。
【0032】
中骨22を異なる方法で取り外してもよい。図1から図3の実施形態では、誘導要素29、30を能動的に制御することによって、魚の胴体を持ち上げる。誘導要素29、30またはその部品の直線的なおよび/または回転的な動作によって、魚の胴体を明確に支持端部21から解放する。図4の実施形態では、魚の胴体が誘導要素29、30またはその誘導表面上を移動するときに、隆起部33が魚の胴体を持ち上げる。図5の実施形態では、誘導ロッカ39が魚の胴体を持ち上げる役割を果たす。誘導ロッカ39をたとえば上部位置にある停止機構に対向するばね要素によって保持する。この停止機構を、腹骨の切り離しを損なわないように、つまり、いわゆる尾切りとならないように選択する。すなわち誘導ロッカ39の上端部が支持端部21の下部に来るように停止機構を設定する。腹骨を切り離すとすぐに、停止機構が上方に移動して、魚の胴体が誘導ロッカ39を通る際に中骨22から取り外される。別の可能性としては、誘導ロッカ39を上方へ能動的に移動させて、中骨22を支持端部21の上に持ち上げる。中骨22を受動的に持ち上げることは、図6の支持体13を用いて実現する。歯の高さが異なるため、突出部25の領域の前方の歯40は恒久的に中骨22と係合する。頭部領域の低い歯40は誘導表面、たとえば誘導要素29、30より下部に位置するため中骨22は誘導表面上を滑って移動し、この領域の歯40は誘導表面の下部を進む。
【0033】
本発明による方法は腹骨を切り離さずに実行することができる。また、腹骨および背骨を同時に切り離してもよい。本事例では、中骨22を持ち上げ、支持体13上でセンタリングを行うのは、切断部11、つまり丸鋸15、16と丸鋸18、19の両方の対の前となる。中骨22を持ち上げているときの重要な要因は腹腔の領域であり、つまり、魚の胴体が支持体13上に載っている領域である。丸鋸15、16;18、19をお互いに上下に配置する場合、魚の胴体、特に中骨22を側面センタリングフラップ41、42に入る際に持ち上げ、同時にセンタリングする。センタリングローラ43は円錐状の形状によって、魚の胴体を直立させる。保持ローラ44が魚の胴体を下方に押す間に、別のセンタリングフラップ45、46は魚の胴体を同時に中央に保持する。さらに移動する間に、ひれ直立器は魚の胴体が丸鋸15、16;18、19に到達する前にひれを直立させる。
【符号の説明】
【0034】
α :角度
β :角度
10 :切り身にするための装置
11 :切断部
12 :搬送コンベヤ
13 :支持体
14 :センタリング装置
15 :上部丸鋸
16 :上部丸鋸
18 :下部丸鋸
19 :下部丸鋸
21 :支持端部
22 :中骨
23 :支持隆起
24 :手段
25 :突出部
26 :センタリングフラップ
27 :センタリングフラップ
28 :持ち上げるための手段
29 :誘導要素
30 :誘導要素
31 :円弧状部分
32 :線状部分
33 :隆起部
35 :肋骨付属器
38 :軸
39 :誘導ロッカ
40 :歯
41 :センタリングフラップ
42 :センタリングフラップ
43 :センタリングローラ
44 :保持ローラ
45 :センタリングフラップ
46 :センタリングフラップ
47 :旋回アーム
E :搬送面
T :搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭と内臓を除去した魚を切り身にするための装置(10)であって、前記魚を切り身にするための切断部(11)を備え、
前記切断部(11)は少なくとも1対の丸鋸(15、16)と、前記魚を受け取り、前記魚を尾から先に前記切断部(11)に通して搬送するための少なくとも1つのサドル型支持体(13)を有する無限に回転する搬送コンベヤ(12)とを備え、
それぞれの支持体(13)は処理する前記魚の前記中骨(22)と形状固定結合を形成するための支持端部(21)と、前記中骨(22)を前記支持体(13)に対してセンタリングするための装置(14)とを有し、
前記魚の前記中骨(22)を前記支持体(13)の前記支持端部(21)から取り外すための手段を、前記中骨(22)をセンタリングするための前記装置(14)の領域に配置して備えることを特徴とする、装置(10)。
【請求項2】
前記切断部(11)は腹骨を切り離すための1対の下部丸鋸(18、19)と、背骨を切り離すための1対の上部丸鋸(15、16)とを備え、前記対の上部丸鋸(15、16)を魚の尾を先にした前記搬送方向Tにおいて、前記対の下部丸鋸(18、19)の後ろに配置し、前記中骨(22)を取り外す前記手段は前記中骨(22)を持ち上げる手段(28)であり、前記対の下部丸鋸(18、19)の両側に、搬送方向Tにおいて、前記対の下部丸鋸(18、19)から前記対の上部丸鋸(15、16)まで延在することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記取り外し手段は前記中骨(22)をセンタリングするための前記装置(14)の下部に配置することを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記中骨(22)を取り外す前記手段は2つの誘導要素(29、30)を備え、それぞれの前記誘導要素は不均一な誘導表面を形成するように隆起部(33)を有し、前記隆起部(33)は前記支持体(13)の前記支持端部(21)を超えて、前記中骨(22)をセンタリングするための前記装置(14)の方向に突出することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記誘導要素(29、30)は円弧状部分(31)および線状部分(32)を有し、前記線状部分(32)は前記搬送方向Tに平行して延在することを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記隆起部(33)を前記それぞれの誘導要素(29、30)の前記線状部分(32)に形成することを特徴とする、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記隆起部(33)は前記線状部分(32)の長さの一部にわたって、前記搬送方向Tに延在することを特徴とする、請求項5または6に記載の装置。
【請求項8】
前記中骨(22)を取り外す手段は2つの誘導要素(29、30)を備え、それぞれの前記誘導要素(29、30)は前記搬送方向Tに完全な平面誘導表面を形成するように平面として設計され、前記支持体(13)の前記支持端部(21)が1列の歯の構成となるように前記支持体(13)と協力し、前記支持体(13)の前部では、前記搬送方向Tから見て、前記歯(40)の高さは後部よりも高いため、その結果として後部の前記歯(40)は前記誘導表面が及ぶ前記平面よりも下部に位置することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記取り外し手段を上下に移動可能なように設計することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記誘導要素(29、30)はその位置を変えるために、個別に制御可能であることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
頭と内臓を除去した魚を切り身にする方法であって、
−中骨(22)を支持体(13)の支持端部(21)上に背中を上にして置いた魚を、魚を切り身にするための装置に尾から先に通すステップと、
−搬送中に、背骨を1対の丸鋸(15、16)によって切り離すステップと、
を含み、
前記魚の前記中骨(22)を、前記背骨を切り離す前に前記支持体(13)の前記支持端部(21)から取り外し、次に前記支持端部(21)に対して中央にセンタリングすることを特徴とする、方法。
【請求項12】
前記背骨を切り離す前に、最初に前記腹骨を第2の対の丸鋸(18、19)によって切り離すことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記中骨(22)をセンタリングフラップ(26、27)の下部で取り外し、取り外した後に前記センタリングフラップ(26、27)によってセンタリングすることを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記中骨(22)を誘導要素(29、30)および/または前記誘導要素(29、30)に関連する隆起部(33)によって能動的に持ち上げることを特徴とする、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記中骨(22)を、前記腹骨を切り離すための前記対の丸鋸(18、19)の前に設置された誘導ロッカ(39)によって能動的に持ち上げることを特徴とする、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記中骨(22)を誘導要素(29、30)が形成する誘導表面上を移動させることによって、受動的に持ち上げることを特徴とする、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−501529(P2013−501529A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525185(P2012−525185)
【出願日】平成23年4月19日(2011.4.19)
【国際出願番号】PCT/EP2011/056250
【国際公開番号】WO2011/131680
【国際公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(591042838)ノルデイシェル・マシーネンバウ・ルド・バアデル・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニ・カーゲー (9)
【氏名又は名称原語表記】NORDISCHER MASCHINENBAU RUD.BAADER GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG+COMPAGNIE KOMMANDITGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】