説明

飛行機の騒音低減手順のための方法

【課題】飛行機の飛行中に騒音低減ゾーン内で飛行機からの騒音を低減する方法を提供する。
【解決手段】飛行機の飛行経路が騒音低減ゾーン34を横切る場所を決定し、次いで、飛行機が騒音低減ゾーン34内にあるときにより静かに飛行機を運転することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる騒音レベルを有する複数のパフォーマンスプロファイルで運転することができる飛行機を運転するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空港の周りの騒音レベルには、飛行機がグラウンドに最も接近するときの、特に離陸時および着陸時における、空港の周りのコミュニティおよびエアラインオペレータの両方に対する特有の問題がある。コミュニティは騒音レベルを低下させることを望んでおり、エアラインオペレータは、高度が上がれば効率も上がることからより迅速に上昇することを望んでいる。多くの空港では、飛行機が周辺領域の騒音暴露限界を遵守することが必要となる。これらの限界を超えると罰金が生じたり、または、運転が制限されたりする可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0132106号公報
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、飛行機を運転するための方法は、飛行機の飛行経路が騒音低減ゾーンをいつ横切るかを決定するステップと、飛行機が騒音低減ゾーン内を飛行しているときに、騒音低減ゾーンで許容される騒音レベルを有するパフォーマンスプロファイルで飛行機を運転するステップとを含む。騒音低減ゾーンには、高度ディメンションおよび地上経路ディメンション(ground path dimension)の両方が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】騒音を低減するための従来技術の既知の方法に従って飛行する飛行経路の概略図である。
【図2】騒音を低減するための従来技術の代替の既知の方法に従って飛行する飛行経路の概略図である。
【図3】例示の騒音低減ゾーンおよび飛行機飛行経路を示す概略図である。
【図4】本発明の一実施形態による運転から得られる、例示の騒音低減ゾーンおよび種々の飛行機飛行プロファイルを示す概略図である。
【図5】本発明の第2の実施形態による、飛行機が騒音低減ゾーン内を飛行しているときの、騒音低減ゾーンで許容される騒音レベルを有するパフォーマンスプロファイルで飛行機を運転するための方法を示すフローチャートである。
【図6】図1の既知の飛行経路と、本発明の一実施形態による運転から得られる図4の飛行プロファイルとを比較する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、騒音を低減するための、当技術分野で既知のいくつかの飛行プロファイルを示している。第1の飛行プロファイル2は、高度ベースのスキームを採用する、騒音を低減するための既知の方法の結果を示しており、ここでは、離陸推力4から、飛行機が所定の下側高度8の上まで上昇するときの低減された上昇設定6まで、推力が変化する。飛行機が第2の上側の所定の高度12の上まで上昇すると、スロットルが通常の上昇推力設定10に戻される。
【0007】
図2は、推力を低下させるためのドライビングファクタ(driving factor)として位置を使用し、また、騒音低減領域に到達すると高度に関係なくすべての飛行機に推力を低下させる代替の既知の騒音低減方法の結果である第2の飛行プロファイル14を示している。示されるように、第2の飛行プロファイル14は、離陸推力16から、”0”マイルで示される空港からの所定の範囲である騒音低減開始ポイント20に飛行機が到達するときの低減した上昇設定18まで、変化し、さらに、第2の飛行プロファイル14は、単に、飛行機がやはり空港から所定の範囲である騒音低減終了ポイント24までの一定距離を移動すると通常の上昇推力22までスロットルを戻す。これらの既知の方法は共に騒音を低減するが、一定の重量および一定の上昇能力を有する飛行機にとっては過度に保守的である。
【0008】
次に、本発明の一実施形態に従う、図3を参照すると、異なる騒音レベルを有する複数のパフォーマンスプロファイルで運転することができる飛行機30を運転するための方法が、飛行経路32に沿って飛行機30を飛行させることと、飛行経路32が騒音低減ゾーン34をいつ横切るかを決定することと、飛行機30が騒音低減ゾーン34内を飛行しているときに、騒音低減ゾーン34で許容される騒音レベルを有するパフォーマンスプロファイルで飛行機30を運転することとを含む。騒音低減ゾーン34は、近隣住区およびビジネスコミュニティなどの、空港の近くの騒音警戒領域(noise−sensitive area)35に相互に関連していてよい。このような騒音警戒領域35の境界は種々のグループおよび/またはオーソリティによって設定されてよく、コミュニティの物理的境界と所与の滑走路または空港からの出発経路との間のいずれかの地点で始まってよい。
【0009】
騒音低減ゾーン34が、地上経路ディメンション36および高度ディメンション38の両方を含む2次元空間で少なくとも画定され得ることが企図される(図4)。地上経路ディメンション36は開始ポイント40および終了ポイント42を含むことができ、これらの開始ポイント40および終了ポイント42は、飛行経路32が横切る騒音警戒領域35と相互に関連する地面に沿ったポイントと相互に関連していてよい。したがって、開始ポイント40は、飛行経路32が騒音低減ゾーン34に入るポイントと相互に関連してよく、終了ポイント42は飛行経路32が騒音低減ゾーン34から出るポイントと相互に関連してよい。騒音低減開始ポイント40および騒音低減終了ポイント42が直線的な経路内にある必要がないこと、および、騒音警戒領域35が幾何学的に画定されなくてもよくまたは所定の幾何形状でなくてもよいことを理解されたい。騒音警戒領域35は図3では楕円で示されているが、騒音警戒領域35は任意の閉じられた形状であっても任意の閉じられていない形状であってもよい。
【0010】
図3はトップダウン図であるため、騒音低減ゾーン34の高度ディメンション38は、ゾーンの側面図である図4でより明確に示され得る。図4は、地上経路ディメンション36および高度ディメンション38の両方を有する騒音低減ゾーン34を概略的に示している。高度ディメンション38は最高高度46さらには最低高度48を含んでよい。最低高度48が図面では数値的に0で示されるグラウンドレベルより上にあってよいことが企図される。このような最低高度48は、飛行機30が例えば800フィートといったような特定の高度に達するまで飛行機30の推力設定が低下されないように、設定され得る。
【0011】
飛行経路32が騒音低減ゾーン34を横切ることが、飛行管理コンピュータ(Flight Management Computer(FMC))を介して飛行機30の機内で計算されるかまたは電子フライトバッグ(Electronic Flight Bag(EFB))によって決定され得、あるいは、地上ベースのツールで決定されて飛行機30にアップリンクされてもよいことが企図される。飛行機30は騒音低減ゾーンのディメンションおよび対応する許容騒音レベルの両方をダウンロードすることができる。飛行経路32が騒音低減ゾーン34を横切ることは、飛行機30が騒音低減ゾーン34に入る前に特定され得る。最高高度46および最低高度48さらには開始位置40および終了位置42は種々の手法で入力および/または計算され得ることが企図される。非限定的な例として、開始位置40および終了位置42は、パイロットの選択に基づくか、または、ナビゲーションデータベースに含まれるまたは個別のウェイポイント指定からの予め決めてあった騒音低減出発手順に基づいていてよい。別法として、騒音低減ゾーンは新しい騒音低減領域データベース(Noise Abatement Area Database (NAADB))内で画定されてもよく、騒音低減領域データベースでは、開始位置および終了位置が、選択された出発手順に基づく騒音低減領域に対する飛行経路の横断に基づいて自動的に決定され得る。
【0012】
飛行機30は多数のパフォーマンスプロファイルで運転することができる。例えば、飛行機が離陸上昇に関連するパフォーマンスプロファイルで運転することができることが企図され、このパフォーマンスプロファイルは対応してより大きい推力および最大上昇角度を有してよい。飛行機30はまた、対応して上昇角度が小さい低減された推力のパフォーマンスプロファイルで運転することができ、これは、飛行機が騒音低減ゾーン34内にある場合には発生させる騒音を低減する。飛行機30はまた、上昇推力を有するパフォーマンスプロファイルを有することができ、これは離陸推力より小さいが、上記の低減された推力より大きい。上で言及したパフォーマンスプロファイルは単に非限定的な例であり、飛行機30が任意の数の追加のまたは代替のパフォーマンスプロファイルを有してよいことが企図される。また、パフォーマンスプロファイルが、高度に基づいて調整され得る推力設定を含み、それにより、飛行機の高度が上がるにつれて推力を増大させることができることも企図される。
【0013】
本明細書で説明される本発明の方法の実施形態は、考慮事項に基づいて高度および位置の両方を統合スキームに組み込み、この統合スキームでは、水平方向および垂直方向の両方における騒音警戒領域からの距離に基づいて必要なときのみ飛行機30のパフォーマンスプロファイルが調整される。さらに、飛行機30の運転中に推力を回復させる際の決定には複数のファクタが考慮される。このようにして、スロットルは必要なときのみ弱められればよく、飛行機30は騒音暴露の制約条件を満たしながらより効率的に運転することができる。
【0014】
騒音低減ゾーン34に関連する複数の飛行プロファイル52、54および56が示されており、これらは、本発明の方法の実施形態の結果である。各飛行プロファイルは、最低高度48および開始位置40の両方に飛行機が到達すると、推力が離陸推力などの最初の推力から低減推力を有するパフォーマンスプロファイルまで低下され、騒音低減ゾーンで許容される騒音レベルになることを示している。このようなパフォーマンスプロファイルは、最高高度46または終了位置42のいずれかに到達するまで維持される。騒音を低減することおよび上昇パフォーマンスを最大化することの両方を補助するような柔軟性のある解決策を得るには、最小制約のファクタが使用される。例えば、飛行プロファイル52は、距離成分に関係なく特定の高度に達するとパフォーマンスプロファイルが元に戻され、また、飛行プロファイル54および56は、最高高度に到達していなくても終了位置に到達するとパフォーマンスプロファイルが元に戻される。
【0015】
図示しないが、本発明の実施形態は3次元の騒音低減ゾーンを企図し得ると考えられる。このような3次元ゾーンはさらに時間ディメンションを含むことができる。騒音低減ゾーン内で可能であるノイズバジェット(noise budget)は、飛行機が騒音低減ゾーン内を飛行しているときの飛行機が運転されるパフォーマンスプロファイルを変更するように指定され得、また、そのように使用され得る。ノイズバジェットは、特定の期間を通して許される騒音の総和を表す割当量であってよい。このようなノイズバジェットはエアラインオペレータが指定してよい。地上ベースのツールが、エアラインフリートの全体のノイズバジェットの経過を追うことができ、飛行機30のパフォーマンスプロファイルは、残りの利用可能なノイズバジェットおよび最新の適用可能な騒音制限に基づいて変更され得る。これにより、ノイズバジェットおよび制限を超過することに付随するペナルティを一切回避しながら、エアラインが最も効率的な運転を行うことができるようになる。
【0016】
騒音低減ゾーンで許容される騒音レベルを有するパフォーマンスプロファイルが指定されるノイズバジェットに基づき決定され得ること、および、パフォーマンスプロファイルには、サウンドバジェット(sound budget)に応じて、騒音低減ゾーン内で飛行機が運転されるときに推力を調整することが含まれてよいことが企図される。非限定的な例として、推力設定は、高度ベースであってよいスルーイングファクタ(slewing factor)または騒音ファクタに基づいて調整され得る。したがって、パフォーマンスプロファイルには、飛行機の高度が所定の最高高度に向かって上昇するにつれて推力が増大してよいことが含まれる。追加の非限定的な例として、推力設定は、飛行機が騒音低減ゾーン内にあるときに一定の騒音レベル未満を維持しながら緩やかに推力を回復させるために、騒音ファクタとは無関係に調整され得る。
【0017】
図5には、飛行機が騒音低減ゾーン内を飛行しているときの、騒音低減ゾーンで許容される騒音レベルを有するパフォーマンスプロファイルで飛行機を運転するための本発明の方法の一実施形態が示されている。非限定的な例である例示の方法100は、前の図に示されるような2次元の騒音低減ゾーンに関連する。方法100は、飛行機が飛行経路に沿って飛行すること、および、2次元の騒音低減ゾーンが最低高度および最高高度のディメンションおよび地上経路の開始位置および終了位置に関連して画定されていること、を想定する。方法100は、飛行機がその飛行経路に沿って飛行し始めると自動で開始され得、飛行機の制御装置によって実行され得る。図示される順序は単に説明することを目的としており、方法100を制限することを一切意味しておらず、説明される方法から逸脱することなく、方法の複数の部分が異なる論理的順序で進行してよいこと、追加の部分もしくは介在する部分が含まれてよいこと、または、方法の説明される部分が複数の部分に分割され得ること、あるいは、方法の説明される部分が省略され得ることを理解されたい。
【0018】
方法100は、概して102に示される騒音低減出発手順で開始される。騒音低減出発手順102は104で開始され、ここでは、飛行機内の制御装置が、飛行機の高さが所定の最低高度より低いか否かを決定することができる。この所定の最低高度は、予め決めてあった騒音低減ゾーンの最低高度のディメンションに相互に関連していてよい。飛行機の最新の高度が所定の最低高度より低い場合、方法は騒音低減出発手順102から出て、以下で説明される114の非騒音低減推力設定に進む。飛行機の最新の高度が最低高度より高い場合、方法は106において騒音低減出発手順102を継続する。104の決定は、飛行機の最新の位置が所定の閾値を満たしているか否かを含むように容易に修正され得、これが決定より大きくなるように制限される必要がないことを理解されたい。説明のために、任意の一般的な比較が代用され得るように(基準値より大きい、基準値より小さい、基準値と等しい、基準値と異なる、など)、基準値は容易に選択され得るかまたは数値的に修正され得ることを理解されたい。
【0019】
106において、飛行機が騒音低減ゾーンに到達したか否かが決定され得るが、これは、所定の騒音低減開始位置までの距離がゼロより大きいか否かが決定されることによって決定される。このような所定の騒音低減開始位置は、飛行経路が予め決めてあった騒音低減ゾーンに入ることができる地上経路ディメンションに相互に関連していてよい。開始位置までの距離がゼロより大きいと決定されると、方法は騒音低減出発手順102から出て、114の非騒音低減推力設定に進む。開始位置までの距離がゼロ未満であると決定された場合、方法は108に進む。106では、飛行機が騒音低減ゾーンに到達したか否かの決定には、原点または滑走路から飛行機までの距離が原点から開始位置までの距離未満であるか否かを決定することが含まれることが企図される。106での決定が容易に修正され得、図示および説明される決定のみに限定される必要がないことを理解されたい。
【0020】
108では、飛行機が既に予め決めてあった騒音低減ゾーンより高く上昇したか否かが決定され得、これは、飛行機の高さが所定の最高高度より高いか否かを決定することにより決定される。このような所定の最高高度は予め決めてあった騒音低減ゾーンの最高高度のディメンションと相互に関連していてよい。飛行機の最新の高度が最高高度より高い場合、方法は騒音低減出発手順102から出て114の非騒音低減推力設定に進む。飛行機の最新の高度が最高高度より高くない場合、方法は110において騒音低減出発手順102を継続する。
【0021】
110では、飛行機が騒音低減ゾーンの外まで飛行したか否かが決定され得、これは、所定の騒音低減終了位置までの距離がゼロ未満であるか否かを決定することによって決定される。このような所定の騒音低減終了位置は、飛行経路が予め決めてあった騒音低減ゾーンを出ると予測されるところの地上経路ディメンションと相互に関連していてよい。終了位置までの距離がゼロ未満であると決定された場合、方法は騒音低減出発手順102から出て114の非騒音低減推力設定に進む。終了位置までの距離がゼロ未満ではないと決定された場合、方法は112に進む。110では、飛行機が騒音低減ゾーンの外まで飛行したか否かの決定には、起点または滑走路から飛行機までの距離が起点から終了位置までの距離より大きいか否かを決定することが含まれてよいことが企図される。110での決定が容易に修正され得、図示および説明される決定のみに限定される必要がないことを理解されたい。
【0022】
112では、飛行機の推力が、所定の騒音低減推力となるように設定され得る。このようにして、飛行機は、騒音低減ゾーンで許容される騒音レベルを有するパフォーマンスプロファイルで運転され得る。飛行機が騒音低減ゾーン内を飛行しているときの、騒音低減ゾーンで許容される騒音レベルを有するパフォーマンスプロファイルで飛行機を運転することには、112において複数のパフォーマンスプロファイルで飛行機を運転することが含まれてよいことが企図される。112で推力が設定された後、飛行機が依然として騒音低減ゾーン内にありそれに応じて運転されているか否かを決定するために、方法100は104に戻ってよいことが企図される。
【0023】
飛行機が騒音低減ゾーン内にないと決定された場合、114において、非騒音低減推力設定が使用される。114の非騒音低減推力設定では、推力は、騒音低減ゾーンには適さないような、離陸推力または上昇推力などのような高い推力に設定されてよい。飛行機が騒音低減ゾーン内を飛行している場合、飛行機は、飛行機が騒音低減ゾーンの外側を飛行しているときのパフォーマンスプロファイルより低い推力を有するパフォーマンスプロファイルで運転される。非騒音低減推力設定114の間は、飛行機がどのパフォーマンスプロファイルで運転されるべきかの決定が行われ得、そのようなパフォーマンスプロファイルは、騒音低減ゾーンでは許容されないような騒音レベルであってよい。
【0024】
114の非騒音低減推力設定の間において推力が設定された後、方法100は、104で始まる騒音低減出発手順102を繰り返すことができることが企図される。また、飛行機の運転中に飛行経路が変更され得ること、ならびに、それにより、所定の騒音低減ゾーンが開始されるおよび終了する地上経路での所定の位置が変更されてよいことが企図される。これにより、飛行経路が別の位置で騒音低減ゾーンと交差する可能性がある場合でも、方法100に対して、さらには、方法100で行われる決定に対して、変更がなされ得るようになる。また、飛行中に飛行経路が複数の騒音低減ゾーンに遭遇してよいこと、および/または、飛行経路が1つの騒音低減ゾーンに対して複数回横断してよいことが企図される。この方法は、飛行機が騒音低減ゾーン内を飛行しているときの、騒音低減ゾーンで許容される騒音レベルを有するパフォーマンスプロファイルにおいて確実に飛行機が運転されるようにするために、飛行機の1回の飛行中に複数回使用されてもよい。
【0025】
別法として、本方法の一実施形態は、種々の騒音制限ゾーンをより良好に特定するために、複数の騒音低減開始位置および終了位置を含んでよく、さらには、複数の騒音低減最高高度および最低高度を含んでよい。例えば、複数の開始位置および終了位置は、全体の騒音制限を満たしながら、2つの騒音制限コミュニティの間の人のいない領域を利用してより速く上昇するのに使用され得る。さらに、複数の高度バンドが、異なるレベルの必要な騒音低減を画定するのに使用され得る。
【0026】
図6は、図4の飛行プロファイル52と図1の飛行プロファイル2との比較を示している。これらの2つの飛行プロファイルの比較は、従来技術に対する本方法の利点を明確に示している。既知の従来技術の方法が、飛行機が通常の上昇推力設定にいつ戻ってよいかを決定するのに1つのファクタのみを使用するのに対して、上述した実施形態は、複数のファクタを統合スキームでの考慮事項に入れ、ここでは、推力は、水平方向および垂直方向の両方における騒音警戒領域からの距離に基づいて必要なときのみ低下される。これにより、騒音暴露の制約条件を満たしながらより効率的にエアラインを運転することが可能となる。
【0027】
軽い飛行機は必要以上に早く推力を低下させる必要はなく、重い飛行機は必要以上に長く推力低下状態を維持する必要はない。飛行機がより長い時間高い高度で飛行すると効率を上げることができることから、飛行機は空港からより迅速に離れて上昇することが可能であり、迅速に上昇することで燃料使用が減り、騒音が低減される。企図される方法は、推力を低下させるポイントおよび推力を回復させるポイントの高度または位置のセットを決定する際に柔軟性のあるファクタを使用することができる。上述の方法は、騒音を低減することおよび上昇パフォーマンスを最大化することの両方を補助する柔軟性のある解決策を得るために最小制約のファクタを使用する。それにより、より効率的な巡航高度に迅速に到達することで、燃料使用が減少する。
【0028】
ここに記載される説明は、最良の形態を含めた本発明を開示するために、さらには、任意のデバイスまたはシステムを製造および使用することならびに採用される任意の方法を実施することを含めて、当業者が本発明を実施するのを可能にするために、複数の例を使用する。特許を受けることができる本発明の範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者には思い付く別の例を含むことができる。このような別の例は、特許請求の範囲の文字通りの意味と違わない構造的要素を有する場合には、または、特許請求の範囲の文字通りの意味とほぼ違わない等価の構造的要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあることが意図される。
【符号の説明】
【0029】
2 第1の飛行プロファイル
4 離陸推力
6 低減された上昇設定
8 所定の下側高度
10 通常の上昇推力設定
12 第2の上側の所定の高度
14 第2の飛行プロファイル
16 離陸推力
18 低減された上昇設定
20 騒音低減開始ポイント
22 通常の上昇推力
24 騒音低減終了ポイント
30 飛行機
32 飛行経路
34 騒音低減ゾーン
35 騒音警戒領域
36 地上経路ディメンション
38 高度ディメンション
40 開始ポイント
42 終了ポイント
46 最高高度
48 最低高度
52 飛行プロファイル
54 飛行プロファイル
56 飛行プロファイル
100 方法
102 騒音低減出発手順
104 最小高度より低いか否か?
106 開始位置までの距離がゼロより大きいか否か?
108 最高高度より高いか否か?
110 終了位置までの距離がゼロより小さいか否か?
112 推力を騒音低減推力に設定する
114 推力を非騒音低減推力に設定する

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる騒音レベルを有する複数のパフォーマンスプロファイルで運転することができる飛行機を運転するための方法であって、
飛行経路に沿って前記飛行機を飛行させるステップと、
高度ディメンションおよび地上経路ディメンションの両方を含む2次元である騒音低減ゾーンを前記飛行経路がいつ横切るかを決定するステップと、
前記飛行機が前記騒音低減ゾーン内を飛行しているときに、前記騒音低減ゾーンで許容される騒音レベルを有するパフォーマンスプロファイルで前記飛行機を運転するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記地上経路ディメンションが地面に沿った開始ポイントおよび終了ポイントを有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記開始ポイントが、前記飛行経路が前記騒音低減ゾーンに入るところのポイントに一致し、前記終了ポイントが、前記飛行経路が前記騒音低減ゾーンから出るところのポイントに一致する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記高度ディメンションが最高高度を含む、請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記高度ディメンションが最低高度を含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記最低高度が地表面より上にある、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記騒音低減ゾーンが3次元である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記飛行機が前記騒音低減ゾーンの外側を飛行しているときに許容される騒音レベルを超える騒音レベルを有するパフォーマンスプロファイルで前記飛行機を運転するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記飛行機が前記騒音低減ゾーン内を飛行しているときの前記パフォーマンスプロファイルが、前記飛行機が前記騒音低減ゾーンの外側を飛行しているときの前記パフォーマンスプロファイルより低い推力である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記飛行機が前記騒音低減ゾーン内を飛行しているときに、前記騒音低減ゾーンで許容される騒音レベルを有するパフォーマンスプロファイルで前記飛行機を運転する前記ステップが、複数のパフォーマンスプロファイルで前記飛行機を運転するステップを含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記飛行機が前記騒音低減ゾーンに入る前に、前記飛行経路と交差する騒音低減ゾーンを特定するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記騒音低減ゾーンのディメンションおよび対応する許容騒音レベルを前記飛行機までダウンロードするステップをさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記騒音低減ゾーンのディメンションをダウンロードする前記ステップが、前記飛行経路が前記騒音低減ゾーンに入るところの開始ポイント、および、前記飛行経路が前記騒音低減ゾーンから出るところの終了ポイントをダウンロードするステップを含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記開始ポイントおよび前記終了ポイントの各々が高度ディメンションおよび地上経路ディメンションのうちの少なくとも1つを含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記騒音低減ゾーンで可能であるノイズバジェットを特定するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記騒音低減ゾーンで許容される前記騒音レベルを有する前記パフォーマンスプロファイルが、前記特定されたノイズバジェットに基づいて決定される、請求項15記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−86795(P2013−86795A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−227562(P2012−227562)
【出願日】平成24年10月15日(2012.10.15)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】