説明

顔料を含む改善された芝草用殺菌製剤

水中油型殺菌製剤は、分散された顔料を内有するように調製され、顔料は、好適なシリコーン界面活性剤及び好適な乳化剤の添加の結果として水中油型エマルジョン内で安定である。製剤は、二パック製剤として又は単一製剤として調製可能である。単一製剤の場合、ポリエチレングリコールもまた添加される。いずれの場合においても、製剤は、顔料の添加により相乗効果を示し、得られる製剤は、増大された有効性を有する。さらに、製剤は、従来の化学殺菌剤と混合した場合、推奨量と比較して低減された量で両者を添加して、相乗効果を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、芝草に施用した場合に殺菌性を有する水中油型エマルジョン剤、より特定的には、芝草に施用した場合に殺菌活性を強化しかつ芝草に色を付与する顔料の安定なディスパージョンを内有する水中油型エマルジョン剤に関する。
【背景技術】
【0002】
同時係属の(特許文献1)(その全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)のような本出願人の先行出願には、本出願人は、芝生病害を防除する手段として水中油型エマルジョン剤の使用をすでに記載している。欠点としては、ベントグラスの品種のような特定のイネ科草本が水中油型製剤に敏感であり、多くの場合特に夏の暑さの下でイネ科草本を変色させるという望ましくない作用を有する可能性があることが考えられる。植物の健康に悪影響を及ぼすことはないが、変色は、審美的観点から問題になる可能性がある。
【0003】
フタロシアニン化合物のような顔料着色剤は、殺菌剤の存在下及び不在下の両方で芝生産業で使用されてきたことは公知である。公知の文献には、イネ科草本又は芝生を着色する手段として非塩素化銅フタロシアニンのような顔料着色剤の使用が教示されている。そのような例の1つは、Norton(Bayer Cropscience LP)に付与された(特許文献2)(その全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)である。そのほかの参照文献としては、Lucasに付与された(特許文献3)、Lucasに付与された(特許文献4)、及びMudgeに付与された(特許文献5)(それらの全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする)が挙げられる。
【0004】
対象となる他の参照文献としては、酸の不在下での着色剤としてコバルトフタロシアニンが教示されている1978年公開の(特許文献6)が挙げられる。日本化学工業所に付与された1991年9月30日公開の(特許文献7)に対する英文抄録中では、開示された製剤は、フタロシアニン「グリーン」、アニオン性分散剤、及びアクリル酸エステル−スチレン、並びに水を使用している。
【0005】
残念ながら、本出願人は、ポリ塩素化銅フタロシアニンのような顔料が凝集塊又は凝結体の外観を呈した後で急速にサスペンジョンから沈降して製剤を取扱い不能にすることを見いだしたので、いずれの教示も、水中油型エマルジョン系での顔料の使用のための解決策を提供しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0261379A1号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0293188A1号明細書
【特許文献3】米国特許第5336661号明細書
【特許文献4】米国特許第5643852号明細書
【特許文献5】米国特許第5599804号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第2511077号明細書
【特許文献7】特開平03−221576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
明らかなように、顔料又は着色剤のディスパージョンを含有し着色剤が芝草への施用のために安定に分散された状態を保持する水中油型殺菌製剤を提供する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願人は、特定の化学性を有する少量の乳化剤と組み合わせて特定の化学性を有する少量のシリコーン界面活性剤を添加することにより高油分水中油型エマルジョン環境で顔料の安定な組成物を生成しうることを見いだした。シリコーン界面活性剤及び乳化剤は、水中油型エマルジョンを形成するための希釈前の油系製剤内で及び最終的な水中油型エマルジョン中で顔料の分散剤として作用すると考えられる。本発明の実施形態に係る製剤は、芝草病害を処置するうえで強化された有効性を有する。
【0009】
それに加えて、本出願人は、本明細書中に開示された水中油型エマルジョン中への顔料の分散導入が相乗作用を有し活性殺菌成分の病害防除の全体的有効性を改善することを見いだした。それと同時に、油を単独で使用した場合に必要とされる量と比較して、適正な病害防除を達成するのに必要な油量を約半分の油量に減少させることが可能であり、したがって、植物毒性の可能性をさらに低下させることが可能である。さらに、特に夏の暑さの下で水中油型製剤に敏感なベントグラスの品種のような特定のイネ科草本で生じる可能性のある変色問題は、本発明の実施形態に従って調製された製剤により克服される。
【0010】
それに加えて、本出願人は、本発明の実施形態が、脱メチル化阻害剤(例えばプロピコナゾール)、メチルベンゾイミダゾールカルバメート(例えばチオファネート−メチル)、及びジカルボキシイミド(例えばイプロジオン)のような従来の化学殺菌剤と混合した場合に予想外の相乗効果を有することを確認した。本発明の実施形態に係る製剤と混合した場合、そのような従来の化学殺菌剤の薬量を有意に(例えば、ラベル表示推奨量の約50%に)減少させることが可能であり、同様に、本発明に係る製剤の所要の薬量を有意に減少させることも可能である。
【0011】
有利には、本発明はまた、フォールアーミーワームやソッドウェブワームのような特定の芝害虫を抑制するように作用する。
【0012】
本発明の広義の態様では、芝草に施用するための殺菌製剤は、パラフィン系油と好適な乳化剤と水とを含む水中油型エマルジョンと、ポリ塩素化(Cu II)フタロシアニンと、式I
【化1】

【0013】
〔式中、R=H、CH、又はCOCH、x=1〜24、n=0又は≧1、m=1〕
で示されるトリシロキサン類及びシリコーンポリエーテル類よりなる群から選択されるシリコーン界面活性剤と、を含む。ただし、ポリ塩素化(Cu II)フタロシアニンは、芝草に送達すべく水中油型エマルジョン中に分散状態で保持される。
【0014】
他の広義の態様では、殺菌製剤の調製方法は、パラフィン系油と、天然及び合成のアルコールエトキシレート類、例えば、ポリオキシエチレン(4〜12)ラウリルエーテル(C12)、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル(C16)、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル(C18)、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル(C18モノ不飽和)、ポリオキシエチレン(2〜11)C12〜C15アルコール、ポリオキシエチレン(3〜9)C11〜C14アルコール、ポリオキシエチレン(9)C12〜C14アルコール、ポリオキシエチレン(11)C16〜C18アルコール、及びポリオキシエチレン(20)C12〜C15アルコール、アルコールアルコキシレート類、例えば、ブチルポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、アルキルポリサッカリド類、例えば、C〜C11アルキルポリサッカリド、グリセロールオレエート、MW1100〜11400及び10〜80%EOのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ノニルフェノールエトキシレート類、例えば、ポリオキシエチレン(2〜8)ノニルフェノール、高分子界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレン鎖を有するポリメタクリル酸やポリアクリレートのようなグラフトコポリマー及びエステル基やエーテル基を有するランダムコポリマー、ポリエチレングリコール類、例えば、MW:200〜8000のもの、MW:400のPEGジオレエート、及びMW:600のPEGジオレエート、ソルビタン脂肪酸エステルエトキシレート類、例えば、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレエート、及びポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート、並びにそれらの混合物よりなる群から選択される好適な乳化剤と、を有する第1の組成物を調製することと、ポリ塩素化(Cu II)フタロシアニンの水性ディスパージョンである第2の組成物を調製することと、第1及び第2の組成物の一方又は両方にシリコーン界面活性剤を添加することと、その後、使用前に、有効量の第1の組成物を有効量の第2の組成物と混合することと(ただし、ポリ塩素化(Cu II)フタロシアニンは、その中に分散されかつ安定である)、を含む。
【0015】
他の広義の態様では、殺菌製剤の調製方法は、パラフィン系油と、天然又は合成のアルコールエトキシレート類、例えば、ポリオキシエチレン(4〜7)ラウリルエーテル(C12)、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル(C16)、ポリオキシエチレン(2〜11)C12〜C15アルコール、ポリオキシエチレン(3〜9)C11〜C14アルコール、ポリオキシエチレン(9)C12〜C14アルコール、高分子界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレン鎖を有するポリメタクリル酸やポリアクリレートのようなグラフトコポリマー及びエステル基やエーテル基を有するランダムコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル類、例えば、ソルビタントリステアレート及びソルビタントリオレエート、並びにそれらの混合物よりなる群から選択される好適な乳化剤と、油中に分散されたポリ塩素化(Cu II)フタロシアニンと、シリコーン界面活性剤と、を有する単一組成物を調製することを含む。ただし、シリコーン界面活性剤はさらに、式(IV):
−O−(CH−CH−O)−R 式(IV)
〔式中、R=H又はCH=CH−CH又はCOCH
で示されるポリエチレングリコール類(PEG)を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ダラースポット病に感染した芝草を処理した場合、二パック製剤として調製された水中油型殺菌製剤への顔料の添加から生じる相乗効果により、予測量よりも少ない量で製剤の使用が可能になることを示す実施例7の結果のグラフ図である。
【図2】ダラースポット病に感染した芝草の処理で同一量で施用された従来の化学殺菌剤DACONIL(登録商標)2787と比較して5ガロン/エーカー(非水性部分)で施用された二パック殺菌剤の有効性を示す実施例8の結果のグラフ図である。
【図3】ダラースポット病に感染した芝草の処理で化学殺菌剤DACONIL(登録商標)2787と比較して5ガロン/エーカー(非水性部分)及び10ガロン/エーカー(非水性部分)の両方で施用された二パック殺菌剤の有効性を示す実施例9の結果のグラフ図である。
【図4】5ガロン/エーカー(非水性部分)で毎週施用された、ポリ塩素化Cu(II)フタロシアニン顔料、乳化剤、及びシリコーン添加剤の添加なしの水中油型製剤と比較して、2.5ガロン/エーカー(非水性部分)の毎週使用の二パック殺菌剤の有効性を示す実施例10の結果のグラフ図である。
【図5】ダラースポット病に感染した芝草の処理で、二パック製剤、一パック製剤、及び従来の化学殺菌剤DACONIL(登録商標)Ultrexの有効性を比較した実施例18の結果のグラフ図である。
【図6】ゴルフコースのフェアウェイに施用した場合に実施例6に従って調製された二パック製剤を施用した結果として増大された根長の絵図である。
【図7】実施例6に従って調製された二パック製剤をベントグラスの区域に施用した結果として増大された根長の絵図である。
【図8】実施例6に従って調製された二パック製剤をベントグラスの区域に施用した結果として増大された根長の絵図である。
【図9A】ダラースポット病に感染した芝生の処理で二パック製剤及び化学殺菌剤BANNER MAXX(商標)と50:50でタンク混合された二パック製剤の有効性を比較した実施例21の結果のグラフ図である。
【図9B】ダラースポット病に感染した芝生の処理で二パック製剤単独と比較して化学殺菌剤BANNER MAXX(商標)と50:50でタンク混合された二パック製剤の相乗効果を示す実施例21の結果のグラフ図であり、この場合、残留期間は、21日間から28日間に延長される。
【図10】ダラースポット病に感染した芝生の処理で一パック製剤単独と比較して化学殺菌剤BANNER MAXX(商標)と50:50でタンク混合された一パック製剤の相乗効果を示す実施例22の結果のグラフ図である。
【図11】雪腐れ黒色小粒菌核病菌(Typhula ishikariensis)に感染した芝生の処理で、二パック製剤単独、ラベル表示推奨量の50%のBANNER MAXX(商標)単独、及び未処理の対照と比較して、ラベル表示推奨量の50%のBANNER MAXX(商標)を含む二パック製剤の有効性を示す実施例23の結果のグラフ図である。
【図12】雪腐れ褐色小粒菌核病菌(Typhula incarnata)に感染した芝生の処理で、二パック製剤単独、ラベル表示推奨量の50%のBANNER MAXX(商標)単独、及び未処理の対照と比較して、ラベル表示推奨量の50%のBANNER MAXX(商標)を含む二パック製剤の有効性を示す実施例24の結果のグラフ図である。
【図13】紅色雪腐れ病菌(Microdochium nivale)に感染した芝生の処理で、二パック製剤単独、ラベル表示推奨量の50%のBANNER MAXX(商標)単独、及び未処理の対照と比較して、ラベル表示推奨量の50%のBANNER MAXX(商標)を含む二パック製剤の有効性を示す実施例25の結果のグラフ図である。
【図14】ベントグラスのフザリウムパッチ病の防除で、ラベル表示推奨量の50%のROVRAL(登録商標)Green GTで強化された二パック製剤の有効性を、ラベル表示最大量のROVRAL(登録商標)Green GT単独及びラベル表示推奨量の50%で施用されたROVRAL(登録商標)Green GT単独と比較した実施例26の結果のグラフ図である。
【図15】グレイリーフスポット病を防除すべくペレニアルライグラスに施用した場合で、実施例6に従って調製されかつ最大量で施用された二パック製剤、ラベル表示最大推奨量の従来の化学殺菌剤Cleary 3336(商標)Plus、Cleary 3336(商標)Plusと50:50で混合された二パック製剤、推奨量の50%の二パック製剤単独、及びラベル表示推奨量の50%のCleary 3336(商標)Plus単独の有効性を比較した実施例27の結果のグラフ図である。
【図16】油/乳化剤単独及び顔料単独と比較した場合、未処理の対照と比較した場合、ポリ塩素化Cu(II)フタロシアニンの添加の相乗効果を示す実施例28の結果のグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
先行技術
本出願人は、先行技術の教示に基づいて着色剤又は顔料を水中油型エマルジョン製剤に添加するとその中で顔料の不安定なディスパージョンを生じることを見いだした。
【0018】
以下の実施例1〜3では、乳化剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル、C10〜C16アルコールエトキシレート、及びグリセロールオレエート(Petro−Canada,Calgary,AB,CanadaからPC Emuls Greenとして入手可能)を用いて又は用いずに、ポリ塩素化Cu(II)フタロシアニン顔料(水中に分散された約60%のポリ塩素化Cu(II)フタロシアニンであるSUNSPERSE(登録商標)Green 7としてSun Chemicalから入手可能又はPigment Green 7粉末としてHercules Exports,Mumbai,Indiaから入手可能)を合成イソパラフィン系油(Petro−Canada,Calgary,AB,Canadaから入手可能なN65DW)に添加し、そして水中に希釈して芝草への施用に好適な水中油型エマルジョンを形成した。
【0019】
実施例1〜3のそれぞれでは、顔料は、凝結するか又は凝集塊を形成することにより、急速に分離析出しかつ/又は製剤の相分離を引き起こした。したがって、顔料は、製剤中に分散された状態を保持しなかったので、製剤は、確実かつ均一に芝草に色を付与すべく使用することはできなかった。
【実施例】
【0020】
実施例1
a.0.3〜0.5wt% ポリ塩素化Cu(II)フタロシアニン(SUNSPERSE(登録商標)Green 7)
b.10wt% 合成イソパラフィン系油(N65DW)
c.89.5wt% 水
【0021】
実施例2
a.0.3〜0.5wt% ポリ塩素化CU(II)フタロシアニン(SUNSPERSE(登録商標)Green 7)
b.10wt% イソパラフィン系油(N65DW)
c.0.1wt% 乳化剤(PC Emuls Green)
d.89.5wt% 水
【0022】
実施例3
a.0.5wt% ポリ塩素化Cu(II)フタロシアニン(Pigment Green 7粉末)
b.10wt% イソパラフィン系油(N65DW)
c.0.1wt% 乳化剤(PC Emuls Green)
d.89.5wt% 水
【0023】
本発明の実施形態
実施例4に示されるように、本出願人は、有意部分の油を内有しかつ顔料を含有する水中油型エマルジョンに特定のシリコーン界面活性剤及び乳化分散剤を添加導入すると、スプレー処理などにより芝草に施用すべく顔料が安定に分散されることを見いだした。
【0024】
水中油型部分の非水性部分は、典型的には、約1ガロン/エーカー(0.093L/100m)〜約15ガロン/エーカー(1.395L/100m)の量で施用される。水中油型エマルジョンの全スプレー散布液量は、典型的には、約20ガロン/エーカー(1.9L/100m)〜約200ガロン/エーカー(18.6L/100m)である。
【0025】
実施例4
本発明の一実施形態に係る製剤を次のように調製した。
【0026】
a.0.5wt% ポリ塩素化Cu(II)フタロシアニン(SUNSPERSE(登録商標)Green 7)
b.10wt% イソパラフィン系油(N65DW)
c.0.1wt% 乳化剤(PC Emuls Green)
d.89.3wt% 水
e.0.1wt% シリコーン界面活性剤(Lambent MFF−199 SW)
Lambent MFF−199 SW(Lambent Technologies,a division of Petroferm,Inc.,Gurnee,IL,USAから入手可能なMFF−199−SW)のような例示的なシリコーン超湿潤剤は、水素末端基と1個のペンダントポリエチレンオキシド基とを含有するシリコーンコポリオールであり、600〜1000ダルトンの平均分子量を有する。
【0027】
Lambent MFF−199は、通常の線状もしくは環状のポリジメチル−シロキサンと比較してまったく異なるクラスのシリコーン油である。Lambent MFF−199は、水素末端基(H末端)を有するエトキシル化アルキル基を有するトリシロキサンである。エトキシル化基の数は、1〜20の範囲内である。
【0028】
提案構造は、次のとおりである。
【化2】

【0029】
〔式中、n=1〜20かつ平均n=8〕
【0030】
二パック製剤
本発明の一実施形態では、第1の組成物(パックA)は、パラフィン系油と好適な乳化剤とを含有するように調製される。第2の組成物(パックB)は、ポリ塩素化Cu(II)フタロシアニンを含むように調製される。ポリ塩素化Cu(II)フタロシアニンは、水中に分散される粉末として又は即使用可能な水性ディスパージョンとして提供可能である。
【0031】
シリコーン界面活性剤、例えば、Lambent MFF 159−100もしくはMFF 199 SW又は以下に記載の他の好適なシリコーン界面活性剤は、全部をパックAに又はパックBに添加可能である。他の選択肢として、シリコーン界面活性剤は、パックAとパックBとに分割可能である。
【0032】
使用直前に、有効量のパックA及びパックBのそれぞれは、殺菌ディスパージョンが形成されるように混合一体化され、このディスパージョンはさらに、所定の施用量で芝草に送達すべく以下に記載される所望の濃度になるように水中に希釈される。
【0033】
より特定的には、本発明の実施形態では、有効量のパックAは、エマルジョンを形成するために所望の濃度を得るのに必要とされる水の一部又は全部と混合される。その後、有効量のパックB及びもしあれば残りの水は、エマルジョンに添加され、この混合物は、所定の施用量で水中油型エマルジョンとして芝草に送達される。
【0034】
シリコーン及び乳化剤は、芝草への施用時に油相の存在下でポリ塩素化Cu(II)フタロシアニンの凝集塊の形成及びサスペンジョンからの急速な分離析出を実質的に防止するようなパックAとパックBとの混合時の分子間親水性親油性バランスを提供するように選択される。
【0035】
好適なシリコーン界面活性剤は、次式(I):
【化3】

【0036】
〔式中、
R=H、x=1〜24、n=0、m=1、Hキャップ化トリシロキサン
R=H、x=1〜24、n≧1、m=1、Hキャップ化シリコーンポリエーテル
R=CH、x=1〜24、n=0、m=1、CHキャップ化トリシロキサン
R=CH、x=1〜24、n≧1、m=1、CHキャップ化シリコーンポリエーテル
R=COCH、x=1〜24、n=0、m=1、COCHキャップ化トリシロキサン
R=COCH、x=1〜24、n≧1、m=1、COCHキャップ化シリコーンポリエーテル〕
で示される、水素末端基(Hキャップ化)、メチル末端基(CHキャップ化)、又はアセチル末端基(COCHキャップ化)を有する好適なアルコキシ基を有するトリシロキサン類又はシリコーンポリエーテル類を含む。
【0037】
以上のシリコーン界面活性剤の市販の調製物は、少量のポリエチレングリコール類(PEG)又は他の低分子量ポリジメチルシロキサン類(PDMS)を含有することもあれば含有しないこともある。
【0038】
本発明の実施形態では、シリコーン界面活性剤は、水中油型エマルジョンの非水性部分に約0.1wt%〜約5wt%の範囲内で添加される。
【0039】
本発明の一実施形態では、水中油型エマルジョンの非水性部分に約2wt%の量で添加されるシリコーン界面活性剤は、以下の式(II):
【化4】

【0040】
〔式中、n=2〜70、平均n=44、m=2〜16、かつ平均m=10〕
で示される200〜6000の分子量を有するHキャップ化ジメチルメチル(ポリエチレンオキシド)シリコーンポリマーである。
【0041】
好適な乳化剤は、安定なエマルジョンを生成しかつ植物毒性を防止するような量で選択及び添加される。乳化剤は、水中油型エマルジョンの非水性部分に約0.5wt%〜約5wt%の範囲内で添加される。より特定的には、本発明の実施形態では、乳化剤は、水中油型エマルジョンの非水性部分に約1wt%〜約3wt%の範囲内で添加される。本発明の一実施形態では、乳化剤は、水中油型エマルジョンの非水性部分に約2wt%で添加される。
【0042】
乳化剤は、以下のものよりなる群から選択される。
【0043】
アルコールエトキシレート類(天然及び合成)、例えば、ポリオキシエチレン(4〜12)ラウリルエーテル(C12)、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル(C16)、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル(C18)、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル(C18モノ不飽和)、ポリオキシエチレン(2〜11)C12〜C15アルコール、ポリオキシエチレン(3〜9)C11〜C14アルコール、ポリオキシエチレン(9)C12〜C14アルコール、ポリオキシエチレン(11)C16〜C18アルコール、及びポリオキシエチレン(20)C12〜C15アルコール、
アルコールアルコキシレート類、例えば、ブチルポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、
アルキルポリサッカリド類、例えば、C8〜C11アルキルポリサッカリド、
グリセロールオレエート、
MW1100〜11400及び10〜80%EOのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、
ノニルフェノールエトキシレート類、例えば、ポリオキシエチレン(2〜8)ノニルフェノール、
高分子界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレン鎖を有するポリメタクリル酸やポリアクリレートのようなグラフトコポリマー及びエステル基やエーテル基を有するランダムコポリマー、
ポリエチレングリコール類、例えば、MW:200〜8000のもの、MW:400のPEGジオレエート、及びMW:600のPEGジオレエート、並びに
ソルビタン脂肪酸エステルエトキシレート類、例えば、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレエート、及びポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート。
【0044】
二パック実施形態の実施例
本発明の実施形態では、最終製剤で所望の濃度を得るのに必要とされる量の水に十分量のパックAを添加して混合しエマルジョンを形成した。十分なパックBをエマルジョンに添加し、
有効量(約5wt%)のパラフィン系油と、
約0.1wt%の乳化剤と、
約0.3wt%のポリ塩素化Cu(II)フタロシアニンと、
約0.1wt%のシリコーン界面活性剤と、
を含む殺菌ディスパージョンを得た。
【0045】
約50ガロン/エーカー(4.7L/100m)〜約100ガロン/エーカー(9.3L/100m)の量で殺菌ディスパージョンを芝草上にスプレーした。
【0046】
実施例5
本発明の二パック実施形態の一実施例では、以下の組成物(パックA及びパックB)を記載どおり調製して混合一体化しスプレー可能なディスパージョンを取得した。
【表1】

【表2】

【0047】
実施例5に記載の本発明の実施形態では、シリコーン界面活性剤のすべてをパックAに添加した。
【0048】
実施例6
本発明の二パック実施形態の一実施例では、以下の成分又は組成物を記載どおり調製して混合一体化しスプレー可能なディスパージョンを取得した。
【表3】

【表4】

【0049】
実施例6に記載の本発明の実施形態では、シリコーン界面活性剤のすべてをパックBに添加した。
【0050】
実施例7〜10−二パック製剤
実施例5に従って調製された製剤を用いて実施例7〜10を行った。
【0051】
実施例7−二パック製剤と顔料を含まない製剤との有効性の比較
短く刈り込んだパッティンググリーンの高さ5mmのクリーピングベントグラス(ハイコヌカグサ(Agrostis stolonifera))に本発明の一実施形態を適用し、ダラースポットを防除する本発明の一実施形態の有効性を調べた。ダラースポットは、ダラースポット病菌が原因であり、ほぼ世界中のゴルフコース上で防除を必要とする最も一般的な病害である。
【0052】
非水性部分換算で5ガロン/エーカー(0.5L/100m)の水中油型エマルジョンが芝草に施用される本発明の実施形態を、非水性部分換算で10ガロン/エーカー(1L/100m)の水中油型エマルジョンが施用される顔料を含まないより高濃度の水中油型エマルジョンの使用及び接種対照と比較した。最初の化学的施用の1週間後にダラースポット病菌の5種の菌株を試験区に接種した。
【0053】
140kPaで車輪付き圧縮空気ブームスプレーヤーを用いて殺菌剤を水中に加えて約129ガロン/エーカー(12L/100m)の全スプレー散布液量で施用した。14日間隔で施用を行った。ダラースポット感染の1週間ごとの計数を6週間にわたり行った。
【表5】

【0054】
結論
図1に示されるように、ポリ塩素化Cu(II)フタロシアニン顔料ディスパージョン、乳化剤、及びシリコーン添加剤の添加を行って5ガロン/エーカー(0.5L/100m)で二パック殺菌剤を用いてダラースポットの許容しうる防除を達成した。
【0055】
非水性部分換算で5ガロン/エーカー(0.5L/100m)の二パック殺菌製剤を使用した場合、非水性部分換算で10ガロン/エーカー(1L/100m)の水中油型エマルジョンを単独使用した場合と実質的に同一の性能を示した。顔料の添加から生じる相乗効果により予測量よりも少ない量で製剤の使用が可能になることがデータから示唆される。
【0056】
より少ない処理量のさらなる利点は、高油量で観察される可能性のある植物毒性の傾向が低減されることである。
【0057】
実施例8
短く刈り込んだパッティンググリーンの高さ5mmのクリーピングベントグラス(ハイコヌカグサ(Agrostis stolonifera))に本発明の二パック実施形態を適用し、ダラースポットを防除する本発明の一実施形態の有効性を調べた。
【0058】
短く刈り込んだ芝生は、ダラースポットの影響をかなり受けやすい。本発明の二パック実施形態を、Syngenta Crop Protection Canada,Inc.Guelph,Ontario,Canadaから入手可能なWEATHERSTIK(商標)としても知られる化学殺菌剤DACONIL(登録商標)2787及び接種対照と比較した。播種後8年のPENNCROSS(登録商標)クリーピングベントグラス(ハイコヌカグサ(Agrostis stolonifera))で試験を行った。7週間にわたり処理を施して9週間にわたり芝生及び病害を監視し残効性及び草生回復を調べた。四重反復試験を有するランダム化完備型ブロック計画を使用した。また、各処理試験区は、1m×2mの大きさである。最初の化学的施用の1日後にダラースポット病菌の5種の菌株を試験区に接種した。
【0059】
この実施例では芝生を短く刈り込んだので、病害圧力は極度に大きかった。140kPaで車輪付き圧縮空気ブームスプレーヤーを用いて殺菌剤を水中に加えて約118ガロン/エーカー(11L/100m)の全スプレー散布液量で施用した。DACONIL(登録商標)及び二パック製剤の両方について14日間隔で施用を行った。7日間隔で二パック製剤の施用を行うことにより追加の試験区を処理した。ダラースポット感染の1週間ごとの計数を7週間にわたり行った。
【表6】

【0060】
結果
図2に示されるように、試験の開始時、試験区のすべてに低レベルのダラースポット病が存在した。試験の終盤では、対照の病害レベルは、接種区域で1試験区あたり100スポットを超えた。3つの化学的処理はすべて、対照と比較した場合、ダラースポット病の有意な抑制を示した。病害の抑制は、最終施用後、約2週間持続した。
【0061】
毎週施用した場合、二パック製剤は、推奨量で隔週施用された二パック製剤又はDACONIL(登録商標)よりも実質的に良好な性能を示したことが注目すべき点であった。したがって、極度のダラースポット病の場合、より頻繁に施用すれば二パック製剤の有効性が改善されることは、当業者であればわかるであろう。
【0062】
植物毒性は、いずれの処理でも観察されなかった。
【0063】
結論
非水性部分換算で5ガロン/エーカー(0.5L/100m)で施用された二パック殺菌剤は、化学殺菌剤DACONIL(登録商標)2787と実質的に同一の性能を示した。
【0064】
極度の病害圧力の場合、二パック製剤をより頻繁に施用しなければならない。
【0065】
実施例9
フェアウェーの高さ11mmのクリーピングベントグラス(ハイコヌカグサ(Agrostis stolonifera))に本発明の一実施形態を適用し、ダラースポットを防除する本発明の一実施形態の有効性を調べた。ダラースポットは、ダラースポット病菌が原因であり、ほぼ世界中のゴルフコース上で防除を必要とする最も一般的な病害である。
【0066】
本発明の実施形態を、Syngenta Crop Protection Canada,Inc.Guelph,Ontario,Canadaから入手可能なWEATHERSTIK(商標)としても知られる化学殺菌剤DACONIL(登録商標)2878及び接種対照と比較した。播種後13年のPENNCROSS(登録商標)クリーピングベントグラス(ハイコヌカグサ(Agrostis stolonifera))で試験を行った。6週間にわたり処理を施して芝生及び病害を監視し残効性及び草生回復を調べた。四重反復試験を有するランダム化完備型ブロック計画を使用した。また、各処理試験区は、1m×2mの大きさである。最初の化学的施用の1週間後にダラースポット病菌の5種の菌株を試験区に接種した。
【0067】
140kPaで車輪付き圧縮空気ブームスプレーヤーを用いて殺菌剤を水中に加えて129ガロン/エーカー(12L/100m)の全スプレー散布液量で施用した。14日間隔で施用を行った。ダラースポット感染の1週間ごとの計数を6週間にわたり行った。
【表7】

【0068】
結果
図3に示されるように、試験の開始時、試験区のすべてにダラースポット病が存在した。3つの処理はすべて、対照と比較した場合、ダラースポット病の有意な抑制を示した。病害の抑制は、最終施用後、約2週間持続した。
【0069】
植物毒性は、いずれの処理でも観察されなかった。
【0070】
結論
非水性部分換算で5ガロン/エーカー(0.5L/100m)及び非水性部分換算で10ガロン/エーカー(1L/100m)で施用された二パック殺菌剤は、化学殺菌剤DACONIL(登録商標)2787と実質的に同一の性能を示した。
【0071】
実施例10
パッティンググリーンの高さに刈り込まれたオオスズメノカタビラ(ラフストークブルーグラス)追播バミューダグラス試験区で二パック製剤の一実施形態を使用してダラースポットを処理した。非水性部分換算で2.5ガロン/エーカー(0.2L/100m)で二パック製剤を施用し、そして顔料、シリコーン界面活性剤、及び特定の乳化剤を用いずに調製されて非水性部分換算で5ガロン/エーカー(0.5L/100m)で施用された製剤及び未処理対照と比較した。
【0072】
1000平方フィートあたり2ガロン(8L/100m)の水中に加えて2つの8003 TEEJET(登録商標)フラットファンノズルを介して製剤を送達するように校正されたCOバックパックブームスプレーヤーを用いて製剤を施用した。
【0073】
芝草試験区を4つのブロックに分割し、ランダム化完備型ブロック計画で処理を割り当てた。ダラースポット病菌(Sclerotinia homoeocarpa)に感染した1Lのコムギ種子を試験区に接種した。8週間にわたり殺菌製剤を毎週施用した。
【0074】
図4に関しては、8週間にわたりダラースポットの計数を行った。
【0075】
結論:
ポリ塩素化Cu(II)フタロシアニン顔料ディスパージョン、乳化剤、及びシリコーン添加剤を添加しない製剤を用いて同一の結果を達成するのに必要な量(非水性部分換算で毎週5ガロン/エーカー(0.5L/100m))の約半分に相当する非水性部分換算で2.5ガロン/エーカー(0.2L/10m)の二パック殺菌剤を毎週使用することにより、ダラースポットの許容しうる防除を達成した。
【0076】
有利なことに、より少ない処理量の使用は、多量の油量で観察される可能性のある植物毒性の傾向を低減させる。
【0077】
実施例11
実施例6に従って調製された製剤を用いて実施例11を行った。
【0078】
ケンタッキーブルーグラスを2インチの刈込み高さで毎週3回刈り込んだ。4月10日に開始して14日間隔で二パック製剤の施用を行った。「0〜10」の重症度指標を用いてスプリングリーフスポット病又はメルティングアウト病の評価を行った。ただし、10は、90%超が症状を示す芝生区域に相当する。
【0079】
従来の処理との比較を目的として、Syngenta Crop Protection Canada,Inc.Guelph,Ontario,Canadaから入手可能なDACONIL(登録商標)ULTREXを対照として使用した。
【0080】
結果
【表8】

【0081】
植物毒性は、いずれの処理試験区でも観察されなかった。
【0082】
結論:
非水性部分換算で7.5ガロン/エーカー(0.7L/100m)で使用された二パック製剤は、優れた病害防除を提供した。
【0083】
一パック製剤
本発明の他の実施形態では、本出願人は、驚くべきことに、ポリ塩素化Cu(II)フタロシアニンのような顔料が、スプレー可能なディスパージョンを形成すべく水中に希釈する前、油系殺菌組成物中で単一の安定なディスパージョンの形態で調製可能であることを見いだした。したがって、使用者は、安定な殺菌施用物を調製すべく2つの個別成分を取り扱う必要はない。
【0084】
より特定的には、顔料は、製剤に追加するために、パラフィン系油又は本発明の実施形態に記載されるように殺菌性を提供すべく使用されるのと同一のパラフィン系油のような相溶性油中に分散される。特定のシリコーン界面活性剤及び乳化剤の化学性の使用は、油系組成物中で着色剤を安定化させる。
【0085】
一パック製剤の実施例では、ポリ塩素化Cu(II)フタロシアニンは、残りの成分と混合する前、約18%のポリ塩素化CU(II)フタロシアニン(Sun Chemical Corp.Performance Pigments,Cincinnati,OH USAから入手可能なSUNSPERSE(登録商標)EXP 006−102)を提供するようにN65DW(Petro−Canadaから入手可能)のようなパラフィン系油中に分散される。
【0086】
本発明の実施形態では、一パック製剤は、芝草への施用時にポリ塩素化Cu(II)フタロシアニンがサスペンジョンから分離するのを実質的に防止するために、界面活性剤と、乳化剤と、殺菌製剤内で分子間親水性親油性バランスを提供するように選択されるシリコーンポリエチレングリコールと、を含む。
【0087】
本出願人の考えるところによれば、好適なシリコーン界面活性剤は、二パック製剤に関連して先に特定されたものであり、式(I)で示される。本発明の実施形態では、シリコーン界面活性剤は、Hキャップ化トリシロキサン、CHキャップ化トリシロキサン、及びCOCHキャップ化トリシロキサンである。本発明の一実施形態では、シリコーンは、以下の式(III):
【化5】

【0088】
〔式中、n=1〜24、平均n=8〜10〕
で示されるHキャップ化トリシロキサンである。
【0089】
一パック製剤に好適な乳化剤は、以下のもの、すなわち、
アルコールエトキシレート類(天然及び合成)、例えば、ポリオキシエチレン(4〜7)ラウリルエーテル(C12)、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル(C16)、ポリオキシエチレン(2〜11)C12〜C15アルコール、ポリオキシエチレン(3〜9)C11〜C14アルコール、ポリオキシエチレン(9)C12〜C14アルコール、
高分子界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレン鎖を有するポリメタクリル酸やポリアクリレートのようなグラフトコポリマー及びエステル基やエーテル基を有するランダムコポリマー、並びに
ソルビタン脂肪酸エステル類、例えば、ソルビタントリステアレート及びソルビタントリオレエート
から選択される。
【0090】
乳化剤は、製剤の非水性部分中に約0.5wt%〜約5wt%の範囲内で製剤に添加される。
【0091】
本発明の実施形態では、本出願人は、使用されるシリコーン界面活性剤が、典型的には、以下に示された式(IV)で示される10〜30%のポリエチレングリコール類(PEG)を含むことに気付いた。
【0092】
−O−(CH−CH−O)−R 式(IV)
〔式中、
=H又はCH=CH−CH又はCOCH
=H又はCH=CH−CH又はCOCH
n≧1〕
【0093】
本発明の実施形態では、PEGは、低分子量(典型的には約300〜約1500ダルトン)を有する。本発明の実施形態では、PEGは、低分子量ポリエチレングリコールアリルエーテルである。本発明の実施形態では、PEGは、約300〜約600ダルトンの平均分子量を有しかつ8〜10の平均エトキシル化(EO)の1〜20モルのエチレングリコールを有する低分子量ポリエチレングリコールモノアリルエーテルである。
【0094】
実施例12〜14: 一パック製剤
【0095】
実施例12
28wt% N65DW中に分散された18wt%のポリ塩素化Cu(II)フタロシアニンを含有するSUNSPERSE(登録商標)EXP 006−102、
2wt% 式(I)〔式中、m=1、n=0、X=1〜24(平均8〜10)、かつR=H〕で示されるシリコーン界面活性剤及び式(IV)〔式中、R=CH=CH−CH、R=H、かつ平均n=8でn=1〜20〕で示されるPEG(Lambent MFF199)、
2wt% ポリオキシエチレン(11)C16〜18アルコール、例えば、BASFから入手可能なLUTENSOL(登録商標)AT11、並びに
68wt% N65DW。
【0096】
実施例13
28wt% N65DW中に分散された18wt%のポリ塩素化Cu(II)フタロシアニンを含有するSUNSPERSE(登録商標)EXP 006−102、
2wt% 式(I)〔式中、m=1、n=0、X=1〜24(平均8〜10)、かつR=H〕で示されるシリコーン界面活性剤及び式(IV)〔式中、R=CH=CH−CH、R=H、かつ平均n=8でn=1〜20〕で示されるPEG(Lambent MFF199)、
2wt% ソルビタントリステアレート、例えば、Uniqemaから入手可能なSPAN65又はBASFから入手可能なS−MAZ(登録商標)65K、並びに
68wt% N65DW。
【0097】
実施例14
28wt% N65DW中に分散された18wt%のポリ塩素化Cu(II)フタロシアニンを含有するSUNSPERSE(登録商標)EXP 006−102、
1.8wt% 式(I)〔式中、m=1、n=0、X=1〜24(平均8〜10)、かつR=COCH〕で示されるシリコーン界面活性剤及び式(IV)〔式中、R=CH=CH−CH又はCOCH、R=COCH〕で示されるポリエチレングリコール類(Dow Corning,USAから入手可能なSYLGARD(登録商標)309)、
0.2% 式(IV)〔式中、R=CH=CH−CH、R=H〕で示されるポリエチレングリコール類(Clariantから入手可能なPolyglykol A500)、
2wt% ポリオキシエチレン(11)C16〜18アルコール、例えば、BASFから入手可能なLUTENSOL(登録商標)AT11、並びに
68wt% N65DW。
【0098】
芝草への施用前、実施例12〜14に開示された製剤を水中に6%までさらに希釈した。得られた水中油型製剤は、
約5wt% パラフィン系油、
約0.12wt% 乳化剤、
約0.3wt% ポリ塩素化Cu(II)フタロシアニン、
約0.1wt% シリコーン界面活性剤、
約0.01〜0.03wt% ポリエチレングリコール、及び
残部の水
を含んでいた。
【0099】
得られた水中油型エマルジョン/顔料ディスパージョンは、施用されるまで、典型的には1日以内、安定であることが判明した。これはまた、芝草に施用可能である。水中油型エマルジョン剤は、約50ガロン/エーカー(4.7L/100m)〜約100ガロン/エーカー(9.3L/100m)の従来の全スプレー散布液量で施用された。
【0100】
実施例15〜17
シリコーン界面活性剤及び/又はPEGの存在なしで一パック製剤の安定性を調べるために追加の試験を行った。
【0101】
実施例15〜17では、芝草への施用前、製剤を水中に6%までさらに希釈して水中油型エマルジョンを形成した。
【0102】
実施例15
以下の処方に従って、シリコーン界面活性剤もPEGも用いずに一パック製剤を調製した。
【0103】
28wt% N65DW中に分散された18wt%のポリ塩素化Cu(II)フタロシアニンを含有するSUNSPERSE(登録商標)EXP 006−102、
2wt% ポリオキシエチレン(11)C16〜18アルコール、例えば、BASFから入手可能なLUTENSOL(登録商標)AT11、及び
70% N65DW。
【0104】
実施例16
以下の処方に従って、不十分なPEGを用いて一パック製剤を調製した。
【0105】
28wt% N65DW中に分散された18wt%のポリ塩素化Cu(II)フタロシアニンを含有するSUNSPERSE(登録商標)EXP 006−102、
2wt% 式(I)〔式中、m=1、n=0、X=1〜24(平均8〜10)、かつR=H〕で示されるシリコーン界面活性剤(SILTECH(登録商標)SILSURF(登録商標)A008−UP)、
2wt% ポリオキシエチレン(11)C16〜18アルコール、例えば、BASFから入手可能なLUTENSOL(登録商標)AT11、及び
68% N65DW。
【0106】
実施例17
以下の処方に従って、シリコーン界面活性剤を用いずに一パック製剤を調製した。
【0107】
28wt% N65DW中に分散された18wt%のポリ塩素化Cu(II)フタロシアニンを含有するSUNSPERSE(登録商標)EXP 006−102、
2wt% 式(IV)〔式中、R=CH=CH−CH、R=H〕で示されるポリエチレングリコール類(Clariantから入手可能なPolyglykol A500)、
2wt% ポリオキシエチレン(11)C16〜18アルコール、例えば、BASFから入手可能なLUTENSOL(登録商標)AT11、及び
68% N65DW。
【0108】
結果:
顔料は、実施例15〜17で試験した製剤のいずれにおいても凝集してサスペンジョンから沈降し、製剤は、使用不能になった。
【0109】
結論:
実施例12〜17に示されるように、シリコーン界面活性剤及び十分量のPEGの両方がないと、得られる一パック製剤は、希釈して水中油型エマルジョンを形成したときに安定でなく、したがって、芝生への施用に使用できない。
【0110】
実施例12〜17に示されるように、シリコーン界面活性剤及びポリエチレングリコール類の存在により一パック製剤の安定性及び分散性が改善されるので、芝生への施用及びその病害の管理のために商業的に利用可能な殺菌分散剤が得られる。
【0111】
実施例18
本発明に係る一パック製剤及び二パック製剤の実施形態並びに従来の殺菌剤DACONIL(登録商標)Ultrexを使用して、パッティンググリーンの高さに刈り込まれたオオスズメノカタビラ(ラフストークブルーグラス)追播バミューダグラス試験区でダラースポットを処理した。実施例10の場合と同様に、1000平方フィートあたり2ガロン(8L/100m)の水中に加えて2つの8003 TEEJET(登録商標)フラットファンノズルを介して製剤を送達するように校正されたCOバックパックブームスプレーヤーを用いて製剤を施用した。
【0112】
試験区を4つのブロックに分割し、ランダム化完備型ブロック計画で処理を割り当てた。ダラースポット病菌(Sclerotinia homoeocarpa)に感染した1Lのコムギ種子を試験区に接種した。8週間にわたり製剤を隔週施用した。
【0113】
図5に示されるように、8週間にわたりダラースポットの計数を行った。
【0114】
結論:
一パック製剤及び二パック製剤は両方とも、DACONIL(登録商標)Ultrexと実質的に同一の有効性を有していた。
【0115】
実施例19
実施例6に従って二パック製剤を調製し、14日間の施用間隔を用いて8週間にわたりCambridge,Ontario,CanadaにあるSaginawゴルフコースのフェアウェー及びラフの区域に施用した。
【0116】
8週間の終りに、処理区域及び未処理区域のコアサンプルを取得し、根の発育を比較した。
【0117】
結果
図6に示されるように、処理区域(左)のイネ科草本は、未処理区域(右)よりもかなり密でありかつ健常であった。さらに、処理区域は、未処理区域よりも濃い緑色を有していた。
【0118】
処理区域のベントグラスの根は、未処理のベントグラスの根の長さの約2倍であることが判明した。さらに、根は、未処理のベントグラスの根よりも密であることが観察された。
【0119】
結論:
二パック製剤及び一パック製剤は、ベントグラス及びブルーグラスの生長を促進する。
【0120】
実施例20
図7及び8に関しては、実施例6に従って調製された二パック製剤を用いてベントグラスの区域を処理した。処理区域及び比較用の未処理区域から7つのコアサンプルをランダムに採取した。コアサンプルをガラストレー内の水中に一晩浸漬した。続いて、水を用いて根から土を洗浄除去し、根の構造を露出させた。これは、図7及び8に示されるとおりであり、以下の表Aにまとめられている。
【0121】
結果
【表9】

【0122】
結論:
平均して、処理ベントグラスの根長は、未処理ベントグラスのものよりも約50%長い。さらに、処理ベントグラスのほうが根量が著しく多いことが注目すべき点であった。
【0123】
強化製剤
本出願人は、本発明の実施形態が、脱メチル化阻害剤(例えばプロピコナゾール)、メチルベンゾイミダゾールカルバメート(例えばチオファネート−メチル)、及びジカルボキシイミド(例えばイプロジオン)よりなる群から選択されるいくつかの従来の浸透性化学殺菌剤と混合した場合に驚くべき相乗効果を有することを確認した。例として、好適なプロピコナゾール殺菌剤は、BANNER MAXX(商標)(Syngenta Crop Protection Canada,Inc.Guelph,Ontario,Canadaから入手可能)であり、チオファネート−メチル殺菌剤は、Cleary 3336(商標)(Cleary Chemical Corporation,Dayton,NJ,USAから入手可能)であり、そしてイプロジオン殺菌剤は、ROVRAL(登録商標)Green(Bayer Environmental Science−Canada,Guelph,Ontario,Canadaから入手可能)である。
【0124】
しかしながら、本出願人は、それとは反対に予想に反して、いくつかの接触性殺菌剤のような従来の化学殺菌剤ではいずれも相乗効果が観察されないことを見いだした。その1つは、クロロタロニル(例えば、Syngenta Crop Protection Canada,Inc.Guelph,Ontario,Canadaから入手可能なDACONIL(登録商標)Ultrex)であった。
【0125】
ダラースポット、雪腐れ病、及びグレイリーフスポットを処理するための以下の追加の実施例に示されるように、確定ラベル表示推奨量の半分の本発明の一実施形態をラベル表示量の半分の特定の従来の化学殺菌剤と等分で混合したところ、ラベル表示最大量で単独で使用された殺菌剤のそれぞれと比較した場合、混合物の等価な又は改善された有効性が得られた。
【0126】
当業者であればわかるであろうが、またBurpee and Latin, Plant Disease Vol. 92 No. 4, April 2008, pp 601-606に教示されるように、殺菌剤の有効性は相加的でないことが知られているので、2種の殺菌製剤のそれぞれをラベル表示量の半分で添加すると、従来的には高い有効性が得られるとは考えられないであろう。驚くべきことに、このことは、本発明の実施形態の場合にはあてはまらなかった。本発明に係る製剤と特定の従来の化学殺菌剤との混合物は、有用であると考えられない量で、相乗的にきわめて有効な製剤をもたらした。
【0127】
本出願人の考えるところによれば、本発明の実施形態に係る製剤の量は、同様にラベル表示推奨量の約25%〜約75%に低減された従来の化学殺菌剤と混合した場合、単独で使用したときの使用量の約25%〜約75%の範囲に低減可能である。
【0128】
実施例21及び22
実施例21及び22は、パッティンググリーンの高さに刈り込まれたオオスズメノカタビラ(ラフストークブルーグラス)のダラースポットの処理に一パック製剤、二パック製剤、及び強化製剤を使用した結果を示す。
【0129】
実施例21
図9A及び9Bに関しては、二パック製剤を化学殺菌剤BANNER MAXX(商標)と50:50でタンク混合し、ダラースポット病に感染した芝生に施用した。
【0130】
二パック殺菌剤と化学殺菌剤との混合物は、殺菌剤の両方の単独使用と比較して相乗効果を呈した。図9Bに示されるように、残留期間は、21日間から28日間に延長可能である。
【0131】
実施例22
図10に関しては、一パック製剤を化学殺菌剤BANNER MAXX(商標)と50:50でタンク混合し、ダラースポット病に感染した芝生に施用した。
【0132】
化学殺菌剤が添加された一パック製剤は、ラベル表示最大量で施用されたときの一パック製剤又はBANNER MAXX(商標)の単独使用と比較した場合、相乗効果を呈した。
【0133】
実施例23〜25
本発明の実施形態を従来の化学殺菌剤BANNER MAXX(商標)と50:50で混合して強化製剤を形成し、さまざまな雪腐れ病に感染したフェアウェーの高さのクリーピングベントグラス(ハイコヌカグサ(Agrostis stolonifera))に施用した。
【0134】
二パック製剤と化学殺菌剤とを含有する強化製剤を殺菌剤の単独使用と比較した。強化製剤との比較のために、BANNER MAXX(商標)をラベル表示推奨量の50%で施用した。
【0135】
実施例23
図11に示されるように、雪腐れ黒色小粒菌核病菌(Typhula ishikariensis)に感染した芝生の処理で、強化製剤の有効性を、二パック製剤、ラベル表示推奨量の50%のBANNER MAXX(商標)単独、及び未処理対照と比較した。
【0136】
実施例24
図12に示されるように、雪腐れ褐色小粒菌核病菌(Typhula incarnata)に感染した芝生の処理で、強化製剤の有効性を、二パック製剤、ラベル表示推奨量の50%のBANNER MAXX(商標)単独、及び未処理対照と比較した。
【0137】
実施例25
図13に示されるように、紅色雪腐れ病菌(Microdochium nivale)に感染した芝生の処理で、強化製剤の有効性を、二パック製剤、ラベル表示推奨量の50%のBANNER MAXX(商標)単独、及び未処理対照と比較した。
【0138】
結論:
推奨量の50%の本発明の一実施形態とラベル表示推奨量の50%のBANNER MAXX(商標)とを含む強化製剤の使用が、二パック製剤又は化学殺菌剤のいずれの単独使用とも同程度に有効であるか又はそれよりも有効であることは、実施例23〜25から明らかである。
【0139】
実施例26
推奨量の半分(すなわち、非水性部分換算で100mあたり232.5ml)を用いて実施例6に従って二パック製剤を調製し、ラベル表示推奨量の50%(すなわち、100mあたり125mlで施用)の市販の殺菌剤ROVRAL(登録商標)Green GT(Bayer Environmental Science−Canada,Guelph,Ontario,Canadaから入手可能)と混合し、強化製剤を形成した。
【0140】
フザリウムパッチ病を防除するために、強化製剤をグリーンの高さに刈り込まれたクリーピングベントグラス(ハイコヌカグサ(Agrostis stolonifera))に施用した。比較のために、ROVRAL(登録商標)Green GTを推奨量の50%で単独施用した(すなわち、100mあたり125mlで施用した)。
【0141】
6週間にわたり処理を施し、病害を毎週監視した。
【0142】
結論:
図14に示されるように、強化製剤(「PC2 50% + ROVRAL(登録商標)Green GT 50%」)は、フザリウムパッチ病による傷害の有意な抑制を提供した。
【0143】
実施例27
実施例6に従って調製された推奨量の半分(50%)の二パック製剤(すなわち、非水性部分換算で1エーカーあたり2.5ガロン)を推奨量の50%(すなわち、1000ftあたり2oz)の従来の化学殺菌剤Cleary 3336(商標)Plusと50:50で混合した。
【0144】
グレイリーフスポット病の防除のために、強化製剤(PC2、1/2量 + Cleary 3336(商標)Plus、1/2量)並びに最大量及び半分量の個別製剤をフェアウェーの高さに切り込まれたペレニアルライグラスに施用した。
【0145】
結論:
図15に示されるように、強化製剤は、ライグラスのグレイリーフスポット病の優れた防除を提供した。
【0146】
油/エマルジョンと顔料ディスパージョンとの相乗効果
実施例28
図16に示されるように、本出願人の考えるところによれば、本発明の実施形態に係るすべての製剤において、ポリ塩素化Cu(II)フタロシアニンの添加は、油/乳化剤単独又は顔料単独と比較した場合、未処理対照と比較した場合、相乗効果を有する。
【0147】
10%の油/乳化剤単独、0.5%のSUNSPERSE(登録商標)Green 7単独、及び10%の油/乳化剤と0.5%のSUNSPERSE(登録商標)Green 7との両方を含む本発明の一実施形態を用いて、ダラースポット病に感染した芝生を処理した。
【0148】
結論:
明らかに、殺菌油成分への顔料の添加は、ディスパージョンの殺菌性を強化すると思われる。
【0149】
芝草中のそのほかの有害生物を防除するための本発明の実施形態の使用
【0150】
実施例29
フォールアーミーワーム
フォールアーミーワーム(ツマジロクサヨトウ(Spodoptera frugiperda))のさまざまな幼虫期に対する二パック製剤の一実施形態の有効性を実験室条件下で調べた。本発明の実施形態を従来の殺有害生物剤シフルトリンと比較した。
【0151】
方法:
1)幼虫をBenzon Research Inc.から入手した。
2)5匹の幼虫/容器及び3個の容器=一反復試験
3)処理=
1)対照
2)5%希釈の二パック製剤
3)シフルトリン(殺虫剤)、Al=0.75%、3液量オンス/ガロンのHO(22mL/L)
4)容器=底部上の湿潤濾紙とイネ科草本の刈取り物とを含有する蓋付きの760mlプラスチックボウル
5)セントオーガスチングラスの刈取り物をそれぞれの殺菌処理剤中に浸漬し、排水して乾燥させ、そして容器中に入れる。
6)25℃で4日間保持し、そして生存数を測定する。
7)小型の幼虫(2〜10mm)の七重反復試験を行う。
8)中型の幼虫(11〜20mm)の六重反復試験を行う。
9)大型の幼虫(21〜30mm)の六重反復試験を行う。
10)統計解析=最小有意差(LSD)検定
【0152】
結果:
【表10】

【0153】
結論:
二パック製剤の実施形態は、フォールアーミーワームの小型及び中型の幼虫を死滅させるのに有効であることがデータから示唆される。
【0154】
トロピカルソッドウェブワーム
類似の試験を行って、トロピカルソッドウェブワームのすべてのサイズの幼虫(小型、中型、及び大型)を死滅させる二パック製剤の実施形態の有効性を調べた。
【表11】

【0155】
結論:
二パック製剤の実施形態は、トロピカルソッドウェブワームの小型、中型、及び大型の幼虫を死滅させるのに有効であることがデータから示唆される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラフィン系油と好適な乳化剤と水とを含む水中油型エマルジョンと、
ポリ塩素化(Cu II)フタロシアニンと、
式I
【化1】

〔式中、R=H、CH、又はCOCH、x=1〜24、n=0又は≧1、m=1〕
で示されるトリシロキサン類及びシリコーンポリエーテル類よりなる群から選択されるシリコーン界面活性剤と、
を含み、該ポリ塩素化(Cu II)フタロシアニンが、芝草に送達すべく該水中油型エマルジョン中に分散状態で保持される、芝草に施用するための殺菌製剤。
【請求項2】
前記ポリ塩素化(Cu II)フタロシアニンが、水中に分散され、かつ
前記乳化剤が、天然及び合成のアルコールエトキシレート類、例えば、ポリオキシエチレン(4〜12)ラウリルエーテル(C12)、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル(C16)、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル(C18)、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル(C18モノ不飽和)、ポリオキシエチレン(2〜11)C12〜C15アルコール、ポリオキシエチレン(3〜9)C11〜C14アルコール、ポリオキシエチレン(9)C12〜C14アルコール、ポリオキシエチレン(11)C16〜C18アルコール、及びポリオキシエチレン(20)C12〜C15アルコール、アルコールアルコキシレート類、例えば、ブチルポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、アルキルポリサッカリド類、例えば、C〜C11アルキルポリサッカリド、グリセロールオレエート、MW1100〜11400及び10〜80%EOのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ノニルフェノールエトキシレート類、例えば、ポリオキシエチレン(2〜8)ノニルフェノール、高分子界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレン鎖を有するポリメタクリル酸やポリアクリレートのようなグラフトコポリマー及びエステル基やエーテル基を有するランダムコポリマー、ポリエチレングリコール類、例えば、MW:200〜8000のもの、MW:400のPEGジオレエート、及びMW:600のPEGジオレエート、ソルビタン脂肪酸エステルエトキシレート類、例えば、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレエート、及びポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート、並びにそれらの混合物よりなる群から選択される、
請求項1に記載の殺菌製剤。
【請求項3】
前記ポリ塩素化(Cu II)フタロシアニン、が油中に分散され、
前記乳化剤が、天然又は合成のアルコールエトキシレート類、例えば、ポリオキシエチレン(4〜7)ラウリルエーテル(C12)、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル(C16)、ポリオキシエチレン(2〜11)C12〜C15アルコール、ポリオキシエチレン(3〜9)C11〜C14アルコール、ポリオキシエチレン(9)C12〜C14アルコール、高分子界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレン鎖を有するポリメタクリル酸やポリアクリレートのようなグラフトコポリマー及びエステル基やエーテル基を有するランダムコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル類、例えば、ソルビタントリステアレート及びソルビタントリオレエート、並びにそれらの混合物よりなる群から選択され、かつ
前記シリコーン界面活性剤が、式(IV):
−O−(CH−CH−O)−R 式(IV)
〔式中、R=H又はCH=CH−CH又はCOCH
で示されるポリエチレングリコール類(PEG)を含む、
請求項1に記載の殺菌製剤。
【請求項4】
前記水中油型エマルジョンの非水性部分が、約1ガロン/エーカー(0.093L/100m)〜約15ガロン/エーカー(1.395L/100m)の範囲内で前記芝草に送達され、前記水中油型エマルジョンの全スプレー散布液量が約20ガロン/エーカー(1.86L/100m)〜約200ガロン/エーカー(18.6L/100m)の範囲内である、請求項1に記載の殺菌製剤。
【請求項5】
前記シリコーン界面活性剤が、前記水中油型エマルジョンの非水性部分中に約0.1wt%〜約5wt%の範囲内で添加される、請求項1に記載の殺菌製剤。
【請求項6】
前記乳化剤が、前記水中油型エマルジョンの非水性部分中に約0.5wt%〜約5wt%の範囲内で添加される、請求項1に記載の殺菌製剤。
【請求項7】
前記ポリ塩素化(Cu II)フタロシアニンが、前記水中油型エマルジョンの非水性部分中に約1wt%〜約10wt%の範囲内で添加される、請求項1に記載の殺菌製剤。
【請求項8】
脱メチル化阻害剤、メチルベンゾイミダゾールカルバメート、及びジカルボキシイミドよりなる群から選択される化学殺菌剤をさらに含み、
該化学殺菌剤が、前記水中油型エマルジョン中にラベル表示推奨量の約25%〜約75%で存在し、かつ
請求項1に記載の殺菌製剤の非水性部分が、前記水中油型エマルジョン中に推奨量の約25%〜約75%で存在する、
請求項1に記載の殺菌製剤。
【請求項9】
請求項1に記載の殺菌製剤の調製方法であって、
前記パラフィン系油と、
天然及び合成のアルコールエトキシレート類、例えば、ポリオキシエチレン(4〜12)ラウリルエーテル(C12)、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル(C16)、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル(C18)、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル(C18モノ不飽和)、ポリオキシエチレン(2〜11)C12〜C15アルコール、ポリオキシエチレン(3〜9)C11〜C14アルコール、ポリオキシエチレン(9)C12〜C14アルコール、ポリオキシエチレン(11)C16〜C18アルコール、及びポリオキシエチレン(20)C12〜C15アルコール、アルコールアルコキシレート類、例えば、ブチルポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、アルキルポリサッカリド類、例えば、C〜C11アルキルポリサッカリド、グリセロールオレエート、MW1100〜11400及び10〜80%EOのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ノニルフェノールエトキシレート類、例えば、ポリオキシエチレン(2〜8)ノニルフェノール、高分子界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレン鎖を有するポリメタクリル酸やポリアクリレートのようなグラフトコポリマー及びエステル基やエーテル基を有するランダムコポリマー、ポリエチレングリコール類、例えば、MW:200〜8000のもの、MW:400のPEGジオレエート、及びMW:600のPEGジオレエート、ソルビタン脂肪酸エステルエトキシレート類、例えば、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレエート、及びポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート、並びにそれらの混合物よりなる群から選択される前記好適な乳化剤と、
を有する第1の組成物を調製することと、
水中に分散された前記ポリ塩素化(Cu II)フタロシアニンである第2の組成物を調製することと、
該第1の組成物及び該第2の組成物の一方又は両方に前記シリコーン界面活性剤を添加することと、その後、使用前に、
有効量の該第1の組成物を有効量の該第2の組成物と混合することと(ただし、前記ポリ塩素化(Cu II)フタロシアニンは、その中に分散されかつ安定である)、
を含む、前記調製方法。
【請求項10】
前記水中油型エマルジョンを形成するために前記第1の組成物と前記第2の組成物との混合物を水で希釈すること、
をさらに含み、前記水中油型エマルジョンのパラフィン系油部分が、約1ガロン/エーカー(0.093L/100m)〜約15ガロン/エーカー(1.395L/100m)の範囲内で前記芝草に送達され、前記水中油型エマルジョンの全スプレー散布液量が、約20ガロン/エーカー(1.86L/100m)〜約200ガロン/エーカー(18.6L/100m)の範囲内である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記有効量の約25%〜約75%の前記第1の組成物と約25%〜約75%の前記第2の組成物とを混合することと、
強化製剤を形成するために、脱メチル化阻害剤、メチルベンゾイミダゾールカルバメート、及びジカルボキシイミドよりなる群から選択されるラベル表示推奨量の約25%〜約75%の化学殺菌剤を添加することと、
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記水中油型エマルジョンを形成するために前記強化製剤を水で希釈すること、
をさらに含み、前記水中油型エマルジョンのパラフィン系油部分が、約1ガロン/エーカー(0.093L/100m)〜約15ガロン/エーカー(1.395L/100m)の範囲内で前記芝草に送達され、前記水中油型エマルジョンの全スプレー散布液量が、約20ガロン/エーカー(1.86L/100m)〜約200ガロン/エーカー(18.6L/100m)の範囲内である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載の殺菌製剤の調製方法であって、
前記パラフィン系油と、
天然又は合成のアルコールエトキシレート類、例えば、ポリオキシエチレン(4〜7)ラウリルエーテル(C12)、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル(C16)、ポリオキシエチレン(2〜11)C12〜C15アルコール、ポリオキシエチレン(3〜9)C11〜C14アルコール、ポリオキシエチレン(9)C12〜C14アルコール、高分子界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレン鎖を有するポリメタクリル酸やポリアクリレートのようなグラフトコポリマー及びエステル基やエーテル基を有するランダムコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル類、例えば、ソルビタントリステアレート及びソルビタントリオレエート、並びにそれらの混合物よりなる群から選択される前記好適な乳化剤と、
油中に分散された前記ポリ塩素化(Cu II)フタロシアニンと、
前記シリコーン界面活性剤と(ただし、前記シリコーン界面活性剤は、式(IV):
−O−(CH−CH−O)−R 式(IV)
〔式中、R=H又はCH=CH−CH又はCOCH
で示されるポリエチレングリコール類(PEG)をさらに含む)、
を有する単一組成物を調製すること、
を含む、前記調製方法。
【請求項14】
前記水中油型エマルジョンを形成するために前記単一組成物を水で希釈すること、
をさらに含み、前記水中油型エマルジョンのパラフィン系油部分が、約1ガロン/エーカー(0.093L/100m)〜約15ガロン/エーカー(1.395L/100m)の範囲内で前記芝草に送達され、前記水中油型エマルジョンの全スプレー散布液量が、約20ガロン/エーカー(1.86L/100m)〜約200ガロン/エーカー(18.6L/100m)の範囲内である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
約25%〜約75%の前記単一組成物を混合することと、
強化製剤を形成するために、脱メチル化阻害剤、メチルベンゾイミダゾールカルバメート、及びジカルボキシイミドよりなる群から選択されるラベル表示推奨量の約25%〜約75%の化学殺菌剤を添加することと、
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記水中油型エマルジョンを形成するために前記強化製剤を水で希釈すること、
をさらに含み、前記水中油型エマルジョンのパラフィン系油部分が、約1ガロン/エーカー(0.093L/100m)〜約15ガロン/エーカー(1.395L/100m)の範囲内で前記芝草に送達され、前記水中油型エマルジョンの全スプレー散布液量が、約20ガロン/エーカー(1.86L/100m)〜約200ガロン/エーカー(18.6L/100m)の範囲内である、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2011−525494(P2011−525494A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515034(P2011−515034)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【国際出願番号】PCT/CA2009/000862
【国際公開番号】WO2009/155693
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(510340883)サンコー エナジー インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】