説明

頭蓋内圧亢進の急性減少のための抗ヒスタミン剤の使用

【課題】 ヒスタミン受容体アンタゴニストならびに頭蓋内圧(ICP)の減少のための、特に脳損傷によって引き起こされる、さらに特に外傷性脳損傷(TBI)および非外傷性脳損傷によって引き起こされる、特に頭蓋内圧亢進および/もしくは二次性虚血の予防および処置。
【解決手段】 一般式(I)の化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体およびそのN−オキシド形態を含んでなる。特に、好ましい化合物は3−[2−[4−(11,12−ジヒドロ−6H−ベンズイミダゾ[2,1−b][3]ベンズアゼピン−6−イル)−2−(フェニルメチル)−1−ピペリジニル]エチル]−2,10−ジメチルピリミド[1,2−a]ベンズイミダゾール−4(10H)−オン、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体およびそのN−オキシド形態である。また請求するのは、頭蓋内圧(ICP)の減少のための市販されているヒスタミンH1およびH2受容体アンタゴニストの新規な使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なヒスタミン受容体アンタゴニストならびに頭蓋内圧(ICP)の減少のための、特に脳損傷によって引き起こされる、さらに特に外傷性脳損傷(TBI)および非外傷性脳損傷によって引き起こされる、特に頭蓋内圧亢進および/もしくは二次性虚血の予防および処置のためのヒスタミン受容体アンタゴニストの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
TBIは、先進国における重大な問題である。米国において毎年約500,000の頭部損傷は、入院を必要とするほど重症である。死亡率は高く、そしてこれらのTBI患者のうち約80,000人は生涯にわたる機能の消耗性喪失に直面し、5,000人はてんかんを発症し、そして2,000人は遷延性植物状態で生存する。TBIは、1年当たり$250億を超える1989年における概算費用で現代若年成人の死亡および身体障害の主な原因である。
【0003】
脳外傷後の主要な不可逆的損傷には、出血、打撲傷、ニューロンの壊死およびびまん性軸索損傷が包含される。この損傷は、起こり得る心臓血管および呼吸抑制と一緒に、浮腫(血管原性および/もしくは細胞性)、二次性出血、脳血液容量(CBV)の改変、脳血流(CBF)の自己調節障害および虚血を包含する急性の二次的特徴を誘導し得る。浮腫、出血およびCBVの増加は、全脳容量およびその結果として頭蓋内圧(ICP)を増大させる。これは今度は虚血のさらなる進行、梗塞、そして重症の場合には、急性呼吸抑制および死亡の可能性がある脳幹のヘルニアを引き起こし得る。従って、TBIにおける治療は、病的カスケードの阻害ならびに脳容量およびICPの減少に向けられるべきである。例えば、外傷の後もしくは心臓蘇生の後の急性期後に起こることが多い、ICPの生命にかかわる二次的増加の予防もまた、薬理学的処置の標的である。
【0004】
現在、ICP減少の臨床的手段は限られている。標準処置スケジュールには、脳室の外科的ドレナージ、血圧管理、マンニトール注入、過換気および高用量バルビツレート治療が包含される。非外科的処置の副作用には、脳虚血、ICPへのリバウンド効果ならびに細菌感染および敗血症の増大した危険性が包含される。また、異なる作用機序(例えば、ブラジキニン拮抗作用、カルシウム拮抗作用、酸化的ストレス抑制、グルタミン酸受容体遮断および抗てんかん)を有する様々な化合物は、フェーズIIおよびIII臨床試験において試験されているかもしくは依然として研究中である(ICPにではなく、結果に焦点を当てる)。現在まで頭蓋内圧の急性処置用に認可されている化合物はない(非特許文献1)。明らかに、特に脳損傷によって引き起こされる、さらに特に外傷性脳損傷(TBI)によって引き起こされる、頭蓋内圧(ICP)亢進および/もしくは二次性虚血の処置用の医薬品および/もしくは治療の必要性がある。
【0005】
本発明者等は、今回、一般式(I)の置換された四環式イミダゾール誘導体がヒスタミンH1および/もしくはH2受容体アンタゴニスト活性を示すことを見出した。さらに、これらの化合物は頭蓋内圧(ICP)の減少に、特に脳損傷によって引き起こされる、さらに特に外傷性(TBI)および非外傷性脳損傷によって引き起こされる、特に頭蓋内圧亢進および/もしくは二次性虚血の予防および処置に特に有用であることが示された。
【0006】
さらに、本発明者等は、ヒスタミンH1および/もしくはH2受容体を中和する化合物(一般に抗ヒスタミン剤と呼ばれる)もまた頭蓋内圧(ICP)の減少に、特に脳損傷によって引き起こされる、さらに特に外傷性(TBI)および非外傷性脳損傷によって引き起こされる、特に頭蓋内圧亢進および/もしくは二次性虚血の予防および処置に有用であ
ることを見出した。
【0007】
全ての化合物に特徴的であるのは、それらが、特に静脈内投与によって、哺乳動物の血流に投与した場合に頭蓋内圧を急性的に減少できることである。都合よくそして非常に重要なことには、該化合物は血圧への影響、特に血圧低下作用をほとんどもしくは全く有さずにICPを減少し、これは潜在的な薬剤の最も所望される特性である。
【0008】
これまで、ヒスタミンH1および/もしくはH2受容体アンタゴニストは、ICPを下げるため、特にICPの外傷後の低下のために開発されていない。Mohanty et
al.(非特許文献2)は、外傷的に誘発される脳浮腫の形成においてヒスタミンが役割を果たすことを認めた。増加した脳水分含有量ならびに高い血漿および脳ヒスタミンレベルは、ヒスタミンH2受容体アンタゴニストシメチジンでの事前処置により防止された。しかしながら、メイピラミン(meypyramine)(ヒスタミンH1受容体アンタゴニスト)は、増加した脳水分含有量を減らすことができず、そして血漿および脳におけるヒスタミンレベルは高いままであった。ICPへの効果、特に増加したICPを急性的に減らすICPの上昇後のヒスタミンアンタゴニストの作用も、血圧への影響も研究されなかった。
【0009】
それに限定されずに、ヒスタミン受容体アンタゴニストが、脳浮腫のない正常なICPを下げる能力を示すことを考えれば、そしてヒスタミン受容体アンタゴニストが、末梢血管拡張によって起こる結果である、血圧に影響を与えないかもしくはわずかにしか影響を与えないことを考えれば、作用機序は、抗ヒスタミン剤で起こることが先行技術において既知である作用、単に脳浮腫の減少に作用するものでもまた血管拡張によるものでもないというのが本発明者等の見解である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】K.K.Jain,第4章:Neuroprotection in Acute Trauma,‘Neuroprotection in CNS Disorders:Commercial Opportunities’.A Jain PharmaBiotech Report:65−73,2000
【非特許文献2】Mohanty et al.,Journal of the Neurological Sciences,1989,90:87−97
【発明の概要】
【0011】
従って、本発明の目的は、ヒスタミンアンタゴニストとしての、特にヒスタミンH1アンタゴニストとしての、さらに特にヒスタミンH1およびH2アンタゴニスト活性の両方を示すアンタゴニストとしての使用のための一般式(I)
【0012】
【化1】

【0013】
[式中:
mは1もしくは2であり;
nは0、1もしくは2であり;
a、b、cは独立して単結合もしくは二重結合であり;
Xは共有結合もしくは2価のC1−6アルカンジイル基(ここで、1個もしくはそれ以上の−CH−基は、場合により−O−、−S−、−CO−もしくは−NR−(ここで、Rは水素、アルキル、Ar、Ar−アルキル、Het、Het−アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシアルキルオキシアルキル、アミノアルキル、モノ−もしくはジアルキルアミノアルキル、ホルミル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アルキルカルボニルオキシアルキル、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルアルキル、アルキルアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルアルキル、ヒドロキシアルキルオキシアルキル、アミノカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アルキルオキシカルボニルもしくはアルキルカルボニルオキシアルキルオキシアルキルである)で置換されていてもよい)であり;
Yは2価のC1−4アルカンジイルもしくはC2−4アルケンジイル基であり;
ZはN(この場合、aは二重結合であり、そしてbは単結合である)もしくはN−R(この場合、aは単結合であり、bは二重結合であり、そしてRは上記のように定義される)であり;
、Rは独立して水素、ヒドロキシ、アルキル、アルキルオキシ、Ar、Ar−アルキル、ジ(Ar−)アルキル、HetもしくはHet−アルキルであり;
−A−B−は独立して式
−E−CR=CR− (a−1);
−CR=CR−E− (a−2);
−CR=CR−CR=CR− (a−3)
の2価の基であり;(ここで、
は各々独立して水素、ハロ、ヒドロキシ、アルキルもしくはアルキルオキシであり;
Eは式−O−、−S−もしくは−NR−(ここで、Rは上記のように定義される)の2価の基である);
−C−D−は独立して式
−CR=CR−CR=CR− (b−1);
−N=CR−CR=CR− (b−2);
−CR=N−CR=CR− (b−3);
−CR=CR−N=CR− (b−4);
−CR=CR−CR=N− (b−5)
の2価の基であり;(ここで、Rは上記のように定義される);
は水素、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、アルキルオキシ、Ar、Ar−アルキル、ジ(Ar−)アルキル、HetもしくはHet−アルキルであり;
は水素、アルキル、アミノ、アルキルアミノ、Ar−アミノ、Het−アミノ、アルキルカルボニルアミノ、Ar−カルボニルアミノ、Het−カルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニルアミノ、Ar−アミノカルボニルアミノ、Het−アミノカルボニルアミノ、アルキルオキシアルキルアミノ、Ar−オキシアルキルアミノもしくはHet−オキシアルキルアミノであり;
は水素もしくはアルキルであるか;
またはRおよびRは一緒になって式
−M−CR=CR10− (c−1);
−CR10=CR−M− (c−2);
−M−CR−CR10− (c−3);
−CR10−CR−M− (c−4);
−CR=N−NR− (c−5);
−NR−N=CR− (c−6);
−CR=CR−CR10=CR− (c−7);
−CR−CR−CR10−M− (c−8);
−M−CR10−CR−CR− (c−9);
−CR−CR=N−NR− (c−10);
−NR−N=CR−CR− (c−11)
の2価の基を形成することができ;(ここで、
およびRは上記のように定義され;
、R10は独立して水素、アルキル、ハロ、ハロアルキルであるか;
またはRおよびR10は一緒になって式−CR=CR−CR=CR−の2価の基を形成することができ;そして
Mは式−CH−、−O−、−S−もしくは−NR−(ここで、Rは上記のように定義される)の2価の基である)]
の置換された四環式イミダゾール誘導体、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体およびそのN−オキシド形態を提供することである。
【0014】
本願の構成において、Arは、各置換基がヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジアルキルアミノ、アルキル、ハロアルキル、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、カルボキシル、アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニルおよびモノ−もしくはジアルキルアミノカルボニルの群から独立して選択される、1、2もしくは3個の置換基で各々場合により置換されていてもよい、ナフチルおよびフェニルの群から選択される同素環である。好ましくは、Arは、各置換基がハロもしくはアルキルの群から独立して選択される、1個の置換基で各々場合により置換されていてもよい、ナフチルもしくはフェニルである。
【0015】
本願の構成において、Hetはピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルの群から選択される単環式複素環;もしくはキノリニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾフラニルおよびベンゾチエニルの群から選択される二環式複素環であり;各単環式および二環式複素環は、場合により、炭素原子上でハロ、ヒドロキシ、アルキルもしくはアルキルオキシで置換されていてもよい。好ましくは、Hetはピリジニル、ピラジニルもしくはインドリルである。
【0016】
本願の構成において、アルキルは1〜6個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和した炭化水素基であるか;または3〜6個の炭素原子を有する環式の飽和した炭化水素基であるか;または1〜6個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和した炭化水素基に結合した3〜6個の炭素原子を有する環式の飽和した炭化水素基であり;ここで、各炭素原子は場合によりハロ、ヒドロキシ、アルキルオキシもしくはオキソで置換されていてもよい。好ましくは、アルキルはメチル、エチルもしくはシクロヘキシルメチルである。
【0017】
本願の構成において、ハロはフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードの群から選択される置換基であり、そしてハロアルキルは、1個もしくはそれ以上の炭素原子が1個もしくはそれ以上のハロ原子で置換されている、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和した炭化水素基または3〜6個の炭素原子を有する環式の飽和した炭化水素基である。好ましくは、ハロはフルオロもしくはクロロであり、そして好ましくは、ハロアルキルはトリフルオロメチルである。
【0018】
化合物の好ましい群は、−A−B−が式(a−1)もしくは(a−3)(ここで、Eは式−O−、−S−もしくは−NR−(ここで、Rは水素である)の2価の基であり、Rは水素である)の2価の基であり、−C−D−が式(b−1)もしくは(b−2)(ここで、Rは水素である)の2価の基であり、そしてYが式−CH−、−CH−CH−もしくは−CH=CH−の2価の基である式(I)の化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体およびそのN−オキシド形態である。
【0019】
式(I)の好ましい化合物の別の群は、mおよびnが両方とも1である式(I)の化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体およびそのN−オキシド形態である。
【0020】
式(I)の好ましい化合物の別の群は、RおよびRが各々独立して水素、アルキル、Ar−アルキル、HetもしくはHet−アルキルである式(I)の化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体およびそのN−オキシド形態である。
【0021】
式(I)の好ましい化合物のさらに別の群は、Xが式−CHCH−もしくは−CHCHCH−の2価の基である式(I)の化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体およびそのN−オキシド形態である。
【0022】
式(I)の好ましい化合物のさらに別の群は、Rが水素もしくはアルキルであり、ZがN−R(ここで、Rは水素もしくはアルキルであり、aは単結合であり、そしてbは二重結合である)であり、そしてRおよびRが一緒になって式(c−1)、(c−3)、(c−5)、(c−7)、(c−8)もしくは(c−10)(ここで、RおよびRは水素である)の2価の基を形成する式(I)の化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体およびそのN−オキシド形態である。
【0023】
式(I)の好ましい化合物のさらに別の群は、Rが水素もしくはアルキルであり、ZがN−R(ここで、Rは水素もしくはアルキルであり、aは単結合であり、そしてbは二重結合である)であり、そしてRおよびRが一緒になって式(c−1)、(c−3)、(c−5)、(c−7)、(c−8)もしくは(c−10)(ここで、RおよびRは水素であり、そしてRおよびR10は一緒になって式−CR=CR−CR=CR−(ここで、Rは水素である)の2価の基を形成する)の2価の基を形成する式(I)の化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体およびそのN−オキシド形態である。
【0024】
さらに特に、化合物3−[2−[4−(11,12−ジヒドロ−6H−ベンズイミダゾ[2,1−b][3]ベンズアゼピン−6−イル)−2−(フェニルメチル)−1−ピペリジニル]エチル]−2,10−ジメチルピリミド[1,2−a]ベンズイミダゾール−4(10H)−オン、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体およびそのN−オキシド形態は最も好ましい。
【0025】
製薬学的に許容しうる酸付加塩は、式(I)の化合物が形成することができる治療的に有効な無毒の酸付加塩形態を含んでなると定義する。該酸付加塩は、式(I)の化合物の塩基形態を適切な酸、例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸、特に、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸およびリン酸;有機酸、例えば、酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロパン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸およびパモ酸で処理す
ることにより得ることができる。
【0026】
酸性プロトンを含有する式(I)の化合物はまた、適切な有機および無機塩基での処理によりそれらの治療的に有効な無毒の塩基付加塩形態に転化することもできる。適切な塩基塩形態は、例えば、アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、特に、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウム塩、有機塩基との塩、例えば、ベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒブラミン(hybramine)塩、ならびにアミノ酸、例えばアルギニンおよびリシンとの塩を含んでなる。
【0027】
逆に、該酸もしくは塩基付加塩形態は、適切な塩基もしくは酸での処理により遊離形態に転化することができる。
【0028】
本願の構成において用いる場合、付加塩という用語はまた、式(I)の化合物ならびにその塩が形成することができる溶媒和物も含んでなる。そのような溶媒和物は、例えば、水和物およびアルコラートである。
【0029】
酸付加塩の中で、その全ての立体異性体を包含する化合物3−[2−[4−(11,12−ジヒドロ−6H−ベンズイミダゾ[2,1−b][3]ベンズアゼピン−6−イル)−2−(フェニルメチル)−1−ピペリジニル]エチル]−2,10−ジメチルピリミド[1,2−a]ベンズイミダゾール−4(10H)−オン(E)−2−ブテン二酸塩(2:3)水和物(1:1)は最も好ましい化合物である。
【0030】
特に好ましい化合物は、化合物3−[2−[4−(11,12−ジヒドロ−6H−ベンズイミダゾ[2,1−b][3]ベンズアゼピン−6−イル)−2−(フェニルメチル)−1−ピペリジニル]エチル]−2,10−ジメチルピリミド[1,2−a]ベンズイミダゾール−4(10H)−オンおよび3−[2−[4−(11,12−ジヒドロ−6H−ベンズイミダゾ[2,1−b][3]ベンズアゼピン−6−イル)−2−(フェニルメチル)−1−ピペリジニル]エチル]−2,10−ジメチルピリミド[1,2−a]ベンズイミダゾール−4(10H)−オン(E)−2−ブテン二酸塩(2:3)水和物(1:1)の(A)[(2α,4β)(A)]鏡像異性体、(B)[(2α,4β)(A)]鏡像異性体およびその混合物である。
【0031】
式(I)の化合物のN−オキシド形態は、1個もしくは数個の窒素原子がいわゆるN−オキシド、特に式(I)におけるピペリジニル基の1個もしくはそれ以上の窒素がN−酸化されるN−オキシドに酸化される式(I)の化合物を含んでなるものとする。
【0032】
「立体化学的異性体」という用語は、本明細書において用いる場合、式(I)の化合物が有することのできる全ての可能な異性体を定義する。他に記載するかもしくは示さない限り、化合物の化学名称は、全ての可能な立体化学的異性体の混合物を意味し、該混合物は基本分子構造の全てのジアステレオマーおよび鏡像異性体を含有する。さらに特に、ステレオジェン中心はRもしくはS立体配置を有することができ;2価の環式の(部分的に)飽和した基上の置換基は、シスもしくはトランス立体配置のいずれかを有することができる。二重結合を含む化合物は、該二重結合でEもしくはZ立体化学を有することができる。式(I)の化合物の立体化学的異性体は、明らかに本発明の範囲内に包含されるものとする。
【0033】
CAS命名法の慣例に従って、既知の絶対立体配置の2個のステレオジェン中心が分子に存在する場合、RもしくはS記述子が、最も低い番号が付けられたキラル中心、参照中心(reference center)に割り当てられる(カーン−インゴールド−プレローグ順位付け規則に基づく)。第二のステレオジェン中心の立体配置は、相対的記述
子[R,R]もしくは[R,S]を用いて示され、ここで、Rはいつも参照中心として特定され、そして[R,R]は同じキラリティーを有する中心を示し、そして[R,S]は異なっているキラリティーの中心を示す。例えば、分子における最も低い番号が付けられたキラル中心がS立体配置を有し、そして第二の中心がRである場合、立体記述子はS−[R,S]と特定される。「α」および「β」が用いられる場合:最も低い環番号を有する環系における不斉炭素原子上の最優先置換基の位置は、任意にいつも、環系により決定される平均平面の「α」位置にある。参照原子上の最優先置換基の位置に対する環系における他の不斉炭素原子上の最優先置換基の位置は、それが環系により決定される平均平面の同じ側である場合には「α」、もしくはそれが環系により決定される平均平面の反対側である場合には「β」と命名される。
【0034】
cでの結合が単結合である場合、式(I)の化合物および中間体化合物のいくつかは、それらの構造に少なくとも2個のステレオジェン中心を有する。Rが水素以外である場合、式(I)における単環式N環はさらなるステレオジェン中心を有する。これは8種の立体化学的に異なる構造をもたらすことができる。
【0035】
以下に記述する方法において製造されるような式(I)の化合物は、鏡像異性体のラセミ混合物の形態で合成することができ、それらを当該技術分野で既知の分割方法に従って相互から分離することができる。式(I)のラセミ化合物は、適当なキラル酸との反応により対応するジアステレオマー塩形態に転化することができる。次に、該ジアステレオマー塩形態を例えば選択もしくは分別結晶化により分離し、そして鏡像異性体をアルカリによりそれから遊離させる。式(I)の化合物の鏡像異性体を分離する代わりの方法には、キラル固定相を用いる液体クロマトグラフィーが含まれる。該純粋な立体化学的異性体はまた、反応が立体特異的に起こるという条件で、適切な出発材料の対応する純粋な立体化学的異性体から得ることもできる。好ましくは、特定の立体異性体が所望される場合、該化合物は、立体特異的製造方法によって合成される。これらの方法は、鏡像異性的に純粋な出発材料を都合よく用いる。
【0036】
式(I)の化合物のいくつかはまた、それらの互変異性体で存在することもできる。そのような形態は、上記の式において明白に示されないが、本発明の範囲内に包含されるものとする。例えば、RがHである式(I)の化合物は、それらの対応する互変異性体で存在することができる。
【0037】
本発明はまた、本発明の化合物を生成せしめるようにインビボ(in vivo)において分解される、本発明の薬理学的に有効な化合物の誘導体化合物(通常、「プロドラッグ」と呼ばれる)も含んでなる。プロドラッグは、通常(しかし、常にとは限らない)、それらが分解される化合物より標的受容体で効能が低い。プロドラッグは、所望の化合物が、その投与を困難もしくは非効率的にする化学的もしくは物理的性質を有する場合に特に有用である。例えば、所望の化合物は不十分にしか溶解できない可能性があり、粘膜上皮を越えて不十分に輸送される可能性があり、もしくは望ましくない短い血漿半減期を有する可能性がある。プロドラッグに関するさらなる説明は、Stella,V.J.et
al.,“Prodrugs”,Drug Delivery Systems,1985,pp.112−176、およびDrugs,1985,29,pp.455−473に見出すことができる。
【0038】
本発明の薬理学的に有効な化合物のプロドラッグ形態は、一般に、エステル化もしくはアミド化される酸性基を有する、式(I)の化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体およびそのN−オキシド形態である。そのようなエステル化される酸性基に含まれるのは、式−COORの基であり、ここで、RはC1−6アルキル、フェニル、ベンジルもしくは以下の基:
【0039】
【化2】

【0040】
の一つである。アミド化される基には、式−CONRの基が包まれ、ここで、RはH、C1−6アルキル、フェニルもしくはベンジルであり、そしてRは−OH、H、C1−6アルキル、フェニルもしくはベンジルである。
【0041】
アミノ基を有する本発明の化合物は、マンニッヒ塩基を生成せしめるためにケトンもしくはホルムアルデヒドのようなアルデヒドで誘導体化することができる。この塩基は、水溶液中で一次速度式で加水分解する。
【0042】
式(I)の化合物は、一般に、一連の工程により製造することができ、これらの各々は当業者に既知である。該化合物の製造は、引用することにより本明細書に包含される同時係属中の出願に開示される。
【0043】
ICPを減少するためのそれらの用途に加えて、式(I)の化合物およびその誘導体はまた、他のヒスタミンH1およびH2媒介疾患の処置、特に、哺乳動物における免疫制御、過敏症および/もしくは炎症反応の抑制、鼻炎、蕁麻疹、喘息、アナフィラキシーなどのようなアレルギー疾患の処置および予防、ならびに潰瘍、消化不良、様々な逆流性適応症(reflux indications)などのような胃腸症状の処置にも有用である。従って、本発明はまた、哺乳動物における免疫制御、過敏症および/もしくは炎症反応の抑制ならびにアレルギー疾患および胃腸症状の処置および予防用の薬剤の製造のための式(I)のヒスタミン受容体アンタゴニストおよびその誘導体の使用にも関する。
【0044】
本発明のさらなる態様は、特に、頭蓋内圧(ICP)、特にICP亢進、さらに特に重症的ICP亢進を急性的に下げるためのそして/もしくは脳損傷によって引き起こされるICP亢進および二次性虚血を防ぐためのヒスタミンH1および/もしくはH2受容体アンタゴニストの新規な用途を提供することである。最も好都合には、ヒスタミンH1および/もしくはH2受容体アンタゴニストは、血圧を低下もしくは上昇させないか、または最小限度に低下もしくは上昇させる。
【0045】
本発明によれば、ヒスタミンH1および/もしくはH2受容体アンタゴニストは、式(I)の化合物およびその誘導体または当該技術分野において容易に認識される別個のそして限られた一群の薬剤である既知のヒスタミンH1および/もしくはH2受容体アンタゴニストのいずれかである。
【0046】
これまで、ヒスタミンH1受容体アンタゴニストは、哺乳動物における免疫制御ならびに過敏症および/もしくは炎症反応の抑制に一般に用いられている。特に、ヒスタミンH1受容体アンタゴニストは、アクリバスチン、アリメマジン、アンタゾリン、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、ブロムフェニラミン、ブクリジン、カルビノキサミン、カレバスチン、セチリジン、クロルシクリジン、クロルフェニラミン、シンナリジン、クレマスチン、クレミゾール、クロシニジン、クロニジン、シクリジン、シプロヘプタジン、デスカルボエトキシロラチジン、デクスクロルフェニラミン、ジメンヒドリナート、
ジメチンデン、ジメトチアジン、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、ドキシラミン、エバスチン、エフレチリジン、エピナスチン、フェクソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、レボカバスチン、ロラチジン、メクリジン、メキタジン、メトジラジン、ミアンセリン、ミゾラスチン、ニアプラジン、ノベラスチン、ノラステミゾール、オキサトミド、オキソメマジン、フェンベンザミン、フェニラミン、ピクマスト(picumast)、プロメタジン、ピリラミン、テメラスチン、テルフェナジン、トリメプラジン、トリペレナミンおよびトリプロリジン、その誘導体ならびに前述の任意の2つもしくはそれ以上の混合物の群から選択される。
【0047】
これまで、ヒスタミンH2受容体アンタゴニストは、潰瘍、消化不良、様々な逆流性適応症などのようなある種の胃腸症状を患っている哺乳動物に一般に用いられている。特に、ヒスタミンH2受容体アンタゴニストは、ラニチジン、シメチジン、ファモチジン、ニザチジン、チオチジン、ゾランチジン、その誘導体および前述の任意の2つもしくはそれ以上の混合物の群から選択される。
【0048】
また、ヒスタミン受容体アンタゴニストは、リタンセリンもしくは式(I)の化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体およびそのN−オキシド形態のように、ヒスタミンH1および/もしくはH2受容体アンタゴニスト活性の両方を示すこともできる。
【0049】
全ての化合物はICPの著しい下降を示すが、以下の化合物は血圧の低下に全くもしくはほとんど影響を及ぼさないことも示されている:ケトチフェン、クロルシクリジン、プロメタジン、ピリラミン、ジフェニルヒドラミン、クロルフェニラミンおよびゾランタジン。
【0050】
適切な受容体モデリング研究を用いて本発明の化合物のヒスタミンアンタゴニスト活性を評価するためにインビトロ(in vitro)研究を用いることができる。
【0051】
インビトロ研究は、本発明の化合物の生物学的活性を評価するために用いることができる。この点で、外傷性脳損傷の臨床的に関連するラットモデル(閉鎖性頭部外傷モデル)を開発し、そして本発明の化合物を試験するために用いた(K.Engelborghs
et al.,Temporal changes in intracranial
pressure in a modified experimental model of closed head injury,J.Neurosurg.89:796−806,1998;K.van Rossem et al.,Brain oxygenation after experimental closed head injury,Adv.Exp.Med.Biol.471:209−215,1999;K.Engelborghs et al.,Impaired autoregulation of cerebral blood flow in an experimental model of traumatic brain injury,J.Neurotrauma,17(8):667−677,2000)。一つの研究では、ウサギにおいて皮質低温損傷によって頭蓋内圧亢進を誘導した。
【0052】
式(I)の化合物ならびに現在既知のヒスタミンH1、H2およびH1/H2受容体アンタゴニストを包含する本発明のヒスタミン受容体アンタゴニストは、投与目的のために様々な製薬学的形態に調合することができる。適切な組成物として、薬剤を全身的に投与するのに通常用いられる全ての組成物を挙げることができる。本発明の製薬学的組成物を製造するために、有効成分として、場合により付加塩形態の、特定の化合物の有効量を製薬学的に許容しうる担体とよく混合して合わせ、この担体は、投与に所望される製剤の形態により多種多様な形態をとることができる。これらの製薬学的組成物は、特に、経口的
もしくは非経口注入による投与に適当な単位剤形が望ましい。例えば、経口剤形の組成物を製造することにおいて、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および液剤のような経口液体製剤の場合には例えば水、グリコール、油、アルコールなどのような通常の製薬学的媒質のいずれか;または散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には澱粉、糖、カオリン、希釈剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などのような固体担体を用いることができる。錠剤およびカプセル剤は、それらの投与の容易さのために、最も都合のよい経口単位剤形であり、この場合、固体の製薬学的担体を明らかに使用する。非経口組成物では、担体は、例えば溶解性を促進するために、他の成分を含むことができるが、通常、少なくとも大部分で滅菌水を含んでなる。例えば、注入可能な液剤を製造することができ、ここで、担体は食塩水溶液、グルコース溶液もしくは食塩水とグルコース溶液との混合物を含んでなる。注入可能な懸濁剤もまた製造することができ、この場合、適切な液体担体、沈殿防止剤などを用いることができる。また包含されるのは、使用直前に液体形態製剤に転化されることを目的とする固体形態製剤である。
【0053】
投与の容易さおよび用量の均一性のために単位剤形の上記の製薬学的組成物を調合することが特に有益である。単位剤形は、本明細書において用いる場合、単位用量として適当な物理的に別個の単位をさし、各単位は、必要な製薬学的担体と会合して所望の治療効果をもたらすように計算された有効成分の所定の量を含有する。そのような単位剤形の例は、錠剤(分割錠もしくは被覆錠剤を包含する)、カプセル剤、丸剤、散剤パケット、カシェ剤、座薬、注入可能な液剤もしくは懸濁剤など、およびその分離した倍量である。最も好ましくは、迅速投与の容易さのために、上記の製薬学的組成物を注入可能なもしくは灌流可能な液剤もしくは懸濁剤として調合する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】10分の注入期間中の化合物2のICP減少効果の用量依存性。X軸:用量(mg/kg/分);Y軸:初期値のパーセンテージとしてのICPの変化。
【図2】10分の注入の後の10分の処置後期間中の化合物2のICP減少効果の用量依存性。X軸:用量(mg/kg/分);Y軸:初期値のパーセンテージとしてのICPの変化。
【図3】それぞれ、マンニトール(図3−A)(用量:0.125g/kg/分)、化合物2(図3−B)(用量:1mg/kg/分)および溶媒(図3−C)(10% HP−ベータ−CD、pH4)で10分の3回の断続的処置期間中のラットにおけるICP、MABPおよびCPPの時間経過。処置は、重度頭部損傷後20分で開始し(時間=0)、そして30分および60分で繰り返した。曲線は、次の時間点のメジアン値をつなぐ。値は初期値の%として表す。
【図4】それぞれ、化合物2(図4−A)(用量:10分の間2mg/kg/分)もしくは溶媒(図4−B)(10分の間2ml/分)で処置したウサギにおけるICP、MABPおよびCPPの時間経過。処置は、皮質低温損傷の誘導後24時間で開始した(時間=0)。曲線は、次の時間点のメジアン値をつなぐ。値は初期値の%として表す。
【図5】ピリラミン(用量:10分の間5mg/kg/分)で処置したウサギ(m=6)におけるICP、BPおよびCPPの時間経過。曲線は、次の時間点のメジアン値をつなぐ。値は初期値の%として表す。
【0055】
以下の実施例は、本発明をそれに限定せずに説明する。
【実施例】
【0056】
実験部分
いくつかの化合物のその中のステレオジェン炭素原子(1個もしくは複数)の絶対立体化学配置は、実験で決定しなかった。これらの場合、実際の立体化学配置にさらに言及せずに、最初に単離された立体化学的異性体を「A」と、そして第二のものを「B」と称す
る。しかしながら、該「A」および「B」異性体は、例えばX線回折のような当該技術分野で既知の方法を用いて、当業者により明らかに特性化することができる。
【0057】
例えば、化合物ピリミド[1,2−a]ベンズイミダゾール−4(10H)−オン、3−[2−[4−(11,12−ジヒドロ−6H−ベンズイミダゾ[2,1−b][3]ベンズアゼピン−6−イル)−2−(フェニルメチル)−1−ピペリジニル]エチル]−2,10−ジメチルでは、8種の可能な立体化学異性体を下記のように定義する:
【0058】
【表1】

【0059】
以上および以下で、「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドと定義し、「DIPE」はジイソプロピルエーテルと定義し、「THF」はテトラヒドロフランと定義し、「MIBK」はメチルイソブチルケトンと定義し、「DIPA」はジイソプロピルアミンと定義する。
【0060】
A.中間体化合物の製造
実施例A1
a)中間体1の製造
【化3】

【0061】
乾燥したガラス器具を使用する。THF p.a.(分子ふるい)(2l)中の(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド(0.35mol)の混合物をNフロー下で−50℃で攪拌した。BuLi、2.5M/ヘキサン(0.35mol)を滴下して加え、そして混合物を−25℃で30分間攪拌した。THF中の1,2−ビス(フェニルメチル)−4−ピペリジノン(0.35mol)の溶液を−25℃で滴下して加えた。混合物を室温まで温まるようにし、次に室温で一晩攪拌し、そして水で分解した。有機溶媒を蒸発させた。水性濃縮物をCHClで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:CHCl/CHOH 97.5/2.5)。純粋画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:121gの4―(メトキシメチレン)−1,2−ビス(フェニルメチル)ピペリジン鏡像異性体混合物(中間体1)(100%)。
【0062】
b)中間体2の製造
【化4】

【0063】
THF(500ml)中の中間体1(0.35mol)の混合物を完全に溶解するまで攪拌した。HO(900ml)、そして次にHCl p.a.38%(100ml)を加えた。混合物を攪拌し、そして3時間還流した。有機溶媒を蒸発させた。水性濃縮物をKCOでアルカリ化し、そしてCHClで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:CHCl/CHOH 97/3)。純粋画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:81gの1,2−ビス(フェニルメチル)−4−ピペリジンカルボキサルデヒド鏡像異性体混合物(中間体2)(79%)。
【0064】
c)中間体3の製造
【化5】

【0065】
THF p.a.(分子ふるい上で前もって乾燥させる)(2l)中のDIPA(0.33mol)の混合物をNフロー下で−78℃で攪拌した。BuLi、2.5M/ヘキ
サン(0.276mol)を滴下して加えた。混合物を−78℃で15分間攪拌した。THF中の1−(2−フェニルエチル)−1H−ベンズイミダゾール(0.276mol)の溶液を滴下して加えた。混合物を−78℃で1時間攪拌した。THF中の中間体2(0.276mol)の溶液を滴下して加えた。混合物を−78℃で1時間攪拌し、次に室温まで温まるようにし、室温で一晩攪拌し、そして次に水で分解した。有機溶媒を蒸発させた。水性濃縮物をCHClで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:CHCl/CHOH 95/5〜90/10)。純粋画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:113gのα−[1,2−ビス(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]−1−(2−フェニルエチル)−1H−ベンズイミダゾール−2−メタノール(中間体3)(79%)。
【0066】
d)中間体4の製造
【化6】

【0067】
トリフルオロメタンスルホン酸(750ml)中の中間体3(0.22mol)の混合物を110℃で7時間攪拌した。混合物を冷却し、氷上に注ぎ出し、NaOH 50%でアルカリ化し、そしてCHClで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残留物をCHCNから結晶化した。混合物を濾過した。沈殿物および濾液をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより別個に精製した(溶離剤:CHCl/CHOH 98.5/1.5〜95/5)。4つの純粋画分を集め、そしてそれらの溶媒を蒸発させた。残留物をCHCNから結晶化した。沈殿物を濾過して分離し、そして乾燥させた。収量:16gの画分1[(2α,4β)(A)]−6−[1,2−ビス(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]−11,12−ジヒドロ−6H−ベンズイミダゾ[2,1−b][3]ベンズアゼピン(中間体4)(14.6%)、19.5gの画分2[(2α,4β)(B)]−6−[1,2−ビス(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]−11,12−ジヒドロ−6H−ベンズイミダゾ[2,1−b][3]ベンズアゼピン(17.8%)、8.66gの画分3[(2α,4α)(A)]−6−[1,2−ビス(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]−11,12−ジヒドロ−6H−ベンズイミダゾ[2,1−b][3]ベンズアゼピン(7.9%)および7.74gの画分4[(2α,4α)(B)]−6−[1,2−ビス(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]−11,12−ジヒドロ−6H−ベンズイミダゾ[2,1−b][3]ベンズアゼピン(8.9%)。
【0068】
e)中間体5の製造
【化7】

【0069】
メタノール(150ml)中の中間体4(0.0305mol)の混合物をPd/C 10%(1g)を触媒として50℃で一晩水素化した。H(1当量)の取り込み後に、触媒を濾過して分離し、そして濾液を蒸発させた。残留物をCHCNから結晶化した。沈殿物を濾過して分離し、そして乾燥させた。収量:11.66gの[(2α,4β)(A)]−11,12−ジヒドロ−6−[2−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]−6H−ベンズイミダゾ[2,1−b][3]ベンズアゼピン(中間体5)(94%)。
【0070】
実施例A2
a)中間体6の製造
【化8】

【0071】
乾燥したガラス器具を使用する。THF p.a.(分子ふるい上で前もって乾燥させる)(1400ml)中のDIPA(0.22mol)の混合物をNフロー下で−70℃で攪拌した。BuLi 2.5M(0.185mol)を滴下して加え、そして混合物を−70℃で15分間攪拌した。THFに溶解した1−(フェニルメチル)−1H−ベンズイミダゾール(0.185mol)を−70℃で滴下して加え、そして混合物を−70℃で1時間攪拌した。THFに溶解した中間体2(0.185mol)を−70℃で滴下して加えた。混合物を−70℃で1時間攪拌し、次にゆっくりと室温にし、室温で一晩攪拌し、そしてHOで分解した。有機溶媒を蒸発させた。水性濃縮物をCHClで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:CHCl/CHOH 95/5)。純粋画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:91gの中間体6(98%)。
【0072】
b)中間体7の製造
【化9】

【0073】
トリフルオロメタンスルホン酸(700ml)中の中間体6(0.18mol)の混合物をNフロー下で120℃で18時間攪拌した。混合物を冷却し、氷上に注ぎ出し、NaOH 50%でアルカリ化し、そしてCHClで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:CHCl/(CHOH/NH)99/1)。純粋画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:40gの中間体7(46%)。
【0074】
b)中間体8の製造
【化10】

【0075】
および中間体9の製造
【化11】

【0076】
メタノール(200ml)中の中間体7(0.081mol)の混合物をPd/C 10%(2g)を触媒として50℃で水素化した。H(1当量)の取り込み後に、触媒を
濾過して分離し、そして濾液を蒸発させた。この画分をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:CHCl/(CHOH/NH)97/3)。2つの純粋画分を集め、そしてそれらの溶媒を蒸発させた。収量:画分1および12.5gの中間体9(シス異性体)(36%)。画分1をCHCNから結晶化した。沈殿物を濾過して分離し、そして乾燥させた。収量:4.44gの中間体8(14%)([(2α,4β)(A)]―ラセミ化合物)。
【0077】
実施例A3
a)中間体10の製造
【化12】

【0078】
THF(100ml)中のDIPA(0.1mol)の混合物をNフロー下で攪拌した。混合物を−70℃に冷却し、そしてBuLi、2.5M/ヘキサン(40ml)を少しずつ加えた。10分間攪拌しながら、温度を−30℃に到達するようにした。混合物を−70℃に冷却した。THF(50ml)中の1−(フェニルエチル)−1H−ベンズイミダゾール(0.1mol)の溶液をこの温度で滴下して加え、そして混合物を−70℃で2時間攪拌した。4−ホルミル−1−ピペリジンカルボン酸エチル(0.1mol)を滴下して加え、そして混合物を−70℃で30分間攪拌した。混合物を室温に到達するようにし、そして攪拌を30分間続けた。混合物を水で分解し、次に蒸発させた。残留物を水中で攪拌し、そしてこの混合物をCHClで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:CHCl/CHOH 98/2)。純粋画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:38gの4−[ヒドロキシ[1−(2−フェニルエチル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]メチル]−1−ピペリジンカルボン酸エチル(中間体10)。
【0079】
b)中間体11の製造
【化13】

【0080】
CHCl(150ml)中の中間体10(0.011mol)およびMnO(15g)の混合物を室温で一晩攪拌した。MnOをジカライト(dicalite)上で濾過して分離した。反応を同一量でもう一回行った。混合物を一晩攪拌した。MnO
ジカライト上で濾過して分離した。濾液を蒸発させた。収量:4.5gの4−[[1−(2−フェニルエチル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]カルボニル]−1−ピペリジンカルボン酸エチル(中間体11)。
【0081】
c)中間体12の製造
【化14】

【0082】
中間体11(0.011mol)およびHBr、48%aq.(25ml)の混合物を80℃で10時間攪拌した。溶媒を蒸発させた。残留物を沸騰2−プロパノール中で攪拌し、冷却し、そして得られる沈殿物を濾過して分離し、そして乾燥させた。サンプル(1g)をエタノールから再結晶化した。結晶を濾過して分離し、そして乾燥させた。収量:0.5gの[1−(2−フェニルエチル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル](4−ピペリジニル)メタノン二臭化水素酸塩(中間体12)(mp.261.9℃)。
【0083】
d)中間体13の製造
【化15】

【0084】
トリフルオロメタンスルホン酸(150ml)をNフロー下で攪拌した。中間体12(0.1mol)を少しずつ加え、そして得られる反応混合物を100℃で20時間攪拌した(Nフロー)。反応混合物を冷却し、氷(1kg)に注ぎ出し、そして得られる混合物を、攪拌および冷却しながら、NaOH 50%で中和した。この混合物をCHClで抽出した。沈殿が生じた。有機層を分離した。沈殿物を濾過して分離し、そしてCHCNから再結晶化した。結晶を濾過して分離し、そしてCHCNからもう一度再結晶化した。結晶を濾過して分離し、そして乾燥させた。収量:3.0gの11,12−ジヒドロ−6−(4−ピペリジニリデン)−6H−ベンズイミダゾ[2,1−b][3]ベンズアゼピン.トリフルオロメタンスルホン酸塩(2:3)。分離した有機溶液を母層と合わせ、乾燥させ、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残留物(37g)を水/エタノールに溶解し、50% NaOHでアルカリ化し、そしてCHClで抽出した。分離した有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残留物を2−プロパノン/DIPE中で攪拌し、次に濾過して分離し、そして乾燥させた。収量:16.2gの11,12−ジヒドロ−6−(4−ピペリジニリデン)−6H−ベンズイミダゾ[2,1−b][3]ベンズアゼピン(中間体13)(mp.180.3℃)。
【0085】
実施例A4
a)中間体14の製造
【化16】

【0086】
乾燥したガラス器具を使用する。THF p.a.(分子ふるい上で前もって乾燥させる)(3000ml)中のDIPA(1.1mol)の混合物をNフロー下で−78℃で攪拌した。BuLi、ヘキサン中1.5M(1.05mol)を−70℃で滴下して加え、そして混合物を−70℃で20分間攪拌した。THFに溶解した1−(フェニルエチル)−1H−ベンズイミダゾール(1mol)を−78℃で滴下して加え、そして混合物を−78℃で1時間攪拌した。THFに溶解した1−(1,1−ジメチル)1,4−ピペリジンジカルボン酸4−エチル(1.1mol)を−70℃で滴下して加えた。混合物を−78℃で1時間攪拌し、次に室温にし、室温で一晩攪拌し、そしてHOで分解した。有機溶媒を蒸発させた。水性濃縮物をCHClで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残留物をCHCNから結晶化した。沈殿物を濾過して分離し、そして乾燥させた。収量:350gの中間体14(81%)。
【0087】
b)中間体15の製造
【化17】

【0088】
雰囲気下の反応。室温で攪拌した、THF(90ml)中の中間体14(0.0150mol)の溶液に塩化メチルマグネシウム(0.0165mol:8.2ml、2.0M/THF)を滴下して加えた。得られる反応混合物を2時間攪拌した。水を加えた。有機溶媒を蒸発させ、そして水性濃縮物をCHClで抽出した。分離した有機層を乾燥させ、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残留物(6g)をCHCNから結晶化した。沈殿物を濾過して分離し、そして乾燥させた。収量:4.3gの中間体15(64%)。
【0089】
c)中間体16の製造
【化18】

【0090】
トリフルオロメタンスルホン酸(29ml)中の中間体15(0.0076mol)の混合物を室温で48時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ出した。この混合物をKCOでアルカリ化した。水層をCHClで抽出した。分離した有機層を乾燥させ、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上で短いオープンカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:CHCl/(CHOH/NH)90/10)。純粋画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:2gの中間体16(79%)。
【0091】
実施例A5
a)中間体17の製造
【化19】

【0092】
雰囲気下の反応。室温で攪拌した、THF(200ml)中の中間体14(0.0400mol)の溶液に塩化フェニルマグネシウム(0.0440mol)を加えた。得られる反応混合物を1時間攪拌した。水を加えた。有機溶媒を蒸発させ、そして水性濃縮物をCHClで抽出した。分離した有機層を乾燥させ、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。この残留物を同様にして得られる物質と合わせ、そして全部(20g)をCHCNから結晶化した。沈殿物を濾過して分離し、そして乾燥させた。収量:20gの中間体17(98%)。
【0093】
b)中間体18の製造
【化20】

【0094】
0℃から室温に達しながら、トリフルオロメタンスルホン酸(120ml)中の中間体
17(0.0360mol)の混合物を24時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ出した。この混合物をNaOH 50%でアルカリ化し、次にCHClで抽出した。分離した有機層を乾燥させ、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残留物をCHCNから結晶化し、濾過して分離し、次にシリカゲル上で短いオープンカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:CHCl/(CHOH/NH)90/10)。純粋画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。収量:11gの中間体18(78%)(mp.270.7℃)。
【0095】
実施例A6
a)中間体19の製造
【化21】

【0096】
THF(100ml)中の1−(2−フェニルエテニル)−1H−ベンズイミダゾール(0.04mol)の混合物をNフロー下で攪拌し、そして−70℃に冷却した。BuLi、2.5M/ヘキサン(0.04mol)を−70℃で滴下して加え、そして攪拌を−70℃で30分間続けた。THF中の1−(1,1−ジメチルエチル)−1,4−ピペリジンジカルボン酸4−エチル(0.04mol)の溶液を滴下して加え、そして混合物を−70℃で1時間攪拌した。温度を室温に到達するようにし、そして混合物を水で分解し、次にCHClで抽出した。分離した有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより精製した(溶離剤:CHCl/CHCN 97/3〜94/6)。2つの画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。第二画分の残留物をDIPE/CHCNから結晶化した。結晶を濾過して分離し、そして乾燥させた。収量:7.0gの(Z)−4−[[1−(2−フェニルエテニル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]カルボニル]−1−ピペリジンカルボン酸(1,1−ジメチルエチル)(41%)(中間体19)(mp.155.8℃)。
【0097】
b)中間体20の製造
【化22】

【0098】
トリフルオロ酢酸(130ml)中の中間体19(0.043mol)の混合物を室温で1/2時間攪拌した。反応混合物をジエチルエーテルに注ぎ出した。沈殿物を濾過して分離し、ジエチルエーテルで洗浄し、そして乾燥させた。収量:18gの(Z)−[1−(2−フェニルエテニル)−1H−ベンズイミダゾール−2−イル](4−ピペリジニル)メタノン.トリフルオロ酢酸塩(1:1)(中間体20)(94.0%)(mp.202.2℃)。
【0099】
c)中間体21の製造
【化23】

【0100】
中間体20(0.0276mol)、AlCl(0.187mol)およびNaCl(0.187mol)の混合物を150℃で1時間攪拌した(融解)。反応混合物を氷、水およびNaOH 50%の混合物中で分解した。混合物をジクロロメタンで抽出し、そして有機層を分離し、乾燥させ、濾過し、そして蒸発させた。残留物(4.3g)をシリカゲル上でガラスフィルターの上で精製した(溶離剤:CHCl/(CHOH/NH)90/10)。純粋画分を集め、そして溶媒を蒸発させた。残留物をエタノール中で(E)−2−ブテン二酸塩(2:3)に転化した。塩を濾過して分離し、そして乾燥させた。収量:1.8gの6−(4−ピペリジニリデン)−6H−ベンズイミダゾ[2,1−b][3]ベンズアゼピン.(E)−2−ブテン二酸塩(2:3)(13.4%)(中間体21)(mp.229.4℃)。
【0101】
実施例A7
a)中間体22の製造
【化24】

【0102】
キシレン(930ml)中の2−アミン−1H−ベンズイミダゾール(0.04mol)、3−アセチルジヒドロ−2(3H)−フラノン(0.53mol)および4−メチルベンゼンスルホン酸(4g)の混合物を攪拌し、そして一晩還流し、次に冷却した。沈殿物を濾過して分離し、そしてHO(200ml)、NaCO(5g)およびCHCl(500ml)中で攪拌した。沈殿物を濾過して分離し、CHOH中で沸騰させ、濾過して分離し、そして乾燥させた。収量:47.4gの3−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチル−ピリミド[1,2−a]ベンズイミダゾール−4(10H)−オン(中間体22)。
【0103】
b)中間体23の製造
【化25】

【0104】
DMF(70ml)中の中間体22(0.025mol)およびKCO p.a.(0.03mol)の混合物を50℃で攪拌した。ヨウ化メチル(0.03mol)を滴下して加えた。混合物を50℃で4時間攪拌し、そして冷却した。溶媒を蒸発させた。残留物をCHOH中で沸騰させた。沈殿物を濾過して分離し、そして乾燥させた。残留物をシリカゲル上でHPLCにより精製した(溶離剤:CHCl/(CHOH/NH) 97/3)。2つの純粋画分を集め、そしてそれらの溶媒を蒸発させた。収量:2.08gの3−(2−ヒドロキシエチル)−2,10−ジメチル−ピリミド[1,2−a]ベンズイミダゾール−4(10H)−オン(中間体23)。
【0105】
c)中間体24の製造
【化26】

【0106】
CHCl(50ml)中の中間体23(0.02mol)およびSOCl(0.06mol)の混合物を攪拌し、そして4時間還流し、次に冷却した。HOを加えた。混合物をKCOでアルカリ化し、そしてその層に分離した。水層をCHClで抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残留物をCHCNから結晶化した。沈殿物を濾過して分離し、そして乾燥させた。収量:3.44gの中間体24。
【0107】
B.最終化合物の製造
実施例B1
化合物1の製造
【化27】

【0108】
および化合物2の製造
【化28】

【0109】
【表1】

【0110】
【表2】

【0111】
【表3】

【0112】
【表4】

【0113】
【表5】

【0114】
【表6】

【0115】
【表7】

【0116】
【表8】

【0117】
【表9】

【0118】
【表10】

【0119】
【表11】

【0120】
【表12】

【0121】
【表13】

【0122】
【表14】

【0123】
【表15】

【0124】
【表16】

【0125】
【表17】

【0126】
C.薬理学的実施例
C1.ヒスタミンH1およびH2アンタゴニスト活性のインビトロ測定
放射性リガンド受容体結合研究は、特定の受容体、すなわち、ヒスタミンH1もしくはH2受容体に富んだ組織の調製物を用いて選択化合物の放射性リガンド結合に関してインビトロで行った。ヒスタミンH1受容体には、用いる組織は、ヒトヒスタミンH1受容体で永続的にトランスフェクションしたCHO細胞であった。ジフェンヒドラミンのみは、大脳皮質からのモルモット細胞に対して試験した。試験化合物による[H]ピリラミンの競合阻害は、低(nM)濃度の放射性リガンドを緩衝培地中の組織調製物の小標本(0
.2〜5ml;1〜5mgの組織)および阻害曲線から得られるpIC50値の前後の少なくとも4桁の大きさにわたるDMSOに溶解した様々な濃度の化合物とインキュベーションすることにより行った。ヒスタミンH2アンタゴニスト活性は、モルモット線条細胞および放射性リガンドとして0.1nMの濃度の[125I]APTを用いて、ヒスタミンH1アンタゴニスト活性とほぼ同じように試験した。インキュベーションは、22℃で150分の間行った。
【0127】
我々の発明の全ての化合物は、ヒスタミンH1アンタゴニスト活性で5以上のpIC50値を示した。いくつかの化合物は、ヒスタミンH1アンタゴニスト活性で6以上のpIC50値を示した。これらの化合物を表9に記載する。さらに、市販されている典型的なヒスタミンH1アンタゴニスト(ジフェンヒドラミン)は、我々の発明の化合物の大部分よりほんのわずかに高いヒスタミンH1アンタゴニスト活性を示すことが認められる。さらに、市販されているH2アンタゴニスト(ラニチジンおよびシメチジン)は、我々の発明の化合物の(適度に高い)H2活性の範囲内のヒスタミンH2活性を示すことが提示される。市販されている化合物を包含する、表9における化合物の選ばれたものは、ICPを減少するそれらの能力に関してインビボ実験においても試験した。
【0128】
【表18】

【0129】
【表19】

【0130】
C.2.インビボ薬理学
閉鎖性頭部外傷(CHI)モデル
本発明の化合物および市販されている化合物を試験するために外傷性脳損傷の臨床的に関連するラットモデルを用いた。このモデルは、ICP亢進、脳灌流圧低下、びまん性軸索損傷、ニューロンの壊死および打撲傷を包含する形態学的改変、脳血流の自己調節障害ならびに脳酸素付加の減少のような、外傷性脳損傷のいくつかの臨床的特徴に類似し、そしてICP低下効果を有する薬剤をスクリーニングすることに適用した。外傷は、4個のスプリングの付いたテーブル上に定位固定で置いた、挿管し、イソフルラン麻酔をかけた
(30% Oおよび70% NOの混合物中1.5%のイソフルラン)スプレーグ・ドーリー(Sprague−Dawley)ラット(380−400g)において誘導した。9mm直径のシリコンディスクで保護した400gのボンベを70cmもしくは50cmのいずれかの高さから保護されていない頭蓋骨上に落とした(それぞれ、「重度」および「中等度」頭部損傷)。衝突領域は、ブレグマとラムダの間に集中した。ICPは、頭頂葉皮質に挿入したコドマン(Codman)ミクロセンサー探針を用いて記録した。重度および中等度頭部損傷の両方においてICPは外傷の直後に増加し、そして数日間高いままであった。重度頭部損傷形態は、外傷の直後の薬理学的効果の評価に使用した(スクリーニング方法)。生存および麻酔からの回復が予見された場合、中等度頭部損傷形態を適用した。薬理学的研究では、12.5〜35mmHgの間の病的ICPを有する動物を含んだ。ICP、平均動脈血圧(MABP)および脳灌流圧CPP(=MABP−CPP)の変化は、処置の開始時の初期値のパーセンテージとして表した。
【0131】
本発明の化合物のスクリーニング方法
毎週単位で、3匹のラットの4つの処置群を3匹の食塩水処置動物と比較した。通常の統計方法は多量の動物を必要とするので、逐次方法(sequential procedure)を用いた。逐次方法は、異なる段階で機能する。各段階で、一群の動物を可能な限り均質に選択した。動物を薬剤もしくは食塩水のいずれかに無作為に割り当てた。この方法は、薬剤を却下する、薬剤を有効と認めるの決定を下すこともしくは次の段階で新しい一群の動物で続けることを可能にした。検出されなければならない活性の生物学的関連レベルを考えれば、偽陽性および陰性結果の予想される割合は既知であり、そして一定であった。逐次2標本グループ別順位検定を用いた。各段階で比較的少数の動物を有する3段階逐次計画が最適であると示した。個々のデータの変動にもかかわらず、該方法は、マンニトールのような基準処置を常に有効と認め、一方、コントロールを却下した。臨床的に関連するi.v.用量のマンニトール(45分にわたって3g)は、ICPを常に減少した(平均減少約20%)。
【0132】
【表20】

【0133】
(1)実験化合物は、1分の間に与える1mg/kgのボーラスとして投与し、その後に0.5mg/kg/分の注入を44分間続け;溶媒は1分の間に0.4mlのボーラスとして投与し、その後に0.2ml/分の注入を44分間続け;マンニトールは、45分間の67mg/kg/分の注入として与えた。
(2)デルタ%:処置期間にわたるベースラインからの相対的ICPの平均変化。
(3)決定:逐次統計評価に基づく。
CD=ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン溶媒
H2T=酒石酸溶媒
マンニトール1−5:マンニトールは、別個の試験において5回評価した(陽性コントロール)。各試験の結果を記載する。
【0134】
さらなる研究
表11は、ラットにおける重度CHIの後の処置中に記録されるいくつかの関連する生理学的変数の変化を示す。処置は重度の頭部損傷後20分で開始し、そして10分の間に0.5mg/kg/分、続いて50分の間に0.1mg/kg/分の用量を投与することを含む。
【0135】
【表21】

【0136】
初期値の%変化として表す、全処置期間にわたる平均変化。
値はメジアンである(95% C.I.)。
=溶媒群と有意に異なる(p<0.05、ダネット検定)。
溶媒:発熱物質なしの水中10%のヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン、酒石酸、NaOHおよびマンニトール;pH=4;容量オスモル濃度312−314mOsm/kg;化合物濃度2mg/ml。
化合物:ピリミド[1,2−a]ベンズイミダゾール−4(10H)−オン、3−[2−[4−(11,12−ジヒドロ−6H−ベンズイミダゾ[2,1−b][3]ベンズアゼピン−6−イル)−2−(フェニルメチル)−1−ピペリジニル]エチル]−2,10−ジメチル(E)−2−ブテン二酸塩(2:3)水和物(1:1)
化合物1:(B)[2α,4β](A)]
化合物2:(A)[2α,4β](A)]
ラセミ化合物(化合物1および化合物2):(2α,4β)(A)、すなわち、化合物1および化合物2のラセミ混合物
ICP:頭蓋内圧
MABP:平均動脈血圧
CPP:脳灌流圧
ETCO:呼吸終期CO
【0137】
MABPへの化合物2の有意な効果は、化合物を0.1mg/kg.分の連続注入で与える場合にそれほど顕著ではない。この場合、血圧ピークは存在せず、そして20%より大きいMABPの増加は認められない(注入の終了時のメジアンMABP増加は9%である、n=6)。この用量でのICPの最大減少は、10分にわたる5mg/kgの「負荷投与」が注入に先行する場合に認められるものに匹敵するが、この効果を得るために必要な時間はより長い(メジアン:30分)。
【0138】
ICPへのラニチジンおよびジフェンヒドラミンの効果
ラニチジンは、重度の頭部損傷を与えた後のラットCHIモデルにおいて2mg/kg/分の用量で6分間注入した。溶媒(NaCl+H2T)は、同じ速度で与えた。各群において、6匹のラットを処置した。ラニチジンは、溶媒処置群におけるよりICPの統計的に有意な大きい減少をもたらすことが認められた(0.5%減少に対して7.7%、これはp=0.013で有意であった)。減少のパーセンテージは、処置の開始時および注
入の終了時に記録されるICPの%変化として計算する。血圧の有意な変化は認められなかった。
【0139】
ジフェンヒドラミンは、重度の頭部損傷を与えた後のラットCHIモデルにおいて1mg/kg/分の用量で10分間注入した。3匹のラットを処置した。ジフェンヒドラミンは、血圧へのいかなる有意な影響もなしにICPの34%の減少をもたらすことが認められた。
【0140】
アゴニストとの比較実験
比較のために、2種の市販されているH2アゴニスト(ジマプリト(dimaprit)およびインプロミジン)もまた、ジマプリトには10分間0.5mg/kg/分の用量そしてインプロミジンには3.75mg/kg/時間までの増加する用量を用いて、外傷を与えていないラットへの注入により試験した。いかなる効果も認められなかった。ジマプリトを10分間2mg/kg/分の高容量で投薬し、そしてインプロミジンを0.5mg/kgのボーラスとして投薬した場合に血圧およびICPは降下するのが認められたが、処置の後に回復した。
【0141】
従って、ヒスタミンH1および/もしくはH2受容体アンタゴニストは、ICPを下げそしてその間に血圧に有意な影響をほとんど与えないという効果を示すと結論を下した。
【0142】
市販されているH1およびH2アンタゴニストでの実験
多数の市販されているH1およびH2アンタゴニストは、重度の頭部損傷を与えた後のラットCHIモデルにおいて0.5mg/kg/分の用量で10分間注入した。溶媒(NaCl+H2T)は、同じ速度で与えた。各群において、6匹のラットを処置した。最初の15分の間のICPおよびBPの反応の結果を表12に要約する。
【0143】
【表22】

【0144】
化合物1の用量応答
ラットCHIモデルにおける異なる用量(0.125、0.25、0.5、1および2mg/kg/分)での化合物1の10分注入の効果の盲検完全無作為化試験の結果は、処置の間に化合物1がICPの持続した用量依存的減少を引き起こすことを示す(図1)。1mg/kg/分から出発して化合物1は、溶媒処置群におけるよりICPの統計的に有意な大きい減少をもたらす。注入の後の10分の期間においてICPへの非常に有意な用
量依存的効果が依然として存在する(図2)。
【0145】
脳ヘモグロビン濃度および酸素付加への化合物2、化合物1およびラセミ化合物(化合物1および化合物2)の効果
「インビボ」ラット脳の近赤外分光法(NIRS)により、酸素での脳ヘモグロビンの飽和(HbSat)および総脳ヘモグロビン濃度([HbTot])を非侵襲的に定量することが可能である。後者は、脳血液容量(CBV)の尺度である。組織酸素付加の指標である、ミトコンドリア酵素シトクロムオキシダーゼ(CytOx)の酸化還元状態の変化もまたモニターすることができる。
【0146】
化合物2、1およびラセミ化合物(化合物1および化合物2)は全て、10分の間0.5mg/kg.分、続いて45分の間0.1mg/kg.分のi.v.用量で中等度頭部損傷の24時間後に与える場合に[HbTot]に有意な効果を生じない。化合物2のみが、HbSatのわずかであるが統計的に有意な減少を誘導する。HbSatは、化合物1およびラセミ化合物(化合物1および化合物2)により影響を受けない。用いた用量で全ての化合物は、CytOxの酸化還元状態に影響を与えない。これらの結果は、用いた実験条件において、脳血管への血管収縮作用は、存在するとしても、限られており、そして組織酸素付加は侵害されないことを示す。
【0147】
化合物2の効果への麻酔の影響
中等度外傷後24時間での化合物2での処置(30分の間0.1mg/kg.分の用量での注入)の効果を異なる麻酔薬(イソフルラン、抱水クロラール、ペントバルビタール)を用いて調べた。抱水クロラール(400mg/kg i.p)を麻酔薬として用いる場合、ICPは初期値の75%まで減少し、そしてMABPは初期値の110%まで徐々に増加する(メジアン、n=6)。これらの結果は、イソフルラン麻酔下で認められるものと同程度である。ペントバルビタール(60mg/kg i.p)を用いる場合、化合物2は注入の終了時に初期値の141%までMABPの有意な漸増を誘導し、一方、ICPは初期値の64%まで減少する(メジアン、n=6)。これらの結果は、ICPおよびMABPへの効果の同じパターンが様々なタイプの麻酔下で認められることを示す。バルビツレートは外傷性脳損傷患者に適用されることが多いので、化合物がペントバルビタール麻酔下で有意にICPを減少することは重要である。バルビツレートもまたICPを減少し、そして重要な付加的効果を化合物で得ることができる。
【0148】
外傷を与えたラットにおけるICP亢進への化合物1のそしてマンニトールの反復使用の効果
化合物1は、重度の頭部損傷の誘導の20分後に最初に開始して、10分の間1mg/kg/分のi.v.用量で20分の中断間隔で2回与えた。
【0149】
マンニトールは、0.125g/kg/分の用量で化合物1と同じ時間窓でi.v.で与えた。コントロール動物には溶媒(10% HP−β−CDを含有する、pH4)のみを与えた。
【0150】
化合物1の注入は、ICPの急速な減少をもたらす(図3)。この効果は、各注入期間の終了後に増幅される。血圧は、化合物1処置の間に降下するが、このエピソードの後に再び回復される。これは、各注入の間にICPの低下および血圧の上昇を、続いて各処置の終了後に血圧の減少を誘導するマンニトールと対照的である。化合物1で処置した動物においてのみ血圧およびICPの変化の間の明らかな分離を認めることができる。それに反して、マンニトールで処置した動物は、血圧および頭蓋内圧の多かれ少なかれ並行した変化を示す。これは、化合物1の薬理効果がマンニトールのものと異なることを示す。
【0151】
ウサギにおける低温損傷により誘導されるICPの上昇への化合物1の効果
組織浮腫により引き起こされる病的ICPを得るために成体ウサギにおいて低温損傷を誘導した。深く麻酔をかけたウサギの露出した頭蓋骨上の所定の位置に8mmのステンレス鋼棒を置き、そして液体窒素で10分間冷却した。1日後に動物に再び麻酔をかけ、そしてICPおよび血圧をラットに記述するように連続して記録した。15分の安定化期間の後、化合物1を2mg/kg/分の用量で10分間注入した。溶媒(10% HP−β−CDを含有する前臨床製剤、pH4)は、2ml/分の速度で10分間与えた。
【0152】
化合物1の注入の間、血圧は降下し、そしてICPの即時の減少はないが、溶媒処置動物において認められるICP上昇は相殺される傾向がある(図4)。薬剤注入を終了すると、血圧は初期値に戻り、そして有意なICP減少が見られ、これは全記録期間中続く。
【0153】
これらの結果は、化合物が非げっ歯動物種においてそして閉鎖性頭部損傷と異なる病的状態においてもICPを減少することを示す。
【0154】
外傷を与えていない動物におけるICPへの化合物1の効果
ラット
ICP、MABPおよびCPPへの化合物2、化合物1およびラセミ化合物(化合物1および化合物2)の効果を麻酔をかけた外傷を与えていないラットにおいて試験した。化合物はi.v.投与し、そして外傷を与えたラットと同じ用量を与えた(10分の間0.5mg/kg/分、続いて50分の間0.1mg/kg/分)。結果は、外傷を与えた動物において認められるものと類似した。
【0155】
結論
外傷を与えた動物、低温損傷を有する動物、および外傷を与えていない動物において認められる結果は、化合物が様々な状態において、正常な状態においてさえ有効であることを示す。それらの応用分野には、おそらく、頭蓋内圧亢進が存在する様々な病的状態が含まれる。
【0156】
以下に本発明の主な特徴と態様を列挙する。
【0157】
1.一般式(I)
【化29】

[式中:
mは1もしくは2であり;
nは0、1もしくは2であり;
a、b、cは独立して単結合もしくは二重結合であり;
Xは共有結合もしくはC1−6アルカンジイルの2価の基(ここで、1個もしくはそれ以上の−CH−基は、場合により−O−、−S−、−CO−もしくは−NR−(ここで、Rは水素、アルキル、Ar、Ar−アルキル、Het、Het−アルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシアルキルオキ
シアルキル、アミノアルキル、モノ−もしくはジアルキルアミノアルキル、ホルミル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アルキルカルボニルオキシアルキル、アルキルオキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルアルキル、アルキルアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルアルキル、ヒドロキシアルキルオキシアルキル、アミノカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アルキルオキシカルボニルもしくはアルキルカルボニルオキシアルキルオキシアルキルである)で置換されていてもよい)であり;
Yは2価のC1−4アルカンジイルもしくはC2−4アルケンジイル基であり;
ZはN(この場合、aは二重結合であり、そしてbは単結合である)もしくはN−R(この場合、aは単結合であり、bは二重結合であり、そしてRは上記のように定義される)であり;
、Rは独立して水素、ヒドロキシ、アルキル、アルキルオキシ、Ar、Ar−アルキル、ジ(Ar−)アルキル、HetもしくはHet−アルキルであり;
−A−B−は独立して式
−E−CR=CR− (a−1);
−CR=CR−E− (a−2);
−CR=CR−CR=CR− (a−3)
の2価の基であり;(ここで、
は各々独立して水素、ハロ、ヒドロキシ、アルキルもしくはアルキルオキシであり;
Eは式−O−、−S−もしくは−NR−(ここで、Rは上記のように定義される)の2価の基である);
−C−D−は独立して式
−CR=CR−CR=CR− (b−1);
−N=CR−CR=CR− (b−2);
−CR=N−CR=CR− (b−3);
−CR=CR−N=CR− (b−4);
−CR=CR−CR=N− (b−5)
の2価の基であり;(ここで、Rは上記のように定義される);
は水素、ハロ、ヒドロキシ、アルキル、アルキルオキシ、Ar、Ar−アルキル、ジ(Ar−)アルキル、HetもしくはHet−アルキルであり;
は水素、アルキル、アミノ、アルキルアミノ、Ar−アミノ、Het−アミノ、アルキルカルボニルアミノ、Ar−カルボニルアミノ、Het−カルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニルアミノ、Ar−アミノカルボニルアミノ、Het−アミノカルボニルアミノ、アルキルオキシアルキルアミノ、Ar−オキシアルキルアミノもしくはHet−オキシアルキルアミノであり;
は水素もしくはアルキルであるか;
またはRおよびRは一緒になって式
−M−CR=CR10− (c−1);
−CR10=CR−M− (c−2);
−M−CR−CR10− (c−3);
−CR10−CR−M− (c−4);
−CR=N−NR− (c−5);
−NR−N=CR− (c−6);
−CR=CR−CR10=CR− (c−7);
−CR−CR−CR10−M− (c−8);
−M−CR10−CR−CR− (c−9);
−CR−CR=N−NR− (c−10);
−NR−N=CR−CR− (c−11)
の2価の基を形成することができ;(ここで、
およびRは上記のように定義され;
、R10は独立して水素、アルキル、ハロ、ハロアルキルであるか;
またはRおよびR10は一緒になって式−CR=CR−CR=CR−の2価の基を形成することができ;そして
Mは式−CH−、−O−、−S−もしくは−NR−(ここで、Rは上記のように定義される)の2価の基である);
Arは、各置換基がヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ−もしくはジアルキルアミノ、アルキル、ハロアルキル、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、カルボキシル、アルキルオキシカルボニル、アミノカルボニルおよびモノ−もしくはジアルキルアミノカルボニルの群から独立して選択される、1、2もしくは3個の置換基で各々場合により置換されていてもよい、ナフチルおよびフェニルの群から選択される同素環であり;
Hetはピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびピリダジニルの群から選択される単環式複素環;もしくはキノリニル、キノキサリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾフラニルおよびベンゾチエニルの群から選択される二環式複素環であり;各単環式および二環式複素環は、場合により、炭素原子上でハロ、ヒドロキシ、アルキルもしくはアルキルオキシで置換されていてもよく;
アルキルは、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和した炭化水素基であるか;または3〜6個の炭素原子を有する環式の飽和した炭化水素基であるか;または1〜6個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和した炭化水素基に結合した3〜6個の炭素原子を有する環式の飽和した炭化水素基であり;ここで、各炭素原子は場合によりハロ、ヒドロキシ、アルキルオキシもしくはオキソで置換されていてもよく;
ハロはフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードの群から選択される置換基であり;
ハロアルキルは、1個もしくはそれ以上の炭素原子が1個もしくはそれ以上のハロ原子で置換されている、1〜6個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状の飽和した炭化水素基または3〜6個の炭素原子を有する環式の飽和した炭化水素基である]
のヒスタミンH1および/もしくはH2アンタゴニストとしての使用のための化合物、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体およびそのN−オキシド形態。
【0158】
2.互いに独立に、Arが、各置換基がハロもしくはアルキルの群から独立して選択される、1個の置換基で各々場合により置換されていてもよい、ナフチルもしくはフェニルであり、Hetがピリジニル、ピラジニルもしくはインドリルであり、アルキルがメチル、エチルもしくはシクロヘキシルメチルであり、ハロがフルオロもしくはクロロであり、そしてハロアルキルがトリフルオロメチルであることを特徴とする上記1.に記載のヒスタミン受容体アンタゴニスト。
【0159】
3.−A−B−が式(a−1)もしくは(a−3)(ここで、Eは式−O−、−S−もしくは−NR−(ここで、Rは水素である)の2価の基であり、Rは水素である)の2価の基であり、−C−D−が式(b−1)もしくは(b−2)(ここで、Rは水素である)の2価の基であり、そしてYが式−CH−、−CH−CH−もしくは−CH=CH−の2価の基であることを特徴とする上記1.〜2.のいずれか一つに記載のヒスタミン受容体アンタゴニスト。
【0160】
4.mおよびnが両方とも1であることを特徴とする上記1.〜3.のいずれか一つに記載のヒスタミン受容体アンタゴニスト。
【0161】
5.RおよびRが各々独立して水素、アルキル、Ar−アルキル、HetもしくはHet−アルキルであることを特徴とする上記1.〜4.のいずれか一つに記載のヒスタミ
ン受容体アンタゴニスト。
【0162】
6.Xが式−CHCH−もしくは−CHCHCH−の2価の基であることを特徴とする上記1.〜5.のいずれか一つに記載のヒスタミン受容体アンタゴニスト。
【0163】
7.Rが水素もしくはアルキルであり、ZがN−R(ここで、Rは水素もしくはアルキルであり、aは単結合であり、そしてbは二重結合である)であり、そしてRおよびRが一緒になって式(c−1)、(c−3)、(c−5)、(c−7)、(c−8)もしくは(c−10)(ここで、RおよびRは水素である)の2価の基を形成することを特徴とする上記1.〜6.のいずれか一つに記載のヒスタミン受容体アンタゴニスト。
【0164】
8.RおよびR10が一緒になって式−CR=CR−CR=CR−(ここで、Rは水素である)の2価の基を形成することを特徴とする上記7.に記載のヒスタミン受容体アンタゴニスト。
【0165】
9.化合物が3−[2−[4−(11,12−ジヒドロ−6H−ベンズイミダゾ[2,1−b][3]ベンズアゼピン−6−イル)−2−(フェニルメチル)−1−ピペリジニル]エチル]−2,10−ジメチルピリミド[1,2−a]ベンズイミダゾール−4(10H)−オン、その製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩、その立体化学的異性体およびそのN−オキシド形態であることを特徴とする上記1.に記載のヒスタミン受容体アンタゴニスト。
【0166】
10.化合物が3−[2−[4−(11,12−ジヒドロ−6H−ベンズイミダゾ[2,1−b][3]ベンズアゼピン−6−イル)−2−(フェニルメチル)−1−ピペリジニル]エチル]−2,10−ジメチルピリミド[1,2−a]ベンズイミダゾール−4(10H)−オン(E)−2−ブテン二酸塩(2:3)水和物(1:1)およびその立体異性体であることを特徴とする上記9.に記載のヒスタミン受容体アンタゴニストの酸付加塩。
【0167】
11.化合物が(A)[(2α,4β)(A)]鏡像異性体、(B)[(2α,4β)(A)]鏡像異性体もしくはその混合物であることを特徴とする上記9.および10.のいずれかに記載のヒスタミン受容体アンタゴニストもしくはその酸付加塩。
【0168】
12.上記1.〜11.のいずれか一つに記載の化合物を生成せしめるようにインビボ(in vivo)において分解される化合物。
【0169】
13.ヒスタミンH1およびH2受容体媒介疾患の処置用の薬剤の製造のための上記1.〜12.のいずれか一つに記載のヒスタミン受容体アンタゴニストの使用。
【0170】
14.哺乳動物における免疫制御、過敏症および/もしくは炎症反応の抑制ならびにアレルギー疾患および胃腸症状の処置および/もしくは予防用の薬剤の製造のための上記1.〜12.のいずれか一つに記載のヒスタミン受容体アンタゴニストの使用。
【0171】
15.哺乳動物における免疫制御、過敏症および/もしくは炎症反応の抑制ならびに胃腸症状の処置用の薬剤の製造のための上記1.〜12.のいずれか一つに記載のヒスタミン受容体アンタゴニストの使用。
【0172】
16.哺乳動物における頭蓋内圧(ICP)の減少用の薬剤の製造のためのヒスタミン受容体アンタゴニストの使用。
【0173】
17.哺乳動物における頭蓋内圧(ICP)亢進および/もしくは二次性虚血の減少用の薬剤の製造のためのヒスタミン受容体アンタゴニストの使用。
【0174】
18.哺乳動物における頭蓋内圧(ICP)の上昇および/もしくは二次性虚血の予防用の薬剤の製造のためのヒスタミン受容体アンタゴニストの使用。
【0175】
19.哺乳動物における頭蓋内圧(ICP)の上昇および/もしくは二次性虚血が外傷性および/もしくは非外傷性脳損傷により引き起こされることを特徴とする上記17.〜18.のいずれか一つに記載の薬剤の製造のためのヒスタミン受容体アンタゴニストの使用。
【0176】
20.ヒスタミン受容体アンタゴニストを静脈内に投与することを特徴とする上記13.〜19.のいずれか一つに記載の薬剤の製造のためのヒスタミン受容体アンタゴニストの使用。
【0177】
21.ヒスタミン受容体アンタゴニストがヒスタミンH1受容体アンタゴニスト、ヒスタミンH2受容体アンタゴニストおよび組み合わされたH1/H2アンタゴニスト活性を有するヒスタミン受容体アンタゴニストの群から選択されることを特徴とする上記16.〜20.のいずれか一つに記載の薬剤の製造のためのヒスタミン受容体アンタゴニストの使用。
【0178】
22.ヒスタミンアンタゴニストがアステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、ブロムフェニラミン、クロルシクリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、クレミゾール、シプロヘプタジン、ジメチンデン、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラチジン、ニアプラジン、オキサトミド、フェニラミン、プロメタジン、ピリラミン、ラニチジン、リタンセリン、チオチジン、ゾランチジン、その誘導体および前述の任意の2つもしくはそれ以上の混合物の群から選択されることを特徴とする上記21.に記載の薬剤の製造のためのヒスタミン受容体アンタゴニストの使用。
【0179】
23.ヒスタミンアンタゴニストがクロルシクリジン、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、ケトチフェン、ロラチジン、ラニチジン、チオチジン、ゾランチジン、その誘導体および前述の任意の2つもしくはそれ以上の混合物の群から選択されることを特徴とする上記21.に記載の薬剤の製造のためのヒスタミン受容体アンタゴニストの使用。
【0180】
24.ヒスタミン受容体アンタゴニストが上記1.〜12.のいずれかに記載の化合物であることを特徴とする上記16.〜20.のいずれか一つに記載の薬剤の製造のためのヒスタミン受容体アンタゴニストの使用。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物における頭蓋内圧(ICP)の減少用の医薬の製造のための、ヒスタミンH1受容体アンタゴニスト、ヒスタミンH2受容体アンタゴニストおよび組み合わされたH1/H2アンタゴニスト活性を有するヒスタミン受容体アンタゴニスト、の群から選択されるヒスタミン受容体アンタゴニストの使用。
【請求項2】
哺乳動物における頭蓋内圧(ICP)亢進および/もしくは二次性虚血の減少用の医薬の製造のための、ヒスタミンH1受容体アンタゴニスト、ヒスタミンH2受容体アンタゴニストおよび組み合わされたH1/H2アンタゴニスト活性を有するヒスタミン受容体アンタゴニスト、の群から選択されるヒスタミン受容体アンタゴニストの使用。
【請求項3】
哺乳動物における頭蓋内圧(ICP)の上昇および/もしくは二次性虚血の予防用の医薬の製造のための、ヒスタミンH1受容体アンタゴニスト、ヒスタミンH2受容体アンタゴニストおよび組み合わされたH1/H2アンタゴニスト活性を有するヒスタミン受容体アンタゴニスト、の群から選択されるヒスタミン受容体アンタゴニストの使用。
【請求項4】
哺乳動物における頭蓋内圧(ICP)の上昇および/もしくは二次性虚血が外傷性および/もしくは非外傷性脳損傷により引き起こされることを特徴とする、請求項2から3のいずれか一つに記載の使用。
【請求項5】
ヒスタミン受容体アンタゴニストを静脈内に投与することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一つに記載の医薬の製造のためのヒスタミン受容体アンタゴニストの使用。
【請求項6】
医薬の製造のための請求項1から5のいずれか一つに記載のヒスタミン受容体アンタゴニストの使用であって、ヒスタミンアンタゴニストが、アクリバスチン、アリメマジン、アンタゾリン、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、ブロムフェニラミン、ブクリジン、カルビノキサミン、カレバスチン、セチリジン、クロルシクリジン、クロルフェニラミン、シンナリジン、クレマスチン、クレミゾール、クロシニジン、クロニジン、シクリジン、シプロヘプタジン、デスカルボエトキシロラチジン、デクスクロルフェニラミン、ジメンヒドリナート、ジメチンデン、ジメトチアジン、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、ドキシラミン、エバスチン、エフレチリジン、エピナスチン、フェクソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、レボカバスチン、ロラチジン、メクリジン、メキタジン、メトジラジン、ミアンセリン、ミゾラスチン、ニアプラジン、ノベラスチン、ノラステミゾール、オキサトミド、オキソメマジン、フェンベンザミン、フェニラミン、ピクマスト(picumast)、プロメタジン、ピリラミン、テメラスチン、テルフェナジン、トリメプラジン、トリペレナミンおよびトリプロリジン、その誘導体ならびに前述の任意の2つもしくはそれ以上の混合物、の群から選択されることを特徴とする、上記使用。
【請求項7】
医薬の製造のための請求項1から5のいずれか一つに記載のヒスタミン受容体アンタゴニストの使用であって、ヒスタミンアンタゴニストが、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、ブロムフェニラミン、クロルシクリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、クレミゾール、シプロヘプタジン、ジメチンデン、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラチジン、ニアプラジン、オキサトミド、フェニラミン、プロメタジン、ピリラミン、ラニチジン、リタンセリン、チオチジン、ゾランチジン、その誘導体および前述の任意の2つもしくはそれ以上の混合物、の群から選択されることを特徴とする、上記使用。
【請求項8】
医薬の製造のための請求項5に記載のヒスタミン受容体アンタゴニストの使用であって
、ヒスタミンアンタゴニストが、クロルシクリジン、クロルフェニラミン、ジメチンデン、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、プロメタジン、ピリラミン、チオチジンおよびゾランチジン、その誘導体および前述の任意の2つもしくはそれ以上の混合物、の群から選択されることを特徴とする、上記使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−102417(P2009−102417A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23575(P2009−23575)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【分割の表示】特願2003−545660(P2003−545660)の分割
【原出願日】平成14年11月22日(2002.11.22)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】