説明

類似画像判定装置、およびプログラム

【課題】原画像と検索対象画像の類否判定を容易に行うことができる類似画像判定装置を提供する。
【解決手段】類似画像判定装置1は、検索対象画像の輝度レベルを抽出する検索対象画像処理部22と、原画像の輝度レベルを抽出する原画像処理部13と、検索対象画像が原画像に類似しているか否かを判定する画像比較部23とを備えている。類似画像判定装置1は、正規化濃度値ヒストグラムを作成し、検索対象画像における輝度レベルの生起確率と原画像における輝度レベルの生起確率とを比較して検索対象画像と原画像とが類似しているか否かを判定する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検索対象画像が原画像に類似している(同一も含む)か、または検索対象画像が原画像の一部に類似しているか(同一も含む)否かを判定する類似画像判定装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータの高性能化、ネットワーク通信の高速化およびマンマシンインターフェースの高機能化等に伴って、画像をデジタルデータ化したり、デジタルデータ化された画像を蓄積したりすることが容易になってきている。また、画像の複製技術も向上しており、違法に複製された画像がネットワークにあげられるといった問題も多く発生している。このような状況のもと、不適切な画像を検索することを目的とした画像検索が多く行われている。
【0003】
データベースやネットワーク上に蓄積された画像の中から所望の画像を検索する場合、画像の特徴を表すキーワードを用いる方法が一般に用いられる。しかしながら、この方法では、検索対象となる画像にキーワードが登録されていなかったり、異なるキーワードが登録されていると、検索することはできない。
【0004】
そこで、キーワードを使用することなく、所望の画像を検索する方法が提案されている。例えば、特許文献1には自己相関関数を用いる方法が記載されている。
この方法では、まず、データベースやネットワーク上に蓄積された画像の中から、ひとつの画像(以下、「検索対象画像」)を選択する。そして、原画像および検索対象画像から求めた自己相関関数をそれぞれ複数の区間に分ける。そして、各区間における画素値の分布を指数関数、正弦関数、3次多項式で表し、これら関数または式の相関に基づいて原画像と検索対象画像とが類似しているか否かを判定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4134024号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1のように、検索対象画像から求めた自己相関関数を複数の区間に分け、それぞれの区間において指数関数、正弦関数、3次多項式で表した類似関数を求め、これら複数の関数のそれぞれの相関を決定することで画像の類否判定を行うものとした場合、処理工程が多くなり、処理が複雑なものとなってしまう。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題を解決するためになされたものであって、原画像と検索対象画像の類否判定を行う際、処理が複雑になることを抑制することができる類似画像判定装置、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一態様は、上記課題を解決するためになされたものであり、検索対象画像と原画像とが類似しているか否かを判定する類似画像判定装置であって、前記検索対象画像の特徴量を抽出する検索対象画像処理手段と、前記原画像の特徴量を抽出する原画像処理手段と、前記検索対象画像が前記原画像に類似しているか否かを判定する類否判定処理を実行する判定手段とを備え、前記類否判定処理は、前記検索対象画像処理手段を通じて得られた前記検索対象画像の特徴量の頻度分布と前記原画像処理手段を通じて得られた前記原画像の特徴量の頻度分布とを比較して前記検索対象画像と前記原画像とが類似しているか否かを判定することを特徴とする。
【0009】
同構成によれば、特徴量の頻度分布を比較することで類否判定を行うようにしているため、画像の特徴を表示するために関数等を適用する場合と比較して処理工程が少なくなる。このため、原画像と検索対象画像とが類似しているか否かについての判定(類否判定)を容易に行うことができるようになる。
なお、本発明における特徴量としては、画像中の画素の輝度信号や色信号(カラー信号)の濃度、および隣接する画素間の差分値等を用いることができる。または、これら輝度信号や色信号(カラー信号)の濃度に基づいて濃度値ヒストグラム等の統計量を計算し、これを特徴量として用いることもできる。
【0010】
本発明の第二態様は、第一態様にかかる類似画像判定装置であって、前記類否判定処理は、前記検索対象画像における前記特徴量の生起確率と、前記原画像における前記特徴量の生起確率との相関係数を計算し、前記相関係数が所定値以上であることをもって前記検索対象画像と前記原画像とが類似していると判定することを特徴とする。
【0011】
本発明の第三態様は、第一態様または第二態様にかかる類似画像判定装置であって、前記検索対象画像処理手段は、前記検索対象画像の前記特徴量の頻度分布に対して平滑化処理を実行し、前記原画像処理手段は、前記原画像の前記特徴量の頻度分布に対して平滑化処理を実行することを特徴とする。
【0012】
検索対象画像が原画像を圧縮したものである場合、検索対象画像と原画像とは、見掛け上は類似していても、検索対象画像の特徴量の頻度分布と原画像の特徴量の頻度分布とは異なるものとなることがある。そして、このような頻度分布の違いに起因して、検索対象画像と原画像とは類似していないと判定してしまうことがある。
この点、同構成によれば、検索対象画像および原画像の特徴量の頻度分布に対して平滑化処理を施すことにより、圧縮処理に起因する頻度分布の変化を低減することができ、ひいてはこの圧縮処理が類否判定処理に与える影響を低減することができるようになる。
【0013】
本発明の第四態様は、第一態様〜第三態様のいずれかにかかる類似画像判定装置であって、前記検索対象画像処理手段は前記検索対象画像の寸法を検出するものであり、前記判定手段は、前記検索対象画像の寸法が前記原画像の寸法よりも小さいときには、前記検索対象画像に対して第一検索領域を設定するとともに、前記原画像に対して前記第一検索領域と同一の寸法を備える第二検索領域を設定し、前記第一検索領域と前記第二検索領域との間で前記類否判定処理を実行するものであり、前記第一検索領域の画像と前記第二検索領域の画像とが類似していると判定したときには、前記第一検索領域および前記第二検索領域に基づいて前記原画像から前記検索対象画像が表示されていると推定される領域を抽出し、当該領域と前記検索対象画像との間で前記類否判定処理を実行することを特徴とする。
【0014】
検索対象画像が原画像の一部のみと類似する場合(例えば、検索対象画像が原画像をトリミングした画像である場合)は、原画像には検索対象画像を構成する画像以外の画像が含まれることとなる。このため、検索対象画像の特徴量の頻度分布と原画像の特徴量の頻度分布とは異なるものとなり、検索対象画像と原画像とは類似していないと判定してしまうことがある。この点、同構成によれば、原画像から検索対象画像が表示されていると推定される領域を抽出し、当該領域と検索対象画像との間で類否判定処理を実行するようにしている。このため、検索対象画像が原画像の一部のみと類似する場合であっても、原画像のうち当該検索対象画像に類似する画像が表示されていると推定される領域と、検索対象画像との間で類否判定処理を実行することができる。このため、検索対象画像が原画像の一部のみと類似する画像である場合に、検索対象画像と原画像とが類似していないと判定してしまうことを抑制することができるようになる。
【0015】
本発明の第五態様は、第一態様〜第四態様のいずれかにかかる類似画像判定装置であって、前記判定手段は、前記検索対象画像が、所定角度回転させた前記原画像を含む可能性があるか否かを判定する回転判定処理を実行し、前記回転判定処理を通じて前記検索対象画像が所定角度回転させた前記原画像を含む可能性があると判定したときには、前記原画像を前記所定角度だけ回転させた回転原画像を含む検索用回転画像を作成し、前記検索対象画像のうち前記回転原画像に相当する領域と、前記原画像との間で前記類否判定処理を実行することを特徴とする。
【0016】
検索対象画像が、原画像を回転させた画像(回転原画像)に対して他の画像を付加したものである場合、検索対象画像の特徴量の頻度分布と原画像の特徴量の頻度分布とは異なるものとなる。このため、検索対象画像と原画像とは類似していないと判定してしまうことがある。この点、同構成によれば、検索対象画像が、回転原画像を含む可能性があると回転判定処理を通じて判定したときには、検索対象画像のうち回転原画像に相当する領域と、原画像との間で類否判定処理を実行するようにしているため、検索対象画像のうち原画像に相当する領域と、原画像との間で特徴量の頻度分布を比較することができる。このため、検索対象画像が、回転原画像に他の画像が付加された画像である場合であっても、この他の画像に起因して検索対象画像と原画像とが類似していないと判定してしまうことを抑制することができるようになる。
【0017】
本発明の第六態様は、検索対象画像と原画像とが類似しているか否かを判定する類似画像判定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記コンピュータに、前記検索対象画像の特徴量を抽出する検索対象画像処理ステップと、前記原画像の特徴量を抽出する原画像処理ステップと、前記検索対象画像処理ステップにおいて得られた前記検索対象画像の特徴量の頻度分布と、前記原画像処理ステップにおいて得られた前記原画像の特徴量の頻度分布とを比較して前記検索対象画像と前記原画像とが類似しているか否かを判定する類否判定ステップとを実行させるためのプログラムであることを特徴とする。
【0018】
本発明のプログラムは、本発明の第六態様にかかるプログラムであって、前記コンピュータに、前記類否判定ステップにおいて、前記検索対象画像における前記特徴量の生起確率と、前記原画像における前記特徴量の生起確率との相関係数を計算させ、前記相関係数が所定値以上であることをもって前記検索対象画像と前記原画像とが類似していると判定させるようにしてもよい。
【0019】
本発明のプログラムは、本発明の第六態様にかかるプログラムであって、前記コンピュータに、前記検索対象画像処理ステップにおいて、前記検索対象画像の前記特徴量の頻度分布に対して平滑化処理を実行させるとともに、前記原画像処理ステップにおいて、前記原画像の前記特徴量の頻度分布に対して平滑化処理を実行させるようにしてもよい。
【0020】
本発明のプログラムは、本発明の第六態様にかかるプログラムであって、前記コンピュータに、前記検索対象画像処理ステップにおいて前記検索対象画像の寸法を検出させ、前記コンピュータが前記検索対象画像の寸法が前記原画像の寸法よりも小さいと判定するときには、前記コンピュータに、前記検索対象画像に対して第一検索領域を設定させるとともに、前記原画像に対して前記第一検索領域と同一の寸法を備える第二検索領域を設定させ、前記第一検索領域と前記第二検索領域との間で前記類否判定ステップを実行させるものであり、前記コンピュータが前記第一検索領域の画像と前記第二検索領域の画像とが類似していると判定したときには、前記コンピュータに、前記第一検索領域および前記第二検索領域に基づいて前記原画像から前記検索対象画像が表示されていると推定される領域を抽出させ、当該領域と前記検索対象画像との間で前記類否判定ステップを実行させるようにしてもよい。
【0021】
本発明のプログラムは、本発明の第六態様にかかるプログラムであって、前記コンピュータに、前記検索対象画像が、所定角度回転させた前記原画像を含む可能性があるか否かを判定する回転判定ステップを実行させ、前記コンピュータが、前記回転判定ステップを通じて前記検索対象画像が所定角度回転させた前記原画像を含む可能性があると判定したときには、前記コンピュータに前記原画像を前記所定角度だけ回転させた回転原画像を含む検索用回転画像を作成させ、前記検索対象画像のうち前記回転原画像に相当する領域と、前記原画像との間で前記類否判定ステップを実行させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、原画像と検索対象画像の類否判定を行う際、処理が複雑になることを抑制することができる類似画像判定装置、およびプログラムを提供することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一実施形態にかかるコンピュータの構成、および類似画像判定装置の電気的な構成を示す概念図。
【図2】同実施形態にかかる類否判定処理の処理手順を示すフローチャート。
【図3】(a)は同実施形態にかかる原画像の一例を示す模式図、(b)は同実施形態にかかる検索対象画像の一例を示す模式図、(c)は同実施形態にかかる原画像に基づいて作成された正規化濃度値ヒストグラム、(d)は同実施形態にかかる検索対象画像に基づいて作成された正規化濃度値ヒストグラム。
【図4】(a)は本発明の第二実施形態にかかる原画像に基づいて作成された正規化濃度値ヒストグラム、(b)は同実施形態にかかる原画像に対して圧縮処理を施した画像に基づいて作成された正規化濃度値ヒストグラム。
【図5】同実施形態にかかる類否判定処理の処理手順を示すフローチャート。
【図6】本発明の第三実施形態にかかる類否判定処理の処理手順を示すフローチャート。
【図7】(a)は原画像の一例を示す模式図、(b)は検索対象画像の一例を示す模式図、(c)は(a)に示した原画像の一部を示す模式図。
【図8】本発明の第四実施形態にかかる類否判定処理の処理手順を示すフローチャート。
【図9】(a)は同実施形態にかかる原画像の一例を示す模式図、(b)は同実施形態にかかるテーブルΘ(Ro,Co)の作成方法を示すための説明図、(c)は検索対象画像の一例を示す模式図。
【図10】本発明の第五実施形態にかかる類否判定処理の処理手順を示すフローチャート。
【図11】同実施形態にかかる類否判定処理の処理手順を示すフローチャート。
【図12】(a)は原画像および原画像を幾何学変換した検索対象画像の一例を示す模式図、(b)は原画像と幾何学変換した検索対象画像との間の相関係数の計算結果を示す表。
【図13】(a)は回転させた原画像を含む検索対象画像の一例を示す模式図、(b)は検索対象画像とテーブルΘ(Ro,Co)に含まれる各画像との間の相関係数の計算結果を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第一実施形態)
以下、本発明を具体化した第一実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
まず図1を参照しながら、本実施形態にかかる類似画像判定装置1の概略構成について説明する。
【0025】
同図1は、本実施形態にかかるコンピュータの構成、および類似画像判定装置1の電気的な機能構成を示す。なお、図示はしないが、本実施形態にかかるコンピュータは、中央処理装置(CPU)、ハードディスクドライブ(HDD)、RAM等を内蔵するものである。そして、HDDには、類否判定処理を実行するためのプログラムが記憶されており、CPUがこのプログラムを実行することで、類似画像判定装置1が構成される。
なお、類似画像判定装置1を内蔵するコンピュータは、パーソナルコンピュータに限定されず、例えばPDA(Personal Digital Assistant)や携帯電話、携帯用ゲーム機、AV機器などでもよい。
【0026】
このようなプログラムは、フレキシブルディスクやCD−ROM等の可搬媒体に格納された状態で提供され、またはネットワーク上に接続された他のコンピュータの記憶装置から通信装置(図示せず)を介して提供される。
【0027】
同図1に示されるように、当該コンピュータは類似画像判定装置1、および類似画像判定装置1にて実行される類否判定処理の結果を出力する出力装置(ディスプレイやプリンタ等)である類似画像確認部25を備えるとともに、画像データベース(画像DB)31、インターネット41のいずれかまたは両方に接続されている。そして、当該コンピュータのHDDには原画像11に関する画像データ(以下、「原画像」)が記憶されている。
【0028】
ユーザがコンピュータ内のCPUに上述したプログラムを実行させて、類似画像判定装置1を起動させると、コンピュータは、まずインターフェース部12を介して取り込んだ原画像を、原画像処理部(本発明の「原画像処理手段」に相当)13にて所定のファイル形式(例えば、bmp,png等)に変換する。同様に、インターフェース部21を介して取り込んだ検索対象画像を、検索対象画像処理部(本発明の「検索対象画像処理手段」に相当)22にて所定のファイル形式(例えば、bmp,png等)に変換する。
【0029】
そして、原画像を構成する各画素の輝度信号を抽出し、抽出した輝度信号に基づいて正規化濃度値ヒストグラム(本発明の「特徴量の頻度分布」に相当)を作成する。同様に、検索対象画像を構成する各画素の輝度信号を抽出し、抽出した輝度信号に基づいて正規化濃度値ヒストグラム(本発明の「特徴量の頻度分布」に相当)を作成する。
【0030】
その後、原画像に基づいて作成された正規化濃度値ヒストグラムと、検索対象画像に基づいて作成された正規化濃度値ヒストグラムとは、それぞれ画像比較部23(本発明の「判定手段」に相当)に出力される。コンピュータは、この画像比較部23において、原画像に基づいて作成された正規化濃度値ヒストグラムと検索対象画像に基づいて作成された正規化濃度値ヒストグラムとを比較する。そして、類似画像判定部24(本発明の「判定手段」に相当)において、原画像と検索対象画像とが類似(同一も含む)しているか否かを判定する。
類似画像判定部24における判定結果は、出力装置である類似画像確認部25に出力される。
【0031】
以下、図2および図3を参照しながら、このような原画像と検索対象画像とが類似しているか否かを判定する類否判定処理の処理手順について詳細に説明する。
本処理が開始されると、まず、コンピュータは、原画像を取得する(ステップS101)。次に、検索対象画像を取得する(ステップS102)。
そして、原画像および検索対象画像に基づいて正規化濃度値ヒストグラムを作成する(ステップS103)。
【0032】
正規化濃度値ヒストグラムについて、図3を参照しながら説明する。図3(a)には原画像の一例を、同図3(b)には検索対象画像の一例を示す。また、同図3(c)には原画像に基づいて作成された正規化濃度値ヒストグラムの一例を、図3(d)には検索対象画像に基づいて作成された正規化濃度値ヒストグラムの一例を示す。
【0033】
同図3(c)および(d)に示されるように、本実施形態にて作成されるヒストグラムは、抽出した輝度信号を複数のブロックに分け、これを輝度レベルとして横軸にとっている。この輝度レベルは、右側ほど高くなるように並んでいる。
そして、縦軸には、検出された輝度レベルを画像に含まれる全画素数で正規化した値、すなわちその総和を100%とする相対値(以下、「生起確率」)を示している。
【0034】
このように正規化濃度値ヒストグラムを作成した後、コンピュータは、以下の(数1)を用いて、原画像に基づいて作成した正規化濃度値ヒストグラムと、検索対象画像に基づいて作成した正規化濃度値ヒストグラムとの間の相関係数rを計算する(ステップS104)。
【数1】

なお、「x」は原画像のi番目の輝度レベルの生起確率を示し、「x(上バー)」は原画像における各輝度レベルの生起確率の平均値を示し、「y」は検索対象画像のi番目の輝度レベルの生起確率を示し、「y(上バー)」は検索対象画像における各輝度レベルの生起確率の平均値を示す。
【0035】
そして、この相関係数rが閾値Th以上であるか否かを判定する(ステップS105)。なお、閾値Thは、0.95程度に設定することが好ましい。閾値Thを低すぎる値に設定すると、検索対象画像と原画像とが異なる場合であっても、誤って、これらが類似していると判定してしまうおそれがある。一方、閾値Thを高すぎる値に設定すると、検索対象画像が原画像に何らかの処理を加えたものである場合等、検索対象画像と原画像とは類似するにもかかわらず、加えられた処理(各種雑音等)の影響で、これらの画像は類似していないと判定してしまうおそれがある。
相関係数rが閾値Th未満であると判定した場合(ステップS105:NO)、この処理を一旦終了する。
一方、相関係数rが閾値Th以上であると判定した場合(ステップS105:YES)、原画像と検索対象画像とが類似していると判定する類似画像判定処理を実行し(ステップS106)、この処理を一旦終了する。
【0036】
以上説明した上記実施形態によれば、以下に記載する作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、輝度レベルの生起確率の比較を通じて類否判定を実行するようにしているため、画像の特徴を表示するために関数等を適用する場合と比較して処理工程が少なくなる。このため、原画像と検索対象画像の類否判定を行う際、処理が複雑になることを抑制することができるようになる。
【0037】
(2)また、輝度レベルの生起確率を比較するにあたって、相関係数を用いるようにしているため、原画像と検索対象画像とが類似しているか否かを適切に判定することができるようになる。
【0038】
(第二実施形態)
以下、本発明を具体化した第二実施形態を上記第一実施形態と異なる点を中心に図4および図5に基づいて説明する。なお、これら図4および図5において、第一実施形態にて説明した各要素と同一の要素についてはそれぞれ同一の符号を示しており、それら要素についての重複する説明は割愛する。
【0039】
近年、例えばJPEG圧縮のように、画像を構成する画素に含まれる信号のうち、人の視覚では知覚することが困難な高周波成分を切り捨てることで、画像に含まれる情報量を削減する技術が広く一般に用いられている。このような技術によれば、見掛け上は同じであっても、情報量を大きく削減した画像を提供することができる。
【0040】
検索対象画像が原画像に対してこのような圧縮処理を施した画像である場合、検索対象画像と原画像とは、見掛け上は類似する画像であっても、これらの画像に基づいて作成される正規化濃度値ヒストグラムは異なるものとなる。
【0041】
例えば、図4(a)に原画像に基づいて作成される正規化濃度値ヒストグラムを、図4(b)にこの原画像にJPEG圧縮を施した画像に基づいて作成される正規化濃度値ヒストグラムを示す。
同図4(a)および(b)に示されるように、原画像と、JPEG圧縮処理を施された原画像とでは、輝度レベルの生起確率は異なる。
【0042】
特に、例えば、偶数値(あるいは奇数値)だけしか取りえないような量子化が施されて再合成されると、作成される正規化濃度値ヒストグラムは、隣接する輝度レベルとの間(隣接輝度レベル間)で生起確率が大きく変化してしまう。
【0043】
そこで、本実施形態において、コンピュータは、原画像と検索対象画像とが類似していないと判定した場合は、原画像と検索対象画像に対して平滑化処理を施すとともに、原画像に対して圧縮処理を施す。そして、これら原画像と検索対象画像とが類似しているか否かを判定するようにしている。
【0044】
以下、図5を参照しながら、このような本実施形態における類否判定処理の処理手順について詳細に説明する。
本処理が開始されると、まず、コンピュータは、原画像を取得し(ステップS201)、次に検索対象画像を取得する(ステップS202)。
そして、原画像および検索対象画像に基づいて正規化濃度値ヒストグラムをそれぞれ作成し、相関係数rを計算する(ステップS203)。
【0045】
次に、相関係数rが閾値Th未満であるか否かを判定する(ステップS204)。相関係数rが閾値Th以上であると判定した場合(ステップS204;NO)、類似画像判定処理を実行し(ステップS215)、この処理を一旦終了する。
一方、相関係数rが閾値Th未満であると判定した場合(ステップS204;YES)、検索対象画像および原画像に基づいて作成された正規化濃度値ヒストグラムに対して平滑化処理を施す(ステップS205)。
【0046】
仮に、検索対象画像に圧縮処理が施されていた場合は、このように平滑化処理を施すことで、この圧縮処理に起因する輝度レベルの生起確率の変化を低減し、ひいてはこの圧縮処理が類否判定処理に与える影響を低減することができる。
【0047】
次に、本実施形態における平滑化処理について説明する。
本実施形態における平滑化処理では、例えば、i番目の輝度レベルに対して平滑化処理を施す場合、正規化濃度値ヒストグラムに対して、ウィンドウWをi番目の輝度レベルを中心として所定の画素数(本実施形態では、奇数に設定)を含むように設定する。そして、ウィンドウWに含まれる各輝度レベルの生起確率に基づき、以下の(数2)を計算する。
なお、このウィンドウWは、5輝度レベルを含むことが好ましい。ウィンドウWを大きすぎる値に設定すると、検索対象画像と原画像とが異なる場合であっても、誤って、これらが類似していると判定してしまうおそれがある。一方、ウィンドウWを小さすぎる値に設定すると、検索対象画像が原画像を圧縮した画像である場合であっても、圧縮処理の影響で検索対象画像の正規化濃度値ヒストグラムに発生した偏りを平滑化することができず、これらの画像は類似していないと判定してしまうおそれがある。
【数2】

なお、P(i)は、i番目の輝度レベルの生起確率を示し、P´(i)は、平滑化処理を施した後のi番目の輝度レベルの生起確率を示す。
【0048】
上述したように、検索対象画像が、原画像に対して圧縮処理を施した画像である場合、この検索対象画像に基づいて作成される正規化濃度値ヒストグラムと、原画像に基づいて作成される正規化濃度値ヒストグラムとは、異なるものとなる。すなわち、各正規化濃度値ヒストグラムを構成する各輝度レベルの生起確率は異なるものとなる。
【0049】
この点、本実施形態によれば、上述したように検索対象画像と原画像とに対して平滑化処理を施すため、圧縮処理に起因する輝度レベルの生起確率の変化を低減することができるようになる。したがって、検索対象画像と原画像とが類似しているにもかかわらず、圧縮処理が施されたことに起因して、これらが類似していないと誤って判定してしまうことを抑制することができる。
【0050】
次に、平滑化処理を施した検索対象画像の正規化濃度値ヒストグラムと、原画像の正規化濃度値ヒストグラムとの間で相関係数rqkを計算する(ステップS206)。なお、この相関係数rqkは、第一実施形態にて説明した方法に準じた方法で計算することができるため、詳しい説明は割愛する。
そして、この相関係数rqkが閾値Thqk未満であるか否かを判定する(ステップS207)。なお、閾値Thqkは、第一実施形態において説明した閾値Thと同様に、0.95程度に設定することが好ましい。
【0051】
相関係数rqkが閾値Thqk以上であると判定した場合(ステップS207;NO)、類似画像判定処理を実行し(ステップS215)、この処理を一旦終了する。
一方、相関係数rqkが閾値Thqk未満であると判定した場合(ステップS207;YES)、原画像に対して圧縮処理を施す(ステップS208)。
【0052】
そして、この圧縮処理を施された原画像に基づいて正規化濃度値ヒストグラムを作成し(ステップS209)、この原画像に基づいて作成された正規化濃度値ヒストグラムに対して平滑化処理を施す(ステップS210)。
【0053】
このように、原画像に対して圧縮処理を施すとともに、原画像に基づいて作成された正規化濃度値ヒストグラムに平滑化処理を施すことで、検索対象画像が原画像に対して圧縮処理を施された画像であった場合、原画像における各輝度レベルの生起確率を、検索対象画像における各輝度レベルの生起確率に近づけることができる。なお、本実施形態では、予め定められた所定の圧縮率(品質パラメータ)で原画像に対して圧縮処理を施す。
【0054】
その後、この正規化濃度値ヒストグラムと、検索対象画像に基づいて作成された正規化濃度値ヒストグラムとを用いて相関係数rqkmを計算する(ステップS211)。なお、この相関係数rqkmは、第一実施形態にて説明した方法に準じた方法で計算することができるため、詳しい説明は割愛する。
そして、この相関係数rqkmが閾値Thqkm未満であるか否かを判定する(ステップS212)。なお、閾値Thqkmは、第一実施形態において説明した閾値Thと同様に、0.95程度に設定することが好ましい。
【0055】
相関係数rqkmが閾値Thqkm以上であると判定した場合(ステップS212;NO)、類似画像判定処理を実行し(ステップS215)、この処理を一旦終了する。
一方、相関係数rqkmが閾値Thqkm未満であると判定した場合(ステップS212;YES)、処理回数nをインクリメントし(ステップS213)、この処理回数nが所定回数C1以上であるか否かを判定する(ステップS214)。
【0056】
処理回数nが所定回数C1以上であると判定した場合(ステップS214;YES)、この処理を一旦終了する。
一方、処理回数nが所定回数C1未満であると判定した場合(ステップS214;NO)、ステップS208以降の処理を繰り返す。
【0057】
検索対象画像が圧縮処理を施された画像である場合、その圧縮率(品質パラメータ)は、当該圧縮処理を施されたときの状況等に応じて異なる。圧縮率(品質パラメータ)が異なると、作成される正規化濃度値ヒストグラムは異なるものとなる。
【0058】
このため、仮に検索対象画像と原画像とが類似していた場合に、上述したように原画像に圧縮処理を施したとしても、圧縮率(品質パラメータ)が異なることに起因して、検索対象画像と原画像とは類似していないと判定してしまう可能性がある。すなわち、検索対象画像に圧縮処理を施す際の圧縮率が、上述した所定の圧縮率よりも大きい場合(品質パラメータが小さい値に設定されている場合)、検索対象画像と原画像とは類似していないと判定してしまうことがある。
【0059】
この点、本実施形態によれば、原画像に対して平滑化処理を所定回数C1回にわたって施すようにしている。このため、検索対象画像と原画像とが類似しているにもかかわらず、圧縮処理が施されたことや、圧縮率(品質パラメータ)が異なることに起因して、これらが類似していないと判定してしまうことを抑制することができる。
【0060】
なお、所定回数C1は、2〜4回に設定することが好ましく、4回に設定することがより好ましい。所定回数C1が大きすぎると、処理時間が必要以上に長くなってしまうおそれがある。一方、所定回数C1が小さすぎると、検索対象画像が原画像に対して大きな圧縮率で(品質パラメータを小さく設定して)圧縮された画像である場合であっても、この圧縮率(品質パラメータ)の違いに起因して、両画像に基づいて作成される正規化濃度値ヒストグラムが異なるものとなり、ひいてはこれらの画像は類似していないと判定してしまうおそれがある。
【0061】
また、画像圧縮方法がJPEG方式の場合、上述したように原画像に圧縮処理を施す際の所定回数C1は2回に設定することが好ましい。この際、まず品質パラメータを0.6に設定して圧縮処理を施し、次に品質パラメータを0.2に設定して圧縮処理を施すことがより好ましい。
品質パラメータが0.2あたりを境にして、それ以下の品質パラメータで圧縮されている場合は正規化濃度値ヒストグラムの分布が大幅に変わってしまうためである。
【0062】
以上説明した上記実施形態によれば、上述した作用効果(1)および(2)に加えて、以下に記載する作用効果を奏することができる。
(3)本実施形態によれば、検索対象画像に基づいて作成される正規化濃度値ヒストグラムに対して平滑化処理を施すことにより、圧縮処理に起因する輝度レベルの生起確率の変化を抑制することができる。このため、検索対象画像が原画像に対して圧縮処理を施した画像である場合であっても、検索対象画像と原画像とが類似していないと判定してしまうことを抑制することができるようになる。
【0063】
(4)また、原画像に対して所定回数C1にわたって平滑化処理を施すようにしているため、検索対象画像が、原画像を大きい圧縮率で(品質パラメータを小さく設定して)圧縮したものである場合であっても、検索対象画像と原画像とが類似していないと誤って判定してしまうことを抑制することができるようになる。
【0064】
(第三実施形態)
以下、本発明を具体化した第三実施形態を上記第一実施形態と異なる点を中心に図6および図7に基づいて説明する。なお、これら図6および図7において、第一実施形態にて説明した各要素と同一の要素についてはそれぞれ同一の符号を示しており、それら要素についての重複する説明は割愛する。
【0065】
検索対象画像が原画像の一部をトリミングした画像である場合、検索対象画像は原画像の一部と類似しているにもかかわらず、検索対象画像に基づいて作成される正規化濃度値ヒストグラムと、原画像に基づいて作成される正規化濃度値ヒストグラムとは異なるものとなる。このため、原画像と検索対象画像とは類似していないと判定してしまうおそれがある。
そこで、本実施形態では、原画像に検索対象画像が含まれているか否かを判定するようにしている。
【0066】
以下、図6および図7を参照しながら、このような本実施形態における類否判定処理の処理手順について詳細に説明する。なお、同図7(a)には原画像の一例を、同図7(b)には検索対象画像の一例を、同図7(c)には同図7(a)に示した原画像の一部を示す。
【0067】
本処理が開始されると、図6に示されるように、まず、コンピュータは、原画像を取得し(ステップS301)、次に検索対象画像を取得する(ステップS302)。
そして、検索対象画像サイズ(Rs,Cs)(本発明の「検索対象画像の寸法」に相当)および原画像サイズ(Ro,Co)(本発明の「原画像の寸法」に相当)を検出する(ステップS303)。なお、「Ro」は原画像の縦幅を、「Co」は原画像の横幅を、「Rs」は検索対象画像の縦幅を、「Cs」は検索対象画像の横幅を示す(図7参照)。
【0068】
そして、検索対象画像の縦幅Rsが原画像の縦幅Ro未満であり、且つ検索対象画像の横幅Csが原画像の横幅Co未満であるか否かを判定する(ステップS304)。
検索対象画像の縦幅Rsが原画像の縦幅Ro以上である、もしくは検索対象画像の横幅Csが原画像の横幅Co以上であると判定した場合(ステップS304;NO)、この処理を一旦終了する。
【0069】
一方、検索対象画像の縦幅Rsが原画像の縦幅Ro未満であり、且つ検索対象画像の横幅Csが原画像の横幅Co未満であると判定した場合(ステップS304;YES)、次に原画像内で、検索対象画像の第1ライン(本発明の「第一検索領域」に相当)と相関係数rが最大となる領域(以下、「先頭位置」)を検索する(ステップS305)。
ここで、第1ラインとは、検索対象画像から抽出される任意の一部分のことを示す。
【0070】
次に、図7を参照しながら、この原画像内で、検索対象画像の第1ラインと相関係数rが最大となる先頭位置を検索する(ステップS305)方法について詳細に説明する。
【0071】
同図7(a)に示されるように、コンピュータは、まず検索対象画像301から第1ライン300を抽出する。本実施形態では、検索対象画像301の上部領域を第1ライン300として抽出する。
そして、コンピュータは、原画像において、左上に位置する横幅w1、縦幅h1となる領域(同図7(a)に実線にて示す領域、本発明の「第二検索領域」に相当)の正規化濃度値ヒストグラムを作成する。そして、この正規化濃度値ヒストグラムと、第1ライン300の正規化濃度値ヒストグラムとの間で相関係数rを計算する。
【0072】
次に、コンピュータは、図7(a)に破線にて示す領域(本発明の「第二検索領域」に相当)の正規化濃度値ヒストグラムを作成し、この正規化濃度値ヒストグラムと第1ライン300の正規化濃度値ヒストグラムとの間で相関係数rを計算する。その後、図7(a)に一点鎖線にて示す領域(本発明の「第二検索領域」に相当)の正規化濃度値ヒストグラムを作成し、この正規化濃度値ヒストグラムと第1ライン300の正規化濃度値ヒストグラムとの間で相関係数rを計算する。
【0073】
コンピュータは、このような処理を繰り返し、原画像全体について、横幅w1、縦幅h1となる領域(本発明の「第二検索領域」に相当)の正規化濃度値ヒストグラムを作成して、第1ライン300に基づいて作成される正規化濃度値ヒストグラムとの間で相関係数rを計算する。
【0074】
すなわち、コンピュータは、図7(c)に示されるように、原画像において、少しずつ位置をずらしながら横幅w1、縦幅h1となる領域の正規化濃度値ヒストグラムを順次作成し、これと第1ライン300の正規化濃度値ヒストグラムとの間で相関係数rをそれぞれ計算する。そして、原画像の全体について、横幅w1、縦幅h1となる領域(本発明の「第二検索領域」に相当)の正規化濃度値ヒストグラムを作成し、第1ライン300に基づいて作成される正規化濃度値ヒストグラムとの間で相関係数rを計算する。
【0075】
そして、最も相関係数rが大きかった領域(本実施形態では、図7(a)に示す領域M)を先頭位置として、検索対象画像と同サイズである縦幅Rs、横幅Csとなる領域(図7(a)に示す領域M1)の正規化濃度値ヒストグラムを作成する。すなわち、本実施形態では、検索対象画像301の上部領域を第1ライン300としている。このため、第1ライン300と相関係数rが最も大きかった領域Mを上部領域とし、縦幅Rs、横幅Csとする領域M1に、検索対象画像に類似する画像が位置していると推定する。
【0076】
そして、この領域M1に基づいて作成される正規化濃度値ヒストグラムと、検索対象画像301に基づいて作成される正規化濃度値ヒストグラムとの間で相関係数rtrmを計算する(ステップS306)。なお、この相関係数rtrmは、第一実施形態にて説明した方法に準じた方法で計算することができるため、詳しい説明は割愛する。
【0077】
次に、相関係数rtrmが閾値Thtrm以上であるか否かを判定する(ステップS307)。なお、閾値Thtrmは、0.95以上に設定されていることが好ましく、0.99に設定されていることがより好ましい。
相関係数rtrmが閾値Thtrm以上であると判定した場合(ステップS307;YES)、類似画像判定処理を実行し(ステップS308)、この処理を一旦終了する。
一方、相関係数rtrmが閾値Thtrm未満であると判定した場合(ステップS307;NO)、この処理を一旦終了する。
【0078】
以上説明した上記実施形態によれば、上述した作用効果(1)および(2)に加えて、以下に記載する作用効果を奏することができる。
(5)本実施形態によれば、原画像のうち、検索対象画像が表示されていると考えられる領域M1の正規化濃度値ヒストグラムを作成し、この正規化濃度値ヒストグラムと、検索対象画像に基づいて作成される正規化濃度値ヒストグラムとの間で相関係数rtrmを計算するようにしている。このため、検索対象画像が原画像の一部をトリミングした画像であっても、原画像と検索対象画像とが類似しているか否かを適切に判定することができる。
【0079】
(6)また、検索対象画像301の一部分を第1ライン300として抽出し、この第1ライン300に基づいて作成される正規化濃度値ヒストグラムと原画像の一部分に基づいて作成される正規化濃度値ヒストグラムとの間で相関係数rを計算するようにしている。このように、正規化濃度値ヒストグラムを作成する際、検索対象画像の全領域ではなく、一部分を用いるようにしているため、処理が複雑になることをより好適に抑制することができるようになる。
【0080】
(第四実施形態)
以下、本発明を具体化した第四実施形態を上記第一実施形態と異なる点を中心に図8および図9に基づいて説明する。なお、これら図8および図9において、第一実施形態にて説明した各要素と同一の要素についてはそれぞれ同一の符号を示しており、それら要素についての重複する説明は割愛する。
【0081】
検索対象画像が原画像を回転させた画像に他の画像を付加したものである場合、検索対象画像に基づいて作成される正規化濃度値ヒストグラムと、原画像に基づいて作成される正規化濃度値ヒストグラムとは異なるものとなるため、原画像と検索対象画像とは類似していないと判定してしまうおそれがある。
そこで、本実施形態では、まず、検索対象画像が原画像を所定角度回転させた画像を含む可能性があるか否かを判定する回転判定処理を実行するようにしている。そして、検索対象画像が原画像を所定角度回転させた画像を含む可能性があると判定するときには、以下に説明する方法で類否判定処理を実行するようにしている。
【0082】
以下、図8および図9を参照しながら、このような本実施形態における回転判定処理および類否判定処理の処理手順について詳細に説明する。
本処理が開始されると、まず、コンピュータは、原画像を取得する(ステップS401)とともに、検索対象画像を取得する(ステップS402)。
そして、検索対象画像サイズ(Rs,Cs)および原画像サイズ(Ro,Co)を検出する(ステップS403)。そして、原画像に基づいてテーブルΘ(Ro,Co)を作成する(ステップS404)。
【0083】
ここで、図9を参照しながら、テーブルΘ(Ro,Co)について説明する。
同図9(a)には原画像を、同図9(b)には原画像をそれぞれ角度Θ回転させた画像G1(本発明の「回転原画像」に相当)の四隅に他の画像G2を付加して長方形状とした画像G3(本発明の「検索用回転画像」に相当)を、同図9(c)には原画像を回転させた画像を含む検索対象画像を示す。
同図9(a)に示されるように、「Ro」は原画像の縦幅を、「Co」は原画像の横幅を示す。また、同図9(b)に示されるように、「Rg」は画像G3の縦幅を、「Cg」は画像G3の横幅を示す。またさらに、同図9(c)に示されるように、「Rs」は検索対象画像の縦幅を、「Cs」は検索対象画像の横幅を示す。
【0084】
本実施形態においては、コンピュータは、同図9(a)に示されるように、まず縦幅Ro、横幅Coの寸法を備える原画像を取得する。
そして、同図9(b)に示されるように、この原画像を角度Θ(n=1,2,3・・・・n)だけ回転させ、これをそれぞれ画像G1とする。次に、この画像G1の四隅に他の画像G2(同図9(b)に示す黒塗りした領域)を付加し、それぞれ画像G3とする。この角度Θ(n=1,2,3・・・・n)は、−π/2から+π/2までの間を、π/180間隔でとることが好ましいが、この限りではない。
【0085】
同図9(b)に示されるように、コンピュータは、このように原画像に基づいて画像G3(n=1,2,3・・・n)を得る操作を各角度Θについて行う。そして、各角度Θに対応する各画像G3の縦幅Rgおよび横幅Cgをそれぞれ記憶し、これをテーブルΘ(Ro,Co)とする。
このように、コンピュータは、原画像を各角度Θ回転させて得られる各画像G3の縦幅Rgおよび横幅Cgを、テーブルΘ(Ro,Co)として記憶する。
【0086】
なお、画像G3の各縦幅Rgおよび横幅Cgは、原画像の縦幅Roおよび横幅Coに基づき、以下の式(3),(4)を用いて計算することができる。
Rg=RocosΘ+CosinΘ ・・・(3)
Cg=RosinΘ+CocosΘ ・・・(4)
【0087】
コンピュータは、次に、テーブルΘ(Ro,Co)を読み出す(ステップS405)。
【0088】
次に、テーブルΘ(Ro,Co)を構成する全ての画像G3の縦幅Rgおよび横幅Cgのそれぞれを用いて、検索対象画像の縦方向の拡大(縮小)率Kr(Kr=Rs/Rg)および横方向の拡大(縮小)率Kc(Kc=Cs/Cg)を計算する。そして、縦方向の圧縮(縮小)率Krと、横方向の圧縮(縮小)率Kcとの差分の絶対値が所定値C2未満となる(Rg,Cg)がテーブルΘ(Ro,Co)にあるか否かを判定する(ステップS406、本発明の「回転判定処理」に相当)。
【0089】
縦方向の圧縮(縮小)率Krと、横方向の圧縮(縮小)率との差分の絶対値が所定値C2未満となる(Rg,Cg)がテーブルΘ(Ro,Co)にある場合(ステップS406;YES)、検索対象画像は、原画像と縦横比が略等しい画像を角度Θ回転させ、四隅に他の画像を付加した画像である可能性があると判定する。
【0090】
そこで、コンピュータは、原画像を角度Θ回転させ(ステップS407)、原画像および検索対象画像のそれぞれの正規化濃度値ヒストグラムを作成する(ステップS408)。
ここで、原画像に基づいて正規化濃度値ヒストグラムを作成するときには、まず、ステップS407にて角度Θ回転させた原画像の4隅に黒色の画像(輝度が「0」の画像)を付加する。そして、この付加した画像を無視して、すなわち原画像が表示される領域にある画素の輝度信号のみを用いて正規化濃度値ヒストグラムを作成する。
【0091】
次に、このステップS408において、検索対象画像にて正規化濃度値ヒストグラムを作成する方法について説明する。
仮に、検索対象画像が原画像を角度Θ回転させて四隅に他の画像を付加したものである場合、この検索対象画像は、図9(c)に示されるように、画像G1が表示される領域と、画像G1とは関係のない画像が表示される領域(ハッチングにて示した領域)とを含むものであると考えられる。そこで、本実施形態では、ステップS408において、検索対象画像に基づいて正規化濃度値ヒストグラムを作成するときには、上述した原画像が実際に表示されている領域にある画素の輝度信号のみを用いる。すなわち、検索対象画像のうち、原画像が表示されていると考えられる領域のアドレスと同じアドレスのみに基づいて正規化濃度値ヒストグラムを作成する。換言すると、当該検索対象画像のうち、画像G1以外の画像が表示されていると考えられる領域(図9(c)にてハッチングにて示した領域)の画素は、正規化濃度値ヒストグラムの対象外としている。
【0092】
そして、検索対象画像に基づいて作成された正規化濃度値ヒストグラムと、原画像に基づいて作成された正規化濃度値ヒストグラムとの間で相関係数rrotを計算し(ステップS409)、この相関係数rrotが閾値Throt以上であるか否かを判定する(ステップS410)。なお、この相関係数rrotは、第一実施形態にて説明した方法に準じた方法で計算することができるため、詳しい説明は割愛する。また、閾値Throtは、第一実施形態において説明した閾値Thと同様に、0.95程度に設定することが好ましい。
【0093】
相関係数rrotが閾値Throt以上であると判定した場合(ステップS410;YES)、類似画像判定処理を実行し(ステップS411)、この処理を一旦終了する。
これに対して、縦方向の圧縮(縮小)率Krと、横方向の圧縮(縮小)率との差分の絶対値が所定値C2未満となる(Rg,Cg)がテーブルΘ(Ro,Co)にないと判定した場合(ステップS406;NO)、および相関係数rrotが閾値Throt未満であると判定した場合(ステップS410;NO)、この処理を一旦終了する。
【0094】
このように、本実施形態では、画像G1以外の画像が表示されていると考えられる領域の画素については、正規化濃度値ヒストグラムの対象外としている。このため、検索対象画像が原画像を所定角度回転させて四隅に他の画像を追加したものである場合であっても、当該検索対象画像から原画像に相当する領域のみを適切に抽出し、当該領域に基づいて正規化濃度値ヒストグラムを作成することができる。このため、検索対象画像に回転された原画像が含まれているか否かを適切に判定することができるようになる。
【0095】
以上説明した上記実施形態によれば、上述した作用効果(1)および(2)に加えて、以下に記載する作用効果を奏することができる。
(7)本実施形態によれば、検索対象画像が、回転させた原画像の四隅に他の画像を付加したものであった場合であっても、検索対象画像と原画像とが類似しているか否かについて適切に判定することができるようになる。
【0096】
(第五実施形態)
以下、本発明を具体化した第五実施形態を上記第一実施形態と異なる点を中心に図10〜図13に基づいて説明する。なお、これら図10〜図13において、第一実施形態にて説明した各要素と同一の要素についてはそれぞれ同一の符号を示しており、それら要素についての重複する説明は割愛する。
【0097】
検索対象画像が、原画像の一部トリミングしたもの、原画像を圧縮したもの、もしくは原画像を回転させたもののいずれかである場合、検索対象画像に基づいて作成される正規化濃度値ヒストグラムと、原画像に基づいて作成される正規化濃度値ヒストグラムとは異なるものとなり、原画像と検索対象画像とは類似していないと判定されることとなる。
【0098】
そこで、本実施形態では、検索対象画像が原画像に対してトリミング、圧縮、または回転の少なくともいずれかの処理を施したものである場合であっても、検索対象画像と原画像とが類似しているか否かを適切に判定することができる類似画像判定処理を実行するようにしている。
【0099】
以下、図10および図11を参照しながら、このような本実施形態における類否判定処理の処理手順について詳細に説明する。
本処理が開始されると、まず、コンピュータは、原画像を取得する(ステップS501)とともに、検索対象画像を取得する(ステップS502)。
そして、原画像もしくは検出対象画像がカラー画像である場合、カラー信号を輝度信号に変換し(ステップS503)、検索対象画像および原画像に基づいて正規化濃度値ヒストグラムを作成して相関係数rを計算する(ステップS504)。
【0100】
そして、この相関係数rが閾値Th未満であるか否かを判定する(ステップS505)。
相関係数rが閾値Th以上であると判定した場合(ステップS505;NO)、類似画像判定処理を実行し(ステップS529)、この処理を一旦終了する。
一方、相関係数rが閾値Th未満であると判定した場合(ステップS505;YES)、検索対象画像が原画像に対して圧縮処理を施したものであるか否かを判定する。
【0101】
すなわち、まず検索対象画像および原画像に対して平滑化処理を施す(ステップS506)。そして、この平滑化処理を施した検索対象画像と原画像との間で相関係数rqkを計算する(ステップS507)。
次に、この相関係数rqkが閾値Thqk未満であるか否かを判定する(ステップS508)。
【0102】
相関係数rqkが閾値Thqk以上であると判定した場合(ステップS508;NO)、類似画像判定処理を実行し(ステップS529)、この処理を一旦終了する。
一方、相関係数rqkが閾値Thqk未満であると判定した場合(ステップS508;YES)、原画像に対して圧縮処理を施し(ステップS509)、この圧縮処理を施した原画像に基づいて正規化濃度値ヒストグラムを作成する(ステップS510)。
【0103】
そして、この原画像に基づいて作成された正規化濃度値ヒストグラムに対して平滑化処理を施し(ステップS511)、この平滑化処理を施された原画像の正規化濃度値ヒストグラムと検索対象画像の正規化濃度値ヒストグラムとの間で相関係数rqkmを計算する(ステップS512)。
そして、この相関係数rqkmが閾値Thqkm未満であるか否かを判定する(ステップ513)。
【0104】
相関係数rqkmが閾値Thqkm以上であると判定した場合(ステップ513;NO)、類似画像判定処理を実行し(ステップS529)、この処理を一旦終了する。
一方、相関係数rqkmが閾値Thqkm未満であると判定した場合(ステップ513;YES)、処理回数nをインクリメントし(ステップS514)、この処理回数nが所定回数C1以上であるか否かを判定する(ステップS515)。
【0105】
処理回数nが所定回数C1未満であると判定した場合(ステップS515;NO)、ステップS509以降の処理を再び繰り返す。
一方、処理回数nが所定回数C1以上であると判定した場合(ステップS515;YES)、検索対象画像が原画像を回転させたものであるか否かを判定する。
【0106】
すなわち、まず検索対象画像サイズ(Rs,Cs)および原画像サイズ(Ro,Co)を検出する(ステップS516)。そして、原画像に基づいてテーブルΘ(Ro,Co)を作成する(ステップS517)。
【0107】
次に、Θ(Ro,Co)を読み出し(ステップS518)、各角度Θについて、画像の縦方向の拡大(縮小)率Kr(Kr=Rs/Rg)および横方向の拡大(縮小)率Kc(Kc=Cs/Cg)をそれぞれ計算する(ステップS519)。すなわち、テーブルΘ(Ro,Co)を構成する全てのΘ(Ro,Co)について、それぞれ縦方向の拡大(縮小)率Krおよび横方向の拡大(縮小)率Kcを計算する。
次に、縦方向の圧縮(縮小)率Krと、横方向の圧縮(縮小)率Kcとの差分の絶対値が所定値C2未満となる(Rg,Cg)がテーブルΘ(Ro,Co)にあるか否かを判定する(ステップS520)。
【0108】
縦方向の圧縮(縮小)率Krと、横方向の圧縮(縮小)率との差分の絶対値が所定値C2未満となる(Rg,Cg)がテーブルΘ(Ro,Co)にあると判定した場合(ステップS520;YES)、原画像を角度Θ回転させ(ステップS521)、原画像および検索対象画像のそれぞれに基づいて正規化濃度値ヒストグラムを作成する(ステップS522)。なお、この場合の検索対象画像に基づいて正規化濃度値ヒストグラムの作成方法については、第四実施形態にて説明したため、詳しい説明は割愛する。
【0109】
そして、検索対象画像に基づいて作成した正規化濃度値ヒストグラムと原画像に基づいて作成した正規化濃度値ヒストグラムとの間で相関係数rrotを計算し(ステップS523)、この相関係数rrotが閾値Throt以上であるか否かを判定する(ステップS524)。
【0110】
相関係数rrotが閾値Throt以上であると判定した場合(ステップS524;YES)、類似画像判定処理を実行し(ステップS529)、この処理を一旦終了する。
これに対して、縦方向の圧縮(縮小)率Krと、横方向の圧縮(縮小)率との差分の絶対値が所定値C2未満となる(Rg,Cg)がテーブルΘ(Ro,Co)にないと判定した場合(ステップS520;NO)、および相関係数rrotが閾値Throt未満であると判定した場合(ステップS524;NO)、次に、検索対象画像が原画像の一部をトリミングしたものであるか否かを判定する。
【0111】
すなわち、まず検索対象画像の縦幅Rsが原画像の縦幅Ro未満であり、且つ検索対象画像の横幅Csが原画像の横幅Co未満であるか否かを判定する(ステップS525)。
検索対象画像の縦幅Rsが原画像の縦幅Ro以上である、もしくは検索対象画像の横幅Csが原画像の横幅Co以上であると判定した場合(ステップS525;NO)、検索対象画像は原画像の一部をトリミングしたものではないため、この処理を一旦終了する。
【0112】
一方、検索対象画像の縦幅Rsが原画像の縦幅Ro未満であり、且つ検索対象画像の横幅Csが原画像の横幅Co未満であると判定した場合(ステップS525;YES)、原画像内で検索対象画像の第1ラインと相関係数rが最大となる先頭位置を検索する(ステップ526)。
そして、原画像から、先頭位置に基づいて検索対象画像と同サイズの領域を抽出し、この領域に基づいて正規化濃度値ヒストグラムを作成する。そして、この正規化濃度値ヒストグラムと、原画像に基づいて作成した正規化濃度値ヒストグラムとの間で相関係数rtrmを計算する(ステップS527)。
【0113】
次に、相関係数rtrmは閾値Thtrm以上であるか否かを判定する(ステップS528)。相関係数rtrmは閾値Thtrm以上であると判定した場合(ステップS528;YES)、類似画像判定処理を実行し(ステップS529)、この処理を一旦終了する。
一方、相関係数rtrmは閾値Thtrm未満であると判定した場合(ステップS528;NO)、この処理を一旦終了する。
【0114】
図12(a)に原画像、原画像を0.75倍に縮小した検索対象画像および原画像を1.25倍に拡大した検索対象画像の一例を示す。また、同図12(b)には、このように幾何学変換した検索対象画像と、原画像との間の相関係数の計算結果を示す。
【0115】
同図12(b)に示されるように、検索対象画像が、原画像を0.75倍に縮小した画像である場合、1.25倍に拡大した画像である場合のいずれも、原画像と検索対象画像との間で計算された相関係数は、0.99以上であった。
【0116】
図13(a)に、30度右回転させた原画像を含む検索対象画像を、同図13(b)に検索対象画像とテーブルΘ(Ro,Co)に含まれる各画像G3との間の相関係数の計算結果を示す。
なお、原画像のサイズは、縦幅202ピクセル、横幅230ピクセル(テスト画像“Lenna”(サイズ256x256)の一部を切り出し、これを原画像として使用)であり、検索対象画像のサイズは縦幅224ピクセル、横幅256ピクセルである。また、検索対象画像は、原画像を30度右回転させた画像の四隅に、他の画像を付加し、さらに品質パラメータ60でJPEG圧縮した画像である。
【0117】
同図13(b)に示されるように、30度右回転させた原画像を含む画像G3と、検索対象画像との間の相関係数は、0.984と高かった。一方、これ以外の角度に回転させた原画像を含む画像G3と、検索対象画像との間の相関係数は、全て0.9未満であった。
【0118】
以上説明した上記実施形態によれば、以下に記載する作用効果を奏することができる。
(8)本実施形態によれば、検索対象画像が、原画像に対してトリミングまたは圧縮処理を施したものである場合、または回転させた原画像の四隅に他の画像を付加したものである場合のいずれの場合であっても、原画像と検索対象画像とは類似しているか否かについて適切に判定することができるようになる。
【0119】
(その他の実施形態)
なお、この発明にかかる類似画像判定装置1は、上記実施形態にて例示した構成に限定されるものではなく、同実施の形態を適宜変更した例えば次のような形態として実施することもできる。また以下の各変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0120】
・上記第二実施形態では、検索対象画像に基づいて作成される正規化濃度値ヒストグラムと、原画像に基づいて作成される正規化濃度値ヒストグラムとにウィンドウWを設定し、このウィンドウW内で平滑化処理を施すようにしたが、本発明における平滑化処理はこれに限られるものではなく、公知である種々の方法を用いることができる。
【0121】
・上記第三実施形態では、検索対象画像の上部領域を第1ラインとして抽出するようにしたが、本発明の第1ラインはこれに限られるものではなく、検索対象画像の任意の位置領域であればよい。また、第1ラインを抽出することなく、検索対象画像の全体と原画像との間で相関係数rtrmを計算するようにしてもよい。
【0122】
・上記第五実施形態では、検索対象画像が圧縮処理を施された画像であるか否かについて判定した後、検索対象画像が原画像を回転させた画像であるか否かについて判定し、その後、原画像の一部をトリミングした画像であるか否かについて判定するようにしているが、本発明における判定の順序はこれに限られるものではない。例えば、検索対象画像が原画像の一部をトリミングした画像であるか否かについて判定した後、検索対象画像が原画像を回転させた画像であるか否かについて判定し、その後、圧縮処理を施された画像であるか否か判定するようにしてもよい。または、検索対象画像が原画像を回転させた画像であるか否かを判定した後、検索対象画像が原画像の一部をトリミングした画像であるか否かを判定し、その後圧縮処理を施された画像であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0123】
・上記各実施形態では、検索対象画像および原画像のそれぞれの全体画像に基づいて正規化濃度値ヒストグラムを作成するようにしたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、検索対象画像および原画像をそれぞれ複数のブロックに区画し、当該ブロックごとに平均値あるいは標準偏差等のヒストグラムを作成し、このヒストグラムに基づいて検索対象画像と原画像とが類似しているか否かを判定するようにしてもよい。
【0124】
・上記第一実施形態、第二実施形態、第三実施形態および第四実施形態では、輝度信号に基づいて作成される正規化濃度値ヒストグラムを用いて原画像と検索対象画像とが類似しているか否かを判定するようにしたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、カラー信号を輝度信号に変換し、この得られた輝度信号の生起確率を全画素数で正規化した正規化濃度値ヒストグラムを作成するようにしてもよい。
【0125】
・上記各実施形態では、輝度レベルに基づいて正規化濃度値ヒストグラムを作成するようにしたが、本発明はこれに限れられるものではない。例えば、隣接する画素間の差分値を計算し、この差分値と、差分値の生起確率とを用いて検索対象画像と原画像とのヒストグラムを作成し、このヒストグラムを特徴量として用いるようにしてもよい。
【0126】
・上記各実施形態では、輝度レベルに基づいて作成される正規化濃度値ヒストグラム(統計量)を用いて検索対象画像と原画像とが類似しているか否かを判定するようにしたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、検索対象画像および原画像に、離散コサイン変換やウェーブレット変換等の直交変換を施し、変換係数のパターン、または変換係数に基づいて上述したように正規化ヒストグラムを作成し、これらこの正規化ヒストグラムに基づいて検索対象画像と原画像とが類似しているか否かを判定するようにしてもよい。
【0127】
・上記各実施形態では、輝度レベルを用いて正規化濃度値ヒストグラムを作成するようにしたが、本発明はこれに限られるものではなく、カラー信号そのものを用いて正規化濃度値ヒストグラムを作成するようにしてもよい。
【0128】
・上記各実施形態では、輝度信号(Y信号)を用いて正規化濃度値ヒストグラムを作成するようにしたが、本発明はこれに限られるものでなく、原画像および検索対象画像がカラー画像である場合、他の色信号(カラー信号)を用いて正規化濃度値ヒストグラムを作成するようにしてもよい。
【0129】
・上記各実施形態および各変形例では、本発明における類似画像判定装置1の構成要素としてプログラムを用いる場合について説明したが、本発明はコンピュータソフトウェアに限定されるものではなく、電子回路(集積回路等)のハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協同により実現してもよい。
【符号の説明】
【0130】
1…類似画像判定装置
12…インターフェース部
13…原画像処理部
21…インターフェース部
22…検索対象画像処理部
23…画像比較部
24…類似画像判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検索対象画像と原画像とが類似しているか否かを判定する類似画像判定装置であって、
前記検索対象画像の特徴量を抽出する検索対象画像処理手段と、前記原画像の特徴量を抽出する原画像処理手段と、前記検索対象画像が前記原画像に類似しているか否かを判定する類否判定処理を実行する判定手段とを備え、
前記類否判定処理は、前記検索対象画像処理手段を通じて得られた前記検索対象画像の特徴量の頻度分布と前記原画像処理手段を通じて得られた前記原画像の特徴量の頻度分布とを比較して前記検索対象画像と前記原画像とが類似しているか否かを判定する
ことを特徴とする類似画像判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の類似画像判定装置であって、
前記類否判定処理は、前記検索対象画像における前記特徴量の生起確率と、前記原画像における前記特徴量の生起確率との相関係数を計算し、前記相関係数が所定値以上であることをもって前記検索対象画像と前記原画像とが類似していると判定する
ことを特徴とする類似画像判定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の類似画像判定装置であって、
前記検索対象画像処理手段は、前記検索対象画像の前記特徴量の頻度分布に対して平滑化処理を実行し、
前記原画像処理手段は、前記原画像の前記特徴量の頻度分布に対して平滑化処理を実行する
ことを特徴とする類似画像判定装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の類似画像判定装置であって、
前記検索対象画像処理手段は前記検索対象画像の寸法を検出するものであり、
前記判定手段は、前記検索対象画像の寸法が前記原画像の寸法よりも小さいときには、前記検索対象画像に対して第一検索領域を設定するとともに、前記原画像に対して前記第一検索領域と同一の寸法を備える第二検索領域を設定し、前記第一検索領域と前記第二検索領域との間で前記類否判定処理を実行するものであり、
前記第一検索領域の画像と前記第二検索領域の画像とが類似していると判定したときには、
前記第一検索領域および前記第二検索領域に基づいて前記原画像から前記検索対象画像が表示されていると推定される領域を抽出し、当該領域と前記検索対象画像との間で前記類否判定処理を実行する
ことを特徴とする類似画像判定装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の類似画像判定装置であって、
前記判定手段は、前記検索対象画像が、所定角度回転させた前記原画像を含む可能性があるか否かを判定する回転判定処理を実行し、
前記回転判定処理を通じて前記検索対象画像が所定角度回転させた前記原画像を含む可能性があると判定したときには、前記原画像を前記所定角度だけ回転させた回転原画像を含む検索用回転画像を作成し、前記検索対象画像のうち前記回転原画像に相当する領域と、前記原画像との間で前記類否判定処理を実行する
ことを特徴とする類似画像判定装置。
【請求項6】
検索対象画像と原画像とが類似しているか否かを判定する類似画像判定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記検索対象画像の特徴量を抽出する検索対象画像処理ステップと、前記原画像の特徴量を抽出する原画像処理ステップと、
前記検索対象画像処理ステップにおいて得られた前記検索対象画像の特徴量の頻度分布と、前記原画像処理ステップにおいて得られた前記原画像の特徴量の頻度分布とを比較して前記検索対象画像と前記原画像とが類似しているか否かを判定する類否判定ステップとを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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