説明

風向調整装置

【課題】 従来技術では、変流板が単に板状の部材を湾曲しただけの形状であるので、流動方向が変わる屈曲部の中間部でエアが側方に逃げて拡散してしまい、空調風を曲げる効率が悪いという問題がある。
また、変流板に剛性がなく、破損、変形を起しやすいという問題もあった。
【解決手段】 空調風4を吹き出す風向調整装置のケース体7の空気導入部の対向する側壁に掛け渡して連結片1を形成して、ダクト3内を通風する空気流と交差する方向に吹き出し口を形成した風向調整装置において、前記連結片1に交差する整流手段2を形成した風向調整装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車室の側壁または天井に沿って延設したエアダクトから車室内に空調エアを吹き出す風向調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、空気吹出口の風向調整装置は、前面に多数の横ルーバーを備えた矩形枠状のハウジング内に、多数の縦ルーバーのそれぞれが垂直軸線の回りで回動自在となるように並立されており、各縦ルーバーの後端縁部に形成されたピン部分には1本のリンク部材が係着して連結され、一枚の縦ルーバーを左右に回動させることにより、リンク部材を介して全縦ルーバーを一斉に回動させるようにしている。そして、このハウジングの両端は空調機などのケース本体に水平軸線の回りを回動可能となるよう枢支され、縦ルーバーの回動により左右方向の風向きを調整するとともに、横ルーバーの回動により上下の風向きを調整するものである。
例えば、車室の広いワゴン型車両等では、車室後部にもエアコンを設け、これにより車室後部を空調するようにしたものである。車室後部のエアコンは、車室後部の側壁を覆うクォータートリムの内側に設置した空調ユニットからクォーターピラーおよび車室のルーフサイドに沿って端末を閉塞したエアダクトを延設し、エアダクトのルーフサイド沿いに設けた前後のエアアウトレットからそれぞれ車室後部に設けた前後のリアシートに着座した乗員に向かって空調エアを吹き出すようにしている。
【0003】
従来例としては、車室の側壁または天井に設けた空調エア吹出し用のエアアウトレットであって、側壁または天井を沿って延設し端末を閉塞した空調用エアダクトの車室に面する正面側の側面に、空調エアの吹出し角度を調節する複数のフィンを備えた吹出しグリルを取付け、該吹出しグリルを介して車室内に空調エアを吹き出すエアアウトレットにおいて、上記吹出しグリルには、少なくとも下流側の端部に、エアダクト内へ起立し、エアダクト上流側に湾曲して延びる複数の変流板を設け、空調エアを上記変流板より吹出しグリル内に案内するようにした自動車のエアアウトレット(例えば、特許文献1を参照)が存在している。
この従来例は、ダクトの空気流と交差する方向に吹出し口を形成した吹出し装置であり、変流板は上流側に向かって湾曲した板が設けられているものが開示されている。
【特許文献1】特開2000−219038号公報(特許請求の範囲の欄、発明の詳細な説明の欄、及び図1、図2、図4を参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術では、変流板が単に板状の部材を湾曲しただけの形状であるので、流動方向が変わる屈曲部の中間部でエアが側方に逃げて拡散してしまい、空調風を曲げる効率が悪いという問題がある。
また、変流板に剛性がなく、破損、変形を起しやすいという問題もあった。
本発明は、前記従来技術の課題を解決し、エアダクトからの空調風をより効率良く整流することができる風向調整装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の第1発明は、請求項1に記載された通りの風向調整装置であり、次のようなものである。
空調風を吹き出す風向調整装置のケース体の空気導入部の対向する側壁に掛け渡して連結片を形成して、ダクト内を通風する空気流と交差する方向に吹き出し口を形成した風向調整装置において、前記連結片に交差する整流手段を形成する構成である。
【0006】
上記課題を解決するための本発明の第2発明は、請求項2に記載された通りの風向調整装置であり、次のようなものである。
請求項1に記載の発明に加えて、前記整流手段は、リブである構成である。
【0007】
上記課題を解決するための本発明の第3発明は、請求項3に記載された通りの風向調整装置であり、次のようなものである。
請求項1または請求項2に記載の発明に加えて、前記連結片は複数形成され、空気流の屈曲外周側に形成される連結片は、屈曲内周側に形成される連結片より上流側に突出している構成である。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る風向調整装置は、上記説明のような構成であるので、以下に記載する効果を奏する。
(1)請求項1によると、リブ、あるいは段部等の整流手段により、拡散を防止して空調風を効率よく整流することができる。
(2)請求項2によると、リブによって配風板の剛性を向上させることができる。
(3)請求項3によると、空気流の屈曲外周側に形成される連結片は、屈曲内周側に形成される連結片より上流側に突出しているため、連結片の上流側の湾曲している辺を湾曲していない板状のものに替えても空調風の整流を行うことができるので、ケースと整流板の一体成形が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
空調風を吹き出す風向調整装置のケース体の空気導入部の対向する側壁に掛け渡して連結片を形成して、ダクト内を通風する空気流と交差する方向に吹き出し口を形成した風向調整装置において、前記連結片は、複数形成され、空気流の屈曲外周側に形成される連結片は、屈曲内周側に形成される連結片より上流側に突出しており、前記連結片は、交差するリブである整流手段を形成した風向調整装置である。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の一実施例を添付図面で詳細に説明する。
図1は、本発明の風向調整装置の一実施例を示す全体概略斜視図、図2は、本発明の風向調整装置の一実施例を示す要部概略断面図、図3は、従来の風向調整装置の連結片の一例を示す概略斜視図、図4は、本発明の風向調整装置の連結片の一実施例を示す概略斜視図、図5は、図4の連結片の概略断面図、図6は、本発明の風向調整装置の連結片の他の実施例を示す概略斜視図、図7は、図6の連結片の概略断面図である。
【0011】
本発明の風向調整装置は、図1に示すようなケース体7の左右外周部位を連結して、空調風を整風する連結片1である配風板に整流リブ2を設けたものである。さらに、連結片1を空気流4の屈曲外周側に形成される連結片5は、屈曲内周側に形成される連結片6より上流側に突出している。このように、連結片1に整流リブ2を設けることにより、図2のようにダクト3を流れてくる空調風4を複数設けられた(本実施例では3個)整流リブ2を設けた連結片1によって空調風4を矢印のように整流するものである。
ここで、本発明の風向調整装置の特徴と従来の風向調整装置の違いを説明する。
従来の風向調整装置には、図3のように平らな連結片1´が設けられている。従来技術では、ダクト3から流れてくる空調風4をこの連結片1´によって整流させようとするが、連結片1´にぶつかった空調風4は拡散されてしまい(図3参照)、完全に整流された空調風とは言い難いものであった。
そこで、本発明は、図4に示すように連結片1に交差する整流リブ2を設けることによって連結片1にぶつかった空調風4が拡散されるのを防ぎ、整流リブ2が案内ガイドのように空調風4を整流することができる(図4参照)と同時に、従来強度的に弱かった連結片1の剛性を向上することができるものである。
また、整流リブ2の角度を変えることで気流に指向性を持たせ、風向制御を容易にすることもできる。例えば、右端の風向調整装置であれば空調風4を右側には多く流れないように整流リブ2を設けることも可能である。
【0012】
次に、本発明の風向調整装置の他の実施例について図面に基づいて説明する。
本発明の風向調整装置の連結片1は、上記のように平面の連結片1に交差する整流リブ2を設ける以外にも、図6、図7に示すように、連結片1の交差方向に凹凸部8を設けることによっても同様の効果を得ることができる。
この場合、前記実施例の整流リブ2と整流リブ2との間にガイドされて通風する空調風4が、連結片1の凹凸部8の突部9を通ることによって空調風4を前記実施例と同様に整流することができるものである。
なお、本実施例のように連結片1に凹凸部8を設けたものを採用することによって、連結片1の成形を簡易な一体成形で行うことができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0013】
各種自動車内の空調風の風向変換を行う風向調整装置の全てで利用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の風向調整装置の一実施例を示す全体概略斜視図ある。
【図2】本発明の風向調整装置の一実施例を示す要部概略断面図である。
【図3】従来の風向調整装置の連結片の一例を示す概略斜視図である。
【図4】本発明の風向調整装置の連結片の一実施例を示す概略斜視図である。
【図5】図4の連結片の概略断面図である。
【図6】本発明の風向調整装置の連結片の他の実施例を示す概略斜視図である。
【図7】図6の連結片の概略断面図である。
【符号の説明】
【0015】
1・・・・連結片 1´・・・・連結片
2・・・・整流リブ 3・・・・ダクト
4・・・・空調風 5・・・・屈曲外周側に形成される連結片
6・・・・屈曲内周側に形成される連結片 7・・・・ケース体
8・・・・凹凸部 9・・・・凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調風を吹き出す風向調整装置のケース体の空気導入部の対向する側壁に掛け渡して連結片を形成して、ダクト内を通風する空気流と交差する方向に吹き出し口を形成した風向調整装置において、前記連結片に交差する整流手段を形成したことを特徴とする風向調整装置。
【請求項2】
前記整流手段は、リブであることを特徴とする請求項1に記載の風向調整装置。
【請求項3】
前記連結片は複数形成され、空気流の屈曲外周側に形成される連結片は、屈曲内周側に形成される連結片より上流側に突出していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の風向調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−265709(P2008−265709A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−115385(P2007−115385)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】