説明

頭髪用鋏

【課題】自然な姿勢で頭髪のパネルを切断した場合に、1本1本の頭髪の切断面が頭髪の延長方向に対して非直角になるような構成の頭髪用鋏を開発する。この際、全体の基本構成は、理美容師の手になじみやすいように、従来の頭髪用鋏と余り変わりのないようなものとする。
【解決手段】頭髪用の柄の開閉動作が行われる柄部開閉面と刃の開閉動作が行われる刃部開閉面との狭い方の交差角度が、2°〜15°未満の範囲内、さらには15°以上〜30°未満の範囲内、さらには30°以上〜50°の範囲内となるように柄部と刃部が捩れた状態にて構成されている頭髪用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭髪用挟に関するものであり、さらに詳しくは、頭髪用挟の、手に把持する部分を柄部とし、刃を有し頭髪を切断する部分を刃部とし、柄部を構成する2本の柄の開閉動作が行われる平面を柄部開閉面とし、刃部を構成する2本の刃の開閉動作が行われる平面を刃部開閉面とした場合に、柄部開閉面と刃部開閉面との交差角度が非直角となるように柄部と刃部が捩れた状態にて構成されていることを特徴とする頭髪用挟に関するものである。
【0002】
さらには柄部開閉面と刃部開閉面との交差角度のうち狭い方の交差角度が、2°〜15°未満の範囲内となるように柄部と刃部が捩れた状態にて構成されていることを特徴とする頭髪用挟に関するものであり、さらには、柄部開閉面と刃部開閉面との交差角度のうち狭い方の交差角度が、15°以上〜30°未満の範囲内となるように柄部と刃部が捩れた状態にて構成されていることを特徴とする頭髪用挟に関するものであり、さらには、柄部開閉面と刃部開閉面との交差角度のうち狭い方の交差角度が、30°以上〜50°の範囲内となるように柄部と刃部が捩れた状態にて構成されていることを特徴とする頭髪用挟に関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来の頭髪用挟は、例えば図11a〜図12cに示すようなものである。従来の頭髪用鋏SCはステンレス製で、手に把持する柄部S1、刃を有し頭髪を切断する刃部S2、そして枢軸S3から構成されており、紙切用等に用いる所謂「洋挟」の構成と基本的に同一の構成である。ただ、プロフェッショナルの理美容師が用いる頭髪用挟は、刃先の切れ味が紙切用等に用いる挟に比べてはるかに良好であり、また柄部S1が、被術者の頭髪を切断する際に、施術者の指を掛けやすいように独特の形状に構成されている点に特色がある。また、ここに示す頭髪用鋏SCは右利き用であって、左利き用の頭髪用挟(図示せず)は、すべての構成が頭髪用鋏SCと左右対称となる。
【0004】
なお、この明細書にては、頭髪用挟を使用する者を施術者、頭髪用挟によって頭髪の切断を受ける者を被術者と呼称する。理美容術においては、施術者と被術者は別人の場合が圧倒的に多いが、同一人物であっても無論差し支えはない。また、図11aを正面図とし、図12aを平面図、図12bを左側面図とする。このようにする理由は、施術者が頭髪用鋏SCを用いる際には、施術者の目から見て頭髪用鋏SCが図11aに示す状態が略正面になるように使用されるのが通常の使用状態だからである。
【0005】
頭髪用鋏SCの柄部S1は、柄S11と柄S12から構成されており、柄S11の端部にはリングr1が柄S11と一体に、柄S12の端部にはリングr2が柄S12と一体に、夫々形成されている。また、リングr1の右端部には曲線状の指掛けfがリングr1と一体に突設され、リングr1の左方の柄S11の上面には凹部d1、d2が形成されている。また、リングr1の下面には凸部t1が、リングr2の上面には凸部t2が夫々形成され、凸部t2の上面には軟質樹脂等からなる弾性体aが固着されている。凸部t1と弾性体aは、頭髪用鋏SCが閉じた状態(図11a参照)にて、当接するように構成されている。
【0006】
頭髪用鋏SCの刃部S2は、刃S21と刃S22から構成されており、刃S21の上面には刃先b1が、刃S22の下面には刃先b2が、夫々形成されている(図11b参照)。柄S11と刃S21は一体に形成されて頭髪用鋏SCの前部パーツfpをなし、柄S12と刃S22は一体に形成されて頭髪用鋏SCの後部パーツrpをなしており、前部パーツfpと後部パーツrpが略中央部で枢軸S3により開閉自在に枢設されて頭髪用鋏SCが構成されている。
【0007】
従来の頭髪用鋏SCは凡そ上記のような構成であるが、次に、頭髪用鋏SCの開閉作用を見ると、次のとおりである。頭髪用鋏SCは、図11bに示すように、枢軸S3を中心として、柄部S1と刃部S2が同期して開閉作用を行う。すなわち、柄部S1を開けば刃部S2が開き、柄部S1を閉じれば刃部S2も閉じる。この点は、通常の洋挟(図示せず)と全く同様である。図11bにては、柄部S1の開閉運動の方向をx1にて、刃部S2の開閉運動の方向をx2にて、夫々示している。
【0008】
今、柄部S1の開閉運動の方向x1が属する平面を柄部開閉面p1、刃部S2の開閉運動の方向x2が属する平面を刃部開閉面p2とすると、図11b、図12a、図12b、図12cに示すように、柄部開閉面p1と刃部開閉面p2は重なる。すなわち、柄部S1と刃部S2は同一平面上にて開閉運動を行う。この点は、通常の洋挟(図示せず)の構成と全く同一である。すなわち、平面図(図12a参照)で見ると、前部パーツfpは、指掛けfがやや前方に反っている以外は直線状に形成されており、後部パーツrpも直線状に形成されていて、どちらも直線状の前部パーツfpと後部パーツrpが枢軸S3で枢設されて頭髪用鋏SCが構成されている結果として、必然的に柄部S1と刃部S2は同一平面上にて開閉運動を行う構成となる。
【0009】
通常の洋鋏(図示せず)は、前部パーツが1枚の金属板から、後部パーツも1枚の金属板から、夫々形成されて枢軸にて枢設されるので、この製作工程上、柄部と刃部は必然的に同一平面上にて開閉運動を行う構成となり、また、この構成を変化させる特段の理由も見当たらないので、これがごく普通の構成として古くから定着している。頭髪用鋏SCにおいてもごく自然にこの構成は受け継がれ、柄部S1と刃部S2が同一平面上にて開閉運動を行う構成が当たり前のものとして踏襲されてきたのが現状である。
【0010】
図12aにては、前部パーツfpの右端部において、指掛けfがやや前方に湾曲する形に構成されているが、これは、後に使用状態にて述べるように、指掛けfは右手の小指を掛ける部位として構成されている(図13b参照)ところから、小指が掛けやすいように湾曲させてあるだけで、柄部S1と刃部S2が同一平面上にて開閉運動を行うという構成には全く変わりはない。下記特許文献1、2に記載されている発明、考案は、右手の小指を掛ける指掛けのみならず、リング部分の柄部に対する角度も変化させるという技術内容の開示を含むものであるが、しかしながら柄部と刃部が同一平面上にて開閉運動を行うという構成は踏襲されており、この点では、古来からの洋鋏の伝統的な構成を一歩も出るものではない。
【特許文献1】特開2004‐113539号公報
【特許文献2】登録実用新案第3040274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の頭髪用鋏SCの構成は大略上記のとおりであるが、以下には、この従来の頭髪用鋏SCが実際の理美容の現場にてどのように用いられているかを述べ、さらにそこにどのような問題点が生じているかということに言及する。実際の理美容の現場にて従来の頭髪用鋏SCが用いられている状態の1例を図13aに示す。図13aにて、ACは頭髪用鋏SCを用いる施術者であり、PAは頭髪用鋏SCにて頭髪の切断を受ける被術者である。施術者ACが被術者PAの頭髪を切断する方法は多種多様であるが、図13aに示す方法は、それらのうち、ごく一般的に用いられる方法を示す。
【0012】
施術者ACは右手に頭髪用鋏SCを把持し、左手にて被術者PAの頭髪の一部を採り、これを左手の人差し指と中指の間に挟んで平板状の頭髪の束とする(図13b参照)。理美容界では通常、この平板状の頭髪の束を「パネル」と称するが、図13a以下の図では、この「パネル」を符号Pにて表している。パネルPは、頭髪用鋏SCの1、2回の開閉にて切断できる位の量とされるのが普通で、図13bに示すように、左手の中指の腹の部分に頭髪用鋏SCの刃部S1の下端部分を当てて、中指の腹の部分を一種のガイドとして用いてパネルPの切断を行う。
【0013】
この際、図13bに示すように、施術者ACは右手の親指を柄S12のリングr2に挿通し、小指を柄S11の指掛けfに係止させ、薬指をリングr1に挿通し、中指を凹部d2に、人差し指を凹部d1に夫々係止させる。この持ち方は、通常の洋鋏の持ち方とはかなり異なるが、これが、頭髪用鋏SCの通常の持ち方である。このように右手で頭髪用鋏SCを把持し、人差し指、中指、薬指、小指の4指はほぼ固定状態として、リングr2に挿通した親指を上下運動させることにより、柄S12を回動させて柄部S1の開閉運動を行う。
【0014】
親指を上下運動させることにより、柄S12を回動させて柄部S1の開閉運動を行うと、これにより、刃部S2において、柄S12と一体に形成されている刃S22が回動し、これにより、刃部S2の開閉運動が行われる。この際、右手の人差し指、中指、薬指、小指の4指は略固定状態のため、柄S11は殆ど動かず、結果として柄S11と一体に形成されている刃部S2の刃S21も殆ど動かず、左手の中指の腹に当接した状態が保持される。すなわち、刃部S2においては、刃S22の回動運動によって開閉運動が行われ、刃S21と刃S22の間に位置するパネルPが切断される。
【0015】
図13bから施術者ACの両手を取り除いて、頭髪用鋏SCとパネルPのみの関係が明確になるように表すと、図13cのようになる。図13cにおいて、sxはパネルPが頭髪用鋏SCの刃部S2によって切断される際の切断線であり、切断線sxにおいてパネルPに接する平面をパネル面p3とする。なお、柄部開閉面p1は前述のように柄部S1の開閉運動の方向x1が属する平面(図11b参照)であり、刃部開閉面p2は刃部S2の開閉運動の方向x2が属する平面(図11b参照)であり、柄部開閉面p1と刃部開閉面p2は同一平面となっているので、これを開閉面pxで表す。また、βは開閉面pxとパネル面p3が交差する角度である。
【0016】
このときの、パネルPと柄部開閉面p1、刃部開閉面p2、パネル面p3の関係を右側面から模式的に表せば図14aのとおりである。頭髪用鋏SCは、図13aのような自然な持ち方をした場合に、開閉面px(=柄部開閉面p1、刃部開閉面p2)がパネル面p3と直交するように各部の構成がなされている。すなわち、角度βが90°の角度となるように各部の構成がなされている。したがって、開閉面pxとパネル面p3の交差線となる切断線sxにて切断される頭髪hの切断面saは、図14b、図10aに示すように頭髪hの延長方向h1に対して直角となる。すなわち、開閉面pxとパネル面p3の交差角度γは直角となる。
【0017】
しかしながら、頭髪hの切断面saが、頭髪hの延長方向h1に対して直角となり、このように切断面が延長方向に対して直角となる頭髪が多くなると、これにより形成される被術者PAの髪型の全体に大きな影響を与えるようになる。すなわち、図10cに見るように、頭髪の方向が整然と揃った所謂ストレートヘアで、全体として膨らみがなく、頭部の形状が明確に判別できるような、貧しく重い印象を与える髪型HS1にならざるを得ない。
【0018】
これに対し、図10dに示す髪型HS2は、全体にやわらかな膨らみがあり、頭髪の方向もランダムで、明るく軽い印象を与えるものであり、人の好みにもよるが、理美容院にて調髪を受ける際には、程度の差こそあれ、髪型HS1よりは髪型HS2を望む顧客が圧倒的に多いのが現状である。そしてまた、いかにして、髪型HS2のような明るく軽い印象の仕上げを施すかが、理美容師の腕の見せどころでもあり、より軽く、やわらかい、空気を内部に孕んだような印象の髪型を成形し得る理美容師の人気は必然的に高まり、このような理美容師を多く抱える店は他店に比べてより多くの顧客を獲得することが可能となる。
【0019】
しからば、いかにしてHS2のような髪型を形成するかといえば、その基本は頭髪hの切断面の形状にある。すなわち、頭髪hの切断面を図10bのsbのように、頭髪hの延長方向h1に対して非直角になるように切断することにより、HS2のような髪型の形成が可能となる。なぜそのようになるのかという理由は解明されていないが、おそらく多くの頭髪がこのような切断面を持つことにより、頭髪の先端部にて頭髪同士がある程度絡み合うということと、また、切断の際に頭髪用鋏SCの2本の刃S21、S22の間に働く斜め方向の剪断力が頭髪に捩れを与えて、1本1本の頭髪の方向が整列せず、ランダムになることがその理由ではないかと思われる。ともかく、経験則として、頭髪hの切断面sbが頭髪hの延長方向h1に対してなす角度γ(図14b参照)が直角になると、頭髪hの切断面は図10aに示す切断面saとなり、HS2(図10d参照)のような髪型の形成が極めて困難となることが知られている。
【0020】
いずれにせよ、頭髪hの切断面を図10bの切断面sbのように、頭髪hの延長方向h1に対して非直角になるように切断することにより、HS2のような髪型の形成が可能となることは経験的事実として理美容師の間には良く知られているので、理美容師においては、HS2のような髪型を形成するために、切断面sbを頭髪hの延長方向h1に対して非直角になるように切断するという方法が一般的に広く用いられている。あるいは、別の言い方をするならば、理美容師においては、HS1(図10c参照)のような髪型となるのを回避するために、図10aあるいは図14bのように頭髪hの延長方向h1に直角な切断面saが生じるのをできるかぎり避けようとする傾向が顕著である。
【0021】
しからば、どのようにして図10bの切断面sbのような切断面を得るかといえば、図13cにおける角度βができるだけ直角にならないようにするしかない。すなわち、頭髪用鋏SC全体を傾けることにより開閉面pxをパネル面p3に対して傾斜させてパネルPを切断するという方法によるしかない。したがって、施術者ACは、図15aあるいは図17aに示すような姿勢をもって頭髪用鋏SCの上部を前方(図15a)や後方(図17a)に傾けてパネルPの切断を行うこととなる。ところが、図15aあるいは図17aに示すような姿勢は、図13aに示す姿勢に比べると不自然で、図15aあるいは図17aに示す姿勢を長時間続けるということは、施術者ACにとってはかなりの負担とならざるを得ない。
【0022】
この点を、さらに詳しく解説すれば、以下のとおりである。すなわち、図13a、図13bに示す姿勢で切断作業を行う場合、すなわち、角度βが直角の状態(図13c、図14a参照)にて切断作業を行う場合、頭髪hの切断面saは図14bに見るように、頭髪hの延長方向h1に対して直角となる。このとき、施術者ACの姿勢は、図14cに見るように、前方に位置する物体OBを掴もうとして右手をごく自然に前方(FR方向)に伸ばした姿勢となり、肩SHから肘EL、手首WRそして指先FTにかけてのラインLは流れるように優美な曲線を描く。この姿勢は、試みれば直ちに判明するように、肩SHから肘EL、手首WR、指先FTのどこにも無理な力がかからない自然体で、長時間続けても最も疲れの少ない姿勢である。
【0023】
特に、指先FTに注目すると、この姿勢においては、手首WRから先端の部分には全く力が入っていない。指先FTは自然の重さでやや下がり気味になった状態である。そして、頭髪用鋏SCは、手首WRから指先FTにかけての部分がこのような形態になったときに、指先FTにすっぽりと嵌るように全体の構成が設計されている。この点は、図13aと図14cを見比べれば直ちに判明することである。つまり、従来の頭髪用鋏SCは、人が前方にある物体OBを掴もうとして自然に右手を伸ばした状態にて自然に使えるように作られているのである。
【0024】
しかしながら、この状態では、頭髪hの切断面saが頭髪hの延長方向h1に対して直角になってしまうということは前述のとおりである(図14b参照)。すなわち、従来の頭髪用鋏SCは、パネルPをただ切断するという作用以上のことは考えずに造られているため、柄部開閉面p1と刃部開閉面p2を、従来の洋鋏の構成を自然に踏襲して同一平面(開閉面px)とし、さらに、やはり従来の洋鋏の構成を自然に踏襲して開閉面pxがパネル面p3と直交する構成とした(図13c参照)。したがって、従来の頭髪用鋏SCを図13a、図13bに示すようにごく自然な姿勢で把持してパネルPの切断作業を行えば、当然のことながら頭髪hの切断面saが頭髪hの延長方向h1に対して直角になるという結果が招来されるのである。
【0025】
したがって、このような状態を避けて、頭髪hの切断面saが頭髪hの延長方向h1に対して直角にならないようにするには、前述のように、頭髪用鋏SCの上部を前後に傾斜させてパネルPを切断せねばならない。例えば、図15a、図15bは頭髪用鋏SCの上部を前方に傾斜させてパネルPの切断を行っている状態を示す。図15c、図16aに見るように、開閉面pxがパネル面p3と交差する交差角度のうち、小さい方の角度βが直角より小となった状態を示している。このような状態になるように頭髪用鋏SC全体を傾斜させることにより、頭髪hの切断面sbは、頭髪hの延長方向h1に対して直角より小なる角度γを有することができ(図16b、図16c参照)、結果として図10bに示すような切断面sbを有する頭髪hを得ることができる。そして、これにより、図10cに示すような内部に空気を孕んだ明るく軽い印象の髪型HS2が実現されるものである。
【0026】
あるいは、図17a、図17bのように、頭髪用鋏SCの上部を後方に傾斜させてパネルPの切断を行っても同様の効果が得られる。この場合にも、図17c、図18aに見るように、開閉面pxがパネル面p3と交差する交差角度のうち小さい方の角度βが直角より小となるが、このような状態に頭髪用鋏SC全体を傾斜させることにより、頭髪hの切断面sbは、頭髪hの延長方向h1に対して直角より小なる角度γを有することができ(図18b、図18c参照)、結果として図10bに示すような切断面sbを有する頭髪hを得ることができる。すなわち、図18b、図18cに示す頭髪hの上下を反転させると図10bに示すような切断面sbを有する頭髪hを得ることができる。そして、やはりこれにより、図10cに示すような内部に空気を孕んだ明るく軽い印象の髪型HS2が実現される。
【0027】
実際の理美容の現場においては、理美容師は、図10cに示すような髪型HS2を得るために、現実に、図15aあるいは図17aに示すような姿勢でパネルPの切断作業を行っている。しかしながら、ここで問題になるのは、図15aあるいは図17aに示すような姿勢は、図13aに示す姿勢に比べて不自然であり、特に施術者ACの右の手首WRに常に緊張感を強いる結果、施術者ACの疲労感が大きく、長時間このような姿勢を持続することが困難となるという点である。
【0028】
この点を図示して説明すれば、次のとおりである。図13aのような姿勢の場合には、図14cにて、施術者ACの肩SHから肘EL、手首WR,指先FTにかけてのラインLが流れるような優美な曲線を描くことを説明したが、図15aのような姿勢になると、図16dに示すように、肩SHから肘ELまでのラインLには無理な点はないが、手首WRの部分にてラインLを急角度で下方に屈曲させなければならない。そして、このような姿勢をとろうとすれば、手首WRから指先FTに至る部分に、下向き(LF方向)の力を働かせ続けなければならない。すなわち、図14cにおいて、指先FTの延長方向にある物体OBを掴もうとする際に、物体OBの位置が下がって図16dに示す状態になると、それを掴もうとするために手首WRから先を下げなければならないが、それと同様の姿勢を長時間続けなければならないということになる。
【0029】
この点において、図15aのような姿勢は、施術者ACの右の手首WRにかかる負担が大きく、いきおい、手首WRから先が上がって図13aのような状態に戻ろうとする。したがって、図15aのような姿勢を保って切断作業を続けているうちは図16bや図16cのような切断面sbを有する頭髪hが得られるが、手首WRから先が上がって図13aのような状態に戻っていくにつれ、切断面sbが頭髪hの延長方向h1となす角度γが直角となり、結局図10aあるいは図14bに示す切断面saを有する頭髪hが増加していくことになる。すると、図10dに示すような髪型HS2を得ることは困難となり、図10cに示す髪型HS1になっていってしまう。
【0030】
あるいは、逆に図17aのような姿勢になると、図18dに示すように、肩SHから肘ELまでのラインLには無理な点はないものの、手首WRの部分にてラインLを急角度で上方に屈曲させなければならない。そして、このような姿勢をとろうとすれば、手首WRから指先FTに至る部分に、上向き(UF方向)の力を働かせ続けなければならない。すなわち、図14cにおいて、指先FTの延長方向にある物体OBを掴もうとする際に、物体OBの位置が上がって図18dに示す状態になると、それを掴もうとするために手首WRから先を上げなければならないが、それと同様の姿勢を長時間続けなければならないということになる。
【0031】
この点において、図17aのような姿勢も、図15aのような姿勢と同様に施術者ACの右の手首WRにかかる負担が大きく、いきおい、手首WRから先が下がって図13aのような状態に戻ろうとする。したがって、図17aのような姿勢を保って切断作業を続けているうちは図18bや図18cのような切断面sbを有する頭髪hが得られるが、手首WRから先が下がって図13aのような状態に戻っていくにつれ、切断面sbが頭髪hの延長方向h1となす角度γが直角となり、結局図10aあるいは図14bに示す切断面saを有する頭髪hが増加していくことになる。すると、この場合もやはり図10dに示すような髪型HS2を得ることは困難となり、図10cに示す髪型HS1になっていってしまう。
【0032】
なお、図15aに示すような姿勢、あるいは図17aに示すような姿勢のどちらをとるかは、あくまで施術者ACの好みによる。すなわち、図16bと図18b、あるいは図16cと図18cでは、一見切断方向が上下対称に見えるが、実際は、頭髪hはいろいろな方向に捻れる性質を有しているので、パネルPを切断する瞬間にては切断面方向は一定であるが、すぐにランダムになる。したがって、図16bと図18bの頭髪hは結局同じものであり、図16cと図18cの頭髪hも結局同じものである。したがって、実際の現場にては、施術者ACは図15aに示すような姿勢で暫く作業を続け、手首WRが疲れてくると今度は手首WRに反対方向の力が働く図17aに示すような姿勢で暫く作業を続けるというような作業方法を採っている場合が多い。
【0033】
従来の頭髪用鋏SCを用いる限り、上記のような問題は不可避的に生じてくるものである。実際の現場においては、良く訓練された理美容師は、図15aに示す姿勢や図17aに示す姿勢を適宜使い分け、出来る限り手首WRに疲労が蓄積しないように切断作業を継続していくが、それでもやはり手首WRには無理がかかるため、図13aに示す無理のない姿勢にて各部分が略適宜の長さとなるように頭髪全体を予め切断しておき、さらに仕上げの段階で、図15aに示す姿勢、あるいは図17aに示す姿勢をもって図10bに示すような切断面sbを有する頭髪hが多くなるように切断作業を行う理美容師もいる。
【0034】
しかし、そのような方法では切断作業が2度手間となり、結局手首WRにおける疲労感はあまり変わらない。しかも作業時間もより多くを要することとなる。したがって、1回の切断にて図10bに示すような切断面sbが簡単に得られ、しかも、使い勝手は図13aに示すような無理のない自然な姿勢で、手首WRに余分な負担がかからないような構成の頭髪用鋏の誕生が、特に理美容の現場にて希求されているのが現状である。
【0035】
なお、上記特許文献1、2に記載の発明、考案にては、上記目的は達成できないことを付言しておく。上記特許文献1、2に記載の発明、考案は、いずれも、柄部開閉面と刃部開閉面が同一平面上にあるという点では、従来の頭髪用鋏SCとその構成はなんら異なるところはない。上記特許文献1、2に記載の発明、考案は、いずれも、頭髪用鋏を把持する右手の形状に合わせてリングの部分を回動できるということを開示しているに留まっている。上記特許文献2においては、「カッティング角度が調節可能」であることが謳われているが、実際の構成では、リング(上記特許文献2にては円形孔)の角度を変えることができるだけで、柄部開閉面と刃部開閉面は依然として同一平面上にあるので、結局鋏全体を傾斜させなければ頭髪の切断面を斜めにカットすることができない。したがって理美容の現場にて希求されている内容を満足させる頭髪用鋏とはなり得ないものである。
【0036】
加えて、上記引用文献2の「理髪用はさみ」は、その形状が余りにも特殊であり、この点からも、従来の頭髪用鋏SCを使い慣れた理美容師にとっては、いかにも使いづらいものである。したがって、従来の頭髪用鋏の基本デザインはそのまま踏襲しつつ、理美容の現場にて希求されている内容、すなわち、従来の頭髪用鋏の基本的なポジション(図13a参照)にて無理なく自然にパネルを切断して、しかも、切断面が頭髪の延長方向に対して斜めになるという内容を満足させる頭髪用鋏が求められているのである。
【0037】
以上より、本発明の課題を、以下のように設定した。
<課題1>
従来の頭髪用鋏の基本的なポジション、すなわち、頭髪用鋏を把持する方の手の肩、肘、手首、指先のいずれの場所にも無理がかからない自然な姿勢で頭髪のパネルを切断した場合に、1本1本の頭髪の切断面が頭髪の延長方向に対して非直角になるような構成の頭髪用鋏を開発する。
<課題2>
この場合の頭髪の切断面が頭髪の延長方向に対してなす角度が非直角となるようにする理由は、頭髪の切断面が頭髪の延長方向に対してなす角度が直角になると、結果として内部に空気を孕んだ明るく軟らかい印象の髪型が極めて形成しにくくなるからである。したがって、内部に空気を孕んだ明るく軟らかい印象の髪型が極めて形成するために、上記構成の頭髪用鋏を開発するものである。
<課題3>
さらに、頭髪用鋏の全体の基本デザインは、従来の頭髪用鋏と余り変わりのないようなものとしたい。上記課題1、2を満足するようなものでも特殊な形状のものになってしまうと、結局理美容師の手になじまず、使いづらいものとなるからである。
【課題を解決するための手段】
【0038】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、以下に示す解決手段を提供するものである。
<解決手段1>
頭髪用挟の、手に把持する部分を柄部とし、刃を有し頭髪を切断する部分を刃部とし、柄部を構成する2本の柄の開閉動作が行われる平面を柄部開閉面とし、刃部を構成する2本の刃の開閉動作が行われる平面を刃部開閉面とした場合に、柄部開閉面と刃部開閉面との交差角度が非直角となるように柄部と刃部が捩れた状態にて構成されていることを特徴とする頭髪用挟。
<解決手段2>
頭髪用挟の、手に把持する部分を柄部とし、刃を有し頭髪を切断する部分を刃部とし、柄部を構成する2本の柄の開閉動作が行われる平面を柄部開閉面とし、刃部を構成する2本の刃の開閉動作が行われる平面を刃部開閉面とした場合に、柄部開閉面と刃部開閉面との交差角度のうち狭い方の交差角度が、2°〜15°未満の範囲内となるように柄部と刃部が捩れた状態にて構成されていることを特徴とする頭髪用挟。
<解決手段3>
頭髪用挟の、手に把持する部分を柄部とし、刃を有し頭髪を切断する部分を刃部とし、柄部を構成する2本の柄の開閉動作が行われる平面を柄部開閉面とし、刃部を構成する2本の刃の開閉動作が行われる平面を刃部開閉面とした場合に、柄部開閉面と刃部開閉面との交差角度のうち狭い方の交差角度が、15°以上〜30°未満の範囲内となるように柄部と刃部が捩れた状態にて構成されていることを特徴とする頭髪用挟。
<解決手段4>
頭髪用挟の、手に把持する部分を柄部とし、刃を有し頭髪を切断する部分を刃部とし、柄部を構成する2本の柄の開閉動作が行われる平面を柄部開閉面とし、刃部を構成する2本の刃の開閉動作が行われる平面を刃部開閉面とした場合に、柄部開閉面と刃部開閉面との交差角度のうち狭い方の交差角度が、30°以上〜50°の範囲内となるように柄部と刃部が捩れた状態にて構成されていることを特徴とする頭髪用挟。
【0039】
解決手段1〜4に記載の頭髪用鋏においては、従来の頭髪用鋏のように、柄部開閉面と刃部開閉面が同一平面状にあるという構成をとらず、柄部開閉面と刃部開閉面とが一定の角度で交差する、つまり柄部と刃部が捩れた状態にて構成されているというところに、その基本的な特徴がある。
【0040】
しからば、その、柄部開閉面と刃部開閉面の交差角度は何度位が適切かということになるが、この交差角度が大になればなるほど、被術者の髪型は内部に空気を孕んだ明るく柔らかな印象を与える髪型に近づくが、被術者の中には、過剰に豊かなボリューム感のある髪型を嫌う人もいる。したがって所謂ストレートヘアに近いものから非常に豊かなボリューム感のある髪型に至るまでの髪型を最もストレートヘアに近い第1型〜最もボリューム感のある第3型の3段階に分け、夫々の髪型を成形するための最適な上記交差角度の範囲を求めてみた。但し、上記交差角度は、理美容師の夫々の好みや癖によって変化するところが大きいので、理論的に導出することは困難である。したがって、上記交差角度の範囲は、実際に理美容の現場で働く多くの理美容師(見習い者も含む)から聞き取り調査をするという方法で行った。
【0041】
その結果として、最もストレートヘアに近い第1型の髪型を成形するために必要な最小限の上記交差角度は2°であることが明らかとなった。2°という角度は、数字の上からは略直角とも思える角度であるが、理美容師によっては、従来の頭髪用鋏との構成上の差ができるだけ少ないものを求める人もおり、この2°という角度でも従来の頭髪用鋏と比較してはるかに疲労感が少なく、しかも望みの髪型を得られるという意見があったので、この交差角度の最小値を2°と設定した。これについては、3°あるいは4°あるいは5°程度が良いという意見もあった。結局、理美容師の好みとしては、2°から7、8°位に一つの山が見られる。また、第1型の髪型を成形するための最大限の交差角度は、多くの理美容師の意見により15°未満と設定した。次に、ストレートヘアと豊かなボリューム感のある髪型の中間に位置する第2型の髪型に関しては、第1型の髪型を成形するための最大限の交差角度が15°未満であるので、その最小限の交差角度を15°以上とした。また、最大限の交差角度は、やはり多くの理美容師の意見により30°未満と設定した。さらに、最も豊かなボリューム感のある髪型である第3型の髪型に関しては、第2型の髪型を成形するための最大限の交差角度が30°未満であるので、その最小限の交差角度を30°以上とした。また、最大限の交差角度は理論上は90°近いものも可能であるが、交差角度が余りに大となると、従来の頭髪用鋏との構成上の差ばかりか使い勝手の差もやはり大きくなるため、やはり多くの理美容師に意見を聞いて、最大限の交差角度を50°とした。
【0042】
したがって、第1型の髪型を得るための上記交差角度の範囲は2°〜15°未満であり、この角度限定によって構成された頭髪用鋏が、解決手段2に記載の頭髪用鋏である。また、第2型の髪型を得るための上記交差角度の範囲は15以上〜30°未満であり、この角度限定によって構成された頭髪用鋏が、解決手段3に記載の頭髪用鋏である。さらに、第3型の髪型を得るための上記交差角度の範囲は30以上〜50°であり、この角度限定によって構成された頭髪用鋏が、解決手段4に記載の頭髪用鋏である。
【0043】
解決手段1〜4に記載の頭髪用鋏は、また、次のような基本的特徴を有するものである。すなわち、柄部開閉面と刃部開閉面が一定の角度で交差するという点を除けば、他の点はすべて、従来の頭髪用鋏と同一の構成をとることが可能であるという点である。すなわち、解決手段1〜4に記載の頭髪用鋏は、柄部開閉面と刃部開閉面が一定の角度で交差するという点のみにおいて従来の頭髪用鋏の構成を変化させることを要請しているだけで、柄部の基本構成についても、刃部の基本構成についても、従来の頭髪用鋏の構成を変化させることは要請していない。したがって、上記<課題3>の求めるところに答えることができるものである。
【0044】
例えば、上記特許文献2においては、従来の頭髪用鋏の基本的なデザインがかなりの変化を蒙っていることは既述のとおりであるが、解決手段1〜4に記載の頭髪用鋏においては、柄部の基本構成も、刃部の基本構成も従来の頭髪用鋏の基本構成をそのまま踏襲できるので、理美容師においては、従来の頭髪用鋏を使用するときと殆ど変わらない使用感をもって作業を進めることができるものである。理美容師も、やはり職人として、使用する道具の使用感という点については、大工職が大工道具に対するのと同様の愛着と思い入れを持つものであるから、従来から受け継がれてきたスタイルから余りにかけ離れたスタイルの道具に対しては、強い拒否反応を示すのが常である。この点、解決手段1〜4に記載の頭髪用鋏においては、柄部の基本構成も、刃部の基本構成も従来の頭髪用鋏の基本構成から変化させる必要がないので、この点からしても、多くの理美容師に抵抗感なく受け入れられるものとなっていることが大きな特徴である。ただし、柄部の基本構成及び刃部の基本構成を適宜変化させることもまた自由であり、柄部開閉面と刃部開閉面が一定の角度で交差するという構成を有している限り、柄部の基本構成及び刃部の基本構成を従来の頭髪用鋏から変化させた頭髪用鋏も又本発明の範囲に含まれるのは当然のことである。
【発明の効果】
【0045】
本発明の解決手段1〜4の発明の頭髪用鋏においては、柄部開閉面と刃部開閉面が一定の角度で交差しているので、施術者が頭髪用鋏を把持する際の肩、肘、手首から指先にかけてのポジションはごく自然な無理のない姿勢で、しかも、頭髪のパネルを頭髪の延長方向に対して非直角に切断できる。そして、これにより、疲労感が最も少なく、しかも迅速に、さまざまなタイプの内部に空気を孕んだ明るく柔らかい印象の髪型、すなわち、ストレートヘアに近い髪型から豊かなボリューム感のある髪型に至るまでの各種髪型を自在に成形できるものである。
【0046】
本発明の解決手段2の発明の頭髪用鋏においては、柄部開閉面と刃部開閉面との交差角度のうち狭い方の交差角度を2°〜15°未満としたので、多くの理美容師が内部に空気を孕んだ明るく柔らかい印象の髪型のうちでもストレートヘアに近い髪型を成形する上において、上記効果を有する頭髪用鋏を提供できるものである。
【0047】
本発明の解決手段3の発明の頭髪用鋏においては、柄部開閉面と刃部開閉面との交差角度のうち狭い方の交差角度を15°以上〜30°未満としたので、多くの理美容師が内部に空気を孕んだ明るく柔らかい印象の髪型のうちでもストレートヘアと豊かなボリューム感のある髪型の中間の髪型を成形する上において、上記効果を有する頭髪用鋏を提供できるものである。
【0048】
本発明の解決手段4の発明の頭髪用鋏においては、柄部開閉面と刃部開閉面との交差角度のうち狭い方の交差角度を30°以上〜50°としたので、多くの理美容師が内部に空気を孕んだ明るく柔らかい印象の髪型のうちでも最も豊かなボリューム感のある髪型の中間の髪型を成形する上において、上記効果を有する頭髪用鋏を提供できるものである。
【0049】
本発明の解決手段1〜4の発明の頭髪用鋏においては、柄部の基本構成も、刃部の基本構成も、従来の頭髪用鋏から変化させることは要請していないので、柄部の基本構成においても刃部の基本構成においても、従来の頭髪用鋏の基本構成をそのまま踏襲することができる。したがって、道具の使用感にこだわりを持つ理美容師においても、従来の頭髪用鋏と殆ど異なるところのない使用感をもって使用できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
本発明を実施するための最良の形態を、以下に図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0051】
実施例1の頭髪用鋏Sは、図1〜図5aに示すとおりである。図1は、頭髪用鋏Sの開いた状態の外観斜視図であり、図2aは閉じた状態の正面図、図2bは開いた状態の正面図、図3aは閉じた状態の背面図、図3bは開いた状態の背面図、図4aは閉じた状態の平面図、図4bは閉じた状態の底面図、図4cは閉じた状態の左側面図、図5aは図4cの拡大図である。ただし、図2aを正面図とする理由は、前述の従来の頭髪用鋏SC(図11a参照)と同様で、施術者が頭髪用鋏Sを用いる際には、施術者の目から見て頭髪用鋏Sが図2aに示す状態が正面になるように使用されるのが通常の使用状態であるという点による。
【0052】
実施例1の頭髪用鋏Sはステンレス製で、手に把持する柄部1、刃を有し頭髪を切断する刃部2、そして枢軸3から構成されており、柄部1の構成は、基本的に従来の頭髪用鋏SC(図11a参照)の柄部S1の構成と同様であり、刃部2の構成も従来の頭髪用鋏SCの刃部S2の構成と同様である。また、刃先の切れ味が紙切用等に用いる挟に比べてはるかに良好である点も従来の頭髪用鋏SCと同様である。なお、ここに示す頭髪用鋏Sは右利き用であって、左利き用の頭髪用挟(図示せず)は、すべての構成が頭髪用鋏Sと左右対称となる。また、枢軸3の構成は、従来の頭髪用鋏SCの枢軸S3(図11a参照)の構成と全く同一であり、公知技術であるので、詳細な説明は省略する。
【0053】
頭髪用鋏Sの柄部1は、柄11と柄12から構成されており、柄11の端部にはリングR1が柄11と一体に、柄12の端部にはリングR2が柄12と一体に、夫々形成されている。また、リングR1の右端部には曲線状の指掛けFがリングR1と一体に突設され、リングR1の左方の柄11の上面には緩やかな曲線状の凹部D1、D2が形成されている。また、リングR1の下面には凸部T1が、リングR2の上面には凸部T2が夫々形成され、凸部T2の上面には軟質樹脂からなる弾性体Aが固着されている。凸部T1と弾性体Aは、頭髪用鋏Sが閉じた状態(図2a参照)にて、当接するように構成されている。
【0054】
頭髪用鋏Sの刃部2は、刃21と刃22から構成されており、刃21の上面には刃先B1が、刃22の下面には刃先B2が、夫々形成されている(図1、図2b参照)。柄11と刃21は一体に形成されて頭髪用鋏Sの前部パーツFPをなし、柄12と刃22は一体に形成されて頭髪用鋏Sの後部パーツRPをなしており、前部パーツFPと後部パーツRPが頭髪用鋏Sの略中央部で枢軸3により開閉自在に枢設されて頭髪用鋏Sが構成されている。
【0055】
上記のように、柄部1は従来の頭髪用鋏SC(図11a参照)の柄部S1と略同様の構成であり、刃部2は従来の頭髪用鋏SC(図11a参照)の刃部S2と略同様の構成である。次に、実施例1の頭髪用鋏Sの最も特徴的な構成となる柄部1と刃部2の捩れについて説明する。頭髪用鋏Sは、図1に示すように、枢軸3を中心として、柄部1と刃部2が同期して開閉作用を行う。すなわち、柄部1を開けば刃部2が開き、柄部1を閉じれば刃部2も閉じる。図1にては、柄部1の開閉運動の方向をX1にて、刃部2の開閉運動の方向をX2にて、夫々示している。今、柄部1の開閉運動の方向X1が属する平面を柄部開閉面P1、刃部2の開閉運動の方向X2が属する平面を刃部開閉面P2とすると、図1に示すように、柄部開閉面P1と刃部開閉面P2が角度αをなすように、柄部1と刃部2が枢軸3より少し柄部1寄りの部分にて捻られて構成されている。この点が、実施例1の頭髪用鋏Sが従来の頭髪用鋏SCと最も異なる点である。なお、実施例1の頭髪用鋏Sにおいては、角度α=38°にて構成されている。
【0056】
柄部1と刃部2の捻れについては、図1〜図3bの外観斜視図や正面図や背面図ではやや分かりにくいが、図4aの平面図、図4bの底面図、図4cの左側面図、そして図5aの拡大左側面図において明確に示されている。特に、柄部1と刃部2(柄部開閉面P1と刃部開閉面P2)が角度αをもって捻られた状態に構成されている点は図5aに、また、柄部1と刃部2が、枢軸3よりやや柄部1寄りの位置にて捻られている点は図4a、図4bに明確に示されている。なお、図5aの頭髪用鋏Sは、前述のようにα=38°であるが、αを5°とした例(頭髪用鋏S5)を図5bに、αを45°とした例(頭髪用鋏S45)を図5cに、夫々掲げておく。また、図4a、図4bにて、正面及び背面から見た状態で、柄部開閉面P1と刃部開閉面P2に僅かの交差角度δが付されていることが示されているが、これは、後述の頭髪のパネルPに頭髪用鋏Sを当ててパネルPを切断する際に、この僅かの交差角度δが付してあると、施術者の使い勝手が向上するという理由(経験則)によるものである。なお、実施例1の頭髪用鋏Sにては、δ=2°である。
【0057】
以下に、実施例1の頭髪用鋏Sの作用を、図面を参照しながら説明する。実際の理美容の現場にて実施例1の頭髪用鋏Sが用いられている状態の1例を図6に示す。図6にて、ACは頭髪用鋏Sを用いる施術者であり、PAは頭髪用鋏Sにて頭髪の切断を受ける被術者である。施術者ACは右手に頭髪用鋏Sを把持し、左手にて被術者PAの頭髪の一部を採り、これを左手の人差し指と中指の間に挟んでパネルPとする。パネルPは、従来の頭髪用鋏SCによる切断の際と同様に、1、2回の開閉にて切断できる位の量とされ、図7a、図7bに示すように、左手の中指の腹の部分に頭髪用鋏Sの刃部2の刃21の背面側の下端部分を当てて、中指の腹の部分を一種のガイドとして用いてパネルPの切断を行う点も、従来の頭髪用鋏SCによる切断と同様である。
【0058】
この際、図7a、図7bに示すように、施術者ACは右手の親指を柄12のリングR2に挿通し、小指を柄11の指掛けFに係止させ、薬指をリングR1に挿通し、中指を凹部D2に、人差し指を凹部D1に夫々係止させる。この持ち方も従来の頭髪用鋏SCの持ち方と全く変わらない。また、このように右手で頭髪用鋏Sを把持し、人差し指、中指、薬指、小指の4指はほぼ固定状態として、リングR2に挿通した親指を上下運動させることにより、柄12を回動させて柄部1の開閉運動を行う点も従来の頭髪用鋏SCの操作と全く同じである。つまり、施術者ACは、従来の頭髪用鋏SCを扱う際と全く同様の使用感をもって実施例1の頭髪用鋏Sを操作することができる。
【0059】
親指を上下運動させることにより、柄12を回動させて柄部1の開閉運動を行うと、これにより、刃部2において、柄12と一体に形成されている刃22が回動し、これにより、刃部2の開閉運動が行われる。この際、右手の人差し指、中指、薬指、小指の4指は略固定状態のため、柄11は殆ど動かず、結果として柄11と一体に形成されている刃部2の刃21も殆ど動かず、左手の中指の腹に当接した状態が保持される。すなわち、刃部2においては、刃22の回動運動によって開閉運動が行われ、刃21と刃22の間に位置するパネルPが切断される。この際に、施術者ACの感じる使用感は従来の頭髪用鋏Sの使用感と全く変わらないが、パネルPが切断される際の様相は、従来の頭髪用鋏Sにおけるそれとはかなり異なったものとなる。以下、その点を詳細に説明する。
【0060】
図7bから施術者ACの両手を取り除いて、頭髪用鋏SとパネルPのみの関係が明確になるように表すと、図8のようになる。図8において、SXはパネルPが頭髪用鋏Sの刃部2によって切断される際の切断線であり、切断線SXにおいてパネルPに接する平面をパネル面P3とする。なお、柄部開閉面P1は前述のように柄部1の開閉運動の方向X1が属する平面(図1参照)であり、刃部開閉面P2は刃部2の開閉運動の方向X2が属する平面(図1参照)であり、前述のように柄部開閉面P1と刃部開閉面P2は角度αをもって交差している。また、β1は柄部開閉面P1とパネル面P3が交差する角度であり、β2は刃部開閉面P2とパネル面P3が交差する角度である。
【0061】
このときの、パネルPと柄部開閉面P1、刃部開閉面P2、パネル面P3の関係を右側面から模式的に表せば図9aのとおりである。頭髪用鋏Sは、図6のような自然な持ち方をした場合に、柄部開閉面P1がパネル面P3と略直交するように柄部1の構成がなされている。すなわち、角度β1が90°となるように柄部1の構成がなされていて、この点は従来の頭髪用鋏SCの柄部S1の構成と同様である(図14a参照)。しかるに、頭髪用鋏Sにおいては、柄部開閉面P1に対して刃部開閉面P2が交差角度αをもって交差するように柄部1と刃部2が捻られた状態で構成されているので、角度β1を90°とした場合に、刃部開閉面P2がパネル面P3と交差する交差角度β2は、90°から上記交差角度αを差し引いた値となる(図9a参照)。したがって、角度αを38°とした場合(図5a)には、角度β2は52°となり、また、角度αが5°(図5b)であれば角度β2は85°、角度αが45°なら(図5c)角度β2も45°となる。
【0062】
したがって、施術者ACは、柄部1をごく自然なポジション、すなわち角度β1が直角となる姿勢にて把持し、従来の頭髪用鋏SCを扱う際と全く同様の使用感にて頭髪用鋏Sを操作していても、パネルPが切断される角度は、従来の頭髪用鋏SCのように直角とはならず、パネル面P3と刃部開閉面P2が交差する交差角度β2をもってパネルPが切断されることとなる。その結果、パネルPを構成する頭髪Hにおいては、頭髪Hの延長方向H1に対して角度γをもって切断面SAが形成されることになる(図9b、図9c、図9d参照)。
【0063】
そして、この角度γは、当然のことであるが、パネルPが切断される角度β2に等しいものとなる。したがって、角度αが38°の頭髪用鋏Sを用いれば、パネルPを構成する頭髪Hは延長方向H1に対して52°の角度γをもって切断されることになり(図9b参照)、角度αが5°の頭髪用鋏Sを用いれば、パネルPを構成する頭髪Hは延長方向H1に対して85°の角度γをもって切断されることになり(図9c参照)、角度αが45°の頭髪用鋏Sを用いれば、パネルPを構成する頭髪Hは延長方向H1に対して45°の角度γをもって切断されることになる(図9d)。
【0064】
このとき、施術者の姿勢は、図9eに見るように、前方に位置する物体OBを掴もうとして右手をごく自然に前方(FR方向)に伸ばした姿勢となり、肩SHから肘EL、手首WRそして指先FTにかけてのラインLは流れるように優美な曲線を描く。この姿勢は、前述のように、肩SHから肘EL、手首WR、指先FTのどこにも無理な力がかからない自然体で、長時間続けても最も疲れの少ない姿勢である。そして、頭髪用鋏Sは、手首WRから指先FTにかけての形態がこのようになったときに、指先FTにすっぽりと嵌るように柄部1の構成が設計されている。この点は、頭髪用鋏Sの柄部1の構成が従来の頭髪用鋏SCの柄部S1の構成をそのまま踏襲したものである以上当然のことである。すなわち、人が前方にある物体OBを掴もうとして自然に右手を伸ばした状態にて自然に使えるように作られている頭髪用鋏SCの柄部S1の構成と同一の構成の柄部1を有しているということである。
【0065】
したがって、以上から、実施例1の頭髪用鋏Sは、従来の頭髪用鋏SCをごく自然に操作するのと同様の操作感覚をもって使用することにより、図9b〜図9dのような切断面SAを有する頭髪を得ることができ、これにより、図10dに示すような内部に空気を孕んだ明るく柔らかい印象を与える髪型HS2を、自然に、しかも迅速に成形できるものである。なお、厳密にいえば、柄部開閉面P1と刃部開閉面P2の交差角度が38°である実施例1の頭髪用鋏Sによって得られるのは角度γが52°である図9bに示す頭髪Hとなるが、実際の現場においては、頭髪用鋏Sを適宜多少傾斜させて用いるので、現実には、図9c、図9dに示すような角度γの異なる頭髪Hも得ることができる。
【0066】
すなわち、頭髪用鋏Sをごく自然なポジションで把持した際に得られる図9bに示す頭髪Hを中心として、施術者ACの適宜な操作によって、角度γが様々に変化する頭髪Hの集合体が得られるものである。そして、この際に、施術者ACが頭髪用鋏Sを把持する基本的なポジションはあくまで図6〜図9aに示すとおりのもの、すなわち、柄部開閉面P1とパネル面P3の交差角度β1が直角であるので、施術者ACにおいては頭髪用鋏Sを把持する右手、特に手首WRの部分に無理な負担が長時間かかり続けるということがなく、最小の疲労感にて切断作業を続行できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0067】
従来技術の項にて説明したように、従来の頭髪用鋏においては、髪型HS2(図10d参照)を得るためには頭髪用鋏自体を常時傾斜させて使用しなければならず、そのような作業に習熟するためにはある程度の訓練を要するものであったが、本発明の頭髪用鋏を用いることにより、初心者でも簡単に内部に空気を孕んだ明るく柔らかい印象を与える髪型HS2を得ることができるようになった。したがって、本発明の頭髪用鋏は、実際の理美容の現場ではむろんのこと、初心者のための教育用の道具として用いた場合にも、大きな効果をあげえるものである。また、熟練者においても、従来の頭髪用鋏を用いる場合に比較して疲労感が格段に少なく、しかも迅速に内部に空気を孕んだ明るく柔らかい印象を与える髪型HS2を得ることができるので、1日に対応可能な顧客数を大幅に増加させることも可能であり、顧客の側においては、待ち時間が短縮されるという効果もある。さらに、基本的な構成、特に手に把持する柄部の構成が従来の頭髪用鋏と同じで、使い勝手は従来の頭髪用鋏と変わらないので、殆どの理美容師に抵抗感なく受け入れられるものである。本発明の頭髪用鋏は、このように、これからの理美容業界に広く貢献し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施例1の頭髪用鋏の外観斜視図である。
【図2】(a)本発明の実施例1の頭髪用鋏の閉じた状態の正面図である。(b)本発明の実施例1の頭髪用鋏の開いた状態の正面図である。
【図3】(a)本発明の実施例1の頭髪用鋏の閉じた状態の背面図である。(b)本発明の実施例1の頭髪用鋏の開いた状態の背面図である。
【図4】(a)本発明の実施例1の頭髪用鋏の閉じた状態の平面図である。 (b)本発明の実施例1の頭髪用鋏の閉じた状態の底面図である。 (c)本発明の実施例1の頭髪用鋏の閉じた状態の左側面図である。
【図5】(a)図4cの拡大図である。(b)本発明の実施例1の頭髪用鋏において、柄部開閉面と刃部開閉面との交差角度を変化させた頭髪用鋏の1例の閉じた状態の左側面図である。(c)本発明の実施例1の頭髪用鋏において、柄部開閉面と刃部開閉面との交差角度を変化させた頭髪用鋏の別の1例の閉じた状態の左側面図である。
【図6】本発明の実施例1の頭髪用鋏の作用を説明する説明図である。
【図7】(a)本発明の実施例1の頭髪用鋏の作用を説明する説明図で、施術者側から見た使用状態を示すものである。 (b)図6の要部の拡大図である。
【図8】図7bから施術者の両手を除いて本発明の実施例1の頭髪用鋏と頭髪のパネルとの関係を示した説明図である。
【図9】(a)本発明の実施例1の頭髪用鋏の作用を説明する説明図で、柄部開閉面と刃部開閉面とパネル面の関係を示すものである。 (b)本発明の実施例1の頭髪用鋏により得られる頭髪の切断面を示す説明図である。 (c)本発明の実施例1の頭髪用鋏において、柄部開閉面と刃部開閉面との交差角度を変化させた構成を用いる場合に得られる頭髪の切断面を示す説明図である。 (d)本発明の実施例1の頭髪用鋏において、柄部開閉面と刃部開閉面との交差角度を変化させた構成を用いる場合に得られる頭髪の切断面を示す説明図である。 (e)本発明の実施例1の頭髪用鋏を用いる際の施術者の姿勢を説明する説明図である。
【図10】(a)従来の頭髪用鋏を用いた際に得られる頭髪の切断面を説明する説明図である。 (b)従来の頭髪用鋏を傾斜させて用いた際に得られる頭髪の切断面を説明する説明図である。 (c)図10aに示す切断面を有する頭髪の集合体によって得られる髪型の典型的な例を説明する説明図である。 (d)図10bに示す切断面を有する頭髪の集合体、あるいは、図9b〜図9dに示す切断面を有する頭髪の集合体によって得られる髪型の典型的な例を説明する説明図である。
【図11】(a)従来の頭髪用鋏の1例の閉じた状態の正面図である。 (b)従来の頭髪用鋏の1例の開いた状態の外観斜視図である。
【図12】(a)従来の頭髪用鋏の1例の閉じた状態の平面図である。 (b)従来の頭髪用鋏の1例の閉じた状態の左側面図である。 (c)図12bの拡大図である。
【図13】(a)従来の頭髪用鋏の1例の作用を説明する説明図である。 (b)図13aの要部の拡大図である。 (c)図13bから施術者の両手を除いて従来の頭髪用鋏の1例の開閉面とパネル面の関係を説明する説明図である。
【図14】(a)従来の頭髪用鋏の1例の開閉面とパネル面の関係を説明する説明図である。 (b)従来の頭髪用鋏の1例を図13aに示す使用状態にて使用した際に得られる頭髪の切断面の状態を説明する説明図である。 (c)従来の頭髪用鋏の1例を図13aに示す使用状態にて使用した際の施術者の姿勢を説明する説明図である。
【図15】(a)従来の頭髪用鋏の1例の作用を説明する説明図である。 (b)図15aの要部の拡大図である。 (c)図15bから施術者の両手を除いて従来の頭髪用鋏の1例の開閉面とパネル面の関係を説明する説明図である。
【図16】(a)従来の頭髪用鋏の1例の開閉面とパネル面の関係を説明する説明図である。 (b)従来の頭髪用鋏の1例を図15aに示す使用状態にて使用した際に得られる頭髪の切断面の状態を説明する説明図である。 (c)従来の頭髪用鋏の1例を図15aに示す使用状態にて使用した際に得られる頭髪の切断面の状態を説明する説明図である。 (d)従来の頭髪用鋏の1例を図15aに示す使用状態にて使用した際の施術者の姿勢を説明する説明図である。
【図17】(a)従来の頭髪用鋏の1例の作用を説明する説明図である。 (b)図17aの要部の拡大図である。 (c)図17bから施術者の両手を除いて従来の頭髪用鋏の1例の開閉面とパネル面の関係を説明する説明図である。
【図18】(a)従来の頭髪用鋏の1例の開閉面とパネル面の関係を説明する説明図である。 (b)従来の頭髪用鋏の1例を図16aに示す使用状態にて使用した際に得られる頭髪の切断面の状態を説明する説明図である。 (c)従来の頭髪用鋏の1例を図16aに示す使用状態にて使用した際に得られる頭髪の切断面の状態を説明する説明図である。 (d)従来の頭髪用鋏の1例を図16aに示す使用状態にて使用した際の施術者の姿勢を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0069】
1 柄部
11 柄
12 柄
2 刃部
21 刃
22 刃
3 枢軸
A 弾性体
AC 施術者
B1 刃先
B2 刃先
D1 凹部
D2 凹部
EL 肘
F 指掛け
FP 前部パーツ
FR 方向
FT 指先
H 頭髪
H1 延長方向
HS1 髪型
HS2 髪型
L ライン
LF 方向
OB 物体
P パネル
P1 柄部開閉面
P2 刃部開閉面
P3 パネル面
PA 被術者
R1 リング
R2 リング
RP 後部パーツ
S 頭髪用鋏
S1 柄部
S11 柄
S12 柄
S2 刃部
S21 刃
S22 刃
S3 枢軸
S5 頭髪用鋏
S45 頭髪用鋏
SA 切断面
SC 頭髪用鋏
SH 肩
SX 切断線
T1 凸部
T2 凸部
UF 方向
WR 手首
X1 方向
X2 方向
a 弾性体
b1 刃先
b2 刃先
d1 凹部
d2 凹部
f 指掛け
fp 前部パーツ
h 頭髪
h1 延長方向
p1 柄部開閉面
p2 刃部開閉面
p3 パネル面
px 開閉面
r1 リング
r2 リング
rp 後部パーツ
sa 切断面
sb 切断面
sx 切断線
t1 凸部
t2 凸部
x1 方向
x2 方向
α 角度
β 角度
β1 角度
β2 角度
γ 角度
δ 角度





























【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭髪用挟の、手に把持する部分を柄部とし、刃を有し頭髪を切断する部分を刃部とし、柄部を構成する2本の柄の開閉動作が行われる平面を柄部開閉面とし、刃部を構成する2本の刃の開閉動作が行われる平面を刃部開閉面とした場合に、柄部開閉面と刃部開閉面との交差角度が非直角となるように柄部と刃部が捩れた状態にて構成されていることを特徴とする頭髪用挟。
【請求項2】
頭髪用挟の、手に把持する部分を柄部とし、刃を有し頭髪を切断する部分を刃部とし、柄部を構成する2本の柄の開閉動作が行われる平面を柄部開閉面とし、刃部を構成する2本の刃の開閉動作が行われる平面を刃部開閉面とした場合に、柄部開閉面と刃部開閉面との交差角度のうち狭い方の交差角度が、2°〜15°未満の範囲内となるように柄部と刃部が捩れた状態にて構成されていることを特徴とする頭髪用挟。
【請求項3】
頭髪用挟の、手に把持する部分を柄部とし、刃を有し頭髪を切断する部分を刃部とし、柄部を構成する2本の柄の開閉動作が行われる平面を柄部開閉面とし、刃部を構成する2本の刃の開閉動作が行われる平面を刃部開閉面とした場合に、柄部開閉面と刃部開閉面との交差角度のうち狭い方の交差角度が、15°以上〜30°未満の範囲内となるように柄部と刃部が捩れた状態にて構成されていることを特徴とする頭髪用挟。
【請求項4】
頭髪用挟の、手に把持する部分を柄部とし、刃を有し頭髪を切断する部分を刃部とし、柄部を構成する2本の柄の開閉動作が行われる平面を柄部開閉面とし、刃部を構成する2本の刃の開閉動作が行われる平面を刃部開閉面とした場合に、柄部開閉面と刃部開閉面との交差角度のうち狭い方の交差角度が、30°以上〜50°の範囲内となるように柄部と刃部が捩れた状態にて構成されていることを特徴とする頭髪用挟。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−236856(P2007−236856A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−67302(P2006−67302)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(505045920)有限会社 M&Kケネス (9)
【Fターム(参考)】