説明

顧客主導の顧客管理システム

【課題】会員の氏名・住所などの個人を特定できる情報を必須の情報として顧客に要求することなく、個々の顧客の取引の履歴等を管理し、それに基づいてカスタマイズされた販促情報を提供することのできる顧客主導の顧客管理システムを提供する。
【解決手段】顧客が使用する携帯電話機22,24を利用して顧客を会員としてデータベース10に登録し、来店した、及び/又は来店して取引を行う顧客を顧客が使用する携帯電話機22,24を利用して会員と認識する。個々の会員の来店及び/又は取引履歴に基づいてカスタマイズされた販売促進情報を携帯電話機へ電子メールで送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来行なわれている顧客管理においては、顧客に所定の形式の用紙を渡してそれに氏名、住所などの個人を特定できる情報を記入してもらい、それに基いて、商品やサービスの情報をダイレクトメールで顧客へ伝達する形をとるのが一般的であった。
下記特許文献1には、店舗を利用するユーザが使用する携帯端末に内蔵されるICカードのカードIDを店舗端末で読み出してデータベースに保存し、その集計結果を情報閲覧端末から読み出し可能とすることが記載されている。したがって、ユーザが情報を得ようとする場合にも、専用の情報閲覧端末を使用しなければならない。
特許文献2〜3には、非接触ICチップを内蔵した携帯電話を利用してポイントまたはクーポンを管理することが記載されている。開示されているシステムが行う処理はポイントまたはクーポンの処理に限られている。
特許文献4には、POSシステム内の情報をWEBサーバから顧客通信端末へ提供することが記載されている。しかしながら、顧客の登録および認識をこの顧客通信端末を利用して行うものではない。
特許文献5には、携帯電話機の画面にバーコードを表示し、これを読み取って顧客の認証を行う認証装置が記載されている。しかしながら、顧客の登録および販売促進情報の提供までも携帯電話機を使用して行うことで、顧客主導の顧客管理システムを実現するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−286974号公報
【特許文献2】特開2008−299810号公報
【特許文献3】特開2006−338638号公報
【特許文献4】特開2003−337908号公報
【特許文献5】特開2001−319186号公報
【特許文献6】特開2006−227935号公報
【特許文献7】特開2005−71206号公報
【特許文献8】特開2003−44935号公報
【特許文献9】特開2009−140460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、個人を特定できる情報を提供するかどうかについては顧客の判断に委ねた上で、会員として登録された顧客の来店及び/又は取引の履歴を管理し、それに基づいてカスタマイズされた商品またはサービスの情報を顧客に提供することが可能な、顧客主導の顧客管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、会員の情報を記録するための記憶装置と、顧客を、該顧客が使用する携帯電話機を利用して会員として該携帯電話機の電子メールアドレスと共に前記記憶装置に記録する会員登録手段と、来店した、及び/又は来店して取引を行う顧客を、該顧客が使用する携帯電話機を利用して会員と認識する会員認識手段と、前記会員認識手段が会員と認識した顧客の来店及び/又は取引の履歴を前記記憶装置に記録する履歴記録手段と、前記記憶装置に記録されている個々の会員の来店及び/又は取引の履歴に基づいて作成された販売促進情報を、前記記憶装置に記録されている携帯電話機の電子メールアドレスに向けて送信する情報送信手段とを具備し、
前記記憶装置に記録されている会員の情報の一部は、個々の会員の側から追加および変更が可能である、顧客主導の顧客管理システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の一実施形態に係る顧客管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】会員登録のシーケンスにおける携帯電話機の表示の推移を示す図である。
【図3】図2のマイページ52に表示される項目が選択されたときの携帯電話機の表示の例を示す図である。
【図4】POS端末14における処理のフローチャートである。
【図5】図4のステップ1000において表示される売上入力画面の例を示す図である。
【図6】図4のステップ1002において表示される画面の図である。
【図7】図4のステップ1004において表示される画面の図である。
【図8】図4のステップ1006において表示される商品入力画面の図である。
【図9】図4のステップ1008において表示される清算画面の図である。
【図10】図4のステップ1010において表示される画面の図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は本発明の一実施形態に係る顧客管理システムの構成を示す。本システムは、会員として登録された顧客の情報を記憶するデータベース10を有する顧客管理サーバ12と、各店舗内に備えられる1つまたは複数のPOS端末14を含んで構成される。各POS端末14には、バーコードを読み取るためのバーコードスキャナ16と、非接触ICチップを内蔵する携帯電話機をその上にかざすことにより携帯電話機に内蔵された非接触ICチップとの間で情報を交換することができるICカードリーダ/ライタ18が接続されている。会員登録用端末19は、後述するように会員登録の操作を簡便にするためのものであり、これも、携帯電話機に内蔵された非接触ICチップとの間の情報交換が可能である。
【0008】
顧客管理サーバ12とPOS端末14の間はネットワーク20、例えばインターネットを介して相互に接続される。顧客管理サーバ12およびデータベース10は例えばいわゆるデータセンター内のサーバに所要のアプリケーションをホスティングすることにより実現することができる。或いはまた、POS端末14と同じ店舗内に設けてPOS端末に直接接続することも可能である。
【0009】
図1には、顧客が使用する携帯電話機22,24も示されている。それらのうち、携帯電話機22は、ICカードリーダ/ライタ18との間で非接触で情報を交換することができる非接触ICチップ26が内蔵されている。
【0010】
図2は、新たな顧客が会員として登録されるまでの登録のシーケンスを、顧客が使用する携帯電話機の表示の推移により説明する図である。
【0011】
図2において、チラシ、広告等、あるいは店頭に表示されているQRコード30を携帯電話機に内蔵されているカメラで読み取ると(32)、QRコード内に記録されている電子メールアドレスを宛先とする空メール(本文のない電子メール)を送信するための空メール送信画面34が表示される。空メールを送信する操作が行なわれると(36)、空メールは顧客管理サーバ12へ送られ、会員登録を促す電子メールが自動的に返信される。その返信メール38には会員登録のためのページへのリンク40が含まれているので、これが選択されると(42)、顧客管理サーバ12からデータがダウンロードされて会員登録用のフォーム44が表示される。このフォームにニックネーム、パスワードなどの情報が入力され、送信ボタンが押されると(46)、入力されたデータが顧客管理サーバ12へ送られ、自動的に付与された会員番号および携帯電話機の電子メールアドレスとともにデータベース10へ記録される。そして登録完了画面48が携帯電話機の画面に表示され、登録完了となる。その後、同じ携帯電話機を用いれば自動的にログインして(50)、マイページ52が表示され、後述するように、会員証の表示、購買履歴の表示、ポイントの閲覧、プロフィールの編集などが可能となる。使用する携帯電話機が変わったり、別の携帯電話機を用いる場合には、登録されている電子メールアドレスおよびパスワードを入力することでマイページ52にログインすることができる。
【0012】
図2のプロフィール入力画面44において、星印が付された項目は必須項目である。図2に示した例では、ニックネームとパスワードの他に、生年月日および性別の入力も必須としているが、これは個々の会員の購買履歴だけでなく、年令・性別などの個々の会員の属性に基づく分析を可能にするためであるが、ニックネームとパスワード以外の項目については必須としないことも考えられる。顧客の氏名・住所などは必須な項目ではないが、顧客がダイレクトメールその他、郵便による情報の提供を希望する場合にはこれらを入力することになる。また、後に、携帯電話機、ネットワークに接続されたパーソナルコンピュータなどからシステムにログインしてプロフィールデータを追加・変更することもできる。
【0013】
QRコード30を読み取って会員登録のシーケンスを開始することに代えて、非接触ICチップ26を内蔵する携帯電話機22を会員登録用端末19(図1)の上にかざすだけで図2の会員登録のシーケンスを開始することもできる。会員登録用端末19には空メール34の宛先の電子メールアドレスが設定されている。会員登録用端末19が例えば丸紅情報システム株式会社製の「ラピナビ(RapiNAVI)」である場合、非接触ICチップを内蔵した携帯電話機をその上にかざすだけで携帯電話機の「メール自動起動」の機能が作動して空メール送信画面34が表示される(参考URL:http://www.marubeni-sys.com/mobile/rapinavi/product.html)。
【0014】
図3は図2のマイページ52に表示される項目のいくつかについて、それが選択されたときに携帯電話機に表示される画面の例を示す。マイページ52の「1.モバイル会員証」の項目が選択されると、会員登録時に付与された会員番号のバーコード表示54を有するモバイル会員証55が携帯電話機の表示器に表示される。後述するように、モバイル会員証55に含まれるバーコード54をバーコードスキャナ16(図1)で走査することにより、この携帯電話機を使用する顧客が登録された会員であることが認識される。
【0015】
マイページ52の「2.購買履歴」が選択されると、その会員の購入の日付を表示する画面56が表示される。表示されている日付の1つを選択すると、その日に購入された商品の情報を表示する画面58が表示される。「3.ポイント閲覧」が選択されると、その会員に現在付与されているポイントを表示する画面60が表示される。
【0016】
図4はPOS端末14において買物の精算が行なわれる時の処理の流れを示す。初期状態(ステップ1000)において、POS端末14のディスプレイには図5に示すような初期状態の売上入力画面70が表示される。
【0017】
精算を行う顧客が会員である場合には、そのことを確認するために図6に示すように売上入力画面70に重ねて顧客CD(コード)入力ウィンドウ72が表示される(ステップ1002)。顧客が使用する携帯電話機に内蔵されている非接触ICチップのIDが登録済(後述)であるときは、顧客が使用する携帯電話機をICカードリーダ/ライタ18(図1)の上にかざすだけでデキストボックス74に顧客が使用する携帯電話機に内蔵されている非接触ICチップに記録されている非接触ICチップIDが自動的に表示される。決定ボタン76を押すことによりテキストボックス74に表示されている非接触ICチップIDがデータベース10に記録されている会員の非接触ICチップIDと照合され、精算中の顧客がどの会員であるか、すなわち会員番号が認識され、その結果が図7に示すように表示される(ステップ1004)。図7中、テキストボックス78に表示されている番号が会員番号であり、テキストボックス80に表示されている記号が非接触ICチップIDである。
【0018】
顧客が使用する携帯電話機に非接触ICチップが内蔵されていない場合には、顧客が使用する携帯電話機の表示器にモバイル会員証55(図3参照)を表示し、これに含まれるバーコード54をPOS端末14のバーコードスキャナ16で走査することにより、図6のテキストボックス74に読み取った会員番号が表示される。その代わりとして、テンキー75(図6)を使用して会員番号を手動で入力することもできる。
【0019】
顧客が使用する携帯電話機に非接触ICチップが内蔵されており、かつ、そのIDが未登録であるときは、非接触ICチップIDの初期登録が行なわれる。初期登録においては、ICカードリーダ/ライタ18から非接触ICチップのIDを読み取るとともに、携帯電話機に表示されているモバイル会員証のバーコードをバーコードスキャナ16で読み取る。これにより、非接触ICチップのIDを会員番号と関連付けてデータベース10に登録する。
【0020】
図6のドロップダウンリスト71は、会員の特定を非接触ICチップIDで行うか、会員番号で行うか、非接触ICチップIDを初期登録するかを選択するためのものである。非接触ICチップIDの初期登録が選択されればテキストボックス74は非接触ICチップIDを表示するためのものと、会員番号を表示するためのものの2つ表示される。
【0021】
会員の特定が完了すると、POS端末14のディスプレイには図8の商品入力画面81が表示され、顧客が購入した商品の価格等の情報がバーコードスキャナ16を介して入力される(ステップ1006)。小計ボタン82が押されると、図9の清算画面83が表示される(ステップ1008)。図9の清算画面83には会員が所持しているポイント残84が表示される。ポイントを利用する場合にはポイント86へ利用ポイントを入力する。預り金88を入力した後、「預/合計F2」ボタン90を押せば、図10の清算ウィンドウ92が表示される(ステップ1010)。この時、顧客へレシートが発行され、顧客管理サーバ12のデータベース10に対して使用ポイントの減算および発生ポイントの加算が即時に行なわれ、購買履歴が更新される。
【0022】
来店ポイントの加算に関しては、来店した顧客が使用する非接触ICチップ内蔵の携帯電話機を来店ポイント加算用の端末(図示せず)にかざすか、または、携帯電話機の表示器に表示されたモバイル会員証を来店ポイント加算用のバーコードスキャナ(図示せず)で走査することにより会員を特定し、特定した会員のポイントを加算すべくデータベース10の記録を更新する。来店した事実もデータベース10に記録される。
【0023】
顧客管理サーバ12では、会員の来店及び/又は購買履歴およびその情報が記録されているときは年令および性別などの会員の属性に基づいて会員の購買の傾向を分析し、それに基づいてカスタマイズされた販促情報を、登録されている携帯電話の電子メールアドレス宛に電子メールとして発信する。
以上説明した顧客管理サーバの機能およびPOS端末の追加機能は、当業者であれば以上の説明に基づいてソフトウェアにより実現することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
会員の情報を記録するための記憶装置と、
顧客を、該顧客が使用する携帯電話機を利用して会員として該携帯電話機の電子メールアドレスと共に前記記憶装置に記録する会員登録手段と、
来店した、及び/又は来店して取引を行う顧客を、該顧客が使用する携帯電話機を利用して会員と認識する会員認識手段と、
前記会員認識手段が会員と認識した顧客の来店及び/又は取引の履歴を前記記憶装置に記録する履歴記録手段と、
前記記憶装置に記録されている個々の会員の来店及び/又は取引の履歴に基づいて作成された販売促進情報を、前記記憶装置に記録されている携帯電話機の電子メールアドレスに向けて送信する情報送信手段とを具備し、
前記記憶装置に記録されている会員の情報の一部は、個々の会員の側から追加および変更が可能である、顧客主導の顧客管理システム。
【請求項2】
前記記憶装置には個々の会員に付与されたポイントがさらに記録されており、
前記会員認識手段が会員と認識した顧客に対するポイントの加算を行うポイント加算手段をさらに具備する請求項1記載の顧客主導の顧客管理システム。
【請求項3】
前記会員登録手段は、それに接近した非接触ICチップとの間で情報の交換をすることが可能な会員登録用端末を含み、前記携帯電話機に内蔵される非接触ICチップが該会員登録用端末に接近することで該携帯電話機から送信可能となる電子メールの受信に応答して、該携帯電話機との間での会員登録のシーケンスを開始することが可能である請求項1または2記載の顧客主導の顧客管理システム。
【請求項4】
前記会員登録手段は、電子メールアドレスを含む情報が記録された会員登録用の二次元コードを含み、前記携帯電話機が該二次元コードを読み取ることで該携帯電話機から送信可能となる電子メールの受信に応答して、該携帯電話機との間での会員登録のシーケンスを開始することが可能である請求項1〜3のいずれか1項記載の顧客主導の顧客管理システム。
【請求項5】
前記会員認識手段は、それに接近した非接触ICチップとの間で情報の交換をすることが可能な会員認識用端末を含み、前記携帯電話機に内蔵される非接触ICチップが該会員認識用端末に接近することで該非接触ICチップから読み出される識別子を前記記憶手段に記録されている識別子と照合することにより、該携帯電話機を使用する顧客を会員と認識する請求項1〜4のいずれか1項記載の顧客主導の顧客管理システム。
【請求項6】
前記会員認識手段は、携帯電話機に表示されるコードを読み取るコード読み取り器を含み、顧客が携帯電話機からパスワードを用いてシステムにログインした後に携帯電話機に表示されるコードを読み取ることにより該携帯電話機を使用する顧客を会員と認識する請求項1〜5のいずれか1項記載の顧客主導の顧客管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−138182(P2011−138182A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295901(P2009−295901)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(510000932)株式会社グローバルライト (1)
【Fターム(参考)】