頭髪用塗布具
【課題】不用意に頭皮に化粧料が付着することがなく、頭髪への塗布量が安定した頭髪用塗布具を提供する。
【解決手段】頭髪用液体化粧料が貯溜された軸筒(2)の先方に保持用孔を設け、該保持用孔に塗布部材(1)を保持した頭髪用塗布具において、前記塗布部材(1)は、化粧料浸透部材(11)の側面を化粧料非浸透部材(12)で覆うように一体成形してあり、化粧料浸透部材(11)の端面を化粧料非浸透部材(12)の端面より内方に位置させ、前記化粧料非浸透部材(12)の端面を櫛歯状に形成した。
【効果】塗布部材が、塗布面を櫛歯の先端よりに後方に位置するように一体成形してあるため、櫛状の目のあるキャップやガイド片を設けた保持筒等を別途必要としない。また、塗布面から櫛歯先端までの距離が常に一定に保持されているため、頭髪への適正な塗布が可能となり、不用意に頭皮に化粧料が付着することがない。
【解決手段】頭髪用液体化粧料が貯溜された軸筒(2)の先方に保持用孔を設け、該保持用孔に塗布部材(1)を保持した頭髪用塗布具において、前記塗布部材(1)は、化粧料浸透部材(11)の側面を化粧料非浸透部材(12)で覆うように一体成形してあり、化粧料浸透部材(11)の端面を化粧料非浸透部材(12)の端面より内方に位置させ、前記化粧料非浸透部材(12)の端面を櫛歯状に形成した。
【効果】塗布部材が、塗布面を櫛歯の先端よりに後方に位置するように一体成形してあるため、櫛状の目のあるキャップやガイド片を設けた保持筒等を別途必要としない。また、塗布面から櫛歯先端までの距離が常に一定に保持されているため、頭髪への適正な塗布が可能となり、不用意に頭皮に化粧料が付着することがない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸筒内に貯溜させた染毛剤、脱色剤、パーマネントウエーブ剤、ヘアトリートメント剤等の頭髪用液体化粧料を、頭髪に好適に塗布可能に構成した頭髪用塗布具。
【背景技術】
【0002】
従来、頭髪の染毛等を行う際、染めるまでに手間と時間がかかり、頭皮を化粧料で汚す可能性もあるため、染めずにそのままでいる人が多かった。この問題を解決し、手軽に簡単に頭髪を染めることのできるものとして、例えば、特許文献1、2のような頭髪用塗布具が知られている。
【0003】
特許文献1に開示されているのは、容器に頭髪用化粧料を入れ浸透性のある布を容器の中に差し込み化粧料を染み込ませ、櫛状の目のあるキャップをかぶせた簡易頭髪用塗布具であり、キャップが櫛状のため頭皮に直接染料が触れず、手軽に簡単に染毛できる効果があるというものである。ところが、前記効果を達成するためには櫛状の目のあるキャップのような櫛体を別途必ず必要とするし、キャップと布が一体でないために生じる塗布面のガタツキや不用意な力による布の没入等が発生し、頭髪への適正な塗布が困難であった。また、布に化粧料を直接染み込ませるためボタ落ちが発生していた。
【0004】
特許文献2に開示されているものは、塗布部材が連続気孔をもつ気孔率30〜90%の多孔体であり、前記塗布部材を保持して軸筒へ装着させる保持筒には、塗布部材の前端周縁の対向位置に軸方向の一対のガイド片が延設されており、塗布部材がその前端をガイド片の先端よりに内方に位置させて保持筒に装着され、前記一対のガイド片の間で、塗布部材前端の他の対向側面が完全に露出されてなる頭髪用塗布具であり、頭髪表面の所望箇所に必要量の染毛剤を均一に付着させることができ、またガイド片は、塗布部材の先端面を頭皮表面に非接触状に保持して頭皮表面への化粧料の付着を防止する効果があるというものである。しかしながら、前記効果を達成するためにはガイド片を設けた保持筒を別途必ず必要とするし、塗布部材が保持筒に挿着されているだけのため不用意な力により没入や飛び出し等が発生し、ガイド片の先端から塗布面までの距離を常に一定に保持することができず、頭髪への塗布量が安定しない可能性があった。また、ガイド片が1対しかないため、頭髪環境によっては頭皮に化粧料が付着していた。
【特許文献1】実開昭49−17495号
【特許文献2】実公平7−44241号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとするところは、上記の問題点を解決し、不用意に頭皮に化粧料が付着することがなく、頭髪への塗布量が安定した頭髪用塗布具を提供することにある。尚、本発明で「先」とは頭髪用塗布具本体の塗布部側を指し、「後」とは頭髪用塗布具本体の尾端側を指す。また、塗布部材における「端面」とは、化粧料浸透部材の側面を化粧料非浸透部材で覆った一体成形物の平面または底面のことをいい、「軸方向」とは、塗布部材の平面から底面までを結ぶ軸の方向のことをいい、「内方」とは、塗布部材の平面と底面を結ぶ線の中点に向かう方向をいう。また、「鉛直方向」とは頭髪用塗布具本体の先端から後端を結ぶ垂線の方向を指す。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために完成された本発明の頭髪用塗布具は、頭髪用液体化粧料が貯溜された軸筒の先方に保持用孔を設け、該保持用孔に塗布部材を保持した頭髪用塗布具において、前記塗布部材は、化粧料浸透部材の側面を化粧料非浸透部材で覆うように一体成形してあり、化粧料浸透部材の端面を化粧料非浸透部材の端面より内方に位置させ、前記化粧料非浸透部材の端面を櫛歯状に形成したことを特徴とする。また、前記塗布部材の端面を塗布部材軸方向に対して傾斜する塗布面と櫛歯になるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の頭髪用塗布具である。また、前記塗布部材を複数連接して前記保持用孔に保持したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の頭髪用塗布具である。また、前記軸筒の先方に複数の保持用孔を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に記載の頭髪用塗布具である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の頭髪用塗布具は、塗布部材が、塗布面を櫛歯の内方に位置するように一体成形してあるため、櫛状の目のあるキャップやガイド片を設けた保持筒等を別途必要としない。また、塗布面から櫛歯先端までの距離が常に一定に保持されているため、頭髪への適正な塗布が可能となり、不用意に頭皮に化粧料が付着することがない。また、塗布面を塗布部材軸方向に対して傾斜させることにより、軸筒を手に持った自然な状態で塗布面が頭髪の表面に対して平行になる。それにより、塗布面を頭髪表面に対して平行にした最良の塗布姿勢を得ることが可能となり、化粧料の塗布作業を極めて容易に行うことができる。さらに、塗布部材を複数並べて保持することにより、櫛歯を所望の数構成することができ、また、複数の塗布部材の塗布面を鉛直方向に対して傾斜させるように配列することにより、化粧料の塗布作業をより容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明を実施するための最良の形態について、まず第1の実施例を図1〜図6を参照しながら具体的に説明する。塗布部材(1)は化粧料浸透部材(11)と、化粧料非浸透部材(12)とからなる。化粧料浸透部材(11)の材料としては、公知の合成樹脂繊維、例えば、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維、ポリアセタール系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリビニル系繊維、ポリカーボネート系繊維、ポリエーテル系繊維、ポリフェニレン系繊維、ホルムアルデヒド系繊維、エポキシ系繊維、シリコーン系繊維等の単体または複合体を接着剤で接着・固化した、化粧料が毛細管移動可能なフェルト状のものである。前記接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の公知のもので、化粧料浸透部材(11)の材質および化粧料の性質に適応したものになる。化粧料非浸透部材(12)としては、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、その他の合成樹脂であり、樹脂が表面部の繊維間に侵入して一体的に結合する現象、すなわち化粧料浸透部材(11)との結着性、使用化粧料に対する耐久性等を考慮して組み合わされる。一般的に化粧料が油性である場合には、耐溶剤性の面から、ポリアセタール、ポリフッ化ビニリデン等が望ましい。
【0009】
塗布部材(1)の製造方法の実施形態を説明すると、例えば、ロール状に巻いたポリエステル繊維を加熱ダイスに通して繊維束体とし、この繊維束体を固形分5%のウレタン樹脂溶液に浸漬した後乾燥硬化させて、多孔質繊維体である化粧料浸透部材(11)を形成する。この化粧料浸透部材(11)は予熱部で予め予熱されて表面が60℃程度まで加熱された後に、成形ダイスに通される。そして、同ダイスには化粧料非浸透部材(12)としての約190℃のメルトが押出部から送込まれており、化粧料浸透部材(11)の外接面が化粧料非浸透部材(12)で被覆されて押出成形される。この押出成形物は、次に、冷却槽で冷却されて、同槽から引取部により引取られ、化粧料浸透部材(11)と化粧料非浸透部材(12)の一体成形物が製造できる。成形条件により、化粧料非浸透部材(12)の被覆量は適宜調整可能である。
【0010】
このように製造された一体成形物は、化粧料浸透部材(11)の外側を化粧料非浸透部材(12)で覆うように構成されている。そして、所定の長さに切断した後、その片方または両方の端面を研削することにより、塗布面(13)と櫛歯(14)を形成させて塗布部材(1)を作製する。ここで、研削とは、砥石等を用いて表面を滑らかに削ることをいう。以降、塗布面(13)と櫛歯(14)を形成させる方法は、研削を用いて説明するが、特にこれに限られるものではなく、トムソン刃を用いた油圧裁断機、打ち抜きプレス機等を所望の形状に応じて自由に採用することができる。塗布面(13)と櫛歯(14)を形成させるための研削の方法は、例えば、化粧料浸透部材(11)の端面が化粧料非浸透部材(12)の端面よりも必ず内方になるようにして、なおかつ化粧料非浸透部材(12)の端面周縁の一部からその対向する周縁部分までを研削し、研削後の面が前記化粧料浸透部材(11)の端面と同一面となるようにする。これにより前記塗布部材(1)の先端面には窪み部と、この窪み部を挟むように隣接する突起状の先端部が形成される。この窪み部を塗布面(13)とし、突起状の先端部を櫛歯(14)とする。塗布面(13)には、化粧料浸透部材(11)と化粧料非浸透部材(12)が並存することが可能だが、櫛歯(14)は必ず化粧料非浸透部材(12)で形成されなければならない。もし櫛歯(14)に化粧料浸透部材(11)が残っていると、頭皮に化粧料が付着することになり好ましくない。従って、化粧料浸透部材(11)の端面が化粧料非浸透部材(12)の端面より必ず内方に位置させる必要がある。以上により、塗布部材(1)の片方または両方の端面に塗布面(13)と、化粧料が浸透しない櫛歯(14)が形成される。
【0011】
櫛歯(14)の大きさは研削量で適宜調整可能だが、櫛歯(14)表面から化粧料が滲み出ることがないように、化粧料浸透部材(11)の周縁より外側まで研削しなければならない。そのため、櫛歯(14)を大きくしたいときは、塗布部材(1)の成形段階で、化粧料浸非透部材(12)の被膜割合を増やし、また、化粧料の塗布量を増やしたいときは、化粧料浸透部材(11)の割合を増やせばよい。ここで、櫛歯(14)の形状や数は自由であり、例えば適宜面取りを施すこともできるし、突起の数が3個以上になるように研削することも目的に応じて採用することができる。先端形状を曲面状にすれば頭皮を傷つけることが回避される。塗布部材(1)の横断面形状も自由であり、例えば多角形、円形、楕円形、その他のこれらに類する形状を採用できるし、寸法も目的に応じて自由に採用できる。また、塗布部材(1)の両先端面形状を対象に形成した場合は、塗布部材(1)に方向性がなくなるため、軸筒(2)先端の保持用孔(21)への組付け作業が容易になる。
【0012】
軸筒(2)は、先方に保持用孔(21)を設けた筒状体である。保持用孔(21)の形状は、保持する塗布部材(1)の横断面形状に対応させる。前記保持用孔(21)には塗布部材(1)が挿入され、圧入保持される。軸筒(2)内には、頭髪用液体化粧料が貯留された吸蔵体(3)を内包し、吸蔵体(3)の先端に塗布部材(1)の端面を接触させる。これにより、頭髪用液体化粧料の適量を前記塗布部材(1)へ供給が可能となる。軸筒(2)の尾端には尾栓(4)を装着する。
【0013】
ここで、軸筒(2)の形状は円柱形状に限らず角柱形状や、その他のこれらに類する形状を自由に採用できる。保持用孔(21)を設ける位置も先方であればよく、先端はもちろんのこと、後述する先端近傍側面であってもよい。また、塗布部材(1)を保持する方法は、圧入だけでなく、適宜嵌合等を採用することができる。また、保持用孔(21)の形状は、多角形、円形、楕円形、その他のこれらに類する形状を、塗布部材(1)の横断面形状に対応させて自由に採用できる。尾栓(4)の装着方法は、嵌合や螺合等を適宜採用することができる。尚、軸筒(2)は、頭髪用液体化粧料を貯留し、前記化粧料の適量を前方向へ供給可能な機構を内蔵して塗布部材(1)へ導出可能に構成されたものであればよく、前記吸蔵体(3)に化粧料を含浸させたものはもちろんであるが、弁機構によるものも挙げることができる。
【0014】
また、保持用孔(21)は、軸筒(2)の先方に直接設けてもよいし、保持筒(5)のような別部品で構成してもよい。この場合、保持筒(5)の先端周部には止片部(51)を周設し、軸筒(2)の先端と止片部(51)が係止し、保持筒(5)は、軸筒(2)内に没入しないように装着される。保持筒(5)が軸筒(2)内に没入しないように装着させる方法も、止片部(51)による係止だけでなく、適宜周知の嵌合方法や螺合方法が採用できる。保持筒(5)を採用する場合は、吸蔵体(3)を先端側から軸筒(2)内へ挿入可能なため、尾栓(4)は不要となる。尚、本構成は、本実施例1だけでなく、この後詳述する第2の実施例から第6の実施例でも採用できる。
【0015】
本発明の第1の実施例は以上のような構成であり、次にその作用について詳細に説明する。塗布部材(1)を構成する化粧料浸透部材(11)は、軸筒(2)に内包された吸蔵体(3)より供給される化粧料を毛細管力により塗布先端方向へ導出させ、塗布面(13)より頭髪表面へ付着させる。この際、前記化粧料浸透部材(11)は適宜の保液性を備えており、塗布消費量に相応する潤沢な液量を持続して安定的に導出される。櫛歯(14)は塗布面(13)の外面を保護すると共に、頭皮と塗布面(13)との間に一定の間隔を保持して頭皮への直接的な化粧料の付着を回避する。
【0016】
次に、第2の実施例を図7を参照しながら具体的に説明する。第1の実施例と重複する箇所は省略する。本実施例の塗布部材(1)は、その片方または両方の端面を研削することにより、塗布面(13a)と櫛歯(14)が塗布部材軸方向に対して傾斜状になるように形成する。塗布面(13a)と櫛歯(14)を形成させるための研削の方法は、傾斜状に形成することを除いては第1の実施例で詳述した方法と同じである。櫛歯(14)は、塗布面(13a)を挟むように隣接する突起状の先端部で、該塗布面(13a)は、両櫛歯(14)間を結ぶ図7中破線で示した傾斜面(14a)より内方に位置する。また、頭皮に化粧料が付着することがないように、櫛歯(14)は必ず化粧料非浸透部材(12)で形成される。ここで、櫛歯(14)の形状や数は自由であり、例えば適宜面取りを施すこともできるし、突起の数が3個以上になるように研削することも目的に応じて採用することができる。先端形状を曲面状や塗布面(13a)と並行になるように研削すると、頭皮が傷つくことを回避できより好ましい。また、該塗布面(13a)の傾斜角度は自由で、目的に応じて適宜採用可能である。
【0017】
本発明第2の実施例は以上のような構成であり、次にその作用について詳細に説明する。本実施例の塗布面(13a)は塗布部材軸方向に対して傾斜しているため、軸筒(2)を手に持った自然な状態で塗布面(13a)が頭髪の表面に対して平行になる。このため、塗布面を頭髪表面に対して平行にした最良の塗布姿勢を得ることが可能となり、化粧料の塗布作業を極めて容易に行うことができる。また、櫛歯(14)の先端面を塗布面(13a)と平行にすることにより、頭皮への付加は軽減される。
【0018】
次に、第3の実施例を図8、図9を参照しながら具体的に説明する。第1の実施例第2の実施例と重複する箇所は省略する。本実施例は、複数の塗布部材(1)を櫛歯(14)の外側面同士が向き合うように連接して一つの保持用孔(21)に挿入保持する。例えば、塗布部材(1)を3個連接した場合には櫛歯を4本形成することができる。ここで「外側」とは、塗布部材(1)の側面方向をいう。このとき、化粧料を好適に塗布するには、全ての櫛歯(14)が平行になるように連接すると、櫛通りがよく好ましい。ここで、本説明では3個の塗布部材を連接保持した例を示したが、特にこれに限定されるものではなく、目的に応じて4個以上の塗布部材(1)を用いて連接保持することも適宜採用可能である。また、櫛歯(14)の外側面同士だけでなく、塗布面(13)の外側同士を向き合うように連接して一つの保持用孔(21)に挿入保持してもよい。また、図示しないが、塗布面が傾斜した第2の実施例の塗布部材(1)も目的に応じて適宜採用可能でき、さらに、化粧料を好適に塗布する目的で、塗布量の異なる塗布部材(1)同士を連接させてもよいし、塗布量を増加させるために、塗布部材(1)と塗布部材(1)の間に、化粧料非浸透部材(12)を被覆していない化粧料浸透部材(11)のみを連接させてもよい。
【0019】
次に、第4の実施例を図10〜図14を参照しながら具体的に説明する。前記実施例と重複する箇所は省略する。本実施例軸筒(2)の先方に、複数の保持用孔(21a)を設ける。複数の保持用孔(21a)の配置方法は自由であるが、例えば図12、図14に示すように、並列や縦列またはその組み合わせの配列を採用できる。複数の塗布部材(1)を一列に並列に配置する場合は、櫛歯(14)の外側面同士を向き合うようにして前記保持用孔(21a)に挿入し保持される。また、複数の塗布部材(1)を二列に配置する場合は、それぞれの列を櫛歯(14)の外側面同士が向き合うように配列し、且つ二列が平行になるよう配列し前記保持用孔(21a)に挿入し保持する。このとき、複数の保持用孔(21a)の間に生じる所定の間隔に応じて、向き合う櫛歯(14)間に間隙が形成される。尚、本説明では3個の塗布部材(1)を1列または2列に配列する例を示したが、特にこれに限定されるものではなく、4個以上の塗布部材(1)を用いて、3列以上に配列することは、目的に応じて適宜採用可能である。また、複数の保持用孔(21a)の間隔も自由であり、目的に応じて適宜所望の間隔を採用可能である。さらに、図示しないが、化粧料を好適に塗布する目的で、塗布量の異なる塗布部材(1)で配列させてもよいし、塗布量を増加させるために、塗布部材(1)と塗布部材(1)の間に、化粧料非浸透部材(12)を被覆していない化粧料浸透部材(11)のみを配列させてもよい。
【0020】
本発明第4の実施例は以上のような構成であり、次にその作用について詳細に説明する。本実施例は、複数の塗布部材(1)を前記のように配置しているため、櫛歯(14)が多数形成され、頭髪表面へ化粧料を付着させる際に櫛通り感が増す。また、複数の保持用孔(21a)の間隔を調整することで、向き合う櫛歯(14)の間に間隙が形成され、櫛通り感をさらに増すことができる。
【0021】
次に、第5の実施例を図15、図16を参照しながら具体的に説明する。前記実施例と重複する箇所は省略する。本実施例は、複数の塗布部材(1)を櫛歯(14)の外側面同士が向き合うようにし、且つ、先端部分が塗布部材軸方向に対して傾斜状の塗布面(13b)になるように配列する。例えば、図15に示すように、複数の塗布部材(1)を一列に配置する場合は、櫛歯(14)の外側面同士が向き合うようにして、一方の端から他端に向かって塗布部材(1)の露出距離が所定間隔ずつ短くなるように保持用孔(21a)に挿入保持する。また、複数の塗布部材(1)を二列に配置する場合は、二列の傾斜面が同一平面になるよう配列し保持用孔(21a)に挿入保持する。また、第2の実施例の塗布部材(1)を使用する場合、例えば、図16に示すように、複数の塗布部材(1)の塗布面(13a)が、全体で連続する傾斜状の塗布面(13b)を形成するように塗布部材(1)の露出距離を調整する。ここでいう塗布部材(1)の露出距離とは、塗布部材(1)先端から軸筒(2)先端までの距離のことをいい、「外側」とは、塗布部材(1)の側面方向をいう。
【0022】
本発明第5の実施例は以上のような構成であり、次にその作用について詳細に説明する。本実施例は、複数の塗布部材(1)を前記のように配置しているため、櫛歯(14)が多数形成され、頭髪表面へ化粧料を付着させる際に櫛通り感が増すと同時に、軸筒(2)を手に持った自然な状態で塗布面(13b)が頭髪の表面に対して傾斜した状態になるため、塗布面(13b)を頭髪表面に対して平行にした最良の塗布姿勢を得ることが可能となり、化粧料の塗布作業を極めて容易に行うことができる。
【0023】
次に、第6の実施例を図17を参照しながら具体的に説明する。前記実施例と重複する箇所は省略する。本実施例は、保持用孔(21)若しくは複数の保持用孔(21a)を軸筒(2)の先端近傍側面に設ける。前記保持用孔(21)若しくは(21a)には塗布部材(1)が挿入され、圧入保持される。吸蔵体(3)は、軸筒(2)の先端内側まで内包され、吸蔵体(3)の先端近傍側面に塗布部材(1)の端面を接触させる。これにより、頭髪用液体化粧料の適量を前記塗布部材(1)へ供給が可能となる。ここで、第2の実施例から第5の実施例で具体的に示した、塗布部材(1)を連接すること、並列や縦列またはその組み合わせに配列すること、傾斜状の塗布面を形成すること等は、本実施例においても目的に応じて適宜採用できる。
【0024】
本発明第6の実施例は以上のような構成であり、次にその作用について詳細に説明する。本実施例は、塗布部材(1)が軸筒(2)の先端近傍側面に設けられているため、塗布面が鉛直方向に対して平行になり、軸筒を手に持った自然な状態で塗布面が頭髪の表面に対して平行になる。それにより、最良の塗布姿勢を得ることが可能となり、化粧料の塗布作業を極めて容易に行うことができる。
【0025】
尚、本発明を前記第1の実施例から第5の実施例により説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではないし、また塗布部材(1)の乾燥防止のために、適宜キャップを採用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1の実施例の一部切欠正面図
【図2】第1の実施例の平面図
【図3】第1の実施例に係る軸筒の平面図
【図4】第1の実施例に係る塗布部材の中央縦断面図
【図5】第1の実施例に係る塗布部材の中央横断面図
【図6】第1の実施例の他の形態の一部切欠正面図
【図7】第2の実施例の一部切欠正面図
【図8】第3の実施例の一部切欠正面図
【図9】第3の実施例の平面図
【図10】第4の実施例の一部切欠正面図
【図11】第4の実施例の平面図
【図12】第4の実施例に係る軸筒の平面図
【図13】第4の実施例の他の形態の平面図
【図14】第4の実施例の他の形態に係る軸筒の平面図
【図15】第5の実施例の一部切欠正面図
【図16】第5の実施例の他の形態の一部切欠正面図
【図17】第6の実施例の一部切欠正面図
【符号の説明】
【0027】
1 塗布部材
11 化粧料浸透部材
12 化粧料非浸透部材
13、13a、13b 塗布面
14 櫛歯
14a 傾斜面
2 軸筒
21、21a 保持用孔
3 吸蔵体
4 尾栓
5 保持筒
51 止片部
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸筒内に貯溜させた染毛剤、脱色剤、パーマネントウエーブ剤、ヘアトリートメント剤等の頭髪用液体化粧料を、頭髪に好適に塗布可能に構成した頭髪用塗布具。
【背景技術】
【0002】
従来、頭髪の染毛等を行う際、染めるまでに手間と時間がかかり、頭皮を化粧料で汚す可能性もあるため、染めずにそのままでいる人が多かった。この問題を解決し、手軽に簡単に頭髪を染めることのできるものとして、例えば、特許文献1、2のような頭髪用塗布具が知られている。
【0003】
特許文献1に開示されているのは、容器に頭髪用化粧料を入れ浸透性のある布を容器の中に差し込み化粧料を染み込ませ、櫛状の目のあるキャップをかぶせた簡易頭髪用塗布具であり、キャップが櫛状のため頭皮に直接染料が触れず、手軽に簡単に染毛できる効果があるというものである。ところが、前記効果を達成するためには櫛状の目のあるキャップのような櫛体を別途必ず必要とするし、キャップと布が一体でないために生じる塗布面のガタツキや不用意な力による布の没入等が発生し、頭髪への適正な塗布が困難であった。また、布に化粧料を直接染み込ませるためボタ落ちが発生していた。
【0004】
特許文献2に開示されているものは、塗布部材が連続気孔をもつ気孔率30〜90%の多孔体であり、前記塗布部材を保持して軸筒へ装着させる保持筒には、塗布部材の前端周縁の対向位置に軸方向の一対のガイド片が延設されており、塗布部材がその前端をガイド片の先端よりに内方に位置させて保持筒に装着され、前記一対のガイド片の間で、塗布部材前端の他の対向側面が完全に露出されてなる頭髪用塗布具であり、頭髪表面の所望箇所に必要量の染毛剤を均一に付着させることができ、またガイド片は、塗布部材の先端面を頭皮表面に非接触状に保持して頭皮表面への化粧料の付着を防止する効果があるというものである。しかしながら、前記効果を達成するためにはガイド片を設けた保持筒を別途必ず必要とするし、塗布部材が保持筒に挿着されているだけのため不用意な力により没入や飛び出し等が発生し、ガイド片の先端から塗布面までの距離を常に一定に保持することができず、頭髪への塗布量が安定しない可能性があった。また、ガイド片が1対しかないため、頭髪環境によっては頭皮に化粧料が付着していた。
【特許文献1】実開昭49−17495号
【特許文献2】実公平7−44241号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとするところは、上記の問題点を解決し、不用意に頭皮に化粧料が付着することがなく、頭髪への塗布量が安定した頭髪用塗布具を提供することにある。尚、本発明で「先」とは頭髪用塗布具本体の塗布部側を指し、「後」とは頭髪用塗布具本体の尾端側を指す。また、塗布部材における「端面」とは、化粧料浸透部材の側面を化粧料非浸透部材で覆った一体成形物の平面または底面のことをいい、「軸方向」とは、塗布部材の平面から底面までを結ぶ軸の方向のことをいい、「内方」とは、塗布部材の平面と底面を結ぶ線の中点に向かう方向をいう。また、「鉛直方向」とは頭髪用塗布具本体の先端から後端を結ぶ垂線の方向を指す。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために完成された本発明の頭髪用塗布具は、頭髪用液体化粧料が貯溜された軸筒の先方に保持用孔を設け、該保持用孔に塗布部材を保持した頭髪用塗布具において、前記塗布部材は、化粧料浸透部材の側面を化粧料非浸透部材で覆うように一体成形してあり、化粧料浸透部材の端面を化粧料非浸透部材の端面より内方に位置させ、前記化粧料非浸透部材の端面を櫛歯状に形成したことを特徴とする。また、前記塗布部材の端面を塗布部材軸方向に対して傾斜する塗布面と櫛歯になるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の頭髪用塗布具である。また、前記塗布部材を複数連接して前記保持用孔に保持したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の頭髪用塗布具である。また、前記軸筒の先方に複数の保持用孔を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に記載の頭髪用塗布具である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の頭髪用塗布具は、塗布部材が、塗布面を櫛歯の内方に位置するように一体成形してあるため、櫛状の目のあるキャップやガイド片を設けた保持筒等を別途必要としない。また、塗布面から櫛歯先端までの距離が常に一定に保持されているため、頭髪への適正な塗布が可能となり、不用意に頭皮に化粧料が付着することがない。また、塗布面を塗布部材軸方向に対して傾斜させることにより、軸筒を手に持った自然な状態で塗布面が頭髪の表面に対して平行になる。それにより、塗布面を頭髪表面に対して平行にした最良の塗布姿勢を得ることが可能となり、化粧料の塗布作業を極めて容易に行うことができる。さらに、塗布部材を複数並べて保持することにより、櫛歯を所望の数構成することができ、また、複数の塗布部材の塗布面を鉛直方向に対して傾斜させるように配列することにより、化粧料の塗布作業をより容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明を実施するための最良の形態について、まず第1の実施例を図1〜図6を参照しながら具体的に説明する。塗布部材(1)は化粧料浸透部材(11)と、化粧料非浸透部材(12)とからなる。化粧料浸透部材(11)の材料としては、公知の合成樹脂繊維、例えば、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維、ポリアセタール系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリビニル系繊維、ポリカーボネート系繊維、ポリエーテル系繊維、ポリフェニレン系繊維、ホルムアルデヒド系繊維、エポキシ系繊維、シリコーン系繊維等の単体または複合体を接着剤で接着・固化した、化粧料が毛細管移動可能なフェルト状のものである。前記接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の公知のもので、化粧料浸透部材(11)の材質および化粧料の性質に適応したものになる。化粧料非浸透部材(12)としては、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、その他の合成樹脂であり、樹脂が表面部の繊維間に侵入して一体的に結合する現象、すなわち化粧料浸透部材(11)との結着性、使用化粧料に対する耐久性等を考慮して組み合わされる。一般的に化粧料が油性である場合には、耐溶剤性の面から、ポリアセタール、ポリフッ化ビニリデン等が望ましい。
【0009】
塗布部材(1)の製造方法の実施形態を説明すると、例えば、ロール状に巻いたポリエステル繊維を加熱ダイスに通して繊維束体とし、この繊維束体を固形分5%のウレタン樹脂溶液に浸漬した後乾燥硬化させて、多孔質繊維体である化粧料浸透部材(11)を形成する。この化粧料浸透部材(11)は予熱部で予め予熱されて表面が60℃程度まで加熱された後に、成形ダイスに通される。そして、同ダイスには化粧料非浸透部材(12)としての約190℃のメルトが押出部から送込まれており、化粧料浸透部材(11)の外接面が化粧料非浸透部材(12)で被覆されて押出成形される。この押出成形物は、次に、冷却槽で冷却されて、同槽から引取部により引取られ、化粧料浸透部材(11)と化粧料非浸透部材(12)の一体成形物が製造できる。成形条件により、化粧料非浸透部材(12)の被覆量は適宜調整可能である。
【0010】
このように製造された一体成形物は、化粧料浸透部材(11)の外側を化粧料非浸透部材(12)で覆うように構成されている。そして、所定の長さに切断した後、その片方または両方の端面を研削することにより、塗布面(13)と櫛歯(14)を形成させて塗布部材(1)を作製する。ここで、研削とは、砥石等を用いて表面を滑らかに削ることをいう。以降、塗布面(13)と櫛歯(14)を形成させる方法は、研削を用いて説明するが、特にこれに限られるものではなく、トムソン刃を用いた油圧裁断機、打ち抜きプレス機等を所望の形状に応じて自由に採用することができる。塗布面(13)と櫛歯(14)を形成させるための研削の方法は、例えば、化粧料浸透部材(11)の端面が化粧料非浸透部材(12)の端面よりも必ず内方になるようにして、なおかつ化粧料非浸透部材(12)の端面周縁の一部からその対向する周縁部分までを研削し、研削後の面が前記化粧料浸透部材(11)の端面と同一面となるようにする。これにより前記塗布部材(1)の先端面には窪み部と、この窪み部を挟むように隣接する突起状の先端部が形成される。この窪み部を塗布面(13)とし、突起状の先端部を櫛歯(14)とする。塗布面(13)には、化粧料浸透部材(11)と化粧料非浸透部材(12)が並存することが可能だが、櫛歯(14)は必ず化粧料非浸透部材(12)で形成されなければならない。もし櫛歯(14)に化粧料浸透部材(11)が残っていると、頭皮に化粧料が付着することになり好ましくない。従って、化粧料浸透部材(11)の端面が化粧料非浸透部材(12)の端面より必ず内方に位置させる必要がある。以上により、塗布部材(1)の片方または両方の端面に塗布面(13)と、化粧料が浸透しない櫛歯(14)が形成される。
【0011】
櫛歯(14)の大きさは研削量で適宜調整可能だが、櫛歯(14)表面から化粧料が滲み出ることがないように、化粧料浸透部材(11)の周縁より外側まで研削しなければならない。そのため、櫛歯(14)を大きくしたいときは、塗布部材(1)の成形段階で、化粧料浸非透部材(12)の被膜割合を増やし、また、化粧料の塗布量を増やしたいときは、化粧料浸透部材(11)の割合を増やせばよい。ここで、櫛歯(14)の形状や数は自由であり、例えば適宜面取りを施すこともできるし、突起の数が3個以上になるように研削することも目的に応じて採用することができる。先端形状を曲面状にすれば頭皮を傷つけることが回避される。塗布部材(1)の横断面形状も自由であり、例えば多角形、円形、楕円形、その他のこれらに類する形状を採用できるし、寸法も目的に応じて自由に採用できる。また、塗布部材(1)の両先端面形状を対象に形成した場合は、塗布部材(1)に方向性がなくなるため、軸筒(2)先端の保持用孔(21)への組付け作業が容易になる。
【0012】
軸筒(2)は、先方に保持用孔(21)を設けた筒状体である。保持用孔(21)の形状は、保持する塗布部材(1)の横断面形状に対応させる。前記保持用孔(21)には塗布部材(1)が挿入され、圧入保持される。軸筒(2)内には、頭髪用液体化粧料が貯留された吸蔵体(3)を内包し、吸蔵体(3)の先端に塗布部材(1)の端面を接触させる。これにより、頭髪用液体化粧料の適量を前記塗布部材(1)へ供給が可能となる。軸筒(2)の尾端には尾栓(4)を装着する。
【0013】
ここで、軸筒(2)の形状は円柱形状に限らず角柱形状や、その他のこれらに類する形状を自由に採用できる。保持用孔(21)を設ける位置も先方であればよく、先端はもちろんのこと、後述する先端近傍側面であってもよい。また、塗布部材(1)を保持する方法は、圧入だけでなく、適宜嵌合等を採用することができる。また、保持用孔(21)の形状は、多角形、円形、楕円形、その他のこれらに類する形状を、塗布部材(1)の横断面形状に対応させて自由に採用できる。尾栓(4)の装着方法は、嵌合や螺合等を適宜採用することができる。尚、軸筒(2)は、頭髪用液体化粧料を貯留し、前記化粧料の適量を前方向へ供給可能な機構を内蔵して塗布部材(1)へ導出可能に構成されたものであればよく、前記吸蔵体(3)に化粧料を含浸させたものはもちろんであるが、弁機構によるものも挙げることができる。
【0014】
また、保持用孔(21)は、軸筒(2)の先方に直接設けてもよいし、保持筒(5)のような別部品で構成してもよい。この場合、保持筒(5)の先端周部には止片部(51)を周設し、軸筒(2)の先端と止片部(51)が係止し、保持筒(5)は、軸筒(2)内に没入しないように装着される。保持筒(5)が軸筒(2)内に没入しないように装着させる方法も、止片部(51)による係止だけでなく、適宜周知の嵌合方法や螺合方法が採用できる。保持筒(5)を採用する場合は、吸蔵体(3)を先端側から軸筒(2)内へ挿入可能なため、尾栓(4)は不要となる。尚、本構成は、本実施例1だけでなく、この後詳述する第2の実施例から第6の実施例でも採用できる。
【0015】
本発明の第1の実施例は以上のような構成であり、次にその作用について詳細に説明する。塗布部材(1)を構成する化粧料浸透部材(11)は、軸筒(2)に内包された吸蔵体(3)より供給される化粧料を毛細管力により塗布先端方向へ導出させ、塗布面(13)より頭髪表面へ付着させる。この際、前記化粧料浸透部材(11)は適宜の保液性を備えており、塗布消費量に相応する潤沢な液量を持続して安定的に導出される。櫛歯(14)は塗布面(13)の外面を保護すると共に、頭皮と塗布面(13)との間に一定の間隔を保持して頭皮への直接的な化粧料の付着を回避する。
【0016】
次に、第2の実施例を図7を参照しながら具体的に説明する。第1の実施例と重複する箇所は省略する。本実施例の塗布部材(1)は、その片方または両方の端面を研削することにより、塗布面(13a)と櫛歯(14)が塗布部材軸方向に対して傾斜状になるように形成する。塗布面(13a)と櫛歯(14)を形成させるための研削の方法は、傾斜状に形成することを除いては第1の実施例で詳述した方法と同じである。櫛歯(14)は、塗布面(13a)を挟むように隣接する突起状の先端部で、該塗布面(13a)は、両櫛歯(14)間を結ぶ図7中破線で示した傾斜面(14a)より内方に位置する。また、頭皮に化粧料が付着することがないように、櫛歯(14)は必ず化粧料非浸透部材(12)で形成される。ここで、櫛歯(14)の形状や数は自由であり、例えば適宜面取りを施すこともできるし、突起の数が3個以上になるように研削することも目的に応じて採用することができる。先端形状を曲面状や塗布面(13a)と並行になるように研削すると、頭皮が傷つくことを回避できより好ましい。また、該塗布面(13a)の傾斜角度は自由で、目的に応じて適宜採用可能である。
【0017】
本発明第2の実施例は以上のような構成であり、次にその作用について詳細に説明する。本実施例の塗布面(13a)は塗布部材軸方向に対して傾斜しているため、軸筒(2)を手に持った自然な状態で塗布面(13a)が頭髪の表面に対して平行になる。このため、塗布面を頭髪表面に対して平行にした最良の塗布姿勢を得ることが可能となり、化粧料の塗布作業を極めて容易に行うことができる。また、櫛歯(14)の先端面を塗布面(13a)と平行にすることにより、頭皮への付加は軽減される。
【0018】
次に、第3の実施例を図8、図9を参照しながら具体的に説明する。第1の実施例第2の実施例と重複する箇所は省略する。本実施例は、複数の塗布部材(1)を櫛歯(14)の外側面同士が向き合うように連接して一つの保持用孔(21)に挿入保持する。例えば、塗布部材(1)を3個連接した場合には櫛歯を4本形成することができる。ここで「外側」とは、塗布部材(1)の側面方向をいう。このとき、化粧料を好適に塗布するには、全ての櫛歯(14)が平行になるように連接すると、櫛通りがよく好ましい。ここで、本説明では3個の塗布部材を連接保持した例を示したが、特にこれに限定されるものではなく、目的に応じて4個以上の塗布部材(1)を用いて連接保持することも適宜採用可能である。また、櫛歯(14)の外側面同士だけでなく、塗布面(13)の外側同士を向き合うように連接して一つの保持用孔(21)に挿入保持してもよい。また、図示しないが、塗布面が傾斜した第2の実施例の塗布部材(1)も目的に応じて適宜採用可能でき、さらに、化粧料を好適に塗布する目的で、塗布量の異なる塗布部材(1)同士を連接させてもよいし、塗布量を増加させるために、塗布部材(1)と塗布部材(1)の間に、化粧料非浸透部材(12)を被覆していない化粧料浸透部材(11)のみを連接させてもよい。
【0019】
次に、第4の実施例を図10〜図14を参照しながら具体的に説明する。前記実施例と重複する箇所は省略する。本実施例軸筒(2)の先方に、複数の保持用孔(21a)を設ける。複数の保持用孔(21a)の配置方法は自由であるが、例えば図12、図14に示すように、並列や縦列またはその組み合わせの配列を採用できる。複数の塗布部材(1)を一列に並列に配置する場合は、櫛歯(14)の外側面同士を向き合うようにして前記保持用孔(21a)に挿入し保持される。また、複数の塗布部材(1)を二列に配置する場合は、それぞれの列を櫛歯(14)の外側面同士が向き合うように配列し、且つ二列が平行になるよう配列し前記保持用孔(21a)に挿入し保持する。このとき、複数の保持用孔(21a)の間に生じる所定の間隔に応じて、向き合う櫛歯(14)間に間隙が形成される。尚、本説明では3個の塗布部材(1)を1列または2列に配列する例を示したが、特にこれに限定されるものではなく、4個以上の塗布部材(1)を用いて、3列以上に配列することは、目的に応じて適宜採用可能である。また、複数の保持用孔(21a)の間隔も自由であり、目的に応じて適宜所望の間隔を採用可能である。さらに、図示しないが、化粧料を好適に塗布する目的で、塗布量の異なる塗布部材(1)で配列させてもよいし、塗布量を増加させるために、塗布部材(1)と塗布部材(1)の間に、化粧料非浸透部材(12)を被覆していない化粧料浸透部材(11)のみを配列させてもよい。
【0020】
本発明第4の実施例は以上のような構成であり、次にその作用について詳細に説明する。本実施例は、複数の塗布部材(1)を前記のように配置しているため、櫛歯(14)が多数形成され、頭髪表面へ化粧料を付着させる際に櫛通り感が増す。また、複数の保持用孔(21a)の間隔を調整することで、向き合う櫛歯(14)の間に間隙が形成され、櫛通り感をさらに増すことができる。
【0021】
次に、第5の実施例を図15、図16を参照しながら具体的に説明する。前記実施例と重複する箇所は省略する。本実施例は、複数の塗布部材(1)を櫛歯(14)の外側面同士が向き合うようにし、且つ、先端部分が塗布部材軸方向に対して傾斜状の塗布面(13b)になるように配列する。例えば、図15に示すように、複数の塗布部材(1)を一列に配置する場合は、櫛歯(14)の外側面同士が向き合うようにして、一方の端から他端に向かって塗布部材(1)の露出距離が所定間隔ずつ短くなるように保持用孔(21a)に挿入保持する。また、複数の塗布部材(1)を二列に配置する場合は、二列の傾斜面が同一平面になるよう配列し保持用孔(21a)に挿入保持する。また、第2の実施例の塗布部材(1)を使用する場合、例えば、図16に示すように、複数の塗布部材(1)の塗布面(13a)が、全体で連続する傾斜状の塗布面(13b)を形成するように塗布部材(1)の露出距離を調整する。ここでいう塗布部材(1)の露出距離とは、塗布部材(1)先端から軸筒(2)先端までの距離のことをいい、「外側」とは、塗布部材(1)の側面方向をいう。
【0022】
本発明第5の実施例は以上のような構成であり、次にその作用について詳細に説明する。本実施例は、複数の塗布部材(1)を前記のように配置しているため、櫛歯(14)が多数形成され、頭髪表面へ化粧料を付着させる際に櫛通り感が増すと同時に、軸筒(2)を手に持った自然な状態で塗布面(13b)が頭髪の表面に対して傾斜した状態になるため、塗布面(13b)を頭髪表面に対して平行にした最良の塗布姿勢を得ることが可能となり、化粧料の塗布作業を極めて容易に行うことができる。
【0023】
次に、第6の実施例を図17を参照しながら具体的に説明する。前記実施例と重複する箇所は省略する。本実施例は、保持用孔(21)若しくは複数の保持用孔(21a)を軸筒(2)の先端近傍側面に設ける。前記保持用孔(21)若しくは(21a)には塗布部材(1)が挿入され、圧入保持される。吸蔵体(3)は、軸筒(2)の先端内側まで内包され、吸蔵体(3)の先端近傍側面に塗布部材(1)の端面を接触させる。これにより、頭髪用液体化粧料の適量を前記塗布部材(1)へ供給が可能となる。ここで、第2の実施例から第5の実施例で具体的に示した、塗布部材(1)を連接すること、並列や縦列またはその組み合わせに配列すること、傾斜状の塗布面を形成すること等は、本実施例においても目的に応じて適宜採用できる。
【0024】
本発明第6の実施例は以上のような構成であり、次にその作用について詳細に説明する。本実施例は、塗布部材(1)が軸筒(2)の先端近傍側面に設けられているため、塗布面が鉛直方向に対して平行になり、軸筒を手に持った自然な状態で塗布面が頭髪の表面に対して平行になる。それにより、最良の塗布姿勢を得ることが可能となり、化粧料の塗布作業を極めて容易に行うことができる。
【0025】
尚、本発明を前記第1の実施例から第5の実施例により説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではないし、また塗布部材(1)の乾燥防止のために、適宜キャップを採用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1の実施例の一部切欠正面図
【図2】第1の実施例の平面図
【図3】第1の実施例に係る軸筒の平面図
【図4】第1の実施例に係る塗布部材の中央縦断面図
【図5】第1の実施例に係る塗布部材の中央横断面図
【図6】第1の実施例の他の形態の一部切欠正面図
【図7】第2の実施例の一部切欠正面図
【図8】第3の実施例の一部切欠正面図
【図9】第3の実施例の平面図
【図10】第4の実施例の一部切欠正面図
【図11】第4の実施例の平面図
【図12】第4の実施例に係る軸筒の平面図
【図13】第4の実施例の他の形態の平面図
【図14】第4の実施例の他の形態に係る軸筒の平面図
【図15】第5の実施例の一部切欠正面図
【図16】第5の実施例の他の形態の一部切欠正面図
【図17】第6の実施例の一部切欠正面図
【符号の説明】
【0027】
1 塗布部材
11 化粧料浸透部材
12 化粧料非浸透部材
13、13a、13b 塗布面
14 櫛歯
14a 傾斜面
2 軸筒
21、21a 保持用孔
3 吸蔵体
4 尾栓
5 保持筒
51 止片部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭髪用液体化粧料が貯溜された軸筒(2)の先方に保持用孔(21)を設け、該保持用孔(21)に塗布部材(1)を保持した頭髪用塗布具において、前記塗布部材(1)は、化粧料浸透部材(11)の側面を化粧料非浸透部材(12)で覆うように一体成形してあり、化粧料浸透部材(11)の端面を化粧料非浸透部材(12)の端面より内方に位置させ、前記化粧料非浸透部材(12)の端面を櫛歯(14)状に形成したことを特徴とする頭髪用塗布具。
【請求項2】
前記塗布部材(1)の端面を塗布部材軸方向に対して傾斜する塗布面(13a)と櫛歯(14)になるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の頭髪用塗布具。
【請求項3】
前記塗布部材(1)を複数連接して前記保持用孔(21)に保持したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の頭髪用塗布具。
【請求項4】
前記軸筒(2)の先方に複数の保持用孔(21a)を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に記載の頭髪用塗布具。
【請求項1】
頭髪用液体化粧料が貯溜された軸筒(2)の先方に保持用孔(21)を設け、該保持用孔(21)に塗布部材(1)を保持した頭髪用塗布具において、前記塗布部材(1)は、化粧料浸透部材(11)の側面を化粧料非浸透部材(12)で覆うように一体成形してあり、化粧料浸透部材(11)の端面を化粧料非浸透部材(12)の端面より内方に位置させ、前記化粧料非浸透部材(12)の端面を櫛歯(14)状に形成したことを特徴とする頭髪用塗布具。
【請求項2】
前記塗布部材(1)の端面を塗布部材軸方向に対して傾斜する塗布面(13a)と櫛歯(14)になるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の頭髪用塗布具。
【請求項3】
前記塗布部材(1)を複数連接して前記保持用孔(21)に保持したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の頭髪用塗布具。
【請求項4】
前記軸筒(2)の先方に複数の保持用孔(21a)を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に記載の頭髪用塗布具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−260137(P2007−260137A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−88995(P2006−88995)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(390017891)シヤチハタ株式会社 (162)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【出願人】(000214272)長瀬産業株式会社 (137)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(390017891)シヤチハタ株式会社 (162)
【出願人】(000113274)ホーユー株式会社 (278)
【出願人】(000214272)長瀬産業株式会社 (137)
[ Back to top ]