説明

顕微鏡照明方法及び顕微鏡

【課題】透過光明視野照明や入射光蛍光照明において顕微鏡を用いた試料の解析を改善すること、及び蛍光像における破壊的な放射を低減すること。
【解決手段】顕微鏡において試料(10)を照明する方法であって、試料(10)は透過光明視野照明手段か入射光蛍光照明手段によって解析され、透過光明視野照明の光源として白色光LED(4)が使用され、入射光蛍光照明の間に透過光明視野照明の照明ビーム路における位置でシャッタ(6)がアクティブ化され、このシャッタ(6)が、透過光明視野照明の間に非アクティブ化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡照明方法、この種の顕微鏡照明方法用の点灯(ライティング)モジュール、この種の点灯モジュールの使用法、並びに透過光明視野照明や入射光蛍光照明において試料を解析するための顕微鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
細胞診及び病理学では、染色試料が、一般に透過明視野照明で顕微鏡により解析される。顕微鏡により解析される試料の色は、診断の重要な基準である。例えば、位相コントラスト又は微分干渉コントラスト(DIC)等のコントラスト方法による他の顕微鏡解析では、試料の色はあまり重要ではない。この種のコントラスト方法では、非染色試料が解析され、透過明視野顕微鏡では主に透明に見える。コントラスト方法が続けて使用されて、試料の位相特性を可視化する。
【0003】
蛍光顕微鏡はさらなる既知の解析方法である。この文脈の中では、解析すべき試料は、励起フィルタとして知られるものを通る入射光照明ビーム路により照明される。励起光は、蛍光染色された物体を蛍光させ、発せられた蛍光が結果として生成される試料の顕微鏡像を決める。これらの顕微鏡方法は本質的に、比較的長い期間にわたって知られている。詳しくは入手可能な先行技術を参照のこと。
【0004】
過去数十年では、ハロゲン灯が、例えば、透過光明視野照明のために、顕微鏡での照明手段として使用されてきた。ハロゲン灯が発する光は主に、黒体の連続スペクトルに対応する。一般に、熱保護フィルタも、ハロゲン灯を備えた照明モジュールに内蔵され、発せられる放射線の赤外線範囲を大幅に減衰する。吸収ガラス(2mm厚のKG1)が、熱保護フィルタとして使用されることが多い。結果として生成される照明の連続スペクトルは、ユーザによる色評価を可能な限り確実にする。
【0005】
特定の光源を用いる照明の場合、演色評価数(CRI)として知られるものが色の評価に重要である。これは、等しい相関色温度の光源の演色品質を示すために使用することができる測光値であると理解される。色温度5000Kまでは、対応する色温度の黒体から発せられる光が、演色品質を評価する基準として使用される。5000Kを超える色温度では、日光のようなスペクトル分布が基準として使用される。例えば、それ自体が黒体の良好な近似である家庭のフィラメント電球の演色を計算する場合、2700Kの温度を有する黒体のスペクトルが使用される。可視波長範囲の等しい(相関)色温度の黒体のスペクトルを完全に模倣する任意の光源が、演色評価数100を達成する。ハロゲン灯もフィラメント電球と同様に、最高で100の演色評価数を達成することができる。
【0006】
顕微鏡法では、ハロゲン灯は次第に、既知の利点を有する発光ダイオード(以下ではLED)で置き換えられつつある。これらの利点としては、低消費電力で高い光放射性及び長寿命が挙げられる。透過光照明の場合、白色LEDが主に使用される。白色標準LEDでは、青色、紫色、又はUVのLEDが光輝性材料と組み合わせられる。青色LEDが一般に利用され、黄色の光輝性材料と組み合わせられる。複数の異なる光輝性材料(一般に赤、緑、及び青)を含むUV LEDを使用することもできる。加法混色の原理によれば、白色光がこの主のLEDにより生成される。このように製造される構成要素は良好な演色性を有し、演色評価数は70〜90である。しかし、白色LEDは連続スペクトルを発さない。青色LEDに基づく白色光LEDは、青色スペクトル範囲内(約450nm)で強い放射を有し、青緑(約500nm)波長範囲で最小を有し、より高い波長でより広い放射範囲を有し、約550nmで最大であり、約650nmで大きく下がる。
【0007】
LEDの種類に応じて、約450nmでの最大強度に対する500nmでの最小強度の比率は通常、約10〜20%である。試料照明としてこの種の不連続スペクトルを使用する場合、色評価はより困難であり、ハロゲン灯による顕微鏡照明の場合で得られる経験値と異なる。
【0008】
上記導入部で扱った特定の問題が蛍光顕微鏡で生じる。上述した透過光明視野照明の場合において、蛍光顕微鏡の可能性もあるならば、本発明者等は以下の作用を発見した。蛍光励起のための励起光の大部分が、試料を透過し、透過光照明軸に沿って透過光照明源に達する。白色光LEDがこれに関して用いられるならば、青色励起光は白色LED内の黄緑変換色素を励起させ、そのために黄緑光が透過光照明軸に沿って試料に達する。これは、蛍光像の破壊的な背景として知覚され、試料からの実際の蛍光にかなり重複する。この作用は、白色光LEDがオフに切り替えられる場合であっても生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、透過光明視野照明や入射光蛍光照明において顕微鏡を用いた試料の解析を改善すること、及び蛍光像における破壊的な放射を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、顕微鏡によって試料を照明する方法に関し、請求項1にしたがって、試料を透過光明視野照明又は入射光蛍光照明において解析する。本発明は更に、この種の方法のための点灯モジュールに、この種の点灯モジュールの使用に、そして適切な顕微鏡システムに関している。
【0011】
本発明の有利な構成や利点は夫々の従属請求項、以下の記載及び添付図面に見出すことができる。
【0012】
本発明によれば、白色光LEDが透過光明視野照明用光源として使用され、入射光蛍光正面手段が作動される場合(アクティブ化される場合)に、シャッタが透過光明視野照明手段の照明ビーム路における位置で積極的に作動され、透過光明視野照明手段が作動される場合に、このシャッタが積極的に不作動とされることが提案される。
【0013】
表現「透過光明視野照明の照明ビーム路内の位置でシャッタをアクティブ化する」は、そのスクリーニング機能を果たし、それ故に光の通過に対して完全に照明軸をブロックするために、透過光照明軸にシャッタを配置し、或いは透過光照明軸へシャッタを導入することを含むことを意図している。透過光照明軸上に常置されアクティブ化/非アクティブ化可能な電気機械式シャッタ或いは電気光学式シャッタもまた考えられる。「アクティブ化」は照明ビーム路を遮ることを意味し、「非アクティブ化」は配置されたシャッタの位置でできる限り妨げられない光の通過を意味する。シャッタは試料と白色光LEDの間で透過光照明軸上に配置されるか、配置可能である。
【0014】
既知のシャッタは特に、スクリーン開口なしで旋回出し入れ可能なスクリーン、スクリーン開口を備える位置とスクリーン開口のない位置の間で特に電子的に切り換え可能な絞りスクリーン、最大透過率モードと最小透過率モードの間で切り換え可能な電気光学シャッタの他の形式(例えば透過ディスプレイ)を含む。
【0015】
光源の素早いアクティブ化/非アクティブ化のためにシャッタを使用することが光源としてハロゲンランプを使用する、先の在来型透過光照明の場合には適切であり得た一方、LEDが非常に素早く切り換え可能なので、LEDが光源として用いられて以来ずっと、このためのシャッタの使用は一般にはもはや廃れたものになっていた。本発明において、この種のシャッタが、全く異なる目的のためではあるが、図示された証明構成の場合において再び照明システムに組み入れられる。
【0016】
本発明によれば、上記シャッタは入射光蛍光照明中に透過光明視野照明の照明ビーム路における位置に積極的に導かれ、あるいはアクティブ化される。透過光照明のための光源、すなわち、白色光LEDがスイッチオフされる場合ですら、シャッタが透過光明視野照明の照明ビーム路における位置に導かれ、あるいはアクティブ化されることが強調される。
【0017】
冒頭に述べたように、蛍光照明の(青色)励起光の大部分はその蛍光励起中に試料を通って、透過光照明軸に沿って白色光LEDに進み、そこで白色光LEDがオフに切り替えられている場合でも黄緑変換色素を励起して、黄緑光が生成されるので、透過光軸上で試料と白色光LEDの間に配置されているシャッタが、このメカニズムを完全に遮ることができ、このようにして白色光LEDにおける黄緑変換色素の励起を既に効果的に防ぐ。本発明によれば、この黄緑光の結果として生じる破壊的な背景がそれ故に完全に除去され得る。
【0018】
白色光LEDのすぐ上流の位置でシャッタをアクティブ化することが目的に適っている。「すぐ上流」は、シャッタと白色光LEDの間に別の物が位置しないこと、及びシャッタが白色光LEDに最も適切に近接して配置され、このLEDから出るビーム路又はこのLEDに当たるビーム路をブロックすることを意味する意図である。シャッタのそのような接近した配置において、シャッタのサイズは白色光LEDのチップのサイズにほぼ減らすことが可能である。機械的なシャッタが小さなサイズ、即ち、例えば旋回されるべきスクリーンが小さいサイズであると、大きな塊を動かすことなく、シャッタを非常に素早く動かし、操作可能であるので、有利である。そして、このことは最終的に、メンテナンスフリーで素早くシャッタをアクティブ化/非アクティブ化することを可能とする。
【0019】
シャッタのサイズは、白色光LEDのチップのサイズの少なくとも2倍のサイズであるように選択可能である。そしてシャッタはそのサイズにしたがって、白色光LEDから適切に隔たって透過光照明軸上に配置され、その結果、シャッタは透過光明視野照明の照明ビーム路を完全にブロックし、あるいは遮る。この種の配置において、入射光蛍光照明から伝播する励起光が透過光照明軸に沿って前方、透過光明視野照明の白色光LEDまで続くことがないことも保証される。
【0020】
シャッタが機械的な拘束接続(ポジティブカップリング/強制連結)によって自動的にアクティブ化され、あるいは非アクティブ化されることが目的に適っている。そのアクティブ化に関して、入射光蛍光照明手段はシャッタに機械的に作用接続して、シャッタは自動的にアクティブ化される。逆に、透過光明視野手段がアクティブ化される場合、このシャッタは対応する機械的な拘束接続によって自動的に非アクティブ化される。
【0021】
一般的にシャッタの拘束的/強制的な非アクティブ化は、入射光蛍光照明手段がスイッチオフされる場合に、代わりに起こり得る。
【0022】
シャッタを拘束的にアクティブ化/非アクティブ化するモータによってシャッタを作動させることが目的に適っている。このために、例えば或る種のひしゃくやパドルがモータ軸に固定され得る。そしてモータが「シャッタアクティブ化」端位置と「シャッタ非アクティブ化」端位置の間で小さな回転移動を生じる。本発明に係る顕微鏡システムに関連して以下に記載するように、制御デバイスを介した制御が特に有利である。
【0023】
本発明は更に、顕微鏡における試料の照明のための点灯モジュールに関する。試料は透過光明視野照明と入射光蛍光照明の両方で解析可能である。点灯モジュールは、透過光明視野照明のための光源として白色光LEDを、そして透過光明視野照明の照明ビーム路における位置でアクティブ化/非アクティブ化可能に配置されたシャッタを備える。通例のように、点灯モジュールは透過光明視野照明の照明ビーム路において結合すべく顕微鏡に接続可能である。
【0024】
点灯モジュールの目的に適った構成に関して、本発明に係る方法に関連した上記記述に言及する。更なる構成もまた、以下に記載される本発明に係る顕微鏡に関連して記載される。本発明の特有の面(アスペクト)の構成の全てがまた、他の面の各々に適用されるものであるという事実に明示的に言及する。
【0025】
本発明に係る点灯モジュールは特に本発明に係る上記方法のために用いることができる。
【0026】
最後に、本発明は、透過光明視野照明や入射光蛍光照明で試料を解析する顕微鏡にも関し、対応する照明ユニットを切り替えることによって簡単にこの顕微鏡を用いて、少なくとも交互に2つのオプションをもたらすことが可能である。このために、顕微鏡は、透過光明視野照明手段と、入射光蛍光照明手段とを備える。白色光LEDが、透過光明視野照明手段のための光源として設けられる。入射光蛍光照明において試料を解析する間に透過光明視野照明の照明ビーム路における位置でシャッタを拘束的にアクティブ化することも可能である一方、透過光明視野照明において試料を解析する間にシャッタを拘束的に非アクティブ化することが可能である。
【0027】
この種の顕微鏡の利点や可能な構成に関しては、一般的に上述の内容に言及される。特に、透過光照明手段の少なくとも部分が収容される点灯モジュールを設けることが有利である。この種の点灯モジュールは白色光LEDとシャッタを備えることが目的に適っている。透過光照明ビーム路を平行にするための照明光学系もまた任意に、点灯モジュール内に収容される。在来のように、点灯モジュールは透過光照明ビーム路内に入れるために顕微鏡に接続され得る。
【0028】
上に述べられたように、また目的に適って点灯モジュール内に収容可能なモータを介してシャッタを操作することが目的に適っている。
【0029】
制御装置を用いて、この種の顕微鏡システムにおいて本発明に係る方法を実施することが特に有利である。このために、制御装置は一方で入射光蛍光照明手段に接続され、他方で透過光明視野照明手段に、特に点灯モジュールに接続されている。このようにして、制御装置は、入射光蛍光照明手段のアクティブ化を記録することができ、それゆえに特にモータ作動されるシャッタをアクティブ化することができる。そして制御装置は、入射光蛍光照明手段の非アクティブ化の状態で、あるいは代わりに透過光明視野照明手段の白色光LEDのアクティブ化の状態でのみ、特にモータ作動されるシャッタを非アクティブ化することができる。述べられた制御機構は、上記電気光学シャッタのように、モータ作動されないシャッタの場合にも設けることが明らかに可能である。
【0030】
上記特徴及び以下に説明される特徴が、本発明の範囲から逸脱せずに、それぞれ述べられた組み合わせのみならず、他の組み合わせ又は分離して使用することも可能なことは言うまでもない。
【0031】
本発明は、実施形態として図面に概略的に示され、図面を参照して以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る顕微鏡の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、主構成要素と共に本発明に係る顕微鏡1の構成を示す概略図であり、顕微鏡システム1は、入射光蛍光照明と透過光明視野照明において試料10を解析するように設計されており、照明のこれら2種類は通常、代わる代わる行われる。
【0034】
入射光蛍光照明手段2は、以下の構成要素を備える:入射光照明光源17、例えば、水銀灯、及び入射光照明軸16に配置された蛍光フィルタブロック12。蛍光フィルタブロック12はスペクトル励起フィルタ14を備え、入射光照明光の伝播方向において、スペクトル励起フィルタ14の後にビームスプリッタ13が続いている。励起フィルタ14は、試料10内の蛍光を励起させるのに適した1つ又は複数の波長範囲の選択に使用される。ビームスプリッタ13は、フィルタ14を通って試料10に送られる励起光を偏向させる。ブロックフィルタ15が蛍光フィルタブロック12に更に設けられている。ブロックフィルタ15は、試料から発せられた蛍光のみが看者に達し、したがって、励起光をブロックすることを保証する。
【0035】
透過光明視野照明手段3は次の構成要素を備える;光源として白色光LED4、これに続く照明光の平行化のための照明レンズ5、そして最後に試料10の下に配置された偏向ミラー8である。シャッタ6も透過光照明軸7上に配置可能であり、シャッタ6は白色光LED4と試料10の間、特に白色光LED4と偏向ミラー8の間に配置可能であるが、特に白色光LEDのすぐ上流に配置されるのが特に有利で、言い換えれば、この場合、白色光LEDD4と照明レンズ5の間に配置されるのが特に有利である。図示の場合、シャッタは透過光照明軸7上で白色光LED4のすぐ上流に位置し、それゆえに白色光LEDからの光を完全に遮蔽する。図1に係る実施形態において、透過光明視野照明手段3の幾つかの構成要素はまた、点灯モジュール25に収容される。これら構成要素は特に白色光LEDとシャッタ6を含む。電動シャッタの場合、点灯モジュール25にモータ28を収容することも適切である。図示の場合、照明レンズ5も点灯モジュールに収容される。点灯モジュール25は、透過光照明ビーム路を顕微鏡1に連結するための適切な形状のインターフェイスを介して、顕微鏡1に接続可能である。
【0036】
顕微鏡1のさらなる既知の従来構成要素は、顕微鏡台9と、顕微鏡台9の上に配置される試料10とを含み、顕微鏡台9は、焦点を合わせるために、顕微鏡のスタンド24に設けられた焦点合わせつまみ20によりz方向、すなわち、光軸18に平行に調整可能である。顕微鏡対物レンズ11、顕微鏡レンズ管23、及び接眼部19が更に示され、最後にカメラ22が接続されたカメラポート21が示される。対物レンズ11は、複数の異なる対物レンズを担持する対物レンズタレットの構成要素であってもよい。レンズ管23は、内部に、看者及びカメラ22に顕微鏡の撮像ビーム路を偏向させる役割を果たす偏向プリズム(明確にするために図示せず)を備える。
【0037】
入射光蛍光照明手段2により生成される入射光照明ビーム路は、軸16を有し、図1に示される矢印に沿って伝播する。上記経路はまず励起光フィルタ14を通り、ビームスプリッタ13により試料10に向けて偏向される。蛍光は試料内で励起するが、励起光の大部分は実際に試料10を透過し、透過光照明軸7に沿って透過光明視野照明手段3内に伝播する。偏向ミラー8を介して、励起光は透過光照明軸7に沿って点灯モジュール25に達し、すなわち、特に照明レンズ5を介して白色色LED4に達する。
【0038】
特に青色励起(例えばFITCやGFPのような蛍光色素)用フィルター系12の場合において、この青色励起光は、白色光LED内の変換色素の励起に極めてよく適し、上記色素に黄緑範囲の光を発せさせる。この光(ここでも矢印で示される)は、透過光照明軸7に沿って偏向ミラー8に向かって伝播し、偏向ミラー8から試料10に続く。黄緑光は、試料10から対物レンズ11を介して蛍光フィルタブロック12に続き、ブロックフィルタ15を透過して接眼部19又はカメラ22に達する。対策なしでは、この作用は、蛍光像内の黄緑背景としてかなり破滅的に目立つようになる。
【0039】
アクティブ化可能なシャッタ6によって、白色光LEDを完全に遮蔽するために、即ち、青色励起での放射作用から白色光LEDを護るために、蛍光照明の間にシャッタ6をアクティブ化するならば、蛍光像内の破滅的な黄緑背景をなくすことが可能である。
【0040】
このために、蛍光照明の場合、シャッタ6は透過光照明軸7上に配置される。理論上、制御のために制御装置27が設けられ、蛍光入射光照明手段2に作動接続され、一般的には透過光明視野照明手段3に、特別には点灯モジュール25に作動接続される。結果として、入射光蛍光照明手段2の光源17のアクティブ化が検知可能である。それに関して、制御装置27はモータ28をアクティブ化し、モータはシャッタ6を動かす。モータ28は透過光照明軸7上でシャッタ6を位置決めするのに用いられる信号を供給される。このようにして、白色光LED4は、試料10を通過する青色励起光での放射作用から保護される。他方、シャッタ6の下流側の透過光照明軸に沿った透過光ビーム路の伝播は、白色光LED4がアクティブ化されても、明らかにもはや可能ではない。
【0041】
制御装置27は更に点灯モジュール25に、特に白色光LED4若しくは特にこの白色光LED4のために設けられた制御システムに接続されている。結果として、白色光LED4のアクティブ化が検出可能である。例えば、白色光LED4がアクティブ化される場合、透過光照明ビーム路をフリーにするため、シャッタ6がモータ28への対応する信号を介して透過光照明軸7から取り外され得る。他の選択において、白色光LED4がスイッチオンされ光源17がスイッチオフされる場合にのみ、これは実行可能である。シャッタ6が透過光照明軸7から取り外されるならば、透過光照明ビーム路は照明レンズ5と偏向ミレー8を介して試料10に伝播され得る。
【0042】
シャッタ6が図1に示すように、白色光LED4のすぐ上流側に配置される場合、シャッタのサイズを限定することが可能で、すなわち、例えばひしゃく形状スクリーンのサイズを白色光LED4上の発光チップのサイズか、その2倍、特に少なくとも1.1倍から1.5倍のサイズに限定することが可能である。それ故に、これによって、シャッタ有効面を非常に小さなものとすることができ、したがってモータ28によって容易に操作可能である。代替的に、シャッタ6とモータ28の構成の代わりに、例えば制御装置27によって直接アクティブ化される電子光学式の透過ディスプレイを設けることができる。このディスプレイ上に、透過光照明ビーム路の妨げられない進行のための対応開口が「シャッタ非アクティブ化」機能においてフリーにされ得る一方、この区域は「シャッタアクティブ化」機能において不透過にされる。
【符号の説明】
【0043】
1 顕微鏡
2 入射光蛍光照明手段
3 透過光明視野照明手段
4 白色光LED
5 照明光学系
6 シャッタ
7 透過光照明軸
8 偏向ミラー
9 顕微鏡台
10 試料
11 対物レンズ
12 蛍光フィルタブロック
13 ビームスプリッタ
14 励起フィルタ
15 ブロックフィルタ
16 入射光照明軸
17 入射光照明光源
18 光軸
19 接眼部
20 焦点合わせつまみ
21 カメラポート
22 カメラ
23 レンズ管
24 スタンド
25 点灯モジュール
27 制御装置
28 モータ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡において透過光明視野照明手段か入射光蛍光照明手段によって試料(10)を照明する方法であって、
透過光明視野照明の光源として白色光LED(4)が使用され、
前記入射光蛍光照明手段のアクティブ化に際して前記透過光明視野照明手段の照明ビーム路における位置でシャッタ(6)が拘束的にアクティブ化され、
このシャッタ(6)は、前記透過光明視野照明手段のアクティブ化に際して拘束的に非アクティブ化される、方法。
【請求項2】
前記シャッタ(6)が前記白色光LED(4)のすぐ上流の位置でアクティブ化されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シャッタが、機械的な拘束接続を用いて自動的にアクティブ化され、あるいは非アクティブ化されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記シャッタ(6)が、前記シャッタ(6)を自動的にアクティブ化し、あるいは非アクティブ化するモータ(28)によって作動されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
顕微鏡において試料(10)を照明するための点灯モジュール(25)であって、透過光明視野照明手段か入射光蛍光照明手段によって試料(10)を解析することが可能であり、透過光明視野照明の光源として白色光LED(4)を有し、前記透過光明視野照明手段の照明ビーム路における位置で拘束的にアクティブ化、非アクティブ化されることが可能なように配置されたシャッタ(6)を有する、点灯モジュール。
【請求項6】
前記シャッタ(6)が前記白色光LED(4)のすぐ上流側に配置され得ることを特徴とする請求項5に記載の点灯モジュール。
【請求項7】
前記シャッタ(6)を作動するためのモータ(28)が前記シャッタ(6)を拘束的にアクティブ化、非アクティブ化するために設けられていることを特徴とする請求項6に記載の点灯モジュール。
【請求項8】
透過光明視野照明手段か入射光蛍光照明手段を用いて照明される試料(19)を顕微鏡において照明するために請求項5〜7のいずれか一項に記載の点灯モジュールの使用法であって、透過光明視野照明のための光源として白色光LED(4)が用いられ、前記入射光蛍光照明手段のアクティブ化に際して前記透過光明視野照明手段の照明ビーム路における位置でシャッタ(6)が拘束的にアクティブ化され、このシャッタ(6)が前記透過光明視野照明手段のアクティブ化に際して拘束的に非アクティブ化される、点灯モジュール使用法。
【請求項9】
透過光明視野照明か入射光蛍光照明において試料(10)を解析するための顕微鏡システム(1)であって、透過光明視野照明手段(3)と入射光蛍光照明手段(2)とを有し、前記透過光明視野照明手段のための光源として白色光LED(4)が設けられ、前記透過光明視野照明手段(3)の照明ビーム路における位置でシャッタ(6)が配置されることで、このシャッタが前記入射光蛍光照明手段のアクティブ化に際して拘束的にアクティブ化可能であり、このシャッタが前記透過光明視野照明手段のアクティブ化に際して拘束的に非アクティブ化可能である、顕微鏡システム。
【請求項10】
前記白色光LED(4)と前記シャッタ(6)が点灯モジュール(25)内に配置され、前記点灯モジュール(25)を顕微鏡に接続して、前記透過光明視野照明手段の照明ビーム路を前記顕微鏡につなぐことが可能であることを特徴とする請求項9に記載の顕微鏡システム。
【請求項11】
前記透過光明視野照明手段(3)の点灯モジュール(25)と前記入射光蛍光照明手段(2)とに制御装置(27)を作動接続して、前記入射光蛍光照明手段(2)の作動に際して前記シャッタ(6)が拘束的にアクティブ化され、前記透過光明視野照明手段(3)の作動に際して前記シャッタ(6)が拘束的に非アクティブ化されることを特徴とする請求項10に記載の顕微鏡システム。
【請求項12】
前記制御装置(27)が前記点灯モジュール(25)に収容されたモータ(28)に作動接続されて、モータ作動するシャッタ(6)を拘束的にアクティブ化し、あるいは非アクティブ化することを特徴とする請求項11に記載の顕微鏡システム。


【図1】
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【公開番号】特開2013−29837(P2013−29837A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−165673(P2012−165673)
【出願日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【出願人】(500178876)ライカ マイクロシステムス ツェーエムエス ゲーエムベーハー (80)
【Fターム(参考)】