説明

顆粒剤及びその製造方法

形状が球状又は球状様であると共に、かさ密度が0.6g/ml〜1.3g/mlであり、且つ溶出時間が0.5分〜5分である、医薬顆粒剤であって、母粒をベッドチャージとして流動床に装填し;粘度調整剤を用いて6.0Mpa・S〜9.8Mpa・Sに粘度を調整した、活性医薬成分の懸濁液又は溶液を製造し;その後、上記母粒の表面上に噴霧することにより、最終的な顆粒剤が得られるように製造される、医薬顆粒剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬製剤及びその製造方法に関し、当該医薬製剤が、顆粒剤、とりわけ、漢方薬(Traditional Chinese Medicine)(TCM)又は生薬の顆粒剤、及びその製造方法を指す。
【背景技術】
【0002】
従来、或る特定の粒径を有する顆粒状材料を生産するための乾式造粒法又は湿式造粒法によって、TCM、生薬、又はそれらの抽出物から、TCM又は生薬の顆粒剤が製造されている。投与時、顆粒剤は水と混合した後に摂取するか、又は嚥下する。TCM又は生薬のエキスの粘度が高いことに起因して、通常の造粒方法で製造された殆どの顆粒剤には、薬物負荷量が低い、外観が良くない、味が悪い、吸湿性が高い等の短所がある。現在普及している流動床造粒技法によって、各種担体を単独で又は医薬粉体と組み合わせてコンテナに入れ、床の下方から篩板を通して適切な温度の空気を吹き込んで、流動条件で材料を十分に混合した後、結合剤溶液を均一に噴霧する。その結果、粉体が凝集を開始して、顆粒剤が得られる。噴霧及び乾燥を反復した後、所望の粒径を有する顆粒剤を生産すると、噴霧を止め、乾燥を継続する。このプロセスにより、担体の量を通常の80重量%から50重量%未満へと低減することができ、顆粒剤の単一用量を10gから3g〜5gへと低減することもできる。しかしながら、このプロセスは、TCM又は生薬の抽出物の粘度の高さによって生じる問題を解決することができず、担体の量をさらに低減させることもできない。したがって、このプロセスによって製造された顆粒剤には、こうした単一用量が高い、及び患者のコンプライアンスが悪い等の欠点がある。また、これらの顆粒剤は、カプセル剤等の固形製剤等の製造に不適である。さらに、この方法によって製造された顆粒剤は、多孔質で、形状が不規則であり、一般的に吸湿性の短所があるため、これらの顆粒剤の保存は面倒である。比表面積が大きいことに起因して、かかる顆粒剤はコーティングに不適である。
【0003】
現在、流動床造粒プロセスによって、TCM又は生薬の抽出物を使用して、粒径700μm〜1500μmの小丸剤を生産するという研究もある。しかしながら、このプロセスによれば、薬品が乾燥粉体にされ、これを、水又は他の液体混合物を結合剤として噴霧しながら加えることにより、小丸剤が生産される。このプロセスによって製造された小丸剤の溶出時間は一般的に40分である。さらに、このプロセスは複雑であり、コストが高く、多くの影響因子に強く影響を受ける(high-consuming)(例えば、空気湿度が高い条件では実施することができない)。
【0004】
さらに、製薬分野における小丸剤又は球状顆粒剤の生産には、押出丸型化(extrusion-rounding)法又は押出球形化(extrusion-spheronization)法も使用される。この方法による生産物は大量の担体を消費すると共に、薬物負荷量は25%未満であり、且つ溶出時間は30分を上回る。
【0005】
剤形の技術分野において、下方噴霧又は側方噴霧による流動床造粒プロセスは、化学薬品の小丸剤又は球状顆粒剤の生産に使用されている。それらの殆どは、持続放出製剤の開発に使用されている。そのため、このプロセスで製造された生産物は通常、迅速放出ではなく、持続放出又は制御放出である。
【0006】
TCMの迅速な放出及び治療的効果の迅速な開始は、TCMの近代化の重要な態様である。本発明で提供されるTCM又は生薬の顆粒剤は、迅速に溶出する性質を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の1つの目的は、医薬顆粒剤、とりわけ、TCM又は生薬の顆粒剤であって、単一用量が低い、溶出時間が短い、貯蔵に便利である、及び外観が良好である等の利点を有する、医薬顆粒剤、とりわけ、TCM又は生薬の顆粒剤を提供することに関する。当該顆粒剤は、カプセル剤及び錠剤を製造するための中間体としても使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の顆粒剤は、母粒と母粒の外側の外殻層(活性医薬成分が、母粒及び/又は外殻層に含有される)とを含み、形状が球状又は球状様であると共に、かさ密度が0.6g/ml〜1.3g/mlであり、且つ溶出時間が0.5分〜5分である。好ましくは、活性医薬成分は、外殻層に、又は母粒及び外殻層の両方に含有される。当該活性医薬成分は、任意の化学薬品、TCM、生薬、又はそれらの抽出物であり得る。好ましくは、活性医薬成分は、TCM、生薬、又はそれらの抽出物である。中国薬局方(2005年版)における剤形設定に従って、本発明の顆粒剤と、小丸剤及びマイクロカプセル等を区別するためにも、本プロセスによって製造される生産物の性質を考慮して、当該顆粒剤を「球状顆粒剤」と呼ぶ。
【0009】
上記球状顆粒剤において、上記母粒は、薬学的に許容される担体及び/又はTCM若しくは生薬の抽出物を含み、母粒の粒径は200μm〜750μmである。
【0010】
上記外殻層は、TCM又は生薬の抽出物、及び薬学的に許容される担体を含む。
【0011】
母粒及び外殻層における薬学的に許容される担体は、TCM又は生薬の顆粒剤の製造で使用される任意の一般的な又は通常の薬学的に許容される担体、例えば、希釈剤(充填剤)(例えば、限定するものではないが、ショ糖、デキストリン、デンプン、乳糖、マンニトール、キシリトール、キトサン、ビジスムトース(bidismutose)(ビフィズス菌を再生産するヘルスケア機能を有するサッカライド)、可溶性デンプン、タルク粉末、又は水溶性デキストリン等);崩壊剤(例えば、限定するものではないが、デンプン、カルボキシメチルデンプンナトリウム(sodium carboxy methyl starch)(CMS−Na)、微結晶セルロース(MCC)、微粉末シリカゲル、ヒドロキシプロピルデンプン、可溶性デンプン、又は水溶性デキストリン);包摂剤(例えば、限定するものではないが、α−シクロデキストリン(α−CD)、β−シクロデキストリン(β−CD)、及びN−LOK修飾デンプン);湿潤剤(結合剤)(例えば、限定するものではないが、水、エタノール、ポリビニルピロリドン(ポリビドン、PVP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール(PEG)、微結晶セルロース、微粉末シリカゲル、タルク粉末、及びキトサン等)であり得る。湿潤剤(その機能により、本明細書中では「粘度調整剤」と呼ばれる)は、TCM薬又は生薬の顆粒剤の製造で使用される任意の一般的な又は通常の薬学的に許容される担体であり得る。好ましくは、粘度調整剤は、微結晶セルロース、微粉末シリカゲル、ポリエチレングリコール、タルク粉末、キトサン、ポリビドン、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから成る群より選択される。上記薬学的に許容される担体は、単独で又は組み合わせて使用することができる。本発明の目的を達成し得る限り、将来現れる薬学的に許容される担体も本発明の範囲に含まれることは当業者によって理解され得る。球状顆粒剤の全重量に対する薬学的に許容される担体の含量は、生産物の性質に応じて調整することができる。それは10重量%〜60重量%、好ましくは20重量%〜30重量%であり得る。このように製造した球状顆粒剤の溶出時間は短く、通常約0.5分〜5分である。
【0012】
母粒及び外殻層に含有されるTCM又は生薬の抽出物は、有効な画分のエキス又は組成物であってもよく、また単量体であってもよい。当該抽出物は、当該技術分野における任意の一般的な又は通常の方法、例えば、煎出法、浸漬法、浸出法、還流法、水抽出及びエタノール沈殿法、並びにエタノール抽出及び水沈殿法等によって製造することができる。また、当該抽出物は、先行技術の方法によって製造することができる。当該抽出物は、必要に応じて精製プロセスによって処理することができ、ここで、精製プロセスは、任意の一般的な又は通常の方法、例えば、限外濾過法又はマクロ孔質樹脂法等であり得る。当該抽出物は、先行技術の精製プロセスによっても精製することができる。当然のことながら、TCM又は生薬の抽出物は、品質が本発明の要求を満たし得る限り、市販品を購入することもできる。TCM又は生薬の抽出物は、将来現れる新しい技法によっても製造することができることは当業者によって理解され得る。
【0013】
本発明によれば、球状顆粒剤の粒径は、好ましくは700μm〜1500μmである。
【0014】
本発明によれば、球状顆粒剤はコーティング層も含むことができ、コーティング剤の量は、コーティングした顆粒剤の全重量の2重量%〜5重量%を占める。球状顆粒剤をコーティングする場合、使用するコーティング剤の量は、通常の顆粒剤よりも著しく少ない。すなわち、通常の顆粒剤におけるコーティング剤の量が、コーティングした顆粒剤の全重量の20重量%〜30重量%を占める一方、本発明の球状顆粒剤におけるコーティング剤の量は、2重量%〜5重量%に低減され得る。現実的な要求に基づき、コーティングは一般的なフィルムコーティングであってもよく、また腸溶性のフィルムコーティング、又は持続放出コーティング若しくは制御放出コーティング等であってもよい。コーティング剤は、異なる要求に応じて選択される、当該技術分野における任意の一般的な又は通常のコーティング剤であり得る。コーティングプロセスは、当該技術分野における通常の方法に従って実行され得る。
【0015】
本発明による球状顆粒剤は、一般的な顆粒剤としてそのまま使用することができ、カプセル剤等の剤形を製造するための中間体として使用することができ、又は顆粒製剤(formula granule)として使用することができる。さらに、持続放出製剤若しくは制御放出製剤、又は部位特異的な持続放出製剤等を製造することもできる。
【0016】
本発明の別の目的は、上記顆粒剤の製造プロセスを提供することである。
【0017】
本発明による球状顆粒剤は、粘度調整剤として適切な薬学的に許容される担体を選択することによって、流動床技法により製造され;粘度調整剤は、TCM又は生薬の抽出物の性質、例えば、粘度、皮膜形成能、強度、及び粉体生成の程度(severity)等に基づいて選択される。本発明の顆粒剤の製造方法は、以下の:
(1)母粒をベッドチャージとして流動床のコンテナに装填する工程、
(2)気流を吹き込む工程、
(3)活性医薬成分の粘性のある懸濁液又は溶液を製造し、スラリーとして懸濁液又は溶液を上記母粒表面に噴霧して外殻層を形成し、且つ顆粒剤を得る工程
を含む。
【0018】
本発明による球状顆粒剤の製造プロセスは、当該技術分野における通常の流動床造粒プロセスに従って実施される。
【0019】
球状顆粒剤の製造プロセスで使用される上記薬学的に許容される担体は、TCM又は生薬の顆粒剤の製造で使用される任意の一般的な又は通常の薬学的に許容される担体、例えば、希釈剤(充填剤)(例えば、限定するものではないが、ショ糖、デキストリン、デンプン、乳糖、マンニトール、キシリトール、キトサン、ビジスムトース(ビフィズス菌を再生産するヘルスケア機能を有するサッカライド)、可溶性デンプン、タルク粉末、又は水溶性デキストリン等);崩壊剤(例えば、限定するものではないが、デンプン、カルボキシメチルデンプンナトリウム(CMS−Na)、微結晶セルロース(MCC)、微粉末シリカゲル、ヒドロキシプロピルデンプン、可溶性デンプン、又は水溶性デキストリン);包摂剤(例えば、限定するものではないが、α−シクロデキストリン(α−CD)、β−シクロデキストリン(β−CD)、及びN−LOK修飾デンプン);湿潤剤(結合剤)(例えば、限定するものではないが、水、エタノール、ポリビニルピロリドン(ポリビドン、PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール(PEG)、微結晶セルロース、微粉末シリカゲル、タルク粉末、及びキトサン)であり得る。湿潤剤(その機能により、本明細書中では「粘度調整剤」と呼ばれる)は、好ましくは微結晶セルロース、微粉末シリカゲル、ポリエチレングリコール、タルク粉末、キトサン、及びポリビドンである。上記薬学的に許容される担体は、単独で又は組み合わせて使用することができる。本発明の目的を達成し得る限り、将来現れる薬学的に許容される担体も本発明の範囲に含まれることは当業者によって理解され得る。概して、顆粒剤の粒径は、200メッシュの篩を通過可能である必要がある。製造プロセス中の温度は、材料に応じて変化する可能性があり、40℃〜75℃、好ましくは40℃〜55℃、より好ましくは45℃であり得る。
【0020】
通常、粉体材料は、一般的な流動床造粒プロセスにおいて、ベッドチャージとして流動床のコンテナに直接装填されるが、工程(1)に記載するように、或る特定の粒径を有する母粒が、本発明におけるベッドチャージとして使用される。当該母粒は、薬学的に許容される担体単独から製造することができ、又は薬学的に許容される担体とTCM又は生薬の抽出物の乾燥粉体との混合物から製造することができる。当該母粒は、以下の:
(i)薬学的に許容される担体、又は当該薬学的に許容される担体とTCM若しくは生薬の抽出物の乾燥粉体との混合物を粉砕し、200メッシュの篩を通過させて粒径に関する要件を満たす材料を得る工程、
(ii)工程(i)で得られた上記材料の一部を、流動床の側方噴霧スポット又は下方噴霧スポットに装填し、薬学的に許容される担体、及び/又はTCM又は生薬の抽出物を再度利用し、水を加えてスラリーを製造した後、当該スラリーを側方噴霧プロセス又は下方噴霧プロセスによって流動床に噴霧し、母核として小粒子を篩い分けた後、当該母核を前記スポットに投入し、前記スラリーの噴霧を継続し、同時に、当該母核が成長できるように、ダスチングガンを使用して工程(i)で得られた材料を微粉状に散布した後、所望の粒径を有する上記母粒を選択する工程
によって製造することができる。
【0021】
母粒の製造の工程(i)において、上記薬学的に許容される担体の種類及び含量は、TCM又は生薬の顆粒剤を製造する際に使用される任意の一般的な又は通常の薬学的に許容される担体であり得る。
【0022】
母粒製造の工程(ii)において、母核の粒径は、好ましくは180μm〜250μmであり、母粒の粒径は、200μm〜750μmであり得る。母核を製造する工程(i)における材料の割合は、材料の粘度に応じて調整することができる。上記スラリーにおける固形分は、5重量%〜20重量%に調整することができる。製造する母粒の粒径は、生産物の要件に応じて選択することができる。概して、最終生産物におけるTCM又は生薬の抽出物の含量が高い場合、粒径200μm〜400μmの母粒を選択して、摂取レベルが高くならないようにすることができる。それ以外の場合は、粒径400μm〜750μmの母粒を選択することができる。
【0023】
本発明の母粒は、押出球形化法によっても製造することができる。当然のことながら、所望の粒径を有する母粒は、市販品を購入することもできる。
【0024】
本発明による製造方法において、工程(3)で使用される懸濁液又は溶液は、或る特定の粘度を有するべきである。粘度調整剤をTCM又は生薬の抽出物の希釈剤に加えて、その粘度を調整する。粘度調整剤は、TCM又は生薬の抽出物の性質、例えば、粘度、皮膜形成能、強度、及び粉体生成の程度等に基づいて選択される。工程(3)における上記懸濁液又は上記溶液の粘度は、以下の:
(a)TCM又は生薬の抽出物を希釈して希釈剤を得る工程、
(b)希釈剤を1滴〜2滴スライドガラス上に滴下し、エアレーションを行い、且つ液体を蒸発させた後の固体痕跡(scar)表面上で、粘度、皮膜形成能、強度、粉体生成の程度等の性質を評価する工程、
(c)粘度調整剤を用いて工程(a)の希釈剤の粘度を調整する工程(粘度調整剤が、痕跡の粘度、皮膜形成能、強度、粉体生成の程度等の性質に基づいて選択される)、
(d)所望の粘度を有する溶液又は懸濁液が得られるまで工程(b)及び工程(c)を反復する工程
によって調整される。
【0025】
工程(a)において、TCM又は生薬の抽出物は希釈剤によって希釈され、希釈剤は、液体希釈剤として製薬分野で慣用されている、水、エタノール、エタノール水溶液、又は他の有機溶剤から成る群より選択される。
【0026】
工程(c)において、粘度調整剤は、TCM又は生薬の顆粒剤を製造する際に使用される任意の一般的な又は通常の薬学的に許容される担体であり得る。好ましくは、それは微結晶セルロース、微粉末シリカゲル、ポリエチレングリコール、タルク粉末、キトサン、ポリビドン、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(単独で又は組み合わせて使用される)から成る群より選択される。
【0027】
工程(d)において、得られる溶液又は懸濁液の固形分は、10重量%〜60重量%、好ましくは15重量%〜40重量%であり、粘度は、6.0Mpa・S〜9.8Mpa・Sである。
【0028】
粘度調整剤は、工程(b)の方法に従って、評価及び選択される。より具体的には、工程(c)の調整した溶液又は懸濁液を利用し、工程(b)の方法に従ってその粘度を評価し、粘度調整剤の種類及び粘度を求めて実施される。担体の種類及び含量は、所望の顆粒剤生産物の処方に従って求められるべきであり、簡易検査後は当業者にとって容易である。
【0029】
選択された薬学的に許容される担体を粘度調整剤として、TCM又は生薬の抽出物の希釈剤に加えて粘度を調整し、懸濁液又は溶液を得て、スラリーとして母粒表面上に噴霧することにより、上記外殻層を形成する。
【0030】
本発明における粘度の値は、通常の方法に従って得ることができ、例えば、NDJ−79粘度計(Shanghai Changji Geological Instrument Co., Ltd.)を使用して測定することができる。本発明における溶出時間の値は、通常の方法に従って得ることができ、例えば、中国薬局方(第I巻、付録IA、丸薬の項)に記載されている、溶出時間決定方法によって測定することができる。本発明における粒径の値は、通常の方法に従って得ることができ、例えば、中国薬局方(第I巻、通則、測定の項、No.(7))に規定されている、標準的な篩を使用する篩過方法によって測定することができる。本発明におけるかさ密度の値は、通常の方法に従って得ることができ、例えば、BT−1000粉体総合特性試験装置(Powder Integrative Properties Tester)(Dandong Bettersize Instruments Co. Ltd.及び清華大学の粉体技術開発部門によって開発された)を使用して、取扱説明書の指示に従って測定することができる。
【0031】
本発明による球状顆粒剤は、必要とする担体の量が少なく、単一用量が低く(通常約0.1g/回〜4g/回)、形状が規則的であり(球状又は球状様)、表面が滑らかで丸い。球状顆粒剤には、流動性が良好である、粒径分布が規則的である、性質が緻密である、押出及び摩耗に対する耐性がある、密度が高い(かさ密度0.6g/ml〜1.3g/mlを有する)、比表面積が小さい(僅か0.01m/g〜0.03m/g)、及び溶出時間が短い等の優れた物性がある。こうした性質により、患者のコンプライアンスが改善され、コーティング技法の普及が可能となるため、TCM又は生薬の欠陥、例えば、感湿性及び不安定性等を改善することができる。さらに、本発明による球状顆粒剤は、一般的な顆粒剤としてだけでなく、カプセル剤等の剤形を製造するための中間体又は顆粒製剤としても使用することができる。それ以外にも、あらゆる種類のコーティング製剤、持続放出製剤若しくは制御放出製剤、又は部位特異的な持続放出製剤等を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
特定の実施形態を組み合わせて本発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施形態は、本発明を例示するのに用いられているにすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0033】
養血清脳(Yangxue Qingnao)球状顆粒剤
1.養血清脳エキスの抽出
当帰(Radix Angelicae Sinensis)2.535kg、センキュウ(Rhizoma Chuanxiong)2.535kg、白芍(Radix Paeoniae alba)2.027kg、及び元胡索(Rhizoma Corydalis)2.535kgを、70%(ml/ml)エタノールと混合し、2時間加熱還流し、還流溶液を別の場所に保管した。得られた残渣、熟地黄(Radix Rehmanniae Preparata)2.027kg、珍珠母(Concha Margaritifera Usta)5.068kg、夏枯草(Spica Prunellae)5.068kg、決明子(Semen Cassiae)5.068kg、及び鶏血藤(Caulis Spatholobi)5.068kgを、釣藤鈎(Ramulus Uncariae cum Uncis)非存在下、水で3回(各回1時間)煎出した。3回目の煎出時に、釣藤鈎5.068kgを加えた。煎出液を合わせ、相対密度が55℃で1.09〜1.13となるまで減圧濃縮した。濃縮物にエタノールを加えて、エタノールの最終濃度を65%(ml/ml)とし、24時間放置し、濾過し、濾液及び上記で得られた還流溶液を組み合わせ、相対密度が55℃で1.10〜1.20となるまで減圧蒸留してエタノールを回収することにより、後に使用する養血清脳エキスを得た。
2.母粒の製造
デキストリンとデンプンとの混合物(1:1)を200メッシュの篩に通し、その60重量%を流動床の側方噴霧スポットに加え、そのさらに10重量%と養血清脳エキス(液体抽出物を乾燥重量に換算した後で母粒の重量の15重量%を占める)とに、水を加えることによってスラリーを製造し、流動床に噴霧した。粒径180μm〜250μmの小粒子を母核として篩い分けた。次いで、当該母核をスポットに加え、スラリーの噴霧を継続した。同時に、母核が成長できるように、ダスチングガンを使用して、デキストリンとデンプンとの混合物(1:1)の残りの30重量%を微粉状に散布した後、後に使用する粒径300μm〜400μmの母粒を選択した。
3.粘度調整剤の選択
(a)養血清脳エキスを60%(ml/ml)エタノール溶液で希釈することにより、粘度6.0MPa・S〜9.8MPa・Sの希釈剤を得た。
【0034】
(b)希釈剤1滴をスライドガラス上に滴下し、エアレーションを行った。液体を蒸発させた後、固体痕跡の表面上に無傷の皮膜が現れ、粘度が高く、接触時、他の顆粒状材料と接着することが容易であった。
【0035】
(c)粘度調整剤を、工程(b)における痕跡の粘度、皮膜形成能、及び強度等の性質に基づいて選択した。実験からは、粘度調整剤として、MCC、タルク粉末、及び微粉末シリカゲルを単独で又は組み合わせて使用し得ることが示された。
【0036】
(d)MCCと微粉末シリカゲルとの混合物(MCC:微粉末シリカゲル=10:1)(養血清脳エキスの10重量%を占める)を粘度調整剤として選択した。材料の粘度は、9.0MPa・Sから8.0MPa・Sへと低下した。
4.養血清脳球状顆粒剤の製造
(a)処方:母粒約813g、MCC(200メッシュの篩を通過する)約400g、微粉末シリカゲル約40g、及び養血清脳エキス約4400g(2500用量)。
【0037】
(b)MCCと微粉末シリカゲルとの混合物を養血清脳エキスに加え、撹拌混合することにより、固形分30重量%(30重量%に限定されない)の懸濁液を後に使用するスラリーとして形成した。
【0038】
(c)母粒を流動床の側方噴霧スポットに加え、床温度35℃〜55℃で、全てのスラリーを噴霧するまで、工程(b)のスラリーをゆっくりと噴霧した。
【0039】
(d)透明コーティング材料に水を加えて、下方噴霧床で7.5%(g/ml)のコーティング溶液を製造した。コーティング溶液を、コーティング後の理論重量増加3重量%に相当する量で噴霧することにより、球状顆粒剤(かさ密度0.825g/ml、溶出時間45秒)を形成した。
【0040】
(e)工程(d)から得られた球状顆粒剤を、0#カプセル(0.525g/カプセル)に封入して、10000個のカプセル剤を得た。
【実施例2】
【0041】
消渇清(XiaoKeQing)球状顆粒剤
1.消渇清エキスの抽出
蒼朮(Atractylodisa Rhizoma)6kgを水蒸気蒸留によって抽出することにより、蒼朮の精油を得た。残渣を再び抽出し、濾過し、後に使用する下層の液体を得た。上層の蒼朮の精油を分離し、β−CDで包摂することにより、後に使用する包摂複合体を得た。得られた残渣、知母(Anemarrhena asphodeloides Bunge)10kg、蒲黄(Pollen Typhae)6kg、及び地錦草(Herba Euphorbiae Humifusae)6kg、及び黄蓮(Coptis chinensis Franch)1kgを水で2回(1回目は2時間、2回目は1時間)煎出した。煎出液を合わせ、濾過した。濾液を下層の液体と組み合わせ、相対密度が80℃で1.02〜1.05となるまで濃縮した。次いで、エタノールの濃度が50%(ml/ml)となるまで、95%(ml/ml)エタノールを濃縮物に加え、放置し、濾過し、エタノールを回収し、後に使用する、相対密度が60℃で1.15〜1.20の濃縮物を得た。
2.母粒の製造
包摂複合体50重量%を100メッシュの篩に通した後、流動床の側方噴霧スポットに加えた。包摂複合体10重量%を含有するPVP K30に水を加えることにより、結合剤溶液(5%、g/ml)が得られ、スラリーとして流動床に噴霧した。粒径120μm〜180μmの小粒子を母核として篩い分けた。次いで、当該母核をスポットに加え、スラリーの噴霧を継続した。同時に、母核が成長できるように、ダスチングガンを使用して、残りの包接複合体を散布した後、後に使用する粒径200μm〜300μmの母粒を選択した。
3.粘度調整剤の選択
(a)消渇清エキスを60%(ml/ml)エタノール溶液で希釈することにより、粘度6.0MPa・S〜9.8MPa・Sの希釈剤を得た。
【0042】
(b)希釈剤1滴をスライドガラス上に滴下し、エアレーションを行った。液体を蒸発させた後、固体痕跡の表面上には、無傷の皮膜が現れ、粘度が高く、接触時に他の顆粒状材料と接着することが容易であった。
【0043】
(c)粘度調整剤は、工程(b)における痕跡の粘度、皮膜形成能、及び強度等の性質に基づいて選択した。実験からは、微粉末シリカゲルを粘度調整剤として使用し得ることが示された。
【0044】
(d)消渇清エキスの7重量%を占める微粉末シリカゲルを粘度調整剤として選択した。材料の粘度は、9.0MPa・Sから8.0MPa・Sへと低下した。
4.消渇清球状顆粒剤の製造
(a)処方:母粒約562g、消渇清エキス(2000用量)、及び消渇清エキスの乾燥重量の7重量%を占める微粉末シリカゲル。
【0045】
(b)微粉末シリカゲルを消渇清エキスに加え、撹拌混合することにより、後で使用するスラリーとして固形分30重量%の均一な懸濁液を形成した。
【0046】
(c)母粒を、流動床の側方噴霧スポットに加え、床温度37℃〜55℃で、全てのスラリーを噴霧するまで、工程(b)のスラリーをゆっくりと噴霧した。
【0047】
(d)透明コーティング材料に水を加えることにより、7.5%(g/ml)のコーティング溶液を製造した。下方流動床において、コーティング後の理論重量増加3重量%に相当する量で、コーティング溶液を噴霧することにより、球状顆粒剤(かさ密度0.93g/ml、溶出時間5分)を形成した。
【0048】
(e)工程(d)から得られた球状顆粒剤を00#カプセル(0.75g/カプセル)に封入して、10000個のカプセル剤を得た。
【実施例3】
【0049】
複方丹参(Fufang Danshen)(化合物丹参(Radix Salviae Miltiorrhizae))球状顆粒剤
1.複方丹参エキスの抽出
丹参9kg、三七(Radix Notoginseng)1.76kgを水で3回抽出した。煎出液を濾過し、濾液を濃縮し、エタノールで沈殿し、24時間放置し、濾過し、濃縮物の相対密度が50℃〜60℃で1.33〜1.35となるまで、エタノールを回収することにより濃縮して濃ペーストとし、エキスを得た。ボルネオールをシクロデキストリン又はPVPで包摂して、包摂溶液を形成し、包摂溶液をエキスと十分に混合することにより、後に使用する複方丹参エキスを得た。
2.母粒の製造
デキストリンとデンプンとの混合物(1:1)を200メッシュの篩に通した後、その65重量%を流動床の側方噴霧スポットに加えた。さらに、デンプン及び水を混合してデンプンスラリー(15%、g/ml)を製造し、スラリーとして流動床に噴霧した。粒径180μm〜250μmの小粒子を、母核として篩い分けた。次いで、当該母核をスポットに加え、デンプンスラリーの噴霧を継続した。同時に、母核が成長できるように、ダスチングガンを使用して、デキストリンとデンプンとの混合物(1:1)の残りの35重量%を微粉状に散布した後、後に使用する粒径450μm〜600μmの母粒を選択した。
3.粘度調整剤の選択
(a)複方丹参エキスを、60%(ml/ml)エタノール溶液で希釈することにより、粘度6.0MPa・S〜9.8MPa・Sの希釈剤を得た。
【0050】
(b)希釈剤1滴をスライドガラス上に滴下し、エアレーションを行った。液体を蒸発させた後、固体痕跡の表面上に無傷の皮膜は現れず、皮膜の粘度は低く、粉体として削りとることが容易であり、大量に粉体を生成した。
【0051】
(c)粘度調整剤は、工程(b)の痕跡の、粘度が低い、皮膜形成能が劣る、強度が低い、粉体を生成しやすい等の性質に基づいて選択し、実験からは、HPMCとPVP−K30との混合物(2:5)又はポリエチレングリコール6000を粘度調整剤として使用し得ることが示された。
【0052】
(d)HPMCとPVP−K30との混合物(2:5)を粘度調整剤として選択し、HPMCとPVP−K30との混合物と、複方丹参エキスとの重量比を7:25とするか;又はポリエチレングリコール6000を粘度調整剤として選択し、ポリエチレングリコール6000と複方丹参エキスとの重量比を18:25とした。材料の粘度は、9.0MPa・Sから16MPa・Sへと増大した。
4.複方丹参球状顆粒剤の製造
(a)処方:母粒約450g、ポリエチレングリコール6000(ポリエチレングリコール6000と複方丹参エキスとの重量比は18:25であった)、又はHPMCとPVP−K30との混合物(2:5)(HPMCとPVP−K30との混合物と、複方丹参エキスとの重量比は7:25であった)、10000用量の複方丹参エキス及びボルネオール。
【0053】
(b)無水エタノールを粘度調整剤のいずれかに加えることにより、溶液(15重量%)を製造し、当該溶液を複方丹参エキスに加え、混合した。次いで、固形分が19重量%となるまで60%(ml/ml)エタノールを加えることにより、スラリーを得た。
【0054】
(c)母粒を流動床の側方噴霧スポットに加え、材料温度を37℃〜45℃に保ちながら、全てのスラリーを噴霧するまで同時に乾燥しながら、スラリーをゆっくりと噴霧することにより、球状顆粒剤を得た。透明コーティング材料に水を加えて、7.5%(g/ml)のコーティング溶液を製造した。コーティング溶液を、コーティング後の理論重量増加3重量%に相当する量で噴霧することにより、球状顆粒剤(かさ密度0.76g/ml、溶出時間25秒)を形成した。
【0055】
(d)工程(c)から得られた球状顆粒剤を、2#カプセル(250mg/カプセル)にカプセル化することにより、10000個のカプセル剤を得た。
【実施例4】
【0056】
黄蓮エキス球状顆粒剤
1.黄蓮エキスの抽出
黄蓮50kgを75%(ml/ml)エタノールで2回(各回2時間)還流抽出した。抽出した溶液を合わせ、濾過し、相対密度が1.15〜1.20となるまで60℃でエタノールを回収することによって濃縮することにより、後で使用する黄蓮エキスを得た。
2.母粒の製造
デキストリンと微結晶セルロースとの混合物(1:1)を、200メッシュの篩に通した後、その65重量%を流動床の側方噴霧スポットに加えた。さらに、PVP K30及び水を混合して、結合剤溶液(5%、g/ml)を製造し、スラリーとして流動床に噴霧した。粒径180μm〜250μmの小粒子を母核として篩い分けた。次いで、当該母核をスポットに加え、PVP K30水溶液(5%、g/ml)の噴霧を継続した。同時に、母核が成長できるように、ダスチングガンを使用して、デキストリンと微結晶セルロースとの混合物(1:1)の残り35重量%を微粉状に散布した後、後に使用する粒径300μm〜400μmの母粒を選択した。
3.粘度調整剤の選択
(a)黄蓮エキスを60%(ml/ml)エタノール溶液で希釈することにより、粘度6.0MPa・S〜9.8MPa・Sの希釈剤を得た。
【0057】
(b)希釈剤1滴をスライドガラス上に滴下し、エアレーションを行った。液体を蒸発させた後、固体痕跡の表面には無傷の皮膜は現れず、皮膜の粘度は低く、粉体として削り取ることが容易であり、大量に粉体を生成した。
【0058】
(c)粘度調整剤は、工程(b)における痕跡の、粘度が低い、皮膜形成能が劣る、強度が低い、粉体を生成しやすい等の性質に基づいて選択した。実験からは、PVP−K30又はポリエチレングリコール6000を粘度調整剤として使用し得ることが示された。
【0059】
(d)黄蓮エキス又はPVP−K30 28重量%、黄蓮エキス5重量%に相当する量のポリエチレングリコール6000を、粘度調整剤として選択した。材料の粘度は、9.0MPa・Sから16MPa・Sへと増大した。
4.黄蓮エキス球状顆粒剤の製造
(a)処方:母粒約1000g;粘度調整剤の水溶液(5%、g/ml)を水を用いて製造した。
【0060】
(b)適切量の黄蓮エキス(生薬50kgと等価)を、粘度調整剤溶液に加え、水をこの混合物に加え、撹拌混合することにより、後に使用するスラリーとして固形分30重量%の懸濁液を形成した。
【0061】
(c)母粒を流動床の側方噴霧スポットに加え、全てのスラリーを噴霧するまで、同時に乾燥しながら、スラリーをゆっくりと噴霧することにより、球状顆粒剤を得た。透明コーティング材料に水を加えることにより、7.5%(g/ml)のコーティング溶液を製造した。コーティング溶液を、コーティング後の理論重量増加3重量%に相当する量で噴霧することにより、かさ密度0.80g/mlの球状顆粒剤を形成した。
【0062】
(d)工程(c)から得られた球状顆粒剤0.6gは、黄蓮の生薬5gと等価である。
【実施例5】
【0063】
柴胡(Radix Bupleuri Chinensis)エキス球状顆粒剤
1.柴胡エキスの抽出
柴胡6.25kgを還流し、水で2回(各回1時間)抽出した。次いで、抽出した溶液を、60℃で相対密度が1.15〜1.20になるまで減圧濃縮することにより、後に使用する柴胡エキスを得た。
2.母粒の製造
デキストリンと微結晶セルロースとの混合物(1:1)を200メッシュの篩に通した後、その65重量%を流動床の側方噴霧スポットに加えた。さらに、PVP K30及び水を混合して、結合剤溶液(5%、g/ml)を製造し、スラリーとして流動床に噴霧した。粒径180μm〜250μmの小粒子を母核として篩い分けた。次いで、当該母核をスポットに加え、PVP K30水溶液(5%、g/ml)の噴霧を継続した。同時に、母核が成長できるように、ダスチングガンを使用して、デキストリンと微結晶セルロースとの混合物(1:1)の残り35重量%を微粉状に散布した後、後に使用する300μm〜400μmの粒径を有する母粒を選択した。
3.粘度調整剤の選択
(a)柴胡エキスを水で希釈することにより、希釈剤(粘度6.0MPa・S〜9.8MPa・S)を得た。
【0064】
(b)希釈剤1滴をスライドガラス上に滴下し、エアレーションを行った。液体を蒸発させた後、固体痕跡の表面に無傷の皮膜が現れ、皮膜の粘度は高く、湿気の感触があった。
【0065】
(c)粘度調整剤は、工程(b)における柴胡エキスの痕跡の、粘度が高い及び皮膜形成能に優れる等の性質に基づいて選択した。実験からは、ポリエチレングリコール6000を粘度調整剤として使用し得ることが示された。
【0066】
(d)柴胡エキスの50重量%に相当する量のポリエチレングリコール6000を粘度調整剤として選択した。材料の粘度は、6.0MPa・Sから10MPa・Sへと増大した。
4.柴胡エキス球状顆粒剤の製造
(a)処方:母粒約200g、エキス適量(柴胡の粗薬6.25kgと等価)、ポリエチレングリコール6000(柴胡エキスの重量と等価)、
(b)柴胡エキス及びポリエチレングリコール6000を、水と撹拌混合することにより、後に使用するスラリーとして固形分20重量%の懸濁液を形成した。
【0067】
(c)母粒を流動床の側方噴霧スポットに加え、全てのスラリーを噴霧するまで、同時に乾燥しながら、スラリーをゆっくりと噴霧することにより、球状顆粒剤を得た。透明コーティング材料に水を加えることにより、7.5%(g/ml)のコーティング溶液を製造した。コーティング溶液を、コーティング後の3重量%の理論重量増加に相当する量で噴霧することにより、球状顆粒剤(かさ密度0.60g/ml、溶出時間45秒)を形成した。
【0068】
(d)工程(c)から得られた球状顆粒剤1.0gは、柴胡の粗薬6.25gと等価である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
母粒と該母粒の外側の外殻層(活性医薬成分が、該母粒及び/又は該外殻層に含有される)とを含む、医薬顆粒剤であって、形状が球状又は球状様であると共に、かさ密度が0.6g/ml〜1.3g/mlであり、且つ溶出時間が0.5分〜5分である、医薬顆粒剤。
【請求項2】
前記顆粒剤の粒径が700μm〜1500μmである、請求項1に記載の顆粒剤。
【請求項3】
前記活性医薬成分が、任意の化学薬品、漢方薬、生薬、及び/又はそれらの抽出物から成る群より選択され、好ましくは該活性医薬成分が、漢方薬、生薬、又はそれらの抽出物である、請求項2に記載の顆粒剤。
【請求項4】
前記母粒が、薬学的に許容される担体、及び/又は漢方薬若しくは生薬の抽出物から製造され、且つ該母粒の粒径が200μm〜750μmである、請求項3に記載の顆粒剤。
【請求項5】
前記外殻層が、漢方薬又は生薬の抽出物、及び薬学的に許容される担体を含む、請求項3に記載の顆粒剤。
【請求項6】
前記顆粒剤の全重量に対して、前記薬学的に許容される担体の含量が、10重量%〜60重量%、好ましくは20重量%〜30重量%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の顆粒剤。
【請求項7】
前記顆粒剤がコーティング層をさらに含み、且つ該顆粒剤の全重量に対して、前記コーティング剤の含量が2重量%〜5重量%である、請求項6に記載の顆粒剤。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の顆粒剤の製造方法であって、
(1)母粒をベッドチャージとして流動床のコンテナに装填する工程、
(2)気流を吹き込む工程、
(3)前記活性医薬成分の、粘性のある懸濁液又は溶液を製造し、該懸濁液又は該溶液をスラリーとして前記母粒の表面上に噴霧して外殻層が形成され、且つ前記顆粒剤が得られる工程、
を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の顆粒剤の製造方法。
【請求項9】
前記工程(1)の前記母粒が、薬学的に許容される担体、及び/又は漢方薬若しくは生薬の抽出物を含み、且つ200μm〜750μmの直径を有し、
(i)前記薬学的に許容される担体、又は該薬学的に許容される担体と前記漢方薬若しくは生薬の抽出物の乾燥粉体との混合物を粉砕及び篩過し、粒径に関する要件を満たす材料を得る工程、
(ii)工程(i)で得られた前記材料の一部を、流動床の側方噴霧スポット又は下方噴霧スポットに装填し、前記薬学的に許容される担体、及び/又は前記漢方薬もしくは 生薬の抽出物を再度利用し、水を加えてスラリーを製造した後、該スラリーを側方噴霧プロセス又は下方噴霧プロセスによって流動床に噴霧し、母核として小粒子を篩い分けた後、該母核を前記スポットに投入し、前記スラリーの噴霧を継続し、同時に、前記母核が成長できるように、ダスチングガンを使用して、工程(i)で得られた残りの材料を微粉状に散布した後、所望の粒径を有する前記母粒を選択する工程
によって製造される、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
工程(3)における前記懸濁液又は前記溶液の粘度が、以下の:
(a)漢方薬、生薬、又はそれらの抽出物を希釈して希釈剤を得る工程(ここで、該希釈剤が、製薬分野における液体希釈剤として慣用されている、水、エタノール、エタノール水溶液、又は他の有機溶剤から成る群より選択される)、
(b)前記希釈剤を1滴〜2滴スライドガラス上に滴下し、エアレーションを行い、且つ液体を蒸発させた後の固体痕跡表面上で、粘度、皮膜形成能、強度、粉体生成の程度等の性質を評価する工程、
(c)粘度調整剤を用いて工程(a)の前記希釈剤の粘度を調整する工程(該粘度調整剤が、前記痕跡の粘度、皮膜形成能、強度、粉体生成の程度等の性質に基づいて選択される)、
(d)所望の粘度を有する溶液又は懸濁液が得られるまで工程(b)及び工程(c)を反復する工程
によって調整される、請求項8に記載の製造方法。
【請求項11】
前記工程(c)の前記粘度調整剤が、微結晶セルロース、微粉末シリカゲル、ポリエチレングリコール、タルク粉末、キトサン、ポリビドン、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(単独で又は組み合わせて使用される)から成る群より選択される、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記製造した溶液又は懸濁液中の固形分が、10重量%〜60重量%、好ましくは15重量%〜40重量%である、請求項10に記載の製造方法。
【請求項13】
前記製造した溶液又は懸濁液の粘度が6.0Mpa・S〜9.8Mpa・Sである、請求項10に記載の製造方法。
【請求項14】
前記製造中の温度が、40℃〜75℃、好ましくは40℃〜55℃、より好ましくは45℃である、請求項8に記載の製造方法。

【公表番号】特表2009−541226(P2009−541226A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515689(P2009−515689)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【国際出願番号】PCT/CN2007/001960
【国際公開番号】WO2008/000166
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(508373383)天津天士力制▲薬▼股▲分▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】