説明

食事制限のための膨化ペットフード

低エネルギー密度の食品及び低エネルギー密度の食品を製造するための方法が提供される。例示的な実施例は、かさ密度が240kg/m(約15ポンド/立方フィート)未満であり、高アミロースデンプン及び長鎖アミロース含有デンプンを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にはペットフード製品に関し、より詳細には、栄養上完全である低エネルギー密度の製品に関する。
【背景技術】
【0002】
体重管理の問題は、ペットの飼主及び獣医の多くにとって関心事である。体重は、カロリー摂取を制御すること及び/又はペットに有意な量の運動をさせることにより、管理することができる。カロリー摂取は、低カロリーのペットフードを給餌すること又は通常のカロリーのペットフードをより少量給餌することによって制御することができる。低カロリーのペットフードは、食品中の食物繊維レベルを高め脂肪レベルを低めることによって低エネルギー密度を実現するので、しばしば、味の良くない食品となる。さらに、低カロリー製品中の食物繊維が高レベルであるため、このタイプの食品を食べているペットはしばしば、より大量の糞便を排泄する。また、ペットはこの製品をより少量しか食べないため、飼主はしばしば、より多くの御馳走をペットに与えることにより埋め合わせる必要を感じる。この御馳走によりカロリーが追加され、体重増加が継続することになる。さらに、給餌指示を遵守するとしばしば体重が減少するが、体脂肪の減少とともに除脂肪体重が減る危険性がある。
【0003】
食品のエネルギー密度を低くする別の方法は、食品を膨化して密度の低い食品を作ることである。高度に膨張させたヒト用の膨化スナック食品が知られている。このようなスナックは、通常、かさ密度が約48〜64kg/m(約3〜4ポンド/立方フィート)であり、通常はデンプン含有率が非常に高く、炭水化物が70〜80重量%含まれる。同様に、膨化された朝食用シリアルは、かさ密度が約48〜225kg/m(約3〜14ポンド/立方フィート)であり、やはり70〜80重量%の炭水化物を含み、アミロースとアミロペクチンの比は約25:75である。デンプン含有率が高いため、このような組成物は栄養上完全ではない。
【0004】
密度が約48kg/m(約3ポンド/立方フィート)の高度に膨張させたスナック及び朝食用シリアルは、一般に、純デンプン又は全粒穀物を用いて製造され、膨化させた後に矯味料で被覆される。押し出しの際に、純デンプンは最大500%まで膨張することができ、全粒穀物(デンプン含有率65〜78%)は、最大400%まで膨張することができる。ペットフード配合物(デンプン含有率40〜50%)は、約200〜300%しか膨張することができず、脂肪種子(デンプン含有率0〜10%)は約150〜200%しか膨張することができない。動物粉、動物粉の主要な栄養成分は、蛋白質が多く、膨張しにくい成分である。他の栄養成分も、膨張しにくい又は膨張しやすくもしにくくもない。したがって、一般に、栄養上より完全な混合物の方が、デンプンの多い混合物より最大膨張率が低い。さらに、蛋白質をより高比率で含む栄養上より完全な組成物の方が、通常、より大量の熱及び/又はより強い圧力を伴う極端な押し出し条件を必要とする。このような条件が原因となって、デンプンの一部が分解する。デンプンが分解すると、得られる製品は膨張することができず又は押し出し機から出るときに崩壊する。
【0005】
高アミロースデンプンを十分な濃度で含む栄養上完全な混合物が、栄養上完全な組成物を押し出すのに使用される、より極端な条件に耐えることができることがわかっている。したがって、製品を押し出すときにそれを膨化させることにより、栄養上完全な組成物の密度を低くすることができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
栄養上完全で味が良くペットを満足させる、低エネルギー密度の(膨化)製品が提供される。さらに、ペットが十分な量の食品を食べるため、飼主がペットの食行動により満足し、給餌指示を遵守する可能性が高くなる。しかし、この製品は膨化されているため、動物が摂取する食品単位体積当たりのカロリーは少なくなり、ペットの体重が減る。さらに、膨化製品に蛋白質由来のカロリーを高い比率(例えば、代謝エネルギーの少なくとも40%)で配合することができるため、この製品は、肥満のペットが体脂肪を減らす助けとなるが除脂肪体重の減る危険性は最小限に抑える。
【0007】
一実施形態では、かさ密度が約240kg/m(約15ポンド/立方フィート)未満の栄養上完全なペットフードが提供される。
【0008】
別の実施形態では、低エネルギー密度のペットフード製品が提供される。低エネルギー密度のペットフードは、高アミロースデンプン及び長鎖アミロースを含む。例えば、ペットフード製品は、高アミローストウモロコシデンプン、タピオカ、及びマルトデキストリンを含む。
【0009】
さらに別の実施形態では、栄養上完全な低エネルギー密度のペットフード製品を製造する方法が提供される。この方法は、高アミロースデンプンを含む炭水化物原料、蛋白質原料、ビタミン、及びミネラルを組み合わせて混合物を形成させるステップと、その混合物を押し出して、かさ密度が約240kg/m(約15ポンド/立方フィート)未満、例えば約192kg/m(約12ポンド/立方フィート)未満の製品を形成させるためステップとを含む。
【0010】
実施例はペットフード製品に関係しているが、この開示はペットフードだけには限られないことが理解される。この開示に従って、ヒト用の食品を処方することもできる。
【0011】
本発明のさらなる特徴は、現時点での認識によれば本発明を実施する上で最良の態様を例示する好ましい実施形態に関する以下の詳細な記載を考察すれば、当業者には明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
食品単位体積当たりのカロリー量を低減された膨化製品が提供される。この膨化製品は、ペット用の体重管理食品として、或いは標準の食品又は低カロリーの軽食として使用できる。例えば、膨化製品は、味が良く、容積エネルギー密度が低く、迅速に満腹感を誘発できる。膨化製品を用いると、ペットの飼主はペットに与える食品の量を制限せずに、カロリー摂取量を容易に制限することができる。一実施形態では、膨化製品は単独の食品として与えられる。別の実施形態では、膨化製品は標準のペットフードと混合される。
【0013】
標準のペットフードのかさ密度は約260〜440kg/m(約16〜28ポンド/立方フィート)の範囲である。膨化製品は、高アミラーゼデンプンを含む組成物を使用することによって、低エネルギー密度を実現している。この組成物による膨化製品を用いると、蛋白質含有率を高めることができ、この膨化製品は、押し出し機の金型から出るときにあまり崩壊せずその形を保持する。例えば、得られる膨化製品は、許容基準からみて栄養上完全となるのに十分な蛋白質含有量を有し、かさ密度は約240kg/m(約15ポンド/立方フィート)未満、例えば約64〜240kg/m(約4〜15ポンド/立方フィート)である。また、一部の実施形態では、断片のかさ密度は約64〜192kg/m(約4〜12ポンド/立方フィート)、約96〜175kg/m(約6〜11ポンド/立方フィート)、又は約144〜192kg/m(約9〜12ポンド/立方フィート)である。膨化製品は、一部のヒト用膨化食品と同様に、サクサクした食感にすることができる。膨化製品は、食物繊維レベルを増やすのではなく膨化により低容積エネルギー密度を実現しているので、蛋白質レベルは依然高く、(AAFCO(米国飼料検査官協会)又は食品栄養審議会の推奨一日許容量(Food and Nutrition Board Recommended Dietary Allowance)(RDA)の条件を満たす)栄養上完全な食品を実現することができる。
【0014】
この開示の膨化製品を用いたときの行動データにより、ペットは、比較可能な標準のペットフードよりも長い間この膨化製品を咀嚼し、口内でのこの製品の滞留時間は標準の製品より長いことが示されている。したがって、この開示の膨化製品は、歯の健康に効用がある化学薬剤(例えばTSPPなど)を送り込むのに良く適している。より長い時間咀嚼すると、血糖応答をより一定にし酵素分泌を増大させるなど他の健康上の効用をももたらすことができる。
【0015】
本発明の膨化製品は、糖尿病の管理にも適している。膨化製品は、標準の製品より遅い速度で胃腸間で消化及び吸収される。したがって、グルコース応答及びインスリン応答は、膨化製品の摂食後、より一定になると予想される。この現象は、糖尿病管理にとって極めて望ましい。
【0016】
体重の問題、歯の問題、及び糖尿病は、同じペット集団で同時に存在する可能性が高い3つの問題である。したがって、一実施形態では、膨化製品を使用して3つの問題全てに同時に取り組むことができる。
【0017】
低エネルギー密度であることに加え、この開示の膨化製品は、標準のペットフードよりより迅速に満腹感を誘発できることが分かっている。正確な機序は十分に理解されていないが、膨化製品は以下の3つの考え得る機序によって満腹感を誘発すると考えられている。
【0018】
(a)膨化製品は、胃の中の粘度変化を引き起こすことができる。膨化製品の栄養組成物及び物理的性質に基づき、膨化製品は胃内容物の粘度の増大を引き起こし、それにより食品の胃通過時間を遅くすることが可能である。これにより、満腹感を与え、カロリー摂取量を減らすことができる。
【0019】
(b)膨化製品の物理的性質により渇き感を与えることができ、それにより、ペットはより多くの水を飲み、胃が満たされる。
【0020】
(c)膨化製品は蛋白質を多く含む。蛋白質を多量に摂取すると、ヒト及び他の動物種において満腹感を誘発することが示されている。望むなら、蛋白質原料及び蛋白質のアミノ酸組成を改変することにより、満腹感の誘発を強め又は弱めることができるはずである。
【0021】
さらに、ある実施形態では、膨化製品は、水、牛乳、又は他の液体を容易に吸い込んで(soak)、粥を生ずる。膨化製品は栄養上完全であるため、膨化製品の実施形態は、離乳食に良く適している。
【0022】
ペット用ドライ製品は、主に炭水化物原料及び蛋白質原料から製造される。栄養上完全な食品を製造するために、他の成分、例えば、ビタミン、ミネラル、及び脂肪が加えられる。膨化ドライペットフードは、標準のペットフードと比べてかさ密度が低くなっており、例示的には、4〜15ポンド/立方フィート(64〜240kg/m)である。かさ密度がより低いため、ペットの飼主はペットに与える食品の量を減らさずに、ペットのカロリー摂取量を制限することができる。
【0023】
炭水化物原料は、トウモロコシ、米、コムギ、オオムギ、カラスムギ、又は大豆などの穀物及びこれらの穀物の混合物を含んでよい。穀物は、粉又は挽き割り粉の形で提供するのが好都合である。望むなら、純粋な又はほぼ純粋なデンプンを使用してもよい。或いは、炭水化物原料は蛋白質などの他の成分を含んでよいと理解される。どの炭水化物原料を使用するかは重要ではない。しかし、アミロース含有率の高い炭水化物原料を用いると、押し出し機の金型から出るときにあまり崩壊しない膨化製品が得られることが分かっている。この開示では、高アミロースデンプンは、アミロースとアミロペクチンを少なくとも40:60、より好ましくは約50:50の比で含む。特に長いアミロース鎖を有するデンプンを添加すると、押し出しプロセスの助けとなり、より滑らかで輪郭がはっきりした形状の押し出し製品が得られる。この開示では、長鎖アミロースは少なくとも2500個のグルコース単位、例えば2500〜3500グルコース単位である。長鎖アミロースは、例えばタピオカとすることができる。ドライペットフードは、例えば、炭水化物を約40〜50重量%含み、この炭水化物はアミロースを約10〜15%含む。いくつかの実施形態では、マルトデキストリンも押し出しプロセスの助けとなることが分かっている。
【0024】
蛋白質原料は、植物性蛋白質原料、動物性蛋白質原料、又はこれらの蛋白質原料の混合物でよい。適切な植物性蛋白質原料には、グルテン、コムギ蛋白質、大豆蛋白質、米蛋白質、トウモロコシ蛋白質などが含まれる。これらの蛋白質は、所望に応じて、粉、濃縮物、及び単離物の形で提供することができる。適切な動物性蛋白質原料は、哺乳動物、家禽、及び魚類の筋肉又は骨格筋;肉粉、骨粉、及び家禽粉などの粉;心臓、肝臓、腎臓、舌などの副産物;並びに牛乳蛋白質である。例えば、蛋白質原料は、精製加工された動物粉及び植物粉の混合物である。ドライペットフードは、蛋白質を約25〜35重量%含むと好都合である。
【0025】
例示的な食品は、穀物を15〜50%、高アミロースの穀物デンプンを1〜30%、長鎖アミロースを含むアルファ化デンプン(例えばタピオカ)を5〜30%、蛋白質(例えば植物性又は動物性蛋白質粉)を25〜40%含んでよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、その上に脂肪を被覆物として噴霧してよい。この脂肪は、膨化されたベースの1〜25重量%でよい。例えば、膨化されたベースの5〜15重量%に等しい獣脂を使用してよい。
【0027】
様々な機能成分を含んでよい。この機能成分は、ビタミン、ミネラル、共役リノール酸、酸化防止剤、微生物、例えばプロバイオティック、これらの微生物培養物の代謝生成物や上清などの成分、前述のもののいずれかを含んでよい植物の抽出物、栄養補助食品、或いは前述のものの組み合わせ及び混合物を含んでよい。例示的には、その特性をもとに、機能成分又はその混合物を体重管理用の食事用に選択する。
【0028】
望むなら、研磨剤も含んでよい。適切な研磨剤には、砕いたカキの貝殻、二酸化チタンなどが含まれる。同様に、歯の手入れ用薬剤も望むなら含んでよい。例えば、ピロリン酸四ナトリウムなどのピロリン酸塩を含んでよい。
【0029】
適切な押し出し調理プロセスの特定の実施例では、ドライ飼料混合物を、蛋白質原料、炭水化物原料、ビタミン、及びミネラルから調製する。次いで、ドライ飼料混合物をプレコンディショナーに送る。
【0030】
プレコンディショナー中では、水若しくは水蒸気、又はその双方をドライ飼料混合物に混合する。さらに、矯味用消化物や獣脂など液状の矯味成分を、プレコンディショナー内のドライ飼料混合物に混合してよい。十分な水、水蒸気、又は液状の矯味成分を、飼料混合物に混合して、ドライ飼料混合物の含水率を約10〜20重量%まで高める。望むなら、ドライ飼料混合物の温度を、プレコンディショナー中で約65〜95℃まで上げてよい。適切なプレコンディショナーは、米国特許第4,752,139号に記載されている。
【0031】
プレコンディショナーから出た湿潤させた飼料を、次いで押し出し機に送る。押し出し機は、任意の適切な調理用押し出し機でよい。適切な押し出し機はウェンガー社(Wenger Manufacturing Inc)、クレックストラル社(Clextral SA)、ビューラー社(Buhler AG)などから入手できる。例えば、押し出し機は、膨張させたスナック食品の製造に使用される強せん断押し出し機(SMEが0.07〜0.1)でよい。押し出し機を通過する間に、湿潤させた飼料は、調理ゾーンを通り、そこで力学的にせん断されバレル温度が最大約157℃になるまで加熱され、次いで成型ゾーンを通る。成型ゾーンのゲージ圧力は、所望に応じて約2000〜7000kPaである。望むなら、水若しくは水蒸気、又はその双方を調理ゾーンに導入してよい。さらに、押し出し機を通過する間に、湿潤させた飼料のデンプン成分をさらにゼラチン化して、デンプン、蛋白質、及び他の栄養成分のゼラチン化マトリクスを得る。
【0032】
押し出し機から出たゼラチン化マトリクスを金型から強く押し出す。適切な金型は、ウェンガー社(Wenger Manufacturing)(セベタ(Sebetha)、カンザス州(KS))から入手できる。これらの金型は、RA(プロフェロメーター(prophelometer)で測定した平均粗度)が30ミクロンインチ未満になるように設定する。押出物の厚さは、食品のタイプに応じて変えてよい。通常、犬用の粗挽き穀物は、猫用の粗挽き穀物より3倍以上の大きさにする。押し出し口の断面は、任意の適切な断面でよい。
【0033】
金型から出る際、押出物を刃で切断して断片にする。この刃は、得られる断片がその製品を給餌する動物に適したサイズになるように配置することが好ましい。次いで、個々の断片を所望に応じて加工してよい。例えば、それらを部分的に又は全体的に乾燥させ、さらに矯味料で被覆してよい。膨化製品は多孔性に優れているため、多量の液体及び脂肪を真空にせずに添加することができる。したがって、非常に様々な栄養上の必要に合わせて風味及び栄養分を調整することができる。冷却後、この断片を適切な包装材に詰めてよい。
【0034】
乾燥後、乾燥機から出る際に、この断片の含水率が約10重量%、例えば約2〜7重量%未満であることが好ましい。さらに、この断片のかさ密度は、好ましくは約240kg/m(約15ポンド/立方フィート)以下、例えば、約64〜240kg/m(約4〜15ポンド/立方フィート)であり、いくつかの実施形態では、断片のかさ密度は、約64〜192kg/m(約4〜12ポンド/立方フィート)又は約96〜175kg/m(約6〜11ポンド/立方フィート)である。
【0035】
さらに例示するために、特定の実施例をここに記載する。
【実施例1】
【0036】
高度に膨張させたドライペットフードI
乾燥混合物を、約24重量%の全粒トウモロコシ粉、約20重量%のトウモロコシグルテン、約10重量%の米粉、約18重量%の高アミローストウモロコシデンプン(アミロースとアミロペクチンの比が50:50)、約5重量%のマルトデキストリン、約20重量%の家禽粉、約5重量%の魚粉、並びに約6重量%の様々なビタミン及びミネラルから調製する。この乾燥混合物を矯味用消化物と共にプレコンディショナーに送る。プレコンディショナーで処理した混合物を、次いで押し出し機に送る。プレコンディショナーは約190°Fで稼動させる。約1.2kg/分で水蒸気を、約0.6kg/分で水をプレコンディショナーに注入する。
【0037】
プレコンディショナーから出た湿潤させた飼料を、次いで押し出し機に送る。スクリューの配置及び速度を650rpmに調整して、SME(比力学的エネルギー、kWhr/kg)が0.01〜0.1となるようにする。この値は、押し出し機の可能出力の上限であり、標準のドライペットフードで必要とされるよりかなり大きなせん断力である。押し出し機を出る際の圧力は、約6894kPaである。しかし、圧力を調整すると密度が調整されることが当技術分野では知られている。例えば、6000〜8000kPaの圧力を用いると、用途に応じて適切な結果が得られる。他の圧力も同様に適することがある。
【0038】
ゼラチン化混合物を金型の押し出し口から強く押し出す。例えば、押し出し口は魚型で、断面の総面積は約0.0279mmである。金型から出た押出物を、長さ6〜20mmの断片に切断する。しかし、この断片はどんな適切なサイズでもどんな断面形状でもよいことが理解される。次に、この断片を、通常の方法により矯味料で被覆し乾燥させる。
【0039】
得られた膨化製品のかさ密度は約120〜136kg/m(約7.5〜9.5ポンド/立方フィート)の範囲であり、外表面は粗かった。
【実施例2】
【0040】
高度に膨張させたドライペットフードII
乾燥混合物を、約24重量%の全粒トウモロコシ粉、約20重量%のトウモロコシグルテン、約5重量%の高アミローストウモロコシデンプン(アミロースとアミロペクチンの比が50:50)、約5重量%のマルトデキストリン、約10重量%のタピオカ、約5重量%のコムギデンプン、約20重量%の家禽粉、約5重量%の魚粉、並びに約6重量%の様々なビタミン及びミネラルから調製する。この乾燥混合物を、実施例1のように、矯味用消化物と共にプレコンディショナーに送る。次に、プレコンディショナーを出た湿潤させた飼料を、rpmを550に落とす点以外は実施例1と同様にして押し出す。また、成分の一部は加熱処理済みであるため、押し出し機バレル内の温度を幾分低くした。次に、断片を通常の方法により矯味料で被覆し乾燥させる。例示的な矯味料には、5〜15%の獣脂、5〜15%のシロップ、及び1〜10%の鶏肉消化物が含まれる。しかし、膨化製品の嗜好性を変えるために他の矯味料も使用できることが理解されている。
【0041】
得られた膨化製品のかさ密度は約120〜136kg/m(約7.5〜8.5ポンド/立方フィート)の範囲であり、滑らかで輪郭がはっきりした形状であった。
【実施例3】
【0042】
動物の嗜好性試験
この膨化製品は、その成分及び加工ステップが特有であるため、いくつかの様々な感覚的及び物理的特徴において、標準の粗挽き穀物とは異なる。例えば、実施例2のペットフード配合物を用いると、製品は標準のペットフードよりサクサクしている。膨化製品の嗜好性を評価するために、いくつかの嗜好性試験を犬と猫の双方に対して行った(様々な被覆物を評価した)。
【0043】
犬は、通常のドライペットフードの人気製品2種よりも実施例2の膨化製品の方を有意に好んだ(図1)。総摂食量は試験中に落ちず、摂食量が少ないために試験で失格した動物はいなかった。
【0044】
猫の予備試験では、「フリスキーズ(Friskies)(登録商標)」オーシャンフィッシュ(Ocean Fish)(FOF)と比較して実施例2による膨化製品を使用した23対の試験結果により、膨化製品とFOFは摂食率の点からみて同等であることが示された。その後の試験で、製品に改変を加えたとき、膨化製品に対する有意な嗜好性が認められた。しかし、これらの試験中の総摂食量は、膨化されていない製品による試験中よりも少なくなる傾向があった。猫の摂食量を増やすために、いくつかの手法が可能である。一実施形態では、粗挽き穀物のサイズを小さくし、その断面積を約3分の2減らす。サイズを小さくした粗挽き穀物を用いると、猫の摂食量は増加すると予想される。別の実施形態では、膨化製品のかさ密度を、例えば約128〜240kg/m(約8〜15ポンド/立方フィート)、より具体的には約144〜192kg/m(約9〜12ポンド/立方フィート)に高める。さらに別の実施形態では、膨化製品を標準のキャットフードと混合する。例示的には、標準のキャットフードと膨化製品は1:10〜10:1の比で存在する。
【0045】
本発明をいくつかの好ましい実施形態に関して詳細に記載してきたが、添付の特許請求の範囲において記載し定義する本発明の範囲及び趣旨の範囲内で、変形形態及び改変形態が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この開示の膨化製品に対する犬の嗜好性試験の結果を通常のドライペットフードの人気製品2種と比較して示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
かさ密度が約240kg/m(約15ポンド/立方フィート)未満の栄養上完全な食品。
【請求項2】
ペットフード製品として処方されペットフード製品としてのサイズに設定された請求項1記載の食品。
【請求項3】
かさ密度が約64〜240kg/m(約4〜15ポンド/立方フィート)である請求項1記載の食品。
【請求項4】
かさ密度が約64〜192kg/m(約4〜12ポンド/立方フィート)である請求項3記載の食品。
【請求項5】
かさ密度が約96〜175kg/m(約6〜11ポンド/立方フィート)である請求項4記載の食品。
【請求項6】
ペットが猫であり、かさ密度が約120〜136kg/m(約7.5〜8.5ポンド/立方フィート)である請求項5記載の食品。
【請求項7】
前記食品と混合され、かさ密度が260〜440kg/m(約16〜28ポンド/立方フィート)の標準のキャットフードをさらに含み、前記標準のキャットフードと前記食品が1:10〜10:1の比で存在する請求項6記載の食品。
【請求項8】
かさ密度が約144〜192kg/m(約9〜12ポンド/立方フィート)である請求項4記載の食品。
【請求項9】
高アミロースデンプン及び長鎖アミロース含有デンプンを含む、低エネルギー密度食品。
【請求項10】
前記高アミロースデンプンが高アミローストウモロコシデンプンであり前記長鎖アミロース含有デンプンがタピオカであり、前記食品がマルトデキストリンをさらに含む請求項9記載の低エネルギー密度食品。
【請求項11】
栄養上完全にするために他の成分をさらに含む請求項9記載の低エネルギー密度食品。
【請求項12】
前記他の成分が蛋白質原料及び脂肪を含む請求項9記載の低エネルギー密度食品。
【請求項13】
前記脂肪が被覆物として噴霧される請求項12記載の低エネルギー密度食品。
【請求項14】
前記他の成分が機能成分をさらに含む請求項9記載の低エネルギー密度食品。
【請求項15】
歯の健康に効用がある化学薬剤をさらに含む請求項9記載の低エネルギー密度食品。
【請求項16】
前記高アミロースデンプンが、アミロース及びアミロペクチンを少なくとも40:60の比で含む請求項9記載の低エネルギー密度食品。
【請求項17】
前記高アミロースデンプンが、アミロース及びアミロペクチンを少なくとも50:50の比で含む請求項16記載の低エネルギー密度食品。
【請求項18】
前記食品を液体に加えると粥が形成される請求項9記載の低エネルギー密度食品。
【請求項19】
請求項9記載の低エネルギー密度食品をペットに給餌するステップを含む、ペットの体重を管理する方法。
【請求項20】
前記低エネルギー密度食品が栄養上完全である請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記低エネルギー密度食品がペットに与えられる栄養分の少なくとも90%を占める請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記ペットに標準のペットフードを与えるステップをさらに含む請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記標準のペットフードが前記ペットフード製品と混合されて与えられる請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記給餌ステップが前記標準のペットフードの食事の代わりに使用される請求項22記載の方法。
【請求項25】
前記給餌ステップが、ペットに以前給餌されていたある体積の標準のペットフードをほぼ同じ体積の前記低エネルギー密度食品の代わりに使用し、それによって前記ペットのカロリー摂取量を低減させることを含む請求項20記載の方法。
【請求項26】
前記給餌ステップが、前記低エネルギー密度食品を軽食として給餌することを含む請求項19記載の方法。
【請求項27】
高アミロースデンプンを含む炭水化物原料、蛋白質原料、ビタミン、及びミネラルを組み合わせて混合物を形成させるステップと、前記混合物を押し出してかさ密度が約240kg/m(約15ポンド/立方フィート)未満の製品を形成させるステップとを含む、栄養上完全な低エネルギー密度食品を製造する方法。
【請求項28】
前記炭水化物原料が長鎖アミロースデンプンも含む請求項27記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
かさ密度が240kg/m(15ポンド/立方フィート)未満の栄養上完全な食品。
【請求項2】
ペットフード製品として処方されペットフード製品としてのサイズに設定された請求項1記載の食品。
【請求項3】
かさ密度が64〜240kg/m(4〜15ポンド/立方フィート)である請求項1記載の食品。
【請求項4】
かさ密度が64〜192kg/m(4〜12ポンド/立方フィート)である請求項3記載の食品。
【請求項5】
かさ密度が96〜175kg/m(6〜11ポンド/立方フィート)である請求項4記載の食品。
【請求項6】
ペットが猫であり、かさ密度が120〜136kg/m(7.5〜8.5ポンド/立方フィート)である請求項5記載の食品。
【請求項7】
前記食品と混合され、かさ密度が260〜440kg/m(16〜28ポンド/立方フィート)の標準のキャットフードをさらに含み、前記標準のキャットフードと前記食品が1:10〜10:1の比で存在する請求項6記載の食品。
【請求項8】
かさ密度が144〜192kg/m(9〜12ポンド/立方フィート)である請求項4記載の食品。
【請求項9】
高アミロースデンプン及び長鎖アミロース含有デンプンを含む、低エネルギー密度食品。
【請求項10】
前記高アミロースデンプンが高アミローストウモロコシデンプンであり前記長鎖アミロース含有デンプンがタピオカであり、前記食品がマルトデキストリンをさらに含む請求項9記載の低エネルギー密度食品。
【請求項11】
栄養上完全にするために他の成分をさらに含む請求項9記載の低エネルギー密度食品。
【請求項12】
前記他の成分が蛋白質原料及び脂肪を含む請求項9記載の低エネルギー密度食品。
【請求項13】
前記脂肪が被覆物として噴霧される請求項12記載の低エネルギー密度食品。
【請求項14】
前記他の成分が機能成分をさらに含む請求項9記載の低エネルギー密度食品。
【請求項15】
歯の健康に効用がある化学薬剤をさらに含む請求項9記載の低エネルギー密度食品。
【請求項16】
前記高アミロースデンプンが、アミロース及びアミロペクチンを少なくとも40:60の比で含む請求項9記載の低エネルギー密度食品。
【請求項17】
前記高アミロースデンプンが、アミロース及びアミロペクチンを少なくとも50:50の比で含む請求項16記載の低エネルギー密度食品。
【請求項18】
前記食品を液体に加えると粥が形成される請求項9記載の低エネルギー密度食品。
【請求項19】
請求項9記載の低エネルギー密度食品をペットに給餌するステップを含む、ペットの体重を管理する方法。
【請求項20】
前記低エネルギー密度食品が栄養上完全である請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記低エネルギー密度食品がペットに与えられる栄養分の少なくとも90%を占める請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記ペットに標準のペットフードを与えるステップをさらに含む請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記標準のペットフードが前記ペットフード製品と混合されて与えられる請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記給餌ステップが前記標準のペットフードの食事の代わりに使用される請求項22記載の方法。
【請求項25】
前記給餌ステップが、ペットに以前給餌されていたある体積の標準のペットフードをほぼ同じ体積の前記低エネルギー密度食品の代わりに使用し、それによって前記ペットのカロリー摂取量を低減させることを含む請求項20記載の方法。
【請求項26】
前記給餌ステップが、前記低エネルギー密度食品を軽食として給餌することを含む請求項19記載の方法。
【請求項27】
高アミロースデンプンを含む炭水化物原料、蛋白質原料、ビタミン、及びミネラルを組み合わせて混合物を形成させるステップと、前記混合物を押し出してかさ密度が240kg/m(15ポンド/立方フィート)未満の製品を形成させるステップとを含む、栄養上完全な低エネルギー密度食品を製造する方法。
【請求項28】
前記炭水化物原料が長鎖アミロースデンプンも含む請求項27記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−519608(P2006−519608A)
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507072(P2006−507072)
【出願日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【国際出願番号】PCT/US2004/007416
【国際公開番号】WO2004/080198
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】