説明

頭頚部癌の同定、モニタリングおよび治療のためのバイオマーカー

癌を治療する本発明の組成物および方法、ならびに治療用化合物に対する癌細胞の反応性にアクセスする/をモニタする方法。一局面において、本発明は、頭頚部癌を有する対象の治療レジメン治療の有効性にアクセスする方法を提供し、この方法は、前記対象からの試料中における1種または複数のHNCMARKERの有効量のレベルを検出すること、および1種または複数のHNCMARKERの有効量のレベルを基準値と比較することによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、2008年5月14日に出願されたU.S.S.N第61/053,210号(この内容は、その全体が参考として援用される)の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般に、バイオマーカーの同定と、頭頚部癌のスクリーニング、予防、診断、療法、モニタリングおよび予後においてかかるバイオマーカーを使用する方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
頭頚部癌は、世界的で5番目に多い悪性疾患を示し、それは、上気道および上部消化管における最もよく認められる新生物である(非特許文献1)。HN悪性疾患の大部分は、扁平上皮癌(SCC)である。実際上は、頭頚部癌は、3つの臨床ステージ:早期、局所進行期、および転移期または再発期に分けられる。治療アプローチは、疾患ステージに応じて変化し得る。局所進行頭頚部癌の治療における化学療法は、無病生存および/または全生存の転帰が改善し、併用化学放射線療法(concurrent chemoradiotherapy)は、局所進行切除不能疾患の患者のための標準治療として認められてきた(非特許文献2;非特許文献3)。しかし、現在の療法決定は、しばしば患者の転帰を予測できない。頭頚部癌患者の層別化のために、および治療決定を導くために、相対的に少しのバイオマーカーの情報しか利用できない。したがって、癌検出のより良好な方法、分子境界評価の方法、および予後のバイオマーカーは、著しい有用性がある。これは、より高リスクの患者とより低リスクの患者との間の層別化の改善につながるはずであり、前記患者は、より選択的でかつ個人化された方法で治療され得る。
【0004】
DNA修復とは、細胞が、そのゲノムをコードするDNA分子への損傷を同定しかつ修正する一まとまりのプロセスを指す。ヒト細胞において、正常な代謝活性および環境因子、例えばUV光の両方は、DNA損傷を引き起こす可能性があり、それは1日当たり細胞1個につき1,000,000もの多くの個々の分子病変をもたらす。これらの病変の多くは、DNA分子に対して構造的損傷を引き起こし、影響を受けたDNAがコードする遺伝子を転写する細胞の能力を変化させるか、もしくは無くす可能性がある。他の病変は、細胞のゲノムにおける潜在的に有害な突然変異を誘導する可能性があり、それは、有糸分裂を起こした後のその娘細胞の生存に影響を及ぼす。したがって、DNA修復プロセスは常に活性でなければならず、それによってDNA構造内におけるいかなる損傷にも速やかに反応することができる。
【0005】
DNA修復の速度は、細胞型、細胞ができてからの年数および細胞外の環境を含む多くの因子に依存する。大量のDNA損傷を蓄積した細胞、またはそのDNAが被った損傷をもはや有効に修復しないものは、3つの可能な状態:老化として公知の不可逆的活動停止状態;アポトーシスもしくはプログラム細胞死としても公知の細胞自殺、または腫瘍の形成につながる可能性のある無秩序な細胞分裂、の1つに入る可能性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Parkin DM, Bray F, Ferlay J, Pisani Pら、Estimating the world cancer burden: Globocan 2000. Int J Cancer(2001)94:153〜156
【非特許文献2】Seiwert TY, Salama JK, Vokes EE. The chemoradiation paradigm in head and neck cancer. Nat Clin Pract Oncol.(2007)4(3):156〜71
【非特許文献3】Salama JK, Seiwert TY, Vokes EE. Chemoradiotherapy for locally advanced head and neck cancer. J Clin Oncol.(2007)Sep 10;25(26):4118〜26
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、特定の生物学的マーカー(本明細書において、「HNCMARKER」と称される)、例えばタンパク質、核酸、多型、代謝産物、および他の検体、ならびに特定の生理学的条件および状態の発見に部分的に関する。
【0008】
本発明は、頭頚部癌を有する対象の治療レジメン治療の有効性にアクセスする方法であって、前記対象からの試料中における1種または複数のHNCMARKERの有効量のレベルを検出すること、および1種または複数のHNCMARKERの有効量のレベルを基準値と比較することによる方法を提供する。
【0009】
別の一態様において、本発明は、頭頚部癌の対象の治療レジメンをモニタする方法であって、第1期間での前記対象からの第1試料中における1種または複数のHNCMARKERの有効量のレベルを検出すること、および第2期間での前記対象からの第2試料中における1種または複数のHNCMARKERの有効量のレベルを検出することによる方法を提供する。第1試料中において検出された1種または複数のHNCMARKERの有効量のレベルが、第2試料中において検出された前記量と、または基準値と比較される。
【0010】
さらなる一態様において、本発明は、頭頚部癌の対象に治療レジメンが有益であるかどうかを決定する方法であって、1種または複数のHNCMARKERの有効量のレベルを検出すること、検出された1種または複数のHNCMARKERの有効量のレベルを基準値と比較することによる方法を提供する。
【0011】
その上さらなる一態様において、本発明は、頭頚部癌と診断された対象の生存性を予測するための方法であって、前記対象からの試料中における1種または複数のHNCMARKERの有効量のレベルを検出すること、および1種または複数のHNCMARKERの有効量のレベルを基準値と比較することによる方法を提供する。
【0012】
別の一態様において、本発明は、少なくとも1種のHNCMARKERの変化を同定することを含む、化学療法剤に対する頭頚部癌の感受性を決定する方法を提供する。前記変化の存在は、前記細胞が化学療法剤に対して感受性を有することを示す。
【0013】
一態様において、本発明は、少なくとも1種のHNCMARKERの変化を同定することを含む、化学療法剤に対する頭頚部癌の耐性を決定する方法を提供する。前記変化の欠如は、前記細胞が化学療法剤に対して耐性を有することを示す。
【0014】
前記変化は増加または減少である。前記変化は、HNCMARKERにおける突然変異またはHNCMARKERの翻訳後修飾を検出することにより決定される。翻訳後修飾としては、例えば、リン酸化、ユビキチン化、SUMO化、アセチル化、アルキル化、メチル化、グリシル化(glycylation)、グリコシル化、イソプレニル化、リポイル化、ホスホパンテテイニル化(phosphopantetheinylation)、硫酸化、セレン化(selenation)およびC末端アミド化が挙げられる。
【0015】
前記治療レジメンは、セツキシマブ等の免疫療法、導入補助化学療法、併用化学放射線療法またはそれらの組合せである。前記化学療法または化学放射線療法は、カルボプラチンもしくはプラチナ薬剤の関連のクラスの1種、タキサンもしくはタキサンのクラスの1種、または両方を含む。
【0016】
前記対象は、頭頚部癌の治療を受けた対象である。例えば、前記対象は、免疫療法、導入補助化学療法、併用化学放射線療法またはそれらの組合せを受けた対象である。あるいは、対象は、頭頚部癌の治療を受けていない対象である。
【0017】
場合により、本発明の方法は、腫瘍と関連する少なくとも1種の標準パラメータを測定することをさらに含む。HNCMARKERのレベルは、免疫組織化学により測定される。
【0018】
前記HNCMARKERは、本明細書に開示されるいずれかのマーカーである。例えば、HNCMARKERは、表1に列挙されるいずれかのマーカーである。
【0019】
いくつかの態様において、前記HNCMARKERは、XPF、FANCD2、RAD51、BRCA1、ATM、PAR、p53、ERCC1、pH2AXまたはpMK2である。
【0020】
一態様において、前記HCNMARKERは、
a)XPF、ならびにFANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
b)FANCD2、ならびにXPF、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
c)pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、ならびにXPF、FANCD2、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
d)pH2AX、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
e)BRCA1、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
f)PAR、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
g)ATM、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
h)ERCC1、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
i)RAD51、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
j)p53、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
k)POL H、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
l)MUS81、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
m)p16、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
n)HPV、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81およびp16からなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER
である。
【0021】
別の一態様において、前記HCNMARKERは、
a)XPF、ならびにFANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
b)FANCD2、ならびにXPF、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
c)pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、ならびにXPF、FANCD2、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
d)pH2AX、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
e)BRCA1、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
f)PAR、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
g)ATM、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
h)ERCC1、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
i)RAD51、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
j)p53、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
k)POL H、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
l)MUS81、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
m)p16、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
n)HPV、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81およびp16からなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER
である。
【0022】
さらなる一態様において、前記HCNMARKERは、
a)XPF、ならびにFANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
b)FANCD2、ならびにXPF、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
c)pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、ならびにXPF、FANCD2、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
d)pH2AX、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
e)BRCA1、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
f)PAR、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
g)ATM、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
h)ERCC1、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
i)RAD51、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
j)p53、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
k)POL H、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
l)MUS81、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
m)p16、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
n)HPV、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81およびp16からなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER
である。
【0023】
別の一態様において、HNCMARKERは、表2〜10に列挙されるいずれかの(1種または複数の)マーカーある。
【0024】
また、本発明により、表1および表2におけるバイオマーカーの一覧から得られるアルゴリズムであって、前記バイオマーカーが前記パネル内における他のバイオマーカーに対してどのように関連付けられるのかを明示し、その結果、前記バイオマーカーアルゴリズムが頭頚部癌の治療反応の予測値または予後値を示す、アルゴリズムも提供される。
【0025】
特に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術的および科学的な用語は、本発明が帰属する当技術分野における当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似のまたは同等の方法および材料を、本発明の実施または試験において使用することができるが、適切な方法および材料が以下に記載される。本明細書において挙げられた全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。さらに、材料、方法および実施例は、例証を示すのみであって、限定することを意図するものではない。
【0026】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1−1】図1は、病理学者によってスコア化された強度および量の値と機械を使った画像解析および定量化を対比した関連を示す図である。頭頚部癌患者それぞれについて、XPF DNA修復バイオマーカーを用いた免疫組織化学についての代替スコア化戦略間で比較を行った。機械によるスコア化は核の割合(%N)、核の割合×平均強度(%N×AvI)、および核の割合×強度(%N×I)を含む。病理学者によるスコアは、強度(I)または量(Q)によるものであった。示した相関プロットは、R値によって類似性についてコンピュータ処理したものである。これらの相関においてR値は0.744〜0.839の範囲である。
【図1−2】図1は、病理学者によってスコア化された強度および量の値と機械を使った画像解析および定量化を対比した関連を示す図である。頭頚部癌患者それぞれについて、XPF DNA修復バイオマーカーを用いた免疫組織化学についての代替スコア化戦略間で比較を行った。機械によるスコア化は核の割合(%N)、核の割合×平均強度(%N×AvI)、および核の割合×強度(%N×I)を含む。病理学者によるスコアは、強度(I)または量(Q)によるものであった。示した相関プロットは、R値によって類似性についてコンピュータ処理したものである。これらの相関においてR値は0.744〜0.839の範囲である。
【図2−1】図2は、頭頚部癌における、試料内分散をはるかに超えた患者間でのマーカー出力の変動を示す図である。A、コア−コア分散についての算定の理論上の定義および順位変化の評価;B、表は、HNCMARKERについて評価された患者の平均誤差およびN数を示す;C、4種HNCMARKERについての患者順位付けの結果。患者のマーカースコアは最低値から最高値までソートしてあり、患者ごとのコア−コア変動を垂直の破線で表示している。
【図2−2】図2は、頭頚部癌における、試料内分散をはるかに超えた患者間でのマーカー出力の変動を示す図である。A、コア−コア分散についての算定の理論上の定義および順位変化の評価;B、表は、HNCMARKERについて評価された患者の平均誤差およびN数を示す;C、4種HNCMARKERについての患者順位付けの結果。患者のマーカースコアは最低値から最高値までソートしてあり、患者ごとのコア−コア変動を垂直の破線で表示している。
【図2−3】図2は、頭頚部癌における、試料内分散をはるかに超えた患者間でのマーカー出力の変動を示す図である。A、コア−コア分散についての算定の理論上の定義および順位変化の評価;B、表は、HNCMARKERについて評価された患者の平均誤差およびN数を示す;C、4種HNCMARKERについての患者順位付けの結果。患者のマーカースコアは最低値から最高値までソートしてあり、患者ごとのコア−コア変動を垂直の破線で表示している。
【図2−4】図2は、頭頚部癌における、試料内分散をはるかに超えた患者間でのマーカー出力の変動を示す図である。A、コア−コア分散についての算定の理論上の定義および順位変化の評価;B、表は、HNCMARKERについて評価された患者の平均誤差およびN数を示す;C、4種HNCMARKERについての患者順位付けの結果。患者のマーカースコアは最低値から最高値までソートしてあり、患者ごとのコア−コア変動を垂直の破線で表示している。
【図3】図3は、併用化学放射線療法後の頭頚部癌患者の全生存を判別する試験における、HNCMARKERの1種、2種、3種、および4種マーカーモデル全てについての区分解析を示す図である。1種、2種、3種、および4種マーカーモデルの例における試験でHNCMARKERについて区分解析を算定した。この型のモデル全ての分布を下記の統計パラメータに対して決定して示した:p値、陽性予測値、相対リスク、および平均誤差率(AER)。各型のモデル全てについて、中央値を四角プロットに収束させることにより図示し、値の範囲を角括弧で示す。濃く影を付けた四角は、モデルの分布それぞれについての95%値を示す。これら4つの統計パラメータは、アルゴリズム中のマーカー数を増加させることによって、統計力が1<2<3<4になるように改善されることを例示していることが明らかである。
【図4】図4は、多数マーカーモデルにおいて改善される、併用化学放射線療法で治療した後の全生存に対する根源マーカーの性能を示す図である。標的とした特異的な単一バイオマーカーの開始点を用いた試験においてHNCMARKERについて区分解析を算定した。示した例では算定された5種の根源マーカーは、FANCD2、XPF、BRCA1、ATMおよびRAD51である。まず1種マーカーモデル、次いで常に同じ根源マーカーを含有する2種、3種、および4種マーカーモデル全てを示す。どの場合においても、コンピュータ処理したlog10P値(四角)、陽性予測値(PPV)(三角)およびAER(黒丸)を単独の根源マーカーそれぞれについて、および2種、3種および4種マーカーモデルにおける他のHNCMARKERとの組合せについて示す。全てのモデルの中央値を各モデルについてプロットした。
【図5−1】図5は、併用化学放射線療法で治療された頭頚部癌患者において全生存を予測するHNCMARKERの多数マーカーアルゴリズムについての区分解析を示す図である。特異的なマーカーの組合せにおける根源マーカーの役割の2つの例を、選択された2種、3種および4種マーカーモデルを比較することによって例示する。示した統計解析はデータタブレットから取得したものであり、群内のHNCMARKERについてのカプラン・マイヤー曲線を強調している。P値を各プロットに挿入し、黒い破線は試験における全患者の傾向である。例1では、根源マーカーはPARであり、2種、3種および4種マーカーの組合せで追加したマーカーは、RAD51、XPF、およびFANCD2である。例2では、根源マーカーはpMK2であり、2種、3種および4種マーカーの組合せで追加したマーカーは、BRCA1、FANCD2、およびp53である。
【図5−2】図5は、併用化学放射線療法で治療された頭頚部癌患者において全生存を予測するHNCMARKERの多数マーカーアルゴリズムについての区分解析を示す図である。特異的なマーカーの組合せにおける根源マーカーの役割の2つの例を、選択された2種、3種および4種マーカーモデルを比較することによって例示する。示した統計解析はデータタブレットから取得したものであり、群内のHNCMARKERについてのカプラン・マイヤー曲線を強調している。P値を各プロットに挿入し、黒い破線は試験における全患者の傾向である。例1では、根源マーカーはPARであり、2種、3種および4種マーカーの組合せで追加したマーカーは、RAD51、XPF、およびFANCD2である。例2では、根源マーカーはpMK2であり、2種、3種および4種マーカーの組合せで追加したマーカーは、BRCA1、FANCD2、およびp53である。
【図6】図6は、確率解析の概略図である。確率解析は、HNCMARKER出力の連続的なスコア化を可能にする計算プロセスである。アルゴリズムにおいて、確率密度分布の推定値から死亡発生率が低い領域および死亡発生率が高い領域が提案される。高生存(すなわち、無病生存または全生存)群および低生存群について、群の構成員を反映する単一スコアを個々の群の確率から構築する。再発などの追加のエンドポイントに対しても同様の解析が使用可能である。
【図7】図7は、化学放射線療法で治療された頭頚部癌患者に対する単一HNCMARKER確率解析を示す図である。HNCMARKERの例であるXPFは、転帰によるスコア、カプラン・マイヤー疾患特異的生存曲線、スコアからの予測転帰、確率解析および統計算定からのスコアからのROCプロットについての射影を示すことが示されている。生存についての転帰のカプラン・マイヤー射影に関して、HIGHは高生存サブグループであり、LOWは低DSSサブグループである。黒い破線は、全患者である。
【図8】図8は、併用化学放射線療法で治療された患者についての全生存に対する単一HNCMARKERの確率予測を示す図である。例に、一変量確率解析の試験での5種のバイオマーカーを示す(XPF、FANCD2、BRCA1、ATMおよびRAD51)。カプラン・マイヤー生存曲線について、HIGHおよびLOWは、それぞれ、高全生存率(良い転帰)および低全生存率(悪い転帰)にサブグループ化される患者を示す。他の統計パラメータを用いた追加のデータは表6に示す。
【図9】図9は、併用化学放射線療法で治療した後の頭頚部癌患者の全生存に対する、1種、2種、3種および4種HNCMARKERモデル全てについてのDNA修復HNCMARKER確率解析を示す図である。本解析におけるマーカーはHNCMARKER群を含んだ。1種マーカー、2種マーカー、3種マーカーおよび4種マーカーの組合せ全てを比較し、x軸に1、2、3または4としてプロットした。狭い白い四角で示した群内の全モデルの中央値は、各プロット値の中央領域である。黒い四角は中央値の95%信頼性区間を示す。外側の白い四角は、データの中央半分である(中央値より上の白色部分はデータの四分の一であり、中央値より下の白色部分はデータの四分の一である)。評価された統計値は、割り当てられた試料画分、AUC、感受性、および特異性であった。
【図10】図10は、根源マーカーの性能の確率解析を示す図である。標的とした特異的な単一バイオマーカーの開始点を用いた試験においてHNCMARKERについて確率解析を算定した。示した例では、算定された5種の根源マーカーは、FANCD2、XPF、BRCA1、ATMおよびRAD51である。まず1種マーカーモデル、次いで常に同じ根源マーカーを含有する2種、3種、および4種マーカーモデル全てを示した。どの場合においても、コンピュータ処理したlog10P値(四角)、陽性予測値(PPV)(三角)およびAER(黒丸)を単独の根源マーカーそれぞれについて、および2種、3種および4種マーカーモデルにおける他のHNCMARKERとの組合せについて示す。全てのモデルの中央値を各モデルにプロットした。
【図11−1】図11は、多数マーカーによって混同が減少する確率解析の実証を示す図である。示した例は試験結果が混同される、つまり、患者が、生存が良い群または生存が悪い群のどちらに入るのかに関して曖昧さがある試験群内の患者全体の画分を少なくすることにおけるHNCMARKERの役割を例示している。転帰スコアを確率解析から+1〜−1の範囲で展開する。x軸上に項目として列挙した各患者を評価した。濃い垂直線は、全ての1種HNCMARKERモデル(左)および4種HNCMARKERモデルについての95%信頼性区間を示し、破線はこの試験の患者の範囲を示す。囲み枠の領域は、95%信頼性区間内の、試験結果に混同があった患者画分を示す。4種HNCMARKERモデルでは、患者コホートにおける混同群が有意に縮小した。
【図11−2】図11は、多数マーカーによって混同が減少する確率解析の実証を示す図である。示した例は試験結果が混同される、つまり、患者が、生存が良い群または生存が悪い群のどちらに入るのかに関して曖昧さがある試験群内の患者全体の画分を少なくすることにおけるHNCMARKERの役割を例示している。転帰スコアを確率解析から+1〜−1の範囲で展開する。x軸上に項目として列挙した各患者を評価した。濃い垂直線は、全ての1種HNCMARKERモデル(左)および4種HNCMARKERモデルについての95%信頼性区間を示し、破線はこの試験の患者の範囲を示す。囲み枠の領域は、95%信頼性区間内の、試験結果に混同があった患者画分を示す。4種HNCMARKERモデルでは、患者コホートにおける混同群が有意に縮小した。
【図12】図12は、併用化学放射線療法で治療されている頭頚部癌患者についての全生存に対する3種マーカーモデル−RAD51、BRCA1、FANCD2の確率解析を示す図である。いくつかの異なる統計出力を図示して臨床データの評価に対するHNCMARKERの組合せの効果を実証する。転帰によるスコアは、患者を、事象を有する者(死亡)または無事象の者(生存)で分離し、4種マーカー試験の試験結果が正確に判定される確率を−1.0〜+1.0の尺度でプロットする。カプラン・マイヤー生存曲線について、HIGHおよびLOWは、それぞれ、高全生存率(良い転帰)および低全生存率(悪い転帰)にサブグループ化される患者を指す。黒い破線は、評価した全ての患者の傾向を示す。スコアからの予測転帰は、確率スコアと対照して事象(死亡)の尤度をプロットすることにより示す(破線は95%信頼性区間);スコアからのROCプロットは、列挙した曲線下面積(AUC)感受性/特異性の決定であり、値は0〜1の範囲である。
【図13】図13は、併用化学放射線療法で治療されている頭頚部癌患者についての全生存に対する4種マーカーモデルの確率解析を示す図である。この例で使用された4種のHNCMARKERは、XPF、FANCD2、BRCA1およびATMである。いくつかの異なる統計出力を例示して、臨床データの評価に対するHNCMARKERの組合せの効果を実証する。転帰によるスコアは、患者を、事象を有する者(死亡)または無事象の者(生存)で分離し、4種マーカー試験の試験結果が正確に判定される確率を−1.0〜+1.0の尺度でプロットする。カプラン・マイヤー生存曲線について、HIGHおよびLOWは、それぞれ、高全生存率(良い転帰)および低全生存率(悪い転帰)にサブグループ化される患者を指す。黒い破線は、評価した全ての患者の傾向を示す。スコアからの予測転帰は、確率スコアと対照して事象(死亡)の尤度をプロットすることにより示す(破線は95%信頼性区間);スコアからのROCプロットは、列挙した曲線下面積(AUC)感受性/特異性の決定であり、値は0〜1の範囲である。
【図14】図14は、併用化学放射線療法で治療されている頭頚部癌患者についての全生存に対する4種マーカーモデルの確率解析を示す図である。この例で使用された4種のHNCMARKERは、XPF、FANCD2、RAD51およびATMである。いくつかの異なる統計出力を例示して、臨床データの評価に対するHNCMARKERの組合せの効果を実証する。転帰によるスコアは、患者を、事象を有する者(死亡)または無事象の者(生存)で分離し、4種マーカー試験の試験結果が正確に判定される確率を−1.0〜+1.0の尺度でプロットする。カプラン・マイヤー生存曲線について、HIGHおよびLOWは、それぞれ、高全生存率(良い転帰)および低全生存率(悪い転帰)にサブグループ化される患者を指す。黒い破線は、評価した全ての患者の傾向を示す。スコアからの予測転帰は、確率スコアと対照して事象(死亡)の尤度をプロットすることにより示す(破線は95%信頼性区間);スコアからのROCプロットは、列挙した曲線下面積(AUC)感受性/特異性の決定であり、値は0〜1の範囲である。
【図15】図15は、HNCMARKERモデルにより、頭頚部癌の治療において疾患特異的生存サブグループの患者を有意に判別されることを示す図である。代替の臨床パラメータを評価した。疾患特異的生存(DSS)。この例は、log10p値の統計出力を用いた単一HNCMARKERについての区分解析算定を示す。例示した4種のマーカーについての値は、XPF(p=1.74e−5)、BRCA1(p=8.5e−4)、FANCD2(p=4.58e−4)、およびRAD51(p=0.0013)であった。HIGHは、高生存サブグループ、LOWは低DSSサブグループである。黒い破線は、全患者である。
【図16】図16は、頭頚部癌患者の疾患特異的生存をモニタすることによって、化学放射線療法の有益性を区別するための4種のHNCMARKERモデルを示す図である。代替の臨床パラメータ、疾患特異的生存(DDS)について、BRCA1、XPF、RAD51およびFANCD2で構成される4種HNCMARKAERモデルの1つの例を用いて評価した。カプラン・マイヤー疾患特異的生存曲線をプロットし、高生存群と低生存群間の有意性をlog10p値によって評価した。左の区分解析では、log10p値=2.9e−6であった。右の確率解析では、log10p値=5.35e−4であった。HIGHは高生存サブグループ、LOWは低DDSサブグループである。黒い破線は全患者である。
【図17】図17は、頭頚部癌における導入補助化学療法に対する反応予測が改善されることを示すXPF一変量解析を示す図である。チャートは、XPFバイオマーカーの一変量解析は、反応者サブグループ(CRおよびPR)と安定疾患(SD)間の判別に相対してスコア化されることを示している。低XPFスコアは導入補助化学療法の治療に対して100%の反応率を示した。この試験での患者37人のうち、11人が完全反応を有し、19人が部分反応を有し、7人が安定疾患を有した。
【図18】図18は、頭頚部癌における導入補助化学療法から成功の予測をするための2種HNCMARKER解析を示す図である。DNA修復バイオマーカー比較の2つの例を、これらの3種のマーカー:XPF、pMK2、pH2AXを用いた対での組合せで示す。三角はSD患者であり、丸はCR/PR患者である。患者は区分解析によって分離する。点線の四角は、両方のマーカーについての予測が100%SDの群があるSD含有群を示す。下の四半分は、対での組合せについてのAUC値を示す図である。
【図19】図19は、頭頚部癌における導入補助化学療法予測におけるHNCMARKERの2種マーカー解析:代替スフェア判別解析を示す図である。HNCMARKERのNE05(XPF)、DR07(pH2AX)、DR02(pMK2)を、2種マーカーアルゴリズムにおいて互いに評価し、2つの同心円の中心をCR/PR(反応者)およびSD(非反応者)について比較する。どちらかの群と密接に関連してグループ化される患者は、2種マーカーアルゴリズムによって正確に評価されている尤度が最も大きい。
【図20】図20は、頭頚部癌における導入補助化学療法に対する患者の反応に有益である多数HNCMARKERを示す図である。DNA修復バイオマーカーパネルの目的は、反応者サブグループ(CRおよびPR)と安定疾患(SD)との間を判別することであった。真の反応者である患者を識別することにおいてバイオマーカーおよび/または2種または3種バイオマーカーパネルの値を示すために、安定疾患患者を正確に判定することに誤差がない場合に算定を行った(100%安定疾患/進行性疾患正確)。このように、全ての1種マーカーモデルを2種マーカーモデルおよび3種マーカーモデル全てと比較した。2種マーカーモデルはM1+M2(加法的)およびM1/M2(比)であった。3種マーカーはM1+M2+M3(加法的)およびM1/M2+M3(比+加法的)であった。結果を組合せAUCとしてコンピュータ処理し、正確に判定されたCR/PR(反応者)画分に基づいて順位付けした。
【図21】図21は、導入補助化学療法に対する頭頚部癌の反応をHNCMARKERに関して分類木解析した図である。分類木の各節についての決定点は、各スプリットが反応サブグループを最大限区別する(SD対CR/PR)ところで帰納的に分割することによって作製する。停止群サイズに達するまで分裂を続ける(群のサイズ=1で完璧な分類が得られる)。費用複雑性目的関数に基づいて枝刈りで最小の説明的な枝を除去する。この決定木に関して、4種マーカーモデルによって、患者反応カテゴリーの最善の5節分離が得られる。DNA修復バイオマーカーおよび反応バイオマーカーは、いくつかのDNA修復経路を表すXPF、pMK2、PARおよびpH2AXである。図は、各節における患者の分布を示す。パートbは、導入補助化学療法からの5節HNCMARKERモデル枝刈り分類木に対する混同マトリックスを示す。この方法は、患者反応の予測分布と実際の分布を比較する。逐次的なサイズの木それぞれについて誤差の減少に基づく5節を無作為でなく選択する。5節モデルは記載した分散全体の約1/2を示し、簡素化のための良い「経験則」であることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、頭頚部癌に関連するバイオマーカーの同定に関する。具体的には、これらのバイオマーカーは、DNA修復経路において関連するタンパク質である。DNA修復経路は、化学療法および放射線に対する細胞反応ネットワークにとって重要である。腫瘍細胞は、DNA修復経路およびDNA損傷反応経路を変化させ、これらの経路の1つの喪失により、癌は、特定のクラスのDNA損傷作用因子に対してより感受性が高くなる。癌療法の手法、例えば化学療法や放射線療法は、細胞死をもたらすDNA損傷を修復する細胞の能力を圧倒的に上回ることにより機能する。
【0029】
いくつかの基準により区別可能な6種の主要なDNA修復経路があり、これらは一本鎖の損傷を修復するものと、二本鎖の損傷を修復するものとの3つの群に分けることが可能である。一本鎖損傷修復経路としては、塩基除去修復(BER);ヌクレオチド除去修復(NER);ミスマッチ修復(MMR);相同組換え/ファンコニ貧血経路(HR/FA);非相同末端結合(NHEJ)、および損傷乗り越え型DNA合成修復(TLS)が挙げられる。
【0030】
BER、NERおよびMMR修復一本鎖DNA損傷。二重らせんの2本の鎖の1本だけが欠損を有する場合、他の鎖は、損傷を受けた鎖の修正を誘導するために鋳型として使用され得る。DNAの2個の対の分子の一方に対する損傷を修復するため、損傷を受けたヌクレオチドを取り除き、それを、無損傷のDNA鎖において見出されるものに相補的な無損傷のヌクレオチドと置き換える多くの除去修復機構が存在する。BERは、酸化、アルキル化、加水分解または脱アミノ化に起因する単一ヌクレオチドによる損傷を修復する。NERは、2〜30塩基のより長い鎖に影響を及ぼす損傷を修復する。このプロセスは、チミン二量体等、大きな、らせんを歪める変化ならびに一本鎖破壊(UvrABCエンドヌクレアーゼ等の酵素で修復される)を認識する。転写共役修復(TCR)として公知のNERの特殊な形態は、活発に転写されている遺伝子に、優先度の高いNER修復酵素を配置する。MMRは、DNA複製後に誤対合したヌクレオチドをもたらすDNA複製および組換えのエラーを修正する。
【0031】
NHEJおよびHRは、二本鎖DNA損傷を修復する。二本鎖損傷は、特に分裂細胞に有害である。病変が生じたDNAの領域を細胞がまだ複製していない場合、NHEJ経路は機能する。前記プロセスは、鋳型なしで、破壊されたDNA鎖の2つの末端を直接結合し、それにより前記プロセスにおいて配列情報が失われる。したがって、この修復機構は、必然的に突然変異誘発性である。しかし、細胞が分裂せず、そのDNAを複製していない場合、NHEJ経路は、細胞の唯一の選択肢である。NHEJは、結合すべき2つのDNA断片の一本鎖テイルの間の偶然の対合または微小相同性に依存する。より高度な真核生物には、NHEJのための複数の独立した「フェイルセーフ」経路がある。組換え修復は、破壊の修復のための鋳型として使用される同一またはほとんど同一の配列の存在を必要とする。この修復プロセスを担う酵素機構は、減数分裂の間の染色体における乗換えを担う機構とほとんど同一である。この経路は、鋳型として新しく作製された姉妹染色分体、すなわち損傷を受けた領域にもセントロメアを介して結合する同一のコピーを使用して、損傷を受けた染色体を修復することができる。この機構により修復される二本鎖破壊は、両方が複製フォークの崩壊をもたらす一本鎖破壊または未修復病変に亘って合成を行うことを試みる複製機構により通常引き起こされる。
【0032】
損傷乗り越え型合成は、他の機構によっては修復されなかったDNA損傷を修復する、エラーが起こりやすい(ほとんどエラーが保証される)最後の手段の方法である。DNA複製機構は、DNA損傷の部位を過ぎて複製を継続することができないので、進行中の複製フォークは、損傷を受けた塩基に遭遇すると停止する。損傷乗り越え型合成経路は、損傷の部位で追加の塩基を挿入する特異的なDNAポリメラーゼによって媒介され、したがって複製は、損傷を受けた塩基を回避して染色体複製を継続することができる。損傷乗り越え型合成機構により挿入される塩基は、鋳型から独立しているが、恣意的でなく;例えば、1つのヒトポリメラーゼは、チミン二量体を過ぎて合成する際にアデニン塩基を挿入する。
【0033】
正常な細胞プロセスおよび外因性の作用因子の両方は、DNA損傷の蓄積に寄与するが、そのために真核細胞は複雑でかつ過剰な修復機構を進化させて遺伝物質の安定性および高忠実度の複製を確保してきた。自然突然変異が完全に生涯で発癌するリスクの原因となり得るわけではないが、DNA修復の欠損は、細胞が加速度的速度で損傷を蓄積して腫瘍形成を生じさせる「突然変異誘発遺伝子」表現型につながる可能性がある。これらの欠損は、ゲノムの不安定性および侵攻性に寄与する可能性があるが、外因性のDNA損傷作用因子、例えば化学療法および電離放射線による損傷に対して腫瘍細胞を感作する可能性もある。したがって、DNA損傷修復の欠損は、癌細胞において認められ、侵攻性に関連する可能性が高いので、細胞のDNA修復機構は、予測および予後ならびに治療薬開発に対する一連の目標のための機会を提供する。
【0034】
したがって、本発明は、どのDNA修復経路が変化されるのかを決定することにより治療剤(例えば化学療法)または電離放射線に対する癌細胞の反応性、例えば感受性または耐性を決定する方法を提供する。これらの方法はまた、癌または他の細胞増殖性障害のための治療および療法を受けている対象をモニタするためにも、かつ、癌または他の細胞増殖性障害を有する対象において有効となる療法および治療を選択するためにも有用であり、かかる治療および療法の選択および使用は、癌または他の細胞増殖性障害の進行を遅延させる。さらに具体的には、本発明は、頭頚部癌の患者が導入補助化学療法に反応するのかどうかを決定する方法を提供する。
【0035】
定義
「精度」とは、その実際の(または真の)値に対する測定量または算出量(試験報告値)の一致の程度を指す。臨床精度は、誤分類された転帰(偽陽性(FP)または疑陰性(FN))に対する真の転帰(真陽性(TP)または真陰性(TN)の割合に関し、感受性、特異性、陽性予測値(PPV)もしくは陰性予測値(NPV)として、またはいくつかある測度の中で特に尤度、オッズ比として示すことが可能である。
【0036】
本発明に関連する「バイオマーカー」は、限定されるものではないが、タンパク質、核酸および代謝産物(それらの多型と共に)、突然変異、変異体、一時変異、サブユニット、断片、タンパク質−リガンド複合体および分解産物、タンパク質−リガンド複合体、エレメント、関連の代謝産物、ならびに他の検体または試料由来測度を包含する。また、バイオマーカーとしては、突然変異タンパク質または突然変異核酸を挙げることもできる。また、バイオマーカーは、健康状態の非血液由来因子または非検体生理学的マーカー、例えば本明細書において定義される「臨床的パラメータ」、ならびに、また本明細書において定義される「従来の検査室リスク因子」をも包含する。また、バイオマーカーとしては、時間的傾向および差を含む、数学的に作成されたあらゆる算出指標、または前述の測定値のいずれか1種または複数の組合せも挙げられる。利用可能な場合、本明細書において特に記載されない限り、遺伝子産物であるバイオマーカーは、international Human Genome Organization Naming Committee(HGNC)により割り当てられ、かつUS National Center for Biotechnology Information(NCBI)のウェブサイトで本出願日現在において列挙された公式の文字の略語または遺伝子記号に基づいて同定される。
【0037】
(1種または複数の)「HNCMARKER」は、そのレベルが療法に反応して対象において変化する全ての核酸またはポリペプチドの1種または複数を包含する。本明細書で使用される場合、HNCMARKERとしては、XPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、PARP1、MLH1、ATM、ERCC1、RAD51、pHSP27、p53、POL H、MUS81、Ki67、p16およびHPVが挙げられる。個々のHNCMARKERは、本明細書において、とりわけ「頭頚部癌関連タンパク質」、「HNCMARKERポリペプチド」または「HNCMARKERタンパク質」と集合的に称される。前記ポリペプチドをコードする対応する核酸は、「頭頚部癌関連核酸」、「頭頚部癌関連遺伝子」、「HNCMARKER核酸」または「HNCMARKER遺伝子」と称される。特に明記しない限り、「HNCMARKER」、「頭頚部癌関連タンパク質」、「頭頚部癌関連核酸」は、本明細書において開示されるバイオマーカー、例えばXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、PARP1、MLH1、ATM、ERCC1、RAD51、pHSP27、p53、POL H、MUS81、Ki67、p16およびHPVのいずれかを指すものとする。
【0038】
また、HNCMARKERタンパク質または核酸の対応する代謝産物は、上述の従来のリスクマーカー代謝産物のいずれかと同様に測定することも可能である。
【0039】
健康状態の生理学的マーカー(例えば、年齢、家族歴、および従来のリスク因子として一般的に使用される他の測定値等)は、「HNCMARKER生理学」と称される。上述のクラスのHNCMARKERの1種または複数、好ましくは2種以上の数学的に組み合わせた測定値から作成された算出指標は、「HNCMARKER指標」と称される。
【0040】
「臨床的指標」は、単独で、または一まとまりの細胞もしくは生物の生理学的状態を評価する際の他のデータと共に使用されるいずれかの生理学的データである。この用語は、前臨床指標を含む。
【0041】
「臨床的パラメータ」は、対象の健康状態または他の特性、例えば、限定されるものではないが、年齢(Age)、人種(RACE)、性別(Sex)または家族歴(FamHX)の全ての非試料または非検体バイオマーカーを包含する。
【0042】
「FN」は疑陰性であり、それは、疾患状態試験において、疾患対象を誤って非疾患または正常と分類することを意味する。
【0043】
「FP」は偽陽性であり、それは、疾患状態試験において、正常対象を誤って疾患を有すると分類することを意味する。
【0044】
「式」、「アルゴリズム」または「モデル」は、1つまたは複数の連続的またはカテゴリカル入力値(本明細書において「パラメータ」と呼ばれる)を受け、場合によっては「指標」もしくは「指標値」と呼ばれる出力値を算出するいずれかの数学的方程式、アルゴリズム的、解析的もしくはプログラム化プロセス、または統計的手法である。「式」の非限定的な例としては、合計、比および回帰演算子、例えば係数または指数、バイオマーカー値の変換および正規化(臨床的パラメータ、例えば性別、年齢または人種に基づくそれらの正規化スキームを含むが、これらに限定されるものではない)、規則およびガイドライン、統計学的分類モデル、および歴史的集団を対象とするニューラルネットワークが挙げられる。対象試料中において検出されたHNCMARKERのレベルと化学療法に対する対象の反応性との間の関係を決定するための線形および非線形方程式ならびに統計学的分類分析は、HNCMARKERと他のバイオマーカーとを組み合わせる際に特に有用である。パネルおよび組合せの構築において、確立された手法、例えば、相互相関、主成分分析(PCA)、因子回転、ロジスティック回帰(LogReg)、線形判別分析(LDA)、固有遺伝子線形判別分析(ELDA)、サポートベクターマシン(SVM)、ランダムフォレスト(RF)、再帰的分割ツリー(RPART)、ならびに他の関連のデシジョンツリー分類手法、とりわけ、収縮重心(SC)、stepAIC、k−最近隣法、ブースティング、デシジョンツリー、ニューラルネットワーク、ベイジアンネットワーク、サポートベクターマシンおよび隠れマルコフモデルを含む、パターン認識特性を利用する構造的および共同的統計学的分類アルゴリズム、およびリスク指標構築の方法が、特に興味深い。当業者に周知のコックス、ワイブル、カプラン−マイヤーおよびグリーンウッドモデルを含む他の手法が、生存期間および事象までの時間のハザード分析において使用され得る。これらの手法の多くは、HNCMARKER選択手法、例えば前進選択法、後退的選択法または逐次選択法、所与のサイズの全ての可能なパネルの悉皆調査、遺伝的アルゴリズムと組み合わせて有用であるか、または、それらは、それらの個々の手法におけるバイオマーカー選択方法をそれら自体で含むことができる。さらなるバイオマーカーとモデルの改善との間のトレードオフを定量し、過適合を最小限に抑えること補助するために、これらは、情報量基準、例えば赤池の情報量規準(AIC)またはベイズ情報量規準(BIC)と結び付けられ得る。得られた予測モデルは、ブートストラップ、1つ取って置き(LOO)および10重交差確認(10−Fold CV)等の手法を使用して、他の試験において確認され得るか、またはそれらが最初に学習された試験において交差確認され得る。各種ステップにおいて、誤発見率は、当技術分野において公知の手法による値の並べ替えにより推定され得る。「医療経済学的効用関数」は、標準治療への診断的または治療的介入の導入の前および後の両方の、理想的で当てはまる患者集団における臨床的転帰の範囲の期待確率の組合せから導き出される式である。それは、かかる介入の精度、有効性および性能特性の推定値、ならびに治療(サービス、供給、装置および薬物等)の実際の健康システム費から、および/または、各転帰をもたらす質調整生存年数(QALY)当たりの推定許容価値として導き出され得る各転帰に関連する費用および/または価値測定値(効用)を包含する。全ての予測された転帰に亘る、それぞれの転帰の期待効用を乗じた転帰についての母集団における予測個体数の積の合計が、所与の標準治療の医療経済学的総効用である。(i)介入を有する標準治療について算出された医療経済学的総効用と(ii)介入を有さない標準治療についての医療経済学的総効用との間の差は、介入の医療経済学的費用または価値の総合的測度をもたらす。これ自体を、分析される全患者群の間(または介入群のみの間)で割って、単位介入当たりの費用を得て、健康システム採用の市場における位置づけ、価格設定および前提条件等の結論を導くことができる。かかる医療経済学的効用関数は、介入の対費用効果を比較するために一般的に用いられるが、QALY当たりの許容価値を推定するために変換することも可能であり、健康管理システムが支払ってもよいと思えるものであるか、または許容し得る対費用効果の高い臨床的性能特性が新しい介入により必要とされる。
【0045】
本発明の診断的(または予後)介入については、各転帰(疾患分類診断試験において、TP、FP、TNまたはFNであり得る)が異なる費用を負担するので、医療経済学的効用関数は、臨床状況ならびに個々の転帰の費用および価値に基づいて、特異度よりも感度を、またはNPVよりもPPVを好み、したがって、より直接的な臨床的または分析的性能測度と異なり得る医療経済学的性能および価値の別の測度を提供する。一般に、これらの異なる測定値および相対的トレードオフは、全ての性能測度が程度は異なるものの不完全性よりも好むゼロ誤差率(別名、ゼロの予測対象転帰誤分類あるいはFPおよびFN)で、完全な試験の場合にのみ収束する。
【0046】
「測定する」もしくは「測定」または「検出する」もしくは「検出」は、臨床的なまたは対象由来の試料の中の所与の物質の存在、非存在、分量または量(有効量であり得る)(かかる物質の質的または定量的濃度レベルの導出を含む)を評価すること、あるいは対象の非検体臨床的パラメータの値または分類を評価することを意味する。
【0047】
「陰性予測値」または「NPV」は、TN/(TN+FN)または全ての陰性の試験結果の真陰性率により算出される。それはまた、試験されることが意図される集団の疾患の有病率および検査前確率にも本質的に影響を受ける。例えば、試験、例えば臨床的診断試験の特異度、感度、ならびに陽性および陰性予測値を考察するO’Marcaigh AS、Jacobson RM、「Estimating The Predictive Value Of A Diagnostic Test, How To Prevent Misleading Or Confusing Results」、Clin. Ped. 1993年、32巻(8号):485〜491頁を参照すること。しばしば、連続の診断試験測定値を使用する2つの疾患状態分類アプローチについて、感度および特異度は、Pepeら、「Limitations of the Odds Ratio in Gauging the Performance of a Diagnostic, Prognostic, or Screening Marker」、Am. J. Epidemiol 2004年、159巻(9号):882〜890頁による受信者動作特性(ROC)曲線により要約され、かつ曲線下面積(AUC)またはc統計量(単一値のみを有する試験(またはアッセイ)のカットポイントの全体の範囲に亘る試験、アッセイまたは方法の感度および特異度の表現を可能にする指標)により要約される。また、例えば、Shultz、「Clinical Interpretation Of Laboratory Procedures」、14章 Teitz, Fundamentals of Clinical Chemistry、BurtisおよびAshwood(編)、第4版1996年、W. B. Saunders Company、192〜199頁、およびZweigら、「ROC Curve Analysis: An Example Showing The Relationships Among Serum Lipid And Apolipoprotein Concentrations In Identifying Subjects With Coronory Artery Disease」、Clin. Chem.、1992年、38巻(8号):1425〜1428頁をも参照されたい。尤度関数、オッズ比、情報理論、予測値、較正(適合度を含む)、および再分類測定値を使用した代替のアプローチは、Cook、「Use and Misuse of the Receiver Operating Characteristic Curve in Risk Prediction」、Circulation 2007年、115巻:928〜935頁により要約される。最後に、試験により定義される対象コホートの中のハザード比ならびに絶対および相対リスク比は、臨床精度および効用のさらなる測定値である。複数の方法は、基準限界、識別限界およびリスク閾値を含む異常または疾患値を定義することに多用される。
【0048】
「分析精度」とは、測定プロセス自体の再現性および予測性を指し、変動係数等の測定値、ならびに異なる時間、使用者、機器および/または試薬による同じ試料または対照の一致および較正の試験に要約をされ得る。新規のバイオマーカーを評価する際のこれらのおよび他の考察は、Vasan、2006年に要約されている。
【0049】
「性能」は、とりわけ、臨床精度および分析精度、他の分析的およびプロセス特性、例えば使用特性(例えば安定性(使用の場合))、医療経済学的価値、および試験の要素の相対費用を含む診断試験または予後試験の総合的な有用性および質に関する用語である。これらの因子のいずれかは、試験の優れた性能、したがって有用性の源であり得、関連する、AUC、結果が出るまでの時間、貯蔵寿命等の適切な「性能測定基準」により測定され得る。
【0050】
「陽性予測値」または「PPV」は、TP/(TP+FP)または全ての陽性の試験結果の真陽性率により算出される。それは、試験されることが意図される集団の疾患の有病率および検査前確率に本質的に影響を受ける。
【0051】
本発明の関連における「リスク」は、治療に対する反応性、癌の再発または生存における特定の期間に亘って事象が発生する確率に関し、対象の「絶対」リスクまたは「相対」リスクを意味することができる。絶対リスクは、関連の時間コホートについての実際の観察の測定後の値に関して、または関連の期間中に追跡された統計学的に妥当な歴史的コホートから得られた指標値に関してのいずれかについて測定され得る。相対リスクとは、低リスクコホートの絶対リスクまたは平均集団リスクのいずれかと比較された対象の絶対リスクの比を指し、前記比は臨床リスク因子がどのように評価されるのかにより変化し得る。オッズ比(所与の試験結果についての陰性の事象に対する陽性の事象の比率)もまた、非転換率に対して一般的に使用される(オッズは、式p/(1−p)[式中、pは事象の確率であり、(1−p)は非事象の確率である]による)。
【0052】
本発明の関連における「リスク評価」または「リスクの評価」は、事象または疾患状態が発生し得る確率、オッズもしくは尤度、事象の発生率、またはある疾患状態からの転換率の予測を行うことを包含する。また、リスク評価は、以前に測定された集団に関する絶対的または相対的な、将来の臨床的パラメータ、従来の検査室リスク因子の値、または癌の他の指標の予測を含むこともできる。本発明の方法を用いて、治療に対する反応性の連続的またはカテゴリカル測定値を作成し、したがって、反応例または無反応例と定義された対象のカテゴリーのリスクスペクトルを診断および定義することができる。カテゴリーのシナリオにおいて、本発明は、正常対象コホートと、反応のリスクがより高い他の対象コホートとを区別するために使用され得る。かかる異なる使用は、異なるHNCMARKERの組合せおよび個別のパネル、数学的アルゴリズム、および/またはカットオフポイントを必要とする可能性があるが、それぞれの意図された用途のための精度および性能の上述の同じ測定に供され得る。
【0053】
本発明の関連における「試料」は、対象から単離される生物学的試料であり、その「試料」としては、例えば、限定されないが、組織生検材料、全血、血清、血漿、血液細胞、内皮細胞、リンパ液、腹水、間質液(「細胞外液」としても公知であり、細胞間の空間内において認められる液(とりわけ歯肉溝滲出液を含む)を包含する)、骨髄、脳脊髄液(CSF)、唾液、粘液、喀痰、汗、尿、または他のいずれかの分泌物、排泄物、または他の体液を挙げることができる。「試料」としては、単細胞もしくは多細胞または細胞の断片を挙げることができる。試料はまた、組織試料でもある。試料は、循環内皮細胞または循環腫瘍細胞である、または、を含有する。試料としては、原発腫瘍細胞、原発腫瘍、再発性腫瘍細胞または転移性腫瘍細胞が挙げられる。
【0054】
「感度」は、TP/(TP+FN)または疾患対象の真陽性率により算出される。
【0055】
「特異度」は、TN/(TN+FP)または非疾患対象もしくは正常対象の真陰性率により算出される。
【0056】
「統計学的に有意」により、変化が、単に偶然に起こると期待され得る(「偽陽性」であり得る)ものよりも大きいことが意味される。統計学的有意性は、当技術分野において公知のいずれかの方法により決定され得る。有意性の一般的に用いられる測度としては、データポイントが単に偶然の結果であったと仮定する場合、所与のデータポイントと少なくとも同程度に極端な結果を得る確率を示すp値が挙げられる。結果は、0.05以下のp値で非常に有意であると判断される。好ましくは、p値は、0.04、0.03、0.02、0.01、0.005、0.001以下である。
【0057】
本発明の関連における「対象」は、好ましくは哺乳類である。哺乳類は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマまたはウシであり得るが、これらの例に限定されない。ヒト以外の哺乳類は、有利には、癌の動物モデルを表す対象として使用され得る。対象は、雄または雌であり得る。
【0058】
「TN」は、真陰性であり、それは、疾患状態試験について、非疾患または正常の対象を正確に分類することを意味する。
【0059】
「TP」は、真陽性であり、それは、疾患状態試験について、疾患対象を正確に分類することを意味する。
【0060】
「従来の検査室リスク因子」は、対象試料から単離されたまたは対象試料に由来するバイオマーカーに相当し、前記バイオマーカーは、臨床検査室において目下評価され、従来のグローバルリスク評価アルゴリズムにおいて使用される。腫瘍の再発についての従来の検査室リスク因子としては、例えば増殖指標(腫瘍浸潤リンパ球)が挙げられる。当業者に公知の腫瘍の再発についての他の従来の検査室リスク因子。
【0061】
本発明の方法および使用
本明細書において開示される方法は、頭頚部癌の治療および/または療法を受けた対象、頭頚部癌の再発を発現するリスクがある対象、および頭頚部癌であると診断された対象により使用され、本発明の方法は、頭頚部癌を有する対象のための治療レジメンをモニタまたは選択することと、頭頚部癌と診断された対象の予測の生存性および/または生存期間を評価することとのために使用される。治療レジメンとしては、例えば、導入療法または併用療法ならびにそれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0062】
DNA損傷作用因子、例えば化学療法剤または電離放射線に対する細胞の反応性(例えば耐性または感受性)は、試験試料(例えば対象由来試料)中におけるHNCMARKERタンパク質、核酸、多型、代謝産物、および他の検体(2つ以上であり得る)の有効量を測定すること、ならびに、複数の個々のHNCMARKERの結果からと非検体臨床的パラメータからとの情報を単一の測定値または指標に組み合わせるために数学的アルゴリズムまたは式をしばしば利用して前記有効量を基準値または指標値と比較することにより決定される。前記細胞は、例えば癌細胞である。場合により、前記癌は、頭部または頚部の癌、例えば、鼻腔、副鼻腔、口唇、口、唾液腺、咽喉、または喉頭[発声器]の癌である。前記HNCMARKERは、例えば、XPF、FANCD2、pMK2、PAR、MLH1、PARP1、pH2AX、pHSP27、BRCA1、RAD51、ERCC1、p53、p16、HPVである。
【0063】
耐性は、作用因子に細胞が反応できないことを意味する。例えば、化学療法薬または電離放射線に対する耐性は、細胞が薬物により損傷を受けないか、死滅しないことを意味する。感受性は、細胞が作用因子に反応することを意味する。例えば、化学療法薬または放射線に対する感受性は、細胞が薬物により損傷を受けるか、または死滅することを意味する。例えば、化学療法剤または電離放射線に対する細胞の反応性は、1種または複数のHNCMARKERの発現または活性の減少を同定することにより同定される。HNCMARKERの欠損の存在は、細胞が化学療法剤または電離放射線に対する感受性を有することを示す。一方、欠損の非存在は、細胞が化学療法剤または電離放射線に対する耐性を有することを示す。
【0064】
本発明の方法は、対象における頭頚部癌を治療するため、前記頭頚部癌の症状を緩和するため、前記頭頚部癌の進行をモニタするため、または前記頭頚部癌の発症を遅延させるために有用である。
【0065】
好ましくは、本発明の方法は、頭頚部癌の再発に対して無症候性である対象を同定するおよび/または診断するために使用される。「無症候性」とは、従来の症状を示さないことを意味する。
【0066】
また、本発明の方法は、頭頚部癌を発現するリスクが既により高い対象または単に従来のリスク因子のみに基づく対象を同定するおよび/または診断するためにも有用である。
【0067】
また、有効量のHNCMARKERタンパク質、核酸または代謝産物の発現は、対象にとって治療の特定の経過が有益であるかどうかの決定をも可能にする。この方法において、生物学的試料は、頭頚部癌の治療、例えば化学療法または併用化学放射線療法の治療を受ける前に対象から提供される。「有益である」は、対象が治療の経過に反応することを意味する。反応するにより、対象における頭頚部癌のサイズ、有病率、または転移の可能性の低下がある治療が意味される。治療が予防的に適用される場合、「反応する」は、治療が、頭頚部癌もしくは頭頚部癌の再発を遅延させるかもしくは頭頚部癌もしくは頭頚部癌の再発の形成を予防すること、または臨床的な頭頚部癌の症状を遅延させること、予防すること、もしくは緩和することを意味する。頭頚部癌の評価は、標準的な臨床プロトコルを用いて行われる。
【0068】
また、有効量のHNCMARKERタンパク質、核酸または代謝産物の発現は、頭頚部癌の治療の経過をモニタすることをも可能にする。この方法において、生物学的試料は、頭頚部癌の治療、例えば化学療法または併用化学放射線療法の治療を受けている対象から提供される。
【0069】
所望により、生物学的試料を、治療の前、間または後の各種の時点で対象から得る。次いで、有効量のHNCMARKERタンパク質、核酸または代謝産物の発現を決定し、例えば頭頚部癌の状態が知られている対照の個体または集団において次いで同定される基準値、または指標値と比較する。基準試料または指標値は、治療に曝露された1または複数の個体から採取または導き出され得る。あるいは、基準試料または指標値は、治療に曝露されなかった1または複数の個体から採取または導き出され得る。例えば、治療の進行をモニタするために、頭頚部癌障害の初期治療を受け、次に糖尿病の治療を受けた対象から試料が回収され得る。
【0070】
基準値は、限定されるものではないが、同じ癌を有するかかる対象、同じもしくは同様の年齢範囲を有する対象、同じもしくは同様の人種群の対象、癌の家族歴を有する対象を含む集団調査から導き出される数もしくは値と関連し得る、または癌の治療を受けている対象の開始試料と関連し得る。かかる基準値は、癌再発の数学的アルゴリズムおよび計算指標から得られる集団の統計分析および/またはリスク予測データから導き出され得る。また、統計学的および構造的分類のアルゴリズムおよび他の方法を使用して、基準HNCMARKER指標を構築および使用することも可能である。
【0071】
本発明の一実施形態において、基準値は、頭頚部癌における化学療法に反応する1または複数の対象に由来する対照試料中におけるHNCMARKERの量である。本発明の別の一実施形態において、基準値は、頭頚部癌からのより高い無病生存率または全生存率を有する1または複数の対象に由来する対照試料のHNCMARKERの量である。本発明の他の実施形態において、基準値は、頭頚部癌の再発を発現するリスクがないまたはリスクが低い1または複数の対象に由来する対照試料のHNCMARKERの量である。さらなる一実施形態において、かかる対象は、頭頚部癌の非存在の持続(無病生存または全生存)を検証するため、かかる試験の後、診断上関連した期間、モニタされる、および/または、定期的に再試験される(「縦断的研究」)。かかる期間は、基準値の決定のための最初の試験日から1年間、2年間、2〜5年間、5年間、5〜10年間、10年間、または10年間以上であってよい。さらに、適切に集められた歴史的対象試料中におけるHNCMARKERの後向き測定値を、これらの基準値を確立する際に使用してよく、したがって、必要とされる試験期間が短縮される。
【0072】
基準値はまた、癌の治療および/または療法の結果としてリスク因子の改善を示す対象に由来するHNCMARKERの量を含むこともできる。基準値はまた、癌の治療および/または療法の結果として療法に対する反応性の改善を示す対象に由来するHNCMARKERの量を含むこともできる。基準値はまた、より高い無病生存率もしくは全生存率を有する、または頭頚部癌を発現するリスクが高い、または頭頚部癌を患っている対象に由来するHNCMARKERの量を含むこともできる。
【0073】
別の一実施形態において、前記基準値は、指標値またはベースライン値である。指標値またはベースライン値は、頭頚部癌を有さない1または複数の対象、または頭頚部癌に無症候性である対象からの有効量のHNCMARKERの複合試料である。ベースライン値はまた、癌の治療または療法の結果として、療法に対する頭頚部癌の反応性または無病生存率/全生存率の改善を示した対象に由来する試料中におけるHNCMARKERの量を含むこともできる。この実施形態において、対象由来試料との比較を行うため、HNCMARKERの量が同様に算出され、指標値と比較される。場合により、頭頚部癌を有するとして、または頭頚部癌を発現するリスクが増大したとして同定された対象は、癌の進行を遅延させるための、または頭頚部癌を発現するリスクを低下させるもしくは予防するための療法レジメンを受けるために選択される。
【0074】
頭頚部癌の進行、または癌の治療レジメンの有効性は、時間と共に対象から得られる試料の有効量(2つ以上であってよい)におけるHNCMARKERを検出し、検出されたHNCMARKERの量を比較することによりモニタされ得る。例えば、第1試料は、対象が治療を受ける前に得ることが可能であり、その後の1種または複数の試料は、対象の治療の後でまたは間に採取される。HNCMARKERの量が基準値に対して時間と共に変化する場合、前記癌は進行性であると判断される(あるいは、前記治療は進行を予防しない)のに対して、HNCMARKERの量が時間と共に一定のままである場合(基準集団に対して、または本明細書において用いられる「一定」)、前記癌は進行性でない。本発明の関連において用いられる「一定」という用語は、基準値に対して時間と共に変化することを含むと解釈される。
【0075】
さらに、特定の対象に対する投与に適切な治療剤または予防剤は、対象から得られた試料中における有効量(2つ以上であってよい)のHNCMARKERの1種または複数を検出し、対象由来試料中におけるHNCMARKERの量(2つ以上であってよい)を決定する試験化合物に対象由来試料を曝露させることにより同定され得る。したがって、癌を有する対象、または療法に対する非反応性もしくはより低い無病生存率/全生存率を有する対象に用いるための治療または療法レジメンは、前記対象から得られた試料中におけるHNCMARKERの量に基づいて、かつ基準値と比較して、選択され得る。2つ以上の治療または療法レジメンは、癌の発症を遅延させる、または癌の進行を遅延させるために、どの治療または療法レジメンが対象における使用に最も有効であるのかを決定するために、並行して評価され得る。
【0076】
本発明は、さらに、対象由来試料中における前記HNCMARKERの1種または複数を決定すること、基準試料中における前記HNCMARKERの量を比較すること、および基準試料と比較して対象試料中における量の変化を同定することによる、頭頚部癌に関連するマーカー発現の変化についてのスクリーニング方法を提供する。
【0077】
基準試料、例えば対照試料が、頭頚部癌を有さない対象由来(治療用化合物または放射線に対する感受性を有する細胞由来)である場合、または、基準試料が、前記療法に対する反応性の高尤度、再発を発現する低リスク、またはより高い無病生存率/全生存率を有する人に関連する値を反映する場合、試験試料および基準試料中におけるHNCMARKERの量の類似性は、前記治療が有効であることを示す。しかし、試験試料および基準試料中におけるHNCMARKERの量の差は、より好ましくない臨床的な転帰または予後を示す。対照的に、基準試料、例えば対照試料が、治療用化合物または放射線に対する耐性を有する細胞由来である場合、または基準試料が、前記療法に対する非反応性の高尤度、再発を発現する高リスク、またはより低い無病生存率/全生存率を有する人に関連する値を反映する場合、試験試料および基準試料中におけるHNCMARKERタンパク質の量の類似性は、その化合物による治療が、より好ましくない臨床的な転帰または予後をもたらすことを示す。しかし、試験試料および基準試料中におけるHNCMARKERの量の変化は、その治療用化合物による治療が有効であることを示す。
【0078】
「有効」により、治療が、HNCMARKERタンパク質、核酸、多型、代謝産物、もしくは他の検体の量または活性の低下につながることが意味される。本明細書において開示されるリスク因子の評価は、標準的な臨床プロトコルを使用して達成され得る。有効性は、頭頚部癌を診断するか、同定するか、または治療するためのいずれかの公知の方法に関連しても決定され得る。
【0079】
本発明はまた、HNCMARKERタンパク質、核酸、多型、代謝産物、または他の検体の2種以上に結合する検出試薬を有するキットをも含む。また、本発明により、検出試薬のアレイ、例えば、それぞれ2種以上のHNCMARKERタンパク質または核酸に結合し得る抗体および/またはオリゴヌクレオチドも提供される。
【0080】
また、本発明によって、1または複数の対象由来の試料中に存在する有効量のHNCMARKERの変化した量の存在を検出することと、HNCMARKERの変化した量または活性が、療法に対する反応が改善したまたは無病生存率/全生存率がより高い1または複数の対象において測定されるベースライン値に戻るまで、1種または複数の癌調節薬で前記1または複数の対象を治療することとにより、頭頚部癌における療法に対して非反応性のまたは無病生存率/全生存率がより低い1または複数の対象を治療するための方法も提供される。
【0081】
また、本発明によって、第1期間で対象からの第1試料中におけるHNCMARKER(2種以上であってよい)の有効量を検出すること、第2期間で対象からの第2試料中におけるHNCMARKERの量を検出すること、ならびに第1および第2期間で検出されたHNCMARKERの量を比較することにより、癌と診断された対象における療法に対する反応性または無病生存率/全生存率の変化を評価するための方法が提供される。
【0082】
本発明の診断指標、予測指標、および予後指標
HNCMARKERタンパク質、核酸、多型、代謝産物、または他の検体の量は、試験試料中において測定され、手法、例えば、基準限界、識別限界、またはカットオフポイントおよび異常値を定義するためのリスク定義閾値を利用して「正常対照レベル」と比較され得る。かかる正常対照レベルおよびカットオフポイントは、HNCMARKERが単独で使用されるのか、もしくは指標に他のHNCMARKERを組み合わせる式において使用されるのかに基づいて変化し得る。あるいは、正常対照レベルは、化学療法(例えば、臨床的に意義のある時間範囲に亘る、導入補助化学療法、併用化学放射線療法、または両方の放射線療法に反応した、以前に試験した対象からのHNCMARKERパターンのデータベースであってよい。
【0083】
本発明を使用して、化学療法に対する反応または癌の生存の連続的またはカテゴリカル測定値を作成し、したがって、化学療法に反応しないリスクがあると定義された対象のカテゴリーのリスクスペクトルを診断し、定義することができる。カテゴリーのシナリオにおいて、本発明の方法は、治療に反応するおよび治療に反応しない対象のコホートを区別するために使用され得る。他の実施形態において、本発明は、改善された生存可能性を有する者を区別するために使用され得る。かかる異なる使用は、個々のパネル、数学的アルゴリズムおよび/またはカットオフポイントにおいて異なるHNCMARKERの組合せを必要とする可能性があるが、前記用途に関連する精度および他の性能測定基準の上述の同じ測定を受ける可能性がある。
【0084】
療法に反応する対象を同定することは、個体の生存可能性を増大させるために各種の療法的介入または治療レジメンの選択および開始を可能にする。HNCMARKERタンパク質、核酸、多型、代謝産物、または他の検体の有効量のレベルはまた、転移性疾患または転移性事象の治療の経過のモニタを可能にする。この方法において、生物学的試料は、癌の治療レジメン(例えば薬物治療)を受けている対象から提供され得る。所望により、生物学的試料は、治療の前、間または後の各種時点で対象から得られる。
【0085】
特定の実施形態において、本発明の方法は、頭頚部癌と診断された対象の生存性および/または生存期間を予測することが可能であり、前記対象が、診断日または頭頚部癌の治療のための療法レジメンを開始した日から3カ月間、6カ月間、12カ月間、1年間、2年間、3年間、4年間、5年間、6年間、7年間、8年間、9年間、10年間、15年間、20年間、30年間、40年間または50年間生存することが予測されるものである。
【0086】
HNCMARKERが機能的に活性であることに基づき、その機能を解明することによって、高いHNCMARKERを有する対象は、例えばかかる経路を優先的に標的とする薬剤/薬物により管理され得る。
【0087】
本発明はまた、いくつもの設定における患者または対象集団をスクリーニングするためにも使用され得る。例えば、健康管理機関、公衆衛生体、または学校保健プログラムは、上記の通りの介入を必要とする者を同定するため、または疫学データの収集のために対象群をスクリーニングすることが可能である。保険会社(例えば、健康、生命または障害)は、適用範囲または価格設定を決定するプロセスにおいて申込者を、または可能な介入について既存の加入者をスクリーニングすることができる。かかる集団スクリーニングにおいて収集されたデータは、特に癌または癌の進行等の状態に対するいずれかの臨床的進行に結び付けられる場合、例えば健康管理機関、公衆衛生プログラムおよび保険会社の事業において価値がある。かかるデータアレイまたは収集物は、改善されたヘルスケアサービス、対費用効果の高いヘルスケア、改善された保険事業等を提供するため、機械で読み取り可能なメディアに記憶し、かついくつもの健康関連データ管理システムにおいて使用することが可能である。例えば、米国特許出願第2002/0038227号、米国特許出願第US2004/0122296号、米国特許出願第US2004/0122297号、および米国特許第5,018,067号を参照されたい。本明細書においてさらに詳述されるように、かかるシステムは、内部データ記憶から直接に、または1つまたは複数のデータ記憶部位から遠隔でデータにアクセスすることができる。
【0088】
各プログラムは、コンピュータシステムと通信するために、ハイレベルな手続型またはオブジェクト指向のプログラム言語で実行され得る。しかし、前記プログラムは、所望によりアセンブリ言語またはマシン言語で実行され得る。前記言語は、コンパイラ型言語またはインタープリタ型言語であってよい。かかる各コンピュータプログラムは、記憶メディアまたはデバイスが、本明細書に記載される手法を実行するためにコンピュータにより読み取られる際、コンピュータを構成し、操作するための、汎用または専用プログラム可能なコンピュータにより読み取り可能な記憶メディアまたはデバイス(例えばROMもしくは磁気ディスケットまたは本開示のいずれか他の所で定義される通りの他のもの)に記憶され得る。本発明の健康関連データ管理システムはまた、コンピュータプログラムで構成された、コンピュータで読み取り可能な記憶メディアとして実行されると考えることも可能であり、こうして構成された記憶メディアは、本明細書に記載される各種機能を実行するために特定の、事前に決められた方法でコンピュータを動作させる。
【0089】
次いで、HNCMARKERタンパク質、核酸、多型、代謝産物、または他の検体の有効量のレベルを決定し、基準値と、例えば、療法の反応性が知られているか、または指標値もしくはベースライン値である対照の対象または集団と比較することができる。基準試料または指標値もしくはベースライン値は、治療に曝露された1もしくは複数の対象から採取もしくは導き出され得、または癌を生き延びるリスクが低い1もしくは複数の対象から採取もしくは導き出され得、または治療に対する曝露の結果として改善を示した対象から採取もしくは導き出され得る。あるいは、基準試料または指標値もしくはベースライン値は、治療に曝露されなかった1または複数の対象から採取または導き出され得る。例えば、治療の進行をモニタするために、試料は、癌の初期治療を受け、または/および次に癌もしくは転移性事象の治療を受けた対象から回収され得る。また、基準値は、リスク予測アルゴリズムから導き出される値、または本明細書において開示されるもの等の集団調査からの計算指標を含むこともできる。
【0090】
したがって、本発明のHNCMARKERは、癌治療に反応することが期待されるまたは期待されないそれらの対象の「基準HNCMARKERプロファイル」を生成するために使用され得る。本明細書において開示されるHNCMARKERはまた、癌治療に反応する対象から得られた「対象HNCMARKERプロファイル」を生成するためにも使用され得る。対象HNCMARKERプロファイルは、化学療法に対する耐性を発現するリスクがある対象を診断または同定するために、疾患の進行ならびに疾患の進行の速度をモニタするために、および治療様式の有効性をモニタするために、基準HNCMARKERプロファイルと比較され得る。本発明の基準HNCMARKERプロファイルおよび対象HNCMARKERプロファイルは、限定されないが、とりわけ、VCRにより読み取り可能なもの等のアナログテープ、CD−ROM、DVD−ROM、USBフラッシュメディア等、機械で読み取り可能なメディアの中に含まれ得る。また、かかる機械で読み取り可能なメディアは、さらなる試験結果、例えば、限定されないが、臨床的パラメータの測定値および従来の検査室リスク因子を含むこともできる。代替的にまたは追加的には、機械で読み取り可能なメディアはまた、対象情報、例えば病歴およびあらゆる関連の家族歴を含むこともできる。また、機械で読み取り可能なメディアは、本明細書に記載されるもの等の他の疾患−リスクアルゴリズムおよび計算指標に関する情報を含むこともできる。
【0091】
対象の遺伝子構造の差は、癌または転移性事象の症状またはリスク因子を調節し得る各種薬物を代謝するそれらの相対的能力の差をもたらす可能性がある。癌を有するか、または癌もしくは転移性事象を発現するリスクのある対象は、年齢、人種、および他のパラメータが異なる可能性がある。したがって、本明細書において開示されるHNCMARKERの、単独での、および薬物代謝のための公知の遺伝因子と共に組み合わせての両方での使用は、選択された対象において試験される推定の治療薬または予防薬が対象における癌の治療または予防に適切であるという所定レベルの予測可能性を可能にする。
【0092】
特定の対象に適切である治療薬または薬物を同定するため、対象からの試験試料を、治療剤もしくは薬物または放射線に曝露させることも可能であり、HNCMARKERタンパク質、核酸、多型、代謝産物、または他の検体の1種または複数のレベルが決定され得る。1種または複数のHNCMARKERのレベルは、治療または治療剤もしくは薬物に対する曝露の前後の対象に由来する試料と比較され得るか、あるいはかかる治療または曝露の結果としてリスク因子(例えば、臨床的パラメータまたは従来の検査室リスク因子)の改善を示した1または複数の対象に由来する試料と比較され得る。
【0093】
対象細胞(すなわち、対象から単離された細胞)は、候補剤の存在下でインキュベートすることが可能であり、試験試料中におけるHNCMARKER発現のパターンが測定され、かつ、基準プロファイル、例えば転移性疾患基準発現プロファイルもしくは非疾患基準発現プロファイル、または指標値もしくはベースライン値と比較される。試験剤は、いずれかの化合物もしくは組成物またはそれらの組合せ(栄養補助食品を含む)であってよい。例えば、試験剤は、癌治療レジメンにおいて多用される剤であり、本明細書において記載される。
【0094】
本発明の上述の方法は、癌と診断された、および外科的介入を受けた対象の進行および/または改善を評価するか、またはモニタするために使用され得る。
【0095】
本発明の性能および精度の測度
本発明の性能、ならびに、したがって絶対的および相対的臨床有用性は、上記した通りの複数の方法で評価され得る。性能の各種評価の中で、本発明は、臨床診断および予後における精度を提供することが意図される。診断的、予測的または予後的な試験、アッセイまたは方法の精度は、対象がHNCMARKERのレベルの「有効量」または「有意な変化」を有するのかどうかに基づいて化学療法の治療に反応する対象と反応しない対象とを区別する試験、アッセイまたは方法の能力に関係する。「有効量」または「有意な変化」により、適切な数のHNCMARKER(1種または複数であってよい)の測定値が、その(1種または複数の)HNCMARKERについての所定のカットオフポイント(または閾値)とは異なり、したがって(1種または複数の)HNCMARKERが決定因子である療法に対する対象の反応性、または無病生存/全生存を示すことが意味される。正常と異常との間のHNCMARKERのレベルの差は、好ましくは統計学的に有意である。以下で示されるように、そして本発明のいかなる限定を行うことなく、統計学的有意性、したがって好ましい分析的および臨床的な精度を達成することは、いくつかのHNCMARKERの組合せが、統計学的に有意なHNCMARKER指標を達成するためにパネルにおいて共に使用され、数学的アルゴリズムと組み合わせられることを、必ずというわけではないが一般に必要とする。
【0096】
疾患状態のカテゴリカル診断において、試験(またはアッセイ)のカットポイントまたは閾値を変化させると、質的に逆の関係であるが、通常、感度および特異度が変化する。したがって、対象の状態を評価するための、提案された医学的な試験、アッセイまたは方法の精度および有用性を評価する際、感度および特異度がカットポイントの範囲に亘って有意に変化し得るので、感度および特異度の両方を必ず考慮に入れるべきであり、かつ感度および特異度が報告されるカットポイントが何であるかについて注意するべきである。全ての可能なカットポイント値を包含する統計量、例えばAUCの使用は、本発明を使用する最もカテゴリカルなリスク測度のためには好ましいが、一方で連続的リスク測度のためには、観察された結果または他のゴールドスタンダードに対する適合度および較正の統計量が好ましい。
【0097】
かかる統計量を使用して、「診断精度の許容し得る程度」は、本明細書において試験またはアッセイ(例えば、AUC(試験またはアッセイについてのROC曲線下面積)が少なくとも0.60、望ましくは少なくとも0.65、より望ましくは少なくとも0.70、好ましくは少なくとも0.75、より好ましくは少なくとも0.80、および最も好ましくは少なくとも0.85であるHNCMARKERの臨床的に有意な存在を決定するための本発明の試験)であると定義される。
【0098】
「診断精度の非常に高い程度」により、AUC(試験またはアッセイについてのROC曲線下面積)が少なくとも0.80、望ましくは少なくとも0.85、より望ましくは少なくとも0.875、好ましくは少なくとも0.90、より好ましくは少なくとも0.925、および最も好ましくは少なくとも0.95である試験またはアッセイが意味される。
【0099】
任意の試験の予測値は、試験の感度および特異度と、試験される集団における状態の有病率とに依存する。ベイズの定理に基づくこの概念は、スクリーニングされる状態が個体または集団に存在する尤度(検査前確率)が大きければ大きいほど、陽性試験の妥当性が大きくなり、かつ結果が真陽性である尤度が大きくなるということを提供する。したがって、状態が存在する尤度が低い任意の集団において試験を使用することに関する問題は、陽性の結果の価値が限られている(すなわち、偽陽性である可能性がより高い)ことである。同様に、非常にリスクが高い集団において、陰性の試験結果は、偽陰性である可能性がより高い。
【0100】
その結果、ROCおよびAUCは、疾患の有病率が低い試験集団(1年当たりの発生率(発現率)が1%未満、または特定の時間範囲に亘る累積的有病率が10%未満のものと定義される)における試験の臨床的有用性に誤解をまねく可能性がある。あるいは、本開示のいずれか他の所で定義される通りの絶対リスクおよび相対リスク比は、臨床的有用性の程度を決定するために用いることが可能である。また、試験すべき対象の集団は、試験の測定値によって四分位数に分類することも可能であるが、ここで上位四分位数(集団の25%)は、治療不反応性の相対リスクが最も高い対象の群を含み、下位四分位数は、治療不反応性の最低相対リスクを有する対象の群を含む。一般に、低有病率集団における上位から下位への四分位数の相対リスクの2.5倍超を有する試験またはアッセイから導き出される値は、「高い程度の診断精度」を有すると判断され、各四分位数の相対リスクの5〜7倍を有するものは、「非常に高い程度の診断精度」を有すると判断される。しかし、各四分位数についての相対リスクのわずか1.2〜2.5倍を有する試験またはアッセイから導き出される値は、臨床的に有用なままであり、疾患のリスク因子として広く使用され、そのようなものは、総コレステロールを有し、かつ将来の事象のそれらの予測に関する多くの炎症性バイオマーカーについての場合である。上述のグローバルリスク評価指標により行われるように、療法的介入についての有意義な臨床的閾値を導き出すために、しばしば、かかるより低い診断精度試験は、さらなるパラメータと組み合わせる必要がある。
【0101】
医療経済学的効用関数は、各々の臨床的および経済学的価値の実際の測度に基づいて、可能なカテゴリカル試験結果を重み付けることから成る、所与の試験の性能および臨床的価値を測定するさらにもう1つの手段である。医療経済学的効用関数は、具体的には、正確な分類の有益性と試験された対象の誤分類の費用とについての経済学的価値を割り当てるので、医療経済学的性能は、精度に厳密に関連がある。性能測度として、試験が、試験の標的価格を上回る1試験当たりの医療経済学的価値(試験費用に優先する)の増加をもたらす性能のレベルを達成することを必要とすることは稀ではない。
【0102】
一般に、治療的使用のための閾値がまだ確立されない場合、または前疾患の診断のための既存のゴールドスタンダードがない場合、疾患カテゴリーまたはリスクカテゴリーが関連の医学会および医療活動によってまだ明らかには定義されていない場合に診断精度を決定する代替的方法が連続的測度のために一般的に使用される。連続的リスク測度について、算出指標についての診断精度の測度は、典型的には曲線適合と、予測された連続的値と実際の観測値との間の較正(または歴史的指標計算値)とに基づき、測度、例えば決定係数、ホスマー−レメショウp値統計量および信頼区間を利用する。Genomic Health,Inc.(Redwood City、California)により商業化された将来の乳癌の再発のリスクについての試験におけるもののように、歴史的な観察されたコホート予測値に基づく信頼区間(通常90%または95%CI)を含むかかるアルゴリズムを使用する予測値が報告されるのは稀ではない。
【0103】
一般に、診断精度の程度、すなわちROC曲線上のカットポイントを定義すること、許容し得るAUC値を定義すること、および本発明の有効量のHNCMARKERを構成するものの相対濃度の許容し得る範囲を決定することにより、当業者は、所定のレベルの予測可能性および性能で対象を同定、診断または予知するためにHNCMARKERを使用することが可能になる。
【0104】
臨床的アルゴリズムの構築
本発明の実施に有用な指標にHNCMARKERの結果を組み合わせるために、いずれの式を用いてもよい。上記に示されるように、限定されないが、かかる指標は、各種の他の指標の中で、化学療法または化学放射線療法に反応する確率、尤度、絶対的または相対的偶然を示すことができる。これは、特定の期間または時間範囲のため、もしくは残りの生存期間のリスクのためであってよく、または単に別の基準対象集団に関連する指標として提供され得る。
【0105】
各種の好ましい式は本明細書に記載されるが、本明細書において挙げられるものを越え、かつ上記の定義におけるいくつかの他のモデルおよび式の種類は、当業者に周知である。使用される実際のモデルの種類または式自体は、学習集団におけるその結果の性能および診断精度特性に基づいて、可能なモデルの分野から選択され得る。式自体の特質は、関連の学習集団におけるHNCMARKERの結果から一般に導き出され得る。他の使用の中で、かかる式は、ベイズ理論を用いてリスク(例えば、癌または転移性事象のリスク)の確率関数の推定を導き出すために、またはクラス−条件付確率を推定し、次いでベイズの法則を使用して以前の場合におけるようなクラス確率関数を生じさせるために、1組の対象のクラス(例えば、正常、反応例および無反応例として対象のクラスの要素を予測する際に有用である)への1つまたは複数のHNCMARKER入力値から導き出される特徴空間を図にすることが意図され得る。
【0106】
好ましい式は、幅広いクラスの統計学的分類アルゴリズムと、特に判別分析の使用とを含む。判別分析の目的は、以前に同定された1組の特徴からクラスの要素を予測することである。線形判別分析(LDA)の場合、いくつかの基準により群の中の分離を最大にする特徴の線形結合が同定される。特徴は、異なる閾値による固有遺伝子に基づくアプローチ(ELDA)、または多変量分散分析(MANOVA)に基づくステッピングアルゴリズムを使用してLDAについて同定され得る。ホテリング−ローリーの統計量に基づいて分離のない確率を最小限に抑えるフォワードアルゴリズム、バックワードアルゴリズムおよびステップワイズアルゴリズムが実行され得る。
【0107】
固有遺伝子に基づく線形判別分析(ELDA)は、Shenら(2006年)により開発された特徴選択手法である。式は、最も重要な固有ベクトルと関連する特徴を同定するために、改変された固有値解析を用いて、多変量の枠組みで特徴(例えばバイオマーカー)を選択する。「重要」は、いくつかの閾値と関連して分類しようとする試料の中の差の最も大きな分散を説明するそれらの固有ベクトルであると定義される。
【0108】
サポートベクターマシン(SVM)は、2つのクラスを分離する超平面が明らかにすることを試みる分類式である。この超平面は、サポートベクター(正確に超平面からの境界距離であるデータポイント)を含む。分離超平面がデータの現行の次元の中に存在しない可能性がある事象において、次元数は、最初の変量の非線形関数をとることによりデータをより大きな次元に投入することにより大きく拡張される(VenablesおよびRipley、2002年)。必要というわけではないが、SVMについての特徴のフィルタリングは、しばしば予測を改善する。最高の一変量特徴を選択するためにノンパラメトリッククラスカル−ワリス(KW)検定を用いて特徴(例えばバイオマーカー)をサポートベクターマシンについて同定することが可能である。最も重要であるバイオマーカーの組合せを同定するために、ランダムフォレスト(RF、Breiman、2001年)または再帰的分割(RPART、Breimanら、1984年)はまた、別々に、または組み合わせて使用することも可能である。KWおよびRFは、多くの特徴が総計から選択されることが必要である。RPARTは、利用可能なバイオマーカーのサブセットを使用する単一分類ツリーを作成する。
【0109】
他の式は、予測式にそれらを示す前に、情報のより有益な型に個々のHNCMARKER測定値の結果を前処理するために使用され得る。最も顕著には、集団の平均値等に関して、正規分布または他の分布の位置として、いずれか一般的な数学的変換、例えば対数関数またはロジスティック関数を使用するバイオマーカーの結果の正規化は、全て当業者に周知である。特定の式がクラスの中の対象だけに使用される、または入力値としての臨床的パラメータを連続的に組み合わせる臨床的パラメータ、例えば年齢、性別(gender)、人種または性別(sex)に基づく1組の正規化が、特に興味深い。他の場合、検体に基づくバイオマーカーは、算出変量に組み合わせることが可能であり、続いて前記算出変量は式に提示される。
【0110】
正規化される可能性のある1対象の個々のパラメータ値に加えて、全ての対象、または任意の知られているクラスの対象についての全体的予測式自体は、D’Agostinoら、(2001年)JAMA 286巻:180〜187頁に概説される手法、または他の類似の正規化および再較正手法に従って、再較正され得るか、または、さもなければ、集団の期待有病率およびバイオマーカーパラメータ平均値の調整に基づいて調整され得る。かかる疫学的調整統計量は、連続的に、機械で読み取り可能等であってよいモデルに提示された過去のデータの登録を介して、または、場合によっては、保存された試料の遡及的照会、もしくはかかるパラメータおよび統計量の歴史的研究に対する参照を介して、取り込まれ、確認され、改善され、更新され得る。式の再較正または他の調整の主題であり得るさらなる例としては、オッズ比の限界についてはPepe, M.S.ら、2004年、ROC曲線についてはCook, N.R.、2007年による研究において使用された統計量が挙げられる。最後に、絶対リスクに対する較正を行い、かつ識別式またはリスク式の様々な数値的結果に対する信頼区間を提供するために、識別式自体の数値的結果は、実際の臨床的な集団および試験の結果ならびに観察されたエンドポイントに対するその参照によって処理後に変換され得る。この例は、実際の臨床試験を用いて導き出され、Genomic Health,Inc.(Redwood City、CA)のOncotype Dx製品における再発スコアの式の出力値に関して選択される絶対リスクおよびそのリスクに対する信頼区間の提示である。さらなる改変は、試験のより小さい部分集団について調整することであり、前記試験は、識別式またはリスク式の出力値に基づき、かつ前記部分集団の臨床的なパラメータ、例えば年齢または性別により定義され、選択される。
【0111】
臨床的パラメータおよび従来の検査室リスク因子の組合せ
上述の臨床的パラメータのいずれかは、式へのHNCMARKER入力値として、または特定のHNCMARKERパネルおよび式を使用して測定される関連の集団を定義する事前選択基準として、本発明の実施において使用され得る。上記したように、臨床的パラメータはまた、バイオマーカーの正規化および前処理、またはHNCMARKERの選択、パネルの構築、式の型の選択および導出、および式の結果の後処理にも有用であり得る。類似のアプローチは、式への入力または事前選択基準のいずれかとして、従来の検査室リスク因子と共に取り入れられる。
【0112】
HNCMARKERの測定値
HNCMARKERのレベルまたは量の実際の測定値は、当技術分野で公知のいずれかの方法を使用してタンパク質または核酸のレベルで決定され得る。例えば、核酸レベルでは、ノーザンおよびサザンハイブリダイゼーション解析、ならびにこれらの配列の1つまたは複数を特異的に認識するプローブを使用するリボヌクレアーゼ防御アッセイが、遺伝子発現を決定するために使用され得る。あるいは、HNCMARKERの量は、逆転写に基づくPCRアッセイ(RTPCR)を使用して、例えば遺伝子の特異的に発現した配列に特異的なプライマーを使用して、またはPanomics,Inc.による分枝鎖RNA増幅および検出方法により測定され得る。HNCMARKERの量はまた、技術的プラットフォーム、例えばAQUAを使用して、例えば、本明細書において記載される遺伝子産物によりコードされるペプチドのレベル、またはその細胞内局在性もしくは活性を測定することにより、タンパク質レベルで決定することも可能である。かかる方法は、当技術分野において周知であり、前記方法としては、例えば、遺伝子によりコードされるタンパク質に対する抗体、アプタマーまたは分子インプリントに基づくイムノアッセイが挙げられる。いずれの生物学的材料も、タンパク質またはその活性の検出/定量化のために使用され得る。あるいは、適切な方法は、分析される各タンパク質の活性に従ってマーカー遺伝子によりコードされるタンパク質の活性を決定するために選択され得る。
【0113】
HNCMARKERタンパク質、ポリペプチド、突然変異およびそれらの多型は、いずれの適切な方法でも検出され得るが、典型的には、対象からの試料に、HNCMARKERタンパク質、ポリペプチド、突然変異または多型と結合する抗体を接触させ、次いで反応産物の有無を検出することにより検出される。抗体は、モノクローナル、ポリクローナル、キメラであってよいか、または上で詳細に考察された通りの前述のものの断片であってよく、反応産物を検出するステップは、いずれの適切なイムノアッセイによっても実施され得る。対象からの試料は、典型的には上記の通りの生体液であり、上記の方法を行うために使用される生体液の同じ試料であってよい。
【0114】
本発明により実施されるイムノアッセイは、均一アッセイまたは不均一アッセイであってよい。均一アッセイにおいて、免疫反応は、通常、特異抗体(例えば、抗HNCMARKERタンパク質抗体)、標識検体、および関連の試料を含む。標識から生じるシグナルは、標識検体に抗体が結合する際、直接的または間接的に修飾される。免疫反応とその程度の検出との両方は、均一溶液中において実施され得る。用いることが可能な免疫化学標識としては、フリーラジカル、放射性同位体、蛍光色素、酵素、バクテリオファージまたは補酵素が挙げられる。
【0115】
不均一アッセイアプローチにおいて、試薬は、通常、試料、抗体、および検出可能なシグナルを生成するための手段である。上記の通りの試料が使用され得る。抗体は、担体、例えばビーズ(例えばプロテインAおよびプロテインGアガロースビーズ)、プレートまたはスライド上に固定化することができ、液相の抗原を含有すると推測される試料に接触させることができる。次いで、担体は、液相から分離され、担体相または液相のいずれかが、かかるシグナルを生成するための手段を用いる検出可能なシグナルについて検討される。シグナルは、試料中における検体の存在に関連する。検出可能なシグナルを生成するための手段は、放射性標識、蛍光標識または酵素標識の使用を含む。例えば、検出すべき抗原が第2結合部位を含む場合、その部位に結合する抗体は、検出可能な基に共役することが可能であり、分離ステップの前に液相反応溶液に添加することが可能である。固体担体上の検出可能な基の存在は、試験試料中における抗原の存在を示す。適切なイムノアッセイの例は、オリゴヌクレオチド、イムノブロット、免疫蛍光法、免疫沈降、量子ドット、マルチプレックス蛍光色素、化学発光法、電気化学発光(ECL)または酵素結合イムノアッセイである。
【0116】
当業者は、本明細書に開示される方法を実施するのに有用であり得る数多くの特定のイムノアッセイの様式およびその変形物に精通している。一般的に、E. Maggio、Enzyme−Immunoassay、(1980年)(CRC Press, Inc.、Boca Raton、Fla.)を参照し、また、Skoldらに対する「Methods for Modulating Ligand−Receptor Interactions and their Application」という名称の米国特許第4,727,022号、Forrestらに対する「Immunoassay of Antigens」という名称の米国特許第4,659,678号、Davidらに対する「Immunometric Assays Using Monoclonal Antibodies」という名称の米国特許第4,376,110号、Litmanらに対する「Macromolecular Environment Control in Specific Receptor Assays」という名称の米国特許第4,275,149号、Maggioらに対する「Reagents and Method Employing Channeling」という名称の米国特許第4,233,402号、およびBoguslaskiらに対する「Heterogenous Specific Binding Assay Employing a Coenzyme as Label」という名称の米国特許第4,230,767号をも参照されたい。
【0117】
抗体は、受動的結合等の公知の手法に従って、診断アッセイに適切な固体担体(例えばビーズ、例えばプロテインAまたはプロテインGアガロース、マイクロスフェア、プレート、スライド、またはラテックスやポリスチレン等の材料から形成されるウェル)に共役され得る。同様に、本明細書に記載される通りの抗体は、公知の手法に従って、検出可能な標識または基、例えば放射標識(例えば35S、125I、131I)、酵素標識(例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ)および蛍光標識(例えばフルオレセイン、Alexa、緑色蛍光タンパク質、ローダミン)に共役され得る。非増幅構成で抗原抗体結合の評価を可能にする高感受性抗体検出戦略が使用され得る。さらに、抗体はオリゴヌクレオチドに共役され得、その後、ポリメラーゼ連鎖反応および種々のオリゴヌクレオチド検出方法が行われる。
【0118】
抗体はまた、チロシンリン酸化、スレオニンリン酸化、セリンリン酸化、グリコシル化(例えばO−GlcNAc)等、HNCMARKERタンパク質、ポリペプチド、突然変異および多型の翻訳後修飾を検出することにも有用でもあり得る。かかる抗体は、関心の1種のタンパク質または複数のタンパク質中において、リン酸化されたアミノ酸を特異的に検出し、本明細書に記載されるイムノブロット、免疫蛍光およびELISAアッセイにおいて使用され得る。これらの抗体は、当業者に周知であり、かつ商業的に入手可能である。翻訳後修飾はまた、反射器におけるマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI−TOF)において準安定イオンを使用して決定することも可能である(Wirth, U.ら(2002年)Proteomics 2巻(10号):1445〜51頁)。翻訳後修飾に加えて、これらのプロセスは、タンパク質の局在化に結び付けることが可能であり、その結果、再局在化プロセスがモニタされ、バイオマーカーは、異なる区画におけるタンパク質の比に対する定常性または変化により示される相対的様式で評価される。腫瘍細胞内の核、核内ドメインおよび細胞質部位が、HNCMARKERにおけるタンパク質のいくつかにとって重要であることは明らかである。
【0119】
酵素活性を有することが公知のHNCMARKERタンパク質、ポリペプチド、突然変異および多型について、前記活性は、当技術分野で公知の酵素アッセイを使用して、インビトロで決定され得る。かかるアッセイとしては、限定されないが、他の多くのものの中でも、キナーゼアッセイ、ホスファターゼアッセイ、還元酵素アッセイが挙げられる。酵素活性の動力学の調節は、公知のアルゴリズム、例えばヒルプロット、ミカエリス−メンテンの式、線形回帰プロット、例えばラインウィーヴァー−バーク解析、およびスキャッチャードプロットを使用して、速度定数KMを測定することにより決定され得る。
【0120】
HNCMARKER配列についてのデータベース項目により提供される配列情報を使用して、HNCMARKER配列の発現は、検出することが可能であり(存在する場合)、かつ当業者に周知の手法を使用して測定することが可能である。例えば、HNCMARKER配列に対応する配列データベース項目の中の、または本明細書に開示される配列の中の配列は、例えば特異的な核酸配列を特異的にかつ好ましくは量的に増幅するノーザンブロットハイブリダイゼーション解析または方法において、HNCMARKER RNA配列を検出するためのプローブを構築するために使用され得る。別の例として、前記配列は、例えば逆転写に基づくポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)等の増幅に基づく検出方法において、HNCMARKER配列を特異的に増幅するためのプライマーを構築するために使用され得る。遺伝子発現の変化が遺伝子増幅、欠失、多型および突然変異と関連する場合、試験集団および基準集団における配列比較は、試験細胞集団および基準細胞集団において検討されたDNA配列の相対量を比較することにより行うことが可能である。
【0121】
本明細書に開示される遺伝子の発現は、当技術分野で公知の任意の方法を使用して、RNAレベルで測定され得る。例えば、これらの配列の1つまたは複数を特異的に認識するプローブを使用するノーザンハイブリダイゼーション解析は、遺伝子発現を決定するために使用され得る。あるいは、発現は、例えば特異的に発現した配列に特異的なプライマー特質を使用する逆転写に基づくPCRアッセイ(RT−PCR)を使用して測定され得る。また、RNAは、例えば他の標的増幅方法(例えば、TMA、SDA、NASBA)またはシグナル増幅方法(例えば、bDNA)等を使用して定量することも可能である。
【0122】
あるいは、HNCMARKERタンパク質および核酸代謝産物は、測定され得る。「代謝産物」という用語は、代謝プロセスの任意の化学物質または生化学産物、例えば、生体分子(例えば、タンパク質、核酸、炭水化物または脂質)のプロセシング、開裂または消費により産生される任意の化合物を含む。代謝産物は、当業者に公知の様々な方法で検出され得るが、前記方法としては、屈折率分光法(RI)、紫外分光法(UV)、蛍光分析、放射化学分析、近赤外分光法(近−IR)、核磁気共鳴分光測定法(NMR)、光散乱解析(LS)、質量分析、熱分解質量分析、比濁分析、分散ラマン分光法、質量分析と組み合わせられるガスクロマトグラフィー、質量分析と組み合わせられる液体クロマトグラフィー、質量分析と組み合わせられるマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)、質量分析と組み合わせられるイオンスプレー分光法、キャピラリー電気泳動、NMR、およびIR検出が挙げられる(各々がそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれるWO04/056456およびWO04/088309を参照されたい)。この点に関して、他のHNCMARKER検体は、上述の検出方法または当業者に公知の他の方法を使用して測定され得る。例えば、循環カルシウムイオン(Ca2+)は、蛍光色素、例えばFluo系列、とりわけFura−2A、Rhod−2を使用して試料中において検出され得る。他のHNCMARKER代謝産物は、かかる代謝産物を検出するために特異的に設計されるかまたは作製された試薬を使用して同様に検出され得る。
【0123】
キット
また、本発明は、HNCMARKER検出試薬、例えば、キットの形態で共に包装されるHNCMARKER核酸によりコードされるタンパク質に対するHNCMARKER核酸または抗体の一部に相補的な相同的核酸配列、例えばオリゴヌクレオチド配列を有することにより1種または複数のHNCMARKER核酸を特異的に同定する核酸をも含む。オリゴヌクレオチドは、HNCMARKER遺伝子の断片であり得る。例えば、オリゴヌクレオチドは、長さが200、150、100、50、25、10以下のヌクレオチドであり得る。キットは、別々の容器の中に、核酸または抗体(既に固体マトリックスに結合されているか、またはそれらを前記マトリックスに結合するための試薬と共に別々に包装されているかのいずれか)、対照調合物(陽性および/または陰性)および/または検出可能な標識、例えば、とりわけ、フルオレセイン、緑色蛍光タンパク質、ローダミン、シアニン染料、Alexa染料、ルシフェラーゼ、放射標識を含有してよい。アッセイを実施するための説明書(例えば、文書、テープ、VCR、CD−ROM等)が、キット中に含まれてよい。アッセイは、例えば、当技術分野において公知の通りのノーザンハイブリダイゼーションまたはサンドイッチELISAの形態であってよい。
【0124】
例えば、HNCMARKER検出試薬は、少なくとも1つのHNCMARKER検出部位を形成するための多孔性ストリップ等の固体マトリックス上に固定化され得る。多孔性ストリップの測定または検出領域は、核酸を含有する複数の部位を含むことができる。また、試験ストリップは、陰性対照および/または陽性対照のための部位を含有することもできる。あるいは、対照部位は、試験ストリップから離れたストリップ上に位置することができる。場合により、異なる検出部位は、異なる量の固定化された核酸、例えば第1検出部位においてはより大きな量、続く部位においてはより小さい量を含有してよい。試験試料の添加の際、検出可能なシグナルを示す部位の数は、試料中に存在するHNCMARKERの量の量的指標を提供する。検出部位は、任意の適切に検出可能な形状で構成することが可能であり、典型的には試験ストリップの幅に及ぶ棒または点の形状である。
【0125】
あるいは、キットは、1つまたは複数の核酸配列を含む核酸基質アレイを含む。前記アレイ上の核酸は、HNCMARKERで表される1つまたは複数の核酸配列を特異的に同定する。基質アレイは、例えば固体基質上、例えば米国特許第5,744,305号に記載される通りの「チップ」上にあってよい。あるいは、基質アレイは、溶液アレイ、例えば、xMAP(Luminex、Austin、TX)、Cyvera(Illumina、San Diego、CA)、CellCard(Vitra Bioscience、Mountain View、CA)およびQuantum Dots’ Mosaic(Invitrogen、Carlsbad、CA)であってよい。
【0126】
HNCMARKERの検出のための抗体のための適切な原料としては、例えば、Abazyme、Abnova、Affinity Biologicals、AntibodyShop、Biogenesis、Biosense Laboratories、Calbiochem、Cell Sciences、Chemicon International、Chemokine、Clontech、Cytolab、DAKO、Diagnostic BioSystems、eBioscience、Endocrine Technologies、Enzo Biochem、Eurogentec、Fusion Antibodies、Genesis Biotech、GloboZymes、Haematologic Technologies、Immunodetect、Immunodiannostik、Immunometrics、Immunostar、Immunovision、Biogenex、Invitrogen、Jackson ImmunoResearch Laboratory、KMI Diagnostics、Koma Biotech、LabFrontier Life Science Institute、Lee Laboratories、Lifescreen、Maine Biotechnology Services、Mediclone、MicroPharm Ltd.、ModiQuest、Molecular Innovations、Molecular Probes、Neoclone、Neuromics、New England Biolabs、Novocastra、Novus Biologicals、Oncogene Research Products、Orbigen、Oxford Biotechnology、Panvera、PerkinElmer Life Sciences、Pharmingen、Phoenix Pharmaceuticals、Pierce Chemical Company、Polymun Scientific、Polysiences,Inc.、Promega Corporation、Proteogenix、Protos Immunoresearch、QED Biosciences,Inc.、R&D Systems、Repligen、Research Diagnostics、Roboscreen、Santa Cruz Biotechnology、Seikagaku America、Serological Corporation、Ab Serotec、SigmaAldrich、StemCell Technologies、Synaptic Systems GmbH、Technopharm、Terra Nova Biotechnology、TiterMax、Trillium Diagnostics、Upstate Biotechnology、US Biological、Vector Laboratories、Wako Pure Chemical IndustriesおよびZeptometrix等の商業的に入手可能な原料が挙げられる。しかし、当業者は、本明細書に開示されるHNCMARKERのいずれかに対して、抗体、核酸プローブ、例えばオリゴヌクレオチド、アプタマー、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドを日常的に作製することができる。
【実施例】
【0127】
(実施例1)
頭頚部癌患者をバイオマーカーで評価する一般的方法
患者コホート
A.導入補助化学療法
頭頚部の扁平上皮癌は導入補助化学療法によく反応する。局所領域的に進行したHNSCCIII期およびIV期の頭頚部癌患者に、共同がんセンターの承認プロトコルに従って、カルボプラチン/タキサン(C+T)導入補助化学療法、次いでFHXに基づく化学放射線療法[(パクリタキセル、5−フルオロウラシル、ヒドロキシ尿素)]を受けさせた。しかし、化学療法は患者に有害であり、治療に先立って、腫瘍細胞の分子バイオマーカーを評価することによってその治療の有益性を理解することが好ましい。
【0128】
導入補助化学療法の後に反応評価を行った。反応の判断基準は、2次元腫瘍測定に基づいた。完全反応(CR)を、全ての検出可能な疾患が完全に消失することであると定義した。関与していた領域の生検または手術によって完全寛解を考証する試みを行った。部分反応(PR)を、測定可能な腫瘍病巣の、垂直直径が最長である産物が少なくとも50%縮小し、他の病巣の増殖がなく新規病巣の出現がないことであると定義した。安定疾患(SD)を、腫瘍病巣のサイズが安定したままである、または50%未満減少することを除いて部分反応と同じ判断基準によって定義した。進行性疾患(PD)を、総疾患が増大すること、腫瘍病巣の垂直直径産物が≧25%増加すること、または新規の転移性病巣が出現することであると定義した。反応率を完全反応および/または部分反応が実証された患者の比率として表した。最善の反応を、臨床的またはX線検査的に最善の反応として定義した。≧N2疾患の患者には、治療後選択的な頚部郭清術を受けることを推奨した。化学放射線療法後の残存疾患に対してサルベージ手術を推奨した。治療後の理学的検討、放射線画像、および/または生検陰性によってCRであると確認された患者に対しては一次手術を省略した(Vokes, EEら、2000年、Kies MSら、2001年、Salama JKら、2008年)。
【0129】
局所領域的に進行したHNCの患者37人について、腫瘍試料をホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)して試験した。全患者を、パクリタキセルおよびカルボプラチンの2サイクルから成る導入補助化学療法を用いて全体で8週間治療し、次いで反応を評価した。この試験における37人のHNC患者のうち11人が完全反応(CR)を有し、19人が部分反応(PR)を有し、7人が安定疾患(SD)を有した。この試験の目標は、導入補助化学療法に対する患者の反応を予測する、生検段階でのバイオマーカーのパターンを開発することであった。
【0130】
B.併用化学放射線療法
頭頚部癌患者の治療後期において、放射線および化学療法が頻繁に使用され、併用化学放射線療法と称される。患者は、癌の任意の病期(I〜IV)における併用化学放射線療法の候補であり得、その前に手術を受けていてもよく、または受けていなくてもよい。さらに、腫瘍が再発した患者も、併用化学放射線療法および/または再照射を受けるかどうかについての臨床決定の候補である。これらの状況のそれぞれにおいて、治療が有益であることが期待されるかどうかを判別するために、患者の腫瘍細胞の分子プロファイリングが十分でない。
【0131】
共同がんセンター内の、局所領域的に進行したHNCの患者66人からの生検検体(パラフィン包埋腫瘍試料)を組織マイクロアレイから評価した。HNC患者の生検材料は一次切除または反復生検から得た。試料はI/II期の試験からのものである:1)予後不良、放射線照射未処理、2)再照射。全てをTFHXに基づく化学放射線療法[(パクリタキセル、5−フルオロウラシル、ヒドロキシ尿素)]を用いて処理した。患者は化学療法[(パクリタキセル、5−フルオロウラシル、ヒドロキシ尿素)]と放射線照射を5〜7サイクルを受け、これは全体で10〜14週間であり、それぞれの化学療法と放射線照射のサイクルは5日間与えられた。
【0132】
併用化学放射線療法を受けた患者を、いくつもの臨床判断基準によって評価する。治療の予後的有益性および予測的有益性を示すバイオマーカーの決定について、これらの臨床パラメータと対照して考慮する。頭頚部癌に関して、患者について再発、遠隔転移、または死亡などの癌に関連付けられる事象をモニタする。評価可能な臨床指標は全生存、無病生存または無増悪生存、同様に無増悪期間または無事象期間である。患者は、頭頚部癌以外の癌に関連付けられる事象などの再発の型、または頭頚部の二次癌によってサブグループ化または分類することができる。
【0133】
C.HPV陽性またはHPV陰性である頭頚部癌の患者
タバコおよびアルコールの消費が頭頚部癌の発生の第一危険因子であるが、高リスク型のヒトパピローマウイルス(HPV)、一般にHPV16が頭頚部癌の新興病因的因子である。中咽頭癌の非喫煙者は、喫煙者よりもHPV陽性である可能性が15倍高い。最近の研究により、頭頚部癌において、HPV感染性腫瘍の患者は、腫瘍がウイルス陰性である患者と比較して予後が有利であることが示されている(Fakhry Cら、2008年、Licitra Lら、2006年、Weinberger PMら、2006年、Kumar Bら、2008年)。HPV陽性の中咽頭腫瘍の患者は生存優位性を有し、細胞当たりのHPVコピー数が導入補助化学療法および併用化学放射線治療に対する良好な反応ならびに疾患特異的生存および全生存の改善に有意に関連したことが知られている(Worden FPら、2008年)。p16タンパク質(p16)は、網膜芽細胞腫(Rb)リン酸化を阻害し、G1〜Sチェックポイントにおける細胞周期の進行を遮断するサイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤である。HPV陽性腫瘍は、p16の高発現を特徴とする。HPV E7タンパク質によってpRbが機能的不活性化した結果、p16が過剰発現し、そのことによりp16がHPVの代用マーカーになる(Fakhry Cら、2008年、Licitra Lら、2006年、Weinberger PMら、2006年)。したがって、p16陽性が臨床的かつ癌遺伝学的に関連性があるHPV感染を有する腫瘍のバイオマーカーとみなすことができる十分な証拠がある。p16/HPV複合バイオマーカーのデータは、別々に評価した各マーカーと比較して異なるHNCの生存転帰に関連付けられ、一緒に評価された2つの分子機構によって臨床転帰のより正確な予測がもたらされ得ることを示している(Smith EMら、2008年)。
【0134】
抗体に基づく免疫組織化学の使用によるバイオマーカーのアッセイ
腫瘍の全部分または腫瘍検体のコアの組織マイクロアレイ(TMA)を、DNA修復経路内のタンパク質と対照して抗体を使用した免疫組織化学(IHC)によって染色した(表1)。HNCMARKERであるタンパク質またはエピトープとしては、XPFおよびERCC1(ヌクレオチド除去修復)、FANCD2(ファンコーニ貧血/相同組換え経路)、MLH1(ミスマッチ修復)、PARP1(塩基除去修復)、PAR(ポリADPリボース、塩基除去修復)、pMK2(ホスホ−MAPKAPキナーゼ2、DNA損傷反応答)、pHSP27(DNA損傷反応答)、ATM(DNA損傷反応答)、pH2AX(DNA損傷反応答/非相同末端結合)、ERCC1(ヌクレオチド除去修復)、p53(DNA損傷反応答)、RAD51(相同組換え)、Ki67(増殖マーカー)が挙げられる。抗体は以下の供給源から得た:XPFおよびERCC1(AbCam)、ATM(Epitomics)、FANCD2およびp53(Santa Cruz)、MLH1およびKi67(BioCare Medical)、PARP1(AbD Serotec)、PAR(polyADP ribose)、pH2AXおよびRAD51(Millipore)、ホスホ−MAPKAPキナーゼ2およびpHSP27(Cell Signaling Technology)。
【0135】
HPVの状態を、DNA、RNAおよびタンパク質に基づくウイルスゲノム、転写物、またはタンパク質についての試験を含めた様々な検出方法によってモニタする。パラフィン包埋腫瘍試料を使用したHPVのin situハイブリダイゼーション(ISH)アッセイを行った。ISHは、色原体に基づく検出戦略に連結されたHPVの高リスク型DNAプローブおよび低リスク型DNAプローブを含有する(Ventana INFORM HPVII and HPVIII kit)を用いて行った。さらに、HPV感染の代用バイオマーカーも使用した。腫瘍抑制因子であるP16は、HPV感染細胞において上方制御され安定化される。p16は、DNA修復バイオマーカーとしてIHCによってモニタされる。
【0136】
試験群の頭頚部癌検体に加え、陰性および陽性のヒト頭頚部癌対照切片にもIHCを行った。標準法を使用して組織切片を脱パラフィン(deparafinize)し再水和した。熱誘導エピトープ回収を行い、組織を4℃で一晩、抗体を用いて染色した。XPFおよびFANCD2の検出に、Renaissance TSA(商標)(Tyramide Signal Amplification(チラミドシグナル増幅))ビオチンシステム(Perkin Elmer)を用いた。MLH1、PARP1、PAR、pMK2、pHSP27、pH2AX、ERCC1およびKi67の検出に、Super Sensitive(商標)IHC検出システム(BioGenex)を用いた。p53、ATM、RAD51の検出に、Envision+System−HRP(Dako)を用いた。2倍の抗体希釈範囲を既定し、抗体が過剰にあって、対照癌組織間で低発現レベルと高発現レベルが判別されるように抗体の回収条件を設定した。
【0137】
頭頚部癌において、DNA修復タンパク質の発現変化が頻繁に認められる
DNA修復経路は、化学療法および放射線照射に対する細胞反応ネットワークにとって重要である。これらのDNA修復経路のいくつかからの代表について、導入補助化学療法試験における臨床転帰との関連を調査した(表1)。HNC患者の生検材料を一次切除または反復生検から得た。HNC患者検体の全組織切片37個を免疫組織化学に適用した。10個の選択されたDNA修復タンパク質エピトープ、Ki67、およびいくつかの他のバイオマーカーを、頭頚部癌検体からの連続切片において評価した。腫瘍域を、病理検討によって切片ごとに境界画定した。マーカーの発現差異を、顕微鏡スライドをデジタル病理プラットフォーム(Aperio)にスキャンすることにより定量化した。病理学者によるスコアおよび機械に基づく染色強度コレクションを、注釈をつけた腫瘍域に集めた。0ビン、1+ビン、2+ビンおよび3+ビン内のマーカー出力を荷重アルゴリズムに集約して0〜300の相対強度スコアを作り出した。いくつかのマーカーについて、核の染色強度を測り、他の場合では、異なる細胞区画へのマーカーの局在化を明らかにした。例えば、ヌクレオチド除去修復(NER)タンパク質バイオマーカーXPFの核染色パターンは、免疫組織化学によって3つの代表的な癌組織生検材料において実証することができる。XPF核染色強度が低いまたは負であることは、NER経路が止まっていることを示し、XPF染色強度が中程度であるまたは高いことは、NER経路が進行していることを示す。各バイオマーカーについて、対照の頭頚部腫瘍切片を用いて画像解析アルゴリズムを確立した。同様に、群内のいくつかの他の抗体を用いて、翻訳後調節を腫瘍特異的な形で選択的に実証した。例えば、Mapkapキナーゼ2(pMK2)またはpATMまたはpH2AXのリン酸化修飾をモニタすることによって、患者検体間での選択性の変化を判別した。さらに、患者の腫瘍によって、核のみ、または核+細胞質を含めたいくつかの分布でpMK2の細胞内局在化が起こった。FANCD2タンパク質またはBRCA1タンパク質などのいくつかのバイオマーカーは、DNA修復経路の活性化変化の指標である細胞核に特有のパターンを有する。これらのタンパク質について、IHCまたは免疫蛍光法に基づく核内フォーカスが、FA/HR経路活性化の指標である。頭頚部癌の生検材料について、ある型の患者検体はFANCD2に基づくDNA修復経路およびBRCA1に基づくDNA修復経路の活性化を示し、他の検体はそれを示さないことが明らかである。
【0138】
スコア化
IHC定量比較を、顕微鏡スライド色原体染色パターンの、コンピュータに基づく画像への変換、およびソフトウェアアルゴリズムの利用、適合およびトレーニングを伴うデジタル病理戦略によって確立した。染色された組織を、陽性の腫瘍核の強度および量を組み込んだ機械に基づく画像解析およびスコア化を使用して評価した。スキャンおよび画像解析のプラットフォームはAperioからのものであった。各バイオマーカーパターンを病理概観によって量について評価した。各バイオマーカーについて、対照の頭頚部癌腫瘍切片を用いて画像解析アルゴリズムを確立した。
【0139】
機械によって導かれる画像解析と病理学者によるスコアとの間の相関を試験するために、導入補助化学療法試験において、盲検で2人の病理学者によって解析されたIHC染色XPFと機械に基づくアルゴリズムを比較した(図1)。結果は、機械によって導かれる画像解析と病理学者によるスコアとの間に、0.744〜0.839の範囲のR値の良い相関を示した。
【0140】
臨床転帰の相関と相対的なマーカー出力値を判別するために、検体のコア−コア変動がDNA修復マーカーについて患者の順位スキームに影響したかどうかを最初に解明することが求められた。この目的のために、コホート内の最低値から最高値までから患者の順位の恣意的な指数を確立した。3連のTMAコア間の各マーカーの変動レベルを決定し、患者の順位値/マーカーと対照してスコア化した(図2)。試験されたHNCMARKER8個について、平均順位誤差は全体のうち低い割合であったことが分かった。(8.8〜11.1%DNA修復、11.1%Ki67)。したがって、2連のTMAコア間の比較的小さい変動では、試験されたどのマーカーについても患者の順位は有意に変化しない。
【0141】
統計解析
バイオマーカーのスコア化を臨床データと相関させて転帰との相関を評価した。一連の最適閾値のマーカー値を、反応者群と非反応者群間で(導入補助化学療法)、または生存が良い群と生存が悪い群を分離するために(併用化学放射線療法)、最高の判別をもたらした各マーカーについて一変量解析することによって決定した。判別分析および区分解析も行って、データセット試料を反応者/非反応者について、または無病生存もしくは全生存によって、複数の群に最大限分離した。バイオマーカーは種々のDNA修復経路から選出して、多数のマーカーを使用したアルゴリズムが、同じ経路の重複する測定値ではなく多数の経路で情報を取り込むようにした。カプラン・マイヤー生存曲線およびコックス比例ハザードを用いて、バイオマーカーに関連付けられる死亡までの期間を個々に、または組み合わせて評価した。p値、見かけの誤差率(AER)、受信者動作特性および曲線下面積(AUC)、感受性、特異性、陽性予測力、陰性予測力、相対リスク(RR)、オッズ比に関する統計出力を代替モデルにおいてコンピュータ処理した。多マーカーモデルを用いて、確率試験を伴う個別解析も行ってAUCおよび他の統計値を作成した。
【0142】
(実施例2)
併用化学放射線療法から有益性を判別することにおいて有用性を有するHNCMARKER
局所領域的に進行したHNSCCのIII期およびIV期のHNC患者66人に、共同がんセンターの承認プロトコルに従ってTFHXに基づく併用化学放射線療法を受けさせた。患者の生検材料を一次切除または反復生検から得、3つの組織マイクロアレイ(TMA)を構築し、免疫組織化学バイオマーカーの開発に適用した。無増悪期間を治療の最初の日から疾患が消滅、新規病巣が出現、または指標病巣が以前の最小サイズを超えて25%超増加するまでの時間として測定した。生存を、試験に入った日から任意の原因で死亡するまで測定した。無病生存(DFS)、および全生存(OS)および疾患特異的生存(DSS)を、最初の診断日から算定した。DFSは、組織の取得と疾患再発のエビデンス間の時間として定義した。OSは、無作為化から任意の原因による死亡までの時間として定義した(Vokes EEら、2000年、Michiels Sら、2009年)。統計解析するために、局所再発、領域性再発または遠位再発を疾患再発として一緒にグループ化した。無増悪期間および生存期間を、カプラン・マイヤー積極限曲線を使用して要約した。
【0143】
この試験の目標は、併用化学放射線療法の下で、無病生存率または全生存率を予測する、生検段階でのバイオマーカーのパターンを開発し、患者の腫瘍がどれほど侵略的に再発するかを通知することであった。この臨床設定におけるこれらのバイオマーカーの有用性のいくつかの例を例示している。
【0144】
(実施例3)
併用化学放射線療法の後に頭頚部癌患者の生存群を分離した区分解析によるHNCMARKERの関連
11種のHNCMARKERを、併用化学放射線療法後の生存の尤度を予測するそのマーカーの能力について生検材料から解析した(表1)。次いで各HNCMARKERを死亡群および無病/全生存群間で分離するために評価した。各マーカーについて一変量のコックス比例ハザードモデルを構築して(単一マーカーモデル)、そのマーカーの潜在的な予測力を検討した。一変量の区分解析において、XPF(P=0.00422)、FANCD2(p=0.00199)、RAD51(p=0.0359)、およびBRCA1(p=0.0101)が高いことが、良好な生存に関連付けられた(表2)。カプラン・マイヤー生存曲線によっても、XPF、FANCD2、BRCA1、RAD51、ATMが高いことが良好な生存転帰に関連することが示され、そのことは一変量の区分解析と一致している(図3)。pMK2およびpH2AX、ERCC1、PAR、p53などのDNA修復のいくつかの他のマーカーについては、同じ解析で統計的有意性に達しなかった(表2)。
【0145】
生存群を区別する多数DNA修復バイオマーカーパネルの発見
DNA修復経路は細胞生存中に機能することができ、化学療法は協奏的に反応する。したがって、DNA修復タンパク質の変化は、個々の解析によるよりも、マーカーの効果を組み合わせることによって有効に決定することができる。これらの関連について統計式の仮説を展開するために、多数のマーカーの組合せを、分布分割を使用して解析した。マーカーの組合せから成るモデルを構築して、死亡群と生存群を分離するための、マーカーと経路間の可能性のある補足的な相互作用を調査した。
【0146】
2つのマーカーモデル区分解析を、併用化学放射線療法のバイオマーカー対の関連について別々に算定した(表3)。XPF、FANCD2、BRCA1、RAD51、ATMは、P値が低くAUC値が高い2つのマーカー分割モデルおよび確率モデルの78%で出現した。2つのマーカー解析において、FANCD2、BRCA1、RAD51、ATMは、頭頚部患者からの生存群の良好な分離を示す。他のマーカーは、同様の対での試験において一貫した働きをせず、別の群に属することが認められず、生存群の顕著な判別に寄与しないことが分かった。全ての2つのマーカー分割モデルをHNCMARKERについてコンピュータ処理した(表3)。統計的評価には、p値、見かけの誤差率、相対リスク、オッズ比、陽性予測力、および陰性予測力を含めた。
【0147】
組み合わせたHNCMARKERは、単独のHNCMARKERよりも有効であり、マーカーの組合せ内の高性能の根源マーカーを同定することが重要である。他のマーカーと組み合わせて使用した際の個々のマーカーの能力を解析するためにプラットフォームを開発した。試験は、多数マーカーモデルにおいて改善される、併用化学放射線療法で治療した後の全生存に対する根源マーカーの働きを評価することにより行った。この解析の役割は、引き続き追加のモデルにおいて試験するための特定のマーカー群を関連付けることである。標的とした特異的な単一バイオマーカーの標的開始点を用いた試験においてHNCMARKERについて区分解析を算定した。示した例では、算定された5種の根源マーカーはFANCD2、XPF、BRCA1、ATMおよびRAD51である(図4)。まず1種マーカーモデル、次いで常に根源マーカーを含有する2種、3種、および4種マーカーモデル全てを示した。どの場合においても、コンピュータ処理したlog10P値(四角)、陽性予測値(PPV)(三角)およびAER(黒丸)を各根源マーカー単独、および2種、3種および4種マーカーモデルで他のHNCMARKERとの組合せについて示す。全てのモデルの中央値を各モデルにプロットした。
【0148】
重要な根源マーカーにマーカーを追加することの有益性の例を本実行で実証する。根源マーカー解析の2つの特定の例、PARおよびpMK2を選出し、高生存患者サブグループと低生存患者サブグループ間の判別を示すように算定されたp値を用いてカプラン・マイヤー全生存曲線をプロットした。PARを用いた最初の例において、HNCMARKERであるRAD51、XPF、およびFANCD2を加え、それぞれの2−、3−、および4−マーカーモデルを算定した(図5)。p値は、PAR(0.0746)、PAR、RAD51(0.00618)、PAR、RAD51、XPF(1.61e−4)、およびPAR、RAD51、XPF、FANCD2(6.06e−5)であり、これはマーカーの追加(組合せマーカー)により、患者の生存サブグループが良好に判別されることを示している。pMK2を用いた第2の例では、HNCMARKERのp53、FANCD2およびBRCA1を追加し、それぞれの2種、3種および4種マーカーモデルを算定した(図5)。p値は、pMK2(0.293)、pMK2、p53(0.0256)、pMK2、p53、FANCD2(1.1e−5)、およびpMK2、p53、FANCD2、BRCA1(2.64e−6)であった。両方の例において、試験された全患者は黒い点線によって境界線を画定し、例示した4種マーカーモデルは、全患者の傾向と異なる患者サブグループを識別する。
【0149】
多数マーカー分割モデルをさらに拡張して3種のマーカー、および4種のマーカーの組合せを含めた。3種のマーカー分割モデルをHNCMARKERおよび統計値によって優先順位をつけた一覧についてコンピュータ処理した(表4)。一例において、カプラン・マイヤーOS曲線で、RAD51、BRCA1およびFANCD2が高いことが、単一のマーカーモデルと比較して、p値=1,22e−4、AUC=0.84の良好な生存転帰に関連付けられることが示されている(表2)。さらに、3種のマーカーモデル全てを、併用化学放射線療法後の生存が良いサブグループと生存が悪いサブグループを区別する全生存解析において合同で解析した。
【0150】
多数HNCMARKERが単一のマーカーよりも改善された働きを示すことを実証するために、区分解析の出力を、併用化学放射線療法試験において、6つの統計値およびHNCMARKER群を用いた1種、2種、3種、および4種マーカーモデルの比較と対照して評価した(表2〜5)。結果は、P値、相対リスク、陽性予測値、特異性、およびAERの値に基づいて、モデルのこの群からのマーカーの数を増加させることにより、3種、4種、および5種マーカーモデルが1種マーカーモデルよりも明らかに優れ、重複しない場合に性能が増加することを示している。したがって、4種のHNCMARKER試験および5種のHNCMARKER試験はどちらも、単一のHNCMARKERよりも良好な判別をもたらし、誤差が少ない。
【0151】
(実施例4)
頭頚部癌の、生存が良い群と生存が悪い群を有効に区別するためのHNCMARKERにおけるパラメトリック確率解析の使用
確率解析の統計プロセスを独立に実行して併用化学放射線療法試験におけるHNCMARKERを比較した。手順を展開して、各群においてマーカーの評価が認められる確率を検討することにより死亡群または生存群への患者の配置を検討した(図6)。この手順において、上記解析に使用される群の構成員の定義を、死亡の高発生率の領域に加えて死亡の低発生率の領域を定義することによってさらに正確にする。これらの領域は、死亡する可能性が高い群と死亡する可能性が低い群についての多変数確率分布を使用して構築し、群の構成員に反映される単一スコアは個々の群の確率から構築する。これらの確率分布を構築する1つの方法は、確率のパラメトリック推定、すなわち正規分布を使用することである。別の方法は、各群について確率密度のノンパラメトリック(分布によらない)推定値を使用することである。
【0152】
パラメトリック法(正規分布)の理論および算定
両方の群について平均ベクトルμおよび共分散マトリックスΣを測定することによって、マーカー値xとして、再発する可能性が低いfnl(x)群、および再発する可能性が高いf(x)群について確率密度関数を評価することができる。
【0153】
【数1】

確率密度は、各群においてマーカー値が認められる事後確率として表される。
【0154】
【数2】

解釈を平易化するためのスカラー値を得るために、これらの確率を下記式によってスコアsに組み合わせる。
【0155】
【数3】

スコアのこの形式は、生存する可能性が低い群内で認められる確率が非常に高い試料が(P(nl)>>P(I))、+1に近いスコアを有するように;生存する可能性が高い群内で認められる確率が非常に高い場合は、スコアが−1に近いように選出される。試料が認められる確率がどちらの群でも同程度の場合は、スコアはゼロに近い。モデルからは転帰が不明である試料を適応させるために、群に割り当てる前にスコアの大きさを±1/3の閾値を超過させる必要がある。±1/3のスコアは、群の構成員の確率で2倍の差異と同等である;P(nl)=2P(l)または2P(nl)=P(l)。試料が閾値を超過しない場合は、どちらの群にも割り当てられず、不確定と分類される。
【0156】
各群についての平均および共分散マトリックスをデータセットから算定し、検証設定のためのスコアの生成に使用した。
【0157】
1種、2種、3種、および4種のマーカーの特有の組合せを全て使用したモデルを構築し、それらのマーカーの患者の転帰を判別する能力を照合した。全てのモデルについて、不確定であった試料の数をプロットした。不確定の範囲(−1/3<スコア<1/3)に落ちた試料の中間数は、モデルにマーカーを追加するほど減少する。出力を4つの様式で評価した:1)転帰によるスコア、2)カプラン・マイヤー生存曲線、3)スコアからの予測転帰、および4)スコアからのROCプロット。スコアは、事象(死亡)または無事象(生存)の確率であり、したがって−1〜1の範囲である。また、事象の尤度も0〜1の範囲に設定される。
【0158】
転帰によるスコアは、スコアを与えられた患者についての再発の尤度を示す。生存の尤度をy軸にプロットする。患者の生存の尤度は、曲線からx値(スコア)に対応するy値を読み取ることによって決定する。上記で定義した不確定領域は、破線で示したプロット戦略に反映され、(−1/3<スコア<1/3)である。
【0159】
スコアからの予測転帰は、スコア値をもたらす生存の尤度をコンピュータ処理することによるスコアの臨床的な関連性の評価である。各レベルのスコアについての再発確率を、スコアウィンドウ内(すなわち、−1≦スコア≦0.8)の全患者をビニングすることにより算定し、再発経験ウィンドウ内の患者試料の割合を決定する。試料の数が2つ未満のビンは報告していない。再発の確率対スコアの傾向を、Loess fitを使用して近似し、傾向線についてのポイントワイズ95%信頼区間も報告している(図中の点線)。
【0160】
さらに、スコアからのROCプロットは、試験の質の決定に使用した。不確定スコアの閾値に対する±1/3の選出は最適でない可能性がある。群の構成員の割り当てにおいて異なるスコア閾値を選出する効果は、ROCプロットを使用して検討することができる。ROCプロットは、閾値を−1〜1まで移動させることによってスコアから構築し、その閾値未満の試料全てを死亡陽性であるまたは死亡する可能性が高いと判定する。閾値を超えるスコアの試料全てを死亡する可能性が低い群に配分する。正確に検出された全ての再発性試料の割合を、誤って生存と識別された非再発性試料の割合と対照してプロットする。
【0161】
上記の統計パラメータを使用し、HNCMARKERを、併用化学放射線療法で治療された頭頚部癌患者における全生存有益性との関連について評価した。HNCMARKERの例であるXPFは、転帰によるスコア、カプラン・マイヤー疾患特異的生存曲線、スコアからの予測転帰、スコアからのROCプロットに対して射影を示すことが示されている(図7)。この例では、生存群を区別するlog10p値は0.00189(カプラン・マイヤー疾患特異的生存曲線)であり、ROCプロットから計算されたAUCは0.711である。HNCMARKERの代表的なサブグループ[XPF、FANCD2、ATM、BRCA1およびRAD51]カプラン・マイヤー全生存曲線も、併用化学放射線療法で治療された頭頚部癌患者についての転帰データからプロットした(図8)。
【0162】
多数HNCMARKERについても2種のマーカーモデル(図7)、3種のマーカーモデル(図8)、および4種のマーカーモデル(図9)を用いて確率解析を行った。
【0163】
多数のDNA修復バイオマーカーが、頭頚部癌の臨床決定のために患者のサブグループを判別することに有意な有益性を付加することを実証するために、HNCMARKERセットの1種、2種、3種、および4種マーカーモデル全てについて確率解析を完了した。カプラン・マイヤー全生存曲線、相対リスク、陽性予測値、および平均誤差率(AER)から統計パラメータのp値を検討し、プロットした(図9)。HNCMARKERモデルを1種〜4種に増加させることにより、統計パラメータは特徴的に全体的に改善される。中央値は、HNCMARKER群内のp値の減少、相対リスクの増加、陽性予測値の増加、およびAERの減少を示している(図9)。比較すると、個々のバイオマーカーとして評価された全てのHNCMARKERの複合解析では、4種のHNCMARKERモデルに対する同様の解析よりも全生存について患者のサブセットを判別する能力が低い。この点を例示するために、図はHNCMARKERセットの1種マーカーモデル全てとHNCMARKERセットの4種マーカーモデル全てを比較している(図11)。囲み枠は、X軸上の、HIGH生存群またはLOW生存群への割り当てに誤りがある患者を示している。したがって、確率解析により、HNCMARKERの組合せにより、試験の1つの結果によっては正確に割り当てられない患者画分の混同を縮小することができることが示されている(図10)。
【0164】
多数マーカーモデルの重要性についての追加の実証を、後の全てのモデルについてHNCMARKERの1つを根源マーカーとみなすことによって示す。p値、陽性予測値、およびAERの統計値を、FANCD2、XPF、ATM、BRCA1またはRAD51バイオマーカーそれぞれを用いた1種マーカーモデルについて別々にコンピュータ処理した。次に、同じ開始バイオマーカーを含有する2種、3種、または4種マーカーモデル全てを用いて同じ統計試験を生成し、関連モデル全てについて中央値を算定した。根源マーカーごとに同じ実行を行った:FANCD2、XPF、ATM、BRCA1またはRAD51。5種の根源マーカーそれぞれの場合において、2種、3種、および4種マーカーモデルは、マーカーの追加で、性能が増加する傾向を示し、関連する1種マーカーモデルに対して有意に改善されている(図10)。全てのHNCMARKERを用いた算定に関しては、性能が増加する特徴は、2種、3種、および4種マーカーモデルでのマーカーの共同評価に関連付けられる。
【0165】
HNCMARKERセットからのRAD51、BRCA1、およびFANCD2マーカーを用いた例を示す(図12)。この3種のマーカーモデルについて、転帰によるスコア、カプラン・マイヤー生存曲線(p=1.22e−4)、スコアからの予測転帰、およびROCプロット(AUC=0.84)を含めた評価された統計パラメータそれぞれについて有意性が増加し、それは、どの単一のHNCMARKER試験に対しても3種HNCMARKER試験では判別が良好で誤差が少ないことを示している(図12)。さらに、HNCMARKERを用いた3種マーカーモデルは、生存が良い(HIGH)サブグループおよび生存が悪い(LOW)サブグループの両方が全患者の傾向から区別されるように患者のサブグループを識別することの有用性を例示している。DNA修復バイオマーカーの組合せの一般例を表8に示す。
【0166】
多数HNCMARKER確率解析をHNCMARKERからの4種マーカーモデルにおいても展開した(表9)。XPF、FANCD2、ATM、BRCA1の4種マーカーモデルについて、転帰によるスコア、カプラン・マイヤー生存曲線(p=4.98e−4)、スコアからの予測転帰、およびROCプロット(AUC=0.828)について有意性が増加し、それはどのHNC単一マーカー試験に対しても4種HNCMARKER試験では判別が良好で誤差が少ないことを示している(図13)。代替のXPF、FANCD2、RAD51、BRCA1の4種マーカーモデルにおいて、転帰によるスコア、カプラン・マイヤー生存曲線(p=1.17e−5)、スコアからの予測転帰、およびROCプロット(AUC=0.87)について有意性が増加し、それはどのHNC単一マーカー試験に対しても4種HNCMARKER試験では判別が良好で誤差が少ないことを示しており(図14)、これは4種マーカー区分解析と一致している(表5)。したがって、4種HNCMARKER試験により、単一のHNCMARKERよりも良好な判別と少ない誤差がもたらされる。さらに、HNCMARKERを用いた4種マーカーモデルは、生存が良い(HIGH)サブグループおよび生存が悪い(LOW)サブグループの両方が全患者の傾向から区別されるように患者のサブグループを識別することの有用性を例示している。結論として、多数マーカーアルゴリズムは、4種マーカーモデルが、併用化学放射線療法において生存群を区別することに、より特異的、感受性、かつ統計的に有意であることを示している。患者の生検材料からの試験は、生存が良い患者サブセットと生存が悪い患者サブセットの両方を線引きすることに関連性がある。
【0167】
いくつかの統計試験を利用して、確率解析における、単一バイオマーカーの値に対する優位性を立証した。4種の個々のマーカーについてのAUC値を、FANCD2(0.73)、XPF(0.69)、およびBRCA1(0.75)、RAD51(0.68)、ATM(0.65)と算定した。比較すると、代替の4種のバイオマーカーパネルを有利に比較し、4種のDNA修復マーカーモデル(ATM;FANCD2;RAD51;XPF)についてはAUC値0.87;4種のDNA修復マーカーモデル(BRCA1;FANCD2;RAD51;XPF)についてはAUC値0.86;4種のDNA修復マーカーモデル(ATM;BRCA1;FANCD2;RAD51)についてはAUC値0.85および4種のDNA修復マーカーモデル(ATM;BRCA1;FANCD2;XPF)についてはAUC値0.83と有意に高かった(表9)。同様に、陽性予測力および陰性予測力の算定を評価した。個々のマーカーは陽性予測力(0.59〜0.69)および陰性予測力(0.52〜0.86)を示した。代わりに、4種のマーカーアルゴリズム、ATM;FANCD2;RAD51;XPFは陽性予測力(0.84)および陰性予測力(0.94)を示し、BRCA1;FANCD2;RAD51;XPFは陽性予測力(0.79)および陰性予測力(0.84)を示し、ATM;BRCA1;FANCD2;RAD51は陽性予測力(0.77)および陰性予測力(0.88)を示し、ATM;BRCA1;FANCD2;XPFは陽性予測力(0.74)および陰性予測力(0.82)を示し優れていた(表9)。他の統計マトリックスに関しては、陽性予測力および陰性予測力の決定により、4種のマーカーモデルが個々のマーカーを用いて試験するよりも有意であり信頼性が高いことが立証された。
【0168】
(実施例5)
併用化学放射線療法に有益な頭頚部癌患者における追加の臨床エンドポイントを用いてHNCMARKERを判別する
いくつかの臨床エンドポイントが、HNCMARKERを用いて評価可能である。それらの中には、無増悪期間、無病生存、および疾患特異的生存および頭頚部癌において同様に重要である追加のエンドポイントがある。HNCMARKERアルゴリズムが追加の臨床パラメータに対して情報を与えることを例示するために、以下の実施例を説明する。
【0169】
同時化学療法で治療された頭頚部癌患者を、カプラン・マイヤー疾患特異的生存射影を使用して疾患特異的生存について評価して、アルゴリズムの結果を通知した。単一のHNCMARKER[XPF、BRCA1、FANCD2、およびRAD51]の区分解析を算定し、HIGH生存群およびLOW生存群それぞれが統計的に有意に線引きされることが示された:XPF(p値=1.74e−5)、BRCA1(p値=8.5e−4)、FANCD2(p値=4.58e−4)、RAD51(p値=0.0013)(図15)。このデータにより、疾患特異的生存などの追加のパラメータも、化学放射線治療で治療する有益性についてHNCMARKERモデルを用いて評価可能であることが実証された。
【0170】
有用性の第2の実証をHNCMARKERについて示し、多数マーカーモデルの場合の疾患特異的生存評価を算定する。4種HNCMARKERモデル[BRCA1、XPF、RAD51、FANCD2]の例で、化学放射線療法で治療された頭頚部癌患者は高生存群および低生存群に区別されることが示されている(図16)。図は、BRCA1、XPF、RAD51、FANCD2の4種マーカーモデルの区分解析か確率解析のいずれかによって生存群を判別するための試験の有益性を例示しており、区分解析については(p=2.9e−06)および確率解析については(p=5.35e−4)の高log10p値であった。したがって、HNCMARKERモデルは重要であり、他の臨床エンドポイントに関連性がある。
【0171】
(実施例6)
頭頚部癌における導入補助化学療法の有益性を判別するHNCMARKER
単一のHNCMARKERを用いた一変量解析
HNCMARKER11種を、導入補助化学療法から反応者群および非反応者群を予測するそのマーカーの能力について解析した(表10)。本実施例におけるDNA修復バイオマーカーとしては下記のものが挙げられる:XPF、pMK2、FANCD2、PARP1、ERCC1、MLH1、pH2AX、PAR、Ki67。本実施例では、pMK2の細胞質内および核内の2つの型をスコア化する。同様に、FANCD2の核内フォーカス(NF)および陽性核(N)について2つのスコアが評価可能である。HNC患者を、導入補助化学療法に対するその患者の反応の評価において、固定閾値戦略を使用して区分解析によって分離する。
【0172】
各マーカーについて一変量のコックス比例ハザードモデルを構築して、そのマーカーの潜在的な予測力を検討した。各マーカーについてROCプロットを構築し、AUCをコンピュータ処理した。順列試験を使用してAUCの有意性を照合した。AUC値は、単一バイオマーカーのROC決定から示される。AUC:曲線下面積は、試験スキーム下のデータがどれほどうまく2つの分類に分離されたかの測定値であり、ROC、受信者動作特性、または単にROC曲線は、判別閾値が変動する二元性の分類システムについての感受性対(1−特異性)のグラフによるプロットである。ROCは、真陽性画分(TPR=真陽性率)対偽陽性画分(FPR=偽陽性率)をプロットすることによっても同等に表すことができる。マーカーの1つは、非反応者から反応者を判別する能力が95%の信頼性レベルで有意であり(AUC=0.78、p=0.018)、1つのマーカー、pMK2は、90%の信頼性レベルで有意であった(AUC=0.71、p=0.08)。
【0173】
頭頚部癌試験において、11種のバイオマーカーそれぞれについて、二次の判別モデルを誤分類および想定プライア(prior)と同等の費用で構築した。等しくない群サイズを修正するために、各マーカーについての分類の平均誤差率を算定し、ラッヘンブルックホールドアウト法(Lachenbruch’s holdout method)を使用して検証した。11種のマーカーのうちXPFが最も低い誤分類率を有し(観察値20%、交差検証値20%)、pMK2が2番目に低い誤分類率を有した(観察値25%、交差検証値39%)。
【0174】
この試験によって、XPFは統計的に有意である(図17)。確認のために、さらに、多数比較について、ボンフェローニ補正した後に80%の信頼性レベルで決定し、それによりXPFが、頭頚部癌の治療に対する反応の予測において重要なマーカーであることが示唆された。導入補助化学療法に対する完全反応(CR)は生存の改善の前兆となる(Spaulding MBら、1994年、Jaulerry Cら、1992年、Tejedor Mら、1992年、Maipang Tら、1995年)。
【0175】
頭頚部癌において導入補助化学療法に対する反応を通知するためのHNCMARKERパネルにおける多数バイオマーカーの役割
DNA修復経路は、細胞生存中に機能することができ、化学療法は協奏的に反応する。したがって、DNA修復タンパク質の変化は、個々の解析によるよりも、マーカーの効果を組み合わせることによって有効に決定することができる。これらの関連について統計式の仮説を展開するために、2種のマーカーの組合せを、分布分割を使用して段階的な二元性マーカーモデルで解析した。マーカーの組合せから成るモデルを構築して、頭頚部癌の導入補助化学療法から非反応者から反応者を判別するための、マーカーと経路間の可能性のある補足的な相互作用を調査した。マーカー比較の出力は、XPF、pH2AX、pMK2に基づく2種マーカー解析から良好な転帰を示した(図18、19)。2種マーカーモデルのおよそ30%が、XPFおよびpH2AXによって達成された最善性能の最善の単一マーカーモデルよりも高いAUCを実証した(AUC=0.91)。最良の追加的な2種のマーカーモデルの60%に出現したXPFおよび33%に出現したpMK2は、治療に対する反応の予測におけるその潜在的な役割を強化している。最良比モデルの38%に出現したXPFはさらに、XPFが患者の反応の基線を確立することにおいて重要であることを意味している。他のマーカーは同様の対での試験において一貫した働きをせず、別の群に属することが認められず、反応者群の患者の顕著な判別に寄与しなかった。全ての2種マーカーモデルをHNCMARKERについてコンピュータ処理した;統計的評価には、p値、見かけの誤差率、相対リスク、オッズ比、陽性予測力、および陰性予測力を含めた。
【0176】
多数マーカーモデルを拡張して3種のマーカーの組合せを含め、マーカーを組み合わせる2つの可能な様式を適用した:(m+m+m)および(m/m+m)。3種のマーカーモデル全てを、頭頚部癌における導入補助化学療法の有益性を予測するものとしてHNCMARKERについてコンピュータ処理した。バイオマーカーの組合せから、頭頚部癌における導入補助化学療法に対する患者の反応を判別することに対する有益性が決定され得る多数バイオマーカーモデルが得られた(図20)。両方のモデル構造における最良の候補について0.97を超えるAUCでROCプロットが構築された場合に、2つの異なるモデル構造から同様の結果が得られた。単に追加的な構造の最良の判別モデルから、安定疾患の患者を分類するための良好な性能が得られたが(正確度71%対正確度57%)、治療反応者の正確な分類においては同様の性能が得られた(正確度87%対正確度86%)。XPFは、3種のマーカーモデルの最良の1%の3分の1に出現し、pMK2は最良モデルの14%に出現した。pH2AXも、最良モデルの30%に発生する一般の最良マーカーとして識別され、両方の構造に対して最善の性能の3種マーカーモデルに存在した。多数マーカーモデル解析は、導入補助化学療法に対する頭頚部癌患者の反応を予測することに感受性かつ有効である。
【0177】
代替として、導入補助化学療法への反応に関連性がある判別子HNCMARKERも、分類のサブグループ化を使用することによって評価し、図21は、枝刈りした分類木における多数マーカー射影を示し、HNCMARKERが枝刈りした木の判別子によって検証されることを示している。
【0178】
【表1】

【0179】
【表2】

【0180】
【表3】

【0181】
【表4−1】

【0182】
【表4−2】

【0183】
【表5−1】

【0184】
【表5−2】

【0185】
【表5−3】

【0186】
【表5−4】

【0187】
【表6】

【0188】
【表7−1】

【0189】
【表7−2】

【0190】
【表8−1】

【0191】
【表8−2】

【0192】
【表8−3】

【0193】
【表8−4】

【0194】
【表8−5】

【0195】
【表9−1】

【0196】
【表9−2】

【0197】
【表9−3】

【0198】
【表9−4】

【0199】
【表9−5】

【0200】
【表9−6】

【0201】
【表9−7】

【0202】
【表9−8】

【0203】
【表10】

【0204】
【数4】

【0205】
【数5】

他の実施形態
本発明がその詳細な説明と共に記載されたが、前述の記載は、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を例示することを意図したものであって、限定することを意図したものではない。他の態様、効果および変形は、以下の特許請求の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭頚部癌を有する対象の治療レジメン治療の有効性にアクセスする方法であって、
a)前記対象からの試料中における1種または複数のHNCMARKERの有効量のレベルを検出すること、および
b)前記1種または複数のHNCMARKERの有効量のレベルを基準値と比較すること
を含む方法。
【請求項2】
頭頚部癌を有する対象の治療レジメンをモニタする方法であって、
a)第1期間での前記対象からの第1試料中における1種または複数のHNCMARKERの有効量のレベルを検出すること、
b)第2期間での前記対象からの第2試料中における1種または複数のHNCMARKERの有効量のレベルを検出すること、
c)ステップ(a)において検出された1種または複数のHNCMARKERの有効量のレベルを、ステップ(b)で検出された前記量と、または基準値と比較すること
を含む方法。
【請求項3】
頭頚部癌の対象に治療レジメンが有益であるかどうかを決定する方法であって、
a)1種または複数のHNCMARKERの有効量のレベルを検出すること、および
b)ステップ(a)において検出された前記1種または複数のHNCMARKERの有効量のレベルを基準値と比較すること
を含む方法。
【請求項4】
頭頚部癌と診断された対象の生存性を予測するための方法であって、
a)前記対象からの試料中における1種または複数のHNCMARKERの有効量のレベルを検出すること、および
b)前記1種または複数のHNCMARKERの有効量のレベルを基準値と比較すること
を含む方法。
【請求項5】
前記対象が、頭頚部癌について治療を受けている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記治療が、免疫療法、導入補助化学療法、併用化学放射線療法またはそれらの組合せである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記HNCMARKERが、XPF、FANCD2、RAD51、BRCA1、ATM、PAR、p53、ERCC1、pH2AXおよびpMK2からなる群より選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
a)XPF、ならびにFANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
b)FANCD2、ならびにXPF、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
c)pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、ならびにXPF、FANCD2、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
d)pH2AX、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
e)BRCA1、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
f)PAR、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
g)ATM、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
h)ERCC1、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
i)RAD51、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
j)p53、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
k)POL H、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
l)MUS81、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
m)p16、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81およびHPVからなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER、
n)HPV、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81およびp16からなる群より選択される少なくとも1種のHNCMARKER
を検出することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
a)XPF、ならびにFANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
b)FANCD2、ならびにXPF、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
c)pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、ならびにXPF、FANCD2、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
d)pH2AX、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
e)BRCA1、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
f)PAR、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
g)ATM、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
h)ERCC1、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
i)RAD51、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
j)p53、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
k)POL H、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
l)MUS81、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
m)p16、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81およびHPVからなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER、
n)HPV、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81およびp16からなる群より選択される少なくとも2種のHNCMARKER
を測定することを含む請求項4に記載の方法。
【請求項10】
a)XPF、ならびにFANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
b)FANCD2、ならびにXPF、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
c)pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、ならびにXPF、FANCD2、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
d)pH2AX、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
e)BRCA1、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
f)PAR、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
g)ATM、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
h)ERCC1、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、RAD51、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
i)RAD51、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、p53、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
j)p53、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、POL H、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
k)POL H、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、MUS81、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
l)MUS81、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、p16およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
m)p16、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81およびHPVからなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER、
n)HPV、ならびにXPF、FANCD2、pMAPKAPキナーゼ2(pMK2)、pH2AX、BRCA1、PAR、ATM、ERCC1、RAD51、p53、POL H、MUS81およびp16からなる群より選択される少なくとも3種のHNCMARKER
を測定することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1種のHNCMARKERの変化を同定することを含む、化学療法剤に対する頭頚部癌の感受性を決定する方法であって、前記変化の存在は、細胞が化学療法剤に対して感受性であることを示す、方法。
【請求項12】
少なくとも1種のHNCMARKERの変化を同定することを含む、化学療法剤に対する頭頚部癌の耐性を決定する方法であって、前記変化の欠如は、細胞が化学療法剤に対して耐性であることを示す、方法。
【請求項13】
前記変化が増加または減少である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記変化が、HNCMARKERにおける突然変異を検出することにより決定される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記変化が、HNCMARKERの翻訳後修飾を検出することにより決定される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記翻訳後修飾が、リン酸化、ユビキチン化、SUMO化、アセチル化、アルキル化、メチル化、グリシル化、グリコシル化、イソプレニル化、リポイル化、ホスホパンテテイニル化、硫酸化、セレン化およびC末端アミド化からなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記治療レジメンが、免疫療法、導入補助化学療法、併用化学放射線療法またはそれらの組合せである、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項18】
前記化学療法または化学放射線療法が、カルボプラチンもしくはプラチナ薬剤の関連の種類のうちの1種、タキサンもしくはタキサンの種類のうちの1種、またはそれらの両方を含む、請求項17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記免疫療法がセツキシマブである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
表1および表2におけるバイオマーカーの一覧から得られるアルゴリズムであって、前記アルゴリズムは、前記バイオマーカーがパネル内における他のバイオマーカーに対してどのように関連付けられるのかを明示し、その結果、前記バイオマーカーアルゴリズムが頭頚部癌の治療反応の予測値または予後値を示す、アルゴリズム。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2011−523049(P2011−523049A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509716(P2011−509716)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際出願番号】PCT/US2009/044026
【国際公開番号】WO2009/140542
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(509110965)ドナー, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】