説明

風量調整器

【目的】 第1の課題は、簡単な構造で安価に製造でき、又容易且つ確実に連続的な空気の風量調整が出来る風量調整器を提供する。第2の課題は、簡単な構造で安価に製造でき、径の異なるダクトに対し少ないパターンを用意するだけで容易且つ確実に取付けが出来、連続的な空気の風量調整が出来る。
【構成】 平面形状が円形で径の異なる半円弧状の通気口3を左半面領域と右半面領域とに交互に開口した第1プレート2と、同第1プレート2と同形状の第2プレート5とを互いの中心点で回動自在に連結して風量調整器1を形成し、空調ダクト10に取付けた空気吹出口胴板11内に第2プレート5を固着させるようにして風量調整器1を取付けた。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、ビル・建造物の空調装置のダクト内又は空調装置内の通風路の途中若しくはこれらの吹出口や吸入口に設けられ風量調整や空気整流等を行う風量調整器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の風量調整器50は、図14に示すように、複数の穴54を所定位置に開口した固定円板53に、同固定円板53と同じ形状の回動円板51を、互いの中心点を合ねた状態で回動自在に取付けた構造であった。
作業者はツマミ55を回動させることで回動円板51を回動させ、回動円板51の穴52を固定円板53の穴54にずれることなく重ね合せれば、この穴52,54を通って空気の風量が最大となり、少しずつ回動円板51の穴を固定円板53の穴54よりずらしていけば、穴52と穴54との重なりの面積が減り空気の風量を減少させることが出来、回動円板51の穴52が固定円板53の穴54の位置から完全にずらして穴52,54を完全に閉鎖し、空気の風量を遮断するものであった。
回動円板51と固定円板53との開口度が低く全開から全閉までの回動円板51の回動距離が少ないので、所定量の空気の風量を得る穴の開口面積に合わせる微調整が、作業者にとって難しく、手間のかかるものであった。
又、径が異なった空調ダクト56の種類に対応するために、径の異なった多種類の風量調整器50を製造しなければならず、風量調整器50の単価が高くなっていた。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
本考案が解決しようとする第1の課題は従来のこれらの問題点を解消し、簡単な構造で安価に製造でき、又容易且つ確実に連続的な空気の風量調整が出来る風量調整器を提供することにある。
第2の課題は、簡単な構造で安価に製造でき、径の異なるダクトに対し少ないパターンを用意するだけで容易且つ確実に取付けが出来、連続的な空気の風量調整が出来る。
【0004】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決した本考案の構成は、1)薄状の第1プレートに同一中心で所定幅の円弧状の通気口を複数径を異にして開口し、同第1プレートと同一開口形状の通気口を開口した薄状の第2プレートとを互いの中心点で回動自在に連結したことを特徴とする風量調整器2)第1プレートと第2プレートとの平面形状が共に同一の略円形である前記1)記載の風量調整器3)通気口を左半面領域と右半面領域とに交互に開口した前記1)又は2)いずれか記載の風量調整器4)
通気口を同一半面領域で略円弧状に開口した前記1)又は2)いずれか記載の風量調整器5)通気口が略半円弧状である前記1)記載の風量調整器6)通気口が略半円弧状である前記2)記載の風量調整器7)通気口が略半円弧状である前記3)記載の風量調整器8)通気口が略半円弧状である前記4)記載の風量調整器9)ネジで第1プレートと第2プレートとを回動自在に連結した前記1)〜8)
記載の風量調整器にある。
第1プレートと第2プレートとの外形形状が同一であったり、第1プレート,第2プレートのいずれか一方が四角形や五角形等の多角形で、残りのプレートが円形若しくは楕円であってもよい。複数の通気口が、第1プレート,第2のプレートの同一半面領域で略半円弧状若しくはこの略半円弧状より小さな円弧状に開口されたり、前記形状の通気口を全面領域にわたり位相をずらした状態で開口してもよい。
【0005】
【作用】
本考案での風量調整器は、ビル・建造物の空調装置のダクト内、又は空調装置内の通風路の途中、若しくはこれらの吹出口や吸込口に第1プレート又は第2プレートのいずれかをダクト内壁若しくは通風路壁に固定して風量調整を行うものである。
風量調整を行う際には、作業者が固着されていない第1,第2プレートのいずれかを手で回動させ、回動させたプレートに開口した通気口を他のプレートに開口した通気口をずれることなく重ね合わせれば、空気はこの通気口を通り空気の風量は最大となる。
空気の風量を遮断するには、作業者が徐々に第1,第2プレートのいずれかを回動させ、この回動させたプレートの通気口と他のプレートの通気口とを完全にずらすように位相を変えれば、作業者が回動させるプレートの通気口が他のプレートの非開口部分と重なり合うように移動し、他のプレートの通気口には、作業者が回動させるプレートが重なり合うように移動して、作業者が回動させるプレートの通気口を他のプレートの非開口部分で閉鎖し、他のプレートの通気口を作業者が回動させるプレートの非開口部分で閉鎖し、空気の風量を遮断する。
空気の風量を調整するには、前記同様に、作業者が第1,第2プレートのいずれかを回動させ、作業者が回動させるプレートを所定角度まで回動させれば、作業者が回動させるプレートの通気口と他のプレートの通気口との重なり部分が徐々にせまくなり、空気の風量を所定の風量に調整することが出来る。
【0006】
請求項2記載のように、第1プレートと第2プレートとの平面形状が共に同一の略円形であれば、打抜き加工等で通気口を開口した略円形の第1プレートを2枚用意し、それぞれを第1プレートと第2プレートとして用いることが出来、本考案の風量調整器の大量生産が容易に出来、安価なものとなり、更に、請求項2,3,7記載の組合せのように左半面領域と右半面領域とに交互に略半円弧状に開口された通気口を合せ持っていれば、予め直径の異なる大きさの第1プレートをいくつかのパターンで製造しておき、この予め製造したいくつかの第1プレートが合わなければ、通風路の径の大きさよりやや大きい第1プレートを通気路の径に応じて、となり合う略半円弧状の通気口間の連結部分を切断して切り抜けば、通風路の径の大きさに合った第1プレートを設けることが出来、この第1プレートを2枚用意しそれぞれを第1プレートと第2プレートとして回動自在に連結すれば通風路の径の大きさに合った風量調整器を設けることが出来る。
このように、径の異なる通風路に対しても簡単に最適な風量調整器を取付けることが出来、又安価なものとなった。
通気口は略半円弧状や略半円弧より小さい円周の円弧状開口かあり、全てが略半円弧状である通気口を設けた風量調整器では、全開状態の風量調整器の第1,第2プレートのいずれかを回動して通気口が全閉となるまでの回動距離が長く設けることが出来、風量調整器の全開から全閉までの風量の微調整も容易に作業者が合せられ作業性がよいものとなった。
【0007】
【実施例】
以下本考案の実施例を図面に基づいて説明する。
実施例1は(図1〜9参照)風量調整器を空調ダクトの開口部へはめ込んだ空気吹出胴板内に取付け空気の風量調整を行う例である。
実施例2は(図13参照)風量調整器を空調ダクト内に取付け空気の風量調整を行う例である。
【0008】
図1は実施例1を示す縦断面図、図2は実施例1での風量調整器を形成する第1プレートの平面図、図3は図2でのA−A断面図、図4は実施例1での通気口の全開状態を示す風量調整器の平面図、図5は実施例1での通気口の半開状態を示す風量調整器の平面図、図6は図5でのB−B断面図、図7は図5でのC−C断面図、図8は実施例1での通気口の全閉状態を示す風量調整器の平面図、図9は図8でのD−D断面図、図10は他の通気口の開口例を示す第1プレートの平面図、図11は他の通気口の開口例を示す第1プレートの平面図、図12は他の通気口の開口例を示す第2プレートの平面図、図13は実施例2を示す縦断面図である。
【0009】
:実施例1(図1〜図9参照)
図中1は第1プレート2と第2プレート5とを互いの中心点で回動自在に連結して形成し風量調整器、2は直径30cm程の平面形状が円形の第1プレート、3は第1プレート2に中心点から所定幅で略半円弧状の開口を前記所定幅と同じ幅の間隔で左半面領域と右半面領域とに交互に開口した通気口、5は第1プレート2と同じ平面形状の円形で同じ開口形状の通気口6を開口した第2プレート、6は第2プレート5の通気口、9は第1プレート2と第2プレート5とを回動自在に連結する蝶ナット付ねじ、10は空調ダクト、11は空気吹出口胴板、12は空気吹出コーン、13は空気吹出口、14は支持具、15は支持ピン、16はスポンジパッキン、17は通風路、18は側壁、19は第2プレート5を固定するL形保持具、20は同L形保持具19をとめるねじである。
【0010】
実施例1では、図1に示すように空調ダクト10の開口部に、第2プレート5の裏面にL形保持具19を固着させ、このL形保持具19をねじ20で空気吹出口胴板11に固定させた状態で風量調整器1を内部に取付けた空気吹出口胴板11の約半分程をはめ込み、この空気吹出口胴板11に空気吹出口13が側壁18に形成される空気吹出コーン12をはめ込んで、支持具14と支持ピン15とで空気吹出口胴板11に連結し、空気吹出口胴板11と空気吹出コーン12との間にスポンジパッキン16を介在させている。
空調ダクト10の空気を空気吹出口13へ最大に排出するには、作業者が手で第1プレート2を手で回動させ、回動させた第1プレート2の通気口3を、第2プレート5の通気口6にずれることなく重ね合せれば、空気はこの重なった通気口3,6を通り抜け空調ダクト10の開口面積の約半分程をしめるこの通気口3,6から風量調整器1の最大量の風量を排出する。
空調ダクト10の風量を遮断するには、作業者が手で徐々に第1プレート2を回動させ、この回動させた第1プレート2の通気口3と第2プレート5の通気口6とを完全にずらすように位相を変えれば、第1プレート2の通気口3が第2プレート5の非開口部分と重なり合うように移動し、第2プレート5の通気口6は作業者が回動させる第1プレート2の非開口部分が重なり合うように移動して、第1プレート2と第2プレート5との通気口3,6はそれぞれ対向する第1プレート2と第2プレート5との非開口部分で閉鎖され、空気の風量を遮断する。
【0011】
空気の風量を図5に示すように全開状態の半分に調整するには、通気口3,6が全開状態に重なり合った第1プレート2と第2プレート5とを、前記同様に作業者が第1プレート2を約90°回動させていけば、第1プレート2と第2プレート5との通気口3,6の重なり部分が前記同様にして連続的に徐々にせまくなって通風面積が半分程になり、空気の風量を容易に調整出来る。
又、通気口3,6が略半円弧状のため通気口3,6を全開から全閉にするまでには第1プレート2を180°回動させなければならず第1プレート2の回動距離が長くなり風量の微調整が簡単に行える。
【0012】
実施例1での風量調整器1は図2に示す第1プレート2と同形状の第2プレート5を同心でもって蝶ナット付ねじ9で回動自在に連結しているので、第1プレート2を打抜き加工等で大量生産し、それぞれ第1プレート2と第2プレート5とすれば簡単に風量調整器1が形成出来、風量調整器1は安価となる。又、径の異なる空調ダクト10に対しても、図2に示すような通気口3を開口していれば、予め直径の異なる第1プレート2をいくつか生産し、空調ダクトの径よりやや大きな第1プレート2を使って左半面領域と右半面領域にとなりあう通気口3の連結部分を切断すれば空調ダクト10の径にあった第1プレート2を形成することが出来、この第1プレート2を2枚用意してそれぞれ第1プレート2と第2プレート5として蝶ナット付ねじ9でもって回動自在に連結すれば、風量調整器1が簡単に形成出来る。
【0013】
図10に示す他の通気口の開口例は、平面形状が円形の第1プレート2を中心点から所定幅で略円弧状の通気口3を同中心点を中心に内側から外側へ15°づつ位相をずらして開口した例である。
この第1プレート2を2枚用意してそれぞれ第1プレート2と第2プレート5とし、回動自在に連結すれば風量調整器1を簡単に形成することが出来る。
又、図11に示す他の通気口の開口例は、平面形状が円形の第1プレート2を中心点から所定幅で略円弧状の通気口3を径を異にして半面領域に複数開口した例である。
この第1プレート2を2枚用意してそれぞれ第1プレート2と第2プレート5とし、回動自在に連結すれば風量調整器1を簡単に形成することが出来る。
【0014】
他の風量調整器1の例は、前記実施例1での第1プレート2を用いて、同第1プレート2の通気口3と同形状に開口された通気口6を設けた平面形状が四角形の図12に示す第2プレート5を形成し、第1プレート2と第2プレート5とをそれぞれの中心点で回動自在に連結した例である。
この第2プレート5を内部が四角形状である空気吹出口胴板内や四角形状の空調ダクト内に固定するように風量調整器1を取付け、第1プレート2を作業者が回動させて前記実施例1同様に風量調整を行っていく。
その他の作用効果は前記実施例1と同じである。
【0015】
:実施例2(図13参照)
図13に示す実施例2では、前記実施例1で用いた風量調整器1を使って、この風量調整器1を空調ダクト10内に第2プレート5が内壁に取付けられた状態で取付け、作業者が第1プレート2を回動させて風量調整を行う例である。
その他の符号・構成や作用効果は前記実施例1と同じである。
【0016】
上記実施例1,2で用いた風量調整器又は通気口の開口状態が図10,11の風量調整器若しくは図12に示す風量調整器は、空調ダクト内や空調ダクトに取付けた空気吹出口胴板内に設けることに限定せず、空調ダクトの吹出面や吸込口や空調装置内の通風路内やこの通風路の吹出口・吸込口に設けてもよい。
又、図12に示す平面形状が四角形の第2プレートは四角形に限定せず、ダクト内や空調装置内の通風路の断面形状に合せて三角形や五角形等の多角形としてよい。
同様に多角形とした第2プレートに図10又は図11に示すような第1プレートの通気口と同一形状に通気口を開口し、この第2プレートに同形状の通気口を設けた図10又は図11に示す第1プレートを回動自在に連結して風量調整器を形成してもよい。
【0017】
【考案の効果】
以上のように、本考案では、同心で回動自在に連結した第1プレートと第2プレートとに径を異にした円弧状の通気口をそれぞれ同形状で開口しているので、ダクト壁若しくは通風路内壁に固定していない第1プレート又は第2プレートを作業者が手で回して、第1プレートの通気口と第2プレートの通気口とをずれることなく重ね合わせれば全ての通気口は全開状態となり、又通気口が円弧状のため、通気口を全開状態から全開状態まで連続的に通風面積を変えることが出来、又通気口を全開状態とするまで、作業者が回動するプレートの回動距離が長く形成され全閉状態から全開状態にかけての風量の微調整が大変容易に且つ確実に行えるものとなった。
又、第1プレートと第2プレートとは打抜き加工等により大量生産が可能であるので安価な風量調整器を提供出来る。
請求項2,3,7記載の組合せでは、径の異なる略半円弧状の通気口を複数左半面領域と右半面領域とに交互に開口した平面形状が略円形の第1プレートと第2プレートとから形成される風量調整器であれば、予め直径の異なる大きさの第1プレートをいくつか製造しておけば、径の異なる通風路に対しても、この通風路よりやや径の大きな第1プレートを使ってこの通風路の径の大きさで左半面領域と右半面領域においてとなり合う通気口間の連結部分を切断すれば、通風路の径に合う第1プレートを大変簡単に形成出来、この第1プレートを2枚用いて、それぞれを第1プレートと第2プレートととして回動自在に連結すれば、径の異なる通風路に対しても異なる径毎に風量調整器を製造する必要がなく、第1プレートを打抜き加工等により大量生産することで大変安価な風量調整器を提供出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1を示す縦断面図である。
【図2】実施例1での風量調整器を形成する第1プレートの平面図である。
【図3】図2でのA−A断面図である。
【図4】実施例1での通気口の全開状態を示す風量調整器の平面図である。
【図5】実施例1での通気口の半開状態を示す風量調整器の平面図である。
【図6】図5でのB−B断面図である。
【図7】図5でのC−C断面図である。
【図8】実施例1での通気口の全閉状態を示す風量調整器の平面図である。
【図9】図8でのD−D断面図である。
【図10】他の通気口の開口例を示す第1プレートの平面図である。
【図11】他の通気口の開口例を示す第1プレートの平面図である。
【図12】他の通気口の開口例を示す第2プレートの平面図である。
【図13】実施例2を示す縦断面図である。
【図14】従来の風量調整器を示す説明図である。
【符号の説明】
1 風量調整器
2 第1プレート
3 通気口
4 欠番
5 第2プレート
6 通気口
7 欠番
8 欠番
9 蝶ナット付ねじ
10 空調ダクト
11 空気吹出口胴板
12 空気吹出コーン
13 空気吹出口
14 支持具
15 支持ピン
16 スポンジパッキン
17 通風路
18 側壁
19 L形保持具
20 ねじ
50 風量調整器
51 回動円板
52 穴
53 固定円板
54 穴
55 ツマミ
56 空調ダクト

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 薄状の第1プレートに同一中心で所定幅の円弧状の通気口を複数径を異にして開口し、同第1プレートと同一開口形状の通気口を開口した薄状の第2プレートとを互いの中心点で回動自在に連結したことを特徴とする風量調整器。
【請求項2】 第1プレートと第2プレートとの平面形状が共に同一の略円形である請求項1記載の風量調整器。
【請求項3】 通気口を左半面領域と右半面領域とに交互に開口した請求項1又は2いずれか記載の風量調整器。
【請求項4】通気口を同一半面領域で略円弧状に開口した請求項1又は2いずれか記載の風量調整器。
【請求項5】 通気口が略半円弧状である請求項1記載の風量調整器。
【請求項6】 通気口が略半円弧状である請求項2記載の風量調整器。
【請求項7】 通気口が略半円弧状である請求項3記載の風量調整器。
【請求項8】 通気口が略半円弧状である請求項4記載の風量調整器。
【請求項9】 ネジで第1プレートと第2プレートとを回動自在に連結した請求項1〜8記載の風量調整器。

【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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