説明

頭皮ケア装置

【課題】施術子の運動を頭皮側に効率的に伝達し、頭皮に効果的な刺激を付与することができる頭皮ケア装置を提供する。
【解決手段】モータ12の駆動に基づいて回転する回転体15に対し、その第1回転軸15a周りを4つの突起22を有する施術子20が周回するように回転体15の回転中心から径方向にずらして回転自在に設置される。そして、施術子20の突起22の先端部22aに設けられた凹部22bによる吸着構造にて、突起22の先端部22aが使用者の頭皮に密着する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭皮の活性化や育毛を図る頭皮ケア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
頭皮ケア装置においては、従来から、ブラシを用いて手動により頭皮をタッピングすることで頭皮のマッサージを行うものや、電動で行うものとしては、ブラシを頭皮表面に接触させて運動を行うブラシ駆動機構を備えたものが知られている。
【0003】
例えば特許文献1に示される電動の頭皮ケア装置は、頭皮を刺激する複数の突起を備えたブラシ体(施術子)をモータの回転軸が偏心位置に連結された回転具に隙間を以て装着されてなる。そして、モータの駆動により回転具を回転させることによって、頭皮に当接させたブラシ体を回転させずに揺動するような円運動を行わせ、これにより頭皮からの汚れ物質の除去やマッサージ等が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−213328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、モータの駆動によるブラシ体の所定の運動は、ブラシ体に備えられた突起の先端部が頭皮に接触することでその頭皮側に伝達されるが、突起の先端部と頭皮との密着性が低いとブラシ体の運動が頭皮側に効率的に伝達されず、頭皮に効果的な刺激を与えることができないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、施術子の運動を頭皮側に効率的に伝達し、頭皮に効果的な刺激を付与することができる頭皮ケア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、使用者の頭皮に接触させる可撓性を有する突起を備えた施術子を駆動源の駆動にて回転させ、突起に接触する頭皮部分に刺激を与える頭皮ケア装置であって、前記駆動源の駆動に基づいて回転する回転体に対し、その回転軸周りを前記突起が周回するように前記施術子が前記回転体の回転中心から径方向にずらして回転自在に設置されるとともに、前記施術子の突起の先端部が使用者の頭皮に密着する密着手段が設けられたことをその要旨とする。
【0008】
この発明では、駆動源の駆動に基づいて回転する回転体に対し、その回転軸周りを突起が周回するように施術子が回転体の回転中心から径方向にずらして回転自在に設置されるとともに、施術子の突起の先端部が使用者の頭皮に密着する密着手段が設けられる。このため、施術子の突起の先端部と頭皮との密着性が高まり、突起の先端部を頭皮に密着させながら回転体の回転軸周りを突起が周回するように円運動を行うことで、施術子の運動を頭皮側に効率的に伝達し、頭皮に効果的な刺激を付与することが可能となる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の頭皮ケア装置において、前記密着手段は、前記突起の先端部に設けられた凹部による吸着構造にて構成されたことをその要旨とする。
【0010】
この発明では、密着手段は、突起の先端部に設けられた凹部による吸着構造にて構成されるため、突起の吸着により頭皮に対する密着性が増し、より効果的な刺激を頭皮に付与することが可能となる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の頭皮ケア装置において、前記突起は、先細形状にて構成されたことをその要旨とする。
この発明では、突起は、先細形状にて構成されるため、使用者の髪を掻き分けて頭皮に到達し易くなり、より好適に頭皮に密着可能となる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の頭皮ケア装置において、前記突起は、その先端部が本体部よりも軟性の弾性体とし、頭皮接触時の先端部の弾性変形にて頭皮に密着するように構成されたことをその要旨とする。
【0013】
この発明では、突起は、その先端部が本体部よりも軟性の弾性体とし、頭皮接触時の先端部の弾性変形にて頭皮に密着するように構成される。このため、突起の先端部が頭皮に接触すると弾性変形にて先端部が潰れて頭皮に接触し、突起の先端部と頭皮との接触面が増加して頭皮に対する密着性が増し、突起がより好適に頭皮に密着可能となる。また、突起を先細形状にすることが可能となるため、突起が使用者の髪を掻き分けて頭皮に到達し易くなり、頭皮に対する密着性をさらに高めることが期待できる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の頭皮ケア装置において、前記密着手段は、前記突起に設けた吸引口からの吸引にて使用者の頭皮との密着を図る吸引手段にて構成されたことをその要旨とする。
【0015】
この発明では、密着手段は、突起に設けた吸引口からの吸引にて使用者の頭皮との密着を図る吸引手段にて構成されるため、突起と頭皮との密着性が増し、より効果的な刺激を頭皮に付与することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、施術子の運動を頭皮側に効率的に伝達し、頭皮に効果的な刺激を付与することができる頭皮ケア装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)は本実施形態における頭皮ケア装置を示す斜視図であり、(b)は本実施形態における突起の断面図である。
【図2】本実施形態における頭皮ケア装置の断面図である。
【図3】別例における施術子の斜視図である。
【図4】(a)(b)は別例における突起の断面図である。
【図5】別例における施術子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1(a)は、本実施形態における頭皮ケア装置1の斜視図である。頭皮ケア装置1は、外観が略直方体状のハウジング10と、このハウジング10の上部に構成される略円柱状の施術子20とからなる。ハウジング10の側面10aには使用者が頭皮ケア装置1のオンオフ操作を行うスイッチ11が設けられている。
【0019】
ハウジング10の内部には、図2に示すようにモータ12が収容されており、該モータ12はハウジング10に収容される制御部13と電気的に接続されている。制御部13は、該制御部13の上部に配置される電源部14及びスイッチ11と電気的に接続されている。
【0020】
モータ12のモータ軸12aの先端には駆動ギヤ12bが取り付けられ、この駆動ギヤ12bは円盤状の回転体15を回転させるための第1回転軸15aの下端に取り付けられた第1ギヤ15bと噛合される。この第1回転軸15aは、ハウジング10の上面10bの開口部10cに設けられたベアリング16にて回転可能に支持されてハウジング10から突出し、第1回転軸15aは回転体15の円中心に設けられた貫通孔15cに挿通固定されている。回転体15の上面15dには、回転体15に回転中心から径方向にずれた位置にベアリング21が支持されていて、このベアリング21にて施術子20が回転自在に支持されている。従って、施術子20は、回転体15の回転に基づいて第1回転軸15a周りを周回するように動作し、また頭皮に当接させた時の施術子20がその周回動作で連れ回りしないようになっている。尚、本実施形態では、回転体15の第1回転軸線L1と施術子20の第2回転軸線L2との間は約5mmとなるように設定されている。
【0021】
施術子20は、上面(カバー23の上面23a)がハウジング10の上面10bと平行となるように支持されていて、その上面に対して垂直方向に略円錐状の4つの突起22が立設されている。各突起22は、第2回転軸線L2(回転中心)を中心とした同一円周上に等角度間隔に配置されている。この突起22は、高さが例えば10mmに設定され、可撓性を有する弾性体にて構成されていて、突起22の先端部22aには中央に向かって半円状に凹んだ凹部22b(図1(b)参照)を有する。この凹部22bは、吸着構造を構成するものであり、頭皮に押付けると自身の弾性にて頭皮に吸着(密着)するようになっている。施術子20は、上面23aと該上面23aの縁部から垂設された側壁23bとを有するカバー23にて外周が覆われ、突起22に対応する部分に開口された挿通孔23c(図1(a)参照)から突起22が突出するようになっている。
【0022】
スイッチ11が使用者によってオン操作されると、制御部13はそのスイッチ11からのオン操作信号の入力に基づいて、電源部14からモータ12を回転駆動させるための電力をモータ12に供給する。モータ12はその電力供給に基づいてモータ軸12aを回転させ、モータ軸12aの先端に取り付けられた駆動ギヤ12b及び該駆動ギヤ12bと噛合する第1ギヤ15bを介して第1回転軸15a及び回転体15を回転させる。この回転体15の回転に伴い、その回転中心から径方向にずれた位置にベアリング21にて支持された施術子20は、その回転中心周り(第1回転軸15a周り)を周回するように動作する。またこのとき、施術子20の各突起22の先端部22aに設けた凹部22bが頭皮に密着するため、人の手のマッサージのような施術子20の周回運動が頭皮側に効率的に伝達され、頭皮に効果的な刺激を付与することができるようになっている。
【0023】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)本実施形態では、モータ12の駆動に基づいて回転する回転体15(第1回転軸15a)に対し、その回転軸中心周り(第1回転軸15a周り)を4つの突起22が周回するように施術子20が回転体15の回転中心から径方向にずらして回転自在に設置される。そして、突起22の先端部22aが使用者の頭皮に密着する密着手段として、突起22の先端部22aに設けられた凹部22bが設けられるため、突起22の先端部22aと頭皮との密着性が高まる。この突起22の先端部22aを頭皮に密着させながら回転体15の回転軸中心周り(第1回転軸15a周り)を突起22が周回するように円運動を行うことで、施術子20の運動を頭皮側に効率的に伝達でき、頭皮に効果的な刺激を付与することができる。
【0024】
(2)本実施形態では、突起22の先端部22aに設けられた凹部22bによる吸着構造にて、頭皮と密着するように構成されている。このため、突起22の吸着により頭皮に対する密着性が増し、より効果的な刺激を頭皮に付与することができる。
【0025】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、突起22を略円柱状に構成したが、形状はこれに限らず、例えば図3に示すように突起22を先細形状にて構成してもよい。この構成によれば、使用者の髪を掻き分けて頭皮に到達し易くなり、より好適に突起22の先端部22aを頭皮に密着可能となる。本実施形態においては、突起22の先端部22aの直径は約5mmとしたが、これに限らず例えば3〜20mmの間で適宜変更してもよく、またこれ以外でもよい。
【0026】
・上記実施形態では、突起22は一様の弾性体にて構成されたが、例えば図4(a)に示すように、突起22の先端部22aを突起22の本体部22cよりも軟性の弾性体にて構成してもよい。具体的に、突起22の先端部22aをゴム硬度30のエラストマーにて構成し、本体部22cをゴム硬度60のエラストマーにて構成する。尚、先端部22aのゴム硬度を20〜40の間で適宜変更してもよく、またこれ以外でもよい。また本体部22cのゴム硬度は先端部22aのゴム硬度より硬ければよく、例えばゴム硬度を50〜80の間で適宜変更してもよく、またこれ以外でもよい。この構成によれば、図4(b)に示すように頭皮に突起22が接触すると、弾性変形により先端部22aが潰れて突起22の先端部22aと頭皮との接触面が増加して、より頭皮に対する密着性が増し、突起22が好適に頭皮に密着可能となる。また、同図4のように突起22を先細形状にすることが可能となるため、突起22が使用者の髪を掻き分けて頭皮に到達し易くなり、頭皮に対する密着性をさらに高めることが期待できる。
【0027】
・上記実施形態では、突起22に凹部22bを設けた吸着構造としたが、例えば図5に示すように、使用者の頭皮に吸着するように吸引手段としてポンプ30を施術子20内に設けてもよい。すなわち、突起22に吸引口22dを設け、この吸引口22dは流通路31を介してポンプ30に接続されている。ポンプ30が電源部14等からの電源供給に基づいて駆動されると、突起22の吸引口22dから空気が吸引され、流通路31を介してポンプ30の排気口30aから排出されることで、突起22に吸引口22d付近が頭皮に吸着(密着)する。これにより、突起22と頭皮との密着性が増し、より効果的な刺激を頭皮に付与することが可能となる。因みに、ポンプ30を本体側であるハウジング10内に収容してもよい。
【0028】
また、突起22に凹部22bを設けたり、ポンプ30を用いて頭皮との吸着を図る構成としたが、突起22の先端部22aを密着性の高い形状、材質で形成し、必ずしも吸着させる構成としなくてもよい。
【0029】
・上記実施形態では、施術子20を1つ設けた構成としたが、施術子20を2つ以上設けて頭皮ケア装置1を構成してもよい。
・上記実施形態では、1つの施術子20に4つの突起22を備えたが、数はこれに限らず適宜変更してもよい。
【0030】
・本実施形態では、回転体15の第1回転軸線L1と施術子20の第2回転軸線L2との間を約5mmに設定したが、これに限らず、例えば2〜8mmの間で適宜変更してもよく、またこれ以外でもよい。
【0031】
・本実施形態では、突起22の高さを10mmに設定したが、これに限らず、例えば5〜15mmの間で適宜変更してもよく、またこれ以外でもよい。
【符号の説明】
【0032】
1…頭皮ケア装置、12…モータ(駆動源)、15…回転体、15a…第1回転軸、20…施術子、22…突起、22a…先端部、22b…凹部(密着手段)、22c…本体部、22d…吸引口(密着手段及び吸引手段)、30…ポンプ(密着手段及び吸引手段)、L1,L2…回転軸線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の頭皮に接触させる可撓性を有する突起を備えた施術子を駆動源の駆動にて回転させ、突起に接触する頭皮部分に刺激を与える頭皮ケア装置であって、
前記駆動源の駆動に基づいて回転する回転体に対し、その回転軸周りを前記突起が周回するように前記施術子が前記回転体の回転中心から径方向にずらして回転自在に設置されるとともに、前記施術子の突起の先端部が使用者の頭皮に密着する密着手段が設けられたことを特徴とする頭皮ケア装置。
【請求項2】
請求項1に記載の頭皮ケア装置において、
前記密着手段は、前記突起の先端部に設けられた凹部による吸着構造にて構成されたことを特徴とする頭皮ケア装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の頭皮ケア装置において、
前記突起は、先細形状にて構成されたことを特徴とする頭皮ケア装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の頭皮ケア装置において、
前記突起は、その先端部が本体部よりも軟性の弾性体とし、頭皮接触時の先端部の弾性変形にて頭皮に密着するように構成されたことを特徴とする頭皮ケア装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の頭皮ケア装置において、
前記密着手段は、前記突起に設けた吸引口からの吸引にて使用者の頭皮との密着を図る吸引手段にて構成されたことを特徴とする頭皮ケア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−115379(P2011−115379A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275433(P2009−275433)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】