説明

頭皮ケア装置

【課題】機械的な刺激以外の刺激を頭皮に与えることができる頭皮ケア装置を提供する。
【解決手段】複数の施術突起24a,24bを有し駆動源の駆動により動作する施術子20を備え、施術突起24a,24bを頭皮に接触させて刺激を与える頭皮ケア装置において、施術子20(施術突起24a,24b)を冷却するためのペルチェ素子31,32を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施術突起を頭皮に接触させて刺激を与える頭皮ケア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1の頭皮ケア装置では、施術突起を有する施術子が駆動源の駆動により動作するように構成されており、動作する施術子の施術突起を頭皮に接触させて機械的な刺激を与えることで、血流促進等の頭皮のケア効果が得られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−229159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような頭皮ケア装置では、頭皮に与える刺激は、駆動源により動作する施術突起による機械的な刺激のみであり、頭皮ケア効果の向上の点において更なる改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、機械的な刺激以外の刺激を頭皮に与えることができる頭皮ケア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数の施術突起を有し駆動源の駆動により動作する施術子を備え、前記施術突起を頭皮に接触させて刺激を与える頭皮ケア装置において、前記施術子を冷却するための冷却源を備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明では、冷却源により冷却された施術子にて頭皮のケア(マッサージや洗髪等)を行うことで、機械的な刺激に加えて冷たい刺激を頭皮に与えることができ、その結果、頭皮ケア効果の向上に寄与できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の頭皮ケア装置において、前記冷却源は、前記施術突起を冷却するように構成されたことを特徴とする。
この発明では、施術子において頭皮と接触する部位である施術突起が冷却されるため、冷たい刺激を効果的に頭皮に与えることが可能となる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の頭皮ケア装置において、前記施術突起を加熱するための加熱源を備えたことを特徴とする。
この発明では、施術突起を冷却する冷却源と加熱する加熱源を備えるため、施術突起による機械的な刺激に加え、冷たい刺激と温かい刺激とを頭皮に与えて血流を促進させることができ、その結果、頭皮ケア効果の向上に寄与できる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の頭皮ケア装置において、前記冷却源及び前記加熱源は、ペルチェ素子からなることを特徴とする。
この発明では、ペルチェ素子は、供給する電流の向きを変えることで加熱源にも冷却源にもなるため、施術突起に対する冷却及び加熱の制御を容易に行うことができる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の頭皮ケア装置において、前記ペルチェ素子は、一対の前記施術突起の間に設けられ、該ペルチェ素子の吸熱面にて前記一対の施術突起の一方を冷却するとともに、発熱面にて他方を加熱するように構成されたことを特徴とする。
【0012】
この発明では、1つのペルチェ素子で一対の施術突起に対する冷却及び加熱が可能となるため、ペルチェ素子の個数を少なく抑えることが可能となる。
請求項6に記載の発明は、請求項2〜5のいずれか1項に記載の頭皮ケア装置において、前記施術突起は、金属を含む材質からなることを特徴とする。
【0013】
この発明では、施術突起が熱伝導性に優れる金属を含むため、施術突起を効率的に冷却する(又は加熱する)ことが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
従って、上記記載の発明によれば、機械的な刺激以外の刺激を頭皮に与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態の頭皮ケア装置の概略構成図。
【図2】施術子を示す概略構成図。
【図3】頭皮ケア装置の電気的な構成を示すブロック図。
【図4】別例の施術子を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の頭皮ケア装置1は、把持可能な本体ハウジング10と、その本体ハウジング10の上部に構成される略円柱状の施術子20とからなる。本体ハウジング10の側面には使用者が頭皮ケア装置1のオンオフ操作を行う電源スイッチ11が設けられている。
【0017】
本体ハウジング10の内部には、モータ12が収容されるとともに、そのモータ12は本体ハウジング10に収容された制御部13と電気的に接続されている。制御部13は、本体ハウジング10内に収容された電源部14及び前記電源スイッチ11と電気的に接続されている。
【0018】
モータ12のモータ軸12aの先端には、駆動ギヤ12bが取り付けられている。一方、本体ハウジング10に設けられたベアリング15により回転可能に支持された第1回転軸16aには、その基端部に第1ギヤ16bが取り付けられるとともに、その第1ギヤ16bはモータ12の駆動ギヤ12bと噛合されている。
【0019】
第1ギヤ16bと一体回転する第1回転軸16aの先端部は、本体ハウジング10から突出するとともに、その突出部分には円盤状の回転体17が固定されている。回転体17は、その中心部に第1回転軸16aが一体回転可能に固定されるとともに、回転体17の上面に固定された支持部18には、前記施術子20が軸受18aを介して回転可能に支持されている。この施術子20の回転軸20aは、第1回転軸16aに対して平行、且つその第1回転軸16aの中心からずれた位置に設定されているため、施術子20は、回転体17の回転に基づいて第1回転軸16a周りを周回するように動作し、また頭皮に当接させた時の施術子20がその周回動作で連れ回りしないようになっている。
【0020】
施術子20は、支持部18に対して回転可能に支持された略円柱状のハウジング21と、そのハウジング21に支持された施術部材22とを有する。施術部材22は、図2に示すように、施術子20のハウジング21内に保持された平板状のベース部23と、そのベース部23から突出形成された複数の施術突起24a,24bとからなる。この施術部材22の材質としては、エラストマにアルミ等の金属粒子を含有させたものが用いられているため、施術部材22の熱伝導率が向上されるようになっている。
【0021】
各施術突起24a,24bは、ハウジング21の上面(施術面21a)に形成された複数の貫通孔21bからハウジング21外に突出するように構成されている。尚、各施術突起24a,24bは、先端が断面円弧状に湾曲された略円錐状をなすとともに、ハウジング21の施術面21aに対して垂直方向に突出するようになっている。
【0022】
このような施術子20のハウジング21内において、施術部材22のベース部23の裏面(施術突起24a,24bとは反側の面)には、第1ペルチェ素子31及び第2ペルチェ素子32が固定されている。この第1及び第2ペルチェ素子31,32は、左側の施術突起24a及び右側の施術突起24bにそれぞれ対応するものであって、左側の施術突起24a及び右側の施術突起24bの基端部位にそれぞれ当接されている。また、第1及び第2ペルチェ素子31,32はそれぞれ、導線33にて制御部13と電気的に接続されている(図3参照)。
【0023】
第1及び第2ペルチェ素子31,32は、電流によって吸熱・発熱を制御できる半導体素子であり、それぞれ対応する施術突起24a,24bを冷却又は加熱する。詳しくは、各ペルチェ素子31,32は、2枚の金属が張り合わされた構造をしており、その接合面に電流が供給されると、施術突起24a,24b側の第1の面31a,32a及びその反対側の第2の面31b,32bのいずれかで吸熱が生じるとともに、他方の面で発熱が生じる(一方の面から他面へと熱量が移動する)。そして、第1の面31a,32aが吸熱面となるか発熱面となるかは、各ペルチェ素子31,32に供給する電流の向きによるため、各ペルチェ素子31,32に供給する電流の向きを制御することで、各ペルチェ素子31,32の施術突起24a,24bに対する冷却と加熱を制御可能となっている。つまり、第1及び第2ペルチェ素子31,32は、供給する電流の向きによって加熱源にも冷却源にもなるため、施術突起24a,24bに対する冷却及び加熱の制御を容易に行うことができるようになっている。
【0024】
このような頭皮ケア装置1において、電源スイッチ11が使用者によってオン操作されると、制御部13はその電源スイッチ11からのオン操作信号の入力に基づいて、電源部14からモータ12を回転駆動させるための電力をモータ12に供給する。そして、モータ12の駆動に基づき、施術子20は第1回転軸16a周りを周回するように動作し、この施術子20の施術突起24a,24bが頭皮と接触されることで、施術突起24a,24bの先端の動きに合わせて頭皮が動かされる。このようにして、施術突起24aにより頭皮に機械的な刺激を与えることができるようになっている。
【0025】
また、制御部13は、電源スイッチ11からのオン操作信号の入力に基づいて、電源部14からの電力を各ペルチェ素子31,32に供給する。このとき、制御部13は、例えば各ペルチェ素子31,32の第1の面31a,32aを吸熱面とすべく(即ち、各ペルチェ素子31,32を冷却源とすべく)、各ペルチェ素子31,32に電流を供給する。それにより、各施術突起24a,24bは各ペルチェ素子31,32にて冷却され、その施術突起24a,24bにて機械的な刺激及び冷たい刺激を頭皮に与えることが可能となっている。
【0026】
また、制御部13は、本体ハウジング10に設けられた図示しない操作部の操作に基づき、例えばペルチェ素子31,32の一方を冷却源、他方を加熱源とすべく、各ペルチェ素子31,32に電流を供給する。これにより、施術突起24a,24bの一方が冷却され、他方が加熱されるようになっている。また、制御部13は、前記操作部の操作に基づき第1及び第2ペルチェ素子31,32の両方を加熱源とし、施術突起24a,24bの両方が第1及び第2ペルチェ素子31,32にてそれぞれ加熱されるように制御してもよい。このように、施術突起24a,24bへの冷却と加熱が制御可能であるため、使用者の好みに応じた頭皮ケアが可能となっている。
【0027】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)複数の施術突起24a,24bを有しモータ12の駆動により動作する施術子20を備え、施術突起24a,24bを頭皮に接触させて刺激を与える頭皮ケア装置1において、施術子20を冷却するためのペルチェ素子31,32を備える。このため、ペルチェ素子31,32により冷却された施術子20にて頭皮のケア(マッサージや洗髪等)を行うことで、機械的な刺激に加えて冷たい刺激を頭皮に与えることができ、その結果、頭皮ケア効果の向上に寄与できる。
【0028】
(2)ペルチェ素子31,32は、施術子20において頭皮と接触する部位である施術突起24a,24bを冷却するように構成されるため、冷たい刺激を効果的に頭皮に与えることが可能となる。
【0029】
(3)複数の施術突起24a,24bは、ペルチェ素子31,32により冷却及び加熱されるように構成される。これにより、施術突起24a,24bによる機械的な刺激に加え、冷たい刺激と温かい刺激とを頭皮に与えて血流を促進させることができ、その結果、頭皮ケア効果の向上に寄与できる。また、加熱された施術突起24a,24bにて頭皮を温めた後に、冷却された施術突起24a,24bにて頭皮を冷やすと、頭皮が引き締められてより高いケア効果を得ることができる。
【0030】
(4)冷却源及び加熱源は、供給する電流の向きを変えることで加熱源にも冷却源にもなるペルチェ素子31,32からなるため、施術突起24a,24bに対する冷却及び加熱の制御を容易に行うことができる。
【0031】
(5)施術突起24a,24bは、熱伝導性に優れる金属を含む材質からなるため、施術突起24a,24bを効率的に冷却する(又は加熱する)ことが可能となる。
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0032】
・上記実施形態では、施術突起24a,24bのそれぞれに対応してペルチェ素子31,32が2つ設けられたが、特にこれに限定されるものではない。例えば、図4に示す例では、ペルチェ素子40は、一対の施術突起24a,24bの間に1つ設けられ、そのペルチェ素子40の吸熱面にて施術突起24a,24bの一方を冷却するとともに、発熱面にて他方を加熱するように構成されている。詳しくは、ペルチェ素子40は、左側の施術突起24aの基端のベース部23aと右側の施術突起24bの基端のベース部23bとの間に設けられ、ペルチェ素子40の第1の面40a及び第2の面40bはそれぞれベース部23a,23bと接触している。ペルチェ素子40は、制御部13の制御により電流を供給されると、第1の面40aからベース部23aを介して施術突起24aを冷却(又は加熱)する一方、第2の面40bからベース部23bを介して施術突起24bを加熱(又は冷却)する。この第1及び第2の面40a,40bの冷却及び加熱は、上記実施形態と同様に、供給する電流の向きにより変化する。この構成によれば、1つのペルチェ素子40で一対の施術突起24a,24bに対する冷却及び加熱が可能となるため、冷却源及び加熱源として設けるペルチェ素子の個数を少なく抑えることが可能となる。
【0033】
・上記実施形態では、冷却源及び加熱源をペルチェ素子31,32としたが、これに特に限定されるものではなく、ペルチェ素子31,32以外の冷却源及び加熱源としてもよい。
【0034】
・上記実施形態では、加熱源(ペルチェ素子31,32)を備えたが、これ以外に例えば、加熱源を設けずに施術突起24a,24bの冷却だけをする冷却源を備えてもよい。
・上記実施形態では、ペルチェ素子31,32が施術子20の施術突起24a,24bを冷却する構成としたが、これに特に限定されるものではなく、施術子20における施術突起24a,24b以外の部位(例えば、施術面21a)を冷却する構成としてもよい。
【0035】
・上記実施形態では、特に言及していないが、施術突起24a,24bの数は2つ設けられたが、1つ又は3つ以上設けてもよい。
・上記実施形態において、施術子20の数は単数でも複数でもよい。
【0036】
・上記実施形態では、施術部材22の材質は、エラストマにアルミ等の金属粒子を含有させたものとしたが、特にこれに限定されるものではなく、例えば、エラストマにアルミ以外の鉄や銅を含有させたものとしてもよい。
【0037】
・上記実施形態では、各施術突起24a,24bはベース部23により繋がって構成されたが、特に限定されるものではなく、例えば、施術突起24a,24bをそれぞれ個別の部品としてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…頭皮ケア装置、12…駆動源としてのモータ、20…施術子、24a,24b…施術突起、31,32,40…冷却源及び加熱源としてのペルチェ素子、40a…吸熱面及び発熱面としての第1の面、40b…吸熱面及び発熱面としての第2の面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の施術突起を有し駆動源の駆動により動作する施術子を備え、前記施術突起を頭皮に接触させて刺激を与える頭皮ケア装置において、
前記施術子を冷却するための冷却源を備えたことを特徴とする頭皮ケア装置。
【請求項2】
請求項1に記載の頭皮ケア装置において、
前記冷却源は、前記施術突起を冷却するように構成されたことを特徴とする頭皮ケア装置。
【請求項3】
請求項2に記載の頭皮ケア装置において、
前記施術突起を加熱するための加熱源を備えたことを特徴とする頭皮ケア装置。
【請求項4】
請求項3に記載の頭皮ケア装置において、
前記冷却源及び前記加熱源は、ペルチェ素子からなることを特徴とする頭皮ケア装置。
【請求項5】
請求項4に記載の頭皮ケア装置において、
前記ペルチェ素子は、一対の前記施術突起の間に設けられ、該ペルチェ素子の吸熱面にて前記一対の施術突起の一方を冷却するとともに、発熱面にて他方を加熱するように構成されたことを特徴とする頭皮ケア装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1項に記載の頭皮ケア装置において、
前記施術突起は、金属を含む材質からなることを特徴とする頭皮ケア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−172632(P2011−172632A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37037(P2010−37037)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】